JP2010149599A - 空気入りタイヤ及びスパイクタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性を維持しつつ、氷上性能及び雪上性能を向上し得る。
【解決手段】トレッド部2に、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝3と、該主溝3間及び該主溝3とトレッド縁2eとの間をのびる複数本の横溝4とにより区分された複数個のブロック5がタイヤ周方向に並ぶ複数のブロック列Bを有する空気入りタイヤ1である。ブロック列Bの少なくとも一つは、ブロック踏面5sに、スパイクピンPを装着可能なホール8が形成されたホール付ブロック5hを複数個含み、ホール8は、タイヤ赤道Cからトレッド接地幅TWの13%の距離を隔てる位置よりも外側に形成され、かつ、タイヤ周方向で隣り合うホール8は、タイヤ軸方向に位置ずれして形成されるとともに、ホール付ブロック5hの少なくとも一つは、ホール8が主溝3側に形成されかつ該主溝3の幅を減じるように主溝3内に突出することによりホール8周りを補強する補強部10を具える。
【選択図】図1

Description

本発明は、スパイクピンを装着可能なホールを具えた空気入りタイヤ及びそれにスパイクピンを装着したスパイクタイヤに関する。
トレッド面に設けられたブロックに、金属等で作られたスパイクピンを打ち込むことによって、氷雪路での走行性能を向上させたスパイクタイヤが、例えば、下記特許文献1で提案されている。このようなスパイクタイヤには、踏面にスパイクピンを装着するための孔、即ち"ホール"が設けられている。
特開2006−205876号公報
しかしながら、これまでのスパイクタイヤでは、前記ホールをタイヤ周方向に連続してのびる主溝寄りに設けた場合、ホールと主溝との間の肉厚が小さくなり、ホールの周りの剛性低下が生じる。このため、このようなホールに装着されたスパイクピンは、走行時に大きく倒れ込んだり又は抜け易くなるなど、耐久性が低下するという問題があった。従って、スパイクピンを装着するためのホールを、主溝から十分に離れた位置に設ける必要があり、形成位置の自由度が低いという問題もあった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ホールを主溝寄り形成するとともに該主溝の幅を減じるように主溝内に突出して前記ホール周りを補強する補強部を具えたホール付ブロックを含ませることを基本として、耐久性を維持しつつホールの形成位置の自由度を高め、ひいては氷雪性能を向上し得る空気入りタイヤ及びスパイクタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝と、該主溝間及び該主溝とトレッド縁との間をのびる複数本の横溝とにより区分された複数個のブロックがタイヤ周方向に並ぶ複数のブロック列を有する空気入りタイヤであって、前記ブロック列の少なくとも一つは、ブロック踏面に、スパイクピンを装着可能なホールが形成されたホール付ブロックを複数個含み、前記ホールは、タイヤ赤道からトレッド接地幅の13%の距離を隔てる位置よりもタイヤ軸方向外側に外側に形成され、かつ、タイヤ周方向で隣り合うホールは、タイヤ軸方向に位置ずれして形成されるとともに前記ホール付ブロックの少なくとも一つは、前記ホールが主溝寄りに形成されるとともに前記主溝の幅を減じるように主溝内に突出して前記ホールの周りを補強する補強部を具えることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記ホールは、前記補強部を除いた前記主溝の中心線から12.0mm以内の領域に形成される請求項1又は2に記載の空気入りタイヤである。
また請求項3記載の発明は、前記ホール付ブロックは、サイプが形成されるとともに、前記ホールの中心から少なくとも半径5mm以内が前記サイプを含む一切の溝がない非サイプ領域である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤである。
また請求項4記載の発明は、タイヤ赤道の各側において、タイヤ軸方向の最内側のホールと、タイヤ軸方向の最外側のホールとのタイヤ軸方向距離は、トレッド接地幅の20〜30%である請求項1乃至3の何れかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項5記載の発明は、前記主溝は、前記補強部での最小溝幅が、該主溝の最大溝幅の0.4〜0.9倍である請求項1乃至4の何れかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項6記載の発明は、前記主溝は、タイヤ赤道上又はタイヤ赤道の両側に設けられたクラウン主溝と、該クラウン主溝のタイヤ軸方向両外側に設けられた一対のショルダー主溝とを有し、前記ブロック列は、前記クラウン主溝と前記ショルダー主溝との間をミドル横溝で区分することにより形成されたミドルブロックが並ぶ一対のミドルブロック列と、前記ショルダー主溝と前記トレッド縁との間をショルダー横溝で区分することにより形成されたショルダーブロックが並ぶ一対のショルダーブロック列とを含み、前記ホール付ブロックの前記補強部は、前記ショルダー主溝とミドル横溝との交差部又はショルダー主溝とショルダー横溝との交差部に向けて突出形成される請求項1乃至5に記載の空気入りタイヤである。
また請求項7記載の発明は、前記ミドルブロック列は、ホールの位置がタイヤ軸方向で異なる少なくとも2種類のホール付ブロックを含む請求項6記載の空気入りタイヤである。
また請求項8記載の発明は、前記ショルダーブロック列は、ホールの位置がタイヤ軸方向で異なる少なくとも2種類のホール付ブロックを含む請求項6又は7に記載の空気入りタイヤである。
また請求項9記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載された空気入りタイヤの前記ホールにスパイクピンが装着されたことを特徴とするスパイクタイヤである。
本発明の空気入りタイヤは、ブロック列の少なくとも一つが、ブロック踏面に、スパイクピンを装着可能なホールが形成されたホール付ブロックを複数個含むとともに、ホールは、タイヤ赤道からトレッド接地幅の13%の距離を隔てる位置よりもタイヤ軸方向外側に形成される。即ち、ホールは、接地圧の高いトレッド中央領域を除いた外側領域に形成される。従って、ホールにスパイクピンを装着したときに、走行時のスパイクピンへの負荷を緩和し、抜けや損傷を抑制して耐久性を向上させるのに役立つ。
また、タイヤ周方向で隣り合うホールは、タイヤ軸方向に位置ずれして形成される。これにより、タイヤ周方向で隣り合うスパイクピンは、路面の異なる位置を引っ掻くことができるので、高い駆動ないし制動力を発揮できる。
さらに、ホール付ブロックの少なくとも一つは、ホールが主溝寄りに形成されるとともに該主溝の幅を減じるように主溝内に突出してホール周りを補強する補強部を具える。このように、本発明の空気入りタイヤでは、ホール周りの強度を低下させることなくホールを主溝寄りに設けることができるので、耐久性を損ねることなくホール形成位置の自由度を高め、氷雪性能をより一層向上させることが可能になる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤのトレッド部2の展開図、図2はそのA−A断面図を示す。前記空気入りタイヤは、例えば乗用車用タイヤとして構成される。
図1に示されるように、前記トレッド部2には、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝3と、該主溝3間及び該主溝3とトレッド縁2eとの間をのびる複数本の横溝4とが設けられる。これにより、トレッド部2には、複数の主溝3と複数の横溝4とによって区分された複数個のブロック5が、タイヤ周方向に並ぶ複数のブロック列Bが形成される。なお、本実施形態のトレッド部2には、走行時の回転方向Rが指定された方向性トレッドパターンが形成される。
ここで、前記トレッド縁2eとは、正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した正規状態のタイヤに正規荷重を負荷しかつキャンバー角0゜で平面に接地させたときのタイヤ軸方向の最も外側の接地端部を指す。
また、前記正規リムとは、当該タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば"標準リム"、TRAであれば " Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim"とする。さらに、前記正規内圧とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。また、前記正規荷重とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば"最大負荷能力"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" であるが、タイヤが乗用車用の場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
前記主溝3は、タイヤ赤道Cの両側に設けられた一対のクラウン主溝3A、3Aと、該クラウン主溝3Aのタイヤ軸方向両外側に設けられた一対のショルダー主溝3B、3Bとを含む。乗用車用タイヤの場合、氷上での接地面積を確保しつつ雪上での十分な排雪性を発揮させるために、クラウン主溝3Aの溝幅W1及びショルダー主溝3Bの溝幅W2は、トレッド接地幅TWの例えば2%以上、より好ましくは3%以上が望ましく、また、好ましくは9%以下、より好ましくは6%以下が望ましい。同様に、各主溝3A及び3Bの溝深さについては、好ましくは5mm以上、より好ましくは6mm以上が望ましく、また、好ましくは10mm以下、より好ましくは9mm以下が望ましい。なお、前記トレッド接地幅TWは、前記正規状態におけるトレッド縁2e、2e間のタイヤ軸方向の距離とする。
前記クラウン主溝3Aは、本実施形態ではジグザグ状でのびる。これは、タイヤ軸方向のエッジ成分を増加させて氷上での摩擦力を高めるとともに、雪柱せん断力を増加させるのに役立つ。ただし、クラウン主溝3Aは、直線状や波状で形成されても良い。また、一対のクラウン主溝3A、3A間には、タイヤ赤道C上をタイヤ周方向に連続してのびるセンターリブ6が形成される。該センターリブ6には、例えば、その両側からのびるとともにリブ内部で終端する切り込み11が適宜隔設される。これは、センターリブ6のタイヤ周方向の剛性を適度に緩和し偏摩耗を抑制するのに役立つ。なお、クラウン主溝3Aは、タイヤ赤道C上に設けられた1本のみでも良い。
他方、ショルダー主溝3Bは、タイヤ周方向に沿って実質的に直線状でのびる。これは、ショルダー主溝3Bに隣接したショルダーブロックの横剛性を高め、旋回時の操縦安定性を高めるのに役立つ。ただし、ショルダー主溝3Bは、ジグザグ状や波状で形成されても良いのは言うまでもない。
前記横溝4は、クラウン主溝3Aとショルダー主溝3Bとの間を横切ってのびかつタイヤ周方向に隔設されたミドル横溝4Aと、ショルダー主溝3Bとトレッド縁2eとの間を横切ってのびかつタイヤ周方向に隔設されたショルダー横溝4Bとを含む。本実施形態では、前記ミドル横溝4Aは、クラウン主溝3Aからショルダー主溝3Bへ向かってタイヤ回転方向後着側に傾斜してのびている。このような傾斜溝は、ブロック5のタイヤ周方向のエッジ成分を増加させ氷上性能を高めるのに役立つ。他方、本実施形態のショルダー横溝4Bは、ほぼタイヤ軸方向に沿ってのびている。これは、ショルダーブロックの横剛性を高めるのに役立つ。なお、ミドル横溝4A及びショルダー横溝4Bにおける溝幅及び溝深さは、特に限定されないが、主溝3と同ーか又はそれらよりも僅かに小で形成されるのが好ましい。
前記ブロック列Bは、クラウン主溝3Aとショルダー主溝3Bとの間をミドル横溝4Aで区分することにより形成されたミドルブロック5Bがタイヤ周方向に並ぶ一対のミドルブロック列B2と、ショルダー主溝3Bとトレッド縁2eとの間をショルダー横溝4Bで区分することにより形成されたショルダーブロック5Cがタイヤ周方向に並ぶ一対のショルダーブロック列B3とを含む。
各ブロック5B及び5Cには、サイプSが形成される。このようなサイプSは、ブロック5の柔軟な変形を確保しブロック踏面5sと氷路面との接触面積を増加させることができる。また、サイプSは、路面上の水膜を吸い上げ氷路上でのグリップ性能をさらに向上させ得る。なお、ミドルブロック5Bには、その幅方向の略中間位置をタイヤ周方向にのびる細縦溝7が設けられている。
本実施形態では、ミドルブロック列B2及びショルダーブロック列B3は、それぞれブロック踏面5sにスパイクピンを装着可能なホール8が形成された複数個のホール付ブロック5hと、該ホール8が形成されていない複数個のホール無しブロック5nとから構成されている。
図4に示されるように、前記スパイクピンPは、前記ホール8に挿入されることによりトレッド部2に埋着されるピン部20と、ブロック踏面に露出するフランジ部21と、該フランジ部からピン部20と逆向きにのび路面と接触して摩擦力を得るためのスパイク部22とから形成される。ピン部20は、実質的に同径な円柱状をなす等径部20aと、その下端に連設されかつ等径部20aよりも大きい径をもつ本実施形態では球状部20bとから構成される。なお、本実施形態のスパイク部22には、路面とのさらなる摩擦力を得るために、ねじ溝が形成されたものを示す。
このようなスパイクピンPは、図5(a)、(b)に示されるように、そのピン部20を、ホール付ブロック5hのホール8に嵌入することにより空気入りタイヤに取付けられる。これにより、スパイクタイヤが得られる。本実施形態のホール8は、有底かつ内径dの円形孔からなり、前記内径dは、ピン部20の等径部20aとほぼ同一に形成される。これにより、球状部20bは、ホール8から大きな圧縮力で締付られ強固にスパイクピンPがホールに固定される。なお、ピン部20は、接着剤とともにホール8に挿入されるのが望ましい。前記接着剤としては、特に限定されないが、高強度かつ嵌め合い部品固定用に好適な嫌気性接着剤が好ましい。このようなホール8は、一例として、深さDが8〜12mm程度、内径dが、2〜3mm程度に設定される。
また、前記ホール8は、タイヤ赤道Cからトレッド接地幅TWの13%、より好ましくは15%の距離Wsを隔てる位置よりもタイヤ軸方向外側に形成される。このように、ホール8は、接地圧の高いトレッド中央領域を除いた外側領域に形成されることが望ましい。これにより、ホール8にスパイクピンPを装着して走行したときに、スパイクピンPへの負荷が緩和され、その抜けや損傷を抑制して耐久性を向上させることができる。
また、ミドルブロック列B2及びショルダーブロック列B3それぞれにおいて、タイヤ周方向で隣り合うホール8は、互いにタイヤ軸方向に位置ずれして形成される。即ち、各ブロック列B2、B3は、ホール8の位置がタイヤ軸方向で異なる少なくとも2種類のホール付ブロック5hを含んでいる。もし、タイヤ周方向で隣り合うホール(ひいてはスパイクピンP)がタイヤ軸方向で同じ位置に設けられていると、タイヤ周方向で隣り合うスパイクピンPが氷雪路面において同一位置を引っ掻くことになり、十分な駆動ないし制動力を得ることができないが、本実施形態の空気入りタイヤでは、このような不具合を防止できる。
本実施形態において、前記ホール付ブロック5hは、相対的なものとして、ホール8がショルダー主溝3B寄りに形成された第1のホール付ブロック5h1と、ホール8がブロック中央部寄りに形成された第2のホール付ブロック5h2とを含んで構成される。好ましい態様として、タイヤ赤道Cの各側において、タイヤ軸方向の最内側のホール8(ミドルブロック列B2の第2のホール付きブロック5h2)と、タイヤ軸方向の最外側のホール8(ショルダーブロック列B3の第2のホール付きブロック5h2)とのタイヤ軸方向距離Wmは、トレッド接地幅TWの20〜30%が望ましい。これにより、トレッド部2のタイヤ軸方向の広範囲にスパイクピンPを装着することができる。
また、第1のホール付ブロック5h1には、ショルダー主溝3Bの幅を減じるように該主溝3B内に突出することにより前記ホール8の周りを補強する補強部10が形成される。このような補強部10は、ホール8とショルダー主溝3Bとの間で挟まれるゴム厚さを増加させ、その強度を確実に向上させる。従って、本実施形態の空気入りタイヤでは、ホール8の周りの強度を低下させることなくホール8を主溝寄りに設けることができる。このような作用を確実に発揮させるために、ホール8の縁から放射方向に測定される補強部10の最小厚さtは、好ましくは5mm以上、より好ましくは6mm以上が望ましい。他方、前記最小厚さtが大きくなると、ショルダー主溝3Bの溝容積が低下し、排雪性能が低下するおそれがあるので、好ましくは15mm以下、より好ましくは8mm以下が望ましい。
また、前記ホール8は、補強部10を除いたショルダー主溝3Bの略中心線3hから12.0mm以内、より好ましくは10.0mm以内の主溝に非常に近い領域Whに設けることが可能になる。これにより、主溝に寄りでスパイクピンPを確実に支持することができる。これは、スパイクピンPの形成位置の自由度を高め、ひいては氷雪性能をより一層向上させるのに役立つ。
本実施形態の補強部10は、中心をホール8の中心と実質的に一致させた円弧状の膨らみとしてショルダー主溝3B内に突出形成されている。ただし、主溝3内に突出してホール8の周りを補強しうるものであれば、補強部10の突出形状は特に限定されるものではない。即ち、図6(a)ないし(b)に示されるように、台形状や三角形状などを含む多角形状で構成されても良い。また、図3に示されるように、補強部10は、横溝4の幅を減じるようにその一部が横溝4内にも突出して構成されても良い。
また、図3に示されるように、各ホール付ブロック5hには、ホール8の周りにサイプSを含む一切の溝がない非サイプ領域Nが形成されることが好ましい。なお、ホール8の周りには2つの仮想円が描かれているが、非サイプ領域Nは外側の仮想円VL1で表されている。このような非サイプ領域Nは、前記補強部10との相乗作用によってホール8の周りの剛性をさらに高め、ひいてはスパイクピンPの倒れや抜けなどをより確実に抑制し得る。このような作用をより効果的に発揮させるために、前記非サイプ領域Nは、ホール8の中心8cからの半径Nrが少なくとも5mm、より好ましくは8mm以上、さらに好ましくは10mm以上の領域で形成されるのが望ましい。
なお、図3において、内側の仮想円VL2は、ホール8に装着されたスパイクピンPの前記フランジ部21の外周縁の位置を示す。スパイクピンPが路面に接地した際、フランジ部21にも大きな外力が作用するが、非サイプ領域Nをフランジ部21の外周縁よりも大きな領域で形成することにより、このようなフランジ部21も剛性の高い非サイプ領域Nで支持される。従って、スパイクピンPの固定がより一層安定し、高い駆動ないし制動力を発揮することができる。
ところで、補強部10は、ショルダー主溝3Bの溝幅(溝容積)を局部的に減じることの引き替えに、強度を悪化させずにショルダー主溝3B寄りにホール8を形成することを可能とする。従って、補強部10でのショルダー主溝3Bの溝幅の減少はある程度はやむを得ない。しかし、補強部10のショルダー主溝3B内への突出量が大きくなると、主溝容積が著しく小さくなり、その部分で雪詰まりが生じるなど排雪性能が悪化する傾向がある。このような観点より、ショルダー主溝3Bにおいて、補強部10での最小溝幅Wiは、ショルダー主溝3Bの最大溝幅Wjの0.4倍以上、より好ましくは0.5倍以上が望ましく、また、好ましくは0.9倍以下、より好ましくは0.8倍以下が望ましいに設定されることが好ましい。
また、さらに好ましい実施形態として、図3に示されるように、前記補強部10は、ショルダー主溝3Bとミドル横溝4Aとの三叉路状の交差部9a、又はショルダー主溝3Bとショルダー横溝4Bとの三叉路状の交差部9bに向けて突出するように形成されるのが望ましい。このような交差部9a及び9bでは、十分な溝容積が得られる。従って、交差部9a及び9bに補強部10を設けることにより、溝容積の低下の影響を最小限に抑えることができ、ひいては雪上性能の低下を抑制し得る。
以上、本発明の特に好ましい形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
表1の仕様に基づいてサイズ195/65R15のスパイクタイヤを製造し、それらの性能がテストされた。なお、各ホールへのスパイクピンの固着には、嫌気性接着剤が使用された。また、比較のために、図1に示したトレッドパターンの他、図7(a)、(b)に示されるように、ホールの周りに補強部を有しないトレッドパターンを有する比較例タイヤについても同様のテストが行われた。
テスト方法は、次の通りである。
<氷雪上発進テスト>
氷路及び雪路それぞれにおいて、車両発進時おけるトラクション性能がドライバーのフィーリングにより評価された。結果は、比較例1の性能を100とする指数で表示している。数値が大きいほどトラクション性能に優れ発進性が良いことを示す。
リム:15×6JJ
内圧:180kPa
車両:FR乗用車
<氷雪上制動性能>
上記車両を用い、氷路及び雪路それぞれにおいて、速度30km/hからロック急制動をかけたときの制動距離が測定された。結果は、比較例1の制動距離を100とする指数で表示している。数値が大きい程、制動距離が短く氷雪制動性に優れることを示す。
<氷雪上旋回性能>
上記車両を用い、氷路及び雪路それぞれにおいて、氷雪路面の定常円旋回(約40R)を行いそのタイムを計測する他、ドライバーの官能などを加えて比較例1を100とする指数で評価した。数値が大きい程、氷上旋回性能に優れることを示す。
<耐久性(耐ピン抜け性)>
上記車両を用い、氷雪路において、走行距離が20000/kmの時点で、スパイクピンのピン抜けの本数を確認し、比較例1を100とする指数で評価した。数値が大きい程、耐ピン抜け性に優れることを示す。
テストの結果などを表1に示す。
Figure 2010149599
テストの結果、実施例の空気入りタイヤは、耐久性を維持しつつ、氷上性能及び雪上性能を向上していることが確認できた。
本発明の実施形態を示すトレッド部の展開図である。 そのA−A断面図である。 図1の部分拡大図である。 スパイクピンの全体斜視図である。 (a)はホール付ブロックの全体斜視図、(b)はそれにスパイクピンを装着した図である。 (a)、(b)は他の実施形態を示すトレッド部の部分拡大図である。 (a)、(b)は比較例のトレッド部の部分展開図である。
符号の説明
2 トレッド部
3 主溝
3A ミドル主溝
3B ショルダー主溝
4 横溝
5 ブロック
5s ブロック踏面
5h ホール付ブロック
8 ホール
10 補強部
B ブロック列
B2 ミドルブロック列
B3 ショルダーブロック列
P スパイクピン

Claims (9)

  1. トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる複数本の主溝と、該主溝間及び該主溝とトレッド縁との間をのびる複数本の横溝とにより区分された複数個のブロックがタイヤ周方向に並ぶ複数のブロック列を有する空気入りタイヤであって、
    前記ブロック列の少なくとも一つは、ブロック踏面に、スパイクピンを装着可能なホールが形成されたホール付ブロックを複数個含み、
    前記ホールは、タイヤ赤道からトレッド接地幅の13%の距離を隔てる位置よりもタイヤ軸方向外側に外側に形成され、かつ、タイヤ周方向で隣り合うホールは、タイヤ軸方向に位置ずれして形成されるとともに
    前記ホール付ブロックの少なくとも一つは、前記ホールが主溝寄りに形成されるとともに前記主溝の幅を減じるように主溝内に突出して前記ホールの周りを補強する補強部を具えることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ホールは、前記補強部を除いた前記主溝の中心線から12.0mm以内の領域に形成される請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ホール付ブロックは、サイプが形成されるとともに、前記ホールの中心から少なくとも半径5mm以内が前記サイプを含む一切の溝がない非サイプ領域である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ赤道の各側において、タイヤ軸方向の最内側のホールと、タイヤ軸方向の最外側のホールとのタイヤ軸方向距離は、トレッド接地幅の20〜30%である請求項1乃至3の何れかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記主溝は、前記補強部での最小溝幅が、該主溝の最大溝幅の0.4〜0.9倍である請求項1乃至4の何れかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記主溝は、タイヤ赤道上又はタイヤ赤道の両側に設けられたクラウン主溝と、該クラウン主溝のタイヤ軸方向両外側に設けられた一対のショルダー主溝とを有し、
    前記ブロック列は、前記クラウン主溝と前記ショルダー主溝との間をミドル横溝で区分することにより形成されたミドルブロックが並ぶ一対のミドルブロック列と、
    前記ショルダー主溝と前記トレッド縁との間をショルダー横溝で区分することにより形成されたショルダーブロックが並ぶ一対のショルダーブロック列とを含み、
    前記ホール付ブロックの前記補強部は、前記ショルダー主溝とミドル横溝との交差部又はショルダー主溝とショルダー横溝との交差部に向けて突出形成される請求項1乃至5に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記ミドルブロック列は、ホールの位置がタイヤ軸方向で異なる少なくとも2種類のホール付ブロックを含む請求項6記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記ショルダーブロック列は、ホールの位置がタイヤ軸方向で異なる少なくとも2種類のホール付ブロックを含む請求項6又は7に記載の空気入りタイヤ。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載された空気入りタイヤの前記ホールにスパイクピンが装着されたことを特徴とするスパイクタイヤ。
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