JP6212939B2 - 紫外線硬化型インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を吐出するヘッドと、
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を前記ヘッドに供給するインク流路と、
前記インク流路に、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を流通させるギアポンプと、を備え、
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、ヒンダードアミン化合物を含有する、
紫外線硬化型インクジェット記録装置。
〔2〕
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、前記ヒンダードアミン化合物を0.05〜0.5質量%含有する、前項〔1〕に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
〔3〕
前記ヒンダードアミン化合物が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物を含む、前項〔1〕又は〔2〕に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
〔4〕
前記ギアポンプに流入する前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、溶存酸素量が2〜20ppmである、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
〔5〕
前記ギアポンプが、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びセラミックスからなる群より選ばれる少なくとも1つの材料を含む、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
〔6〕
前記インク流路に、脱気装置をさらに備える、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
〔7〕
前記インク流路が、インク循環路を有し、
該インク循環路に、前記脱気装置と、前記ギアポンプとを備える、前項〔6〕に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
〔8〕
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物が、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤をさらに含有する、前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
〔9〕
前記インク流路に、加温装置をさらに備える、前項〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
〔10〕
前記ギアポンプの前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物送給量は、50〜400g/分である、前項〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
〔11〕
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物が、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートをさらに含有する、前項〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
〔12〕
前項〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置を用いて、ヒンダードアミン化合物を含有する紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を、ギアポンプによりインク流路に流通させて、ヘッドに供給し、該ヘッドより吐出する、インクジェット記録方法。
本実施形態の紫外線硬化型インクジェット記録装置(以下、単に「インクジェット記録装置」ともいう。)は、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)を吐出するヘッドと、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を前記ヘッドに供給するインク流路と、前記インク流路に、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を流通させるギアポンプと、を備え、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、ヒンダードアミン化合物を含有する。
本実施形態で用いる紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、ヒンダードアミン化合物を含有し、必要に応じて以下に列記する各成分も含むことができる。紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、上記インクジェット記録装置において、インク流路を流通して、ヘッドに供給され、該ヘッドより吐出されるものである。
本実施形態で用いるインク組成物は、ヒンダードアミン化合物を含む。一般的に、紫外線硬化型インク組成物中の溶存酸素量が低いほど、酸素によるインクの重合(暗反応)抑制の効果が得られにくい。また、p−メトキシフェノール(MEHQ)等の重合禁止剤は、溶存酸素が少ないと重合禁止剤として働かない。そのため、ギアポンプ内でインク組成物が固着する傾向にある。ところが、ヒンダードアミン化合物は酸素が少なくても重合禁止剤として働くため、溶存酸素量が少ない場合でもギアポンプ内でインク組成物が固着することを抑制することができる。
本実施形態のインク組成物は、重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物以外のものをさらに含んでもよい。その他の重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシフェノール(ヒドロキノンモノメチルエーテル:MEHQ)、ヒドロキノン、クレゾール、t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
本実施形態においてギアポンプに流入するインク組成物は、溶存酸素量が2〜20ppmであることが好ましく、5〜20ppmであることがより好ましく、10〜20ppmであることがさらに好ましい。溶存酸素量が上記範囲であることにより、ギアポンプ内でインク組成物が固着することをより抑制することができ、インクジェット記録装置は耐久性により優れる。なお、本明細書における溶存酸素量は、従来公知の方法により測定することができるが、後述の実施例において実施した測定方法により得られた値を採用するものとする。溶存酸素量を所定の値とする脱気処理としては、特に限定されないが、例えば、減圧脱気などの脱気装置を用いる方法や、不活性ガスのバブリングが挙げられる。なお、ギアポンプに流入されるインク組成物の溶存酸素量は、実施例に記載の方法により求めることができる。
本実施形態のインク組成物は、光重合開始剤を含むことができる。光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。本実施形態に係るインクジェット記録装置は、放射線のなかでも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源のコストを抑えることができるものとなる。光重合開始剤としては、光(紫外線)のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物の重合を開始させるものであれば制限はなく、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができる。このなかでも、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。光ラジカル重合開始剤を用いると、酸素が少ない場合に重合が進行しやすい傾向にある。そのため、酸素が欠乏状態になりやすいギアポンプ内においてインク組成物が増粘する傾向にあり、本実施形態の紫外線硬化型インクジェット記録装置が特に有用となる。
インク組成物は重合性化合物を含んでもよい。重合性化合物は、単独で、又は光重合開始剤の作用により、光照射時に重合されて、印刷されたインク組成物を硬化させることができる。重合性化合物としては、特に限定されないが、具体的には、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。重合性化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以下これら重合性化合物について例示する。
インク組成物は、色材をさらに含んでもよい。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
インク組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア(Avecia)社やノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
インク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、スリップ剤(界面活性剤)、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
インク組成物は、染料、及び必要に応じてその他の添加成分を均一に混合し、フィルターで不溶解物を除去することにより調製することができる。調整方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
本実施形態の紫外線硬化型インクジェット記録装置は、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を吐出するヘッドと、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を前記ヘッドに供給するインク流路と、前記インク流路に、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を流通させるギアポンプと、を備える。本実施形態において、インクジェット記録装置は、インク流路に、インク組成物を流通させるギアポンプを備える。ここで、「インク流路」とは、インクジェット記録装置において、インク組成物を流通させるための流路をいう。インク流路としては、例えば、インク組成物を貯留するインク収容容器からインクジェット式記録ヘッドにインク組成物を供給するためのインク供給路や、インクジェット式記録ヘッド内においてインク組成物をノズル開口部まで流通させるための流路、下記インク循環路等が挙げられる。
本実施形態のインクジェット記録装置は、インク流路に、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を流通させるギアポンプを備える。ギアポンプを用いることにより、インクジェット記録装置の耐久性や吐出量安定性が向上する。ギアポンプは、インク流路に設置され、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物をインク流路に流通させるものであれば特に制限はないが、その設置位置としては、図2に示す循環ポンプ82、供給ポンプ54の位置が挙げられる。また、そのほか、図2のインク循環路80において、循環ポンプ82の位置以外の位置であってもよく、ヘッドよりもサブタンク側の下流であってもよい。ギアポンプを流通したインクが最終的にヘッドに供給されるものであればよい。
本実施形態のインクジェット記録装置は、インク流路に、インク組成物を加温するための加温装置(例えば、図2に示す加温装置90)をさらに備えることが好ましい。加温装置を備える場合、インク組成物の温度が高いことにより増粘物がインク組成物中に発生しやすい傾向がある。増粘物が発生するとギアポンプが固着しやすくなる。そのため、加温装置を備える場合には本実施形態に係るインクジェット記録装置が特に有用である。加温温度は35〜70℃が好ましい。
本実施形態のインクジェット記録装置は、インク流路に、脱気装置をさらに有することが好ましい。脱気装置は、インク組成物を脱気するものである。脱気装置100は、インク流路中に設けるものであれば特に制限されないが、インク循環路80に設けられ、より具体的にはインク循環路80の途中、即ちサブタンク70及びヘッド60の間に設けることができる。脱気装置100により脱気されたインク組成物はヘッド60に供給される。脱気装置100は、インク組成物が供給される方向であって、加温装置90(より具体的には、インク循環路80の温調モジュール94)より下流側であり、かつ、ヘッド60より上流側に設けられていることが好ましい。これにより脱気装置100が加温装置90の下流に位置することにより、インク組成物の温度が高い状態で脱気されることとなり、脱気効率をより高くすることができる。脱気モジュール102は、インク組成物が流入する脱気室(図示せず)と、インク組成物などの液体を通さない分離膜を介して当該脱気室に接する減圧室(図示せず)と、を備える。負圧ポンプ101は上記減圧室を減圧するものである。上記減圧室が減圧されると、インク循環路80内のインク組成物の溶存空気量が減少して気泡が除去される。このようにして、脱気装置100はインク循環路80内のインク組成物を脱気することができる。脱気装置から流出されるインク組成物の溶存酸素量は、脱気装置に流入されるインク組成物の溶存酸素量を100%として、5%以内の範囲で低下する傾向にあるが、インク組成物が循環することにより、印刷中、インク循環路80中のインク組成物の溶存酸素量(濃度)が安定する。脱気装置100は、インク組成物が供給される方向であって、ギアポンプ82より下流側であり、かつ、ヘッド60より上流側に設けられていることが好ましい。脱気装置により脱気される前のインクをギアポンプに流入させることで、ギアポンプ82の耐久性を一層よくすることができる。
インク流路は、インク循環路をさらに有し、インクジェット記録装置は、該インク循環路に脱気装置と、ギアポンプとを備えることが好ましい。インク流路は、少なくとも一部にインク循環路を有することが好ましい。図2において、インク流路51はインク循環路80を有し、インク循環路80は、サブタンク70及びヘッド60に通じており、サブタンク70からインク組成物が供給されて、当該インク組成物をヘッド60に供給するものとすることができる。このように、インク循環路80によりインク組成物を循環させることで、後述の加温装置90で加温したインク組成物の温度を一定にしたり、脱気効率をより高くしたり、インク組成物を常に流動させて、インク組成物に含まれる成分の沈降を防止したりすることができる。
本実施形態のインクジェット記録方法は、上記紫外線硬化型インクジェット記録装置を用いて、ヒンダードアミン化合物を含有する紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を、ギアポンプによりインク流路に流通させて、ヘッドに供給し、該ヘッドより吐出する。これにより、紫外線硬化型インクジェット記録装置を耐久性、吐出量安定性よく用いることができる。インクジェット記録方法の態様について以下具体的に説明する。
下記の実施例及び比較例において使用した原料は、以下の通りである。
〔色材〕
・C.I.ピグメントブラック7(Microlith Black C−K〔商品名〕、BASF社製、下記表では「ブラック顔料」と略記した。)
〔分散剤〕
・Solsperse 36000(Noveon社製商品名)
〔重合性化合物〕
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社製商品名)
・PEA(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製商品名ビスコート#192)
・DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製商品名SR508)
〔ヒンダードアミン化合物(重合禁止剤)〕
・アデカスタブ LA−82(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ADEKA社製商品名、下記表では「LA−82」と略記した。)
・アデカスタブ LA−7RD(2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、ADEKA社製商品名、下記表では「LA−7RD」と略記した。)
・TINUVIN144(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、BASF社製商品名)
〔重合禁止剤〕
・MEHQ(p−メトキシフェノール、東京化成工業社製)
〔光重合開始剤〕
(アシルフォスフィンオキサイド系化合物)
・IRGACURE 819(BASF社製商品名、固形分100%)
・DAROCUR TPO(BASF社製商品名、固形分100%)
(アセトフェノン系化合物)
・IRGACURE 369(BASF社製商品名、固形分100%)
インクジェットプリンター Surepress L‐4033A(セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製)を改造したもの(以下、改造機という。)を用いた。改造部分は、ギアポンプ、インク循環路、脱気装置、及び加温装置を備えた点、及びラインヘッドの被記録媒体搬送方向の下流側に光源を配置し、紫外線硬化型インクを使用した1パス印刷を可能とした点である。ギアポンプ等の配置は図2に示すものと同様とした。以下説明する。
〔紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の作製〕
下記表1に記載の成分を、下記表1に記載の組成(単位は質量%)となるように添加し、これを撹拌機により撹拌することにより、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を調製した。
ギアポンプ82に流入する直前のインク循環路80から採取したインク組成物の溶存酸素量を、ガスクロマトグラフィー Agilent 6890(アジレント・テクノロジー社製)を用いて測定し、溶存酸素量が表1の値になっていることを確認した。キャリアガスとしてはヘリウム(He)ガスを使用した。インク組成物の溶存酸素量は所定の体積のインク組成物(液体)中に溶存する酸素(気体)の体積をppmで示したものである。
・PET:ポリエチレンテレフタレート
・PBT:ポリブチレンテレフタレート
・POM:ポリアセタール
・PTFE:ポリテトラフルオロエチレン
・セラミック:炭化珪素及び窒化珪素混合物
〔耐久性試験〕
インク流量300g/分で、改造機を用いて、各実施例及び各比較例のインク組成物の送給を行なった。ギアポンプでは、ギアがロックし、流通させることができなくなるまでの時間、チューブポンプでは、チューブが破損し、流通させることができなくなるまでの時間、ダイアフラムポンプでは、ダイヤフラムが破損し、流通させることができなくなるまでの時間を測定し、以下の評価基準により耐久性を評価した。なお、ロックしたギアポンプを分解して観察したところ、インクに由来すると思われる増粘物がギアの周囲に付着していた。また、流通中、ギアの係合部が発熱していることが観察された。
(評価基準)
A:2000時間より長い
B:500時間より長く2000時間以下
C:24時間より長く500時間以下
D:24時間以下
改造機を用いて、各実施例及び各比較例のインク組成物を、ヘッド1個(ノズル数600個)から吐出周波数10Khzで連続的に吐出させた。1分間の吐出ごとに不吐出ノズルの有無の検査を行い、不吐出ノズルが発見された時点の吐出時間の累積時間を連続吐出可能な時間として測定した。その時間に基づいて、以下の評価基準により吐出安定性を評価した。
(評価基準)
A:60分間超過
B:20分間超過60分間以下
C:10分間超過20分間以下
D:0分間超過10分間以下
改造機を用いて、各実施例及び各比較例のインク組成物を、被記録媒体を搬送させながら、1つのノズルから被記録媒体(PET T50A PLシン リンテック)へ10分間連続的に吐出させ、ヘッドより搬送方向下流側に配置した光源(LED)から紫外線を照射し、被記録媒体に付着したインクを硬化させてドットを形成した。形成されたドットの列のドット径を測定し、平均ドット径に対する最大ドット径と最小ドット径との差の比を算出した。その比に基づいて、下記評価基準により吐出量安定性を評価した。
(評価基準)
A:5%以下
B:5%超過
バーコーターを用いて、各実施例及び各比較例のインク組成物をPETフィルム(PET50A PLシン〔商品名〕、リンテック社製)上に塗布し、硬化後の厚さが10μmとなるインク塗膜を作製した。その後、照射強度が1,100mW/cm2であり且つ波長が395nmである紫外線を照射して、上記塗膜を硬化させた。硬化した塗膜(硬化膜)を、綿棒を用いて100g加重で10回擦り、傷が付かなくなる時点の硬化エネルギー(照射エネルギー)を求めた。
(評価基準)
A:200mJ/cm2以下
B:200mJ/cm2超過
また、実施例14と比較例2の比較により、インク組成物が顔料を含むと、顔料が気泡核となって気泡の発生を誘発し、溶存酸素量が多い場合の吐出安定性が低下する場合があると推測した。着色に用いるためにインクに顔料を含む場合、吐出安定性をよくするために溶存酸素量を低くすることが必要であり、その場合、本発明が特に有用であることがわかった。
Claims (10)
- 紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を吐出するヘッドと、
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を前記ヘッドに供給するインク流路と、
前記インク流路に、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を流通させるギアポンプと、を備え、
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、ヒンダードアミン化合物を0.05〜0.5質量%含有し、
前記ギアポンプに流入する前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、溶存酸素量が2〜20ppmである、紫外線硬化型インクジェット記録装置。 - 前記ヒンダードアミン化合物が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物を含む、請求項1に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
- 前記ギアポンプが、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びセラミックスからなる群より選ばれる少なくとも1つの材料を含む、請求項1または2に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
- 前記インク流路に、脱気装置をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫
外線硬化型インクジェット記録装置。 - 前記インク流路が、インク循環路を有し、
該インク循環路に、前記脱気装置と、前記ギアポンプとを備える、請求項4に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。 - 前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物が、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤をさらに含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
- 前記インク流路に、加温装置をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
- 前記ギアポンプの前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物送給量は、50〜400g/分である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
- 前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物が、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートをさらに含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット記録装置。
- 紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を吐出するヘッドと、
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を前記ヘッドに供給するインク流路と、
前記インク流路に、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を流通させるギアポンプと、を備える紫外線硬化型インクジェット記録装置を用いるインクジェット記録方法であって、
前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、ヒンダードアミン化合物を0.05〜0.5質量%含有し、
前記ギアポンプに流入する前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、溶存酸素量が2〜20ppmである、インクジェット記録方法。
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