JP2011184539A - 活性光線硬化型インク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高湿下でも光重合性を損なうことなく、柔軟性に優れた硬化膜を形成可能な活性光線硬化型インク組成物及びインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】光酸発生剤、重合性モノマー、ウレタン化合物を含有する活性光線硬化型インク組成物において、該重合性モノマーの50質量%以上がビニルエーテル化合物であり、該ウレタン化合物は、重合性基として少なくとも1つのビニルエーテル基、メタクリロイル基またはアクリロイル基を有するウレタン化合物であり、且つ、25℃における該活性光線硬化型インク組成物の粘度が7mPa・s〜100mPa・s、含水率が0.5質量%以下であることを特徴とする活性光線硬化型インク組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規の活性光線硬化型インク組成物及びインクジェット記録方法に関する。
従来、紫外線や電子線などの活性エネルギー線(光線)により硬化する活性光線硬化型組成物は、プラスチック、紙、木工及び無機質材等の塗料、接着剤、印刷インキ、印刷回路基板及び電気絶縁関係等の種々の用途に実用化されている。
近年、その中でも、印刷インキ、塗料、接着剤等では、より一層の付着性と硬化後の硬化膜の柔軟性改善が望まれている。
また、これらの活性光線により硬化する重合性組成物を使用したインクジェット用インクシステムとしては、紫外線で硬化する紫外線硬化型インクジェットインクがあるが、この紫外線硬化型インクジェットインクを用いたインクジェット方式は、速乾性に優れ、インク吸収性の無い記録媒体への記録ができる点で、近年注目されつつある。
紫外線硬化型インクジェットインクの中でも、カチオン重合型インクジェットインクは酸素による硬化阻害を受けないため、小液滴化や低エネルギー光源での硬化性に優れており、柔軟性の高い硬化膜を得ることができるという利点がある。
カチオン重合型インクジェットインクでは、重合性モノマーとしてオキセタン化合物や脂環式エポキシ化合物を用いたものが多く開示されている(例えば、特許文献1、2及び3参照。)。
また、ビニルエーテル化合物もカチオン重合性を有しており、比較的低粘度で硬化性も優れ、原材料が比較的低コストであるというメリットがあり、カチオン重合型インクジェットインク組成物として提案がなされている(例えば、特許文献4及び5参照。)。
しかし、これら従来のカチオン重合型インクジェットインクは低湿下では十分な硬化感度があるものの、湿度依存性が大きく、高湿下では本発明者らが所望するだけの十分な硬化感度を得ることができなかった。
特に、ビニルエーテル化合物においては反応系中に水が存在すると速やかに加水分解してしまうため、他のカチオン重合性モノマーに比べて、水分による硬化阻害の影響が特に大きいということが判明した。
環境によって光硬化性が大きく変動してしまうビニルエーテル化合物は、安定に高精細な画像を得ようとした場合にインクとして用いることが困難であった。
一方、エーテル結合やヒドロキシル基などの極性基を含まない脂肪族または脂環式ビニルエーテル化合物をインク主成分として用いた場合には加水分解の影響を軽減することが可能であるものの、これら化合物だけでは画像形成を目的とした場合には柔軟性や密着性といった膜物性が十分ではないことが本発明者らの検討でわかった(例えば、特許文献6参照。)。
また、ビニルエーテルにオリゴマーやポリマーを添加して膜物性の改善を試みた例はあるものの、数百mPa・s〜数万mPa・sという高い粘度を有する組成物の検討であって、ウレタンオリゴマーやウレタンポリマー(ポリウレタンともいう)を添加して100mPa・s以下の低粘度な組成物を吐出するインクジェット方式で画像形成することはできなかった。(例えば、特許文献7参照。)。
特開2002−317139号公報 特許第3014251号公報 特開2004−43576号公報 特許第3893833号公報 特開2008−280460号公報 特開2007−217688号公報 特許第3545274号公報
本発明の目的は、高湿下でも光重合性を損なうことなく、柔軟性に優れた硬化膜を形成可能な活性光線硬化型インク組成物及びインクジェット記録方法を提供することである。
本発明の上記目的は下記の構成により達成された。
1.少なくとも、光酸発生剤、重合性モノマー、ウレタン化合物を含有する活性光線硬化型インク組成物において、
該重合性モノマーの50質量%以上がビニルエーテル化合物であり、該ウレタン化合物は、一般式(1)で表される部分構造をもち、重合性基として少なくとも1つのビニルエーテル基、メタクリロイル基またはアクリロイル基を有する化合物であり、且つ、25℃における該活性光線硬化型インク組成物の粘度が7mPa・s〜100mPa・s、含水率が0.5質量%以下であることを特徴とする活性光線硬化型インク組成物。
Figure 2011184539
〔式中、Rは分岐アルキレン基または脂環式アルキレン基を表す。〕
2.前記ビニルエーテル化合物が、少なくとも1種類の脂環式ビニルエーテルを含有することを特徴とする前記1に記載の活性光線硬化型インク組成物。
3.前記1または2に記載の活性光線硬化型インク組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明により、高湿下でも光重合性を損なうことなく、柔軟性に優れた硬化膜を形成可能な活性光線硬化型インク組成物及び該活性光線硬化型インク組成物を用いるインクジェット記録方法を提供することができた。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す正面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の要部の構成の他の一例を示す上面図である。
本発明の活性光線硬化型インク組成物は、請求項1〜3のいずれか1項に記載される構成により、高湿下でも光重合性を損なうことなく、柔軟性に優れた硬化膜を形成可能な活性光線硬化型インク組成物を提供することができた。併せて、該インク組成物を用いるインクジェット記録方法を提供することができた。
以下、本発明の活性光線硬化型インク組成物の構成要素、及び本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者等は、上記の本願発明の解決すべき課題を解決するために、従来公知の活性光線硬化型インク組成物の構成要件を検討する中で、特に、重合性モノマー、ウレタン化合物について下記のような知見を得た。尚、本発明に係る重合性モノマー、ウレタン化合物の構造等の知見については、後に詳細に説明する。
(a)重合性モノマー
従来公知の活性光線硬化型インク組成物中に含有される重合性モノマー、例えば、カチオン重合性モノマーの中でも、ビニルエーテル系の化合物はオキセタン化合物やエポキシ系の化合物等に比べて、硬化速度が早く安価で安全性にも優れているが、水とルイス酸の存在下では加水分解することが知られている。
このため、酸が発生する恐れがある系においてビニルエーテルを長期にわたって保存する際は、予め塩基性化合物を添加する必要があった。
一方、カチオン硬化型インクの場合は、塩基性化合物を過剰に添加してしまうと光硬化性の低下を招来しやすいという問題点があった。
また、本発明者らの鋭意検討の結果、カチオン硬化型インクは、経時で開始剤由来の微量な酸が発生してしまい、インク中で加水分解してアルコールとアルデヒドが生成してしまうという問題点を見出した。
生成したアルコールはインクの光硬化感度の低下、アルデヒドは臭気の原因となるため、インク組成物中のビニルエーテルの加水分解は極力抑制することが好ましいということがわかった。
本発明者等は、上記から、ビニルエーテルを主成分とするカチオン硬化型インクで加水分解を抑制しようとする場合には、従来のインク組成物のように塩基性化合物の添加ではなく、含水率を可能な限り押さえることが好ましいことを見出した。
(b)ウレタン化合物
ビニルエーテル系の化合物を主成分とした、従来の活性光線硬化型インク組成物により形成された硬化膜においては、反応で消費されずに残留したプロトン酸によって脱アルコール反応が起こりやすく、ポリマー主鎖中にポリエンを形成することが知られている。
このポリエンの形成によって硬化膜の着色が発生してしまうため、画像形成上、残留プロトン酸は除去されることが好ましい。
本発明者らの検討によれば、ビニルエーテル系の化合物を主成分としたインクに対しては、ウレタン化合物を添加することにより、インクジェットインク(単に、IJインクともいう)として十分安定に吐出可能な粘度の範囲内において、優れた柔軟性を得られることがわかった。
更に、驚くべきことに、分子内に特定構造を有するウレタン化合物の場合には、感度低下することなく、硬化膜の着色を防止し、且つ、加水分解の抑制にも効果を示すことを見出した。
通常、カチオン重合反応において、ウレタン化合物を添加した場合、ウレタン基の塩基性によってプロトン酸がトラップされて硬化性が低下することが知られているが、特定構造を有するウレタン化合物では感度低下が起こらいことを本発明者等は見出した。
その理由としては、分岐アルキレン基または脂環式アルキレン基があることで、ウレタン基によるプロトン酸のトラップ効果が軽減されているためではないかと推測している。一方で、ウレタン基による残留プロトン酸のトラップ効果は、硬化膜の着色を軽減するのには十分であることも判明した。
即ち、
第1に、活性光線硬化型インク組成物におけるビニルエーテル化合物が加水分解してしまうことを抑制する手段として、該インク組成物中の含水率を0.5質量%以下に調整すること、
第2に、活性光線硬化型インク組成物を用い、インクジェット記録方法により形成された硬化膜の物性を改善するためには、分岐アルキレン基または脂環式アルキレン基を有するウレタン化合物を添加することであり、重合性基として少なくとも1つのビニルエーテル基、メタクリロイル基またはアクリロイル基を有すること、
第3に、インクジェット方式で安定に出射可能な低粘度インクにおいて、十分な硬化性と膜物性を得るためには重合性モノマー組成物の50質量%以上がビニルエーテル化合物であることが必要である、
ということを見出した。
特に、重合性モノマー組成物(ここで組成物とは、重合性モノマーが一種から調製されてもよく、また、複数の重合性モノマーから調製されていてもよいことを示す)に占めるビニルエーテル化合物の割合が50質量%未満である場合には、インク組成物中の含水率が0.5質量%を満たしていても所望する効果は得られなかった。本発明の効果は、ビニルエーテル基に起因する優れた反応性や、得られる重合物の架橋構造によって達成されているものと推測している。
以下、本発明に係る重合性モノマーについて詳細に説明し、次いで、本発明に係るウレタン化合物について詳細に説明する。
《重合性モノマー》
本発明に係る重合性モノマーについて説明する。
本発明に係る重合性モノマーとしては、具体的には、カチオン重合性化合物またはラジカル重合性化合物等が好ましく、該カチオン重合性化合物としては、ビニルエーテル化合物が好ましい。
尚、本発明の活性光線硬化型インク組成物(活性光線型ジェットインク)においては、少なくとも重合性モノマーの50質量%以上はビニルエーテル化合物(ビニルエーテル化合物ともいう)である。
《ビニルエーテル化合物(ビニルエーテル誘導体ともいう)》
本発明に係る重合性モノマーとして用いられるカチオン重合性化合物として好ましく用いられるビニルエーテル化合物について説明する。
本発明に係るビニルエーテル化合物は、少なくとも1つ以上のビニルエーテル基を有する有機化合物を指し、例えば以下のようなものが挙げられる。
2−ビニロキシエタノール、2−(または3−)ビニロキシプロパノール、2−(または4−)ビニロキシブタノール、6−ビニロキシヘキサノール、2−(ビニロキシエトキシ)エタノール、2−(ビニロキシ−i−プロポキシ)プロパノール、2−(ビニロキシエトキシ)−i−プロパノール、2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エタノール、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル等のヒドロキシ基含有ビニルエーテル類;1−クロロ−2−ビニロキシエタン、1−クロロ−3−ビニロキシプロパン、1−クロロ−4−ビニロキシブタン、1−クロロ−6−ビニロキシヘキサン、1−クロロ−2−(ビニロキシ−i−プロポキシ)エタン、1−クロロ−2−(ビニロキシエトキシ)プロパン、1−クロロ−2−(ビニロキシエトキシ)−i−プロパン、1−クロロ−2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エタン、1−クロロ−2−(ビニロキシポリエトキシ)エタン、1−クロロ−2−(ビニロキシポリ−i−プロポキシ)エタン、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチルエステル、フェノールノボラック樹脂ビニルエーテル、クレゾールノボラック樹脂ビニルエーテル、エチレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、エチレングリコールビス(2−ビニロキシポリ−i−プロポキシ)エチルエーテル、ジエチレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、トリエチレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、プロピレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、ジプロピレングリコールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、ブタンジオールビス(2−ビニロキシポリ−i−プロポキシ)エチルエーテル、ヘキサンジオールビス(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、シクロヘキサンジメタノールビス(2−ビニロキシポリ−i−プロポキシ)エチルエーテル、トリメチロールプロパントリ(2−ビニロキシポリエトキシ)エチルエーテル、1,1,1−トリ(4−ビニロキシフェニル)エタン、1−〔α−メチル−α−(4−ビニロキシフェニル)エチル〕−4−〔α,α−ビス(4−ビニロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス(4−ビニロキシフェニルスルホニルメチル)ベンゼン、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、オエンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリビニルエーテル等である。
上記以外にも、これまでに開示されている種々のビニルエーテル化合物を適用することが可能である。例えば、特許第3461501号公報に開示されている、分子内に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基を含む化合物、特許第4037856号公報に開示されている少なくとも酸素原子を含む脂環骨格をもつビニルエーテル化合物、特開2005−015396号公報に開示されている脂環式骨格を有するビニルエーテル、特開2008−137974号公報に開示されている1−インダニルビニルエーテル、特開2008−150341号公報に開示されている4−アセトキシシクロヘキシルビニルエーテル等を挙げることができる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、表面硬度を考慮すると、ジまたはトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。その中でも、脂環式骨格を有するジビニルエーテル、例えばシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルを含有させた場合、硬化性、表面硬度、耐溶剤性等の点で一層好ましい。
これらビニルエーテル化合物は、本発明のインクジェットインク中の全重合性モノマーの50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
(ビニルエーテル化合物の入手手段または合成手段)
本発明に係るビニルエーテル化合物の合成は、例えば、J.Chem.Soc.,1965(2)1560−1561、Am.Chem.Soc.Vol.124,No.8,1590−1591(2002)及び特開2005−015396号公報等に記載された公知の合成方法に準じて合成することができる。
(ビニルエーテル化合物の具体例)
以下、本発明に係るビニルエーテル化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2011184539
尚、上記の各構造式は、各々、
2EHAVE:2−エチルヘキシルアルコールビニルエーテル
HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル
DEGVE:ジエチレングリコールビニルエーテル
CHVE:シクロヘキシルビニルエーテル
TEGDVE:トリエチレングリコールジビニルエーテル
BDVE:ブタンジオールジビニルエーテル
HDDV:ヘキサンジオールジビニルエーテル
CHDVE:1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル
TMPTVE:トリメチロールプロパントリビニルエーテル
を表す。
また、ビニルエーテル化合物としては、
HEVE:2−ヒドロキシエチルビニルエーテル
HHVE:6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル
HOVE:8−ヒドロキシオクチルビニルエーテル
HMcHVE:4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチルビニルエーテル
EVE:エチルビニルエーテル
tBuVE:t−ブチルビニルエーテル
等を挙げることができる。
(その他の重合性モノマー(カチオン重合性化合物等))
本発明の活性光線硬化型インク組成物においては、他のカチオン重合性化合物、例えば、従来公知のエポキシ化合物、オキセタン環含有化合物等を、本発明の目的効果を損なわない範囲で用いることができる。
エポキシ化合物としては、通常、エポキシ樹脂として用いられるモノマー、オリゴマーまたはポリマーのいずれも使用可能である。具体的には、従来公知の芳香族エポキシド、脂環族エポキシド及び脂肪族エポキシドが挙げられる。尚、以下、エポキシドとは、モノマーまたはそのオリゴマーを意味する。これらの化合物は1種または必要に応じて2種以上用いてもよい。
これらエポキシ化合物は、本発明の活性光線硬化型インク組成物中に0〜20質量%、好ましくは0質量%〜10質量%配合されることが、硬化性、硬化膜の柔軟性、基材との密着性の点で好ましい。
オキセタン化合物は、分子内に1以上のオキセタン(トリメチレンオキシド)環を有する化合物である。具体的には3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成社製:OXT101等)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン(同OXT121等)、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(同OXT211等)、ジ(1−エチル−3−オキセタニル)メチルエーテル(同OXT221等)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(同OXT212等)、ジ(1−メチル−3−オキセタニル)メチルエーテル等を好ましく用いることができ、特に3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ(1−エチル−3−オキセタニル)メチルエーテルが好ましい。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらオキセタン化合物は、本発明のインクジェットインク中に、0質量%〜20質量%、好ましくは0質量%〜10質量%配合されることが硬化性、硬化膜の柔軟性、基材との密着性の点で好ましい。
この他にもカチオン重合性化合物としては、上述のビニルエーテル、エポキシ化合物、オキセタン化合物以外にも、カチオン重合可能な公知の環状化合物を含有しても良い。
(ラジカル重合性化合物)
本発明に係る重合性モノマーの一例であるラジカル重合性化合物について説明する。
本発明の活性光線硬化型インク組成物はビニルエーテル化合物を主成分とするため、ラジカル重合性の化合物を添加することも可能である。ラジカル重合性の化合物としては従来公知の(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、チオール化合物、アリール化合物、など不飽和二重結合と共重合可能な化合物を使用することができる。ラジカル重合性化合物は、本発明のカチオン重合性を損なわない範囲で添加することが好ましく、インク全体の20質量%以下であることが好ましい。
以下、本発明に係るウレタン化合物について詳細に説明する。
《ウレタン化合物》
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物が含有するウレタン化合物は、上記一般式(1)で表される部分構造をもち、重合性基として少なくとも1つのビニルエーテル基、メタクリロイル基またはアクリロイル基を有する化合物である。
また、一般式(1)で表される部分構造において、Rで表される分岐アルキレン基としては、アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等)の任意の水素原子が、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)やアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)等で置換されたものが挙げられる。
更に、一般式(1)で表される部分構造において、Rで表される脂環式アルキレン基としては、例えば、シクロヘキシレン基(例えば、1,6−シクロヘキサンジイル基等)、シクロペンチレン基(例えば、1,5−シクロペンタンジイル基など)等が挙げられる。
光開始剤より発生した酸により重合が開始するカチオン重合型インクにおいては、ウレタン基などの塩基性官能基が存在すると酸がトラップされてしまい反応が低下してしまうが、本発明に係る、特定構造を有するウレタン化合物では、反応低下への影響が非常に小さくなることを見出した。
理由は明らかとなっていないが、塩基性官能基付近に立体障害性の高い構造があることにより、酸のトラップが起こりにくくなっているのではないかと推測している。
また、ビニルエーテル基やメタクリロイル基、アクリロイル基を含有することで、該ウレタン化合物は重合反応によりポリマー鎖中に組み込まれるため、光硬化性や膜強度が向上するものと推測される。
また、本発明に係るウレタン化合物は、重量平均分子量が100〜10000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲にあると、硬化性や柔軟性を一層向上させることができる。ウレタン化合物の重量平均分子量は、THF(テトラヒドロフラン)をカラム溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定することができる。
本発明に係るウレタン化合物の粘度は、10mPa・s以上、10000mPa・s未満であることが好ましい。粘度がこの範囲にあると、インクの吐出性が安定し、連続して出射しても高精細な画像を得ることができる。尚、ウレタン化合物の粘度は、後述する本発明の活性光線硬化型インク組成物の粘度の測定方法を用いて測定できる。
また、本発明に係るウレタン化合物の添加量は、25℃における該活性光線硬化型インク組成物の粘度が7mPa・s〜100mPa・sを満たす範囲であれば特に限定されず、添加量が多い方が硬化膜の柔軟性や密着性が向上するのでより好ましい。
インクジェットにおいては、粘度の調整が重要であり、一般的な印刷方式であるオフセット印刷やスクリーン印刷において、インクの粘度が数千mPa・s〜数万mPa・s程度のものが用いられるのに比べ、インクジェットでは100mPa・s程度までの比較的低粘度のインクが用いられる。
これまで、インクジェットインクにウレタン化合物を添加することはごく一般的に行われているものの、インクジェットで安定に出射するための粘度制限があるために、特にモノマーの粘度が比較的高いカチオン重合型インクジェットインクにおいては、添加できるウレタン化合物の種類、添加量は限定的されてしまい、より高性能なインクを設計することが困難であった。
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物では、低粘度のビニルエーテル化合物が主成分となっていることにより、他の重合性モノマーを主成分としたときに比べてインクの粘度を低く抑えることができ、従来適用することができなかった粘度の高いウレタン化合物も適用することが可能となった。
また、本発明に係る、特定構造を有するウレタン化合物は、カチオン重合反応に対する阻害が小さいために、反応性を低下させずに柔軟性や密着性といった膜物性を向上させることが実現可能となることも併せて本発明者等は見出した。
本発明に係るウレタン化合物は、従来公知の方法で調製したものを適用することが可能で特に限定されないが、例えば、特開平7−206975号公報や特開平5−287696号公報、特開2009−1596号公報などに記載されている方法を参照して合成することができる。
本発明に係る上記一般式(1)で表される部分構造を有するウレタン化合物の具体例としては、特に、1,5−ジイソシアナト−2−メチル−ペンタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネートなどのジイソシアネートを用いて合成されたウレタン化合物は、カチオン重合反応における反応性低下が小さく一層好ましい。
以下、本発明に係るウレタン化合物の合成例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
《ウレタン化合物1の合成》:本発明に係るウレタン化合物
(ビニルエーテル基を有し、一般式(1)のRが脂環式アルキレン基の場合)
ペンタンジオール(東京化成工業社製)とイソホロンジイソシアネート(Bayer社製)及び1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(日本カーバイド社製)とを用いて、特開平7−206975号公報や特開平5−287696号公報、特開2009−1596号公報などに記載の方法に従い、ウレタン化合物1の合成を行った。
《ウレタン化合物2の合成》:本発明に係るウレタン化合物
(ビニルエーテル基を有し、一般式(1)のRが脂環式アルキレン基の場合)
ウレタン化合物1の合成において、ペンタンジオールを1,4−ブタンジオール(東京化成工業社製)に変更した以外は同様にしてウレタン化合物2を合成した。
《ウレタン化合物3の合成》:本発明に係るウレタン化合物
(アクリロイル基を有し、一般式(1)のRが脂環式アルキレン基の場合)
ウレタン化合物1の合成において、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルを2−ヒドロキシプロピルアクリレート(大阪有機化学工業社製)に変更した以外は同様にしてウレタン化合物3を合成した。
《ウレタン化合物4の合成》:本発明に係るウレタン化合物
(メタクリロイル基を有し、一般式(1)のRが脂環式アルキレン基の場合)
ウレタン化合物1の合成において、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルを2−ヒドロキシエチルメタクリレート(大阪有機化学工業社製)に変更した以外は同様にしてウレタン化合物4を合成した。
また、後述する実施例で用いる比較のウレタン化合物についても下記のようにして合成を行った。
《ウレタン化合物5の合成》:比較のウレタン化合物
(一般式(1)のRが直鎖のアルキレン基で本発明外)
ウレタン化合物1の合成において、イソホロンジイソシアネートを1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートに変更した以外は合成例1と同様にして比較のウレタン化合物5を合成した。
《ウレタン化合物6の合成》:比較のウレタン化合物
(重合性基としてビニルエーテル基を有していないので本発明外)
ウレタン化合物1の合成において、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルを添加していないこと以外は同様にして比較のウレタン化合物6を合成した。
《活性光線硬化型インク組成物の物性》
本発明の活性光線硬化型インク組成物の物性は、通常の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクと同様の物性値を有することが好ましい。
即ち、粘度は25℃において7mPa・s〜100mPa・sに調整するが、シェアレート依存性ができるだけ小さく、表面張力は25℃において22mN/m〜35mN/mの範囲にあること、顔料以外に粒径が1μmを超えるようなゲル状物質が無いこと、電導度は10μS/cm以下の電導度とし、ヘッド内部での電気的な腐食のないインクとすることが好ましい。
ここで、本発明の活性光線硬化型インク組成物の粘度は、Anton Paar社製レオメーター Physica MCR−300にて測定したシェアレート1000(1/s)の値である。尚、粘度の単位はmPa・sで得られる。
コンティニュアスタイプにおいては、電解質による電導度の調整が必要であり、この場合には0.5mS/cm以上の電導度に調整することが好ましい。
加えて本発明のインクの物性として、更に好ましい形態は、毎分5℃の降下速度で25℃から−25℃の範囲でインクのDSC測定を行ったとき、単位質量あたりの発熱量が10mJ/mg以上の発熱ピークを示さないことが好ましい。
本発明の構成に従って素材の選定を行うことにより、DSC測定において一定量以上の発熱を抑えることが出来る。このような構成とすることにより、インクを低温で保存した場合においてもゲルの発生や、析出物の発生を抑えることができる。
《活性光線硬化型インク組成物の含水率》
本発明の活性光線硬化型インク組成物においては、含水率を0.5質量%以下に調整するが、更に好ましくは0.3質量%以下に調整することである。
水はカチオン重合禁止剤として作用し、インクの保存安定性を改善する効果があるが、本発明のインクにおいて含水率を0.5質量%以下に制御することにより、高湿環境において重ね印字をした場合の硬化性、硬化時の臭気、硬化膜の耐溶剤性、基材との密着性を更に改善することができる。
0.5質量%より多いと、上記の効果が低減したり、顔料分散性の低下や、分散剤や各種添加剤の析出といった保存安定性の低下が起こる可能性がある。
含水率を0.5質量%以下とする方法としては、例えば、吸水剤または吸湿剤にインクを接触させる方法や、加熱処理、減圧処理または接触処理、乾燥気体を導入する方法などがある。
インク中の水分を吸水または吸湿する素材としては、公知のアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、硫酸塩、金属ハロゲン化物、過塩素酸塩、シリカゲル、モレキュラーシーブ、酸化カルシウム、塩化カルシウム等の無機化合物やポリアミノ酸またはその塩に代表される吸水性樹脂等の有機物が用いられる。
本発明においては、上記各素材の中では、水以外のカチオン重合性インクの成分と反応したり、液状のインク中に溶解したりしない吸水剤または吸湿剤が好ましい。
加熱方法としては、特に制限はなく、保温水により加熱する方法、ヒーターあるいは加熱コイルに接触させて加熱する方法、ドライヤーなどの対流により加熱する対流加熱手段、赤外線や高周波の電磁波などの放射により加熱する放射加熱手段などが挙げられる。
また、減圧処理としては、インクを密封容器に導入した後減圧を行って水分を除去方法であり、この時上記加熱処理を併用することが、より効果的に水分を取り除くことができる点で好ましい。
また、乾燥気体の導入あるいは接触処理としては、インク表面に乾燥した気体を接触させて除去する方法、あるいは乾燥気体をインク液中にバブリングして水分を除く方法等を用いることができるが、この時使用する乾燥気体としては、インクの各構成成分との反応性が低いガス、不活性ガス等を選択して用いることが好ましい。また、乾燥気体の導入または接触処理と同時に、上記加熱処理を併用することが、より効果的に水分を取り除くことができる点で好ましい。
本発明の活性光線硬化型インク組成物の含水率の測定は、カールフィッシャー法を用いて測定した。
《光酸発生剤(重合開始剤、活性光線重合開始剤ともいう)》
本発明に係る光酸発生剤について説明する。
本発明の活性光線硬化型インク組成物で用いることのできる活性光線重合開始剤としては、公知の光酸発生剤を用いることができる。
具体的にはアリールスルホニウム塩誘導体(ユニオン・カーバイド社製のサイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6974;ADEKA社製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172、サン・アプロ社製のCPI−100P、CPI−101A、CPI−110P、CPI−110A、CPI−200K、CPI−210S、三和ケミカル社製のTS−91、Lamberti社製のEsacure1187、Esacure1188等)、アリルヨードニウム塩誘導体(ローディア社製のRP−2074、チバ・ジャパン社製のイルガキュア250等)、アレン−イオン錯体誘導体(チバ・ジャパン社製のイルガキュア250等)、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤及びその他のハロゲン化物等の酸発生剤が挙げられる。
オニウム塩のカウンターアニオンとしては一般にPF 、AsF 、B(Ph) 、P(Rf(n−6)などが用いられる。なお、Rfはフッ素含有脂肪族基を表し、好ましくは、水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基である。nはその個数を表し、1から5の整数を表す。
n個のRfはそれぞれ同一であっても異なっても良い。具体的な製品例としては、サン・アプロ社製のCPI−210KやCPI−210S(みどり化学製)が挙げられるが、カチオン構造はこれに限定されない。国際公開第05/116038号に開示されている重合開始剤を適宜使用することができる。
本発明の活性光線硬化型インク組成物においては、CPI−100PやCPI−210Sなどを用いることが、硬化性や臭気、熱安定性などの観点で好ましい。
本発明に係る光酸発生剤(重合開始剤、活性光線重合開始剤)は、重合性モノマー100質量部に対して0.2〜10質量部の比率、更に0.5〜5質量部で含有させるのが好ましい。
本発明に係る光酸発生剤の含有量がこの範囲であると、光硬化性や保存安定性が一層向上するため好ましい。
これら活性光線重合開始剤は、1種または2種以上を選択して使用することができる。
活性光線重合開始剤の増感剤としては、スルホニウム塩を活性光線重合開始剤とした場合にはアントラセン、アントラセン誘導体(ADEKA社製のアデカオプトマーSP−100、ジエトキシアントラセン、ジブトキシアントラセン等)が挙げられる。ヨードニウム塩を活性光線重合開始剤とした場合にはチオキサントン類などが使用できる。
これらの増感剤は1種または複数を組み合わせて使用することができる。その添加量は、増感効果を向上させ、且つ、増感剤自体の着色や増感剤分解物による着色を防止する観点から、重合性モノマー100質量部に対して0.2質量部〜10質量部の比率、更に好ましくは0.5質量部〜8質量部で含有させるのが好ましい。
この他、活性光線重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を併用する場合には、従来公知のラジカル重合開始剤を添加することができる。
《着色剤》
本発明の活性光線硬化型インク組成物(活性光線型インクジェットインク)を着色する場合は、顔料を着色剤として用いることが好ましい。顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無色無機顔料または有色有機顔料を使用することができる。有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料;アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系有機顔料;キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料;ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系有機顔料;イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系有機顔料;ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機顔料;チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン系有機顔料;イソインドリンイエローなどのイソインドリン系有機顔料;その他の顔料として、フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)No.で以下に例示する。
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、
C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、
C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、
C.I.ピグメントグリーン7、36、
C.I.ピグメントブラウン23、25、26、
上記顔料の中でも、キナクリドン系、フタロシアニン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、キノフタロン系、イソインドリン系有機顔料等は耐光性が優れているため好ましい。
有機顔料は、耐光性を向上させ、且つ、良好な分散性を示して顔料の沈澱生成を防止し、インクの吐出安定性を向上させる観点から、レーザー散乱による測定値でインク中の平均粒径が10nm〜150nmの微細粒子であることが好ましい。
但し、酸化チタンの場合は白色度と隠蔽性を持たせるために平均粒径は150〜300nm、好ましくは180〜250nmとする。
またインク中の顔料の最大粒径は、吐出安定性を高める点で1μmを越えないよう、十分に分散、或いは濾過により粗大粒子を除くことが好ましい。
有機顔料の微細化は以下の方法で行うことができる。即ち、有機顔料、有機顔料の3質量倍以上の水溶性無機塩及び水溶性溶剤の少なくとも3成分から成る混合物を粘土状とし、ニーダー等で強く練り込んで微細化した後、水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌してスラリー状とする。次いで、スラリーの濾過と水洗を繰り返して、水溶性の無機塩及び水溶性の溶剤を除去する。微細化工程において、樹脂、顔料分散剤等を添加してもよい。
微細化工程で用いる水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられるが、これらの無機塩は有機顔料の3質量倍〜20質量倍の範囲で用いることが所望の大きさの処理顔料を得るため、また、有機顔料の処理量の点から好ましい。
水溶性溶剤は、有機顔料と破砕助剤として用いられる水溶性無機塩との適度な粘土状態を作り、充分な破砕を効率よく行うために用いられ、水に溶解する溶剤であれば特に限定されないが、混練時に温度が上昇して溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から沸点120〜250℃の高沸点の溶剤が好ましい。水溶性溶剤として、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(i−ペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
また顔料はその表面に顔料分散剤との吸着を促進するために、酸性処理または塩基性処理、シナージスト、各種カップリング剤など、公知の技術により表面処理を行うことが分散安定性を確保するために好ましい。
顔料は、十分な濃度及び十分な耐光性を得るため、インクジェットインク中に白色を除く色の場合1.5質量%〜8質量%、酸化チタンを用いた白色インクの場合、10質量%〜30質量%の範囲で含まれることが好ましい。
《顔料分散剤》
本発明の活性光線硬化型インク組成物の調製に用いられる顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等を挙げることができる。
具体例としては、BYK Chemie社製の「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」が挙げられる。
また、Efka CHEMICALS社製の「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」;共栄化学社製の「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」;楠本化成社製の「ディスパロンKS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」等が挙げられる。
更には、花王社製の「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」;ゼネカ社製の「ソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13240、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000、32000、7000」;日光ケミカル社製の「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」、味の素ファインテクノ製のアジスパー821、822、824等が挙げられる。
これらの顔料分散剤は、顔料100質量部に対し5質量%〜70質量%、好ましくは10質量%〜50質量%の範囲で含有させることが好ましい。5質量%以上とすることにより、良好な分散安定性が得られ、また、70質量%以下とすることにより吐出安定性をも良好に維持することが可能である。
更に、これらの顔料分散剤は、0℃におけるカチオン重合性化合物全体へ5質量%以上の溶解性があることが好ましい。溶解性が5質量%以上であると、インクを低温保存したときに、好ましくないポリマーゲルまたは顔料の軟凝集体が発生しにくく、インクの保存安定性と吐出安定性とを良好にする。
《重合禁止剤》
本発明の活性光線硬化型インク組成物においては、カチオン重合禁止剤を添加することが好ましい。ビニルエーテル化合物は反応性が高く、残留酸や、保存時に僅かに重合開始剤から発生する酸によって、暗反応が進行しやすいので、重合禁止剤は意図的に添加することが好ましい。
重合禁止剤としては、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物もしくは、アミン類を挙げることができる。アルカリ金属イオン類は後述するようにできるだけ添加しない方が好ましく、アミン類が適している。
アミンとして好ましくは、アルカノールアミン類、N,N−ジメチルアルキルアミン類、N,N−ジメチルアケニルアミン類、N,N−ジメチルアルキニルアミン類などであり、具体的には、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、2−アミノエタノール、2−メチルアミノエタノール、3−メチルアミノ−1−プロパノール、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−エチルアミノエタノール、4−エチルアミノ−1−ブタノール、4−(n−ブチルアミノ)−1−ブタノール、2−(t−ブチルアミノ)エタノール、N,N−ジメチルウンデカノール、N,N−ジメチルドデカノールアミン、N,N−ジメチルトリデカノールアミン、N,N−ジメチルテトラデカノールアミン、N,N−ジメチルペンタデカノールアミン、N,N−ジメチルノナデシルアミン、N,N−ジメチルイコシルアミン、N,N−ジメチルエイコシルアミン、N,N−ジメチルヘンイコシルアミン、N,N−ジメチルドコシルアミン、N,N−ジメチルトリコシルアミン、N,N−ジメチルテトラコシルアミン、N,N−ジメチルペンタコシルアミン、N,N−ジメチルペンタノールアミン、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N,N−ジメチルヘプタノールアミン、N,N−ジメチルオクタノールアミン、N,N−ジメチルノナノールアミン、N,N−ジメチルデカノールアミン、N,N−ジメチルノニルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルトリデシルアミン、N,N−ジメチルテトラデシルアミン、N,N−ジメチルペンタデシルアミン、N,N−ジメチルヘキサデシルアミン、N,N−ジメチルヘプタデシルアミン、N,N−ジメチルオクタデシルアミンが挙げられる。これらの他にも、4級アンモニウム塩なども使用することができる。中でも2メチルアミノエタノールは少量の添加で硬化性を落とさずに保存安定性を改善することができるので好ましい。
カチオン重合禁止剤の添加量は10ppm〜5000ppmであることが好ましい。10ppm以上とすることにより良好な保存安定性が得られ、インクの増粘やインクジェットノズルに対する良好な撥液性が得られ吐出安定性を維持できる点で好ましい。
5000ppm以下とすることにより、活性エネルギー線開始剤の酸発生効率を十分に維持することが可能となり、硬化感度を維持することが可能となる。
本発明のインクにおいては、上記のカチオン重合禁止剤に変えて、ラジカル重合禁止剤を添加することで保存安定性が得られる場合もある。
また、上記のカチオン重合禁止剤とラジカル重合禁止剤を併用することも好ましい。ラジカル重合禁止剤を併用することにより、インク中に不純物や残留酸が存在していても飛躍的にインクの保存安定性を向上させられることが分かった。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクはカチオン重合性化合物としてビニルエーテル化合物を主体としているが、ビニルエーテル化合物はラジカル重合性も有しているため、ラジカル重合禁止剤が相乗効果を発揮すると考えられる。
ラジカル重合禁止剤としては、メトキノン(ヒドロキノンモノメチルエーテル)、ハイドロキノン、4−メトキシ−1−ナフトール、ヒンダードアミン系酸化防止剤、含窒素複素環メルカプト系化合物、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、各種糖類、リン酸系酸化防止剤、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体、ジシアンジアミドとポリアルキレンポリアミンの重縮合物などが挙げられる。
また、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル(以下、TEMPOと略記する)は、少量の添加で硬化性を落とさずに保存安定性を改善することができるので好ましい。
ラジカル重合禁止剤の添加量は10ppm〜10000ppmであることが好ましい。10ppm以上とすることにより良好な保存安定性が得られ、インクの増粘やインクジェットノズルに対する良好な撥液性が得られ、吐出安定性を維持できる点で好ましい。
10000ppm以下とすることにより、活性光線開始剤の酸発生効率を十分に維持することが可能となり、硬化感度を維持することが可能となる。
《金属イオン》
本発明の活性光線硬化型インク組成物においては、インク中のNaイオン、Caイオン及びMgイオンの総量が100ppm以下であることが好ましい。
これらのイオンは、インクと純水とを混合し、水相を分離した後に水相に抽出されたイオンをイオンクロマト法によって定量することができる。
これらのアルカリ金属イオンは、通常のインク貯蔵時には何ら問題を起こさないが、インクが活性エネルギー線を受け、活性エネルギー線重合開始剤から様々な分解物や活性種が生成した場合に、難溶性の塩を形成することがある。
そのため、長期間インクを吐出すると、インクジェットノズルの開口部付近に難溶性の析出物が生成し吐出精度を低下させてしまう可能性がある。
インク中のアルカリ金属イオン量を低減する方法は、各種使用素材を精製することによって達成される。特に、一般に流通している顔料、スルホニウム塩などの活性エネルギー線重合開始剤、分散剤、ビニルエーテル・オキセタン・エポキシなどのカチオン重合開始剤は、その製造工程でアルカリ金属イオンを不純物として含む場合があるので、各素材を適宜精製してから使うことが好ましい。
これらアルカリ金属の精製により、対アニオンの含有量も減ることになり、不純物によるカチオン重合性の低下が抑えられる効果がある。
また、塩素などのハロゲンイオン種も可能な限り減ずることが好ましい。ハロゲンイオン種は高湿条件においてビニルエーテル化合物の反応性を著しく低下させてしまう場合がある。ハロゲンイオンの総量は、インク全量に対して、50ppm未満、好ましくは10ppm未満とすることが好ましい。
ハロゲンイオン種の低減は、上述のアルカリ金属イオン種の低減と同様に、原材料の精製を行うことにより達成可能である。
《その他の添加剤》
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物には、必要に応じて界面活性剤、滑剤、充填剤、防錆剤、消泡剤、増粘剤、ゲル化剤、ポリマー類など各種の添加剤を含有させることができる。
また、必要に応じてエステル系溶剤、エーテル系溶剤、エーテルエステル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、含窒素系有機溶剤など少量の溶剤を添加することもできる。
《活性光線硬化型インク組成物の調製方法》
本発明の活性光線硬化型インク組成物は、活性エネルギー線硬化性化合物であるビニルエーテル化合物、顔料分散剤と共に、顔料をサンドミル等の通常の分散機を用いてよく分散することにより製造される。
予め顔料高濃度の濃縮液を調製しておき、活性光線硬化性化合物で希釈することが好ましい。通常の分散機による分散においても充分な分散が可能であり、このため、過剰な分散エネルギーが掛からず、多大な分散時間を必要としないので、インク成分の分散時の変質を招き難く、安定性に優れたインクが調製できる。調製されたインクは、孔径3μm以下、更には1μm以下のフィルターで濾過することが好ましい。
《インクジェット記録方法》
本発明のインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の活性光線硬化型インク組成物をインクとして用いることが特徴であり、具体的には、上記本発明の活性光線硬化型インク組成物をインクとしてインクジェットノズルより記録媒体上に吐出して、次いで紫外線などの活性エネルギー線を照射してインクを硬化させる記録方法である。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の活性光線硬化型インク組成物を吐出して画像形成を行う際に使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。
また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等など何れの吐出方式を用いても構わない。
(インク着弾後の活性エネルギー線照射条件)
本発明のインクジェット記録方法においては、活性光線の照射条件として、インク着弾後0.001秒〜1.0秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001秒〜0.5秒である。尚、高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが好ましい。
活性光線の照射方法は、特に限定されず、例えば、下記の方法で行うことができる。
特開昭60−132767号公報に記載のヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査し、照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われ、さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化が完了する方法または米国特許第6,145,979号明細書に記載の光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へ紫外線を照射する方法を挙げることができる。
本発明のインクジェット記録方法においては、これらの何れの照射方法も用いることができる。
また、活性光線の照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001秒〜2.0秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、且つ、全印字終了後、更に活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。
活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
(インク着弾後の総インク膜厚)
本発明のインクジェット記録方法では、記録媒体上にインクが着弾し、活性エネルギー線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2μm〜20μmであることが、記録媒体のカール、皺、記録媒体の質感変化、などの面から好ましい。
尚、ここでいう「総インク膜厚」とは、記録媒体に描画されたインクの膜厚の最大値を意味し、単色でも、それ以外の2色重ね(2次色)、3色重ね、4色重ね(白インクベース)のインクジェット記録方式で記録を行った場合でも総インク膜厚の意味するところは同様である。
(インクの加熱および吐出条件)
本発明のインクジェット記録方法においては、活性エネルギー線硬化型インク組成物からなるインクを加熱した状態で、活性エネルギー線を照射することが、吐出安定性の面から、好ましい。
加熱する温度としては、35℃〜100℃が好ましく、35℃〜80℃に保った状態で、活性エネルギー線を照射することが、吐出安定性の点で更に好ましい。
インクジェットインクを所定の温度に加熱、保温する方法として特に制限はないが、例えば、ヘッドキャリッジを構成するインクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク等のインク供給系や、フィルター付き配管、ピエゾヘッド等を断熱して、パネルヒーター、リボンヒーター、保温水等により所定の温度に加熱する方法等が挙げられる。
インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃が好ましく、さらに設定温度±2℃が好ましく、特に設定温度±1℃が、吐出安定性の面から好ましい。
各ノズルより吐出する液滴量としては、記録速度、画質の面から2pl〜20plであることが好ましい。
次いで、本発明のインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)について説明する。
以下、記録装置について、図面を適宜参照しながら説明する。
図1は記録装置の要部の構成を示す正面図である。
記録装置1は、ヘッドキャリッジ2、記録ヘッド3、照射手段4、プラテン部5等を備えて構成される。
この記録装置1は、記録媒体Pの下にプラテン部5が設置されている。
プラテン部5は、紫外線を吸収する機能を有しており、記録媒体Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。
その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。
記録媒体Pは、ガイド部材6に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図1における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキャリッジ2を図1におけるY方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ2に保持された記録ヘッド3の走査を行う。
ヘッドキャリッジ2は記録媒体Pの上側に設置され、記録媒体P上の画像印刷に用いる色の数に応じて後述する記録ヘッド3を複数個、吐出口を下側に配置して収納する。
ヘッドキャリッジ2は、図1におけるY方向に往復自在な形態で記録装置1本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に往復移動する。
尚、図1ではヘッドキャリッジ2がホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ライトイエロー(Ly)、ライトマゼンタ(Lm)、ライトシアン(Lc)、ライトブラック(Lk)、ホワイト(W)の記録ヘッド3を収納するものとして描図を行っているが、実施の際にはヘッドキャリッジ2に収納される記録ヘッド3の色数は適宜決められるものである。
記録ヘッド3は、インク供給手段(図示せず)により供給された活性エネルギー線硬化型インクジェットインク(例えばUV硬化インク)を、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動により、吐出口から記録媒体Pに向けて吐出する。
記録ヘッド3は記録媒体Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に記録媒体Pの他端まで移動するという走査の間に、記録媒体Pにおける一定の領域(着弾可能領域)に対してUVインクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。
上記走査を適宜回数行い、1領域の着弾可能領域に向けて活性エネルギー線硬化型インクジェットインクの吐出を行った後、搬送手段で記録媒体Pを図1における手前から奥方向に適宜移動させ、再びヘッド走査手段による走査を行いながら、記録ヘッド3により上記着弾可能領域に対し、図1における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対してUVインクの吐出を行う。
上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段および搬送手段と連動して記録ヘッド3からインクジェットインクを吐出することにより、記録媒体P上にインクジェットインク滴の集合体からなる画像が形成される。
照射手段4は、例えば特定の波長領域の紫外線を安定した露光エネルギーで発光する紫外線ランプおよび特定の波長の紫外線を透過するフィルターを備えて構成される。
ここで、紫外線ランプとしては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザー、冷陰極管、熱陰極管、ブラックライト、LED(light emitting diode)等が適用可能であり、帯状のメタルハライドランプ、冷陰極管、熱陰極管、水銀ランプもしくはブラックライトが好ましい。
特に、波長254nmの紫外線を発光する低圧水銀ランプ、熱陰極管、冷陰極管および殺菌灯が滲み防止、ドット径制御を効率よく行うことができ好ましい。
ブラックライトを照射手段4の放射線源に用いることで、UVインクを硬化するための照射手段4を安価に作製することができる。
照射手段4は、記録ヘッド3がヘッド走査手段の駆動による1回の走査によってUVインクを吐出する着弾可能領域のうち、記録装置(UVインクジェットプリンタ)1で設定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有する。
照射手段4はヘッドキャリッジ2の両脇に、記録媒体Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。
前述したようにインク吐出部の照度を調整する手段としては、記録ヘッド3全体を遮光することはもちろんであるが、加えて照射手段4と記録媒体Pの距離h1より、記録ヘッド3のインク吐出部31と記録媒体Pとの距離h2を大きくしたり(h1<h2)、記録ヘッド3と照射手段4との距離dを離したり(dを大きく)することが有効である。
又、記録ヘッド3と照射手段4の間を蛇腹構造7にすると更に好ましい。
ここで、照射手段4で照射される紫外線の波長は、照射手段4に備えられた紫外線ランプできはフィルターを交換することで適宜変更することができる。
図2は、インクジェット記録装置の要部の構成の他の一例を示す上面図である。
図2で示したインクジェット記録装置は、ラインヘッド方式と呼ばれており、ヘッドキャリッジ2に、各色のインクジェット記録ヘッド3を、記録媒体Pの全幅をカバーするようにして、複数個、固定配置されている。
一方、ヘッドキャリッジ2の下流側、すなわち、記録媒体Pが搬送される方向のヘッドキャリッジ2の後部には、同じく記録媒体Pの全幅をカバーするようにして、インク印字面全域をカバーするように配置されている照射手段4が設けられている。
照明手段4に用いられる紫外線ランプは、図1に記載したのと同様のものを用いることができる。
このラインヘッド方式では、ヘッドキャリッジ2および照射手段4は固定され、記録媒体Pのみが、搬送されて、インク出射及び硬化を行って画像形成を行う。
《記録媒体》
本発明のインクジェット記録方法に用いる記録媒体としては、従来、各種の用途で使用されている広汎な合成樹脂が全て対象となり、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等が挙げられ、これらの合成樹脂基材の厚みや形状は何ら限定されない。この他にも金属類、ガラス、印刷用紙なども使用できる。
本発明のインクジェット記録方法で用いる記録媒体の一つであるポリ塩化ビニルの具体例としては、SOL−371G、SOL−373M、SOL−4701(以上、ビッグテクノス株式会社製)、光沢塩ビ(株式会社システムグラフィ社製)、KSM−VS、KSM−VST、KSM−VT(以上、株式会社きもと製)、J−CAL−HGX、J−CAL−YHG、J−CAL−WWWG(以上、株式会社共ショウ大阪製)、BUS MARK V400 F vinyl、LITEcal V−600F vinyl(以上、Flexcon社製)、FR2(Hanwha社製)LLBAU13713、LLSP20133(以上、桜井株式会社製)、P−370B、P−400M(以上、カンボウプラス株式会社製)、S02P、S12P、S13P、S14P、S22P、S24P、S34P、S27P(以上、Grafityp社製)、P−223RW、P−224RW、P−249ZW、P−284ZC(以上、リンテック株式会社製)、LKG−19、LPA−70、LPE−248、LPM−45、LTG−11、LTG−21(以上、株式会社新星社製)、MPI3023(株式会社トーヨーコーポレーション社製)、ナポレオングロス 光沢塩ビ(株式会社二樹エレクトロニクス社製)、JV−610、Y−114(以上、アイケーシー株式会社製)、NIJ−CAPVC、NIJ−SPVCGT(以上、ニチエ株式会社製)、3101/H12/P4、3104/H12/P4、3104/H12/P4S、9800/H12/P4、3100/H12/R2、3101/H12/R2、3104/H12/R2、1445/H14/P3、1438/One Way Vision(以上、Inetrcoat社製)、JT5129PM、JT5728P、JT5822P、JT5829P、JT5829R、JT5829PM、JT5829RM、JT5929PM(以上、Mactac社製)、MPI1005、MPI1900、MPI2000、MPI2001、MPI2002、MPI3000、MPI3021、MPI3500、MPI3501(以上、Avery社製)、AM−101G、AM−501G(以上、銀一株式会社製)、FR2(ハンファ・ジャパン株式会社製)、AY−15P、AY−60P、AY−80P、DBSP137GGH、DBSP137GGL(以上、株式会社インサイト社製)、SJT−V200F、SJT−V400F−1(以上、平岡織染株式会社製)、SPS−98、SPSM−98、SPSH−98、SVGL−137、SVGS−137、MD3−200、MD3−301M、MD5−100、MD5−101M、MD5−105(以上、Metamark社製)、640M、641G、641M、3105M、3105SG、3162G、3164G、3164M、3164XG、3164XM、3165G、3165SG、3165M、3169M、3451SG、3551G、3551M、3631、3641M、3651G、3651M、3651SG、3951G、3641M(以上、Orafol社製)、SVTL−HQ130(株式会社ラミーコーポレーション製)、SP300 GWF、SPCLEARAD vinyl(以上、Catalina社製)、RM−SJR(菱洋商事株式会社製)、Hi Lucky、New Lucky PVC(以上、LG社製)、SIY−110、SIY−310、SIY−320(以上、積水化学工業株式会社製)、PRINT MI Frontlit、PRINT XL Light weight banner(以上、Endutex社製)、RIJET 100、RIJET 145、RIJET165(以上、Ritrama社製)、NM−SG、NM−SM(日栄化工株式会社製)、LTO3GS(株式会社ルキオ社製)、イージープリント80、パフォーマンスプリント80(以上、ジェットグラフ株式会社製)、DSE 550、DSB 550、DSE 800G、DSE 802/137、V250WG、V300WG、V350WG(以上、Hexis社製)、Digital White 6005PE、6010PE(以上、Multifix社製)等が挙げられる。
また、可塑剤を含有しない樹脂基材または非吸収性の無機基材を構成要素とする記録媒体としては、下記の各種基材を構成要素として、1種類の基材単独で、または複数の種類の基材を組み合わせて、使用をすることができる。
本発明に用いられる可塑剤を含有しない樹脂基材としては、例えば、ABS樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、可塑剤を含有しない硬質ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は可塑剤を含有していないことが特徴であるが、その他の厚み、形状、色、軟化温度、硬さ等の諸特性について特に制限はない。
本発明に用いられる記録媒体として好ましくは、ABS樹脂、PET樹脂、PC樹脂、POM樹脂、PA樹脂、PI樹脂、可塑剤を含有しない硬質PVC樹脂、アクリル樹脂、PE樹脂、PP樹脂である。さらに好ましくはABS樹脂、PET樹脂、PC樹脂、PA樹脂、可塑剤を含有しない硬質PVC樹脂、アクリル樹脂である。
また、本発明に用いられる非吸収性の無機基材としては、例えば、ガラス板、鉄やアルミニウムなどの金属板、セラミック板等が挙げられる。これらの無機基材は表面にインク吸収性の層を有していないことが特徴である。これらの非吸収性の無機基材はその他の厚み、形状、色、軟化温度、硬さ等の諸特性について特に制限はない。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
尚、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《重合性モノマー組成物1〜15の調製》
インク組成物I−1〜I−15の調製の前にまず、表1に記載のように重合性モノマー組成物1〜15を各々調製した。
Figure 2011184539
尚、表1に記載の重合性モノマーの構造を以下に示す。
2EHAVE:2−エチルヘキシルアルコールビニルエーテル
HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル
DEGVE:ジエチレングリコールビニルエーテル
CHVE:シクロヘキシルビニルエーテル
TEGDVE:トリエチレングリコールジビニルエーテル
BDVE:ブタンジオールジビニルエーテル
HDDV:ヘキサンジオールジビニルエーテル
CHDVE:1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル
TMPTVE:トリメチロールプロパントリビニルエーテル
OXT−221:3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亞合成社製)
OXT−101:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成社製)
C−2021P:(3′,4′−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル工業社製)
PC:プロピレンカーボネート(丸善石油化学社製)
得られた重合性モノマー組成物1〜15を用いて下記のようにインク組成物I−1〜I−15の調製を行った。
《インク組成物I−1の調製》
下記のように、まず、79.4部の重合性モノマー組成物1(CHDMVE(シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル)):PC(プロピレンカーボネート)=90:10(質量比))を、1部の分散剤(Solsperse18000 ルーブリゾール製)を添加して溶解させた。
次いで、2.5部の顔料(C.I.ピグメントブルー 15:3 大日精化製)を添加して、0.5mmジルコニアビーズを用いてペイントシェーカー分散を5時間行い、顔料の分散を行った。
更に、光酸発生剤(光重合開始剤、単に、重合開始剤ともいう)としてCPI−100P(トリアリルスルホニウム塩のプロピレンカーボネート50%溶液、サン・アプロ社製、カウンターアニオン=PF 塩)、増感剤として2部のDEA(9,10−ジブトキシアントラセン、川崎化成社製)、重合禁止剤としてTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、東京化成社製)、上記の合成例1にて調製したウレタン化合物1を各々加えて撹拌混合したのち、0.85μmのメンブレンフィルターで濾過して、1.33kPaの減圧下で、60℃に加熱して脱水処理を行い、インク組成物I−1を得た。
《インク組成物I−2〜I−15の調製》
インク組成物I−1の調製において、表1に記載のように、重合性モノマー組成物を変更した以外は同様にして、インク組成物I−2〜I−15を各々調製した。
得られたインク組成物I−1〜I−15のインク特性を下記の表2に示す。
尚、含水率(%)、粘度については下記のようにして測定した。
《含水率》
各インク組成物の脱水処理後の含水率をカールフィッシャー装置(自動水分測定装置 AQV−2000、平沼産業)により測定したところ、下記の表2に示すように、いずれも0.5質量%以下であった。
《粘度》
上記調製した各カチオン重合硬化型インクジェットインクの粘度を、レオメータMCR300(Physica製)を用い、温度25℃、Shear Rate=1000(1/s)の条件下で測定したところ、下記の表2に示すように、いずれも7mPa・s〜100mPa・sの範囲内であった。
Figure 2011184539
《インク組成物の評価》
上記で得られたインク組成物I−1〜I−15の各々について、下記のように吐出安定性、高湿硬化性、柔軟性の各項目について評価した。
《吐出安定性》
コニカミノルタIJ社製のピエゾヘッド512SHを用いて、粘度が10mPa・sとなるようにヘッド温度を設定し、各インクジェットノズルからの射出状態を目視観察し、下記の基準に従って吐出安定性を評価した。
○:30分連続出射しても、ノズル欠、曲がりは発生しない
×:30分連続出射で、数カ所以上のノズルでノズル欠が発生する
尚、ランク評価で○が実用可能(実用可ともいう)であり、×は実用不可である。
《高湿硬化性》
ピエゾ型インクジェットノズルを備えた図2に記載のラインヘッド方式のインクジェット記録装置に、上記調製した各インク組成物I−1〜I−15を各々装填し、基材幅213mm、180m巻のロール状の白PETを使用して、記録媒体幅方向の解像度360dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数をあらわす。)、記録媒体の送り方向の解像度360dpiで、印字率18%の文字画像を毎分30mの搬送速度で印字した。
照射光源は、高圧水銀ランプを用い、積算光量が180mJ/cmとなるような光量にて活性光線照射してインクを硬化した。画像記録時の環境は、25℃80%の高湿条件とした。
描画したべた画像について、硬化直後の膜表面を触指し、表面タック(粘着性)の有無を確認し、下記の基準に従って高湿硬化性の評価を行った。
◎:タックがまったく認められない
○:硬化直後は僅かにタックが認められるが、数分以内にタックがなくなる
△:硬化直後、および時間経過後もわずかなタックが認められる
×:明らかにタックが認められる
尚、本発明においては、○以上が高湿硬化性に関して実使用可能(実用可ともいう)である。
《柔軟性》
基材をターポリン基材とし、印字率を200%とした以外は上記画像形成方法と同様にしてベタ画像を作成した。
画像形成面の両端を保持して延伸し、硬化膜にクラックが入るまでの延伸率を求め、下記の基準に従って硬化膜柔軟性を評価した。
◎:クラックが入るまでの延伸率が、180%以上
○:クラックが入るまでの延伸率が、150%以上
△:クラックが入るまでの延伸率が、120%以上
×:120%未満の延伸率において、クラックが発生する
尚、本発明においては、○以上が高湿硬化性に関して実使用可能(実用可能または実用可ともいう)であり、△、×は実用不可である。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2011184539
表3から、比較のインク組成物I−12〜I−15と比べて、本発明のインク組成物I−1〜I−11は、各々高湿環境下でも優れた硬化性を有すると同時に、柔軟性に富む硬化膜を形成することがわかる。
一方、重合性モノマーに占めるビニルエーテルの割合が50質量%以下であるインク組成物I−12〜I−15は、高湿硬化性、柔軟性は不十分(実用不可)であった。
実施例2
《インク組成物II−1〜II−5の調製》
実施例1のインク組成物I−2の調製において、インク組成物の含水率が表4に示す値になるように減圧下脱水処理を行った以外は同様にしてインク組成物II−1〜II−5を調製した後、実施例1に記載と同様にして、インク組成物の吐出安定性、高湿硬化性及び柔軟性の評価を行い、得られた結果を表4に示す。
Figure 2011184539
表4から、比較のインク組成物II−4、II−5に比べて、本発明のインク組成物II−1〜II−3は、各々吐出安定性が良好であり、高湿環境下でも優れた硬化性を有すると同時に、柔軟性に富む硬化膜を形成することがわかる。
一方、含水率が0.5質量%を超えるインク組成物II−4(含水率1.00%)、II−5(含水率3.00%)は、高湿硬化性、柔軟性が共に実用不可であることが明らかである。
実施例3
《インク組成物III−1〜III−6の調製》
実施例1のインク組成物I−1の調製において、インク組成物中のウレタン化合物を表5に記載のウレタン化合物に変更した以外は同様にしてインク組成物III−1〜III−6を調製した後、実施例1に記載と同様にして、インク組成物の吐出安定性、高湿硬化性及び柔軟性の評価を行い、得られた結果を表5に示す。
Figure 2011184539
表5から、比較の活性光線硬化型インク組成物III−4〜III−6に比べて、本発明の活性光線硬化型インク組成物III−1〜III−3は、各々、吐出安定性、高湿硬化性(高湿環境下でも優れ硬化性を示す)及び柔軟性(柔軟性に富む硬化膜を形成する)の全てにおいて優れていることが明らかである。
また、インク組成物III−1〜III−3(本発明)、III−4(比較例)、III−5(比較例)は、ウレタン化合物の添加により柔軟性が向上しており、また、分岐構造やビニルエーテル基やアクリロイル基などの重合性基を有するウレタン化合物を用いたインク組成物III−1〜III−3(本発明)は、カチオン重合を抑制するウレタン構造を有しているにも関わらず優れた硬化性を示すだけでなく、柔軟性も一層向上することがわかった。
実施例4
《活性光線硬化型インク組成物IV−1〜IV−15の調製》
実施例1に記載の活性光線硬化型インク組成物I−1〜I−15の各々の調製において、各インク組成物中の構成比を下記に記載のように変更した以外は同様にして、活性線硬化型インク組成物IV−1〜IV−15を各々調製した。
(活性線硬化型インク組成物中の構成比)
(a)重合性モノマー組成物 :80.4質量部
(b)ウレタン化合物1 :10.0質量部
(c)光酸発生剤CPI−210s(みどり化学製): 4.0質量部
(d)増感剤DEA : 2.0質量部
(e)重合禁止剤TEMPO : 0.1質量部
(f)顔料(C.I.ピグメントブルー15:3) : 2.5質量部
(g)顔料分散剤(Solsperse18000): 1.0質量部
《活性光線硬化型インク組成物IV−1〜IV−15の評価》
上記調製した各インクについて、インクジェット記録装置の光源を385nmのLEDに変更した以外は実施例1に記載の方法と同様にして、同様の評価を行った。
尚、LED光源は単一の波長しかないので高圧水銀灯に比べて露光エネルギーが小さくなってしまうため、ビニルエーテルを主体としたインクの硬化性は低下する厳しい条件である。結果を表6に示す。
Figure 2011184539
表6から、比較の活性光線硬化型インク組成物IV−12〜IV−15に比べて、本発明の活性光線硬化型インク組成物IV−1〜IV−11は、良好な吐出安定性を示し、また、光源としてLEDを用いても、高湿硬化性が良好であり、且つ、柔軟性も優れていることが明らかである。
1 記録装置
2 ヘッドキャリッジ
3 記録ヘッド
31 インク吐出口
4 照射手段
5 プラテン部
6 ガイド部材
7 蛇腹構造
8 照射光源
P 記録媒体

Claims (3)

  1. 少なくとも、光酸発生剤、重合性モノマー、ウレタン化合物を含有する活性光線硬化型インク組成物において、
    該重合性モノマーの50質量%以上がビニルエーテル化合物であり、該ウレタン化合物は、一般式(1)で表される部分構造をもち、重合性基として少なくとも1つのビニルエーテル基、メタクリロイル基またはアクリロイル基を有する化合物であり、且つ、25℃における該活性光線硬化型インク組成物の粘度が7mPa・s〜100mPa・s、含水率が0.5質量%以下であることを特徴とする活性光線硬化型インク組成物。
    Figure 2011184539
    〔式中、Rは分岐アルキレン基または脂環式アルキレン基を表す。〕
  2. 前記ビニルエーテル化合物が、少なくとも1種類の脂環式ビニルエーテルを含有することを特徴とする請求項1に記載の活性光線硬化型インク組成物。
  3. 請求項1または2に記載の活性光線硬化型インク組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
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