JP6551486B2 - インク収容体、インクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
ここで、所定のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含むインク組成物は、硬化性に非常に優れる一方、保存安定性に劣る場合があることを知見した。そこで、本発明者らは更に検討を重ねた結果、重合禁止剤としてのヒンダードアミン化合物をさらに含むインク組成物を収容したインク収容体により、溶存酸素量が小さい場合であっても保存安定性に優れることを見出し、本発明を完成した。
[1]
下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、ヒンダードアミン化合物と、を少なくとも含み、かつ、溶存酸素量が20ppm以下である紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を収容した、インク収容体。
[2]
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、チオキサントン化合物をさらに含む、[1]に記載のインク収容体。
[3]
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物に接触する構成材料の酸素透過度が23℃且つ湿度65%において、5.0cc・20μm/(m2・day・atm)以下である、[1]又は[2]に記載のインク収容体。
[4]
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を100〜1,000mLの容量で収容可能な、[1]又は[2]に記載のインク収容体。
[5]
前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類がアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、[1]〜[4]のいずれかに記載のインク収容体。
[6]
前記ヒンダードアミン化合物が2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載のインク収容体。
[7]
前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の含有量が、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の総質量に対し、10〜70質量%である、[1]〜[6]のいずれかに記載のインク収容体。
[8]
前記チオキサントン化合物の含有量が、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の総質量に対し、0.5〜4質量%である、[2]〜[7]のいずれかに記載のインク収容体。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載のインク収容体に収容されている、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物。
[10]
[1]〜[8]のいずれかに記載のインク収容体に収容された前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を、ヘッドから吐出する吐出手段を少なくとも備えた、インクジェット記録装置。
[11]
ヘッドから吐出する前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の溶存酸素量が20ppm以下である、[10]に記載のインクジェット記録装置。
[12]
インク収容体からヘッドへインクを供給する過程でインクの溶存酸素量が上昇する、[11]に記載のインクジェット記録装置。
[13]
[1]〜[8]のいずれかに記載のインク収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を、ヘッドから吐出する吐出工程を少なくとも備えた、インクジェット記録方法。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味する。
本発明の一実施形態は、所定の紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を収容したインク収容体に係る。当該インク組成物は、後述の一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(以下、単に「ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類」とも言う。)と、ヒンダードアミン化合物と、を少なくとも含む。これに加えて、上記インク収容体に収容されたインク組成物の溶存酸素量が20ppm以下である。
以下、本実施形態におけるインク組成物に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
インク組成物に含まれる重合性化合物は、単独で、又は後述する光重合開始剤の作用により、光照射時に重合されて、印刷されたインクを硬化させることができる。
インク組成物は、重合性化合物として下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含む。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
なお、上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の含有量が上記の好ましい範囲の上限に近い場合、インク組成物の保存安定性が悪化し得る。だが、後述のヒンダードアミン化合物が上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と共にインク組成物に含まれることにより、上記の場合であっても優れた保存安定性を維持することができる。
上記以外の重合性化合物(以下、「その他の重合性化合物」という。)としては、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
インク組成物は、重合禁止剤として少なくともヒンダードアミン化合物を含む。
インク組成物が重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物を含むことにより、インクの保存安定性を優れたものとすることができる。
なお、上記の市販品のうち、LA−82は2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−メチル骨格を有する化合物であり、アデカスタブLA−7RDは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物である。
上記の市販品として、例えば、アデカスタブLA−7RD、IRGASTAB UV 10が挙げられる。
インク組成物は、重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物以外のものをさらに含んでもよい。その他の重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノン、クレゾール、t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
インク組成物は光重合開始剤をさらに含んでもよい。当該光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。放射線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。光(紫外線)のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
インク組成物は、色材をさらに含んでもよい。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
インク組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア(Avecia)社やノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
インク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、スリップ剤(界面活性剤)、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
本実施形態におけるインク組成物は、溶存酸素量が20ppm以下であることを特徴とする。溶存酸素量が20ppm以下になるよう脱気などの処理をすることで、吐出安定性及び硬化性に優れたインク組成物とすることができる。これにより、当該インク組成物はインクジェット記録装置に好適に使用可能となる。また、インクジェット記録装置での使用において、インク流路をインクが通過するときに空気がインクに溶け込むため、溶存酸素量は上昇する場合がある。だが、インク収容体内でのインク組成物の溶存酸素量が20ppm以下であれば、インク収容体からインクジェット記録装置内にインクを充填して記録を行う際に、吐出安定性及び硬化性に優れたインク組成物とすることができる。
なお、本明細書における溶存酸素量は、従来公知の方法により測定することができるが、便宜上、後述の実施例において実施した測定方法により得られた値を採用するものとする。
本実施形態のインク収容体の形状としては、以下に限定されないが、例えば、インクカートリッジ、パック、ボトル、タンク、ビン、缶が挙げられる。これらの中でも、汎用されており、かつ、後述の酸素透過度を所望の値に制御しやすいため、インクカートリッジ、パック、ボトル、タンクが好ましく、パックがより好ましく、フィルムのパックが特に好ましい。
なお、上記の(A)及び(C)は、インク容器からインクチューブ等の接続部を介して記録装置にインクを供給している状態で、記録装置の印刷を行うインク収容体と言うことができる。
なお、当該容量が上記の範囲内であると、インク収容体の使用開始後、インク収容体中のインクの溶存酸素量が殆ど変わらない間に、インク組成物を使い切ることができることや、保管中のインク組成物の溶存酸素量が変化しにくいこと等の有利な効果がある。また、インク収容体が上記のインク収容体の部材の酸素透過度を有し、且つ収容可能なインク組成物の容量が上記の範囲であることが特に好ましい。また、本明細書における「容量」は、容積を意味する。
本発明の一実施形態は、上記実施形態のインク収容体に収容されている、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物に係る。当該紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、上述したように、保存安定性、硬化性、及び吐出安定性のいずれにも優れている。
本発明の一実施形態は、上記実施形態のインク収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を用いた、インクジェット記録方法に係る。
また、本発明の一実施形態は、上記のインクジェット記録方法により記録を行うインクジェット記録装置に係る。図2は本実施形態のインクジェット記録装置のヘッドの周囲の一例を表す概略図である。
脱気モジュール204を通過したインクは、圧力調整弁108が開弁すると、分岐継手106に流入する。分岐継手106の内部では、往路214が複数の通路に分岐されて、複数個のヘッド100に接続されている。
ヘッド100から吐出されなかったインクは、開閉バルブ212が開いた状態において、統合継手210及び復路216を介してサブタンク200へ循環される。サブタンク200とヘッド100との間にインクを循環させることで、インクが長期滞留してインク成分が分離、沈降した場合にこれを回復させたり、循環するインクの温度を一定にしたりすることができる。インクはヒーター218,220,222によって加熱されることで粘度が低下し、ヘッド100からの吐出に適した粘度となり、ヘッド100から吐出される。
本実施形態のインクジェット記録方法を利用して、インク組成物が被記録媒体上に吐出されること等により、記録物が得られる。この被記録媒体として、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。本実施形態のインクジェット記録方法は、水溶性インク組成物の浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、インク組成物の浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。ただし、当該インク組成物を非吸収性の被記録媒体に適用した場合は、紫外線を照射し硬化させた後に乾燥工程を設けること等が必要となる場合がある。
上記吐出工程においては、後述のインクジェット記録装置を用いることができる。インク組成物の吐出の際は、インク組成物の粘度を、好ましくは25mPa・s以下、より好ましくは5〜20mPa・sとすることが好ましい。インク組成物の粘度が、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱しない状態として、上記のものであれば、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱せずに吐出させればよい。一方、インク組成物を所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
次に、上記硬化工程においては、被記録媒体上に吐出されたインク組成物が、紫外線(光)の照射によって硬化する。換言すれば、被記録媒体上に形成されたインク塗膜が、紫外線の照射によって硬化膜となる。これは、インク組成物に含まれ得る光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、光重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線の照射によって、重合性化合物の光重合反応が開始するためである。このとき、インク組成物において光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
本発明の一実施形態は、上記実施形態のインク収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を、ヘッドから吐出する吐出手段を少なくとも備えたインクジェット記録装置に係る。
下記の実施例及び比較例において使用した原料は、以下の通りである。
〔色材〕
・C.I.ピグメントブラック7(Microlith Black C−K〔商品名〕、BASF社製、下記表では「ブラック顔料」と略記した。)
〔分散剤〕
・Solsperse 36000(Noveon社製商品名、下記表では「Sol36000」と略記した。)
〔ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類〕
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社製商品名、下記表では「VEEA」と略記した。)
〔上記以外の重合性化合物〕
・ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製商品名、下記表では「PEA」と略記した。)
・SR508(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製商品名、下記表では「DPGDA」と略記した。)
〔ヒンダードアミン化合物(重合禁止剤)〕
・LA−82(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ADEKA社製商品名、下記表では「LA−82」と略記した。)
・アデカスタブ LA−7RD(2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、ADEKA社製商品名、下記表では「LA−7RD」と略記した。)
〔光重合開始剤〕
・IRGACURE 369(BASF社製商品名、固形分100%、下記表では「369」と略記した。)
・DAROCURE TPO(BASF社製商品名、固形分100%、下記表では「TPO」と略記した。)
・Speedcure DETX(Lambson社製商品名、固形分100%、下記表では「DETX」と略記した。)
・Speedcure ITX(Lambson社製商品名、固形分100%、下記表では「ITX」と略記した。)
〔顔料分散液の作製〕
インク組成物の作製に先立ち、顔料分散液を作製した。上記のブラック顔料を18質量%、分散剤を9質量%の割合で、それぞれ混合し、1時間スターラーで撹拌した。撹拌後の混合液をビーズミルで分散し、顔料分散液を得た。なお、分散条件は、直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間を2〜4時間とした。
下記表に記載の成分を、下記表に記載の組成(単位は質量%)となるように添加し、これを高速水冷式撹拌機により撹拌することにより、ブラック色の紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を調製した。
溶存酸素量の測定は、ガスクロマトグラフィー Agilent 6890(アジレント・テクノロジー社製)を用いて、インク組成物の溶存酸素量を測定した。キャリアガスとしてはヘリウム(He)ガスを使用した。
各実施例及び各比較例で調製するとともに脱気時間を変えることにより溶存酸素量を調整した紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物について、以下の方法により硬化性、保存安定性、及び吐出安定性を評価した。硬化性及び吐出安定性の評価、並びに表中の溶存酸素量の測定は、保存安定性評価の条件の保存後のインク組成物を用いた。
インク収容体として、上述の図1に示されるようなインクパックを用意した。各実施例及び各比較例のインク組成物を、当該インクパック内に密封し、60℃のオーブンで20日間保管した。そして、保管前後の増粘率を求めた。なお、上記インクパックの容量は700mLであり、フィルムをエチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム(フィルムの酸素透過度は2.0cc・20μm/(m2・day・atm)、フィルムの膜厚は100μm)とした。
評価基準は下記のとおりである。評価結果を上記表に示した。
A:3%以下
B:3%を超えて6%以下
C:6%を超えて9%以下
D:9%を超えて12%以下
E:12%超
バーコーターを用いて、各実施例及び各比較例のインク組成物をPETフィルム(PET50A PLシン〔商品名〕、リンテック社製)上に塗り、厚さ10μmのインク塗膜を作製した。その後、照射強度が1,100mW/cm2であり且つ波長が395nmである紫外線を照射して上記塗膜を硬化させた。硬化した塗膜(硬化膜)を、綿棒を用いて100g加重で10回擦り、傷が付かなくなる時点の硬化エネルギー(照射エネルギー)を求めた。
なお、照射エネルギー[mJ/cm2]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm2]を測定し、これと照射継続時間[s]との積から求めた。照射強度の測定は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING, INC.)製)を用いて行った。
評価基準は下記のとおりである。評価結果を上記表に示した。
A:150mJ/cm2以下
B:150mJ/cm2を超えて200mJ/cm2以下
C:200mJ/cm2を超えて250mJ/cm2以下
D:250mJ/cm2を超えて300mJ/cm2以下
E:300mJ/cm2超
吐出ノズル径20μm及び駆動周波数24kHzとし、かつ、1回当たりのインク吐出量を5ngに調整した、180ノズルを有するインクジェット評価機(試作機)を用意した。そして、当該評価機を用いて、60分間連続でインクの吐出を行った時にノズル抜けが生じたノズル数を求めた。
評価基準は下記のとおりである。評価結果を上記表に示した。
A:なし(0本)
B:1〜5本
C:6〜10本
D:11〜15本
E:15本以上
Claims (18)
- 下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、ヒンダードアミン化合物とアシルホスフィンオキサイド化合物と、を少なくとも含み、
前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートを、インク組成物の総質量に対して15質量%以上含み、
溶存酸素量が20ppm以下である、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を収容した、インク収容体。 - 前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、チオキサントン化合物をさらに含む、請求項1に記載のインク収容体。
- 前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物に接触する構成材料の酸素透過度が、23℃且つ湿度65%において、5.0cc・20μm/(m2・day・atm)以下である、請求項1又は2に記載のインク収容体。
- 前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を100〜1,000mLの容量で収容可能な、請求項1又は2に記載のインク収容体。
- 前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類がアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク収容体。
- 前記ヒンダードアミン化合物が2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク収容体。
- 前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の含有量が、前記紫外線硬化インクジェット記録用インク組成物の総質量に対し、10〜70質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク収容体。
- 前記チオキサントン化合物の含有量が、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の総質量に対し、0.5〜4質量%である、請求項2に記載のインク収容体。
- 紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物が、前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートを、インク組成物の総質量に対して15〜80質量%含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク収容体。
- 紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物が、2官能(メタ)アクリレート又は3官能以上の(メタ)アクリレートを、インク組成物の総質量に対して15〜30質量%含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインク収容体。
- 前記アシルホスフィンオキサイド化合物が2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインク収容体。
- 前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートの含有量が、インク組成物の総質量に対して47.9〜80質量%である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインク収容体。
- 前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物に接触する構成材料がエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールから選択される1種以上を含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のインク収容体。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載のインク収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を、ヘッドへ供給する工程と、ヘッドから吐出する吐出工程を少なくとも備えた、インクジェット記録方法。
- ヘッドから吐出する前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の溶存酸素量が20ppm以下である、請求項14に記載のインクジェット記録方法。
- 前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を脱気しインク組成物の溶存酸素量を低減させる工程を備え、該工程がヘッドへインク組成物を供給し続けた状態で連続的にインク組成物の脱気を行うものである、請求項14又は15に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク収容体からヘッドへインク組成物を供給する過程にインク組成物を循環させる手段を備え、循環させたインク組成物をヘッドへ供給する、請求項14〜16のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記吐出工程で被記録媒体へ吐出された紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を光の照射によって硬化させる硬化工程を備え、前記光の照射を紫外線発光ダイオードによって行う、請求項14〜17のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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