JP2018083951A - 紫外線硬化型インクジェット組成物、収容体及びインクジェット方法 - Google Patents

紫外線硬化型インクジェット組成物、収容体及びインクジェット方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化性と保存安定性とを高いレベルで両立することのできる紫外線硬化型インクジェット組成物を提供する。
【解決手段】収容体に収容され、ビニルエーテル基と(メタ)アクリロイル基とを有する重合性化合物を含有し、組成物の全量に対して、水分量が0.05質量%以上1.0質量%以下である、インクジェット組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線硬化型インクジェット組成物、収容体及びインクジェット方法に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中で、紫外線を照射してインクを硬化させるインクジェット記録方法に用いられるインク組成物について種々の検討がなされている。例えば、特許文献1には、安価で印刷等への適性もあり、濃度の経時変化、にじみ、浸透ムラ、折り曲げ耐性、コックリング、もみ耐性、出射性に優れたインクジェット記録方法を提供することを意図して、含水率が0質量%以上5質量%以下で、かつ1m2当たりに換算した水分量A(g/m2)が特定の条件を満足するように調整された高インク吸収性紙系記録媒体に、表面張力が20mN/m以上35mN/m以下で、かつ活性エネルギー線によりカチオン重合反応して硬化するインクを用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法が記載されている。
特開2005−200560号公報
特許文献1に記載のようなインクジェット記録方法では、所定の目的を達成するためにインク中の水分を極力排除することを意図している。特にカチオン重合反応して硬化するインクを用いているため、硬化性に与える影響が大きい水分をなるべく少なくしようとしている。しかしながら、硬化速度の速い重合性化合物を用いる場合、硬化性と保存安定性とを高いレベルで両立することは困難である。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、硬化性と保存安定性とを高いレベルで両立することのできる紫外線硬化型インクジェット組成物、その組成物を収容する収容体、及びその組成物を用いるインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、特定の重合性化合物を用いると共に、インク組成物中の水分量を所定の範囲に収めることにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
[1]収容体に収容され、ビニルエーテル基と(メタ)アクリロイル基とを有する重合性化合物を含有し、組成物の全量に対して、水分量が0.05質量%以上1.0質量%以下である、紫外線硬化型インクジェット組成物。
[2]ラジカル重合型の紫外線硬化型組成物である、[1]記載のインクジェット組成物。
[3]前記組成物の全量に対して、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を3.0〜15質量%含有する、[1]又は[2]記載のインクジェット組成物。
[4]前記重合性化合物を、前記組成物の全量に対して、10〜70質量%含有する、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のインクジェット組成物。
[5]前記重合性化合物として、下記一般式(1):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(1)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表される重合性化合物を含有する、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のインクジェット組成物。
[6]芳香環を有する単官能(メタ)アクリレートを更に含有する、[1]〜[5]のいずれか1つに記載のインクジェット組成物。
[7][1]〜[6]のいずれか1つに記載のインクジェット組成物を収容した収容体。
[8]容器と、前記容器内に充填された[1]〜[6]のいずれか1つに記載の組成物と、を備える収容体であって、前記容器を構成する部材の水蒸気透過率が、40℃、相対湿度90%の環境下で30g/m2・24hrs以下である、収容体。
[9]容器と、前記容器内に充填された[1]〜[6]のいずれか1項に記載の組成物と、を備える収容体であって、少なくとも前記容器を収納し密封する密封部材を備え、前記密封部材の水蒸気透過率が、40℃、相対湿度90%の環境下で30g/m2・24hrs以下である、収容体。
[10][1]〜[6]のいずれか1つに記載のインクジェット組成物を被吐出体に付着させる付着工程を有する、インクジェット方法。
[11]前記被吐出体に付着した前記組成物に、発光ピーク波長が360〜420nmの範囲にある紫外線発光ダイオードにより光を照射して硬化させる硬化工程を有する、[10]記載のインクジェット方法。
本発明の収容体の一例を示す分解斜視図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、本明細書における「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
〔紫外線硬化型インクジェット組成物〕
本実施形態の紫外線硬化型インクジェット組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、インクジェット法により吐出されて用いられる組成物であり、収容体に収容された組成物であって、ビニルエーテル基と(メタ)アクリロイル基とを有する重合性化合物と、水分とを含有するものである。組成物の全量に対して、そこに含有される水分量は0.05質量%以上1.0質量%以下である。組成物は、その硬化性を更に高める観点から、ラジカル重合型の紫外線硬化型組成物であると好ましい。以下、組成物の1実施形態として記録に用いる「インク組成物」とも記載するが、組成物はインク組成物以外の組成物であってもよい。
かかるインク組成物は、ビニルエーテル基と(メタ)アクリロイル基とを有する重合性化合物を含有するが、この重合性化合物は重合反応が速く進行し、硬化性に優れたものである。その一方で、通常、インク組成物がこのように重合反応が進行しやすい重合性化合物を含有すると、保存中に重合性化合物がわずかに反応する結果、その保存安定性は低下してしまう。しかしながら、本実施形態のインク組成物は、水分量が0.05質量%以上1.00質量%以下であり、その特定量の水分が、インク組成物を保存する間の重合性化合物の反応を抑制することができるので、保存安定性にも優れたものとなる。ただし、本実施形態のインク組成物が硬化性及び保存安定性を高いレベルで両立できる要因はこれらに限定されない。
(重合性化合物)
インク組成物は、ビニルエーテル基と(メタ)アクリロイル基とを有する重合性化合物を1種又は2種以上含有する。このような重合性化合物は、単独で、又は重合開始剤の作用により、光照射等のエネルギーの付与により重合して、被記録媒体上のインク組成物を硬化させることができる。この重合性化合物としては特に限定されないが、本発明の課題をより有効かつ確実に解決する観点から、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。そのような重合性化合物としては、単官能又は多官能のビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられ、上記と同様の観点から、これらが好ましい。
ビニルエーテル基を有する単官能(メタ)アクリレートは、特に限定されないが、インク組成物をより低粘度化でき、引火点が高く、かつ、インク組成物の硬化性を一層高める観点から、下記一般式(1):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(1)
で表される重合性化合物を含有することが好ましい。ここで、式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。上記一般式(1)で表される重合性化合物は、インク組成物の硬化性を一層高めるものであるため、保存安定性を低下させやすいものであるが、本実施形態のインク組成物の構成を備えることにより、保存安定性の低下を更に効率的に抑制できる。その結果、本実施形態のインク組成物が上記一般式(1)で表される重合性化合物を含有する場合、硬化性と保存安定性とを更に高いレベルで両立することができる。
上記一般式(1)で表される重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチルが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
これらの中では、上記と同様の観点から、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、すなわち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルは、いずれも単純な構造であって分子量が小さいため、インク組成物を顕著に低粘度化することができる。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及びアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。なお、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの方が、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルに比べて硬化性の面で優れている。
ビニルエーテル基と(メタ)アクリロイル基とを有する重合性化合物の含有量は、インク組成物の全量(100質量%)に対して、10〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%が更に好ましい。その含有量が10質量%以上であることにより、インク組成物を低粘度化でき、かつ、インク組成物の硬化性がより優れる傾向にある。一方で、その含有量が70質量%以下であることにより、インク組成物の保存安定性により優れると共に、印刷物の表面光沢により優れる傾向にある。
インク組成物は、上記で例示した以外の単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のモノマーを1種又は2種以上含有してもよい。そのようなモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸の不飽和カルボン酸;該不飽和カルボン酸の塩;不飽和カルボン酸のエステル、ウレタン、アミド及び無水物;アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。
単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のオリゴマーとしては、特に限定されないが、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、及びアクリロイルモルホリン、並びにそれらの誘導体が挙げられる。
インク組成物は、単官能のモノマーとして、単官能(メタ)アクリレートを含有してもよい。この場合、インク組成物が低粘度となり、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性に優れ、かつ、インクジェット記録時の吐出安定性が得られやすい。単官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、EOクレゾール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、O−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート及びO−フェニルフェノールEO変性(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する単官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中では、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。本実施形態のインク組成物が芳香環を有する単官能(メタ)アクリレートを含有することにより、保存安定性を更に高めることができる。芳香環を有する単官能(メタ)アクリレートは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
芳香環を有する単官能(メタ)アクリレートの含有量は、インク組成物の総量に対して、3.0〜55質量%であることが好ましく、5.0〜50質量%であることがより好ましい。この含有量が上記範囲にあることにより、保存安定性と硬化性とをより高いレベルで両立することが可能となる。
また、それ以外の単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコールモノビニルエーテル(メタ)アクリレートが挙げられる。
単官能のモノマーの含有量は、インク組成物の全量(100質量%)に対して、30〜85質量%が好ましく、40〜75質量%がより好ましい。上記好ましい範囲とすることにより、硬化性、開始剤溶解性、保存安定性、吐出安定性により優れる傾向にある。
インク組成物は、多官能のモノマーとして、多官能(メタ)アクリレートを含有してもよい。そのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましく、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートがより好ましい。
多官能モノマーの含有量は、インク組成物の全量(100質量%)に対して、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜40質量%がさらに好ましい。上記好ましい範囲とすることにより、硬化性、保存安定性、吐出安定性及び印刷物の表面光沢により優れる傾向にある。
また、硬化膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性が増すため、単官能(メタ)アクリレート及び2官能(メタ)アクリレートを併用することも好ましく、中でもフェノキシエチル(メタ)アクリレート及びジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを併用することが更に好ましい。
重合性化合物の含有量は、インク組成物の全量(100質量%)に対し、35〜95質量%が好ましく、45〜90質量%がより好ましい。重合性化合物の含有量が上記範囲内であることにより、粘度及び臭気をより低下させることができるとともに、光重合開始剤の溶解性及び反応性・印刷物の表面光沢を更に優れたものとすることができる。
(水分)
本実施形態のインク組成物は水分を含有し、その水分量は、インク組成物の全量(100質量%)に対して0.05質量%以上1.0質量%以下である。これにより、インク組成物の保存安定性と硬化性とを高いレベルで両立することが可能となる。さらに、インク組成物中の異物の発生をより抑制でき、色材として顔料を用いた場合の顔料の凝集、特に顔料と共に分散剤を用いた場合の顔料の凝集をより抑制することができるので、その吐出安定性を更に高めることができる。また、インク組成物がアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する場合に、その光重合開始剤をインク組成物中に良好に溶解させることができる。水分量は、インク組成物の保存安定性及び吐出安定性を更に高め、インク組成物中での異物の発生を更に抑制する観点から、0.1質量%以上であると好ましい。一方、異物の発生及び顔料の凝集を更に抑制する観点、インク組成物の保存安定性をより高める観点、及び、インク組成物がアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する場合にその光重合開始剤をインク組成物中に更に良好に溶解させるから、0.5質量%以下であると好ましい。
インク組成物における水分量を調整する方法としては、例えば、インク組成物の各成分、例えば上述の重合性化合物、中の水分量を低減する方法、組成物から水分を除去する方法、組成物の調製時に混入する水分量を低減させる方法などが挙げられる。このうち、重合性化合物中の水分量を低減する方法として、より具体的には、重合性化合物を蒸留精製する方法、水を選択的に透過する半透過膜に重合性化合物を透過させる方法、及び水を吸着する水吸着剤に水を選択的に吸着させる方法が挙げられる。これらの中では、水分量をより効率的かつ確実に低減できる観点から、蒸留精製する方法が好ましい。水分量は、下記実施例に記載の方法に準拠して測定される。
水分としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加等によって滅菌した水を用いると、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。これにより貯蔵安定性がより向上する傾向にある。
本実施形態のインク組成物は、上記の各成分の他に、従来の紫外線硬化型のインクジェット用インク組成物に用いられる得る任意の成分を含有してもよい。そのような任意の成分としては、例えば、重合開始剤、顔料及び染料等の色材、分散剤、重合禁止剤、界面活性剤、浸透剤、保湿剤、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤その他の添加剤及び溶媒が挙げられる。これらはそれぞれ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(重合開始剤)
本実施形態のインク組成物は重合開始剤を含有してもよい。重合開始剤は、熱エネルギー又は紫外線などの光のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、光重合開始剤が好ましく、光ラジカル重合開始剤が好ましい。光ラジカル重合開始剤としては特に限定されないが、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤及びチオキサントン系光重合開始剤が好ましく、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤がより好ましい。
〔アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤〕
インク組成物は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有することが好ましい。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は酸素阻害を受けやすいが、長波長光のLEDでの硬化に適する。また、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は、インク組成物中の水分量がインク組成物の全量に対して1.0質量%以下であることにより、インク組成物中により良好に溶解することができる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、IRGACURE 819(BASF社製商品名、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)、IRGACURE TPO(BASF社製商品名、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド)及びDAROCUR TPO(BASF社製商品名、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド)が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量は、インク組成物の全量(100質量%)に対し、3.0〜15質量%が好ましく、1.0〜10質量%が好ましく、2.0〜8.0質量%がより好ましい。含有量が3.0質量%以上であることにより、硬化性により優れる傾向にある。また、この含有量が15質量%以下であることにより、固形分の溶解や保存安定性を良好に保ち、信頼性により優れる傾向にある。
〔チオキサントン系光重合開始剤〕
インク組成物は、チオキサントン系光重合開始剤を含有してもよい。インク組成物がチオキサントン系光重合開始剤を含有することにより、表面タック性を低減でき、特に、酸素阻害を受けやすい薄膜時においてインク表面を硬化させドット間の混色、滲みを防止することができる。また、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤及びチオキサントン系光重合開始剤を両方用いると、UV−LEDによる硬化プロセスにより優れ、インク組成物の硬化性、密着性が一層優れる傾向にあるので好ましい。
チオキサントン系光重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、及びクロロチオキサントンからなる群より選ばれた1種以上を含むことが好ましい。なお、特に限定されないが、ジエチルチオキサントンとしては2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンとしては2−イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントンとしては2クロロチオキサントンが好ましい。このようなチオキサントン系光重合開始剤を含むインク組成物であれば、硬化性、保存安定性、及び吐出安定性により優れる傾向にある。このなかでも、ジエチルチオキサントンを含むチオキサントン系光重合開始剤が好ましい。ジエチルチオキサントンを含むことにより、幅広い領域の紫外光(UV光)をより効率良く活性種に変換できる傾向にある。
チオキサントン系光重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、Speedcure DETX(2,4−ジエチルチオキサントン)、Speedcure ITX(2−イソプロピルチオキサントン)(以上、Lambson社製)、KAYACURE DETX(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤の含有量は、インク組成物の全量(100質量%)に対し、0.5〜5.0質量%が好ましく、1.0〜4.0質量%がより好ましい。その含有量が0.5質量%以上であることにより、表面タック性をより低減でき、酸素阻害を受けやすい薄膜時においてインク表面を硬化させドット間の混色、滲みをより防止することができる傾向にある。また、その含有量が5.0質量%以下であることにより、開始剤そのものによるインクの着色が少なく、色相の黄変が少ないことや硬化膜の密着性により優れる傾向にある。
(その他の光重合開始剤)
インク組成物は、上記以外の光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤の1種又は2種以上を更に含有してもよい。上記以外の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオフェニル基含有化合物など)、α−アミノアルキルフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。
上記以外の光ラジカル重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、BASF社製)、Speedcure TPO(以上、Lambson社製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)が挙げられる。
その他の光カチオン重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、スルホニウム塩、ヨードニウム塩が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、インク組成物の全量(100質量%)に対し、5〜20質量%が好ましい。含有量が当該範囲内であることにより、紫外線硬化速度を十分に発揮させ、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色を避けることができる傾向にある。
(色材)
色材としては、特に限定されないが、例えば、顔料及び染料が挙げられる。
顔料としては、例えば無機顔料及び有機顔料が挙げられる。無機顔料としては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンが挙げられる。
有機顔料としては、特に限定されないが、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。
顔料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
顔料の含有量は、インク組成物の全量(100質量%)に対して、0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1.0〜5.0質量%が更に好ましい。顔料の含有量が上記範囲内であることにより、発色性により優れる傾向にある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクトブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
染料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
染料の含有量は、優れた隠蔽性及び色再現性を得る観点から、インク組成物の全量(100質量%)に対して、1.0〜20質量%が好ましい。
(分散剤)
インク組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、1種又は2種以上の分散剤を更に含有してもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア(Avecia)社やノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(例えば「Solsperse 36000」)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
(重合禁止剤)
インク組成物は、その保存安定性を更に高める等の観点から、1種又は2種以上の重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を有する化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−アルキル骨格を有する化合物、及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−アシル骨格を有する化合物などのヒンダードアミン化合物;p−メトキシフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノン、クレゾール、t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、収容体に収容されるものである。言い換えれば、本実施形態の収容体は、本実施形態のインク組成物を収容したものである。
(収容体)
本実施形態の収容体の態様としては、以下に限定されないが、例えば、インクカートリッジ、パック、ボトル、タンク、ビン、缶が挙げられる。これらの中でも、汎用されており、かつ、後述の水蒸気透過率を所望の値に制御しやすいため、インクカートリッジ、パック、ボトル、タンクが好ましく、パックがより好ましい。また、収容体のインク組成物が充填される容器(収容体において、インク組成物が充填され組成物を実質的に保持する部材)として、柔軟性のあるフィルムを用いた容器(パック)を有する収容体が、軽量化、容器を箱状の収容体に入れやすいこと、インク組成物の残量に追従して容器の容積が変化しやすい点、フィルムを熱融着(ヒートシール)して袋状に加工して用いることができる点で好ましい。
なお、本実施形態の収容体の使用態様として、(A)記録装置とは別体であり、記録装置に装着されてインク組成物を順次、記録装置に供給するインクカートリッジ等の形態と、(B)記録装置とは別体であり、インク組成物使用時にはインク組成物のみを収容体から記録装置に移す形態と、(C)予め記録装置に備え付けられインク組成物が収容されたタンク等の形態と、が少なくとも挙げられる。
上記の(A)及び(B)は、収容体を出荷してから記録装置にインク組成物を供給する(移す)直前までのインク組成物の収容体ということができる。上記の(C)は、記録装置が出荷されてから当該記録装置で初めてインク組成物の使用を開始する前までにおけるインク組成物の収容体ということができる。なお、上記の(A)及び(C)は、容器からインクチューブ等の接続部を介して記録装置にインク組成物を供給している状態で、記録装置の印刷を行うインク組成物の収容体ということができる。また、上記の(B)は、収容体から記録装置にインク組成物を移した後、当該記録装置で印刷を行うインク組成物の収容体ということができる。なお、当該(B)においてインク組成物を移す対象としては、記録装置に備え付けられたタンク等が挙げられる。
インク組成物が充填される容器の構成材料としては、以下に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、及びポリスチレンが挙げられ、これらのフィルムであってもよい。上記を適当な比率で配合したり上記を複数種重ねたりして構成してもよい。フィルムの場合、ラミネートして得られるものであってもよい。フィルムを複数種重ねる場合、その複数種のフィルム全てが上記のフィルムである必要はなく、その一部が他の材料、例えば、金属及び金属化合物、から構成されるフィルムであってもよい。
また、容器の柔軟性を高める観点から、容器の構成材料として可塑剤が含まれると好ましい。可塑剤としては、例えば、脂肪酸エステル、エポキシ化合物、ポリエステル化合物が挙げられる。これらの中では、可塑剤としての汎用性の点から、脂肪酸エステルが好ましく、そのような脂肪酸エステルとしては、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エステルが挙げられる。脂肪酸エステルは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
収容体は、保管、輸送中に、収容するインク組成物に含まれる成分の沈降を解除させるために攪拌されることがある。インク組成物に含まれる成分の沈降後、長期にわたり時間が経過すると沈降物がケーキ化して解除が困難になる場合があるからである。また、収容体からインク組成物を記録装置に供給する際には、収容体を攪拌して沈降を解除させることが好ましい。
容器が柔軟性のあるフィルムを用いた容器(パック)である場合、特に、攪拌動作に伴い、クラックや破れが発生しない耐久性が必要となる。このような耐久性のよいフィルム材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリスチレンなどのプラスチックフィルムが好ましく挙げられ、エチレン酢酸ビニル共重合体がより好ましい。フィルムとしては、高密度、低密度、又は線状低密度のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、及びポリスチレン、等の延伸プラスチックフィルムが好ましく挙げられる。複数層のフィルムを貼り合わせた積層フィルムとしてもよい。
また、収容体は、更に密封部材を備え、少なくともインク組成物が充填された容器が密封部材内に収納され密封されてもよい(以下、これを特に「密封収容体」という。)。すなわち、本実施形態の密封収容体は、容器と、その容器内に充填された上記インク組成物と、少なくとも容器を収納し密封する密封部材とを備える密封収容体である。この密封収容体における密封部材の構成材料は特に限定されず、上記収納体又は容器の構成材料と同様のものであってもよい。なお、収容体が密封部材を備える場合、少なくとも容器が密封部材内に収納され密封されればよいものであり、例えば、容器以外の収容体の部分も密封部材内に収納され密封されてもよく、収容体の全体が密封部材内に収納され密封されてもよい。また、密封部材の態様としては特に限定されないが、収容体の全体を収納する場合、密封収容体のサイズを小さくすることができ、しかも密封部材自体の密封性を維持する観点から、収容体の外形に追従して収容体に密着できる柔軟性のあるフィルム製の袋であることが好ましい。また、容器など収容体の一部の部分を収納する場合は、同様に収納する部分のサイズを小さくできる観点から、収納する部分の外形に追従して密着できる柔軟性のあるフィルム製の袋であることが好ましい。
容器が上述のパックである場合、又は密封部材が上述のフィルム製の袋である場合、インク組成物に含まれる成分が沈降などした場合にパックや密封収容体を左右に揺らしてインクを撹拌して沈降回復させる場合がある。その場合に、パックや袋のひび割れや破けの発生を防止する点から、パック又は袋の構成材料として可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤としては、上述のものであればよく、脂肪酸エステルが好ましい。
容器を構成する部材、例えば、容器がパックである場合はそのパックを構成するフィルム、あるいは、密封収容体の密封部材、例えば、フィルム製の袋、の水蒸気透過率は、30g/m2・24hrs以下であることが好ましく、15g/m2・24hrs以下であることがより好ましく、10g/m2・24hrs以下であることが更に好ましく、5.0g/m2・24hrs以下であることが特に好ましい。水蒸気透過率が30g/m2・24hrs以下の部材を用いることにより、収容体又は密封収容体を長期間保管しても、容器内に充填されたインク組成物における水分量の上昇を抑制することができる。水蒸気透過率を30g/m2・24hrs以下とするには、例えば、容器を構成する部材又は密封部材を構成する材料を選択したり、それらの部材に、金属及び金属化合物の少なくとも一方から構成される層を設けたりすればよい。この中では、汎用性の観点から、金属及び金属化合物の少なくとも一方から構成される層を設けることが好ましい。金属としては、例えばAl及びTiが挙げられる。金属化合物としては金属酸化物が好ましく、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア及びジルコニアが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
パックを構成するフィルムの厚みは50〜200μmが好ましく、70μm以上がより好ましく、80μm以上がさらに好ましく、150μm以下が好ましく130μm以下がさらに好ましい。フィルムの厚みはフィルムが複数の層からなる積層フィルムである場合は総厚みである。フィルムの厚みが上記範囲であるとフィルムの耐久性や柔軟性の点で好ましい。
ここで、水蒸気透過率は、40℃、相対湿度90%の環境下で、100μm相当の厚さで測定した値であり、例えば、輸送・工業包装の技術(監修水口眞一、株式会社フジテクノシステムズ発行)に掲載されている材料の中から上記水蒸気透過率を満足するものを用いることもできる。
収容体が収容可能な組成物の容量は、以下に制限されないが、100〜5000mLが好ましく、上限は4000mL以下がより好ましく、3000mL以下がさらに好ましく、2000mL以下が特に好ましく、1000mL以下が一層好ましく、下限は200mL以上がより好ましく、500nL以上が更に好ましい。容量が上記範囲内であると、硬化性、保存安定性、及び吐出安定性をいずれも一層優れたものとすることができる。
ここで、本実施形態の収容体の一例であるインクカートリッジについて説明する。図1は、インクカートリッジ40を示す分解斜視図である。インクカートリッジ40は、インクが充填されるインクパック70と、インクパック70を内部に収めて保護する本体ケース76と蓋部78からなるカートリッジケース72からなり、インクパック70はインク供給口74を備え、本体ケース76は、切欠き部80及び溝部86を備え、蓋部78は、押さえ部82及び鉤部84を備える。インクパックの材質は上述のものを使用することができる。インクカートリッジ40において、インクパック70は本体ケース76及び蓋部84内に収められ、その際、インク供給口74が切欠き部80に嵌め込まれた上で、押さえ部82と切欠き部80とに挟まれることで固定される。また、本体ケース76と蓋部84は、鉤部84が溝部86に嵌合することにより密閉される。
このように、本実施形態によれば、硬化性及び保存安定性を高いレベルで両立できるインク組成物を収容した収容体を提供することができる。
〔インクジェット方法〕
本実施形態のインクジェット方法は、上記組成物を被吐出体に付着させる付着工程を有するものである。以下、インクジェット方法の1実施形態としてインクジェット記録方法として記載するが、インクジェット方法はインクジェット記録方法以外のものであってもよい。インクジェット記録方法は、通常、インクジェット記録装置を用いて記録を行う。より具体的には、そのインクジェット記録方法は、上記インク組成物をヘッドのノズルから吐出させ、そのインク組成物を被記録媒体に付着させる付着工程を有する。本実施形態のインクジェット記録方法は、被記録媒体に付着したインク組成物に光を照射して硬化させる照射工程を有することが好ましい。
(付着工程)
付着工程においては、まず、本実施形態のインク組成物をヘッドのノズルから吐出させる。吐出方法としては、ピエゾ方式や、インク組成物を加熱して発生した泡(バブル)によりインク組成物を吐出させる方式等を用いることができる。このなかでも、インク組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
ノズルから吐出したインク組成物は、被吐出体に付着する。被吐出体としては被記録媒体等が挙げられる。以下、被吐出体の1実施形態として被記録媒体を記載するが被吐出体としては被記録媒体以外のものであってもよい。被記録媒体としては、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インク組成物の浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク組成物吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク組成物吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、インク組成物組成物の浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。また、非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート等が挙げられる。
(照射工程)
照射工程では、被記録媒体に付着したインク組成物に対して光を照射することによって重合性化合物を重合させて、インク組成物を硬化させる。光源としては、紫外線波長領域に発光波長を有するものであれば特に限定されない。その中でも、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザーダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線硬化型インクジェット用光源として期待されている。これらの中でも、UV−LEDが好ましい。
ここで、発光ピーク波長が、好ましくは360〜450nmの範囲にある光を照射することにより硬化可能であるようなインク組成物を用いることが好ましい。また、照射エネルギーは、500mJ/cm2以下が好ましい。このような照射条件とすることにより、低エネルギーかつ高速での硬化が可能となる。照射エネルギーは、照射時間に照射強度を乗じて算出される。インク組成物の組成によって照射時間を短縮することができ、記録速度を増大させることができる。他方、インク組成物の組成によって照射強度を減少させることもでき、この場合、装置の小型化やコストの低下が実現する。その際の光照射には、UV−LEDを用いることが好ましい。このようなインク組成物は、上記波長範囲の光照射により分解する光ラジカル重合開始剤、及び上記波長範囲の光照射により重合を開始する重合性官能基を有する化合物を含むことにより得られる。なお、発光ピーク波長は、上記の波長範囲内に1つあってもよいし複数あってもよい。複数ある場合であっても上記発光ピーク波長を有する光の全体の照射エネルギーを上記の照射エネルギーとする。
なお、本実施形態のインクジェット記録方法では、上述に照射工程に加えて、被記録媒体を加熱する加熱工程を有してもよい。これにより、被記録媒体に付着したインク組成物を加熱することができ、硬化性を更に高めることができる。
本実施形態のインクジェット記録方法は、上述のインク組成物を用いてインクジェット法により記録することで、硬化性及び吐出安定性を高いレベルで両立できる記録方法となる。
本実施形態のインクジェット記録装置は、上述のインクジェット記録方法に用いることができるものであればよく、本実施形態のインク組成物を用いる以外の構成は特に限定されない。例えば、それ以外の構成として、従来知られている構成を備えてもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[紫外線硬化型インクジェット用インク組成物用の材料]
下記の実施例及び比較例において使用したインク組成物用の主な材料は、下記のとおりである。
〔色材〕
P.I.ピグメントブルー 15:4
〔重合性化合物〕
VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社製、官能基数1)
PEA(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学社製、官能基数1)
DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製、官能基数2)
SR444(ペンタエリスリトールトリアクリレート、日本化薬社製、官能基数3)
V#335HP(製品名「ビスコート#335HP」、テトラエチレングリコールジアクリレート、大阪有機化学工業社製、官能基数2)
DVE−3(トリエチレングリコールジビニルエーテル、BASF社製)
〔重合開始剤〕
IRGACURE TPO(BASF社製商品名、固形分100質量%)
IRGACURE 369(BASF社製商品名、固形分100質量%)
KAYACURE DETX(日本化薬社製商品名、固形分100質量%)
〔分散剤〕
solsperse36000(ノベオン社製商品名)
〔重合禁止剤〕
MEHQ(ヒドロキノンモノメチルエーテル、東京化成工業社製)
(実施例1〜9、比較例1〜6)
[インク組成物の調製]
各材料を下記の表1〜2に示す組成(質量%)で混合し、十分に撹拌し、各インク組成物を得た。なお、インク組成物の水分量が表1〜2に示す量になるように、各実施例及び比較例で用いた各重合性化合物を1回又は複数回蒸留精製してから他の材料と共に混合した。
Figure 2018083951
Figure 2018083951
(水分量の測定)
水分計(平沼産業社製製品名「自動加熱気化水分測定システムAQS−22010」)を用い、カール・フィッシャー電量法により、インク組成物中の水分量を、測定した。結果を表1〜2(質量基準)に示す。
(保存安定性の評価)
調製直後のインク組成物をガラス瓶に収容後、ガラス瓶を密封し、50℃で5週間保存した。保存前後のインク組成物の20℃での粘度を、physica社製の粘弾性試験機(製品名「MCR−30」)にて測定し、保存前のインク組成物の粘度に対して保存後のインク組成物の粘度が何%上昇したか、すなわち何%増粘したかを算出した。その結果に基づいて下記の評価基準で評価した。結果を表1〜2に示す。
A:増粘が5%未満。
B:増粘が5%以上10%未満。
C:増粘が10%以上。
(吐出安定性の評価)
360個のノズルを有するヘッドを上部へ固定し、ヘッドのノズル下方にPETフィルム(品番「PET50 K2411 PAT1E」、リンテック社製)を15m/minで搬送させ、180個のノズルからそのPETフィルムへ10kHzでインク組成物を吐出し、連続印刷を行った。印刷と同時に、発光波長ピークが395nmのLEDでPETフィルムに付着したインク組成物に光照射して画像を形成した。吐出開始から5分毎に、全てのノズルからインク組成物を吐出しているか否かを目視にて確認し、下記の評価基準で評価した。結果を表1〜2に示す。また、インク組成物を光学顕微鏡にして観察したところ、吐出安定性がCと評価されたものには、通常よりも粒径が大きくなった顔料粒子(顔料凝集体)を確認した。
A:50分以上ノズル抜けなし。
B:20分以上50分未満でノズル抜けあり。
C:20分未満でノズル抜けあり。
(顔料凝集の評価)
調製直後のインク組成物を、ろ紙(アドバンテック社製、No.5A)を用いてろ過した後に、ろ紙上に残存した異物を目視にて観察した。観察結果に基づいて、下記の評価基準で評価した。
A:異物が認められなかった。
B:若干の異物が認められた。
C:多くの異物が認められた。
(硬化性の評価)
バーコーターを用いて、インク組成物をPETフィルム(PET50A PLシン〔商品名〕、リンテック社製)上に、硬化後の厚さが8μmになるよう塗布して塗膜を作製した。その後、照射強度が1100mW/cm2であり且つ波長が395nmである紫外線を照射して上記塗膜を硬化させた。硬化した塗膜(硬化膜)を、綿棒を用いて100g加重で10回擦り、傷が付かなくなる時点の硬化エネルギー(照射エネルギー)を求めた。
なお、照射エネルギー[mJ/cm2]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm2]を測定し、これと照射継続時間[s]との積から求めた。照射強度の測定は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING, INC.)製)を用いて行った。照射強度の結果に基づいて下記の評価基準で評価した。結果を表1〜2に示す。
A:200mJ/cm2以下
B:200mJ/cm2を超えて300mJ/cm2以下
C:300mJ/cm2
また、2枚のフィルム(材質:高密度ポリエチレン、可塑剤:アジピン酸ジエチル、厚さ:100μm)をそれぞれ同じ大きさの長方形に切り出し、それらの三辺同士をヒートシールして、パックを作製した。実施例1又は比較例1のインク組成物をそのパックに700mL充填し、残りの一辺同士をヒートシールしてパックを密封した。そのパックの更に外側にアルミニウム蒸着膜(厚さ:12μm)を形成し、インク組成物を充填したアルミ蒸着パックを得た。なお、上記フィルムに同様にしてアルミニウム蒸着膜を形成して得られた積層フィルムについて、水蒸気透過率を測定したところ、0.5g/m2・24hrsであった。一方、アルミニウム蒸着膜を形成しないこと以外は上記と同様にして、それぞれ実施例1及び比較例1のインク組成物を充填したパックを得た。なお、上記フィルムにアルミニウム蒸着膜を形成することなく、そのフィルムの水蒸気透過率を測定したところ、35g/m2・24hrsであった。
計4個のパックを温度40℃、相対湿度90%の環境下に6ヶ月間保存した。保存後のパック内のインク組成物について水分量を測定したところ、アルミニウム蒸着膜を形成せずに実施例1のインク組成物を充填したものだけが1質量%を超えていた。このことから、パックを構成するフィルムの水蒸気透過率は、30g/m2・24hrs以下であることが好ましいことが分かった。
実施例1及び6〜9と比較例1〜3及び6との対比により、インク組成物がVEEAを含有すると、特に硬化性に優れたものとなることが分かった。また、実施例1〜5と比較例4及び5との対比により、水分量が0.05質量%以上1.0質量%以下であることにより、特に、吐出安定性及び保存安定性、あるいは、顔料凝集の抑制、吐出安定性及び硬化性に優れることが分かった。
なお、比較例4と比較例6との対比から、インク組成物がVEEAを含有しない場合は、水分量が0.05質量%以下であっても、保存安定性及び吐出安定性に劣るものではないことが分かった。さらに、Irgacure TPO(商品名)の含有量を4.0質量%から9.0質量%に変更し、Irgacure 369(商品名)の含有量を6.0質量%から1.0質量%に変更した以外は比較例5と同様にして調製したインク組成物では、光重合開始剤であるsolsperse36000(商品名)が溶解し難くなることが確認された。
40…インクカートリッジ、70…インクパック、72…カートリッジケース、74…インク供給口、76…本体ケース、78…蓋部、80…切欠き部、82…押さえ部、84…鉤部、86…溝部。

Claims (11)

  1. 収容体に収容され、ビニルエーテル基と(メタ)アクリロイル基とを有する重合性化合物を含有し、組成物の全量に対して、水分量が0.05質量%以上1.0質量%以下である、紫外線硬化型インクジェット組成物。
  2. ラジカル重合型の紫外線硬化型組成物である、請求項1記載のインクジェット組成物。
  3. 前記組成物の全量に対して、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を3.0〜15質量%含有する、請求項1又は2記載のインクジェット組成物。
  4. 前記重合性化合物を、前記組成物の全量に対して、10〜70質量%含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット組成物。
  5. 前記重合性化合物として、下記一般式(1):
    CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(1)
    (式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
    で表される重合性化合物を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット組成物。
  6. 芳香環を有する単官能(メタ)アクリレートを更に含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット組成物を収容した収容体。
  8. 容器と、前記容器内に充填された請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物と、を備える収容体であって、前記容器を構成する部材の水蒸気透過率が、40℃、相対湿度90%の環境下で30g/m2・24hrs以下である、収容体。
  9. 容器と、前記容器内に充填された請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物と、を備える収容体であって、少なくとも前記容器を収納し密封する密封部材を備え、前記密封部材の水蒸気透過率が、40℃、相対湿度90%の環境下で30g/m2・24hrs以下である、収容体。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット組成物を被吐出体に付着させる付着工程を有する、インクジェット方法。
  11. 前記被吐出体に付着した前記組成物に、発光ピーク波長が360〜420nmの範囲にある紫外線発光ダイオードにより光を照射して硬化させる硬化工程を有する、請求項10記載のインクジェット方法。
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