JP2019018798A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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智博 浅野
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Abstract

【課題】溝による石噛みを、より確実に抑制することのできる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】タイヤ周方向に延びる周方向溝20を1つ以上有する空気入りタイヤ1であって、周方向溝20は、互いに対向する2つの溝壁21に、溝壁21から突出する突起体30を複数備え、突起体30は、周方向溝20の延在方向に延びつつ周方向溝20の延在方向に対して周方向溝20の深さ方向に傾斜し、且つ、周方向溝20の溝底22側から開口部23側に向かうに従って溝壁21からの高さが低くなっており、複数の突起体30は、周方向溝20の延在方向に対する、周方向溝20の深さ方向への傾斜方向が全て同じ方向である。
【選択図】図6

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤには、主に排水性を確保するためにトレッド面に溝が形成されているが、車両の走行時には、この溝に石などが入り込み、溝が石を噛み込むことがある。溝が石を噛み込んだ場合、車両走行時における空気入りタイヤの転動により、石が溝の溝底に食い込んで溝底が損傷をする、いわゆるストンドリリングが発生する虞がある。特に、オンロードとオフロードを走行する車両に装着される重荷重用空気入りタイヤでは、オフロードの走行中に溝で噛み込んだ石がオンロードで溝底に食い込むことにより、ストンドリリングが発生し易くなる。このため、従来の空気入りタイヤの中には、溝での石噛みの抑制を図っているものがある。例えば、特許文献1では、溝壁に複数の突起を鋸歯状に設けることにより、石が溝底まで入り込むことを抑制している。
特開2002−225510号公報
しかしながら、溝の溝壁に複数の突起を鋸歯状に設けた場合、溝に入り込んだ石が溝底まで向かうことを抑制することについては、ある程度効果があるが、溝に噛み込まれた石を積極的に排出して石噛みを解消することに対しては不十分であり、改善の余地があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、溝による石噛みを、より確実に抑制することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる周方向溝を1つ以上有する空気入りタイヤであって、前記周方向溝は、互いに対向する2つの溝壁に、前記溝壁から突出する突起体を複数備え、前記突起体は、前記周方向溝の延在方向に延びつつ前記周方向溝の延在方向に対して前記周方向溝の深さ方向に傾斜し、且つ、前記周方向溝の溝底側から開口部側に向かうに従って前記溝壁からの高さが低くなっており、複数の前記突起体は、前記周方向溝の延在方向に対する、前記周方向溝の深さ方向への傾斜方向が全て同じ方向であることを特徴とする。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記空気入りタイヤは回転方向が指定されており、複数の前記突起体は、タイヤ回転方向における前側からタイヤ回転方向における後ろ側に向かうに従って、前記周方向溝の溝底側から開口部側に向かう方向に、前記周方向溝の延在方向に対して傾斜することが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記突起体は、対向する2つの前記溝壁のうちの少なくとも一方の前記溝壁に、タイヤ周方向における位置が同じ位置で、且つ、前記周方向溝の深さ方向の位置が異なる位置に複数が設けられることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記突起体は、前記周方向溝の延在方向において隣り合う前記突起体同士の、前記溝底側の端部の位置での間隔Pと、前記周方向溝の前記開口部の位置での溝幅Wとの関係が、1.5≦(P/W)≦3.5の範囲内であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記突起体は、前記溝壁からの高さHと、前記周方向溝の前記開口部の位置での溝幅Wとの関係が、1/10≦(H/W)≦1/3の範囲内であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記突起体は、前記開口部の開口端縁の延在方向に対して、15°以上45°以下の範囲内で傾斜することが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記突起体は、前記開口部側に位置する上面と、前記溝底側に位置する下面とを有し、前記溝壁に対する前記上面の角度αと、前記溝壁に対する前記下面の角度βとの関係が、1<(α/β)≦2の範囲内であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記突起体は、前記溝壁から最も突出する先端部に、曲面で形成される面取りが施されることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記周方向溝の前記溝底には、前記溝底から突出する溝底突起が形成されることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記突起体は、タイヤ幅方向におけるトレッド展開幅の中心位置から、タイヤ幅方向における両側に前記トレッド展開幅の1/4の範囲内に配置される前記周方向溝に備えられることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記周方向溝は複数が設けられ、前記突起体は、複数の前記周方向溝のうちの全ての前記周方向溝に備えられることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記突起体は、ゴム硬さが60以上75以下の範囲内であることが好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤは、溝による石噛みを、より確実に抑制することができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤの要部を示す子午断面図である。 図2は、図1のA−A矢視図である。 図3は、図2のB−B断面図である。 図4は、図3のC−C矢視図である。 図5は、図3のD−D矢視図である。 図6は、図3に示す周方向溝の斜視図である。 図7は、図3に示す突起体の詳細図である。 図8は、周方向溝に石が入り込む状態を示す模式図である。 図9は、石が入り込んだ状態の周方向溝の断面図である。 図10は、図9のE−E断面図である。 図11は、石が入り込んだ周方向溝の斜視図である。 図12は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、突起体の上面の角度αが下面の角度βに対して大幅に大きい場合の説明図である。 図13は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、突起体の先端部に面取りが形成される場合の説明図である。 図14は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、溝底に溝底突起が設けられる場合の説明図である。 図15は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、突起体が所定の周方向溝のみに設けられる場合の説明図である。 図16は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、突起体が四角形の形状で形成される場合の説明図である。 図17は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、突起体の形状が、先端が曲面状の形状で形成される場合の説明図である。 図18は、実施形態に係る空気入りタイヤの変形例であり、突起体が多角形の形状で形成される場合の説明図である。 図19Aは、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。 図19Bは、空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に向かう方向、タイヤ幅方向外側とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に向かう方向の反対方向をいう。また、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸に向かう方向、タイヤ径方向外側とは、タイヤ径方向においてタイヤ回転軸から離れる方向をいう。また、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心として回転する方向をいう。
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の要部を示す子午断面図である。図1に示す空気入りタイヤ1は、子午断面図で見た場合、タイヤ径方向の最も外側となる部分にトレッド部2が配設されており、トレッド部2の表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、トレッド面3として形成されている。トレッド面3には、タイヤ周方向に延びる周方向溝20が複数形成されており、周方向溝20に交差するラグ溝(図示省略)が複数形成されている。トレッド面3には、これらの複数の周方向溝20やラグ溝によって複数の陸部10が画成されている。
タイヤ幅方向におけるトレッド部2の両端は、ショルダー部4として形成されており、ショルダー部4から、タイヤ径方向内側の所定の位置までは、サイドウォール部5が配設されている。つまり、サイドウォール部5は、タイヤ幅方向における空気入りタイヤ1の両側2箇所に配設されている。
さらに、それぞれのサイドウォール部5のタイヤ径方向内側には、ビード部50が位置しており、ビード部50は、サイドウォール部5と同様に、タイヤ赤道面CLの両側2箇所に配設されている。即ち、ビード部50は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に一対が配設されている。一対のビード部50のそれぞれにはビードコア51が設けられており、それぞれのビードコア51のタイヤ径方向外側にはビードフィラー55が設けられている。ビードコア51は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー55は、後述するカーカス6のタイヤ幅方向端部がビードコア51の位置でタイヤ幅方向外側に折り返されることにより形成された空間に配置されるゴム材である。
トレッド部2のタイヤ径方向内側には、ベルト層7が設けられている。ベルト層7は、例えば、4層のベルト71,72,73,74を積層した多層構造をなし、スチール、またはポリエステルやレーヨンやナイロン等の有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成される。また、ベルト71,72,73,74は、ベルトコードが延在する方向の、タイヤ周方向に対する傾斜角として定義されるベルト角度が互いに異なっており、ベルトコードの延在方向を相互に交差させて積層される、いわゆるクロスプライ構造として構成される。
このベルト層7のタイヤ径方向内側、及びサイドウォール部5のタイヤ赤道面CL側には、ラジアルプライのコードを内包するカーカス6が連続して設けられている。このカーカス6は、1枚のカーカスプライから成る単層構造、或いは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、タイヤ幅方向の両側に配設されるビードコア51間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。詳しくは、カーカス6は、タイヤ幅方向における両側に位置する一対のビード部50のうち、一方のビード部50から他方のビード部50にかけて配設されており、ビードコア51及びビードフィラー55を包み込むようにビード部50でビードコア51に沿ってタイヤ幅方向外側に巻き返されている。このように配設されるカーカス6のカーカスプライは、スチール材から成るカーカスコードであるスチールコードが用いられ、複数のスチールコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成されている。即ち、カーカス6は、スチールカーカス材を使用して構成されている。
また、カーカス6の内側、或いは、当該カーカス6の、空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ8がカーカス6に沿って形成されている。
図2は、図1のA−A矢視図である。トレッド面3に形成される周方向溝20は、タイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に2本ずつが配設され、合計で4本が設けられている。また、ラグ溝は、隣り合う周方向溝20同士の間や、タイヤ幅方向における最外側の2本の周方向溝20の外側に配設され、複数がこれらの位置でタイヤ周方向に並んで設けられる。
なお、この場合における周方向溝20は、内部にスリップサインであるトレッドウェアインジケータ表示義務を有する、いわゆる周方向主溝のみでなく、トレッドウェアインジケータ表示義務を有さずに、タイヤ周方向に延びる溝も含まれる。また、図1、図2では、便宜上ラグ溝の図示は省略している。
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、車両装着時での回転方向が指定された空気入りタイヤ1になっている。この場合に指定される回転方向は、空気入りタイヤ1が装着される車両が前進する際において空気入りタイヤ1が回転する方向である。以下の説明では、タイヤ回転方向における前側とは、空気入りタイヤ1を指定方向に回転させた際における回転方向側であり、空気入りタイヤ1を車両に装着して指定方向に回転させて走行する場合において、先に路面に接地したり先に路面から離れたりする側である。また、タイヤ回転方向における後ろ側とは、空気入りタイヤ1を指定方向に回転させた際における回転方向の反対側であり、空気入りタイヤ1を車両に装着して指定方向に回転させて走行する場合において、後から路面に接地したり後から路面から離れたりする側である。
図3は、図2のB−B断面図である。図4は、図3のC−C矢視図である。図5は、図3のD−D矢視図である。周方向溝20は、互いに対向する2つの溝壁21と、溝底22とを有しており、互いに対向する2つの溝壁21のそれぞれに、溝壁21から突出する突起体30を複数備えている。突起体30は、周方向溝20の延在方向に延びつつ、周方向溝20の延在方向に対して周方向溝20の深さ方向に傾斜している。また、突起体30は、周方向溝20の溝底22側から開口部23側に向かうに従って、溝壁21からの高さが低くなって形成されている。即ち、突起体30は、溝壁21から先端部35までの距離である突起体30の高さHが、突起体30における周方向溝20の溝底22側の端部31から、周方向溝20の開口部23側の端部32に向かうに従って低くなっている。この場合における突起体30の先端部35は、周方向溝20の延在方向におけるそれぞれの位置での、突起体30における溝壁21から最も離間して最も突出している部分になっている。このように変化する突起体30の高さHは、周方向溝20の開口部23の位置での溝幅Wとの関係が、1/10≦(H/W)≦1/3の範囲内であるのが好ましい。
また、周方向溝20の溝壁21に形成される複数の突起体30は、周方向溝20の延在方向に対する、周方向溝20の深さ方向への傾斜方向が、全て同じ方向になっている。さらに、周方向溝20の延在方向に対する、周方向溝20の深さ方向への突起体30の傾斜方向は、互いに対向する2つの溝壁21に設けられる突起体30同士でも同じ方向になっている。具体的には、周方向溝20の延在方向に対する、周方向溝20の深さ方向への突起体30の傾斜方向は、タイヤ回転方向における前側からタイヤ回転方向における後ろ側に向かうに従って、周方向溝20の溝底22側から開口部23側に向かう方向に、周方向溝20の延在方向に対して傾斜している。
このように傾斜する突起体30の傾斜角度θは、開口部23の開口端縁24、つまり、周方向溝20における溝壁21とトレッド面3との境界である開口端縁24の延在方向に対して、15°以上45°以下の範囲内になっている。なお、この場合における突起体30の傾斜角度θは、突起体30における開口部23側の付け根の部分と開口端縁24との相対角度、つまり、突起体30における開口部23側の位置での溝壁21との境界線と、開口端縁24との相対角度になっている。2つの溝壁21に設けられる複数の突起体30は、開口端縁24に対する傾斜角度θ同士が、±5°の範囲内であるのが好ましく、即ち、複数の突起体30は、略平行に設けられるのが好ましい。
また、突起体30は、タイヤ周方向における位置が同じ位置で、且つ、周方向溝20の深さ方向の位置が異なる位置に、複数が設けられている。換言すると、1つの溝壁21に設けられる複数の突起体30は、少なくとも周方向溝20の延在方向において隣り合う突起体30同士で、突起体30の長さ方向における一部が周方向溝20の深さ方向にオーバーラップして配設されている。
オーバーラップして配設される複数の突起体30は、各突起体30の高さHが、周方向溝20の溝底22側から開口部23側に向かって低くなるのに伴い、タイヤ周方向における位置が同じ位置となる突起体30同士で高さHが異なっている。即ち、タイヤ周方向における位置が同じ位置となる複数の突起体30は、相対的に開口部23側に位置する突起体30よりも、溝底22側に位置する突起体30の方が高さHが高くなっている。このように、タイヤ周方向における位置が同じ位置となり、周方向溝20の深さ方向に隣り合う突起体30同士では、相対的に溝底22側に位置する突起体30の高さHが、開口部23側に位置する突起体30の高さHの1.2倍以上1.6倍以下の範囲内であるのが好ましい。
また、タイヤ周方向における位置が同じ位置で、周方向溝20の深さ方向の位置が異なる位置に突起体30が設けられる数は、2本以上6本以下であるのが好ましい。
図6は、図3に示す周方向溝20の斜視図である。突起体30は、周方向溝20の延在方向において隣り合う突起体30同士の間隔Pと、周方向溝20の溝幅Wとの関係が、1.5≦(P/W)≦3.5の範囲内になっている。詳しくは、突起体30は、周方向溝20の延在方向において隣り合う突起体30同士の、溝底22側の端部31の位置での間隔Pと、周方向溝20の開口部23の位置での溝幅Wとの関係が、1.5≦(P/W)≦3.5の範囲内になっている。
なお、周方向溝20の延在方向において隣り合う突起体30同士の間隔Pと、周方向溝20の開口部23の位置での溝幅Wとの関係は、2.0≦(P/W)≦3.0の範囲内であるのが好ましい。また、周方向溝20の延在方向において隣り合う突起体30同士の間隔Pは、周方向溝20の溝幅Wに対する大きさがこれらの範囲内であれば、複数の突起体30の間隔P同士が全て一致していなくてもよい。
図7は、図3に示す突起体30の詳細図である。周方向溝20の溝壁21に設けられる複数の突起体30は、それぞれ開口部23側に位置する上面33と、溝底22側に位置する下面34とを有している。突起体30の上面33と下面34は、それぞれの溝壁21側の反対側の端部同士が接続されることにより突起体30の先端部35を形成しており、溝壁21側の端部同士は周方向溝20の深さ方向に互いに離間している。つまり、複数の突起体30は、空気入りタイヤ1の子午断面における形状が略三角形の形状で形成されている。
上面33と下面34とを有する突起体30は、溝壁21に対する上面33の角度αと、溝壁21に対する下面34の角度βとの関係が、1<(α/β)≦2の範囲内になっている。この場合における溝壁21に対する上面33の角度αは、溝壁21におけるトレッドゴムの内面側の面と上面33との相対的な角度になっている。同様に、溝壁21に対する下面34の角度βは、溝壁21におけるトレッドゴムの内面側の面と下面34との相対的な角度になっている。本実施形態では、突起体30の上面33の角度αと下面34の角度βとは、共に約60°になっており、僅かに上面33の角度αの方が大きくなっている。
トレッド面3には、複数の周方向溝20が設けられるが、本実施形態では、突起体30は、複数の周方向溝20のうちの全ての周方向溝20に、上述した形態で備えられている。また、突起体30は、ゴム硬さが60以上75以下の範囲内になっている。なお、この場合におけるゴム硬さは、JIS−K6253に準拠したJIS−A硬度として測定される。また、突起体30のゴム硬さは、トレッド部2を構成するトレッドゴムのゴム硬さと同じ硬さでもよく、トレッドゴムのゴム硬さとは異なっていてもよい。また、突起体30のゴム硬さは、65以上75以下の範囲内であるのが好ましい。
これらのように構成される本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、用途が重荷重用空気入りタイヤになっている。この空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、リムホイールにリム組みしてインフレートした状態で車両に装着する。リムホイールにリム組みした状態の空気入りタイヤ1は、例えばトラックやバス等の大型の車両に装着して使用される。
空気入りタイヤ1を装着した車両が走行すると、トレッド面3のうち下方に位置するトレッド面3が路面に接触しながら当該空気入りタイヤ1は回転する。空気入りタイヤ1を装着した車両で乾燥した路面を走行する場合には、主にトレッド面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。また、濡れた路面を走行する際には、トレッド面3と路面との間の水が周方向溝20やラグ溝等の溝に入り込み、これらの溝でトレッド面3と路面との間の水を排出しながら走行する。これにより、トレッド面3は路面に接地し易くなり、トレッド面3と路面との間の摩擦力により、車両は走行することが可能になる。
図8は、周方向溝20に石60が入り込む状態を示す模式図である。車両が走行する路面65には、石60が落ちていることがあり、車両の走行時には、このような路面65上の石60が、トレッド面3の溝に入り込むことがある。特に、車両によっては、アスファルト等によって舗装されずに多くの石が散在する、いわゆるオフロードを走行するものもあり、オフロード走行時には、より石60が溝に入り易くなる。また、トレッド面3に形成される溝のうち、周方向溝20は、空気入りタイヤ1の回転時に路面65に対して開口し続けるため、路面65上の石60が入り込み易くなっている。このため、空気入りタイヤ1が回転をすることにより、路面65上の石60の位置と、周方向溝20の位置とが重なった場合には、この石60は周方向溝20に入り込む。
図9は、石60が入り込んだ状態の周方向溝20の断面図である。図10は、図9のE−E断面図である。図11は、石60が入り込んだ周方向溝20の斜視図である。周方向溝20には、溝壁21から突出する突起体30が複数設けられているため、周方向溝20に石60が入り込んだ場合、石60は突起体30に接触する。車両の走行時は、空気入りタイヤ1は回転をするため、周方向溝20に入り込んだ石60は、空気入りタイヤ1が回転することにより、周方向溝20に沿って周方向溝20内を移動する。具体的には、周方向溝20内の石60は、空気入りタイヤ1の回転時は、周方向溝20に入り込んだまま空気入りタイヤ1と共に回転をするが、空気入りタイヤ1の回転によって石60が路面65側に位置した場合には、石60は路面65に接触する。路面65に接触した石60は、路面65との摩擦力により、周方向溝20内を、空気入りタイヤ1の回転方向の反対方向に移動する。つまり、路面65に接触した石60には、路面65との摩擦力により、回転する空気入りタイヤ1に対して、回転を止めようとする力が作用するため、この力により、石60は周方向溝20内を移動する。
周方向溝20内を移動する石60は、溝壁21から突出する突起体30に接触しながら移動するが、突起体30は、周方向溝20の延在方向に延びつつ周方向溝20の延在方向に対して周方向溝20の深さ方向に傾斜している。また、複数の突起体30は、周方向溝20の延在方向に対する傾斜方向が、全て同じ方向になっている。このため、周方向溝20内を移動する石60は、突起体30に沿って突起体30の延在方向に移動する。さらに、突起体30は、周方向溝20の溝底22側から開口部23側に向かうに従って溝壁21からの高さHが低くなっているため、周方向溝20内を移動する石60に対して突起体30から作用する圧力は、溝底22寄りの位置での圧力よりも、開口部23寄りの位置での圧力の方が小さくなっている。
これにより、周方向溝20を移動する石60は、突起体30に沿って、突起体30からの圧力が小さい開口部23の方向に移動する。突起体30に沿って周方向溝20内を移動し、開口部23の位置まで移動した石60は、開口部23から排出される。従って、周方向溝20に入り込んだ石60が、周方向溝20の溝底22に近付くことを抑制すると共に、周方向溝20に入り込んだ石60を周方向溝20の外に排出することができるため、石60が溝底22に食い込み、溝底22が損傷することを抑制することができる。この結果、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
また、複数の突起体30は、タイヤ回転方向における前側から後ろ側に向かうに従って、周方向溝20の溝底22側から開口部23側に向かう方向に傾斜しているため、周方向溝20内に入り込んだ石60を、突起体30によってより確実に溝底22側から開口部23側に移動させることができる。これにより、周方向溝20内に入り込んだ石60を、より確実に開口部23から排出することができる。この結果、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
また、突起体30は、タイヤ周方向における位置が同じ位置で、且つ、周方向溝20の深さ方向の位置が異なる位置に複数が設けられるため、周方向溝20内に入り込んだ石60に対して、複数の突起体30を接触させることができる。これにより、周方向溝20内に入り込んだ石60を、複数の突起体30により突起体30に沿わせて移動させることができ、より確実に溝底22側から開口部23側に移動させて開口部23から排出することができる。この結果、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
また、突起体30は、周方向溝20の延在方向において隣り合う突起体30同士の間隔Pと、周方向溝20の溝幅Wとの関係が1.5≦(P/W)≦3.5の範囲内であるため、周方向溝20に入り込んだ石60に対して突起体30を適度な圧力で接触させることができ、突起体30によってより確実に石60を排出することができる。つまり、隣り合う突起体30同士の間隔Pと周方向溝20の溝幅Wとの関係が(P/W)<1.5である場合は、突起体30同士の間隔Pが狭過ぎるため、石60が突起体30同士の間に入り込んだ際に、突起体30から石60への圧力が大きくなり過ぎ、石60が移動し難くなる虞がある。また、隣り合う突起体30同士の間隔Pと周方向溝20の溝幅Wとの関係が(P/W)>3.5である場合は、突起体30同士の間隔Pが広過ぎるため、石60が突起体30に接触し難くなり、突起体30によって石60を移動させる作用が低くなる虞がある。
これに対し、隣り合う突起体30同士の間隔Pと周方向溝20の溝幅Wとの関係が、1.5≦(P/W)≦3.5の範囲内である場合は、周方向溝20に入り込んだ石60に対して突起体30を適度な圧力で接触させることができる。これにより、周方向溝20に入り込んだ石60を、より確実に突起体30に沿わせて溝底22側から開口部23側に向けて移動させることができ、開口部23からより確実に排出することができる。この結果、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
また、突起体30は、溝壁21からの高さHと、周方向溝20の開口部23の位置での溝幅Wとの関係が、1/10≦(H/W)≦1/3の範囲内であるため、周方向溝20に入り込んだ石60に対して突起体30を適度な圧力で接触させることができ、突起体30によってより確実に石60を排出することができる。つまり、突起体30の高さHと周方向溝20の溝幅Wとの関係が、(H/W)<1/10である場合は、突起体30の高さHが低過ぎるため、石60が突起体30に接触し難くなり、突起体30によって石60を移動させる作用が低くなる虞がある。また、突起体30の高さHと周方向溝20の溝幅Wとの関係が、(H/W)>1/3である場合は、突起体30の高さHが高過ぎるため、突起体30から、周方向溝20に入り込んだ石60に対して作用する圧力が大きくなり過ぎ、石60が移動し難くなる虞がある。
これに対し、突起体30の高さHと周方向溝20の溝幅Wとの関係が、1/10≦(H/W)≦1/3の範囲内である場合は、周方向溝20に入り込んだ石60に対して突起体30を適度な圧力で接触させることができる。これにより、周方向溝20に入り込んだ石60を、より確実に突起体30に沿わせて溝底22側から開口部23側に向けて移動させることができ、開口部23からより確実に排出することができる。この結果、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
また、突起体30は、開口部23の開口端縁24の延在方向に対して、15°以上45°以下の範囲内で傾斜しているため、石60を突起体30に沿って適切に移動させることができ、より確実に石60を開口部23から排出することができる。つまり、開口端縁24の延在方向に対する突起体30の傾斜角度θが15°未満である場合は、傾斜角度θが小さ過ぎるため、石60が突起体30に沿って移動した際に、周方向溝20の深さ方向に移動し難くなる虞があり、石60を排出し難くなる虞がある。また、開口端縁24の延在方向に対する突起体30の傾斜角度θが45°を超える場合は、傾斜角度θが大き過ぎるため、石60が周方向溝20を移動する際に突起体30が抵抗になってしまい、石60が移動し難くなる虞がある。この場合も、石60を排出し難くなる虞がある。
これに対し、開口端縁24の延在方向に対する突起体30の傾斜角度θが、15°以上45°以下の範囲内である場合は、石60を突起体30に沿って適切に移動させることができ、より確実に石60を開口部23から排出することができる。この結果、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
また、溝壁21に対する突起体30の上面33の角度αと、溝壁21に対する突起体30の下面34の角度βとの関係が、1<(α/β)≦2の範囲内であるため、周方向溝20に入り込んだ石60が溝底22の方向に移動することを、より確実に抑制することができる。つまり、上面33の角度αと下面34の角度βとの関係が、(α/β)≦1である場合は、溝壁21に対する上面33の角度αが小さ過ぎるため、上面33の傾斜角度が、溝壁21から離れるに従って溝底22に近付く方向に傾き過ぎる虞がある。この場合、周方向溝20に入り込んで突起体30に接触した石60が、容易に溝底22に向かい易くなる虞がある。また、上面33の角度αと下面34の角度βとの関係が、(α/β)>2である場合は、溝壁21に対する上面33の角度αが大き過ぎるため、上面33の傾斜角度が、溝壁21から離れるに従って開口部23に近付く方向に傾き過ぎる虞がある。この場合、周方向溝20の深さ方向における突起体30の厚さが薄くなり過ぎて突起体30の剛性が低下し、突起体30に接触した石60を突起体30で保持し、石60が溝底22の方向に移動することを抑制し難くなる虞がある。
これに対し、突起体30の上面33の角度αと下面34の角度βとの関係が、1<(α/β)≦2の範囲内である場合は、上面33の傾斜角度が、溝壁21から離れるに従って溝底22に近付く方向に傾き過ぎることを抑制すると共に、突起体30の剛性を確保することができる。これにより、周方向溝20に入り込んだ石60が溝底22の方向に移動することを、より確実に抑制することができる。この結果、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
また、突起体30は、複数の周方向溝20のうちの全ての周方向溝20に備えられるため、いずれの周方向溝20に石60が入り込んだ場合でも、入り込んだ石60を排出することができる。この結果、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
また、突起体30は、ゴム硬さが60以上75以下の範囲内であるため、突起体30の剛性を、より確実に適切な大きさにすることができる。つまり、突起体30のゴム硬さが60未満の場合、突起体30の剛性を確保するのが困難になり、周方向溝20に入り込んだ石60によって突起体30が押し潰されて石60を排出し難くなる虞がある。また、突起体30のゴム硬さが75を超える場合、突起体30の剛性が高過ぎるため、周方向溝20に入り込んだ石60を突起体30が噛み込んだ際に、石60が移動し難くなり、石60を排出し難くなる虞がある。これに対し、突起体30のゴム硬さが60以上75以下の範囲内である場合は、周方向溝20に入り込んだ石60に対して、周方向溝20の開口部23の方向に移動させる力を、より確実に付与することができる。この結果、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
〔変形例〕
なお、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、突起体30の上面33の角度αと下面34の角度βとが同程度になっているが、上面33の角度αと下面34の角度βとは大幅に異なっていてもよい。図12は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、突起体30の上面33の角度αが下面34の角度βに対して大幅に大きい場合の説明図である。突起体30の上面33の角度αが下面34の角度βに対して大幅に大きい場合、上面33の傾斜角度を、溝壁21から離れるに従って開口部23に近付く方向に傾く方向に近付け易くなる。例えば、図12に示す例では、突起体30の上面33の角度αは約90°であり、下面34の角度βは約45°であるが、周方向溝20は、開口部23側から溝底22側に向かうに従って溝幅が小さくなる方向に溝壁21が傾斜している。このため、上面33の角度αを約90°にし、下面34の角度βを約45°にすることにより、突起体30の上面33を、溝壁21から離れるに従って開口部23に近付けることができる。これにより、より確実に、突起体30に入り込んだ石60が溝底22の方向に移動することを抑制することができ、石60を開口部23の方向に移動させ易くすることができる。この結果、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。このように、突起体30の上面33の角度αと下面34の角度βとは、1<(α/β)≦2の範囲内であれば、上述した実施形態での角度以外でもよい。
また、突起体30は、先端部35に面取り36が形成されていてもよい。図13は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、突起体30の先端部35に面取り36が形成される場合の説明図である。突起体30は、例えば、図13に示すように、先端部35に、曲面で形成される面取り36が施されてもよい。即ち、先端部35に、いわゆるR面取りの形状で面取り36を形成してもよい。この場合における面取り36は、曲率半径Rが1mm以上であるのが好ましい。このように、突起体30の先端部35に面取り36を形成することにより、石60が突起体30に引っ掛かることを抑制することができ、より確実に石60を周方向溝20内で移動させることができる。これにより、周方向溝20に入り込んだ石60を、より確実に突起体30に沿わせて移動させることができ、石60を開口部23から排出することができる。この結果、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
なお、突起体30の面取り36の曲率半径Rは、突起体30の高さHとの関係が、(H/5)<R<(H/3)の範囲内であるのが好ましい。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、突起体30は周方向溝20の溝壁21に設けられているのみであるが、突起体30のような突起形状は、溝壁21以外に設けられていてもよい。図14は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、溝底22に溝底突起40が設けられる場合の説明図である。周方向溝20には、溝壁21に設けられる突起体30の他に、図14に示すように、溝底22に、溝底22から突出する溝底突起40が形成されていてもよい。溝底突起40は、周方向溝20の延在方向に沿って空気入りタイヤ1の1周に亘って形成されていてもよく、周方向溝20の延在方向における長さが所定の長さの溝底突起40が複数配設されていてもよい。
溝底22に溝底突起40が形成される場合、周方向溝20に石60が入り込んだ際に石60は溝底突起40に接触するため、石60はそれ以上溝底22の方向に移動し難くなる。溝底22の方向への移動が溝底突起40によって規制された石60は、溝壁21に設けられる突起体30の作用によって開口部23の方向に移動し、開口部23から排出される。このように、溝底22に溝底突起40が形成されることにより、周方向溝20に入り込んだ石60は周方向溝20から排出され易くなるため、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
なお、溝底22に溝底突起40が形成された場合、周方向溝20の容積が小さくなるため、濡れた路面の走行時に周方向溝20に入り込む水の量が低下するが、溝壁21に突起体30が設けられているため、周方向溝20は、周方向溝20に入り込んだ石60を突起体30で排出するのと同様に、周方向溝20に入り込んだ水を突起体30で効率よく排出することができる。これにより、溝底22に溝底突起40が形成された場合、周方向溝20の容積自体は小さくなるものの、周方向溝20に入り込んだ水を突起体30で効率よく排出することにより、周方向溝20での排水性を確保することができ、空気入りタイヤ1のウェット性能を確保することができる。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、突起体30は、全ての周方向溝20に備えられているが、突起体30は、全ての周方向溝20に備えられていなくてもよい。図15は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、突起体30が所定の周方向溝20のみに設けられる場合の説明図である。トレッド面3に複数の周方向溝20が形成される場合には、突起体30は、例えば、図15に示すように、タイヤ幅方向におけるトレッド展開幅Gの中心位置から、タイヤ幅方向における両側にトレッド展開幅Gの1/4の範囲内に配置される周方向溝20に備えられていればよい。つまり、タイヤ幅方向におけるトレッド展開幅Gの中心位置にタイヤ赤道面CLが位置する場合は、タイヤ赤道面CLからタイヤ幅方向における両側にトレッド展開幅Gの1/4の範囲内に配置される周方向溝20に、突起体30は備えられていればよい。換言すると、突起体30は、タイヤ赤道面CLを中心として、トレッド展開幅Gの1/2の範囲内に配置される周方向溝20に備えられていればよく、即ち、タイヤ幅方向におけるセンター領域に位置する周方向溝20に、突起体30は備えられていればよい。
トレッド展開幅Gの中心付近の位置は、車両走行時の接地面圧が高くなり易いため、路面65上の石60が周方向溝20に入り込み易く、高い接地面圧により石60が周方向溝20に深く入り込んで溝底22まで到達し易くなっている。このため、トレッド展開幅Gの中心位置から、トレッド展開幅Gの1/4の範囲内に配置される周方向溝20に、突起体30を設けることにより、石60が溝底22まで到達し易い周方向溝20の石60を、周方向溝20の外に排出することができる。これにより、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
なお、この場合におけるトレッド展開幅Gは、空気入りタイヤ1を規定リムにリム組みして規定内圧で空気入りタイヤ1内に空気を充填し、荷重を加えない無負荷状態のときの、トレッド部2の展開図におけるタイヤ幅方向の両端の直線距離をいう。規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、或いはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、或いはETRTOで規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、突起体30は、空気入りタイヤ1の子午断面における形状が略三角形の形状で形成されているが、突起体30は、これ以外の形状で形成されていてもよい。図16は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、突起体30が四角形の形状で形成される場合の説明図である。図17は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、突起体30の形状が、先端が曲面状の形状で形成される場合の説明図である。図18は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、突起体30が多角形の形状で形成される場合の説明図である。周方向溝20の溝壁21に形成される突起体30は、空気入りタイヤ1の子午断面における形状が、例えば、図16に示すように、略四角形の形状で形成されていてもよく、図17に示すように、略四角形における溝壁21側の反対側の部分が溝壁21から離れる方向に凸となる曲面状の形状で形成されていてもよい。または、図18に示すように、突起体30は凹凸が繰り返された多角形の形状で形成されていてもよい。突起体30は、空気入りタイヤ1の子午断面における形状に関わらず、周方向溝20の延在方向に延びつつ周方向溝20の深さ方向に傾斜し、周方向溝20の溝底22側から開口部23側に向かうに従って溝壁21からの高さが低くなっていれば、その形状は問わない。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、突起体30は、周方向溝20が有する対向する2つの溝壁21のそれぞれに複数が設けられているが、突起体30は、いずれか一方の溝壁21に複数が設けられていてもよく、または、対向する2つの溝壁21の、タイヤ周方向における位置が同じ位置に1つずつが設けられていてもよい。即ち、突起体30は、タイヤ周方向における位置が同じ位置で対向する2つの溝壁21に、双方の溝壁21で合わせて複数が設けられていればよい。タイヤ周方向における位置が同じ位置で対向する2つの溝壁21に複数の突起体30が設けられることにより、周方向溝20に入り込んだ石60は、複数の突起体30に接触するため、石60が接触する複数の突起体30によって石60を開口部23側へ移動させることができる。これにより、石60を排出することができ、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
なお、突起体30は、対向する2つの溝壁21のうちの少なくとも一方の溝壁21に、タイヤ周方向における位置が同じ位置で、且つ、周方向溝20の深さ方向の位置が異なる位置に、複数が設けられるのが好ましい。1つの溝壁21に複数の突起体30が設けられることにより、周方向溝20に入り込んだ石60に対して、開口部23の方向への移動を促し易くすることができ、より確実に石60を排出することができる。
また、上述した実施形態に係る空気入りタイヤ1では、周方向溝20は4本が設けられているが、周方向溝20は4本以外の本数で設けられていてもよい。また、周方向溝20は、厳密にタイヤ周方向に延びていなくてもよく、タイヤ周方向に延びつつ、タイヤ幅方向に湾曲したり屈曲したりしていてもよい。また、ラグ溝等の周方向溝20以外の溝の形態も、上述した形態以外でもよい。周方向溝20やラグ溝等の溝によって形成されるトレッドパターンの形態に関わらず、周方向溝20に、上述した突起体30を設けることにより、周方向溝20内に入り込んだ石60を排出することができ、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
〔実施例〕
図19A、図19Bは、空気入りタイヤ1の性能試験の結果を示す図表である。以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来例及び比較例の空気入りタイヤ1と、本発明に係る空気入りタイヤ1とについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、周方向溝20での石噛みのし難さについての性能である耐石噛み性能についての試験と、濡れた路面での走行性能であるウェット性能についての試験とについて行った。
これらの性能評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが11R22.5サイズの空気入りタイヤ1をJATMAで規定される規定リムのリムホイールにリム組みし、空気圧をJATMAで規定される最大空気圧に調整し、試験車両に装着してテスト走行をすることにより行った。
各試験項目の評価方法は、耐石噛み性能については、試験タイヤを装着した試験車両でオフロードを10時間走行した後にオンロードを2時間走行した際の、周方向溝20内に残存する石60の個数を数え、周方向溝20に噛み込まれている石60の個数の逆数を、後述する従来例の個数を100とする指数で示した。この数値が大きいほど、周方向溝20に噛み込まれている石60の数が少なく、耐石噛み性能が優れていることを示している。また、ウェット性能については、ウェット路面での制動テストを行い、同時間走行した際のウェットグリップを相対評価し、後述する従来例を100とする指数で示した(評価方法は国連欧州経済委員会(UN/ECE)で策定された国際基準であるUN/ECE Regulation No.117 02 Seriesに規定されるウェットグリップに係る認定試験法と同一とした)。この数値が大きいほど、ウェット性能が優れていることを示している。
評価試験は、従来の空気入りタイヤ1の一例である従来例と、本発明に係る空気入りタイヤ1である実施例1〜14と、本発明に係る空気入りタイヤ1と比較する空気入りタイヤである比較例の16種類の空気入りタイヤについて行った。これらの空気入りタイヤ1のうち、従来例の空気入りタイヤは、周方向溝20の溝壁21に突起体30が設けられていない。また、比較例の空気入りタイヤは、周方向溝20の溝壁21に、周方向溝20の延在方向に対して傾斜する突起体30が設けられているものの、突起体30の高さが変化しておらず、突起体30の高さは一定になっている。
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例1〜14は、全て周方向溝20の溝壁21に、周方向溝20の延在方向に対して傾斜し、周方向溝20の溝底22側から開口部23側に向かうに従って高さが低くなる突起体30が設けられている。さらに、実施例1〜14に係る空気入りタイヤ1は、回転方向の指定の有無や、隣り合う突起体30同士でオーバーラップしているか否か、周方向溝20の延在方向に対する突起体30の角度θ、突起体30の上面33の角度αと下面34の角度βとがα>βの関係になっているか否か、突起体30の先端部35に面取り36があるか否か、センター領域の周方向溝20に突起体30が設けられているか否か、全ての周方向溝20に突起体30が設けられているか否か、突起体30のゴム硬さ、周方向溝20の溝底22に溝底突起40が設けられているか否かが、それぞれ異なっている。
これらの空気入りタイヤ1を用いて評価試験を行った結果、図19A、図19Bに示すように、実施例1〜14の空気入りタイヤ1は、従来例や比較例に対して、耐石噛み性能やウェット性能が向上することが分かった。つまり、実施例1〜14に係る空気入りタイヤ1は、周方向溝20による石噛みを、より確実に抑制することができる。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 トレッド面
4 ショルダー部
5 サイドウォール部
6 カーカス
7 ベルト層
8 インナーライナ
10 陸部
20 周方向溝
21 溝壁
22 溝底
23 開口部
24 開口端縁
30 突起体
31、32 端部
33 上面
34 下面
35 先端部
36 面取り
40 溝底突起
50 ビード部
60 石
65 路面

Claims (12)

  1. タイヤ周方向に延びる周方向溝を1つ以上有する空気入りタイヤであって、
    前記周方向溝は、互いに対向する2つの溝壁に、前記溝壁から突出する突起体を複数備え、
    前記突起体は、前記周方向溝の延在方向に延びつつ前記周方向溝の延在方向に対して前記周方向溝の深さ方向に傾斜し、且つ、前記周方向溝の溝底側から開口部側に向かうに従って前記溝壁からの高さが低くなっており、
    複数の前記突起体は、前記周方向溝の延在方向に対する、前記周方向溝の深さ方向への傾斜方向が全て同じ方向であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記空気入りタイヤは回転方向が指定されており、
    複数の前記突起体は、タイヤ回転方向における前側からタイヤ回転方向における後ろ側に向かうに従って、前記周方向溝の溝底側から開口部側に向かう方向に、前記周方向溝の延在方向に対して傾斜する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記突起体は、対向する2つの前記溝壁のうちの少なくとも一方の前記溝壁に、タイヤ周方向における位置が同じ位置で、且つ、前記周方向溝の深さ方向の位置が異なる位置に複数が設けられる請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記突起体は、前記周方向溝の延在方向において隣り合う前記突起体同士の、前記溝底側の端部の位置での間隔Pと、前記周方向溝の前記開口部の位置での溝幅Wとの関係が、1.5≦(P/W)≦3.5の範囲内である請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記突起体は、前記溝壁からの高さHと、前記周方向溝の前記開口部の位置での溝幅Wとの関係が、1/10≦(H/W)≦1/3の範囲内である請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記突起体は、前記開口部の開口端縁の延在方向に対して、15°以上45°以下の範囲内で傾斜する請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記突起体は、前記開口部側に位置する上面と、前記溝底側に位置する下面とを有し、
    前記溝壁に対する前記上面の角度αと、前記溝壁に対する前記下面の角度βとの関係が、1<(α/β)≦2の範囲内である請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記突起体は、前記溝壁から最も突出する先端部に、曲面で形成される面取りが施される請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記周方向溝の前記溝底には、前記溝底から突出する溝底突起が形成される請求項1〜8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記突起体は、タイヤ幅方向におけるトレッド展開幅の中心位置から、タイヤ幅方向における両側に前記トレッド展開幅の1/4の範囲内に配置される前記周方向溝に備えられる請求項1〜9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記周方向溝は複数が設けられ、
    前記突起体は、複数の前記周方向溝のうちの全ての前記周方向溝に備えられる請求項1〜10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記突起体は、ゴム硬さが60以上75以下の範囲内である請求項1〜11のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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