JP2020007565A - 紫外線硬化型インクジェット組成物及び収容体 - Google Patents

紫外線硬化型インクジェット組成物及び収容体 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化性に優れ、かつ、異物の析出を抑制できるとともに、その製造効率が高い紫外線硬化型インクジェット組成物及びその組成物を充填する収容体を提供する。【解決手段】顔料、顔料分散剤、重合性化合物、及び光重合開始剤を含有し、収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット組成物であって、紫外線硬化型インクジェット組成物の全量に対して、水分量が0.05質量%以上1.0質量%以下であり、顔料分散剤の酸価とアミン価が、いずれも50mgKOH/g以下であり少なくともいずれかが10mgKOH/g以上である、紫外線硬化型インクジェット組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線硬化型インクジェット組成物及び収容体に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中で、紫外線を照射してインクを硬化させるインクジェット記録方法に用いられるインク組成物について種々の検討がなされている。例えば、特許文献1には、安定かつ着弾精度よく吐出可能で、保存性に優れ、硬化性に優れた紫外線硬化型のインクジェットインクを提供することを意図して、少なくとも、顔料、アミン価より酸価の大きい分散剤、重合性化合物及び光重合開始剤を含有する紫外線硬化性のインクジェットインクであって、カチオン型不純物、金属不純物及び強酸性物質の総量が500ppm以下であり、含水率が1〜3質量%であることを特徴とするインクジェットインクが記載されている。
特開2005−200560号公報
しかしながら、特許文献1のように紫外線硬化型インクジェット組成物中の水分量が1〜3質量%の場合には、顔料の凝集が生じ異物(顔料凝集物)が生じてしまう場合があった。また、組成物中の水分量が高いと、インクジェット組成物の硬化性も低下することがある。異物の析出を抑制し硬化性を向上させるためには、紫外線硬化型インクジェット組成物中の水分量を可能な限り低減することが考えられる。しかしながら、その水分量を過剰に低減させようとすると、特に重合性化合物から水分を除去するのに過大な工程や時間が必要となるため、結果として紫外線硬化型インクジェット組成物を製造するのに効率性が低下してしまう。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、硬化性に優れ、かつ、異物の析出を抑制でき、保存安定性が優れるとともに、その製造効率が高い紫外線硬化型インクジェット組成物及びその組成物を充填する収容体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、紫外線硬化型インクジェット組成物中に含まれる顔料分散剤の酸価及びアミン価と、該組成物中に含まれる水分量とを一定範囲内に規定することにより、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
[1]
顔料、顔料分散剤、重合性化合物、及び光重合開始剤を含有し、収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット組成物であって、
紫外線硬化型インクジェット組成物の全量に対して、水分量が0.05質量%以上1.0質量%以下であり、前記顔料分散剤の酸価とアミン価が、いずれも50mgKOH/g以下であり少なくともいずれかが10mgKOH/g以上である、紫外線硬化型インクジェット組成物。
[2]
前記顔料分散剤の酸価とアミン価の合計量が、15mgKOH/g以上90mgKOH/g以下である、[1]記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
[3]
前記重合性化合物としてラジカル重合性化合物を含有する、[1]又は[2]に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
[4]
前記光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド系化合物を含有する、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
[5]
前記重合性化合物として、ビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有する重合性化合物を含有する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
[6]
前記ビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有する重合性化合物を、前記紫外線硬化型組成物の全量に対して、10〜70質量%含有する、[5]記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
[7]
前記ビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有する重合性化合物として、下記一般式(1):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(1)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有する、[5]又は[6]に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
[8]
前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類がアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、[7]に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
[9]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物を収容した収容体。
[10]
前記収容体は、酸素透過度が、23℃且つ湿度65%において、0.01cc〜5.0cc・20μm/(m2・day・atm)である部材からなる容器に前記紫外線硬化型インクジェット組成物が充填されたものであるか、少なくとも前記紫外線硬化型インクジェット組成物を充填した容器を、酸素透過度が、23℃且つ湿度65%において、0.01cc〜5.0cc・20μm/(m2・day・atm)である部材からなる包装体により密封したものであるか、の少なくとも何れかである、[9]に記載の収容体。
本発明の収容体の一例を示す分解斜視図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、本明細書における「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。
〔紫外線硬化型インクジェット組成物〕
本実施形態の紫外線硬化型組成物は、顔料、顔料分散剤、重合性化合物、光重合開始剤、及び水分を含有し、収容体に収容されるものである。紫外線硬化型組成物の全量に対して、そこに含有される水分量は0.05質量%以上1.0質量%以下である。また、顔料分散剤の酸価とアミン価が、いずれも50mgKOH/g以下であり少なくともいずれかが10mgKOH/g以上である。紫外線硬化型組成物は、その硬化性を更に高める観点、並びに、高い汎用性及び高い簡便性を求める観点から、ラジカル重合型の紫外線硬化型組成物であると好ましい。
紫外線硬化型組成物において、顔料分散剤の酸価とアミン価がいずれも50mgKOH/g以下であり、かつ、紫外線硬化型組成物中の水分量が1.0質量%以下であることにより、異物の析出を抑制することが可能となる。これは、水分量が多い場合、酸価又はアミン価を有する顔料分散剤が存在する場合に異物が析出すると考えられ、水分及び顔料分散剤の酸価とアミン価を所定量以下にすることにより、異物の析出が抑制されるためと推察される。また、顔料分散剤の酸価とアミン価の少なくともいずれかが10mgKOH/g以上であることにより、紫外線硬化型組成物の硬化性をより十分なものとすることができる。これは、そのような酸化又はアミン価をもつ顔料分散剤が重合性化合物の硬化反応の触媒として有効に作用するためと考えられる。さらに、紫外線硬化型組成物中の水分量を0.05質量%以上とすることにより、紫外線硬化型組成物の製造効率を高めることができる。特に紫外線硬化型組成物中の水分量は、合成した重合性化合物中に存在(混入)する水分量に高く依存するところ、紫外線硬化型組成物中の水分量を0.05質量%以上とすることにより、重合性化合物中に存在する水分量を低減する工程に基づく負荷を低減できると推察される。その結果、製造時間の短縮、工程の簡素化及び労力の低減が可能になり、製造コストも削減できる。ただし、要因はこれらに限定されない。
紫外線硬化型組成物は、種々の用途に用いることができ、その用途は限定されない。用途としては、例えば、インク用及び重合成形用が挙げられる。これらの中では、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、インク用であると好ましく、また、インクジェット用であることも好ましい。以下、本実施形態の紫外線硬化型組成物をインクジェット組成物(インクジェット法により吐出して用いる組成物)の1実施形態であるインクジェット用インク組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)として用いる場合についてより詳細に説明するが、紫外線硬化型組成物はこれに限定されない。
(重合性化合物)
組成物は重合性化合物を含有する。重合性化合物は、単独で、又は重合開始剤の作用により、光照射等のエネルギーの付与により重合して、被記録媒体上の組成物を硬化させることができる。重合性化合物としては特に限定されないが、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。重合性化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以下これら重合性化合物について例示する。
重合性化合物は、組成物の硬化性を更に高める観点、並びに、高い汎用性及び高い簡便性を求める観点から、ラジカル重合性化合物を含有すると好ましい。また、それに加えて又はそれに代えて、重合性化合物は、硬化性を高め、組成物を更に低粘度化し、重合開始剤を用いる場合のその重合開始剤の溶解性を高める観点から、ビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有する重合性化合物を含有することが好ましい。ビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有する重合性化合物としては、ビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有するラジカル重合性化合物が好ましい。そのような重合性化合物としては、例えば、単官能又は多官能のビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられ、上記と同様の観点から、これらが好ましい。
ビニルエーテル基を有する単官能(メタ)アクリレートは、特に限定されないが、組成物をより低粘度化でき、引火点が高く、かつ、組成物の硬化性を一層高める観点から、下記一般式(1):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(1)
で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有することが好ましい。ここで、式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。
上記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチルが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
これらの中では、上記と同様の観点から、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、すなわち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルは、いずれも単純な構造であって分子量が小さいため、組成物を顕著に低粘度化することができる。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及びアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。なお、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの方が、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルに比べて硬化性の面で優れている。
ビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有する重合性化合物の含有量は、組成物の全量(100質量%)に対して、10〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%が更に好ましい。その含有量が10質量%以上であることにより、組成物を低粘度化でき、かつ、組成物の硬化性がより優れる傾向にある。一方で、その含有量が70質量%以下であることにより、組成物の保存性により優れると共に、印刷物の表面光沢により優れる傾向にある。
組成物は、上記で例示した以外の単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のモノマーを1種又は2種以上含有してもよい。そのようなモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸の不飽和カルボン酸;該不飽和カルボン酸の塩;不飽和カルボン酸のエステル、ウレタン、アミド及び無水物;アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。
単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のオリゴマーとしては、特に限定されないが、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、及びアクリロイルモルホリン、並びにそれらの誘導体が挙げられる。
組成物は、単官能のモノマーとして、単官能(メタ)アクリレートを含有してもよい。この場合、組成物が低粘度となり、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性に優れ、かつ、インクジェット記録時の吐出安定性がられやすい。単官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコールモノビニルエーテル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
単官能のモノマーの含有量は、組成物の全量(100質量%)に対して、10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。上記好ましい範囲とすることにより、硬化性、開始剤溶解性、保存安定性、吐出安定性により優れる傾向にある。
組成物は、多官能のモノマーとして、多官能(メタ)アクリレートを含有してもよい。そのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましく、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートがより好ましい。
多官能モノマーの含有量は、組成物の全量(100質量%)に対して、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜40質量%がさらに好ましい。上記好ましい範囲とすることにより、硬化性、保存安定性、吐出安定性及び印刷物の表面光沢により優れる傾向にある。
また、硬化膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性が増すため、単官能(メタ)アクリレート及び2官能(メタ)アクリレートを併用することも好ましく、中でもフェノキシエチル(メタ)アクリレート及びジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを併用することが更に好ましい。
重合性化合物の含有量は、組成物の全量(100質量%)に対し、35〜95質量%が好ましく、45〜90質量%がより好ましい。重合性化合物の含有量が上記範囲内であることにより、粘度及び臭気をより低下させることができるとともに、光重合開始剤の溶解性及び反応性・印刷物の表面光沢を更に優れたものとすることができる。
(顔料)
組成物は、色材として、顔料を含む。顔料としては、例えば無機顔料及び有機顔料が挙げられる。無機顔料としては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンが挙げられる。
有機顔料としては、特に限定されないが、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。
顔料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
顔料の含有量は、組成物の全量(100質量%)に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1.0〜5.0質量%が更に好ましい。顔料の含有量が上記範囲内であることにより、発色性により優れる傾向にある。
(顔料分散剤)
組成物は、顔料分散性をより良好なものとするため、1種又は2種以上の顔料分散剤を含有する。分散剤として、後述する酸価とアミン価以外に特に限定はないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、ルーブリゾール(Lubrizol)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(例えば「Solsperse 36000」)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
本実施形態の組成物において、組成物の硬化性及び顔料の分散安定性を向上させる観点から、顔料分散剤の酸価とアミン価の少なくともいずれかが10mgKOH/g以上である。また、組成物の重合ゲル化を抑制する観点から、顔料分散剤の酸価とアミン価は、いずれも50mgKOH/g以下である。酸価又はアミン価が高い分散剤は、重合性化合物、特にラジカル重合性化合物の重合反応(硬化反応)の触媒として有効に作用することから組成物の硬化性を向上させ、さらに、その極性の影響により顔料の分散安定性を向上させるものと考えられる。一方、酸価又はアミン価が高い分散剤は、重合性化合物、特にラジカル重合性化合物の重合反応(硬化反応)の触媒として有効に作用することから、重合ゲル化(増粘)を引き起こし、組成物の保存安定性を低下させる傾向があるものと考えられる。顔料分散剤の酸価とアミン価の少なくともいずれかは、15mgKOH/g以上、20mgKOH/g以上の順、45mgKOH/g以下、40mgKOH/g以下、30mgKOH/g以下の順で、上記の点で好ましい。
顔料分散剤の酸価とアミン価の合計量は、組成物の硬化性及び顔料の分散安定性を向上させる観点から、10mgKOH/g以上、15mgKOH/g以上、20mgKOH/g以上、30mgKOH/g以上の順、100mgKOH/g以下、90mgKOH/g以下、85mgKOH/g以下、82mgKOH/g以下の順で、上記の点で好ましい。
顔料分散剤の酸価とアミン価は、電位差滴定により求めることができる。組成物中に複数種の顔料分散剤を添加してもよい。この場合にも、各顔料分散剤の酸価とアミン価が、本発明で規定した範囲を満たせばよい。こうして、測定した酸価とアミン価が上記の範囲内であるような顔料分散剤を選択して組成物の調製に用いればよい。
(水分)
本実施形態の組成物は水分を含有し、その水分量は、組成物の全量(100質量%)に対して0.05質量%以上1.0質量%以下である。水分量は、組成物の製造効率を更に高める観点、組成物がビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有する重合性化合物を含有する場合に組成物の保存安定性をより高める観点から、0.05質量%以上であると好ましく、0.1質量%以上であるとより好ましく、0.15%以上であるとさらに好ましい。水分は、ビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有する重合性化合物の重合禁止作用をもつからである。また、水分量は、組成物の硬化性の低下を抑制する観点、及び、異物の析出を抑制する観点から、1.0質量%以下であると好ましく、0.8質量%以下であるとより好ましく、0.5質量%以下であるとさらに好ましい。上述したように、水分は、ビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有する重合性化合物の重合を阻害する作用を有し、組成物の硬化性を低下させる傾向がある。また、水分は、顔料の凝集の要因となり、顔料凝集により異物が析出すると考えられる。
組成物における水分量を調整する方法としては、例えば、組成物の各成分、例えば重合性化合物、中の水分量を低減する方法、組成物から水分を除去する方法、組成物の調製時に混入する水分量を低減させる方法などが挙げられる。このうち、重合性化合物中の水分量を低減する方法として、より具体的には、重合性化合物を蒸留精製する方法、水を選択的に透過する半透過膜に重合性化合物を透過させる方法、及び水を吸着する水吸着剤に水を選択的に吸着させる方法が挙げられる。これらの中では、水分量をより効率的かつ確実に低減できる観点から、蒸留精製する方法が好ましい。水分量は、下記実施例に記載の方法に準拠して測定される。
水分としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加等によって滅菌した水を用いると、インクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。これにより貯蔵安定性がより向上する傾向にある。
本実施形態の組成物は、上記の各成分の他に、従来の紫外線硬化型のインクジェット用インク組成物に用いられる得る任意の成分を含有してもよい。そのような任意の成分としては、例えば、重合開始剤、顔料及び染料等の色材、分散剤、重合禁止剤、界面活性剤、浸透剤、保湿剤、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤その他の添加剤及び溶媒が挙げられる。これらはそれぞれ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(重合開始剤)
本実施形態の組成物は重合開始剤を含有してもよい。重合開始剤は、熱エネルギー又は紫外線などの光のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、光重合開始剤が好ましく、光ラジカル重合開始剤が好ましい。光ラジカル重合開始剤としては特に限定されないが、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤及びチオキサントン系光重合開始剤が好ましく、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤がより好ましい。
〔アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤〕
組成物は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有することが好ましい。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は酸素阻害を受けやすいが、長波長光のLEDでの硬化に適する。また、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は、組成物中の水分量が組成物の全量に対して1.0質量%以下であることにより、組成物中により良好に溶解することができる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、IRGACURE 819(BASF社製商品名、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)、SPEEDCURE TPO(Lambson社製商品名、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド)及びDAROCUR TPO(BASF社製商品名、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド)、SPEEDCURE TPO−L(Lambson社製商品名、エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド)が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量は、組成物の全量(100質量%)に対し、3〜20質量%が好ましい。含有量が3.0質量%以上であることにより、硬化性により優れる傾向にある。同様の観点から、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量は、4質量%以上であるとより好ましく、7質量%以上であるとさらに好ましい。また、この含有量が20質量%以下であることにより、固形分の溶解や保存安定性を良好に保ち、信頼性により優れる傾向にある。同様の観点から、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量は、15質量%以下であるとより好ましく、13質量%以下であるとさらに好ましい。
〔チオキサントン系光重合開始剤〕
組成物は、チオキサントン系光重合開始剤を含有してもよい。組成物がチオキサントン系光重合開始剤を含有することにより、表面タック性を低減でき、特に、酸素阻害を受けやすい薄膜時においてインク表面を硬化させドット間の混色、滲みを防止することができる。また、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤及びチオキサントン系光重合開始剤を両方用いると、UV−LEDによる硬化プロセスにより優れ、組成物の硬化性、密着性が一層優れる傾向にあるので好ましい。
チオキサントン系光重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、及びクロロチオキサントンからなる群より選ばれた1種以上を含むことが好ましい。なお、特に限定されないが、ジエチルチオキサントンとしては2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンとしては2−イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントンとしては2クロロチオキサントンが好ましい。このようなチオキサントン系光重合開始剤を含む組成物であれば、硬化性、保存安定性、及び吐出安定性により優れる傾向にある。このなかでも、ジエチルチオキサントンを含むチオキサントン系光重合開始剤が好ましい。ジエチルチオキサントンを含むことにより、幅広い領域の紫外光(UV光)をより効率良く活性種に変換できる傾向にある。
チオキサントン系光重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、Speedcure DETX(2,4−ジエチルチオキサントン)、Speedcure ITX(2−イソプロピルチオキサントン)、Speedcure CTX(2−クロロチオキサントン)、SPEEDCURE CPTX(1−クロロ−4−プロピルチオキサントン(以上、Lambson社製)、KAYACURE DETX(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co.,Ltd.)製)が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤の含有量は、組成物の全量(100質量%)に対し、0.5〜5.0質量%が好ましく、1.0〜4.0質量%がより好ましい。その含有量が0.5質量%以上であることにより、表面タック性をより低減でき、酸素阻害を受けやすい薄膜時においてインク表面を硬化させドット間の混色、滲みをより防止することができる傾向にある。また、その含有量が5.0質量%以下であることにより、開始剤そのものによるインクの着色が少なく、色相の黄変が少ないことや硬化膜の密着性により優れる傾向にある。
(その他の光重合開始剤)
組成物は、上記以外の光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤の1種又は2種以上を更に含有してもよい。上記以外の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオフェニル基含有化合物など)、α−アミノアルキルフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。
上記以外の光ラジカル重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、BASF社製)、Speedcure TPO(以上、Lambson社製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)が挙げられる。
その他の光カチオン重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、スルホニウム塩、ヨードニウム塩が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、組成物の全量(100質量%)に対し、5〜20質量%が好ましい。含有量が当該範囲内であることにより、紫外線硬化速度を十分に発揮させ、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色を避けることができる傾向にある。
(重合禁止剤)
組成物は、その保存安定性を更に高める等の観点から、1種又は2種以上の重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を有する化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−アルキル骨格を有する化合物、及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−アシル骨格を有する化合物などのヒンダードアミン化合物;p−メトキシフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノン、クレゾール、t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
本実施形態の紫外線硬化型組成物は、収容体に収容されるものである。言い換えれば、本実施形態の収容体は、本実施形態の紫外線硬化型組成物を収容したものである。以下、紫外線硬化型組成物をインクジェット用インク組成物として用いる場合についてより詳細に説明する。
(収容体)
本発明の一態様は、非水系インク組成物を収容したインク収容体である。本明細書において、「収容体」とは、容器及び包装体を包含する概念で、インク組成物を直接的又は間接的に収容するものをいう。すなわち、収容体は、容器に紫外線硬化型組成物が充填されたものであるか、少なくとも紫外線硬化型組成物を充填した容器を部材からなる包装体により密封したものである。インク収容体は、記録装置でインク組成物を使用する前に、インク組成物の保管、輸送に用いるものであり、使用する際にはインク収容体に収容されるインク組成物を記録装置に供給するものである。
インク収容体の態様としては、以下に限定されないが、例えば、インクカートリッジ、パック、ボトル、タンク、ビン、缶が挙げられる。これらの中でも、汎用されており、かつ、後述の水分透過度及び酸素透過度を所望の値に制御しやすいという観点から、インクカートリッジ、パック、ボトル、タンクが好ましく、パックがより好ましい。
図1に、本実施形態のインク収容体の一例を示す分解斜視図を示す。インクカートリッジ3は、インクが充填されるインクパック70と、インクパック70を内部に収めて保護する本体ケース76と蓋部78からなるカートリッジケース72からなる。インクパック70はインク供給口74を備える。本体ケース76は、切欠き部80及び溝部86を備え、蓋部78は、押さえ部82及び鉤部84を備える。インクカートリッジ3において、インクパック70は本体ケース76及び蓋部84内に収められ、その際、インク供給口74が切欠き部80に嵌め込まれた上で、押さえ部82と切欠き部80とに挟まれることで固定される。また、本体ケース76と蓋部84は、鉤部84が溝部86に嵌合することにより密閉される。なお、インクパック70及びカートリッジケース72が本実施形態の「インク収容体」に相当する。またインク収容体のうちのインクパック70のようなインク組成物を直接的に収容する構成を容器とよぶ。容器のみからなるインク収容体、例えば、容器自身が収容体でもある収容体であってもよい。また、収容体は図示しない包装体を備えていてもよい。包装体は少なくとも容器を収容し密封するものであればよく、収容体の全体を収容する物であってもよく、少なくとも容器を収容して収容体の内部に収容される物であってもよい。容器と包装体からなる収容体であってもよい。
インク収容体の使用態様としては、特に限定されないが、例えば、記録装置とは別体であるインク収容体を記録装置に装着し、装着された状態で、インク収容体からインク組成物を記録装置に供給するカートリッジのような態様(A)と、記録装置とは別体であるインク収容体から、インク組成物を記録装置のインクタンク等に供給するボトルのような態様(B)と、インク収容体が予め記録装置の一部として備え付けられた態様(C)と、が挙げられる。なお、態様(A)及び態様(C)の場合には、装着された収容体又は備え付けられたインク収容体から、インクチューブのような接続部を介して記録装置のヘッドにインク組成物を供給して、記録を行うことができる。また、態様(B)は、インク収容体から記録装置のインクタンク等にインク組成物を移した後、インクタンクからインクチューブのような接続部を介して記録装置のヘッドにインク組成物を供給して、記録を行うことができる。
インクパック70等の容器や包装体を構成する部材の材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリスチレンのような樹脂;又はガラスのような無機物が挙げられる。なお、上記構成材料は、適当な比率で配合して用いても、複数種重ねて用いてもよい。
上記構成部材としては柔軟性や軽量化の点でフィルムが好ましい。部材の材料として、耐久性のよいフィルム材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリスチレンなどのプラスチックフィルムが挙げられる。このなかでも、高密度、低密度、又は線状低密度のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、及びポリスチレンが好ましい。フィルム材料は、積層フィルムであっても、延伸フィルムであってもよい。
インク収容体の容器又は容器を収容し密封する包装体の部材の酸素透過度は、23℃且つ湿度65%において、0.01cc〜5.0cc・20μm/(m2・day・atm)である。酸素透過度が0.01cc・20μm/(m2・day・atm)以上であることは、部材の設計の自由度の点で好ましく、保管中の組成物の重合ゲル化を抑制することができる傾向にある。酸素透過度が5.0cc・20μm/(m2・day・atm)以下であることにより、保管中の組成物の溶存酸素量が変化しにくくなる傾向にあり、かつ、組成物の吐出安定性が向上する傾向にある。なお、酸素透過度は、JIS K 7126(ISO 15105)に定められた方法で測定することができる。
上記酸素透過度を向上させるため、インク収容体は、ガスバリア層を有していてもよい。ガスバリア層としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム層のような金属層、エチレンビニルアルコール共重合体層、ポリビニルアルコール層のような有機層が挙げられる。
上記部材の総厚みは、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは20μm以上であり、さらに好ましくは30μm以上であり、よりさらに好ましくは40μm以上であり、さらにより好ましくは70μm以上である。総厚みが10μm以上であることにより、収容されるインク組成物の水分含有量及び溶存酸素量が変化しにくく、インク収容体の強度が得られる傾向にある。また、総厚みは、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは200μm以下であり、さらに好ましくは150μm以下である。総厚みが200μm以下であることにより、視認性や柔軟性がより向上する傾向にある。
インク収容体が収容可能なインク組成物の容量は、好ましくは100〜3,000mLであり、より好ましくは100〜2,000mLであり、さらに好ましくは100〜1,000mLであり、特に好ましくは100〜800mLであり、より特に好ましくは200〜800mLである。インク収容体の容量が上記範囲内であることにより、インク収容体の使用開始後、インク収容体中のインクの溶存酸素量が殆ど変わらない間に、インク組成物を使い切ることができることや、保管中のインク組成物の溶存酸素量が変化しにくいこと等の有利な効果がある。
上記部材の水分透過率は、好ましくは20g/m2・24時間 以下であり、より好ましくは10g/m2・24時間 以下であり、さらに好ましくは5.0g/m2・24 時間以下である。水分透過率が20g/m2・24時間以下であることにより、収容される組成物中の水分量が上昇し難い傾向にあり、顔料粒径に変化を生じにくくし、異物発生を抑制し、組成物の長期保存安定性を一層良好にする傾向にある。また、インク収容体の水分透過率は、限られるものではないが、設計の自由度の点で、好ましくは0.10g/m2・24時間 以上であり、より好ましくは0.20g/m2・24時間 以上であり、さらに好ましくは1.0g/m2・24時間 以上であり、よりさらに好ましくは2.0g/m2・24時間 以上である。なお、水分透過率は、ガスクロマトグラフ法により測定することができる。
このように、本実施形態によれば、硬化性に優れ、かつ、異物の析出を抑制できると共に、その製造効率が高い紫外線硬化型組成物を収容した収容体を提供することができる。
本実施形態のインクジェット装置は、上述のインクジェット組成物及び収容体を用い、インクジェット法により該組成物を吐出するインクジェットヘッドを備える装置であり、本実施形態のインクジェット方法は、該インクジェットヘッドから該組成物を吐出させる吐出工程を備えるものである。被吐出体に対して吐出して、被吐出体へ付着した組成物を紫外線の照射により硬化させる硬化工程や、該硬化工程を行う照射装置を備えていてもよい。照射工程は、紫外線光源として、メタルハライドランプ、水銀ランプ、紫外線発光ダイオードなどを用いることが好ましく、小型化や省電力化の点で紫外線発光ダイオードがより好ましい。紫外線発光ダイオードとしては、発光ピーク波長が、好ましくは360〜420nmの範囲に有するものが入手しやすい点で好ましい。硬化工程の照射エネルギーは、組成物を充分硬化させ、硬化工程の短時間化の点で、100〜1000mJ/cm2が好ましく、800mJ/cm2以下、mJ/cm2、600mJ/cm2以下の順、200mJ/cm2以上、300mJ/cm2以上の順でより好ましい。方法や装置の上記以外の構成は特に限定されない。例えば、それ以外の構成として、従来知られている構成を備えてもよい。本実施形態のインクジェット装置及びインクジェット方法によると、インクジェット組成物が硬化性に優れるだけでなく、その組成物中に異物が析出することを抑制できるので、吐出安定性にも優れるものとなる。また、特に組成物がビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有する重合性化合物を含有する場合、その組成物が紫外線の照射により硬化するものであるにも関わらず、保存安定性にも優れたものとなる。さらには、組成物がビニルエーテル基を有する重合性化合物を含有する場合、その組成物を低粘度化できるので、そのような観点からも吐出安定性を更に高めることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[紫外線硬化型組成物用の材料]
下記の実施例及び比較例において使用した紫外線硬化型組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔色材〕
P.I.ピグメントブルー 15:4
〔顔料分散剤〕
BYK9076、BYKJET9150、BYK2155、BYK2008、DISPERBYK102、ANTI−TERRA U100(ビックケミー・ジャパン社製商品名)
アジスパーPB881、アジスパーPN411(味の素ファインテクノ社製商品名)
〔重合性化合物〕
VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社製、官能基数1)
PEA(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学社製、官能基数1)
DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製、官能基数2)
SR444(ペンタエリスリトールトリアクリレート、日本化薬社製、官能基数3)
〔重合禁止剤〕
MEHQ(ヒドロキノンモノメチルエーテル、東京化成工業社製)
〔重合開始剤〕
IRGACURE TPO(BASF社製商品名、固形分100質量%)
IRGACURE 369(BASF社製商品名、固形分100質量%)
KAYACURE DETX(日本化薬社製商品名、固形分100質量%)
(実施例1〜25、比較例1〜11)
[紫外線硬化型組成物の調製]
各材料を下記の表1〜2に示す組成(質量%)で組成物として調製した。まず、材料のうちのPEAと顔料と顔料分散剤を混合し、十分に撹拌して顔料の分散を行い、次に残りの材料を混合し、充分に撹拌して各組成物(紫外線硬化型組成物)を得た。なお、重合性化合物はそれぞれ、各実施例及び比較例で用いた各重合性化合物を1回又は複数回蒸留精製してから用いたか、あるいは、イオン交換水を組成物に添加することで、水分量が表中の値となるように調整した。次に、高密度ポリエチレン製のフィルム(厚み100μm)にアルミニウム蒸着膜を積層した積層フィルムをアルミニウム蒸着膜(厚み10μm)を外側にして重ねて周囲を熱溶着して容器としたパックを作成して、上記の調製した各組成物を、容器に700mLの容量で充填して空気が入らないように容器を密封して、容器を保護ケースに収納して組成物収容体とした。ただし、実施例20〜25は、その他の例とはフィルムのアルミニウム蒸着膜の厚みを異ならせた。
Figure 2020007565
Figure 2020007565
(水分量の測定)
水分計(平沼産業社製製品名「自動加熱気化水分測定システムAQS−22010」)を用い、カール・フィッシャー電量法により、紫外線硬化型組成物中の水分量を測定した。結果を表1〜2(質量基準)に示す。
(酸価及びアミン価の測定)
顔料分散剤の酸価、アミン価について、酸価はJIS K 0070、アミン価はJIS K 7237記載の方法により測定した。測定は、京都電子工業社(Kyoto Electronics Manufacturing Co.,Ltd.)製のAT610を用いて行った。
(酸素透過度)
各例ごとに作成した組成物収容体に用いた容器を構成するフィルムの酸素透過度を測定した。酸素透過度は、23℃且つ湿度65%において、JIS K 7126 プラスチック-フィルム及びシート ガス透過度試験方法(ガスクロマトグラフ法)により測定した。試験片によって隔てられた一方(低圧側)を真空に保ち、他方(高圧側)に試験ガスを導入し、23℃且つ湿度65%において試験片を通過して低圧側に透過したガス量をガスクロマトグラフ法によって測定しガス透過度を算出した。
(硬化性の評価)
バーコーターを用いて、紫外線硬化型組成物をPETフィルム(PET50A PLシン〔商品名〕、リンテック社製)上に塗り、厚さ14μmの塗膜を作製した。その後、照射強度が1100mW/cm2であり且つ波長が395nmである紫外線を照射して上記塗膜を硬化させた。硬化した塗膜(硬化膜)を、綿棒を用いて100g加重で10回擦り、傷が付かなくなる時点の硬化エネルギー(照射エネルギー)を求めた。
なお、照射エネルギー[mJ/cm2]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm2]を測定し、これと照射継続時間[s]との積から求めた。照射強度の測定は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING, INC.)製)を用いて行った。照射強度の結果に基づいて下記の評価基準で評価した。結果を表1〜2に示す。
◎:250mJ/cm2以下
○:250mJ/cm2を超えて350mJ/cm2以下
△:350mJ/cm2を超えて400mJ/cm2以下
×:400mJ/cm2
(顔料分散安定性(異物析出抑制)の評価)
60分間吐出を行った後、ヘッドのフィルターを取り出してフィルターにたまった残留物を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。フィルターは、メッシュの呼び寸法2800のものを使用した。結果を表1〜2に示す。なお、発生が確認された残留物は、少なくとも顔料が含まれていた。少なくとも顔料に起因する異物の発生に係る評価である。
◎:残留物無し。
○:細かな残留物がごくわずかにある。
△:細かな残留物に加えて大きな残留物も僅かにある。
×:大きな残留物がかなりある。
××:フィルターがほぼ残留物で埋まっている。
(重合ゲル化(増粘)の評価)
紫外線硬化型組成物をガラス瓶に収容後、ガラス瓶を密封し、60℃で2週間保存した。保存前後の紫外線硬化型組成物の20℃での粘度を、phisica社製の粘度計にて測定し、保存前の紫外線硬化型組成物の粘度に対して保存後の紫外線硬化型組成物の粘度が何%上昇したか、すなわち何%増粘したかを算出した。組成物を長期間保存した場合の保存安定性に係る評価である。その結果に基づいて下記の評価基準で評価した。結果を表1〜3に示す。
◎:増粘が3%未満
○:増粘が3%以上6%未満
△:増粘が6%以上9%未満
×:増粘が9%以上12%未満
××:増粘が12%以上
(吐出安定性の評価)
360個のノズルを有するヘッドを上部へ固定し、ヘッドのノズル下方にPETフィルム(品番「PET50 K2411 PAT1E」、リンテック社製)を15m/minで搬送させ、180個のノズルからそのPETフィルムへ10kHzで紫外線硬化型組成物を吐出し、連続印刷を行った。印刷と同時に、発光波長ピークが395nmのLEDでPETフィルムに付着したインク組成物に光照射して画像を形成した。吐出開始から5分毎に、全てのノズルから紫外線硬化型組成物を吐出しているか否かを目視にて確認し、下記の評価基準で評価した。結果を表1〜3に示す。
◎:60分以上ノズル抜けなし。
○:30分以上60分未満でノズル抜けあり。
△:15分以上30分未満でノズル抜けあり。
×:15分未満でノズル抜けあり。
(脱水工程効率(製造効率)の評価)
常法により得られた各重合性化合物を、ロータリーエバポレーターを用いて、1回蒸留精製した。蒸留精製後のVEEAを用いて、表1〜2に示す組成の紫外線硬化型組成物を調製して、その水分量を測定した。水分量が表1〜2に示す数値になるまで、上記蒸留精製、紫外線硬化型組成物の調製及び水分量の測定を繰り返した。蒸留精製の回数に基づいて下記のように評価した。蒸留精製の回数が少ないほど、脱水工程効率(製造効率)が高いことを示す。結果を表1〜3に示す。
○:2回以下。
△:3〜4回。
×:5回以上。
実施例の結果から、紫外線硬化型インクジェット組成物の全量に対して、水分量が0.05質量%以上1.0質量%以下であり、前記顔料分散剤の酸価とアミン価が、いずれも50mgKOH/g以下であり少なくともいずれかが10mgKOH/g以上であると、硬化性、顔料分散安定性(異物析出抑制)に優れ、重合ゲル化の抑制、吐出安定性に優れ、脱水工程効率も向上できることがわかる。
実施例1,5,12と比較例8との比較から、水分量が1.0質量%以下であることにより、顔料分散安定性(異物性出抑制)に優れ、その結果、吐出安定性に優れる、かつ、硬化性にも優れることが分かる。実施例1と比較例1との比較から、水分量が0.05質量%以上であることにより、重合ゲル化(増粘)を抑制でき、その結果、吐出安定性に優れ、かつ、脱水工程効率にも優れる。
実施例1,2,7〜9、15〜17と比較例5との比較から、水分量が0.05質量%以上1.0質量%以下の場合に、顔料分散剤の酸価とアミン価のいずれかが10mgKOH/g以上であると、顔料分散安定性(異物析出抑制)に優れ、その結果、吐出安定性に優れ、かつ、硬化性も優れたものになることが分かった。
また、実施例1,2,7〜9、15〜17と比較例6,7との対比により、水分量が0.05質量%以上1.0質量%以下の場合に、顔料分散剤の酸価とアミン価のいずれも50mgKOH/g以下であると、重合ゲル化(増粘)を抑制でき、この結果、吐出安定性に優れる傾向にあることが分かった。
また、比較例1〜4から、水分量が0.05質量%未満の場合、組成物の増粘が大きいことがわかった。水分量が少ない場合、組成物の重合ゲル化の抑制ができず増粘が大きいと推測する。なお、比較例1〜4等の重合ゲル化(増粘)が劣る組成物は、吐出安定性も劣る傾向が見られ、組成物中に重合ゲル化による微小なゲル化物が発生し、これにより吐出安定性が劣ったと推測する。
さらに、比較例8〜11から、水分量が1.0質量%を超えると、残留物の発生が観察され、顔料分散安定性(異物析出抑制)が低下した。水分により顔料が異物化しやすい傾向があったと推測する。また、この場合には、硬化性も低下してしまうことが分かった。特に、比較例9は、顔料分散剤の酸価とアミン価のいずれかが10mgKOH/g以上となっていないことにより顔料の分散が不十分であり残留物の発生が見られたことに加えて、水分量が1.0質量%を超えたことによっても異物析出抑制が劣り残留物の発生が見られたと推測する。
40…インクカートリッジ、70…インクパック、72…カートリッジケース、74…インク供給口、76…本体ケース、78…蓋部、80…切欠き部、82…押さえ部、84…鉤部、86…溝部。

Claims (10)

  1. 顔料、顔料分散剤、重合性化合物、及び光重合開始剤を含有し、収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット組成物であって、
    紫外線硬化型インクジェット組成物の全量に対して、水分量が0.05質量%以上1.0質量%以下であり、前記顔料分散剤の酸価とアミン価が、いずれも50mgKOH/g以下であり少なくともいずれかが10mgKOH/g以上である、紫外線硬化型インクジェット組成物。
  2. 前記顔料分散剤の酸価とアミン価の合計量が、15mgKOH/g以上90mgKOH/g以下である、請求項1記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  3. 前記重合性化合物としてラジカル重合性化合物を含有する、請求項1又は2に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  4. 前記光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド系化合物を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  5. 前記重合性化合物として、ビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有する重合性化合物を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  6. 前記ビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有する重合性化合物を、前記紫外線硬化型組成物の全量に対して、10〜70質量%含有する、請求項5記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  7. 前記ビニルエーテル基と(メタ)アクリレート基とを有する重合性化合物として、下記一般式(1):
    CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(1)
    (式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有する、請求項5又は6に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  8. 前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類がアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、請求項7に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物を収容した収容体。
  10. 前記収容体は、酸素透過度が、23℃且つ湿度65%において、0.01cc〜5.0cc・20μm/(m2・day・atm)である部材からなる容器に前記紫外線硬化型インクジェット組成物が充填されたものであるか、少なくとも前記紫外線硬化型インクジェット組成物を充填した容器を、酸素透過度が、23℃且つ湿度65%において、0.01cc〜5.0cc・20μm/(m2・day・atm)である部材からなる包装体により密封したものであるか、の少なくとも何れかである、請求項9に記載の収容体。
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