JP2007296640A - 液体噴射記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高解像度化、高速化したフルラインタイプのインクジェット記録装置で、連続印字時であってもインクジェットヘッドの温度上昇を抑制し、かつ、印字不良の生じることのないインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】 液体貯蔵タンクと、液体吐出動作中であっても液体貯蔵タンクから液体噴射ヘッド内を通過して液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体循環経路内で液体を循環可能な液体供給系を有し、液体噴射ヘッドから液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体経路の少なくとも一部は気体透過性の高い材料とし、液体貯蔵タンクから液体噴射ヘッドへ液体が流れていく液体経路は気体透過性の低い材料で構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液体噴射ヘッドの吐出口から液体を吐出して、記録媒体に画像を記録する液体噴射記録装置(インクジェット記録装置)に関するもので、中でも、液体噴射ヘッドの吐出口列の長さが、記録媒体の幅とほぼ等しい長さを有し、液体噴射ヘッドと記録媒体の1回の相対移動のみにより記録媒体ほぼ全面に画像記録を行うフルラインタイプのヘッドを用いた、液体噴射記録装置に関するものである。
インクジェット記録装置は、いわゆるノンインパクト記録方式の装置であり、高速な記録と様々な記録媒体に対して記録することが可能であり、記録時における騒音がほとんど生じないといった特徴を有しており、このようなことから、プリンタ、ワードプロセッサ、ファクシミリ、複写機等の記録機構を担う装置として広く採用されている。
インクジェット記録装置は、液体噴射ヘッドに配設された微小な吐出口から微小な液滴を吐出させ、この液滴を記録媒体に対し付着させるものであり、圧電素子や電気熱変換素子等を用いたものが知られている。このようなインクジェット記録装置は、一般に、液滴を形成するための吐出口(ノズル)をもつ液体噴射ヘッドとこの噴射ヘッドに対して液体(インク)を供給する液体(インク)供給系とから構成され、例えば、電気熱変換素子を用いた液体噴射ヘッドにおいては、電気熱変換素子をノズル内に設け、これに吐出信号となる電気パルスを与えることにより、インクに熱エネルギーを与え、そのときのインクの相変化により生じるインクの発泡(沸騰)時の気泡圧力を液滴の吐出に利用するものである。
また、従来から、インクジェット記録装置では、一定以上の時間放置された場合や、一定量以上の印字動作を行った場合に、インクジェットヘッド内をインク供給系によって加圧したり、吐出口側から負圧を与えて吸引することで、吐出不良の原因となるインクジェットヘッド内にたまった泡の除去のための回復動作をおこなっていた。特に、長尺のフルラインタイプのインクジェットヘッドに関しては、長尺であるがゆえに吸引でなく、加圧で回復動作を行う場合が一般的であった。このような、記録媒体の幅いっぱいに印字幅があるフルラインタイプのインクジェットヘッドを用いた記録装置におけるインクジェットヘッドの回復方法について、特許文献1、特許文献2にその内容が開示されている。
特開平8−244250では、インク供給系の全体構成が、図7に示すような構成となっている。図中、13はインク8を吐出する記録ヘッド、6は回復動作時に記録ヘッドにインクが流入する側のゴミ除去装置、7はインクが流出する側のゴミ除去装置、9および11はポンプ(チューブポンプ)、10および12はポンプの制御装置である。記録動作時には、制御装置10および12から送られる信号によりチューブポンプ9および11のそれぞれのチューブが開放される機構となっており、インク8はポンプを自由に通過することができるようになっている。インクは流路22および28を介して、チューブの開放されたポンプ9および11を通ってそれぞれのゴミ除去装置6および7へ入り、ゴミ除去装置内のフィルター1によって濾過される。このフィルター1により、インク中のゴミおよび気泡はフィルター1の上流側に溜り、記録ヘッドには侵入しないため、安定した吐出を保つことができるとしている。
また、回復動作は、装置の電源をONにして記録動作を行う直前や、記録ヘッドの共通液室、ノズル、ゴミ除去装置その他のインク流路途中に気泡が溜った場合にそれを除去するため適時行われ、手順は図8に示すとおりであるとしている。
図8で、まず制御装置10および12より制御信号を出し、それぞれポンプ9および11を動作させる。好ましくは、図8に示される様に、ポンプ9を始動した後にポンプ11を始動する。これにより、吐出口15から気体を引き込むことを防止できるからである。ポンプ9は図7のAからBの方向へ、ポンプ11は図7のCからDの方向へインクを圧送する。ポンプ9とポンプ11の単位時間当りのインク圧送量はほぼ等しくしている。
このインク循環の際にそれと並行して、図8のS3、S4に示される様に、ヘッドのインク吐出用素子を所定時間駆動して例えばキャップに対して予備吐出を行う。インク循環と予備吐出とが相まって、高い回復効果を得られるからである。
次に、記録ヘッドのノズル内に残っている気泡を除去するため、図8のS5、S6に示される様に、回復動作の最後に復路側(流出側)のポンプ11を先に停止し、約0.5秒後に往路側(流入側)のポンプ9を停止する。ポンプ11が停止してポンプ9が動作している0.5秒間は、共通液室14内が加圧になることから、吐出口15からインクが流出し、ノズル内に溜っていた気泡が押し出される。
以上のように、本従来例では、廃インクとして捨てるのは、ノズル内の気泡を除去するための極くわずかな量のインクのみであり、流路や共通液室の気泡を除去するためにインクを浪費することがないとしていた。
また、従来の装置のように、吐出口からのインクの流出を見込んで復路側に十分インクが流れるよう容量の大きなポンプを使用する必要がないため、小容量の簡単な構造のポンプでも効果的に気泡の除去を行うことができるとしていた。
次に、第二の従来例特開平11−198403のインク供給系について、図9を用いて説明する。インク8は、インクタンク21からインク流路22を介して記録ヘッド13の共通インク室23内に供給される。共通インク室23内に供給されたインク8は、毛管現象によりインク路24に供給され、インク路24先端の吐出口15でメニスカスを形成することにより、安定に保持される。ここでインク路24内に設けられた電気熱変換体に通電することにより、電気熱変換体の上に位置するインク8が加熱されて発泡現象が発生し、その発泡エネルギーにより吐出口14からインク滴が吐出される。32はインク流路22に介装されたフィルタユニット、33はインク流路28に介装されたフィルタユニットである。34は、これらフィルタユニット32、33に隣接してインク流路22およびインク流路28を覆うように設けられたインク加熱装置であり、プリント開始の操作で各記録ヘッド13の電気熱変換体が画像データに応じて駆動されると同時に、インク流路22およびインク流路28内のインク8を加熱し始める。この時、回復ポンプ29、 30はその作動を停止した状態にあり、インク8は、記録ヘッド13から吐出されるインク8の消費に伴い、毛管現象によってインクタンク21からインク流路22およびインク流路28を通ってインク加熱装置34に入り、ここで温められてフィルタユニット32、 33にそれぞれ組み込まれたフィルタ35を通過し、記録ヘッド13に供給される。この間に、インク8に含まれる異物がフィルタ35に捕捉され、記録ヘッド13側へは供給されない。
フィルタ35を通過するインク8は、インク加熱装置34によって加熱されてその粘度が低下しているため、インク8中に気泡が混在していても、この気泡はフィルタ35に捕捉されることなく、フィルタ35を通過するため、フィルタ35に気泡が捕捉されることによって、インク流路22やインク流路28内を流れるインク8の流路抵抗が増大してしまうような不具合を未然に防止することができる。この結果、シリアルタイプのものよりもインクの消費が大きい本実施例のフルラインタイプの記録ヘッド13であっても、フィルタ35の面積やインク流路22およびインク流路28の通路断面積を特別に大きく設定せずとも、記録ヘッド13に対するインク8の供給を円滑に行うことができるとある。
特開平8−244250号公報 特開平11−198403号公報
しかしながら、前述したような記録媒体とほぼ同等の幅を有するフルラインタイプのインクジェットヘッドを用いた従来のインクジェット記録装置においては、以下のような問題点があった。
近年、インクジェット記録装置は、高精細化と高速化の傾向がますます強くなり、解像度では、1200dpi→2400dpi→4800dpiと、年を追うごとに高解像度の製品が世の中に出されている。高解像度化に伴い、一回に吐出されるインク滴の大きさも、どんどん小さくなり、現在では2plというような非常に小さなインク滴を吐出可能な製品もある。これと同時に、インクを吐出するノズルの径もどんどん小径化している。
そして、解像度が上がりインク滴が小さくなると、単位面積当たりのインク吐出数を増加させる必要が生じるとともに、高速印字を実現するために、インクの吐出周波数を大幅に増大させる必要が生じてくる。それに伴い、一度に大量のインクを消費するフルラインタイプのインクジェットヘッドを用いる場合に特に顕著になるが、印字速度の高速化のために、印字中に大量のインクをヘッドへ供給し、単位時間当たりに大量にインクを吐出する必要が生じる。
また、フルラインタイプのインクジェットヘッドを用いるインクジェット記録装置の場合は、印字媒体と記録ヘッドの一回のみの相対移動(1パス)で、高速印字を行うので、インクジェットヘッドの往復動によって画像を形成していくシリアルタイプのインクジェット記録装置のように、複数パスに分散して画像形成を行うことで、同時に使用するインク吐出ノズルの数を最大でも複数分の一に少なくすることが不可能であり、常に1パスでヘッド全体を使用する必要があるため、連続印字によるヘッド温度上昇がさらに激しく生じることとなる。インクジェットヘッドの温度が上昇しすぎると、特に、電気熱変換体を用いるインクジェットヘッドの場合には、インクの吐出動作を安定して行うことができなくなり、画像不良を生じてしまうという問題点があった。さらに、インクジェットヘッドの温度が上昇した場合、インクジェットヘッド内のインク温度も同様に上昇してしまう。一般的に、液体中に溶け込むことが可能な気体の量は、液体の温度が低いほど多く、液体の温度が高くなるほど少なくなるという特性を有している。したがって、インクジェットヘッド内のインクの温度が上昇してしまうと、インク中に溶け込んでいた気体が溶解限界を超え、泡となって析出してくる場合がある。インクジェットヘッド内で最も温度が高くなるのは、熱源である発熱抵抗体周辺である。したがって、発熱抵抗体周辺で、最も泡が発生しやすくなることになる。この泡が発生すると、本来沸騰によって生じた発泡パワーによって液体を吐出する吐出のためのパワーが泡によって吸収されたり、正常な沸騰動作ができないで、安定した吐出動作を行うことができなくなってしまう場合があった。このような、吐出不良を生じないようにするために、溶け込んだ気体の量を低減(脱気)されたインクをインクジェットヘッドへ供給する方法が、従来から考案されており、特開平11−42771で開示される、インクジェット記録方式のカラーフィルタの製造装置のインク供給系では、インク供給経路中に脱気装置を組み込んでいた。ところが、カラーフィルタの製造装置などの生産装置では、スペース的にもコスト的にも余裕があるため、インク供給経路中に脱気装置を組み込むことは可能であったが、オフィス機器であるプリンター装置に脱気装置を組み込むことはスペース的にも、コスト的にも非現実的なものであった。
前述した従来技術の特開平8−244250においては、印字動作を行っていないときのみ、ヘッド内でインクを循環させヘッド内の泡などの除去を行うようにしたものであるが、連続印字動作を行ったときのインクジェットヘッドの温度上昇を抑制するための手段に関しては、何ら記述されていない。
また、特開平11−198403においては、印字時のインク供給不足を生じないようにするために、インク加熱装置によってインクを加熱し、インク粘度を低下させることで、インク中に気泡が混在していても、この気泡はフィルタに捕捉されることなく、フィルタ35を通過できるようになるため、フィルタに気泡が捕捉されることによって、インク流路内を流れるインクの流路抵抗が増大し、インク供給不足による濃度低下や、不吐出といった不具合を未然に防止することができるようにしたものである。また、シリアルタイプのものよりもインクの消費が大きいフルラインタイプの記録ヘッドであっても、フィルタの面積やインク流路28の通路断面積を特別に大きく設定せずとも、記録ヘッドに対するインクの供給を円滑に行うことができるとしてものであるが、本従来例では、インクを加熱するものであり。その結果ヘッドの温度上昇を促進してしまうこととなり、連続印字を実現することは不可能であった。
そこで、本発明は、前述した従来技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであって、高解像度化、高速化したフルラインタイプのインクジェット記録装置で、連続印字時であってもインクジェットヘッドの温度上昇を抑制し、かつ、印字不良の生じることのないインクジェット記録装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射記録装置は、
液体を吐出するための吐出口と液体に運動エネルギーを印加するための吐出エネルギー発生素子が複数個設けられた液体噴射ヘッドと、液体噴射ヘッドへ供給する液体を貯蔵する液体貯蔵タンクと、液体吐出動作中であっても液体貯蔵タンクから液体噴射ヘッド内を通過して液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体循環経路内で液体を循環可能な液体供給系を有し、液体噴射ヘッドから液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体経路の少なくとも一部は気体透過性の高い材料で構成され、液体貯蔵タンクから液体噴射ヘッドへ液体が流れていく液体経路は気体透過性の低い材料で構成されていることを特徴とする。
また、液体を吐出するための吐出口と液体に運動エネルギーを印加するための吐出エネルギー発生素子が複数個設けられた液体噴射ヘッドと、液体噴射ヘッドへ供給する液体を貯蔵する液体貯蔵タンクと、液体吐出動作中であっても液体貯蔵タンクから液体噴射ヘッド内を通過して液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体循環経路内で液体を循環可能な液体供給系を有し、液体噴射ヘッドの吐出口列長さが被記録媒体の幅とほぼ同等の長さで、液体噴射ヘッドから液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体経路の少なくとも一部は気体透過性の高い材料で構成され、液体貯蔵タンクから液体噴射ヘッドへ液体が流れていく液体経路は気体透過性の低い材料で構成されていることを特徴とする。
また、液体を吐出するための吐出口と液体に運動エネルギーを印加するための吐出エネルギー発生素子が複数個設けられた液体噴射ヘッドと、液体噴射ヘッドへ供給する液体を貯蔵する液体貯蔵タンクと、液体吐出動作中であっても液体貯蔵タンクから液体噴射ヘッド内を通過して液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体循環経路内で液体を循環可能な液体供給系を有し、液体噴射ヘッドの吐出口列長さが被記録媒体の幅とほぼ同等の長さで、液体噴射ヘッド内を液体を通過させるための液体流入口と液体流出口が、液体噴射ヘッドの長手方向のほぼ両端に設けられており、液体噴射ヘッドから液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体経路の少なくとも一部は気体透過性の高い材料で構成され、液体貯蔵タンクから液体噴射ヘッドへ液体が流れていく液体経路は気体透過性の低い材料で構成されていることを特徴とする。
また、液体を吐出するための吐出口と液体に運動エネルギーを印加するための吐出エネルギー発生素子が複数個設けられた液体噴射ヘッドと、液体噴射ヘッドへ供給する液体を貯蔵する液体貯蔵タンクと、液体吐出動作中であっても液体貯蔵タンクから液体噴射ヘッド内を通過して液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体循環経路内で液体を循環可能な液体供給系を有し、液体噴射ヘッドの吐出口列長さが被記録媒体の幅とほぼ同等の長さで、液体噴射ヘッド内を液体を通過させるための液体流入口と液体流出口が、液体噴射ヘッドの長手方向のほぼ両端に設けられており、液体噴射ヘッドから液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体経路の少なくとも一部は気体透過性の高い材料で構成され、液体貯蔵タンクから液体噴射ヘッドへ液体が流れていく液体経路は気体透過性の低い材料で構成されていることを特徴とする。
また、液体貯蔵タンク、または、その前後の液体循環経路に、液体の温度を低下させるための液体冷却手段が設けられていることを特徴とする。
また、液体供給系の液体循環経路内に、低脈流ポンプが配置されていることを特徴とする。
また、液体噴射ヘッドの液体流出口と前記液体貯蔵タンクの間の液体循環経路中、または、液体噴射ヘッドの液体流入口と液体貯蔵タンクの間の液体循環経路中のいずれか一方に、第一の低脈流ポンプが配置されていることを特徴とする。
また、液体噴射ヘッドの液体流出口と液体貯蔵タンクの間の液体循環経路中に第一の低脈流ポンプが配置され、液体噴射ヘッドの液体流入口と液体貯蔵タンクの間の液体循環経路中に第二の低脈流ポンプが配置されていることを特徴とする。
また、第一、第二の低脈流ポンプの少なくともいずれか一方は、一定条件でポンプを駆動している場合であっても、ポンプ前後の圧力の変動により流量が変化するようなポンプで、定流量ポンプでないことを特徴とする。
また、第二の定脈流ポンプが遠心渦巻きポンプであることを特徴とする。
また、遠心渦巻きポンプのハウジングが気体透過性の低い材料で形成されていることを特徴とする。
また、液体貯蔵タンクが、気体透過性の低い材料で形成されていることを特徴とする。
また、液体供給系による液体循環量は、0.5ml/s以上、望ましくは、1.0ml/s以上であることを特徴とする。
また、液体供給系による液体循環動作を、非印字時には行わないように制御する制御手段を有することを特徴とする。
また、液体供給系の液体循環経路の液体噴射ヘッドから液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体経路か、液体貯蔵タンクから液体噴射ヘッドへ液体が流れていく液体経路の少なくともいずれか一方は、その外部を断熱材で覆われていることを特徴とする。
[作用]
本発明によれば、インクジェットヘッドの冷却によって温度が高くなり気体の溶解度が低くなったインクを、気体の透過性の高い材料で構成されたインク供給経路を通過させることによって、インク中に溶けられなくなった気体を大気中に放出することが可能で、一方、インク貯蔵タンクに戻され温度が低くなり気体の溶解度が増したインクを、気体の透過性の低い材料で構成されたインク供給経路によってインクジェットヘッドへ供給することにより、より溶存気体量の低いインクをインクジェットヘッドへ供給可能となり、長時間の連続印字を行ってもヘッド内での泡発生を低減することが可能で、泡不吐やバサ不吐の低減と、さらに回復頻度の低減を図ることが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、インクジェットヘッドの冷却によって温度が高くなり気体の溶解度が低くなったインクを、気体の透過性の高い材料で構成されたインク供給経路を通過させることによって、インク中に溶けられなくなった気体を大気中に放出することが可能で、一方、インク貯蔵タンクに戻され温度が低くなり気体の溶解度が増したインクを、気体の透過性の低い材料で構成されたインク供給経路によってインクジェットヘッドへ供給することにより、より溶存気体量の低いインクをインクジェットヘッドへ供給可能となると同時に、インクジェットヘッドの温度上昇を低減することが可能であるので、フルラインヘッドのような長尺で、かつ、高解像度化のよるしたヘッドで長時間の連続印字を行っても、ヘッド内での泡発生を低減することが可能で、泡不吐やバサ不吐の低減が可能で、より安定した吐出が実現可能となる。
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の液体噴射記録装置のインク供給系とインクジェットヘッドの構造について、図1〜図6を用いて説明する。
図1は、本発明の液体噴射記録装置のインク供給系とインクジェットヘッド103の概略構成を示すの模式的斜視図、図2は、本実施例のインクジェットヘッド103の主に液吐出面から見た斜視図、図3、図4は、図2のインクジェットヘッドへ電気信号を与えるためのフレキシブル配線基板106を取り除いた状態のインクジェットヘッド103を示す図で、図3(a)は、インクジェットヘッド103を液吐出口面から見た平面図、図3(b)は、図3(a)のA-A線に沿って破断して示す断面図、図3(c)は図3(a)で示すインクジェットヘッド103の側面図、図3(d)は図3(a)の裏側から見た本実施例によるインクジェットヘッド103の平面図、図4は図3(a)のB-B線に沿って破断して示す断面図である。また、図5は、本実施例中で使用するポンプのひとつである遠心渦巻きポンプ、図6は、本実施例中で使用するポンプのひとつであるギヤポンプを示す。
本実施例のインクジェットヘッド103は、図2、図3、図4に示すように、有効吐出幅が約2インチの長さを持つ4枚の素子基板101が、支持部材であるベース基板111に千鳥状に接着され、その両端部にある電極部でフレキシブル配線基板106とワイヤボンディングにより電気的に接続されている。したがって、インクジェットヘッド103は、有効吐出幅が約8インチの長さを有し、A4の記録紙の短辺方向の長さとほぼ一致した長さで、A4の記録用紙縦送りで、1パスにより連続印字が可能な長さのインクジェットヘッドである。また、各色ごとに同じインクジェットヘッドを有し、フルカラー印刷が可能なインクジェット記録装置を構成する。実際の記録動作は、素子基板101の中央付近の表面側に液体を吐出するための吐出口102が複数開口しており、これらの各吐出口102から吐出される液体の液滴によって記録を行うものである。また、素子基板101上には、各々の吐出口102に対応して吐出エネルギー発生素子としての不図示の発熱素子(電気熱変換素子または加熱ヒーター)が形成されており、発熱素子は通電加熱して液体を発泡させ、その運動エネルギーで液体を吐出口102から吐出させる。素子基板101の電極部とフレキシブル配線基板106とを接続しているワイヤボンディング部は、吐出口102から飛散した液滴や媒体上から跳ね返った液滴が電極部などに付着することによって、電極やその下地金属を腐食させるため、封止性およびイオン遮断性に優れたシリコン系樹脂等の封止剤により被覆、封止し、液体による接続信頼性の低下がないようにしてある。
また、素子基板101の背面側には、図3(b)および図4に示すの粒径を持った異物を通過させないように、ステンレスの極細線を編みこんだものである。この、フィルタ支持部材150とフィルタ部材151はすべての素子部材101に対して同じ物が取り付けられており、また、ひとつの素子部材101で、全吐出ノズルで液吐出動作を行うような場合の最大の液体流量に対し、大きな圧力損失を生じないような十分の面積をように、ベース基板111にスリット状に設けられ、1つの素子基板101に対して1対1に対応したて形成される液体を保持するための共通液室110が形成されており、共通液室110は、吐出口列の長さと略等しい長さで開口し、素子基板101にはその背面側の共通液室110内の液体を表面側に供給するためのテーパ状のスリット104が設けられている。また、共通液室110に隣接して、ベース基板111に対して素子基板101と反対側に、フィルタ支持部材150を介してフィルタ部材151が接着されて、ベース基板111とともに共通液室110を形成している。フィルタ部材151は、直径5μm以上有している。フィルタ部材151の面積が小さく、最大液体流量のときにフィルタ部材151での圧力損失が大きくなってしまった場合には、液吐出口102に十分な量の液体が供給されないこととなり、一回の吐出での液体と吐出量が減少し、印刷時の濃度低下や、場合によっては、不吐出を生じてしまうことになる。
さらに、ベース基板111のフィルタ接着側には、各素子基板に対応して接着されたフィルタ部材151すべてを覆うようにして、ヘッド液室109を形成するようにヘッド液室部材112が接着されている。図3(c)、図3(d)で示すように、ヘッド液室部材112のほぼ両端には、ヘッド液室109と連通するように設けられた液流入口113と液流出口114が設けられ、その内側には、ゴムでできた液コネクタ115がそれぞれ挿入され、液コネクタ115の内側に、図1で示すようにチューブを差し込むことによって、インク供給系とインクジェットヘッドとの間の液体の流入流出が可能なように構成されている。液流入口113から液流出口114の間の、ヘッド液室内には、フィルタは設けられていないため、液流入口から流入した液体は、ほとんど圧力損失なく液流出口114へと流すことが可能な構成になっている。また、液体を吐出することによって消費される液体は、ヘッド液室109から、各素子基板101に対応したフィルタ部材151を通過して、各共通液室110、スリット104を経由して、各吐出口102へと供給される。
次に、インク供給系の構成について、図1、図5、図6を用いて説明する。
図1で示すように、本実施例のインク供給系は、液貯蔵タンク161から、チューブ165、液供給ポンプ162、チューブ166を介して、インクジェットヘッド103に設けられた液流入口113に液体が供給可能なように接続され、一方、インクジェットヘッド103の液流出口114から、チューブ167、液吸引ポンプ163、チューブ168を介して、液貯蔵タンク161へ液体を回収可能なように接続されている。また、液貯蔵タンク161には、タンク冷却装置169が配設されている。本実施例では、いずれのチューブもその外側が断熱材で覆われている。
液貯蔵タンク161と、インクジェットヘッド103へインクを供給する側のチューブ165、チューブ166は、気体透過性が低く、かつ、インクに対する耐性を有する樹脂であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂により構成されている。一方、インクジェットヘッド103からインク貯蔵タンクへ戻ってくる側のチューブ167、チューブ168は、気体の透過性が高く、かつ、インクに対する耐性を有する樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂により構成されている。
次に、本実施形態で用いているチューブの材質であるPVDFと、PTFEの気体透過性について述べる。
まず、代表的な樹脂材料の酸素、窒素に対する透過性を次の表に示す。
Figure 2007296640
この表1の中で気体(酸素と窒素)の透過性が低い物としてはPVDF、PVF、ポリ塩化ビニリデンが上げられる。しかし、この中でPVFおよびポリ塩化ビニリデンは、熱をかけると分解してしまうものであり、通常のチューブ成形工程は加熱を伴うため、これらの材料では単体でチューブとして成形することは非常に困難である。したがって、気体透過性が低く、かつ単体でチューブとして成形可能な樹脂材料は、PVDFであり、PVDFはまた、本実施形態に用いているものを含む一般的なインクに対する耐性がある。したがって、本発明ではPVDFチューブを、インク貯蔵タンク161からインクジェットヘッド103のインク流入口113までのインク供給経路のチューブとして採用している。
一方、表1の中で気体(酸素と窒素)の透過性が高い物としてはPTFE、FEPが上げられる。本実施例では、一般的にチューブ材料として入手が容易で、かつ、インクのみならず多くの溶剤などに対しても耐性のある材料であるPTFEからなるチューブを、インクジェットヘッド103のインク流出口114からインク貯蔵タンク161までのインク経路のチューブとして用いる。なお、いずれのチューブも、サイズは内径4mm、外径6mmのものである。
次に、図5に、液供給ポンプ162の構成を示す。図5(a)が液供給ポンプ162の外観図で、図5(b)がその断面図である。液供給ポンプ162は、インペラ176の回転によって液体に遠心力を与えることで液体を圧送することが可能な遠心渦巻きポンプである。液流入口171と液流出口172が一体に設けられた上ケース177と、Oリング179を挟み込んで、上ケース177と密着される下ケース178と、上ケース177と下ケース178の間にあって、回転することで液体に遠心力を与えるためインペラ176が上部に一体化され磁石で構成されているロータ174が回転自在に配置され、下ケース178の下側にコイルなどで形成されたステータ175が配置されている。ステータ175のコイルに通電されると、磁界を発生し、磁石でできたロータ174と一体化されたインペラ176が回転するとによって、圧力を発生し、液流入口171から液体を吸引し、液流出口172から液体を排出するように動作する。この、液供給ポンプ162として使用している遠心渦巻きポンプは、ステータに通電されないで、ロータが静止しているときには、上ケース177とインペラ176の間には液体が流れる充分な隙間があるため、内部で自由に液体を流すことができる。また、そのため、ロータ174が一定回転しているときであっても、常に一定の流量で液体を流すことが可能なわけではなく、前後の圧力差によって、液体の流量は変わってくるという特性を有している。また、ロータ174の高速回転によって、液体が圧送されるという動作原理から、同程度の流量を流すことが可能なダイヤフラムと逆止弁の組み合わせからなるダイヤフラムポンプや、チューブをローラでしごくことによって液を圧送するチューブポンプに比較して、液体圧送時の脈流がほとんどないという特性も有している。さらに、上ケース177と下ケース178は、前述したように気体の透過性が低いPVDFで形成されている。PVDFは、成型も可能な樹脂材料であり、ポンプ外装やチューブ継手の材質にも用いられるものであるので、ポンプのケースに適用することは何ら特別のことではない。
次に、図6によって、液吸引ポンプ163の構成を説明する。液吸引ポンプは2つのかみ合うギヤの回転によって液体を圧送するギヤポンプであり、図6(a)に液吸引ポンプ162の外観図、図6(b)に、液吸引ポンプ163の動作原理を説明する図を示す。 182は、ギヤを駆動するためのDCモータで、マグネット回転伝達部183を介して、ポンプヘッド181内の駆動ギヤ186へ駆動力を伝達する。ポンプヘッド181の中では、図6(b)に示すように、ケーシング190の中で、駆動ギヤ186と従動ギヤ187がかみ合った状態で配置され、ギヤの噛み合い部の左右の液流入口188と液流出口189の部分を除くとほぼギヤの歯先円とほとんど隙間のない形状に作られたポンプ液室191がある。液流入口188は、ポンプヘッド181の側面に設けられた液流入口184と連通しており、一方、液流出口189は、ポンプヘッド181の液流入口184と反対側に開けられている液流出口に連通している。DCモータ182に通電され、回転駆動力がマグネット回転伝達部183を介して駆動ギヤ186に伝達されると、従動ギヤ187といっしょに図5(b)中の矢印方向に回転を始める。それぞれのギヤの歯先とケーシング190内のポンプ液室191の内壁はほとんど隙間がないため、それぞれのギヤの歯の間に入った液体は、ポンプ液室内壁との間に保持されて矢印方向に搬送される。ギヤの噛み合い部では、お互いの歯の間に噛み合う歯が存在するため、液体はわずかな量は搬送されるのみで、ケーシング190ギヤの間で搬送される液体のほうがはるかに多くの量の液体が搬送される。したがって、ポンプ液室191内で、液流入口188側が負圧、液流出口189側が正圧となり、液体が圧送されることになる。
このギヤポンプの特性として、ケーシング190とそれぞれのギヤの歯の間にはさまれた一定容積の液体を搬送することから、ポンプ前後がある一定値以下の圧力差でギヤの回転数が一定であれば、ポンプの前後の圧力差によらず、ほぼ一定の流量を流すことができる。また、ギヤの歯の間とケーシング190とで形成される空間は非常に小さな空間であるため、前述の遠心渦巻きポンプと同様に、同程度の流量のダイヤフラムポンプやチューブポンプに比較して、液体搬送時の脈流はほとんど無視できるくらいに小さなものである。
以上のように構成されるインクジェット記録装置のインク供給系によって、液体の吐出を行うときの動作について説明する。
本発明によるインクジェット記録装置が印字開始信号を受け取ると、液吸引ポンプ163と液供給ポンプ162は同時に回転を開始し、液貯蔵タンク161からチューブ165、液供給ポンプ162、チューブ166、ヘッド液室109、チューブ167、液吸引ポンプ163、チューブ168を通って、インク貯蔵ポンプ169に戻る液体循環経路を取って、液体が循環される。このとき、液吸引ポンプ163の流量は、1.0ml/sになるように、液吸引ポンプ163のDCモータ182へ電圧がかけられる。一方、液供給ポンプ162の方も、ポンプ前後の圧力差がない場合に流量1.0ml/sで液体を搬送できる条件で駆動する。したがって、前記液体循環経路内で、液体は1.0ml/sの流量で循環する。このとき、液体循環経路内では、フィルタなどの圧力損失を発生させるものは何もないため、ヘッド液室109内はほぼ大気圧に保たれており、液体を循環させることで、吐出口102からインクが漏れ出したり、逆に、空気を吸い込んだりすることはない。
次に、印字のための画像データがインクジェットヘッド103へ伝えられると、素子基板101ないに設けられた発熱素子に電圧が印加され、発熱素子に接する液体が膜沸騰圧力により吐出口102より吐出される。吐出された分の液体は、ヘッド液室109から、各素子基板ごとに対応するフィルタ部材151を通過して、共通液室110、スリット104を通って、吐出口102へと供給される。ひとつの素子基板101内で、全吐出口102から液体を連続して吐出するような画像データが来た場合に、フィルタ部151を通過する液体の量が最大になる。本実施例の場合、各吐出口102から吐出される一発の液滴の大きさが4plで、吐出口が、1200dpiの解像度で配列され、ひとつの素子基板101に対する有効印字幅が約2インチであることから、ひとつの素子基板101内で吐出口102の総数は2400個となる。また、各吐出口の液滴吐出周波数が最大16kHzとなるように駆動するので、ひとつの素子基板101での最大の液滴吐出量は、0.1728ml/sとなる。ここで、各素子基板101に対応するフィルタ部151の有効面積は、幅3.5mm×長さ60mm=210mmであり、本実施例で用いているフィルタ部151では、流量0.1728ml/sのときの実験で求めた圧力損失がほぼ50mmH2O(4.9kPa)であり、液滴の吐出に対し影響があるとされている200mmHO(19.6kPa)に対し、十分小さな値であるためほとんど問題ないレベルである。これは、インクジェットヘッド103内にあるすべての素子基板101に対して、同様である。
また、インクジェットヘッド103内の全素子基板101の全吐出口102で、液滴吐出を行った時では、全体の液体吐出量は4倍になり、0.6912ml/sとなる。この場合であっても、液吸引ポンプ163による液体循環量は、液吸引ポンプ163は底流量ポンプであるため一定の駆動条件で駆動し続けているので、1.0ml/sのままであるが、液供給ポンプ162のよる液体循環量は、液供給ポンプ162が前後の圧力差によって流量が変わってしまう遠心渦巻きポンプであるので、インクジェットヘッド103側が液滴吐出により負圧となることによって、その分流量増加し、1.6912ml/sとなる。
このように、印字動作を行うときには必ず、ヘッド液室109内で、液体を循環させることによって、特に、多くの吐出口102で吐出動作を行うようにした場合であっても、液吐出動作によって温度上昇したヘッド液室内の液体を入れ替えることによって、インクジェットヘッド103の温度上昇を防止することが可能になる。これと同時に、インクジェットヘッド103の熱がインクに伝達され、インクの温度は上昇することになる。1ml/sの循環量のときで、インク流入側113のインク温度に対するインク流出口114側のインク温度の上昇は、印字密度が100%の場合約20℃、印字密度が50%の場合約10℃である。また、酸素の水に対する飽和溶存量のデータであるが、次の表2のようである。
Figure 2007296640
インクの主成分は水であるので、インクの飽和溶存酸素量もほぼ表2で表されると仮定する。また、空気の主成分である窒素も同様な傾向を有しているので、酸素のみについて考える。本実施例で示すインクジェット記録装置が、25℃の環境に置かれていた場合、インク貯蔵タンク161内のインクもほぼ25℃になる。100%濃度で印字を行うとき、25℃のインクはインクジェットヘッドを1ml/sのインク流量で循環した場合、前述したように約20℃上昇し、45℃となる。表2より、インク温度が45℃の場合の溶存酸素量は、6.14mg/lであることがわかる。脱気されたインクでない場合は、ほぼ飽和に近い状態まで酸素は溶けこんでいるので、インクがインクジェットヘッドを循環する前で、温度が25℃のとき、溶存酸素量は8.11mg/lに近い値で、ほぼ、8mg/l前後の値となっている。インクジェットヘッド103内で25℃のインクが45℃まで加熱され、インクジェットヘッド103のインク流出口114からPTFEからなるチューブ167へ循環して移動したインクの飽和溶存酸素量は、6.14mg/lであるので、約1.8mg/lのインク中に溶け込むことができなくなった酸素(空気)は析出し、インク中に泡となって存在するか、気体透過性の高いPTFEチューブの壁を通り抜けて大気中に放出される。ここで、本実施例において、チューブ167の長さは、約40cm、チューブ168の長さも約40cmであり、インク吸引ポンプ163の内部の液体容積は約約5mlであることから、インク流出口114からインク貯蔵タンク161までのインク経路中のインク量は約15mlである。したがって、循環流量が1ml/sの場合、インク流出口114から出たインクは約15秒でインク貯蔵タンクに達することになる。チューブは、すべて断熱材で覆われているので、その間、インク温度の変化はほとんどないが、インク中の溶存気体は大気中へ放出されていく。インク貯蔵タンク161まで戻されたインクは、インク貯蔵タンク161に配置されているペルチェ素子によるタンク冷却装置169を駆動することによって、冷却される。タンク冷却装置は、インク貯蔵タンク161内のインク温度が約15℃になるまで、インク温度をモニタしながらインクを冷却する。タンクの液面は空気にさらされているが、それ以外の部分は気体透過性の低いPVDFでタンク自体が形成されていることにより、インクへの急激な空気の溶解は生じない。インク温度が15℃での飽和溶存酸素量は、9.76mg/lなので、飽和溶存酸素量が6.14mg/lである45℃のインクに対し、数値上では最大3.62mg/lの酸素を余計に溶け込ませることが可能である。すなわちこれは、脱気したインクをインク貯蔵タンク161内に入れたことと同じことである。15℃まで冷却されたインクは、気体透過性の低いPVDF製で外側を断熱されたチューブ165と166、同様にPVDFのケースでできたインク供給ポンプ162を通過して、温度と溶存酸素量をほぼ保たれたままインクジェットヘッド103へ供給される。供給されたインクは、再びインクジェットヘッド103内で暖められ、約35℃になってインク流出口114から流出してくることになる。このときの飽和溶存酸素量は、7.04mg/lであるので、インク温度が上昇しても酸素が析出することはなく、逆に、インク供給経路中に残った泡をさらに溶け込ませることが可能である。35℃で、気体溶解量が飽和した場合であっても、PTFEからなるチューブ167、168を通過することで、溶存気体を大気中に放出し、15℃に冷却することで、気体の溶解量が増し、相対的に脱気されたインクをインクジェットヘッドへ供給する。これを繰り返すことによって、インクジェットヘッドを冷却することによる吐出の安定と、相対的に脱気されたインクをインクジェットヘッドへ供給することによる吐出の安定化が可能となり、高解像度化された長尺のインクジェットヘッドのより安定した吐出動作が可能となる。
また、このようなインク循環動作は、連続的に印字動作を行うときにのみ行ことによって、非印字時には、循環動作を行わないようにすることで、ポンプの耐久性の向上や、待機時の消費電力を低減することが可能となる。
本発明の液体噴射記録装置の第1の実施例のインク供給系とインクジェットヘッドの概略構成を示すの模式的斜視図である。 本発明の液体噴射記録装置の第1の実施例のインクジェットヘッドの主に液吐出面から見た斜視図である。 図2のインクジェットヘッドへ電気信号を与えるためのフレキシブル配線基板を取り除いた状態のインクジェットヘッドを示す図である。 図3(a)のインクジェットヘッドのB-B線に沿って破断して示す断面図である。 本発明の液体噴射記録装置で使用するポンプのひとつである遠心ポンプを示す図である。 本発明の液体噴射記録装置で使用するポンプのひとつであるギヤポンプを示す図である。 従来の第一のインクジェット記録装置の構成を示す図である。 従来の第一のインクジェット記録装置の動作を示す図である。 従来の第二のインクジェット記録装置の構成を示す図である。
符号の説明
101 素子基板
102 吐出口
103 発熱素子
104 スリット
106 フレキシブルフィルム
109 共通液室
110 ヘッド液室
111 ベース基板
112 ヘッド液室部材
113 液流入口
114 液流出口
115 液コネクタ
117 封止剤
150 フィルタ支持部材
151 フィルタ部材
161 液貯蔵タンク
162 液供給ポンプ
163 液吸引ポンプ
165〜168 チューブ
169 タンク冷却装置

Claims (15)

  1. 液体を吐出するための吐出口と液体に運動エネルギーを印加するための吐出エネルギー発生素子が複数個設けられた液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドへ供給する液体を貯蔵する液体貯蔵タンクと、前記液体吐出動作中であっても前記液体貯蔵タンクから前記液体噴射ヘッド内を通過して前記液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体循環経路内で液体を循環可能な液体供給系を有し、
    前記液体噴射ヘッドから前記液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体経路の少なくとも一部は気体透過性の高い材料で構成され、前記液体貯蔵タンクから前記液体噴射ヘッドへ液体が流れていく液体経路は気体透過性の低い材料で構成されていることを特徴とする液体噴射記録装置。
  2. 液体を吐出するための吐出口と液体に運動エネルギーを印加するための吐出エネルギー発生素子が複数個設けられた液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドへ供給する液体を貯蔵する液体貯蔵タンクと、前記液体吐出動作中であっても前記液体貯蔵タンクから前記液体噴射ヘッド内を通過して前記液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体循環経路内で液体を循環可能な液体供給系を有し、
    前記液体噴射ヘッドの吐出口列長さが被記録媒体の幅とほぼ同じ長さで、
    前記液体噴射ヘッドから前記液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体経路の少なくとも一部は気体透過性の高い材料で構成され、前記液体貯蔵タンクから前記液体噴射ヘッドへ液体が流れていく液体経路は気体透過性の低い材料で構成されていることを特徴とする液体噴射記録装置。
  3. 液体を吐出するための吐出口と液体に運動エネルギーを印加するための吐出エネルギー発生素子が複数個設けられた液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドへ供給する液体を貯蔵する液体貯蔵タンクと、前記液体吐出動作中であっても前記液体貯蔵タンクから前記液体噴射ヘッド内を通過して前記液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体循環経路内で液体を循環可能な液体供給系を有し、
    前記液体噴射ヘッドの吐出口列長さが被記録媒体の幅とほぼ同じ長さで、前記液体噴射ヘッド内を液体を通過させるための液体流入口と液体流出口が、前記液体噴射ヘッドの長手方向のほぼ両端に設けられており
    前記液体噴射ヘッドから前記液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体経路の少なくとも一部は気体透過性の高い材料で構成され、前記液体貯蔵タンクから前記液体噴射ヘッドへ液体が流れていく液体経路は気体透過性の低い材料で構成されていることを特徴とする液体噴射記録装置。
  4. 液体を吐出するための吐出口と液体に運動エネルギーを印加するための吐出エネルギー発生素子が複数個設けられた液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドへ供給する液体を貯蔵する液体貯蔵タンクと、前記液体吐出動作中であっても前記液体貯蔵タンクから前記液体噴射ヘッド内を通過して前記液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体循環経路内で液体を循環可能な液体供給系を有し、
    前記液体噴射ヘッドの吐出口列長さが被記録媒体の幅とほぼ等しい長さで、前記液体噴射ヘッド内を液体を通過させるための液体流入口と液体流出口が、前記液体噴射ヘッドの長手方向のほぼ両端に設けられており
    前記液体噴射ヘッドから前記液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体経路の少なくとも一部は気体透過性の高い材料で構成され、前記液体貯蔵タンクから前記液体噴射ヘッドへ液体が流れていく液体経路は気体透過性の低い材料で構成されていることを特徴とする液体噴射記録装置。
  5. 前記液体貯蔵タンク、または、その前後の液体循環経路に、液体の温度を低下させるための液体冷却手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の液体噴射記録装置。
  6. 前記液体供給系の液体循環経路内に、低脈流ポンプが配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の液体噴射記録装置。
  7. 前記液体噴射ヘッドの液体流出口と前記液体貯蔵タンクの間の液体循環経路中、または、前記液体噴射ヘッドの液体流入口と前記液体貯蔵タンクの間の液体循環経路中のいずれか一方に、第一の低脈流ポンプが配置されていることを特徴とする請求項6に記載の液体噴射記録装置。
  8. 前記液体噴射ヘッドの液体流出口と前記液体貯蔵タンクの間の液体循環経路中に第一の低脈流ポンプが配置され、前記液体噴射ヘッドの液体流入口と前記液体貯蔵タンクの間の液体循環経路中に第二の低脈流ポンプが配置されていることを特徴とする請求項7に記載の液体噴射記録装置。
  9. 前記第一、第二の低脈流ポンプの少なくともいずれか一方は、一定条件でポンプを駆動している場合であっても、ポンプ前後の圧力の変動により流量が変化するようなポンプで、定流量ポンプでないことを特徴とする請求項8に記載の液体噴射記録装置。
  10. 前記第二の定脈流ポンプが遠心渦巻きポンプであることを特徴とする請求項9に記載の液体噴射記録装置。
  11. 前記遠心渦巻きポンプのハウジングが気体透過性の低い材料で形成されていることを特徴とする請求項10に記載の液体噴射記録装置。
  12. 前記液体貯蔵タンクが、気体透過性の低い材料で形成されていることを特徴とする請求項11に記載の液体噴射記録装置。
  13. 前記液体供給系による液体循環量は、0.5ml/s以上、望ましくは、1.0ml/s以上であることを特徴とする請求項1〜請求項12に記載の液体噴射記録装置。
  14. 前記液体供給系による液体循環動作を、非印字時には行わないように制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1〜請求項13に記載の液体噴射記録装置。
  15. 前記液体供給系の液体循環経路の前記液体噴射ヘッドから前記液体貯蔵タンクへ戻ってくる液体経路か、前記液体貯蔵タンクから前記液体噴射ヘッドへ液体が流れていく液体経路の少なくともいずれか一方は、その外部を断熱材で覆われていることを特徴とする請求項1〜請求項14に記載の液体噴射記録装置。
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