JP2013091406A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タイヤのトレッドの踏面1に、複数本の横溝2により区画される陸部4を有し、該陸部の少なくとも一部に、タイヤ幅方向に複数個の、スパイクの打ち込みが可能な穴5を有するタイヤであって、穴の中心を通るトレッド周方向仮想線LLで、該穴が設けられた陸部の両端間で限られる線分の長さをLと表し、且つ、線分の中点から穴の中心Oまでの長さを、線分の中点から見てトレッド周方向一方側を正の方向、トレッド周方向他方側を負の方向として、Dと表したときに、タイヤ赤道からトレッド接地半幅の30%〜60%の範囲内に位置する穴の少なくとも一つのD/Lの値が、D/L>0を、タイヤ赤道からトレッド接地半幅の60%〜90%の範囲内に位置する穴の少なくとも一つのD/Lの値が、D/L<0を満たすことを特徴とする、タイヤ。
【選択図】図1
Description
図4に、従来のスパイクタイヤのトレッドの踏面の一部の展開図を示し、穴5’が設けられる位置を表す。穴52’(穴一般について、5’で表す。以下、この段落について同様とする。)を例として詳細に説明すると、穴52’は、その中心O2’を通るトレッド周方向仮想線LL’2と、この穴52’(5’)が打ち込まれている陸部42’(4’)の回転方向側の端との交点をF’2(F’)、同様に回転方向とは逆側の端との交点をK’2(K’)としたときに、穴52’(5’)の中心O’2(O’)と線分F’2K’2(F’K’)の中点M’2(M’)とが一致する位置に設けられる。
本発明のタイヤは、タイヤのトレッドの踏面に、タイヤ赤道を横切る向きに延びる複数本の横溝により区画される陸部を有し、該陸部の少なくとも一部に、タイヤ幅方向に分布を有する複数個の、スパイクの打ち込みが可能な穴を有するタイヤであって、前記穴の中心を通るトレッド周方向仮想線上で、該穴が設けられた陸部の両端間で限られる線分の長さをLと表し、且つ、前記線分の中点から前記穴の中心までの長さを、前記線分の中点から見てトレッド周方向一方側を正の方向、トレッド周方向他方側を負の方向として、Dと表したときに、タイヤ赤道からトレッド接地半幅の30%〜60%の範囲内に位置する前記穴の少なくとも一つのD/Lの値が、D/L>0を、タイヤ赤道からトレッド接地半幅の60%〜90%の範囲内に位置する前記穴の少なくとも一つのD/Lの値が、D/L<0を満たすことを特徴とする。
タイヤを上記構成とすることにより、該タイヤが有する穴にスパイクを打ち込んでスパイクタイヤとし、適切な回転方向で用いたときに、接地圧が高い、タイヤ赤道からトレッド接地半幅の30%〜60%の範囲内にある領域(以下、「センター領域」という。)において、スパイクが備えるピンの駆動方向の引っ掻き効果を高めることができる。また、径差による摩擦力が大きい、タイヤ赤道からトレッド接地半幅の60%〜90%の範囲内にある領域(以下、「ショルダー領域」という。)において、ピンの制動方向の引っ掻き効果を高めることができる。
なお、トレッドの踏面とは、タイヤを適用リムに装着し、所定空気圧とし、静止した状態で平板に対し垂直に置き、所定の荷重に対応する負荷を加えたときの平板との接触面を指す。因みに、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会) YEAR BOOK、欧州ではETRTO(European Tyreand Rim Technical Organisation) STANDARD MANUAL、米国ではTRA(THE TIRE and RIM ASSOCIATION INC.)YEAR BOOK等に規定されたリムを指し、「所定の荷重」とは、JATMA等の規格のタイヤ最大負荷を指し、「所定空気圧」とは、適用サイズのタイヤにおける所定の荷重に対応する空気圧(最高空気圧)を指す。
またなお、「タイヤ赤道を横切る向きに延びる」とは、厳密にタイヤ幅方向と平行な方向に延びるという限定的な意味ではなく、タイヤ幅方向成分を有する方向に延びることをいう。
更になお、タイヤの回転方向とは、正転方向を指す。
更になお、トレッド接地半幅とは、トレッド接地幅の半分の値を指す。ここで、トレッド接地幅とは、トレッドの踏面のタイヤ軸方向最大直線距離を指す。
更になお、トレッドの踏面における各種寸法(長さ)は、特に断りのない限り、トレッドの踏面に沿う寸法(長さ)を指すものとする。
上記構成とすれば、スパイクタイヤの制動性能及び駆動性能を、十分に且つ確実に向上させることができる。
上記構成とすれば、センター領域において、制動性能の低下を抑制する効果を得つつ、駆動性能を向上させる効果を更に高めることができる。また、ショルダー領域において、駆動性能の低下を抑制する効果を得つつ、制動性能を向上させる効果を更に高めることができる。
上記構成とすれば、スパイクタイヤの氷雪路面における駆動性能及び制動性能を共に向上させることができる。
図1に、本発明に従う空気入りタイヤのトレッドの踏面の一部を示す。本発明に従う空気入りタイヤは、両トレッド接地端TG間に位置するトレッドの踏面1に、タイヤ幅方向に延びる複数本(図1に示す部分では、2本)の横溝2を有し、この横溝2が陸部4を区画形成している。そして、陸部4はその少なくとも一部にスパイクの打ち込みが可能な穴5(以下、単に「穴」とも称する。)を有する。
なお、トレッド接地端とは、トレッドの踏面のタイヤ幅方向端を指す。
またなお、本発明に従う空気入りタイヤでは、陸部4の全てに穴を設ける必要はなく、図1に示すように、陸部4の少なくとも一部(図1では、陸部41、42、43、44、45、46)に穴5(図1では、穴51、52、53、54、55、56)が設けられていればよい。また、図1では、一つの陸部41、42、43、44、45、46にそれぞれ穴51、52、53、54、55、56が設けられているが、本発明の空気入りタイヤでは、一つの陸部に複数個のスパイクの打ち込みが可能な穴が設けられてもよい。
更になお、図1では、横溝2がトレッド接地端TG間に渡って設けられているが、本発明の空気入りタイヤでは、横溝2はトレッド接地端TG間を繋いでいなくてもよい。
また、−0.2>D/L及び/又はD/L>0.2とすると、打ち込まれたスパイクの周囲に生まれる非接地の踏面領域と、横溝の存在により非接地となる踏面領域とが近接して位置するようになるため、両非接地領域が一体化する可能性が高くなる。従って、接地面積の減少を招き、スパイクタイヤの氷雪路面における駆動性能や制動性能を低下させる虞が高まる。
この場合、センター領域Rcでは、タイヤ幅方向外側部分と比較して、タイヤ赤道側部分に位置する穴の方が、D/L>0を満たすD/Lの絶対値が大きく、また、ショルダー領域Rsでは、タイヤ赤道側部分と比較して、タイヤ幅方向外側部分に位置する穴の方が、D/L<0を満たすD/Lの絶対値が大きい。
また、ショルダー領域において、径差により生じる進行方向とは逆向きの摩擦力は、ショルダー領域の中でもタイヤ赤道側部分と比較して、タイヤ幅方向外側部分の方が大きい。
また、径差による摩擦力が大きいタイヤ幅方向外側部分に位置するスパイクのD/Lの値がより小さくなり、すなわち、この穴の位置がより回転方向とは逆側に位置するようになる。そのため、ショルダー領域において、駆動性能の低下を抑制する効果を得つつ、制動性能を向上させる効果を更に高めることができる。
本発明に従う空気入りタイヤは、ショルダー領域Rsにおいて、トレッドの踏面に設けられたスパイクの打ち込みが可能な穴の配設角度が、その穴のタイヤ幅方向の位置に従って、トレッド周方向に傾斜を有することが好ましい。
ここで、この穴54のトレッド踏面上の中心点O4におけるトレッドの踏面に法線V4を立てると、穴54の配設方向は、法線V4に対して他方側、すなわち回転方向とは反対側に傾斜することが好ましい。言い換えれば、ショルダー領域Rsでは、タイヤ回転軸に垂直な方向の断面において、穴5の配設方向と法線Vの方向とのなす角度のうち小さい方の角度を、一方側、すなわち回転方向側に向けた角度を正の角度としてαで表したときに、α<0°となることが好ましい。
なお、スパイクの打ち込みが可能な穴の配設方向とは、該穴のトレッド内部に位置する端から該穴の踏面への開口端に向かう方向を指すものとする。
−5°<α(<0°)とすれば、0°とする場合と比較して差異がないため、スパイクタイヤの氷雪路面における制動性能の向上という所望の効果を十分に得ることができない。また、α<−20°とすれば、スパイク配設角度が大き過ぎて、スパイクが脱落しやすくなる、すなわちスパイク抜け性が高まる。
ここで、この穴52のトレッド踏面上の中心点O2におけるトレッドの踏面に法線V2を立てると、穴52の配設方向は、法線V2に対して、一方側、すなわち回転方向側に傾斜することが好ましい。言い換えれば、センター領域Rcでは、タイヤ回転軸に垂直な方向の断面において、穴5の配設方向と法線Vの方向とのなす角度のうち小さい方の角度を、一方側、すなわち回転方向側に向けた角度を正の角度としてαで表したときに、α>0°となることが好ましい。
なお、先述のショルダー領域における場合と同様に、スパイクの打ち込みが可能な穴の配設方向とは、該穴のトレッド内部に位置する端から該穴の踏面への開口端に向かう方向を指すものとする。
(0°<)α<5°とすれば、0°とする場合と比較して差異がないため、スパイクタイヤの氷雪路面における制動性能の向上という所望の効果を十分に得ることができない。また、α>20°とすれば、スパイク配設角度が大き過ぎて、スパイクが脱落しやすくなる、すなわちスパイク抜け性が高まる。
ここで、トレッドの踏面に設けられたスパイクの打ち込みが可能な穴51、52、53、54のうち、穴54に着目すると、この穴54の穴の中心点O4における法線V4に対して、穴54の配設方向は、図3において、法線V4に対してタイヤ幅方向外側に傾斜することが好ましい。言い換えれば、トレッドの踏面では、タイヤ幅方向断面において、穴5の配設方向と法線Vの方向とのなす角度のうち小さい方の角度を、タイヤ幅方向外側に向けた角度を正の角度としてβで表したときに、β>0°となることが好ましい。
なお、先述と同様に、スパイクの打ち込みが可能な穴の配設方向とは、該穴のトレッド内部に位置する端から該穴の踏面への開口端に向かう方向を指すものとする。
また、車両の旋回時には、空気入りタイヤのもう片側、すなわち装着方向外側となる踏面領域に荷重負荷がかかるため、この領域において、接地面積が増大し、又は接地圧が高まる。このとき、この領域に位置するスパイク63、64の先端が、旋回時には、装着方向内側に向けた引っ掻き効果を生じさせる。そのため、スパイクタイヤの氷雪路面における旋回性能、すなわち操縦安定性能を向上させることができる。
(0°<)β<5°とすれば、0°とする場合と比較して差異がないため、スパイクタイヤの氷雪路面における旋回性能の向上という所望の効果を十分に得ることができない。また、β>20°とすれば、スパイク配設角度が大き過ぎて、スパイクが脱落しやすくなる、すなわちスパイク抜け性が高まる。
そして、このスパイクは、フランジからボディの一方の端面までがトレッド内部に埋設され、タイヤ表面からピンが突出するように、トレッドの踏面に形成した穴に打ち込まれる。また、ピンは、通常、スパイクの他方の端面から一方の端面に向けた方向に沿って、スパイクに圧入される。
表1に示す諸元のトレッドの踏面を有するタイヤを作製し、該タイヤを用いて、下記の走行性能評価を行った。
表1に示す諸元のトレッドの踏面を有するタイヤを作製し、該タイヤを用いて、実施例1と同様に下記の走行性能評価を行った。
タイヤ(195/65R15)にスパイクを打ち込んで、JATMA規格に定める適用リム(6.5×15インチ)に装着して、スパイクタイヤを作製した。そして、上記スパイクタイヤを、内圧230kPa、荷重0.4tの条件下、車両に装着し、以下(1)〜(4)に示す試験を行い、スパイクタイヤの走行性能を評価した。
氷路面のコース上において、テストドライバーが、車両を停止状態から急発進させた。そして、車両の速度が20km/時に到達するまでの所要時間を計測し、該所要時間からスパイクタイヤの氷上駆動性能を評価した。具体的には、従来例1の評価結果を100とした相対評価となる指数を算出した。指数が小さいほど氷路面における駆動性能が高いことを示す。
(2)制動性能試験
氷路面のコース上において、テストドライバーが、車両を初速度20km/時から急制動させた。そして、車両が静止状態になるまでの制動距離を測定し、該制動距離からスパイクタイヤの氷上制動性能を評価した。具体的には、従来例1の評価結果を100とした相対評価となる指数を算出した。指数が小さいほど氷路面における制動性能が高いことを示す。
(3)操縦安定性試験
氷路面のコース上において、テストドライバーが、様々な走行を行い、フィーリング評価を行った。複数のドライバーによるフィーリング評価の評点の平均値を算出することにより、スパイクタイヤの氷路面における操縦安定性を評価した。具体的には、従来例1の評価結果を100とした相対評価となる指数を算出した。指数が大きいほど氷路面における操縦安定性が高いことを示す。
(4)スパイク抜け性試験
氷雪路面主体のコース上において、テストドライバーが、車両を10,000km走行させた。そして、走行後に脱落したスパイクの本数を計測し、該脱落したスパイクの本数(A)の当初のスパイクの本数(B)に対する割合(A/B)を算出して、スパイクタイヤのスパイク抜け性を評価した。具体的には、従来例1の評価結果を100とした相対評価となる指数を算出した。指数が小さいほどスパイク抜け性が良好であることを示す。
表1に示す諸元のトレッドの踏面を有する空気入りタイヤを作製し、該空気入りタイヤを用いた以外は、実施例1と同様に上記の走行性能評価を行った。
2 横溝
3 周方向溝
4、41、42、43、44 陸部
5、51、52、53、54 スパイクの打ち込みが可能な穴(穴)
6、61、62、63、64 スパイク
CL タイヤ赤道
D、D1、D2、D3、D4 陸部中心から穴の中心までの距離
F、F1、F2、F3、F4 回転方向側の端
K、K1、K2、K3、K4 回転方向とは逆側の端
L、L1、L2、L3、L4 陸部のトレッド周方向長さ
LL、LL2 トレッド周方向仮想線
M、M1、M2、M3、M4 陸部のトレッド周方向中心
O、O1、O2、O3、O4 穴の中心
Rc センター領域
Rs ショルダー領域
TG トレッド接地端
TGw トレッド接地幅
TGv トレッド接地半幅
V、V1、V2、V3、V4 法線
w、w1、w2、w3、w4 穴のタイヤ赤道からのタイヤ幅方向距離
α、α1、α2、α3、α4 タイヤ回転軸に垂直な方向の断面における穴の配設角度
β、β1、β2、β3、β4 タイヤ幅方向断面における穴の配設角度
Claims (4)
- タイヤのトレッドの踏面に、タイヤ赤道を横切る向きに延びる複数本の横溝により区画される陸部を有し、該陸部の少なくとも一部に、タイヤ幅方向に分布を有する複数個の、スパイクの打ち込みが可能な穴を有するタイヤであって、
前記穴の中心を通るトレッド周方向仮想線上で、該穴が設けられた陸部の両端間で限られる線分の長さをLと表し、且つ、前記線分の中点から前記穴の中心までの長さを、前記線分の中点から見てトレッド周方向一方側を正の方向、トレッド周方向他方側を負の方向として、Dと表したときに、
タイヤ赤道からトレッド接地半幅の30%〜60%の範囲内に位置する前記穴の少なくとも一つのD/Lの値が、D/L>0を、タイヤ赤道からトレッド接地半幅の60%〜90%の範囲内に位置する前記穴の少なくとも一つのD/Lの値が、D/L<0を満たすことを特徴とする、タイヤ。 - タイヤ赤道からトレッド接地半幅の30%〜60%の範囲内に位置する前記穴のD/Lの値が、0.05≦D/L≦0.2を、タイヤ赤道からトレッド接地半幅の60%〜90%の範囲内に位置する前記穴のD/Lの値が、−0.2≦D/L≦−0.05を満たすことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
- タイヤ幅方向に隣接する前記穴間において、タイヤ赤道からのタイヤ幅方向距離が小さい位置にある前記穴のD/Lの値が、タイヤ幅方向距離が大きい位置にある前記穴のD/Lの値よりも大きいことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタイヤ。
- 請求項1〜3に記載のタイヤの前記穴にスパイクを打ち込んだ、スパイクタイヤ。
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