JP2003213184A - インクジェット記録用インク - Google Patents

インクジェット記録用インク

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JP2003213184A
JP2003213184A JP2002018316A JP2002018316A JP2003213184A JP 2003213184 A JP2003213184 A JP 2003213184A JP 2002018316 A JP2002018316 A JP 2002018316A JP 2002018316 A JP2002018316 A JP 2002018316A JP 2003213184 A JP2003213184 A JP 2003213184A
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ink
mass
acrylate
monomer
inkjet recording
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JP2002018316A
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Atsushi Nakajima
厚志 仲島
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録方法にて通常直接記録す
ることが困難なプラスチックフィルムなどの様々な支持
体に対しても良好な密着性が得られ、且つ、耐水性も良
好な画像が得られ、高感度で、長期保存性が良好なイン
クジェット記録用インクの提供。 【解決手段】 放射線の照射により硬化可能なインクジ
ェット記録用インクであって、重合性モノマー及び開始
剤を含有し、且つ、カールフィッシャー法による測定含
水率が0.02〜2.0質量%であることを特徴とする
インクジェット記録用インク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は紫外線、電子線など
の放射線を照射することによって、反応、硬化可能なイ
ンクジェット記録用インクに関し、特に、直接記録する
ことが困難な様々な支持体に対しても、高感度で記録可
能なインクの長期保存性が得られるインクジェット記録
用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット記録方式は簡便・
安価に画像を作成出来るため、写真、各種印刷、マーキ
ング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷
分野に応用されてきている。
【0003】特に微細なドットを出射、制御する記録装
置、色再現域、耐久性、出射適性を改善したインクジェ
ット記録用インク及びインクジェット記録用インクの吸
収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させ
た専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも
可能となっている。
【0004】このように、インクジェット記録方式の画
質向上は記録装置、インクジェット記録用インク(以
下、単にインクともいう)、専用紙が全て揃って初めて
達成されている。
【0005】しかしながら、専用紙を必要とするインク
ジェットシステムは、記録媒体が制限されることによ
り、記録媒体のコストアップが問題となる。
【0006】そこで専用紙と異なる被転写媒体へインク
ジェット方式により記録する試みが多数なされている。
【0007】具体的には、室温で固形のワックスインク
を用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤
を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェッ
ト方式、記録後、紫外線(UV)光により架橋させるU
Vインクジェット方式などである。
【0008】中でもUVインクジェット方式はソルベン
ト系インクジェット方式に比べ無溶剤とすることが可能
で、比較的低臭気であり、速乾性、プラスチック支持体
等のインク吸収性の無い記録媒体への記録が出来る点
で、近年注目されつつある。
【0009】特公平5−54667号、特開平6−20
0204号、特表2000−504778等に紫外線硬
化型インクジェットインクが開示されているが、様々な
支持体に対する密着性、高感度化、インクの保存安定性
及びインクの出射安定性について充分とは言いがたいの
が現状である。
【0010】従って、モノマー、オリゴマーおよび開始
剤を適宜選択することで、様々な支持体に対する密着
性、高感度化、インクの保存安定性及びインクの出射安
定性を向上させることが図られているが、酸素によるラ
ジカル重合の阻害や、長期にインクを保存すると、開始
剤の変性や色材となる顔料の凝集などの保存安定性に問
題が生じていた。
【0011】また、画像の高精細化を図るべく、液滴サ
イズを小さくすると、画像の保存性、出射安定性に大き
な影響を与える。
【0012】特にこのような放射線硬化型のインクジェ
ットインクは、通常、出射安定性を得る為に加温しイン
クを低粘度化させるが、使用時の加温によりインクの変
性が問題となり、その結果ヘッドの目詰まりや、出射精
度の劣化が起こってしまうなどの問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イン
クジェット記録方法にて通常直接記録することが困難な
プラスチックフィルムなどの様々な支持体に対しても良
好な密着性が得られ、且つ、耐水性も良好な画像が得ら
れ、高感度で、加熱によるヘッド内でのヒートサイクル
があっても、長期保存性が良好なインクジェット記録用
インクを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成によって達成された。
【0015】1.放射線の照射により硬化可能なインク
ジェット記録用インクであって、重合性モノマー及び開
始剤を含有し、且つ、カールフィッシャー法による測定
含水率が0.02〜2.0質量%であることを特徴とす
るインクジェット記録用インク。
【0016】2.前記重合性モノマーの酸価が0.00
001〜1.0mg/g(KOH)であることを特徴と
する前記1に記載のインクジェット記録用インク。
【0017】3.前記重合性モノマーが単官能モノマ
ー、二官能モノマー及び三官能以上の多官能モノマーか
ら選ばれる少なくとも2種以上のモノマーであることを
特徴とする前記1又は2に記載のインクジェット記録用
インク。
【0018】4.複数の重合性モノマーのSP値の最大
差が1以上であることを特徴とする前記3に記載のイン
クジェット記録用インク。
【0019】以下、本発明を更に詳細に述べる。 (インク)本発明のインクジェット記録用インクは重合
性モノマー(以下、単にモノマーともいう)及び開始剤
を含有することを特徴としている。
【0020】重合性モノマーとしては、各種(メタ)ア
クリレートモノマーが使用出来る。例えば、イソアミル
アクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアク
リレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレー
ト、イソアミルスチルアクリレート、イソステアリルア
クリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリ
レート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アク
リロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエ
チルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアク
リレート、メトキシジエチレングリコールアクリレー
ト、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メ
トキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシ
エチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレ
ート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレ
ート、2−アクリロイキシエチルコハク酸、2−アクリ
ロイキシエチルフタル酸、2−アクリロイキシエチル−
2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン変性可とう
性アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレー
ト等の単官能モノマー、トリエチレングリコールジアク
リレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、
ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレ
ングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコー
ルジアクリレート、1,4ブタンジオールジアクリレー
ト、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、1,9ノ
ナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコール
ジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジア
クリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサ
イド)付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのPO
(プロピレンオキサイド)付加物ジアクリレート、ヒド
ロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレー
ト、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート等の
2官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレ
ート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテ
トラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレ
ート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパント
リアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ
アクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート等の三官能以上の多官能モノマ
ーが挙げられる。
【0021】この他、重合性のオリゴマー類も、モノマ
ー同様に配合可能である。重合性オリゴマーとしては、
エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、
芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレー
ト、直鎖アクリルオリゴマー等が挙げられる。
【0022】本発明のインクは、インクの含水率を0.
02〜2.0質量%とし、重合性モノマーの酸価を0.
00001〜1.0mg/g(KOH)とすることが好
ましく、さらに、開始剤を添加する前のモノマー加温、
減圧、炭酸カルシウムなどを用いた脱水処理、系外の空
気と接触させないようにプリンターのインク供給系を密
閉系とすることが本発明の効果をより奏する点で好まし
い。特に減圧による脱水が、インクに過剰な熱を加える
ことなく効果的に行えるのでより好ましい。
【0023】即ち、酸価をこの範囲とし、上記含水率の
管理を行うことで、高感度化したインクの長期保存安定
性をより改良できるからである。
【0024】また、本発明においては、重合性のモノマ
ーが単官能、二官能及び三官能以上の多官能モノマーか
ら選ばれるモノマーを少なくとも二種以上併用すること
が特に好ましい。
【0025】単官能モノマーは硬化時の収縮率を下げる
効果が大きく、また低粘度でインクジェット記録時の射
出安定性が得られやすい。二官能モノマーは適度な感度
と様々な支持体への接着性に優れるため特に好ましい。
三官能以上の多官能モノマーは感度および硬化後の膜強
度を得られる。これら三者のうち二種以上、更に好まし
くは三種を併用することで、支持体への密着性、画像耐
久性、高感度化のバランスをとることが出来る。
【0026】単官能モノマーはインク全体の5〜40質
量%、二官能モノマーは5〜70質量%、多官能モノマ
ーは5〜30質量%含有させることが好ましい。
【0027】併用するモノマーの溶解性パラメーター
(SP値)の最大値と最小値の差は、1以上である組合
せとすることが、様々な基材への密着性が得られるため
好ましい。更に好ましくは1.5以上である。尚、上限
は2.5以下である。
【0028】なお、感作性、皮膚刺激性、眼刺激性、変
異原性、毒性など安全性の観点から、上記モノマーの中
でも特に、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリ
レート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレー
ト、デシルアクリレート、イソミルスチルアクリレー
ト、イソステアリルアクリレート、エトキシジエチレン
グリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコ
ールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアク
リレート、イソボルニルアクリレート、ラクトン変性可
とう性アクリレート、テトラエチレングリコールジアク
リレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポ
リプロピレングリコールジアクリレート、EO変性トリ
メチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパ
ンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアク
リレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパ
ントリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテ
トラアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリス
リトールヘキサアクリレートが好ましい。
【0029】更にこの中でも、ステアリルアクリレー
ト、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレー
ト、エトキシジエチレングリコールアクリレート、イソ
ボルニルアクリレート、テトラエチレングリコールジア
クリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアク
リレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カ
ウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリ
レート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘ
キサアクリレートが特に好ましい開始剤としては、アリ
ールアルキルケトン、オキシムケトン、アシルホスフィ
ンオキシド、アシルホスホナート、チオ安息香酸S−フ
ェニル、チタノセン、芳香族ケトン、チオキサントン、
ベンジルとキノン誘導体又はケトクマリン類などの従来
公知の開始剤が使用出来る。
【0030】中でもアシルホスフィンオキシド、アシル
ホスホナートは、感度が高く、開始剤の光開裂により吸
収が減少するため、インクジェット方式のように1色当
たり5〜15μmの厚みを持つインク画像での内部硬化
に特に有効である。
【0031】具体的には、ビス(2,4,6−トリメチ
ルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス
(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ
メチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどが好まし
い。
【0032】また、高感度、安全性、臭気を考慮した選
択では、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−
ケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニ
ル]−2−モリホリノプロパン−1−オン、2−ヒドロ
キシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オ
ン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モ
ルホリノフェニル)−ブタノン−1が好適に用いられ
る。
【0033】酸素重合阻害や感度を考慮した組み合わせ
では、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−
モルホリノフェニル)−ブタノン−1と1−ヒドロキシ
−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとの組み合わせ、
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンと
ベンゾフェノンとの組み合わせ、2−メチル−1[4−
(メチルチオ)フェニル]−2−モリホリノプロパン−
1−オンまたは2−メチル−1[4−(メチルチオ)フ
ェニル]−2−モリホリノプロパン−1−オンとジエチ
ルチオキサントンもしくはイソプロピルチオキサントン
との組み合わせ、ベンゾフェノンと三級アミノ基を持つ
アクリル酸誘導体との組み合わせ、三級アミンの添加な
どが効果的である。
【0034】開始剤の好ましい添加量は、インク全体の
1〜6質量%、好ましくは2〜5質量%である。本発明
では、波長または強度を変えて2段階に照射を分けるこ
とが好ましく、開始剤についても2種以上を併用するこ
とが特に好ましい。
【0035】また、開始剤については「UV・EB硬化
技術の応用と市場」(シーエムシー出版、田畑米穂監修
/ラドテック研究会編集)に詳細に記載されている。
【0036】この他、インクを着色する場合は、色材を
添加する。色材としては、重合性化合物の主成分に溶解
または分散できる色材が使用出来るが、耐光性の点で顔
料が好ましい。
【0037】顔料としては、C.I Pigment
Yellow−1,3,12,13,14,17,8
1,83,87,95,109,42,74,128,
185、C.I Pigment Orange−1
6,36,38、C.I Pigment Red−
5,22,38,48:1,48:2,48:4,4
9:1,53:1,57:1,63:1,144,14
6,185,101,2,12,9,122,184,
188、C.I Pigment Violet−1
9,23、C.I Pigment Blue−15:
1,15:3,15:4,18,60,27,29、
C.I Pigment Green−7,36、C.
I Pigment White−6,18,21、そ
の他有機白色顔料C.I Pigment Black
−7、が使用出来るが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
【0038】顔料の分散には、ボールミル、サンドミ
ル、アトライター、ロールミル、アジテーター、ヘンシ
ェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、
パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等
を用いることができる。
【0039】また、顔料の分散を行う際に分散剤を添加
することも可能である。分散剤は高分子分散剤を用いる
ことが好ましい。高分子分散剤としては、例えば、Av
ecia社のSolsperseシリーズが挙げられ
る。
【0040】また、分散助剤として、各種顔料に応じた
シナージストを用いることも可能である。
【0041】これらの分散剤および分散助剤は、顔料1
00質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ま
しい。分散媒体は溶剤または重合性化合物で行うが、本
発明に用いる放射線硬化型インクは、インク着弾直後に
反応、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。
溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残
留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体
は溶剤では無く重合性化合物、その中でも最も粘度の低
いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
【0042】分散は、顔料の平均粒径を0.08〜0.
5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10
μmとすることが好ましく、より好ましくは0.3〜3
μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散
条件、ろ過条件を設定する。
【0043】顔料の粒径は光散乱法により測定すること
ができる。ここで平均粒径とは、ヒストグラム平均(D
50)で定義する。
【0044】この顔料の粒径管理によって、ヘッドノズ
ルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明
性および硬化感度を維持することが出来る。色材はイン
ク全体の1〜10質量%の添加量が好ましい。
【0045】インクに対して、色材の添加量が10質量
%を超えると、インクの含水率(カールフィッシャー法
により測定し、求めた値)が2.0質量%を超え、本発
明の効果を奏しない。
【0046】(その他の成分)インクの保存性を高める
ために、重合禁止剤を200〜20,000ppm添加
することが好ましい。
【0047】紫外線硬化型のインクは加熱、低粘度化し
て射出することが好ましいので、熱重合によるヘッド詰
まりを防ぐためにも重合禁止剤を入れることが好まし
い。
【0048】この他に、必要に応じて界面活性剤、レベ
リング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリ
エステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、
アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加するこ
とが出来る。記録媒体との密着性を改善するため、極微
量の有機溶剤を添加することも有効である。
【0049】この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こ
らない範囲での添加が有効であり、その添加量は0.1
〜5%が好ましく、より好ましくは0.1〜3%であ
る。
【0050】また、インク色材による遮光効果のため、
感度を防ぐ手段として、開始剤寿命の長いカチオン重合
性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオン
のハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
【0051】本発明においては、前述した化合物を組み
合わせた混合物(例えば、重合性モノマーと開始剤を組
み合わせた混合物)を含有するインクのカールフィッシ
ャー法による測定含水率が0.02〜2.0質量%であ
ることを特徴としている。
【0052】該含水率を0.02〜2.0質量%とする
ことで、支持体への密着性改善、形成後の画像耐久性、
特に耐水性が改善されるとともに、インクの長期保存
性、特にノズル内に滞留するインクの保存性を改善し、
長期に亘りノズルの詰まりを防止することが可能とな
る。更に好ましくは0.02〜1.5質量%である。
【0053】上記記載の効果の理由は明確では無いが、
含水率を抑えることで、ノズル内の加温、使用していな
い時の冷却などのヒートサイクル時に、開始剤又は重合
禁止剤等が析出することを防いだり、モノマーの加水分
解による、顔料の凝集を防げることが推定され上記の効
果が得られるものと考えられる。
【0054】前記インクの含水率を0.02〜2.0質
量%とする手段としては、重合性モノマーの酸価を0.
00001〜1.0mg/g(KOH)とすることが好
ましい手段であるが、その他の手段としては、顔料の分
散工程にて、外気を触れさせないで行う、加温処理、脱
水処理、プリンター内の液供給系を外気を遮断すること
で、上記脱水率にする手段がある。
【0055】インクは、射出性を考慮し、好ましくは、
出射時の温度下で、インクの粘度が7〜30mPa・
s、更に好ましくは7〜20mPa・sとなるよう、モ
ノマー、その他の組成比及び出射時の温度を決める。
【0056】なお、25℃でのインク粘度は、35mP
a・s以上とすることが好ましい。室温での粘度を上げ
ることにより、着弾インクの滲みを防止できるだけでな
く、多孔質の記録媒体にもインクの浸透を防ぎ、未硬化
モノマーの低減、臭気低減が可能となり、着弾時のドッ
ト滲みを抑えることが出来、画質が改善される。
【0057】表面張力は好ましくは20〜30mN/
m、更に好ましくは23〜28mN/mである。
【0058】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるもので
はない。
【0059】実施例1 以下の組成にて顔料分散物を作製した。平均粒径は0.
15μmであった。
【0060】 〈シアン顔料分散物〉 ピグメントブルー15:3 20質量部 高分子分散剤 5質量部 テトラエチレングリコールジアクリレート 75質量部 上記顔料分散物を用い、下記処方のインクを作製した。
【0061】開始剤以外の素材を混合した。次いで開始
剤を添加し、0.8μmのフィルターを通してインクと
した。インクはバリヤー性のある容器に収納した。次い
で、インクを50℃に加温した状態にて6.5×102
Paまで減圧し、インク内の水分を蒸発させ脱水処理を
行った。インクの含水率は0.85質量%であった。
【0062】 シアンインク1 シアン顔料分散物 20質量部 ステアリルアクリレート(単官能) 20質量部 テトラエチレングリコールジアクリレート(二官能) 25質量部 グリセリンプロポキシトリアクリレート(三官能) 25質量部 開始剤 化合物A 2質量部 化合物B 2質量部 ジエチルチオキサントン 1質量部 化合物A:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキ
ュアー369、チバガイギー社製) 化合物B:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル
−ケトン(イルガキュアー184、チバガイギー社製) ステアリルアクリレート、テトラエチレングリコールジ
アクリレートの酸価は0.1mg/g未満、グリセリン
プロポキシトリアクリレートの酸価は0.3mg/gで
あった。25℃における粘度は、30mPa・s、70
℃における粘度は11mPa・sであった。
【0063】上記インクに使用したモノマーの計算SP
値の最大値は、グリセリンプロポキシトリアクリレート
が9.13、最小値はステアリルアクリレートで6.8
5である。SP値の計算は、“接着、40巻8号(19
96年)、p7〜14”の文献に記載してある式を参照
し算出した。
【0064】次にピエゾ型インクジェットノズルを用い
たインクジェット記録装置によって、記録媒体への記録
を行った。
【0065】インク供給系は、インクタンク、供給パイ
プ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配
管、ピエゾヘッドから成り、前室タンクからヘッド部分
まで断熱および加温を行った。温度センサーは前室タン
クおよびピエゾヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノ
ズル部分が常に70℃±2℃となるよう、温度制御を行
った。ピエゾヘッドは、8〜30plのマルチサイズド
ットを720×720dpi(尚、dpiとは2.54
cmあたりのドットの数をいう)の解像度で射出できる
よう駆動した。
【0066】記録する支持体は、厚さ50μmの印刷用
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用い
た。
【0067】着弾直後0.2秒以内にメタルハライドに
より露光面照度1000mW/cm 2、露光時間0.1
5秒、露光エネルギー160mJ/cm2となる条件で
インクを硬化した。
【0068】この照射でインクの滲みを防止し、色にご
りのない高品位の画像を得ることができた。
【0069】耐水性試験:本発明の試料は、純水に一週
間浸漬する耐水性試験でも画像が膨潤することなく画像
耐久性が高かった。
【0070】密着性:本発明の試料は、テープ剥離テス
トを行っても、画像が剥離することがなかった。なお、
テープ剥離テストは、各試料の記録面側をカッターで縦
横3本ずつ、約3cmほど切り込みをいれ、セロテープ
(R)をはりつけ、10往復つめで擦った後、180°
方向に剥離して評価した。
【0071】ノズル内での長期保存性を確認するため、
上記の加温出射テストを行った後、プリンター全体を1
5℃まで冷却するサイクルを30回行ったが、本発明の
試料はインクのノズルの詰まり、インク滴の曲がりなど
は発生しなかった。
【0072】実施例2 以下の組み合わせでインクを実施例1と同様に作製し
た。
【0073】開始剤以外の素材を混合した。次いで開始
剤を添加し、0.8μmのフィルターを通してインクと
した。インクはバリヤー性のある容器に包装した。次い
で、インクを50℃に加温した状態にて6.5×102
Paまで減圧し、インク内の水分を蒸発させ脱水処理を
行った。インクの含水率は1.07質量%であった。
【0074】 シアンインク2 シアン顔料分散物(実施例1と同じものを使用) 20質量部 ステアリルアクリレート(単官能) 20質量部 テトラエチレングリコールジアクリレート(二官能) 25質量部 エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(三官能) (共栄社化学製、TMP−3EO−A) 25質量部 開始剤 5質量部 (実施例1と同じ)ステアリルアクリレート、テトラエ
チレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイド
変性トリメチロールプロパントリアクリレートの酸価は
0.1mg/g未満であった。25℃における粘度は、
28mPa・s、70℃における粘度は10mPa・s
であった。
【0075】上記インクに使用したモノマーの計算SP
値の最大値は、エチレンオキサイド変性トリメチロール
プロパントリアクリレートが9.02、最小値はステア
リルアクリレートで6.85である。
【0076】実施例1と同様に評価したところ、基材と
の密着性、耐水性試験、ノズル内での長期保存性ともに
良好であった。
【0077】実施例3 以下の組み合わせでインクを実施例1と同様に作製し
た。
【0078】開始剤以外の素材を混合した。次いで開始
剤を添加し、0.8μmのフィルターを通してインクと
した。インクはバリヤー性のある容器に収納した。次い
で、インクを50℃に加温した状態にて6.5×102
Paまで減圧し、インク内の水分を蒸発させ脱水処理を
行った。インクの含水率は1.13質量%であった。
【0079】 シアンインク3 シアン顔料分散物(実施例1と同じものを使用) 20質量部 テトラエチレングリコールジアクリレート(二官能) 40質量部 トリプロピレングリコールジアクリレート(二官能) 35質量部 開始剤 5質量部 (実施例1と同じ)ステアリルアクリレート、テトラエ
チレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイド
変性トリメチロールプロパントリアクリレートの酸価は
0.1mg/g未満であった。25℃における粘度は、
28mPa・s、70℃における粘度は10mPa・s
であった。
【0080】上記インクに使用したモノマーの計算SP
値の最大値は、トリプロピレングリコールジアクリレー
トが8.97、最小値はテトラエチレングリコールジア
クリレートで8.76である。
【0081】実施例1と同様に評価したところ、基材と
の密着性が実施例1、2に比べてやや劣るものの、耐水
性試験、ノズル内での長期保存性ともに良好であった。
【0082】比較例1 以下のインクを実施例1と同様に作製し、実施例1と同
様に評価した。
【0083】特に脱水処理することなく組み合わせし、
0.8μmのフィルターを通してインクとした。インク
はバリヤー性のある容器に収納した。インクの含水率は
2.2質量%であった。
【0084】 シアンインク4 シアン顔料分散物(実施例1と同じものを使用) 20質量部 イソボルニルアクリレート(単官能) 20質量部 テトラエチレングリコールジアクリレート(二官能) 25質量部 ペンタエリスリトールトリアクリレート(三官能) 25質量部 開始剤1 5質量部 (実施例1と同じ)イソボルニルアクリレート、テトラ
エチレングリコールジアクリレートの酸価は0.1mg
/g未満、ペンタエリスリトールトリアクリレートの酸
価は5mg/gであった。25℃における粘度は、35
mPa・s、70℃における粘度は12mPa・sであ
った。
【0085】上記インクに使用したモノマーの計算SP
値の最大値は、ペンタエリスリトールトリアクリレート
が9.89、最小値はイソボルニルアクリレートで6.
51である。
【0086】比較例1を実施例1と同様の方法で評価し
たところ、実施例1で得られた結果と比較して、基材と
の密着性、耐水性試験ともに劣り、一部画像が剥がれ
た。
【0087】また、比較例1はノズル内での長期保存性
として、70℃加温と15℃冷却のサイクル数回でイン
クの曲がりが生じ、8〜10回程度でノズル欠が生じ、
ノズル内での長期保存性が実施例1に比較して不十分で
あった。
【0088】以上の如く、インクの含水率を0.02〜
2.0質量%とすることで、高感度で、支持体への密着
性の良好とすることが出来、加温、冷却といったヒート
サイクル条件下でも長期に安定した出射性を得ることが
出来る。
【0089】また、重合性モノマーの酸価を0.000
01〜1.0mg/g、単官能モノマーと二官能モノマ
ーと三官能以上の多官能モノマーから少なくとも2種以
上を用いる、複数モノマーのSP値の最大差を1以上と
することで、更に様々な支持体への密着性、高感度化を
達成することができた。
【0090】
【発明の効果】本発明によるインクジェット記録用イン
クは、インクジェット記録方法にて通常直接記録するこ
とが困難なプラスチックフィルムなどの様々な支持体に
対しても良好な密着性が得られ、且つ、耐水性も良好な
画像が得られ、該画像は高感度で、長期保存性が良好で
あり優れた効果を有する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射線の照射により硬化可能なインクジ
    ェット記録用インクであって、重合性モノマー及び開始
    剤を含有し、且つ、カールフィッシャー法による測定含
    水率が0.02〜2.0質量%であることを特徴とする
    インクジェット記録用インク。
  2. 【請求項2】 前記重合性モノマーの酸価が0.000
    01〜1.0mg/g(KOH)であることを特徴とす
    る請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  3. 【請求項3】 前記重合性モノマーが単官能モノマー、
    二官能モノマー及び三官能以上の多官能モノマーから選
    ばれる少なくとも2種以上のモノマーであることを特徴
    とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用イ
    ンク。
  4. 【請求項4】 複数の重合性モノマーのSP値の最大差
    が1以上であることを特徴とする請求項3に記載のイン
    クジェット記録用インク。
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