JP2010143959A - 活性エネルギー線硬化型インクジェットインク - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化性、密着性、擦過性、柔軟性、耐候性、保存安定性が優れ、ノズルでの連続吐出安定性にも優れた活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを提供する。
【解決手段】カチオン重合性化合物と光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインクにおいて、該カチオン重合性化合物全質量の80質量%以上が、ビニルエーテル基を反応基として有するビニルエーテル重合性化合物で、該ビニルエーテル重合性化合物としてトリエチレングリコールジビニルエーテルまたはジエチレングリコールジビニルエーテルを含有し、1)該カチオン重合性化合物の少なくとも1種が、粘度が30mPa・s以上であること、または2)−15℃において該カチオン重合性化合物の全質量に対し5質量%以上の溶解性を有し、粘度が500mPa・s以上のポリマーもしくはオリゴマーを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
【選択図】なし
【解決手段】カチオン重合性化合物と光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインクにおいて、該カチオン重合性化合物全質量の80質量%以上が、ビニルエーテル基を反応基として有するビニルエーテル重合性化合物で、該ビニルエーテル重合性化合物としてトリエチレングリコールジビニルエーテルまたはジエチレングリコールジビニルエーテルを含有し、1)該カチオン重合性化合物の少なくとも1種が、粘度が30mPa・s以上であること、または2)−15℃において該カチオン重合性化合物の全質量に対し5質量%以上の溶解性を有し、粘度が500mPa・s以上のポリマーもしくはオリゴマーを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクに関するものである。
従来、活性エネルギー線硬化型インクジェットインクとしては、ラジカル重合型とカチオン重合型のインクがある。また、これらの中でも実質的に溶媒を含まない無溶剤型の硬化型インクと、水または溶剤により積極的に希釈された低粘度の溶剤希釈型の硬化型インクとが知られている。本来、活性エネルギー硬化型インクジェットインクは、その速乾性が特徴であることから、インクジェット記録時に溶剤乾燥負荷のかからない無溶剤の硬化型インクジェットインクまたは僅かに溶剤が添加された硬化型インクジェットインクが広く実用化されている。中でも、ラジカル重合型のインクジェットインクは、その素材選択幅が広いことから、インク設計の自由度が高く、広く研究開発され、実用化されている。一方、カチオン重合型インクジェットインクは、酸素による重合阻害の影響を受けないことから、小液滴の硬化性、低エネルギー光源での硬化性に優れており、比較的柔軟性の高い硬化膜を得ることができるという利点がある。
カチオン重合性のインクジェットインク組成物としては、オキセタン化合物、脂環式エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物を重合性化合物として用いたたものが広く知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。これらに開示されるインクジェットインク組成においては、十分な硬化感度を得るためには脂環式エポキシ化合物の添加量を増やす必要があるが、インク粘度の上昇、硬化膜の柔軟性低下などの問題があった。インクの粘度低下と硬化膜の柔軟性を得るという観点では、ビニルエーテル化合物が比較的低粘度で硬化膜のガラス点移転が低いことから有用なモノマーであり、ビニルエーテルを含む硬化型インクジェットインクが、提案、開示されている(例えば、特許文献2〜7参照。)。
特許文献7においては、トリエチレングリコールジビニルエーテル、顔料、分散剤、ジアリルフタレートのプレポリマー、カチオン重合開始剤、増感剤を含むインクジェットインクを用いて、LED光源により硬化する画像形成方法が開示されている。ここで使用されているインクは、低粘度のビニルエーテルを主体とし、プレポリマーと増感剤を組み合わせたものであるため、インクを低粘度化とすることができ、LEDのような長波光源でも良好な硬化特性が得られるとされている。
本発明者は、特許文献7に記載されたインクジェットインク組成に従って検討した結果、提案されているインクジェットインクでは、インクを高温環境下で保存すると粘度上昇を起こし、低温環境で保存した場合には析出物を生じるなど、インク保存性に課題があることが判明した。また、インクジェット吐出を繰り返すと、インクジェットノズルの撥液性が低下し、ノズル付近に析出物を生じるなど、吐出安定性に対しても課題を抱えておいることが判明した。
インク硬化性に関しては、特許文献7に記載されているシアン顔料以外に、イエロー、マゼンタ、ブラック、ホワイト顔料などの検討を行ったところ、ブラックインクやホワイトなどの顔料を含む紫外線透過性が低いインクに活性エネルギー線を照射する際、インク硬化工程において、一度に硬化すべきインク付与量が多いと、十分な硬化性が得られなかった。また、高いエネルギーを照射した場合、あるいは反応加速のために加熱をした場合には、硬化シワが生じ、光沢の低下、画像濃度の低下、基材密着性の低下などを引き起こす等の問題があった。
特許第3014251号公報
特許第3893833号公報
特許第3821912号公報
特許第4061876号公報
特許第4037856号公報
特開2007−137923号公報
特開2008−280460号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、低温から高温までインクの保存安定性が高く、連続しての吐出安定性に優れ、硬化性が良好で、形成した硬化膜の平滑性が高く、光沢と高い画像濃度が得られ、基材への密着性、柔軟性、耐候性に優れた活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.カチオン重合性化合物と光重合開始剤とを含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインクにおいて、該カチオン重合性化合物全質量の80質量%以上が、ビニルエーテル基を反応基として有するビニルエーテル重合性化合物であり、該ビニルエーテル重合性化合物として少なくともトリエチレングリコールジビニルエーテルまたはジエチレングリコールジビニルエーテルを含有し、かつ1)該カチオン重合性化合物の少なくとも1種が、25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物であること、または2)−15℃において該カチオン重合性化合物の全質量に対し5質量%以上の溶解性を有し、かつ25℃における粘度が500mPa・s以上のポリマーもしくはオリゴマーを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
2.前記25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物が、ビニルエーテル化合物であることを特徴とする前記1に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
3.前記カチオン重合性化合物全質量に対し5質量%以上の溶解性を有し、かつ25℃における粘度が500mPa・s以上のポリマーもしくはオリゴマーが、少なくともオキシアルキレン骨格を持つ重合体であることを特徴とする前記1に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
4.着色剤と、0℃における前記カチオン重合性化合物全質量に対し5質量%以上の溶解性を有する分散剤とを含有ことを特徴とする前記1から3のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
5.毎分5℃の降下速度で、25℃から−25℃の範囲でDSC測定を行ったとき、10mJ/mg以上の発熱ピークを示さないことを特徴とする前記1から4のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
6.前記カチオン重合性化合物に占めるオキセタン基含有化合物とオキシラン基含有化合物の総割合が、0質量%を含む10質量%以下であることを特徴とする前記1から5のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
7.カチオン重合禁止剤を、50ppm以上、5000ppm以下含有することを特徴とする前記1から6のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
8.ラジカル重合禁止剤を、50ppm以上、5000ppm以下含有することを特徴とする前記1から7のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
9.水を、0.2質量%以上、2質量%以下含有ことを特徴とする前記1から8のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
10.Naイオン、Caイオン及びMgイオンの総量が、100ppm以下であることを特徴とする1から9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
本発明により、低温から高温までインクの保存安定性が高く、連続しての吐出安定性に優れ、硬化性が良好で、形成した硬化膜の平滑性が高く、光沢と高い画像濃度が得られ、基材への密着性、柔軟性、耐候性に優れた活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、カチオン重合性化合物と光重合開始剤とを含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインクにおいて、該カチオン重合性化合物全質量の80質量%以上が、ビニルエーテル基を反応基として有するビニルエーテル重合性化合物であり、該ビニルエーテル重合性化合物として少なくともトリエチレングリコールジビニルエーテルまたはジエチレングリコールジビニルエーテルを含有し、かつ1)該カチオン重合性化合物の少なくとも1種が、25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物であること、または2)−15℃において該カチオン重合性化合物の全質量に対し5質量%以上の溶解性を有し、かつ25℃における粘度が500mPa・s以上のポリマーもしくはオリゴマーを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインクにより、低温から高温までインクの保存安定性が高く、連続しての吐出安定性に優れ、硬化性が良好で、形成した硬化膜の平滑性が高く、光沢と高い画像濃度が得られ、基材への密着性、柔軟性、耐候性に優れた活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクの各構成要素の詳細について説明する。
《カチオン重合性化合物》
本発明において、用いることができるカチオン重合性化合物として代表的なものとしては、ビニルエーテル化合物、エポキシ化合物、およびオキセタン化合物が代表的に挙げられるが、その中でも、少なくともビニルエーテル基を反応基として有する重合性化合物VE(ビニルエーテル化合物VE)を、全カチオン重合性化合物の80質量%以上含有することを一つの特徴とする。
本発明において、用いることができるカチオン重合性化合物として代表的なものとしては、ビニルエーテル化合物、エポキシ化合物、およびオキセタン化合物が代表的に挙げられるが、その中でも、少なくともビニルエーテル基を反応基として有する重合性化合物VE(ビニルエーテル化合物VE)を、全カチオン重合性化合物の80質量%以上含有することを一つの特徴とする。
本発明に係るビニルエーテル化合物は、下記一般式(VE)および下記一般式VEを出発物質とするVE化合物群で表すことができる。
一般式(VE)
R1−CH=CHO−R2−X
上記一般式(VE)において、R1は水素原子又は置換基を表し、R2は2価の連結基を表し、Xはヒドロキシル基又はハロゲン原子を表す。
R1−CH=CHO−R2−X
上記一般式(VE)において、R1は水素原子又は置換基を表し、R2は2価の連結基を表し、Xはヒドロキシル基又はハロゲン原子を表す。
R1で表される置換基としては、例えば、炭素数が1〜10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜11の芳香族基等が挙げられる。
R2で表される連結基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基、構造中にエーテル結合又はエステル結合により酸素原子を有する炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の、置換されてもよい芳香族基等が挙げられる。
一般式(VE)で表されるビニルエーテル類の代表例としては、2−ビニロキシエタノール、2−(又は3−)ビニロキシプロパノール、2−(又は4−)ビニロキシブタノール、6−ビニロキシヘキサノール、2−(ビニロキシエトキシ)エタノール、2−(ビニロキシ−i−プロポキシ)プロパノール、2−(ビニロキシエトキシ)−i−プロパノール、2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エタノール、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル等のヒドロキシル基含有ビニルエーテル類;1−クロロ−2−ビニロキシエタン、1−クロロ−3−ビニロキシプロパン、1−クロロ−4−ビニロキシブタン、1−クロロ−6−ビニロキシヘキサン、1−クロロ−2−(ビニロキシ−i−プロポキシ)エタン、1−クロロ−2−(ビニロキシエトキシ)プロパン、1−クロロ−2−(ビニロキシエトキシ)−i−プロパン、1−クロロ−2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エタン、1−クロロ−2−(ビニロキシポリエトキシ)エタン、1−クロロ−2−(ビニロキシポリ−i−プロポキシ)エタン等のハロゲン含有ビニルエーテル類等が挙げられる。
その他のビニルエーテル化合物の他の具体例を以下に示す。
ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチルエステル、フェノールノボラック樹脂ビニルエーテル、クレゾールノボラック樹脂ビニルエーテル、エチレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、エチレングリコールビス(2−ビニロキシポリ−i−プロポキシ)エチルエーテル、ジエチレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、トリエチレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、プロピレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、ジプロピレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、ブタンジオールビス(2−ビニロキシポリ−i−プロポキシ)エチルエーテル、ヘキサンジオールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、シクロヘキサンジメタノールビス(2−ビニロキシポリ−i−プロポキシ)エチルエーテル、トリメチロールプロパントリ(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、1,1,1−トリ(4−ビニロキシフェニル)エタン、1−〔α−メチル−α−(4−ビニロキシフェニル)エチル〕−4−〔α,α−ビス(4−ビニロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス(4−ビニロキシフェニルスルホニルメチル)ベンゼン。
以下に挙げるビニルエーテル化合物も好適に用いることができる。
n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、オエンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリビニルエーテル。
上記以外にも、これまでに開示されている種々のビニルエーテル化合物を適用することが可能である。例えば、特許第3461501号公報に開示されている、分子内に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基を含む化合物、特許第4037856号公報に開示されている少なくとも酸素原子を含む脂環骨格を持つビニルエーテル化合物、特開2005−015396号公報に開示されている脂環式骨格を有するビニルエーテル、特開2008−137974号公報に開示されている1−インダニルビニルエーテル、特開2008−150341号公報に開示されている4−アセトキシシクロヘキシルビニルエーテル等を挙げることができる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。中でもジエチレングリコールジビニルエーテルおよびトリエチレングリコールジビニルエーテルは、硬化性、種々の素材との相溶性、臭気、安全性の点で優れており、本発明において必須成分である。ジエチレングリコールジビニルエーテルとトリエチレングリコールジビニルエーテルの合計は、重合性化合物全体に対して40質量%以上、好ましくは60質量%以上である。更に上記のその他のビニルエーテル化合物を適宜組み合わせて使用してもよい。本発明において、ビニルエーテル化合物はインクの低粘度化と硬化性を得るために、カチオン重合性化合物全体に対して、80質量%以上を含むことを特徴とする。
(その他のカチオン重合性化合物)
本発明のインクジェットインクにおいては、カチオン重合性化合物全質量の20質量%未満の条件で、他のカチオン重合性化合物。例えば、エポキシ化合物、オキセタン環含有化合物等を、本発明の目的効果を損なわない範囲で用いることができる。
本発明のインクジェットインクにおいては、カチオン重合性化合物全質量の20質量%未満の条件で、他のカチオン重合性化合物。例えば、エポキシ化合物、オキセタン環含有化合物等を、本発明の目的効果を損なわない範囲で用いることができる。
〈エポキシ化合物〉
エポキシ化合物としては、通常、エポキシ樹脂として用いられるモノマー、オリゴマー又はポリマーの何れも使用可能である。具体的には、従来公知の芳香族エポキシド、脂環族エポキシド及び脂肪族エポキシドが挙げられる。尚、以下、エポキシドとは、モノマー又はそのオリゴマーを意味する。これらの化合物は1種又は必要に応じて2種以上用いてもよい。
エポキシ化合物としては、通常、エポキシ樹脂として用いられるモノマー、オリゴマー又はポリマーの何れも使用可能である。具体的には、従来公知の芳香族エポキシド、脂環族エポキシド及び脂肪族エポキシドが挙げられる。尚、以下、エポキシドとは、モノマー又はそのオリゴマーを意味する。これらの化合物は1種又は必要に応じて2種以上用いてもよい。
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノール又はそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルであり、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく、具体例としては、例えば、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、セロキサイド2021A、セロキサイド2021P、セロキサイド2080、セロキサイド2000、エポリードGT301、エポリードGT302、エポリードGT401、エポリードGT403、EHPE−3150、EHPEL3150CE;ユニオンカーバイド社製のUVR−6105、UVR−6110、UVR−6128、UVR−6100、UVR−6216、UVR−6000等を挙げることができる。
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
更に、これらの化合物の他に、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル及びフェノール、クレゾールのモノグリシジルエーテル等も用いることができる。これらのエポキシドの内、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
これらエポキシ化合物は、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物から成る液状成分中、0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%配合されることが、硬化性、硬化膜の柔軟性、基材との密着性の点で好ましい。
〈オキセタン化合物〉
オキセタン化合物は、分子内に1以上のオキセタン(トリメチレンオキシド)環を有する化合物である。具体的には3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亜合成社製:OXT101等)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン(同OXT121等)、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(同OXT211等)、ジ(1−エチル−3−オキセタニル)メチルエーテル(同OXT221等)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(同OXT212等)、ジ(1−メチル−3−オキセタニル)メチルエーテル等を好ましく用いることができ、特に3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ(1−エチル−3−オキセタニル)メチルエーテルが好ましい。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらオキセタン化合物は、エポキシ化合物、オキセタン環含有化合物、ビニルエーテル化合物から成る液状成分中、0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%配合されることが硬化性、硬化膜の柔軟性、基材との密着性の点で好ましい。
オキセタン化合物は、分子内に1以上のオキセタン(トリメチレンオキシド)環を有する化合物である。具体的には3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亜合成社製:OXT101等)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン(同OXT121等)、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(同OXT211等)、ジ(1−エチル−3−オキセタニル)メチルエーテル(同OXT221等)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(同OXT212等)、ジ(1−メチル−3−オキセタニル)メチルエーテル等を好ましく用いることができ、特に3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ(1−エチル−3−オキセタニル)メチルエーテルが好ましい。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらオキセタン化合物は、エポキシ化合物、オキセタン環含有化合物、ビニルエーテル化合物から成る液状成分中、0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%配合されることが硬化性、硬化膜の柔軟性、基材との密着性の点で好ましい。
この他にもカチオン重合性化合物としては、上述のビニルエーテル、エポキシ化合物、オキセタン化合物以外にも、カチオン重合可能な公知の環状化合物を含有しても良い。尚、本発明においては、前記ビニルエーテル化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物およびその他の環状化合物を、カチオン重合性化合物と称する。
本発明においては、カチオン重合性化合物全体に対してビニルエーテル化合物が80質量%以上含むことにより、良好な硬化性、硬化膜の柔軟性、基材との密着性、出射安定性が得られる。これらの効果は特に活性エネルギー線の透過性が低いブラックインクやホワイトインクにおいて顕著に現れる。
(25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物)
本発明に係る25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物は、上述のカチオン重合性化合物から選定することが可能である。または、上記化合物のオリゴマー体、ポリマー体のうち、カチオン重合性基を有しているものも同様に使用することが可能である。25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物としては、室温で液状であることが好ましいが、ジエチレングリコールジビニルビニルエーテルまたはトリエチレングリコールジビニルエーテルに対し、十分な溶解性を有するものであれば、固体でも構わない。
本発明に係る25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物は、上述のカチオン重合性化合物から選定することが可能である。または、上記化合物のオリゴマー体、ポリマー体のうち、カチオン重合性基を有しているものも同様に使用することが可能である。25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物としては、室温で液状であることが好ましいが、ジエチレングリコールジビニルビニルエーテルまたはトリエチレングリコールジビニルエーテルに対し、十分な溶解性を有するものであれば、固体でも構わない。
25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物は、ビニルエーテル基を含有することが好ましい。ビニルエーテル基を含有させることにより、ジエチレングリコールジビニルビニルエーテルまたはトリエチレングリコールジビニルエーテルとの共重合性が良好となり、基材への密着性、柔軟性、耐候性に優れたインクを得ることができる。また、分子内にオキシエチレン基や、オキシプロピレン基などのエーテル構造を持たせることが好ましい。このような構造を持たせることにより光重合開始剤の溶解性も向上させることが可能となり、インクの保存性や硬化性を改善とすることができる。
上記の粘度の高いカチオン重合性化合物をジエチレングリコールジビニルビニルエーテルまたはトリエチレングリコールジビニルエーテルと組み合わせることにより、高周波数駆動においても連続しての吐出安定性に優れ、硬化膜の平滑性が高く、光沢と高い画像濃度が得られ、基材への密着性、柔軟性、耐候性に優れたインクを得ることができる。25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物の添加量はその粘度によって適宜設定されるが、好ましくは3〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%である。25℃における粘度が30mPa・s以下もしくは添加量が3質量%より少ないと上記の効果が得られないし、30質量%より多いと吐出安定性や低温または高温環境下におけるインクの保存安定性が損なわれる。
《−15℃においてカチオン重合性化合物全体へ5質量%以上の溶解性があり25℃における粘度が500mPa・s以上のポリマーまたはオリゴマー》
本発明においては、上記の25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物に変えて、−15℃においてカチオン重合性化合物全体へ5質量%以上の溶解性があり25℃における粘度が500mPa・s以上のポリマーまたはオリゴマーを含有させるか、添加することもできる。
本発明においては、上記の25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物に変えて、−15℃においてカチオン重合性化合物全体へ5質量%以上の溶解性があり25℃における粘度が500mPa・s以上のポリマーまたはオリゴマーを含有させるか、添加することもできる。
具体的なポリマーまたはオリゴマーとしては、上述のカチオン重合性化合物のポリマーまたはオリゴマーのうち反応性基を持たないものの他に、ビニルエーテルと相溶性のあるポリウレタン系化合物、ポリ(メタ)アクリル酸(エステル)系化合物、ポリエステル系化合物、ポリスチレン系化合物、ポリ酢酸ビニル系化合物、ポリブタジエン系化合物、ポリブチラール系化合物、ポリエチレン系化合物、など、公知のポリマー類の中から、本発明に係るビニルエーテルを主体とした重合性化合物に対して溶解性が良好なものを使用することができる。
これらのポリマーまたはオリゴマー添加により、高周波数駆動においても連続しての吐出安定性に優れ、硬化膜の平滑性が高く、光沢と高い画像濃度が得られ、基材への密着性、柔軟性、耐候性に優れたインクを得ることができる。これらの効果は特に活性エネルギー線の透過性が低いブラックインクやホワイトインクにおいて顕著に現れる。
上記ポリマーまたはオリゴマーは、−15℃においてカチオン重合性化合物全体へ5質量%以上の溶解性が得られないと、インクを0℃〜10℃程度の間で低温保存をしたときに、好ましくないポリマーゲルの発生またはポリマーの析出を伴うとともに、インクの吐出安定性、硬化膜の柔軟性、耐候性の向上効果を得ることができにくくなる。
カチオン重合性化合物全体への溶解性を向上させるためには、少なくとも構成単位として、オキシエチレン基や、オキシプロピレン基などのエーテル構造を持たせることが好ましい。このような構造を持たせることによりビニルエーテルへの溶解性を向上させるとともに、光重合開始剤の溶解性も向上させることが可能となり、インクの保存性や硬化性を改善することができる。
また、上記ポリマーまたはオリゴマーは、25℃における粘度が500mPa・s以上とすることが好ましい。これにより、高周波数駆動においても連続しての吐出安定性に優れ、硬化膜の平滑性が高く、光沢と高い画像濃度が得られ、基材への密着性、柔軟性、耐候性に優れたインクを得ることができる。500mPa・s以下では十分な基材密着性や耐候性に対する更なる効果を得ることができにくい。上記ポリマーまたはオリゴマーの添加量は、その粘度と溶解性によって適宜設定されるが、好ましくはインク全質量の3〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%である。添加量が3質量%より少ないと上記の効果が得られないし、30質量%より多いと吐出安定性や低温環境下におけるインクの保存安定性の向上効果を得にくくなる。
《着色剤》
本発明のインクジェットインクを着色する場合は、顔料を着色剤として用いることが好ましい。顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無色無機顔料又は有色有機顔料を使用することができる。有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料;アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系有機顔料;キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料;ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系有機顔料;イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系有機顔料;ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機顔料;チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン系有機顔料;イソインドリンイエローなどのイソインドリン系有機顔料;その他の顔料として、フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
本発明のインクジェットインクを着色する場合は、顔料を着色剤として用いることが好ましい。顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無色無機顔料又は有色有機顔料を使用することができる。有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料;アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系有機顔料;キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料;ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系有機顔料;イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系有機顔料;ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機顔料;チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン系有機顔料;イソインドリンイエローなどのイソインドリン系有機顔料;その他の顔料として、フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)No.で以下に例示する。
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、
C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、
C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、
C.I.ピグメントグリーン7、36、
C.I.ピグメントブラウン23、25、26、
上記顔料の中でも、キナクリドン系、フタロシアニン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、キノフタロン系、イソインドリン系有機顔料等は耐光性が優れているため好ましい。
C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、
C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、
C.I.ピグメントグリーン7、36、
C.I.ピグメントブラウン23、25、26、
上記顔料の中でも、キナクリドン系、フタロシアニン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、キノフタロン系、イソインドリン系有機顔料等は耐光性が優れているため好ましい。
有機顔料は、レーザー散乱による測定値でインク中の平均粒径が10〜150nmの微細粒子であることが好ましい。顔料の平均粒径が10nm未満の場合は、粒径が小さくなることによる耐光性の低下が生じ、150nmを超える場合は分散の安定維持が困難になり、顔料の沈澱が生じ易くなるとともに、吐出安定性が低下し、サテライトと言われる微小のミストが発生する問題が起こる。ただし、酸化チタンの場合は白色度と隠蔽性を持たせるために平均粒径は150〜300nm、好ましくは180〜250nmとする。
またインク中の顔料の最大粒径は、1μを越えないよう、十分に分散あるいは、ろ過により粗大粒子を除くことが好ましい。粗大粒子が存在すると、やはり吐出安定性が低下する。
有機顔料の微細化は以下の方法で行うことができる。即ち、有機顔料、有機顔料の3質量倍以上の水溶性無機塩及び水溶性溶剤の少なくとも3成分から成る混合物を粘土状とし、ニーダー等で強く練り込んで微細化した後、水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌してスラリー状とする。次いで、スラリーの濾過と水洗を繰り返して、水溶性の無機塩及び水溶性の溶剤を除去する。微細化工程において、樹脂、顔料分散剤等を添加してもよい。
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。これらの無機塩は有機顔料の3〜20質量倍の範囲で用いる。無機塩の量が3質量倍よりも少ないと、所望の大きさの処理顔料が得られず、又、20質量倍よりも多いと、後の工程における洗浄処理が多大であり、有機顔料の実質的な処理量が少なくなる。
水溶性溶剤は、有機顔料と破砕助剤として用いられる水溶性無機塩との適度な粘土状態を作り、充分な破砕を効率よく行うために用いられ、水に溶解する溶剤であれば特に限定されないが、混練時に温度が上昇して溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から沸点120〜250℃の高沸点の溶剤が好ましい。水溶性溶剤として、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(i−ペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
また顔料はその表面に顔料分散剤との吸着を促進するために、酸性処理または塩基性処理、シナージスト、各種カップリング剤など、公知の技術により表面処理を行うことが分散安定性を確保するために好ましい。
顔料は、十分な濃度及び十分な耐光性を得るため、インクジェットインク中に白色を除く色の場合1.5〜8質量%、酸化チタンを用いた白色インクの場合、10〜30質量%の範囲で含まれることが好ましい。
《顔料分散剤》
顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等を挙げることができる。
顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等を挙げることができる。
具体例としては、BYK Chemie社製の「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」が挙げられる。
又、Efka CHEMICALS社製の「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」;共栄化学社製の「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」;楠本化成社製の「ディスパロンKS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」等が挙げられる。
更には、花王社製の「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」;ゼネカ社製の「ソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13240、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000、32000、7000」;日光ケミカル社製の「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」、味の素ファインテクノ製のアジスパー821、822、824等が挙げられる。
これらの顔料分散剤は、顔料100に対し5〜70質量%、好ましくは10〜50質量%の範囲で含有させることが好ましい。5%より少ないと分散安定性が得られないし、70%より多いと吐出安定性が劣化する。
更に、これらの顔料分散剤は、0℃におけるカチオン重合性化合物全体へ5質量%以上の溶解性があることが好ましい。溶解性が5質量%未満であると、インクを0℃〜10℃程度の間で低温保存をしたときに、好ましくないポリマーゲルまたは顔料の軟凝集体が発生し、インクの保存安定性と吐出安定性とが劣化する。
《光重合開始剤》
本発明のインクジェットインクで用いることのできる光重合開始剤としては、公知の光酸発生剤を用いることができる。具体的にはアリールスルホニウム塩誘導体(ユニオン・カーバイド社製のサイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6974;旭電化工業社製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172、サン・アプロ社製のCPI−100、CPI−110P,CPI−110A,三和ケミカル社製のTS−91、Lamberti社製のEsacure1187、Esacure1188等)、アリルヨードニウム塩誘導体(ローディア社製のRP−2074、チバガイギー社製のイルガキュア250等)、アレン−イオン錯体誘導体(チバガイギー社製のイルガキュア250等)、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤及びその他のハロゲン化物等の酸発生剤が挙げられる。
本発明のインクジェットインクで用いることのできる光重合開始剤としては、公知の光酸発生剤を用いることができる。具体的にはアリールスルホニウム塩誘導体(ユニオン・カーバイド社製のサイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6974;旭電化工業社製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172、サン・アプロ社製のCPI−100、CPI−110P,CPI−110A,三和ケミカル社製のTS−91、Lamberti社製のEsacure1187、Esacure1188等)、アリルヨードニウム塩誘導体(ローディア社製のRP−2074、チバガイギー社製のイルガキュア250等)、アレン−イオン錯体誘導体(チバガイギー社製のイルガキュア250等)、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤及びその他のハロゲン化物等の酸発生剤が挙げられる。
光重合開始剤は、カチオン重合性化合物100質量部に対して0.2〜10質量部の比率、更に0.5〜5質量部で含有させるのが好ましい。光重合開始剤の含有量が0.2質量部未満では硬化物を得ることが困難であり、10質量部を超えて含有させても開始剤自体が紫外線吸収剤となってインク中の遮蔽効果をもたらすため、更なる硬化性向上効果はないばかりか、低温および高温におけるインクの保存安定性を劣化させてしまう。これら光重合開始剤は、1種又は2種以上を選択して使用することができる。
光開始剤の増感剤としては、スルホニウム塩を光開始剤とした場合にはアントラセン、アントラセン誘導体(旭電化工業社製のアデカオプトマーSP−100、ジエトキシアントラセン、ジブトキシアントラセン等)が挙げられる。ヨードニウム塩光開始剤とした場合にはチオキサントン類などが使用できる。これらの増感剤は1種又は複数を組み合わせて使用することができる。その添加量はカチオン重合性化合物100質量部に対して0.2〜5質量部の比率、更に好ましくは0.5〜4質量部で含有させるのが好ましい。0.2質量部未満では増感効果が乏しく、5質量部を超えると、増感剤自体の着色や増感剤分解物による着色が問題となる。
《重合禁止剤》
本発明においては、カチオン重合禁止剤を添加することが好ましい。ビニルエーテルは反応性が高く、残留酸や、保存時に僅かに重合開始剤から発生する酸によって、暗反応が進行しやすいので、重合禁止剤は意図的に添加する必要がある。重合禁止剤としては、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物もしくは、アミン類を挙げることができる。アルカリ金属イオン類は後述のするようにできるだけ添加しない方が好ましいので、アミン類が適している。
本発明においては、カチオン重合禁止剤を添加することが好ましい。ビニルエーテルは反応性が高く、残留酸や、保存時に僅かに重合開始剤から発生する酸によって、暗反応が進行しやすいので、重合禁止剤は意図的に添加する必要がある。重合禁止剤としては、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物もしくは、アミン類を挙げることができる。アルカリ金属イオン類は後述のするようにできるだけ添加しない方が好ましいので、アミン類が適している。
アミンとして好ましくは、アルカノールアミン類、N,N−ジメチルアルキルアミン類、N,N−ジメチルアケニルアミン類、N,N−ジメチルアルキニルアミン類などであり、具体的には、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、2−アミノエタノール、2−メチルアミノエタノール、3−メチルアミノ−1−プロパノール、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−エチルアミノエタノール、4−エチルアミノ−1−ブタノール、4−(n−ブチルアミノ)−1−ブタノール、2−(t−ブチルアミノ)エタノール、N,N−ジメチルウンデカノール、N,N−ジメチルドデカノールアミン、N,N−ジメチルトリデカノールアミン、N,N−ジメチルテトラデカノールアミン、N,N−ジメチルペンタデカノールアミン、N,N−ジメチルノナデシルアミン、N,N−ジメチルイコシルアミン、N,N−ジメチルエイコシルアミン、N,N−ジメチルヘンイコシルアミン、N,N−ジメチルドコシルアミン、N,N−ジメチルトリコシルアミン、N,N−ジメチルテトラコシルアミン、N,N−ジメチルペンタコシルアミン、N,N−ジメチルペンタノールアミン、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N,N−ジメチルヘプタノールアミン、N,N−ジメチルオクタノールアミン、N,N−ジメチルノナノールアミン、N,N−ジメチルデカノールアミン、N,N−ジメチルノニルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルトリデシルアミン、N,N−ジメチルテトラデシルアミン、N,N−ジメチルペンタデシルアミン、N,N−ジメチルヘキサデシルアミン、N,N−ジメチルヘプタデシルアミン、N,N−ジメチルオクタデシルアミンが挙げられる。これらの他にも、4級アンモニウム塩なども使用することができる。
カチオン重合禁止剤の添加量は50〜5000ppmであることが好ましい。50ppm未満では保存安定性が得られず、インクの増粘やインクジェットノズルに対する撥液性が得られなくなるなど吐出安定性を損なう。5000ppmより多いと逆に硬化感度が低下してしまう。
本発明のインクにおいては、更にラジカル重合禁止剤を添加することが好ましい。ラジカル重合禁止剤を併用することにより、インク中に不純物や残留酸が存在していても飛躍的にインクの保存安定性を向上させられることが分かった。本発明のインクはカチオン重合性化合物としてビニルエーテルを主体としているが、ビニルエーテルはラジカル重合性も有しているため、ラジカル重合禁止剤が相乗効果を発揮すると考えられる。
ラジカル重合禁止剤としては、メトキノン(ヒドロキノンモノメチルエーテル)、ハイドロキノン、4−メトキシ−1−ナフトール、ヒンダードアミン系酸化防止剤、含窒素複素環メルカプト系化合物、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、各種糖類、リン酸系酸化防止剤、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体、ジシアンジアミドとポリアルキレンポリアミンの重縮合物などが挙げられる。
ラジカル重合禁止剤の添加量は50〜5000ppmであることが好ましい。50ppm未満では保存安定性が得られず、インクの増粘やインクジェットノズルに対する撥液性が得られなくなるなど吐出安定性を損なう。5000ppmより多いと重合開始剤の酸発生効率を低下させてしまい、硬化感度が低下してしまう。
本発明のインクにおいては、水を0.2〜2質量%含有させることが好ましい。これにより硬化感度の低下をさせることなく、保存安定性を向上させることができる。0.2%以上で水添加による保存安定性向上が得られインクの増粘やインクジェットノズルに対する撥液性を保持するなど吐出安定性向上の効果が得られる。2%より多いと顔料分散性の低下や、分散剤や各種添加剤の析出といった保存安定性の低下が起こる。
《金属イオン》
本発明のインクにおいては、インク中のNaイオン、Caイオン及びMgイオンの総量が100ppm以下であることが好ましい。これらのイオンは、インクと純水とを混合し、水相を分離した後に水相に抽出されたイオンをイオンクロマト法によって定量することができる。
本発明のインクにおいては、インク中のNaイオン、Caイオン及びMgイオンの総量が100ppm以下であることが好ましい。これらのイオンは、インクと純水とを混合し、水相を分離した後に水相に抽出されたイオンをイオンクロマト法によって定量することができる。
これらのアルカリ金属イオンは、通常のインク貯蔵時には何ら問題を起こさないが、インクが活性エネルギー線を受け、重合開始剤から様々な分解物や活性種が生成した場合に、難溶性の塩を形成することがある。そのため、長期間インクを吐出すると、インクジェットノズルの開口部付近に難溶性の析出物が生成し吐出精度を低下させてしまう。
インク中のアルカリ金属イオン量を低減する方法は、各種使用素材を精製することによって達成される。特に、一般に流通している顔料、スルホニウム塩などの重合開始剤、分散剤、ビニルエーテル・オキセタン・エポキシなどのカチオン重合開始剤は、その製造工程でアルカリ金属イオンを不純物として含む場合があるので、各素材を適宜精製してから使うことが好ましい。これらアルカリ金属の精製により、ハロゲンイオン等の対アニオンの含有量も減ることになり、不純物によるカチオン重合性の低下が抑えられる効果がある。
《その他の添加剤》
本発明のインクには、必要に応じて界面活性剤、滑剤、充填剤、防錆剤、消泡剤、増粘剤、ゲル化剤など各種の添加剤を含有させることが出来る。
本発明のインクには、必要に応じて界面活性剤、滑剤、充填剤、防錆剤、消泡剤、増粘剤、ゲル化剤など各種の添加剤を含有させることが出来る。
また、必要に応じてエステル系溶剤、エーテル系溶剤、エーテルエステル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、含窒素系有機溶剤など少量の溶剤を添加することも出来る。
《インク物性》
本発明のインクの物性は、通常の硬化型インクジェットインクと同様の物性値を有することが好ましい。即ち、粘度は25℃において5〜50mPa・sで、シェアレート依存性が出来るだけ小さく、表面張力は25℃において22〜35mN/mの範囲にあること、顔料以外に1μを超えるようなゲル状物質が無いこと、電導度は10μS/cm以下の電導度とし、ヘッド内部での電気的な腐食のないインクとすることが好ましい。コンティニュアスタイプにおいては、電解質による電導度の調整が必要であり、この場合には0.5mS/cm以上の電導度に調整する必要がある。
本発明のインクの物性は、通常の硬化型インクジェットインクと同様の物性値を有することが好ましい。即ち、粘度は25℃において5〜50mPa・sで、シェアレート依存性が出来るだけ小さく、表面張力は25℃において22〜35mN/mの範囲にあること、顔料以外に1μを超えるようなゲル状物質が無いこと、電導度は10μS/cm以下の電導度とし、ヘッド内部での電気的な腐食のないインクとすることが好ましい。コンティニュアスタイプにおいては、電解質による電導度の調整が必要であり、この場合には0.5mS/cm以上の電導度に調整する必要がある。
加えて本発明のインクの物性として、更に好ましい形態は、毎分5℃の降下速度で25℃から−25℃の範囲でインクのDSC測定を行ったとき、10mJ/mg以上の発熱ピークを示さないことである。本発明の構成に従って素材の選定を行うことにより、DSC測定において一定量以上の発熱を抑えることが出来る。このような構成とすることにより、インクを低温で保存した場合においてもゲルの発生や、析出物の発生を抑えることが出来る。
《インクの調製方法》
本発明のインクジェットインクは、ビニルエーテル、顔料分散剤と共に、顔料をサンドミル等の通常の分散機を用いてよく分散することにより製造される。予め顔料高濃度の濃縮液を作製しておき、活性エネルギー線硬化性化合物で希釈することが好ましい。通常の分散機による分散においても充分な分散が可能であり、このため、過剰な分散エネルギーが掛からず、多大な分散時間を必要としないので、インク成分の分散時の変質を招き難く、安定性に優れたインクが調製できる。調製されたインクは、孔径3μm以下、更には1μm以下のフィルターで濾過することが好ましい。
本発明のインクジェットインクは、ビニルエーテル、顔料分散剤と共に、顔料をサンドミル等の通常の分散機を用いてよく分散することにより製造される。予め顔料高濃度の濃縮液を作製しておき、活性エネルギー線硬化性化合物で希釈することが好ましい。通常の分散機による分散においても充分な分散が可能であり、このため、過剰な分散エネルギーが掛からず、多大な分散時間を必要としないので、インク成分の分散時の変質を招き難く、安定性に優れたインクが調製できる。調製されたインクは、孔径3μm以下、更には1μm以下のフィルターで濾過することが好ましい。
《基材》
インクジェット記録に用いる基材としては、従来、各種の用途で使用されている広汎な合成樹脂が全て対象となり、具体的には、例えばポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等が挙げられ、これらの合成樹脂基材の厚みや形状は何ら限定されない。この他にも金属類、ガラス、印刷用紙なども使用できる。
インクジェット記録に用いる基材としては、従来、各種の用途で使用されている広汎な合成樹脂が全て対象となり、具体的には、例えばポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等が挙げられ、これらの合成樹脂基材の厚みや形状は何ら限定されない。この他にも金属類、ガラス、印刷用紙なども使用できる。
《インクジェット記録》
本発明のインクジェットインクを使用するには、まずインクジェットインクをインクジェット記録方式用プリンタのプリンタヘッドに供給し、このプリンタヘッドから基材上に吐出し、その後、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射する。これにより印刷媒体上の組成物は速やかに硬化する。
本発明のインクジェットインクを使用するには、まずインクジェットインクをインクジェット記録方式用プリンタのプリンタヘッドに供給し、このプリンタヘッドから基材上に吐出し、その後、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射する。これにより印刷媒体上の組成物は速やかに硬化する。
活性エネルギー線の光源としては、紫外線を照射する場合には、例えば紫外線LED、紫外線レーザー、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、低圧水銀灯、螢光ランプ、炭素アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプ及び太陽光を使用することができる。電子線により硬化させる場合には、通常300eVの以下のエネルギーの電子線で硬化させるが、1〜5Mradの照射量で瞬時に硬化させることも可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《インクの調製》
表1に示す顔料と顔料分散剤A及びトリエチレングリコールジビニルエーテル(VE1)を、共にサンドミルに入れて分散を4時間行い、顔料分散体を得た。次いで、表1に示すその他の成分を、順次添加、溶解して、最終的に0.85ミクロンのメンブレンフィルターにてろ過して、インク1〜12を得た。含水率の調整は適宜水を添加して行った。
《インクの調製》
表1に示す顔料と顔料分散剤A及びトリエチレングリコールジビニルエーテル(VE1)を、共にサンドミルに入れて分散を4時間行い、顔料分散体を得た。次いで、表1に示すその他の成分を、順次添加、溶解して、最終的に0.85ミクロンのメンブレンフィルターにてろ過して、インク1〜12を得た。含水率の調整は適宜水を添加して行った。
上記インク1〜12の調製において、下記の各添加剤については、全インク共通で下記に示す添加量を添加した。従って、これらの各添加剤の表1への記載は省略した。
〈インク共通添加剤〉
光重合開始剤:CPI−100P(サン・アプロ社製) 4.0質量部
増感剤:ジエトキシアントラセン 1.5質量部
カチオン重合禁止剤:2−メチルアミノエタノール 0.1質量部
ラジカル重合禁止剤:4−メトキシ−1−ナフトール 0.05質量部
界面活性剤:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.05質量部
表1において、略称で記載した各添加剤の詳細を以下に示す。なお、表中の数値は、質量部を示す。
光重合開始剤:CPI−100P(サン・アプロ社製) 4.0質量部
増感剤:ジエトキシアントラセン 1.5質量部
カチオン重合禁止剤:2−メチルアミノエタノール 0.1質量部
ラジカル重合禁止剤:4−メトキシ−1−ナフトール 0.05質量部
界面活性剤:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.05質量部
表1において、略称で記載した各添加剤の詳細を以下に示す。なお、表中の数値は、質量部を示す。
〈顔料〉
PY:C.I.ピグメントイエロー150(表面処理、精製品)
PR:C.I.ピグメントレッド122(表面処理、精製品)
PB:C.I.ピグメントブルー15:4(表面処理、精製品)
CB1:カーボンブラック(表面処理、精製品)
Ti:酸化チタン(表面処理、精製品)
〈顔料分散剤〉
分散剤A:ポリエステル系塩基性高分子分散剤、0℃における各インク調製に用いたカチオン性重合性化合物に対する溶解度は、5%以上である。
PY:C.I.ピグメントイエロー150(表面処理、精製品)
PR:C.I.ピグメントレッド122(表面処理、精製品)
PB:C.I.ピグメントブルー15:4(表面処理、精製品)
CB1:カーボンブラック(表面処理、精製品)
Ti:酸化チタン(表面処理、精製品)
〈顔料分散剤〉
分散剤A:ポリエステル系塩基性高分子分散剤、0℃における各インク調製に用いたカチオン性重合性化合物に対する溶解度は、5%以上である。
なお、分散剤の0℃におけるカチオン重合性化合物に対する溶解性は、使用している全てのカチオン重合性化合物と同じ組成の配合に対し、5%の分散剤を加熱溶解し、次いで0℃に1週間保存したのちに、溶解状態(澄明であるが白濁しているか)を確認して判定した。
〈ビニルエーテル化合物〉
VE−1:トリエチレングリコールジビニルエーテル(精製品、25℃粘度は3.4mPa・s)
VE−3:ジエチレングリコールジビニルエーテル(精製品、25℃粘度は2.2mPa・s)
VE−4:エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートトリビニルエーテル(精製品、25℃粘度は39.8mPa・s)
〈その他のカチオン重合性化合物〉
OXT:OXT221、オキセタン化合物(東亞合成社製、25℃粘度は13mPa・s)
EP:CEL2021P、脂環式エポキシ化合物(ダイセル化学社製,25℃粘度は250mPa・s)
〈ポリマー化合物〉
ポリマーA:ポリエーテルポリウレタンオリゴマー(オキシエチレン構造含有、25℃粘度450mPa・s、カチオン重合性化合物に対する溶解性:○)
ポリマーB:ポリエーテルポリウレタンオリゴマー(オキシエチレン構造含有、25℃粘度700mPa・s、カチオン重合性化合物に対する溶解性:○)
ポリマーC:ポリエーテルポリウレタンオリゴマー(オキシエチレン構造含有、25℃粘度1000mPa・s、カチオン重合性化合物に対する溶解性:○)
ポリマーD:ポリアクリル酸エステル系オリゴマー(オキシエチレン構造不含有、25℃粘度800mPa・s、カチオン重合性化合物に対する溶解性:×)
なお、上記チオン重合性化合物に対する溶解性は、各インク調製に用いたカチオン性重合性化合物と同じ構成の試験液に対し、5%の各ポリマー化合物を加熱溶解し、次いで−15℃に1週間保存したのちに、その溶解性を目視評価し、透明で溶解していれば○、白濁状態であれば×と判定した。この時、ポリマーの含有量は、インク組成物と同配合比とした。
VE−1:トリエチレングリコールジビニルエーテル(精製品、25℃粘度は3.4mPa・s)
VE−3:ジエチレングリコールジビニルエーテル(精製品、25℃粘度は2.2mPa・s)
VE−4:エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートトリビニルエーテル(精製品、25℃粘度は39.8mPa・s)
〈その他のカチオン重合性化合物〉
OXT:OXT221、オキセタン化合物(東亞合成社製、25℃粘度は13mPa・s)
EP:CEL2021P、脂環式エポキシ化合物(ダイセル化学社製,25℃粘度は250mPa・s)
〈ポリマー化合物〉
ポリマーA:ポリエーテルポリウレタンオリゴマー(オキシエチレン構造含有、25℃粘度450mPa・s、カチオン重合性化合物に対する溶解性:○)
ポリマーB:ポリエーテルポリウレタンオリゴマー(オキシエチレン構造含有、25℃粘度700mPa・s、カチオン重合性化合物に対する溶解性:○)
ポリマーC:ポリエーテルポリウレタンオリゴマー(オキシエチレン構造含有、25℃粘度1000mPa・s、カチオン重合性化合物に対する溶解性:○)
ポリマーD:ポリアクリル酸エステル系オリゴマー(オキシエチレン構造不含有、25℃粘度800mPa・s、カチオン重合性化合物に対する溶解性:×)
なお、上記チオン重合性化合物に対する溶解性は、各インク調製に用いたカチオン性重合性化合物と同じ構成の試験液に対し、5%の各ポリマー化合物を加熱溶解し、次いで−15℃に1週間保存したのちに、その溶解性を目視評価し、透明で溶解していれば○、白濁状態であれば×と判定した。この時、ポリマーの含有量は、インク組成物と同配合比とした。
《インク物性値の測定》
上記調製した各インクについて、25℃における粘度(mPa・s)を回転粘度計を用いて測定し、25℃における表面張力(mN/m)をウィルヘルミー法により測定し、顔料粒子の平均粒径(nm)をレーザー散乱法により測定し、含水率(%)はカールフィッシャー法により測定し、アルカリ金属イオン(Na、Ca、Mg)の総量(ppm)はイオンクロマト法により測定した。得られた各測定値を、表2に示す。
上記調製した各インクについて、25℃における粘度(mPa・s)を回転粘度計を用いて測定し、25℃における表面張力(mN/m)をウィルヘルミー法により測定し、顔料粒子の平均粒径(nm)をレーザー散乱法により測定し、含水率(%)はカールフィッシャー法により測定し、アルカリ金属イオン(Na、Ca、Mg)の総量(ppm)はイオンクロマト法により測定した。得られた各測定値を、表2に示す。
《インクの評価》
下記の方法に従って、下記の各評価を行った。
下記の方法に従って、下記の各評価を行った。
(連続吐出安定性の評価)
コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SHを用いて、20kHzの周波数で1L相当の各インクを連続吐出した後、吐出直後の吐出性と比較し、下記の基準に従って連続吐出安定性を評価した。
コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SHを用いて、20kHzの周波数で1L相当の各インクを連続吐出した後、吐出直後の吐出性と比較し、下記の基準に従って連続吐出安定性を評価した。
○:連続吐出前後での出射精度に、全く変化はなかった
△:連続吐出後に、出射の確度誤差が若干劣化したが、クリーニングにより回復した
×:連続吐出後に、出射の確度誤差が劣化し、クリニーニングをしても回復しなかった
(ノズル撥インク性の評価)
上記ピエゾヘッド512SHに使用しているノズルプレート部材(撥インク性を有する)を、各インクに70℃で4日間浸漬したのち、撥インク性が保たれているかを確認し、下記の基準に従って、ノズル撥インク性を評価した。
△:連続吐出後に、出射の確度誤差が若干劣化したが、クリーニングにより回復した
×:連続吐出後に、出射の確度誤差が劣化し、クリニーニングをしても回復しなかった
(ノズル撥インク性の評価)
上記ピエゾヘッド512SHに使用しているノズルプレート部材(撥インク性を有する)を、各インクに70℃で4日間浸漬したのち、撥インク性が保たれているかを確認し、下記の基準に従って、ノズル撥インク性を評価した。
○:インクの浸漬前後で、ノズルプレートの撥インク性に変化は認められない
△:インクに浸漬した後、撥インク性は僅かに劣化するがクリーニングにより回復する
×:インクに浸漬した後、ノズルプレートの撥インク性が無くなり、クリーニングでも回復しない
(低温保存性の評価)
各インクを、0℃で6時間、10℃で6時間のサイクルで合計1週間保存した後、5μmの金属メッシュフィルターに通し、濾過性を確認し、下記の基準に従って低温保存性を評価した。
△:インクに浸漬した後、撥インク性は僅かに劣化するがクリーニングにより回復する
×:インクに浸漬した後、ノズルプレートの撥インク性が無くなり、クリーニングでも回復しない
(低温保存性の評価)
各インクを、0℃で6時間、10℃で6時間のサイクルで合計1週間保存した後、5μmの金属メッシュフィルターに通し、濾過性を確認し、下記の基準に従って低温保存性を評価した。
○:濾過性は、サイクル処理前後でほとんど変化が認められない
△:サイクル処理後に、濾過速度がやや低下するが、残渣などは残らない
×:サイクル処理後は濾過速度が低下し、残渣の発生が認められる
(高温保存性の評価)
各インクを、70℃で4日間保存した後、各インクの粘度を測定し、下記の基準に従って高温保存性を評価した。
△:サイクル処理後に、濾過速度がやや低下するが、残渣などは残らない
×:サイクル処理後は濾過速度が低下し、残渣の発生が認められる
(高温保存性の評価)
各インクを、70℃で4日間保存した後、各インクの粘度を測定し、下記の基準に従って高温保存性を評価した。
○:高温処理前後での粘度変動率が、5%未満である
△:高温処理前後での粘度変動率が、5%以上、10%未満である
×:高温処理前後での粘度変動率が、10%以上である
(硬化性の評価)
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、10μmの厚さとなる条件で、ピエゾヘッド512SHより各インクを吐出した後、高圧水銀灯により100mJ/cm2の光量を照射して、硬化膜を形成した。硬化直後の膜表面を触指し表面タックの有無を確認し、下記の基準に従って硬化性の評価を行った。
△:高温処理前後での粘度変動率が、5%以上、10%未満である
×:高温処理前後での粘度変動率が、10%以上である
(硬化性の評価)
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、10μmの厚さとなる条件で、ピエゾヘッド512SHより各インクを吐出した後、高圧水銀灯により100mJ/cm2の光量を照射して、硬化膜を形成した。硬化直後の膜表面を触指し表面タックの有無を確認し、下記の基準に従って硬化性の評価を行った。
○:タックがまったく認められない
△:僅かにタックが認められる
×:明らかなタックが認められる
(画像光沢の評価)
コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SH及び365nmのLEDを搭載したUVインクジェットプリンターを用い、1440×1440dpi(本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で、1画素当たり4plの液滴量で、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に画像出力を行った。
△:僅かにタックが認められる
×:明らかなタックが認められる
(画像光沢の評価)
コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SH及び365nmのLEDを搭載したUVインクジェットプリンターを用い、1440×1440dpi(本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で、1画素当たり4plの液滴量で、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に画像出力を行った。
画像出力は16パスで行い、インクへのトータル露光量は200mJ/cm2とした。
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に得られた100%ベタ画像の60度光沢度を、日本電色工業株式会社製の変角光沢度計(VGS−1001DP)を用いて測定し、下記の基準に従って、画像光沢を評価した。
○:40以上の光沢度があり、表面が均一であった
△:20以上、40未満の光沢度がある
×:光沢度が20未満で、表面に硬化シワが見られる
(基材密着性の評価)
コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SH及び365nmのLEDを搭載したUVインクジェットプリンターを用い、ターポリン基材上に100%のベタ画像を作成してテープ剥離試験を行い、下記の基準に従って基材密着性を評価した。
△:20以上、40未満の光沢度がある
×:光沢度が20未満で、表面に硬化シワが見られる
(基材密着性の評価)
コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SH及び365nmのLEDを搭載したUVインクジェットプリンターを用い、ターポリン基材上に100%のベタ画像を作成してテープ剥離試験を行い、下記の基準に従って基材密着性を評価した。
○:剥離しない
△:僅かに剥離する
×:完全に剥離する
(硬化膜柔軟性の評価)
コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SH及び365nmのLEDを搭載したUVインクジェットプリンターを用い、ターポリン基材上に200%のベタ画像を作成した後折り曲げ試験を行い、下記の基準に従って硬化膜柔軟性を評価した。
△:僅かに剥離する
×:完全に剥離する
(硬化膜柔軟性の評価)
コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SH及び365nmのLEDを搭載したUVインクジェットプリンターを用い、ターポリン基材上に200%のベタ画像を作成した後折り曲げ試験を行い、下記の基準に従って硬化膜柔軟性を評価した。
○:強く折り曲げてもクラックが入らない
△:強く折り曲げると、僅かにクラックが入る
×:強く折り曲げるとクラックが入り、折り曲げ部が白くなる
(耐擦過性の評価)
コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SH及び365nmのLEDを搭載したUVインクジェットプリンターを用い、ターポリン基材上に100%のベタ画像を作成した後、形成したベタ画像表面を爪で擦り、下記の基準に従って耐擦過性を評価した。
△:強く折り曲げると、僅かにクラックが入る
×:強く折り曲げるとクラックが入り、折り曲げ部が白くなる
(耐擦過性の評価)
コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SH及び365nmのLEDを搭載したUVインクジェットプリンターを用い、ターポリン基材上に100%のベタ画像を作成した後、形成したベタ画像表面を爪で擦り、下記の基準に従って耐擦過性を評価した。
○:形成画像面に傷が付かない
△:形成画像面に僅かな跡は残るが、硬化膜は傷つかない
×:形成画像膜が削れる
(耐候性の評価)
塩化ビニルフィルム上に、コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SH及び365nmのLEDを搭載したUVインクジェットプリンターを用い、厚さ3μmとなる条件でインクを塗布し、高圧水銀灯で100mJの紫外線を照射して硬化膜を作成した後、促進耐候試験機Q−Lab Corporation製QUVを用いて、紫外線照射と加湿・結露のサイクルを1ヶ月間行った後、硬化膜の状態を目視観察し、下記の基準に従って耐候性を評価した。
△:形成画像面に僅かな跡は残るが、硬化膜は傷つかない
×:形成画像膜が削れる
(耐候性の評価)
塩化ビニルフィルム上に、コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SH及び365nmのLEDを搭載したUVインクジェットプリンターを用い、厚さ3μmとなる条件でインクを塗布し、高圧水銀灯で100mJの紫外線を照射して硬化膜を作成した後、促進耐候試験機Q−Lab Corporation製QUVを用いて、紫外線照射と加湿・結露のサイクルを1ヶ月間行った後、硬化膜の状態を目視観察し、下記の基準に従って耐候性を評価した。
○:硬化膜に変化は見られない
△:僅かに硬化膜の光沢変動が見られる
×:硬化膜が洗い流され、濃度が低下した
以上により得られた結果を、表3に示す。
△:僅かに硬化膜の光沢変動が見られる
×:硬化膜が洗い流され、濃度が低下した
以上により得られた結果を、表3に示す。
表3に記載の結果より明らかなように、本発明のインクは、連続吐出安定性、保存安定性、硬化性、画像光沢、基材密着性、柔軟性、擦過性、耐候性に優れ、何れも比較インクに対し優れていることが明らかである。
実施例2
《インクの調製》
表4に示す顔料と顔料分散剤及びトリエチレングリコールジビニルエーテル(VE1)を、共にサンドミルに入れて分散を4時間行い、顔料分散体を得た。次いで、表4に示すその他の成分を、順次添加、溶解して、最終的に0.85ミクロンのメンブレンフィルターにてろ過して、インク13〜24を得た。含水率の調整は適宜水を添加して行った。
《インクの調製》
表4に示す顔料と顔料分散剤及びトリエチレングリコールジビニルエーテル(VE1)を、共にサンドミルに入れて分散を4時間行い、顔料分散体を得た。次いで、表4に示すその他の成分を、順次添加、溶解して、最終的に0.85ミクロンのメンブレンフィルターにてろ過して、インク13〜24を得た。含水率の調整は適宜水を添加して行った。
上記インク13〜24の調製において、下記の各添加剤については、全インク共通で下記に示す添加量を添加した。従って、これらの各添加剤の表3への記載は省略した。
〈インク共通添加剤〉
光重合開始剤:CPI−100P(サン・アプロ社製) 4.0質量部
界面活性剤:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.05質量部
表4において、略称で記載した各添加剤のうち、実施例1で詳細を記載した以外の化合物の詳細を以下に示す。
光重合開始剤:CPI−100P(サン・アプロ社製) 4.0質量部
界面活性剤:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.05質量部
表4において、略称で記載した各添加剤のうち、実施例1で詳細を記載した以外の化合物の詳細を以下に示す。
〈顔料〉
CB2:カーボンブラック(表面処理、未精製品)
〈顔料分散剤〉
分散剤C:高分子分散剤PB824(味の素ファインテクノ製)、0℃における各インク調製に用いたカチオン性重合性化合物に対する溶解度は、5%以上である。
CB2:カーボンブラック(表面処理、未精製品)
〈顔料分散剤〉
分散剤C:高分子分散剤PB824(味の素ファインテクノ製)、0℃における各インク調製に用いたカチオン性重合性化合物に対する溶解度は、5%以上である。
分散剤D:高分子分散剤PB821(味の素ファインテクノ製)、0℃における各インク調製に用いたカチオン性重合性化合物に対する溶解度は、5%以下である。
〈増感剤〉
DEA:ジエトキシアントラセン
〈カチオン重合禁止剤〉
MAE:2−メチルアミノエタノール
MN:4−メトキシ−1−ナフトール
DEA:ジエトキシアントラセン
〈カチオン重合禁止剤〉
MAE:2−メチルアミノエタノール
MN:4−メトキシ−1−ナフトール
《インク物性値の測定》
上記調製した各インクについて、実施例1に記載の方法と同様にして粘度(mPa・s)、表面張力(mN/m)、顔料粒子の平均粒径(nm)、含水率(%)、アルカリ金属イオン(Na、Ca、Mg)の総量(ppm)を測定し、得られた各測定値を、表5に示す。
上記調製した各インクについて、実施例1に記載の方法と同様にして粘度(mPa・s)、表面張力(mN/m)、顔料粒子の平均粒径(nm)、含水率(%)、アルカリ金属イオン(Na、Ca、Mg)の総量(ppm)を測定し、得られた各測定値を、表5に示す。
《インクの評価》
上記調製した各インクについて、実施例1に記載の方法と同様にして、連続吐出安定性、ノズル撥インク性、低温保存性、高温保存性、硬化性、画像光沢、基材密着性、硬化膜柔軟性、耐擦過性及び耐候性の評価を行い、得られた結果を、表6に示す。
上記調製した各インクについて、実施例1に記載の方法と同様にして、連続吐出安定性、ノズル撥インク性、低温保存性、高温保存性、硬化性、画像光沢、基材密着性、硬化膜柔軟性、耐擦過性及び耐候性の評価を行い、得られた結果を、表6に示す。
表6に記載の結果より明らかなように、本発明のインクは、連続吐出安定性、保存安定性、硬化性、画像光沢、基材密着性、柔軟性、擦過性、耐候性に優れ、何れも比較インクに対し優れていることが明らかである。
Claims (10)
- カチオン重合性化合物と光重合開始剤とを含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインクにおいて、該カチオン重合性化合物全質量の80質量%以上が、ビニルエーテル基を反応基として有するビニルエーテル重合性化合物であり、該ビニルエーテル重合性化合物として少なくともトリエチレングリコールジビニルエーテルまたはジエチレングリコールジビニルエーテルを含有し、かつ1)該カチオン重合性化合物の少なくとも1種が、25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物であること、または2)−15℃において該カチオン重合性化合物の全質量に対し5質量%以上の溶解性を有し、かつ25℃における粘度が500mPa・s以上のポリマーもしくはオリゴマーを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
- 前記25℃における粘度が30mPa・s以上のカチオン重合性化合物が、ビニルエーテル化合物であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
- 前記カチオン重合性化合物全質量に対し5質量%以上の溶解性を有し、かつ25℃における粘度が500mPa・s以上のポリマーもしくはオリゴマーが、少なくともオキシアルキレン骨格を持つ重合体であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
- 着色剤と、0℃における前記カチオン重合性化合物全質量に対し5質量%以上の溶解性を有する分散剤とを含有ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
- 毎分5℃の降下速度で、25℃から−25℃の範囲でDSC測定を行ったとき、10mJ/mg以上の発熱ピークを示さないことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
- 前記カチオン重合性化合物に占めるオキセタン基含有化合物とオキシラン基含有化合物の総割合が、0質量%を含む10質量%以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
- カチオン重合禁止剤を、50ppm以上、5000ppm以下含有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
- ラジカル重合禁止剤を、50ppm以上、5000ppm以下含有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
- 水を、0.2質量%以上、2質量%以下含有ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
- Naイオン、Caイオン及びMgイオンの総量が、100ppm以下であることを特徴とする1から9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
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