JP2016037083A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】氷雪路でのタイヤ性能を高め得る空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】空気入りタイヤ1は、複数のブロック5をトレッド面に備える。また、複数のブロック5が、環状構造を有すると共に独立して配置された複数の環状サイプ6をそれぞれ備える。また、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積は、ブロック5の中央部からタイヤ周方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さくなる。
【選択図】図3
【解決手段】空気入りタイヤ1は、複数のブロック5をトレッド面に備える。また、複数のブロック5が、環状構造を有すると共に独立して配置された複数の環状サイプ6をそれぞれ備える。また、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積は、ブロック5の中央部からタイヤ周方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さくなる。
【選択図】図3
Description
この発明は、空気入りタイヤに関する。
ウインター用タイヤおよびオールシーズン用タイヤ、特に、氷雪路走行を目的とするスノータイヤ、スタッドレスタイヤなどのウインター用タイヤでは、ブロックに複数のサイプを形成し、ブロックのエッジ成分を増加させることにより、氷雪路でのタイヤ性能を高めているものがある。具体的には、サイプによりブロックの柔軟性を高めて実接地面積を増加させ、また、サイプのエッジ成分により引っ掻き作用を生させて、氷雪路での走行性能を向上させる。このように、ブロックにサイプを形成した空気入りタイヤとしては、特許文献1〜4に記載される空気入りタイヤが知られている。
しかしながら、ブロックにサイプを形成する構成では、ブロックの剛性が低下してブロックの倒れ込み量が大きくなる。このため、雪路での操縦安定性能や氷路での制動性能が低下し易いという課題がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、氷雪路でのタイヤ性能の高い空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、トレッド面に複数のブロックを備える空気入りタイヤであって、ブロックは、環状構造を有すると共に独立して配置された複数の環状サイプが形成され、ブロックの中央部における環状サイプで囲まれた部位の容積が、ブロックのエッジ部における環状サイプで囲まれた部位の容積よりも大きいことを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤは、各環状サイプが、独立して配置されるので、サイプによる引っ掻き効果を高めつつ、ブロックの剛性を確保することができ、タイヤの操縦安定性能および制動性能が向上する利点がある。また、本発明の空気入りタイヤは、ブロックのエッジ部における環状サイプで囲まれた部位の容積が中央部における環状サイプで囲まれた部位の容積よりも小さいので、剛性が低下しやすいブロックのエッジ部においても、その剛性を保持したまま、サイプを配置することができる。このため、本発明の空気入りタイヤは、ブロックのエッジ部の剛性が増加して、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
同図において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
この空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17とを備える(図1参照)。
一対のビードコア11、11は、複数のビードワイヤを束ねて成る環状部材であり、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を構成する。
カーカス層13は、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13は、スチールあるいは有機繊維材(例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で80[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの繊維方向の傾斜角)を有する。
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143とを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で20[deg]以上55[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角)を有し、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される(クロスプライ構造)。ベルトカバー143は、コートゴムで被覆されたスチールあるいは有機繊維材から成る複数のコードを圧延加工して構成され、絶対値で0[deg]以上10[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143は、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されて、リムフランジに対する左右のビード部の接触面を構成する。
[トレッドパターン]
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。同図は、ウインター用タイヤのトレッドパターンを示している。同図において、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸周りの方向をいう。また、符号Tは、タイヤ接地端である。
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。同図は、ウインター用タイヤのトレッドパターンを示している。同図において、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸周りの方向をいう。また、符号Tは、タイヤ接地端である。
この空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝(主溝)21、22と、これらの周方向主溝21、22に区画された複数の陸部31、32と、タイヤ幅方向に延在する複数のラグ溝41、42とをトレッド部に備える(図2参照)。また、各陸部31、32が複数のラグ溝41、42によりタイヤ周方向に分断されて、複数のブロック5から成るブロック列が形成されている。
周方向主溝とは、摩耗末期を示すウェアインジケータを有する周方向溝であり、一般に、5.0[mm]以上の溝幅および7.5[mm]以上の溝深さを有する。また、ラグ溝とは、5.0[mm]以上の溝幅および8.0[mm]以上の溝深さを有する横溝をいう。溝幅は、トレッド踏面における溝幅の最大値として測定され、溝開口部に形成された切欠部や面取部を除外して測定される。また、溝深さは、トレッド踏面から溝底までの最大値として測定され、溝底に形成された部分的な凹凸部などを除外して測定される。
例えば、図2の構成では、ストレート形状を有する3本の周方向主溝21、22がタイヤ赤道面CLを中心として左右対称に配置されている。
しかし、これに限らず、周方向主溝が、タイヤ周方向に屈曲あるいは湾曲しつつ延在するジグザグ形状あるいは波状形状を有しても良い(図示省略)。また、4本以上の周方向主溝が配置されても良いし、これらの周方向主溝がタイヤ赤道面CLを中心として左右非対称に配置されても良い(図示省略)。
また、図2の構成では、周方向主溝21、22により、4列の陸部31、32が区画されている。また、すべての陸部31、32が、タイヤ幅方向に延在する複数のラグ溝41、42をそれぞれ有している。また、これらのラグ溝41、42が、陸部31、32をタイヤ幅方向に貫通するオープン構造を有し、また、タイヤ周方向に所定配置間隔で配列されている。これにより、すべての陸部31、32が、複数のブロック5に分断されてブロック列となっている。
しかし、これに限らず、一部の陸部(例えば、トレッド部ショルダー領域にある陸部32)が、タイヤ周方向に連続するリブであっても良い(図示省略)。
また、図2の構成では、上記のように、ブロック5が、タイヤ周方向に延在する周方向主溝21、22とタイヤ幅方向に延在するラグ溝41、42とに区画されている。
しかし、これに限らず、空気入りタイヤ1が、図2の周方向主溝21、22およびラグ溝41、42に代えて、タイヤ周方向に対して所定の傾斜角にて傾斜する複数の傾斜ラグ溝を備え、ブロック5が、これらの傾斜ラグ溝に区画されても良い(図示省略)。
[ブロックの環状サイプ]
ウインター用タイヤおよびオールシーズン用タイヤ、特に、氷雪路走行を目的とするスノータイヤ、スタッドレスタイヤなどのウインター用タイヤでは、複数のサイプがブロックに配置されてブロックのエッジ成分を増加させることにより、氷雪路でのタイヤ性能が高められている。具体的には、サイプによりブロックの柔軟性が高められて実接地面積が増加し、また、サイプのエッジ成分により引っ掻き作用が生じて、氷雪路での走行性能が向上する。
ウインター用タイヤおよびオールシーズン用タイヤ、特に、氷雪路走行を目的とするスノータイヤ、スタッドレスタイヤなどのウインター用タイヤでは、複数のサイプがブロックに配置されてブロックのエッジ成分を増加させることにより、氷雪路でのタイヤ性能が高められている。具体的には、サイプによりブロックの柔軟性が高められて実接地面積が増加し、また、サイプのエッジ成分により引っ掻き作用が生じて、氷雪路での走行性能が向上する。
一方で、ブロックがサイプを有する構成では、ブロックの剛性が低下してブロックの倒れ込み量が大きくなる。このため、雪路での操縦安定性能や氷路での制動性能が低下し易いという課題がある。
そこで、この空気入りタイヤ1は、氷雪路でのタイヤ性能を高めるために、以下の構成を採用している。
図3および図4は、図2に記載したブロックの環状サイプを示す説明図である。図3は、トレッド部センター領域にある陸部31の単体のブロック5を示している。また、図4は、図3のブロック5をIV−IV線で切断した際の溝深さ方向の断面図を示している。
図2に示すように、この空気入りタイヤ1は、複数のブロック5にそれぞれ形成された複数の環状サイプ6を備える。環状サイプ6は、ブロック5に形成された切り込みであり、一般に1.0[mm]以下のサイプ幅を有する。また、環状サイプ6は、トレッド平面視にて、環状構造を有する。また、環状サイプ6は、ブロック5に独立して配置される。すなわち、環状サイプ6が、他のサイプおよび切り込みから分離した状態で配置される。したがって、環状サイプ6が、連続したブロック踏面により周囲を環状に囲まれる。
かかる構成では、複数の環状サイプ6により、ブロック5のエッジ成分が増加して引っ掻き作用が向上する。これにより、タイヤの氷上制動性能が向上する。また、各環状サイプ6が、他のサイプおよび切り込みから分離して配置されることにより、ブロック5が、網目状あるいはハニカム状に連続した踏面を有する。これにより、ブロック5の剛性が確保されて、タイヤの操縦安定性能が向上する。
また、本構成では、図2に示すように、トレッド部センター領域にある陸部31のブロック5が、周方向主溝21、22およびラグ溝41、42に区画されて、矩形状を有している。また、図3に示すように、トレッド平面視にて、環状サイプ6は略正六角形の平面形状を有し、複数の環状サイプ6が、所定の配置間隔Dを設けて各辺を相互に平行に対向させつつハニカム状に配列されている。これにより、ブロック5内における環状サイプ6の充填効率が高められている。
さらに、本構成では、ブロック5の中央部における環状サイプ6で囲まれたゴム部(部位)の容積が、ブロック5のエッジ部における環状サイプ6で囲まれたゴム部(部位)の容積よりも大きく形成されている。この構成によれば、剛性が低下しやすいブロック5のエッジ部においても、その剛性を保持したまま、環状サイプ6を配置することができるため、ブロックのエッジ部の剛性が増加して、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。
図3および図4に示すように、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積は、環状サイプ6の溝幅を含まずに該環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの接地面積(ブロック部の踏面における面積)と、環状サイプ6の各溝深さHA〜HCとで決定される値である。上記した環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの接地面積および環状サイプ6の各溝深さHA〜HCは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態としたときの接地面積および溝深さとして測定される。
ここで、規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
ブロック5に形成された複数の環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの接地面積は、図3に示すように、ブロック5の中央部からタイヤ周方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さく形成されている。すなわち、接地面積は、ゴム部8A、ゴム部8B、ゴム部8C、ゴム部8Dの順番で段階的に小さくなっている。また、環状サイプ6の溝深さHA〜HCは、図4に示すように、ブロック5の中央部からタイヤ周方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さく形成されている。すなわち、溝深さHA〜HCは、ゴム部8A、ゴム部8B、ゴム部8Cの順番で段階的に小さくなっている。なお、図4には、ゴム部8Dが記載されていないが、このゴム部8Dの溝深さ(図示省略)は、ゴム部8Cの溝深さHCよりも小さく形成されている。このため、タイヤ周方向の左右のエッジ部に近い環状サイプ6で囲まれたゴム部8C(8D)の容積は、より中央側にある環状サイプ6で囲まれたゴム部8A,8Bの容積よりも小さくなる。したがって、ブロック5の蹴り出し側および踏み込み側にある各エッジ部の剛性が高められている。これにより、ブロック5の雪柱剪断力が向上して、雪路におけるタイヤの制動性能および駆動性能が高められている。
同時に、ブロック5は、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの接地面積が、図3に示すように、ブロック5の中央部からタイヤ幅方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さく形成されている。また、図示は省略するが、ブロック5は、環状サイプ6の溝深さHA〜HCが、ブロック5の中央部からタイヤ幅方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さく形成されている。このため、タイヤ幅方向の左右のエッジ部に近いほど、環状サイプ6で囲まれたゴム部8Dの容積は小さくなる。したがって、ブロック5の周方向主溝21、22側にある各エッジ部の剛性が高められている。これにより、ブロック5の耐偏摩耗性能が高められている。
さらに、ブロック5は、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの接地面積が、図3に示すように、ブロック5の中央部からコーナー部(タイヤ周方向のエッジ部とタイヤ幅方向のエッジ部とが交わる部分)に向かって徐々に小さく形成されている。また、図示は省略するが、ブロック5は、環状サイプ6の溝深さHA〜HCが、ブロック5の中央部からコーナー部に向かって徐々に小さく形成されている。これにより、ブロック5のコーナー部の剛性が高まり、ブロック5の雪柱剪断力が向上して、雪路におけるタイヤの制動性能および駆動性能が高められている。
本構成では、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積が、ブロック5の中央部からエッジ部に向かって徐々に小さく形成される構成と一例として、ゴム部8A〜8Dの接地面積および環状サイプ6の各溝深さHA〜HCをそれぞれ中央部からエッジ部に向けて小さくする構成を示したが、例えば、環状サイプ6の各溝深さを一定として、ゴム部8A〜8Dの接地面積のみをブロック5の中央部からエッジ部に向かって徐々に小さくする構成としても良い。
環状サイプ6の配置間隔Dは、図3に示すように、隣り合う環状サイプ6、6の間のブロック踏面の幅であり、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態としたときの隣り合う環状サイプ6、6間の距離として測定される。環状サイプ6の配置間隔Dは、いずれも1.0[mm]≦D≦8.0[mm]の範囲にあることが好ましい。これにより、環状サイプ6の配置間隔Dが適正化される。環状サイプ6の配置間隔Dが1.0[mm]よりも小さい場合には、環状サイプ6、6間に形成された網目状あるいはハニカム状に連続した踏面が環状サイプ6の倒れ込みを支えきれない。また、環状サイプ6の配置間隔Dが8.0[mm]よりも大きい場合には、ブロック5に配置される環状サイプ6の数が減少することにより氷雪上性能が低下する。環状サイプ6の配置間隔Dを、1.0[mm]≦D≦8.0[mm]の範囲内とすることで、環状サイプ6の倒れ込みを抑えると共に、氷雪上性能が低下を防止できる。
また、図3において、環状サイプ6の最大外径Rが、3.0[mm]≦R≦10.0[mm]の範囲にあることが好ましい。これにより、環状サイプ6の最大外径Rが適正化される。環状サイプ6の最大外径Rが3.0[mm]よりも小さい場合には、ブロック5の剛性が低下してしまい、操縦安定性が得られない。また、10.0[mm]よりも大きくなると、ブロック5のエッジ成分が低下し、十分な氷雪上性能が得られない。環状サイプ6の最大外径Rを、3.0[mm]≦R≦10.0[mm]の範囲内にすることで、ブロック5の剛性を確保し、十分な操縦安定性と氷雪上性能とを得ることができる。環状サイプ6の最大外径Rは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態としたときの環状サイプ6の最大径として測定される。
なお、図2の構成では、環状サイプ6が、タイヤ幅方向に長尺な偏平形状である。このため、環状サイプ6のタイヤ周方向の外径Aと、タイヤ幅方向の外径Bとが、1.0<B/Aの関係を有している。また、環状サイプ6のタイヤ幅方向の外径Bが、最大外径Rとなっている。これにより、環状サイプ6によるタイヤ幅方向のエッジ成分が確保されている。
また、図3において、1つのブロック5における複数の環状サイプ6に囲まれるゴム部の総接地面積Saと、ブロック5の接地面積Stとが、0.30≦Sa/St≦0.70の関係を有することが好ましい。これにより、比Sa/Stが適正化される。複数の環状サイプ6に囲まれるゴム部の総接地面積Saと、ブロック5の接地面積Stとの比が、0.30(30%)より小さいと、十分なエッジ効果が得られず、0.70(70%)よりも大きいと、ブロック5の倒れ込みが生じ、操縦安定性が低下する。接地面積Sa、Stは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を付与したときのタイヤと平板との接触面にて測定される。
また、図3において、環状サイプ6とブロック5のエッジ部との距離Deが、2.0[mm]≦Deの範囲にあることが好ましい。これにより、ブロック5のエッジ部の剛性が適正に確保される。距離Deの上限は、特に限定がないが、比Sa/Stとの関係で制約を受ける。
距離Deは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。また、ブロック5がエッジ部に面取部を有する構成では、ブロック5の高さ方向の断面視にて、ブロック5の踏面の延長線と周方向主溝21、22あるいはラグ溝41、42の溝壁の延長線との交点を基準として、距離Deが測定される(図示省略)。
また、図4において、環状サイプ6の各溝深さHA〜HC(総じて溝深さHsとする)は、ブロック5が隣接するラグ溝41の溝深さHgの50[%]以上85[%]以下、すなわち、環状サイプ6の溝深さHsと、ブロック5を区画するラグ溝41の溝深さHgとが、0.5≦Hs/Hg≦0.85の関係を有することが好ましい。環状サイプ6の溝深さHs(HA〜HC)は、ブロック5の踏面から環状サイプ6の最大深さ位置までの距離として測定される。これにより、環状サイプ6の溝深さHsが適正化され、剛性が低下しやすいブロック5のエッジ部においても、その剛性を保持したまま、環状サイプ6を配置することができる。なお、図4では、ブロック5を区画する溝の一例としてラグ溝41を例示したが、他のラグ溝41及び周方向主溝21、22の各深さの50[%]以上85[%]以下の範囲となるように形成することが好ましい。
また、図2の構成では、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向の少なくとも一方に環状サイプ6を投影したときに、隣り合う環状サイプ6の投影図が相互に交差することが好ましい。すなわち、投影図では、隣り合う環状サイプ6が相互に交差することにより、環状サイプ6のエッジ成分が連続する。これにより、環状サイプ6の充填率を高め得る。
なお、図2の構成では、環状サイプ6が、環状部のみから成る平面形状(無端構造)を有することにより、終端部を有していない。かかる構成では、隣り合う環状サイプ6、6の間の剛性が確保され、また、サイプの終端部を起点としたクラックの発生を抑制できる点で好ましい。しかし、これに限らず、環状サイプ6が、環状部から突出して終端する終端部を有しても良い(図示省略)。
また、図2の構成では、上記したように、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積が、ブロック5の中央部から(a)タイヤ周方向の左右のエッジ部、(b)タイヤ幅方向の左右のエッジ部および(c)四方のコーナー部に向かって同時に小さくなっている。しかし、これに限らず、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積が、上記(a)〜(c)の少なくとも一方向に向かって小さくなっていれば良い。
[変形例]
次に、環状サイプ6の変形例について説明する。図5は、図3に記載した環状サイプの変形例を示す説明図である。図6は、図3のブロック5をIV−IV線で切断した際の溝深さ方向の断面図を示している。
次に、環状サイプ6の変形例について説明する。図5は、図3に記載した環状サイプの変形例を示す説明図である。図6は、図3のブロック5をIV−IV線で切断した際の溝深さ方向の断面図を示している。
図3に示す構成では、ブロック5は、該ブロック5に形成された六角形の環状サイプ6を複数有し、この環状サイプ6に囲まれたゴム部8A〜8Dは、ブロック5の中央部からエッジ部に向けて徐々に接地面積が小さくなるように形成されていた。これに対して、図5の構成では、ブロック5は、該ブロック5に形成された同一の大きさの六角形の環状サイプ6を複数有し、この環状サイプ6に囲まれたゴム部8A〜8Dは、同一の接地面積となっている。この構成では、図6に示すように、環状サイプ6の溝深さHA〜HCは、ブロック5の中央部からタイヤ周方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さく形成されている。これにより、環状サイプ6に囲まれたゴム部8A〜8Cは、ブロック5の中央部からエッジ部に向けて徐々に容積が小さくなっている。この変形例においても、タイヤ周方向の左右のエッジ部に近い環状サイプ6で囲まれたゴム部8C(8D)の容積は、より中心側にある環状サイプ6で囲まれたゴム部8A,8Bの容積よりも小さくなる。したがって、ブロック5の蹴り出し側および踏み込み側にある各エッジ部の剛性が高められている。これにより、ブロック5の雪柱剪断力が向上して、雪路におけるタイヤの制動性能および駆動性能が高められている。
この変形例では、図示は省略するが、ブロック5は、環状サイプ6の溝深さHA〜HCがブロック5の中央部からタイヤ幅方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さく形成されている。このため、ブロック5の周方向主溝21、22側にある各エッジ部の剛性が高められ、ブロック5の耐偏摩耗性能が高められている。さらに、ブロック5は、図示は省略するが、環状サイプ6の溝深さHA〜HCがブロック5の中央部からコーナー部に向かって徐々に小さく形成されている。これにより、ブロック5のコーナー部の剛性が高まり、ブロック5の雪柱剪断力が向上して、雪路におけるタイヤの制動性能および駆動性能が高められている。その他の構成については、上記したものと同一であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、図3に記載した環状サイプの変形例を示す説明図である。図3に示す構成では、ブロック5に六角形の環状サイプ6が形成され、この環状サイプ6に囲まれた領域には、サイプあるいはカーフが形成されていない。これに対して、図7の構成では、ブロック5は、環状サイプ6に囲まれたゴム部8A〜8Dに形成された補助サイプ7を有する。例えば、図7の構成では、補助サイプ7は、トレッド平面視にて、タイヤ幅方向に延在する直線形状を有し、環状サイプ6に接続(貫通)しないように形成されている。
これらの補助サイプ7は、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dのすべてに形成されているのではなく、図7に示すように、ブロック5のエッジ部から所定距離Df以上離れて配置された環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dに形成されている。この構成では、ブロック5のエッジ部から所定距離Dfよりも短いエリアに環状サイプ6の一部でも存在する場合には、該環状サイプ6で囲まれたゴム部に補助サイプ7は形成されない。所定距離Dfは、実験等によって求められ、本構成では、所定距離Dfが、4.0[mm]≦Dfの範囲とすることが好ましい。
この構成では、タイヤ幅方向に延在する補助サイプ7により、ブロック5のタイヤ幅方向のエッジ成分が増加して、タイヤの氷上制動性能が向上する点で好ましい。しかし、ブロック5のエッジ部から所定距離Df(4.0[mm])より小さいエリアに存在する環状サイプ6で囲まれたゴム部に補助サイプを設けると、ブロック剛性が低下してしまう。このため、ブロック5のエッジ部から所定距離Df以上離れて配置された環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dに補助サイプ7を設けることで、ブロック剛性を確保しつつ、氷雪上性能の向上を実現できる。
なお、本構成では、補助サイプ7がタイヤ幅方向に延在するものを説明したが、これに限らず、補助サイプ7が、タイヤ周方向に延在する直線形状を有しても良い(図示省略)。これにより、ブロック5のタイヤ周方向のエッジ成分が増加して、タイヤの旋回性能の向上を図ることができる。また、補助サイプ7は、直線形状のみならず、環形状を有しても良いし、点状の穴であっても良い(図示省略)。例えば、環状サイプ6の外径が小さいときに、環状サイプ6の中心に点状の補助サイプ7が配置されることで、タイヤ接地時にて、補助サイプ7が路面の水分を吸収することにより、タイヤの氷上制動性能が向上する。
図2の構成では、図3に示すように、環状サイプ6が、トレッド平面視にて六角形を有している。かかる構成では、隣り合う環状サイプ6の各辺を相互に平行にして、多数の環状サイプ6をハニカム状に配列できる。これにより、多数の環状サイプ6をブロック5内に効率的に充填できる。しかし、環状サイプ6の形状は、六角形に限るものではなく、多角形、円形あるいは楕円形の平面形状を有しても良い。例えば、図8の構成では、環状サイプ6が、タイヤ幅方向に長尺となる楕円形状を有し、相互に所定の配置間隔Dをあけて配列されている。
この構成でも、環状サイプ6で囲まれるゴム部8A〜8Dの容積は、ブロック5の中央部からエッジ部に向けて徐々に小さくなるよう形成され、図8では、ゴム部8A〜8Dの接地面積がブロック5の中央部からエッジ部に向けて徐々に小さくなるように形成されている。勿論、上述したように、環状サイプ6で囲まれるゴム部8A〜8Dを同一の大きさに形成し、環状サイプ6の溝深さを変更することで、該ゴム部8A〜8Dの容積を変更するようにしても良い。また、この構成に上記した補助サイプ7を設けても良い。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、トレッド面に複数のブロック5を備える(図2参照)。また、複数のブロック5は、環状構造を有すると共に独立して配置された複数の環状サイプ6が形成される(図3参照)。また、ブロック5の中央部における環状サイプ6で囲まれたゴム部(部位)の容積が、ブロック5のエッジ部における環状サイプ6で囲まれたゴム部(部位)の容積よりも大きく形成されている。
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、トレッド面に複数のブロック5を備える(図2参照)。また、複数のブロック5は、環状構造を有すると共に独立して配置された複数の環状サイプ6が形成される(図3参照)。また、ブロック5の中央部における環状サイプ6で囲まれたゴム部(部位)の容積が、ブロック5のエッジ部における環状サイプ6で囲まれたゴム部(部位)の容積よりも大きく形成されている。
かかる構成では、複数の環状サイプ6により、ブロック5のエッジ成分が増加して、タイヤの氷上制動性能が向上する利点がある。また、各環状サイプ6が、独立して配置されるので、ブロック5の剛性が確保されて、タイヤの操縦安定性能が向上する利点がある。また、剛性が低下しやすいブロック5のエッジ部においても、その剛性を保持したまま、環状サイプ6を配置することができるため、ブロック5のエッジ部の剛性が増加して、タイヤの雪上性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積が、ブロック5の中央部からタイヤ周方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さくなる(図3、図4)ため、ブロック5の中央部での環状サイプ6のエッジ成分を増加しつつ、ブロック5の蹴り出し側および踏み込み側にある各エッジ部の剛性を高め得る利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積が、ブロック5の中央部からタイヤ幅方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さくなる(図3、図4)ため、ブロック5の周方向主溝21、22側にある各エッジ部の剛性を高め得る利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの接地面積がブロック5の中央部からタイヤ周方向及びタイヤ幅方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さくなる(図3)ため、容積の異なる環状サイプ6をブロック5に容易に形成することができる。
また、この空気入りタイヤ1は、環状サイプ6の溝深さHA〜HCが、ブロック5の中央部からタイヤ周方向及びタイヤ幅方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さくなる(図4)ため、容積の異なる環状サイプ6をブロック5に容易に形成することができる。
また、この空気入りタイヤ1は、環状サイプ6の配置間隔Dが、1.0[mm]≦D≦8.0[mm]の範囲にある(図3参照)。これにより、環状サイプ6の配置間隔Dが適正化される利点がある。すなわち、1.0[mm]≦Dであることにより、環状サイプ6の配置間隔Dが確保されて、ブロック5の剛性が確保される。また、D≦8.0[mm]であることにより、環状サイプ6の配置数が適正に確保されて、ブロック5のエッジ成分が確保される。
また、この空気入りタイヤ1は、トレッド面における環状サイプ6の形状(踏面の形状)が六角形であると共に、複数の環状サイプ6がハニカム状に配列される(図3参照)。これにより、ブロック5内における環状サイプ6の充填効率を高め得る利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、環状サイプ6の最大外径R(図3参照)が、3.0[mm]≦R≦10.0[mm]の範囲にある。これにより、環状サイプ6の最大外径Rが適正化される利点がある。すなわち、3.0[mm]≦Rであることにより、環状サイプ6の大きさが確保されて、環状サイプ6によるブロック5のエッジ成分が確保される。また、R≦10.0[mm]であることにより、環状サイプ6が過大となることが防止されて、ブロック5の剛性低下による倒れ込みが抑制される。
また、この空気入りタイヤ1は、1つのブロック5における複数の環状サイプ6に囲まれる領域の総接地面積Saと、ブロック5の接地面積Stとが、0.30≦Sa/St≦0.70の関係を有する(図3参照)。これにより、比Sa/Stが適正化される利点がある。すなわち、0.30≦Sa/Stであることにより、環状サイプ6の長さが確保されて、環状サイプ6によるブロック5のエッジ成分が確保される。また、Sa/St≦0.70であることにより、環状サイプ6が過大となることが防止されて、ブロック5の剛性低下による倒れ込みが抑制される。
また、この空気入りタイヤ1は、環状サイプ6とブロック5のエッジ部との距離De(図3参照)が、2.0[mm]≦Deの範囲にある。これにより、ブロック5のエッジ部の剛性が適正に確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、環状サイプ6の溝深さHs(HA〜HC)は、ブロック5が隣接する周方向主溝21、22およびラグ溝41、42の溝深さHgの50[%]以上85[%]であるため、環状サイプ6の溝深さHsが適正化され、剛性が低下しやすいブロック5のエッジ部においても、その剛性を保持したまま、環状サイプ6を配置することができる。
また、この空気入りタイヤ1は、ブロック5のエッジ部から所定距離Df(4[mm])以上離れた箇所に配置された環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dに該環状サイプ6に接続しない補助サイプ7を有する(図7)ため、ブロック剛性を確保しつつ、氷雪上性能の向上を実現できる。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向の少なくとも一方に環状サイプ6を投影したときに、隣り合う環状サイプ6、6の投影図が相互に交差する。これにより、環状サイプ6の充填率を高め得る利点がある。
図9、図10は、従来例1、2の試験タイヤを示す説明図であり、図11は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この性能試験では、複数種類の試験タイヤについて、(1)雪上操縦安定性能および(2)氷上制動性能に関する評価が行われた。また、タイヤサイズ195/65R15X6Jの試験タイヤがJATMA規定の適用リムに組み付けられ、この試験タイヤに200[kPa]の空気圧およびJATMA規定の最大負荷が付与される。また、試験タイヤが、試験車両である排気量2000[cc]のFF(Front engine Front drive)車両の総輪に装着される。
(1)雪上操縦安定性能に関する評価は、試験車両が雪路試験場のスノー路面を走行し、専門のテストドライバーがレーンチェンジ性能やコーナリング性能などに関してフィーリング評価を行う。この評価は、従来例1を基準100とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
(2)氷上制動性能に関する評価は、試験車両が氷上路面を走行し、初速度40[km/h]からの制動距離が測定される。そして、測定結果に基づいて従来例1を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、その数値が大きいほど好ましい。
実施例1〜4の試験タイヤは、図1の構成を備え、また、複数のブロック5をトレッド面に備える(図2参照)。また、複数のブロック5が、環状構造を有する複数の環状サイプ6をそれぞれ備える。また、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの接地面積が、ブロック5の中央部からエッジ部に向かって徐々に小さくなっている。また、各ブロック5における環状サイプ6とブロック5のエッジ部との距離Deが、De=2[mm]である。また、最外周方向主溝22の溝深さHgが、Hg=8.7[mm]である。
[実施例1]
実施例1の試験タイヤは、環状サイプ6がタイヤ幅方向に長尺となる楕円形状を有し、タイヤ周方向の外径Aとタイヤ幅方向の外径Bとの比B/Aが4/3になっている。また、実施例1では、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの接地面積は、21.0[mm2]、17.2[mm2]、13.3[mm2]、9.5[mm2]にそれぞれ設定されている。また、環状サイプ6の溝深さHsは、6.0[mm]で一定である。このため、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積は、中央部からエッジ部に向けて、126[mm3]、103.2[mm3]、79.8[mm3]、57[mm3]と小さくなっている。また、環状サイプ6の充填率、すなわち、複数の環状サイプ6に囲まれる領域の総接地面積Saと、ブロック5の接地面積Stとの比Sa/Stは、0.6(60%)に設定されている。
実施例1の試験タイヤは、環状サイプ6がタイヤ幅方向に長尺となる楕円形状を有し、タイヤ周方向の外径Aとタイヤ幅方向の外径Bとの比B/Aが4/3になっている。また、実施例1では、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの接地面積は、21.0[mm2]、17.2[mm2]、13.3[mm2]、9.5[mm2]にそれぞれ設定されている。また、環状サイプ6の溝深さHsは、6.0[mm]で一定である。このため、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積は、中央部からエッジ部に向けて、126[mm3]、103.2[mm3]、79.8[mm3]、57[mm3]と小さくなっている。また、環状サイプ6の充填率、すなわち、複数の環状サイプ6に囲まれる領域の総接地面積Saと、ブロック5の接地面積Stとの比Sa/Stは、0.6(60%)に設定されている。
[実施例2]
実施例2の試験タイヤは、実施例1と比べて、環状サイプ6の溝深さが異なる。他の構成については、実施例1と同じである。すなわち、環状サイプ6の溝深さがブロック5の中央部からエッジ部に向けて徐々に浅くなっている。具体的には、ゴム部8Aを囲む環状サイプ6の溝深さはHAが7.3[mm]であり、以下、HBが6.4[mm]、HCが5.4[mm]、HD(存在する場合)が4.4[mm]である。このため、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積は、中央部からエッジ部に向けて、153.3[mm3]、110.1[mm3]、71.8[mm3]、41.8[mm3]と小さくなっている。
実施例2の試験タイヤは、実施例1と比べて、環状サイプ6の溝深さが異なる。他の構成については、実施例1と同じである。すなわち、環状サイプ6の溝深さがブロック5の中央部からエッジ部に向けて徐々に浅くなっている。具体的には、ゴム部8Aを囲む環状サイプ6の溝深さはHAが7.3[mm]であり、以下、HBが6.4[mm]、HCが5.4[mm]、HD(存在する場合)が4.4[mm]である。このため、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積は、中央部からエッジ部に向けて、153.3[mm3]、110.1[mm3]、71.8[mm3]、41.8[mm3]と小さくなっている。
[実施例3]
実施例3の試験タイヤは、実施例2のものに更に補助サイプ7を設けている。この補助サイプ7を設けるエリアを規定するブロック5のエッジ部から所定距離Dfは7[mm]である。また、補助サイプ7の溝深さは、相当する環状サイプ6の溝深さと同一に形成されている。
実施例3の試験タイヤは、実施例2のものに更に補助サイプ7を設けている。この補助サイプ7を設けるエリアを規定するブロック5のエッジ部から所定距離Dfは7[mm]である。また、補助サイプ7の溝深さは、相当する環状サイプ6の溝深さと同一に形成されている。
[実施例4]
実施例4の試験タイヤは、環状サイプ6が正六角形に形成され、最大外径Rがタイヤ幅方向に延在して配置されている。実施例4では、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの接地面積は、23.4[mm2]、17.6[mm2]、11.7[mm2]、5.8[mm2]にそれぞれ設定され、これらゴム部8A〜8Dを囲む環状サイプ6の溝深さは、HAが7.3[mm]であり、HBが6.4[mm]、HCが5.4[mm]、HD(存在する場合)が4.4[mm]である。このため、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積は、中央部からエッジ部に向けて、170.8[mm3]、112.6[mm3]、63.2[mm3]、25.5[mm3]と小さくなっている。また、環状サイプ6の充填率、すなわち、複数の環状サイプ6に囲まれる領域の総接地面積Saと、ブロック5の接地面積Stとの比Sa/Stは、0.6(60%)に設定されている。
実施例4の試験タイヤは、環状サイプ6が正六角形に形成され、最大外径Rがタイヤ幅方向に延在して配置されている。実施例4では、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの接地面積は、23.4[mm2]、17.6[mm2]、11.7[mm2]、5.8[mm2]にそれぞれ設定され、これらゴム部8A〜8Dを囲む環状サイプ6の溝深さは、HAが7.3[mm]であり、HBが6.4[mm]、HCが5.4[mm]、HD(存在する場合)が4.4[mm]である。このため、環状サイプ6で囲まれたゴム部8A〜8Dの容積は、中央部からエッジ部に向けて、170.8[mm3]、112.6[mm3]、63.2[mm3]、25.5[mm3]と小さくなっている。また、環状サイプ6の充填率、すなわち、複数の環状サイプ6に囲まれる領域の総接地面積Saと、ブロック5の接地面積Stとの比Sa/Stは、0.6(60%)に設定されている。
従来例1、2の試験タイヤは、図1および図2の構成において、図9、10に示すブロックおよび環状サイプをそれぞれ備える。これら従来例では、環状サイプ間の隙間はない。また、環状サイプで囲まれたゴム部の面積、及び、環状サイプの溝深さは一定であり、該ゴム部の容積も一定となっている。環状サイプの充填率、すなわち、複数の環状サイプに囲まれる領域の総接地面積Saと、ブロックの接地面積Stとの比Sa/Stは、0.7(70%)である。
試験結果に示すように、実施例1〜4の試験タイヤは、タイヤの氷雪性能が向上することが分かる。特に、実施例1、2に示すように、環状サイプで囲まれたゴム部8A〜8Dの接地面積だけでなく、環状サイプ6の溝深さも合わせて変化させることにより、雪上操縦安定性能が格段に向上する。また、実施例3に示すように、補助サイプ7を設けることにより、氷上制動性能が向上する。
1:空気入りタイヤ、11:ビードコア、12:ビードフィラー、13:カーカス層、14:ベルト層、141、142:交差ベルト、143:ベルトカバー、15:トレッドゴム、16:サイドウォールゴム、17:リムクッションゴム、21、22:周方向主溝、31、32:陸部、41、42:ラグ溝、5:ブロック、6:環状サイプ、7:補助サイプ、8A〜8D:ゴム部(部位)
Claims (12)
- トレッド面に複数のブロックを備える空気入りタイヤであって、
前記ブロックは、環状構造を有すると共に独立して配置された複数の環状サイプが形成され、前記ブロックの中央部における前記環状サイプで囲まれた部位の容積が、前記ブロックのエッジ部における前記環状サイプで囲まれた部位の容積よりも大きいことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記ブロックは、前記環状サイプで囲まれた部位の容積が、前記ブロックの中央部からタイヤ周方向またタイヤ幅方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さくなる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックは、前記環状サイプで囲まれた部位の接地面積が、前記ブロックの中央部からタイヤ周方向またタイヤ幅方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さくなる請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックは、前記環状サイプの溝深さが、前記ブロックの中央部からタイヤ周方向またタイヤ幅方向の左右のエッジ部に向かって徐々に小さくなる請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックは、前記環状サイプの配置間隔が、1.0[mm]≦D≦8.0[mm]の範囲にある請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記環状サイプは、溝深さが前記ブロックが隣接する主溝およびラグ溝の深さの50[%]以上85[%]以下である請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記環状サイプは、最大外径が、3.0[mm]≦R≦10.0[mm]である請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックは、前記ブロックの接地面積Stと、前記複数の環状サイプに囲まれる部位の総接地面積Saとが、0.30≦Sa/St≦0.70となる請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックは、前記環状サイプと前記ブロックのエッジ部との距離が、2.0[mm]≦Deである請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックは、前記エッジ部から所定距離以上離れた箇所に配置された環状サイプで囲まれた部位に該環状サイプに貫通しない補助サイプを有する請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記環状サイプは、前記トレッド面での形状が六角形である請求項1〜10のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックは、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向の少なくとも一方に前記環状サイプを投影したときに、隣り合う前記環状サイプの投影図が相互に交差する請求項1〜11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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EP4201710A1 (en) * | 2021-12-22 | 2023-06-28 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Tire |
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