JP2010140859A - 導電性ナノファイバーシート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パターン見えを軽減させると共に、導電パターン膜を容易に形成することができる導電性ナノファイバーシート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】導電性ナノファイバーシート1は、基体シート10と、導電性ナノファイバー3を含み、前記基体シート10上に形成された導電パターン層6と、導電性ナノファイバー3を含み、基体シート10上の導電パターン層6が形成されていない部分に形成された絶縁パターン層5とを備えている。導電パターン層6及び絶縁パターン層5は一定方向を軸方向として交互に形成されている。導電パターン層6は、導電性ナノファイバー3を介して導通可能であり、絶縁パターン層5は、導電性ナノファイバー3が断線することにより導電パターン層6から絶縁している。
【選択図】図1

Description

本発明は、タッチパネルなどに使用する導電性ナノファイバーシートおよびその製造方法に関する。
従来、樹脂やガラス等よりなる基材の表面に導電層を有するナノファイバーからなる層を形成する方法として、例えば下記の特許文献1のように、バインダー樹脂を揮発性溶剤に溶解した溶液に極細導電繊維を分散させた塗液を、基材表面に塗布し、この塗布塗液を乾燥して導電層を形成する方法があった。
特許第3903159号
しかし、特許文献1のような方法によって得られた導電性ナノファイバーシートは、塗液に極細導電繊維を分散させたままで塗布するため、細線パターンでの印刷が困難で電気的性能が安定しない問題があった。また、導電性を向上させるために極細導電繊維の含有率を高くすると透明性が低下しへイズ値が上昇するため、導電パターンが容易に視認可能となってしまうパターン見えの問題もあった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、第1の発明は、導電性ナノファイバーシートであって、基体シートと、導電性ナノファイバーを含み、基体シート上に形成された導電パターン層と、導電性ナノファイバーを含み、基体シート上の導電パターン層が形成されていない部分に形成された絶縁パターン層とを備え、導電パターン層は、導電性ナノファイバーを介して導通可能であり、絶縁パターン層は、導電性ナノファイバーが断線することにより導電パターン層から絶縁しているものである。
第2の発明は、第1の発明の構成において、導電パターン層と絶縁パターン層とについて、光線透過率の差が10%以下であり、ヘイズ値の差が5%以下であるものである。
第3の発明は、第1又は第2の発明の構成において、導電パターン層及び絶縁パターン層の光線透過率が60%以上であり、導電パターン層及び絶縁パターン層のヘイズ値が20%以下であるものである。
第4の発明は、導電性ナノファイバーシートの製造方法であって、基体シート上に、導通可能となるように導電性ナノファイバーを含む導電パターン層を全面に形成する工程と、形成された導電パターン層の一部にエネルギー線を照射して導電性ナノファイバーを焼き切り、導電性ナノファイバーを断線させて、導電パターン層の一部を、導電パターン層から絶縁した絶縁パターン層にする工程とを備えたものである。
第5の発明は、導電性ナノファイバーシートの製造方法であって、基体シート上に、導通可能となるように導電性ナノファイバーを含む導電パターン層を全面に形成する工程と、形成された導電パターン層上の一部にエッチングレジスト層を形成する工程と、エッチングレジスト層が形成された導電パターン層の全面をエッチングして、エッチングレジスト層が形成されていない部分の導電性ナノファイバーを断線させて、導電パターン層の一部を、導電パターン層から絶縁した絶縁パターン層にする工程とを備えたものである。
第6の発明は、タッチパネルであって、第1から第3のいずれかの導電性ナノファイバーシートを電極として用いたものである。
本発明で得られる導電性ナノファイバーシートは、導電パターン層と光線透過率の差が10%以下であり、ヘイズ値の差が5%以下の断線した導電性ナノファイバーを含む絶縁パターン層が形成されている。したがって、導電パターン層は必ずしも細線パターンで印刷するわけではないので印刷性の問題はない。また、導電パターン層と絶縁パターン層との外観の差がほとんどなく、パターン見えを軽減させた導電パターン膜が形成できるという効果がある。そして、前記導電パターン層および絶縁パターン層の光線透過率を60%以上とし、ヘイズ値を5%以下とすれば、透明の導電パターン膜を形成できるという効果もある。
本発明で得られる導電性ナノファイバーシートの製造方法では、パターン見えを軽減させた導電パターン膜が容易に形成できるという効果がある。
次に、発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
図1は、その(1)が、この発明の第1の実施の形態による導電性ナノファイバーシートを電極として用いたタッチパネルの概略構成を示した断面図であり、その(2)がその(1)で示した導電性ナノファイバーシートの断面図であり、その(3)がその(2)で示した導電パターン層及び絶縁パターン層の部分拡大図である。図2は、図1で示した導電性ナノファイバーシートの製造工程を示した図である。
図1の(2)及び(3)を参照して、この発明の第1の実施の形態による導電性ナノファイバーシート1は、基体シート10と、導電性ナノファイバー3を含み、前記基体シート10上に形成された導電パターン層6と、導電性ナノファイバー3を含み、基体シート10上の導電パターン層6が形成されていない部分に形成された絶縁パターン層5とを備えている。導電パターン層6及び絶縁パターン層5は一方向を軸方向とした帯状に形成され交互に配置されるように形成されている。導電パターン層6は、平面視ひし形形状を一方向に直線的連続させた形状等に形成されてもよい。導電パターン層6は、導電性ナノファイバー3を介して導通可能であり、絶縁パターン層5は、導電性ナノファイバー3が断線することにより導電パターン層6から絶縁している。絶縁パターン層5が導電パターン層6から絶縁しているとは、隣り合う導電パターン層6の距離間の抵抗値が所定値以上である場合である。この所定値は、タッチパネル8が適用される機器やタッチパネル8に接続される静電容量検出器の能力等に応じて設定される。例えば、25Vの電圧を加えたときの、長さ5cm、幅100μmの絶縁パターン層5における抵抗値が200MΩ以上等である。導電パターン層6の導電性ナノファイバー3は互いに接触して導電性を呈するが、絶縁パターン層の導電性ナノファイバーは導電パターン層6の導電性ナノファイバー3からは断線して、導電性を呈する部分がないように形成される。
図1の(1)を参照して、導電性ナノファイバーシート1を電極として用いたタッチパネル8は、互いの導電パターン層6の軸方向が直交するように、2枚の導電性ナノファイバーシート1を貼り合わせて構成されている。貼り合わされた導電性ナノファイバーシート1の上面を覆うように保護板52が接着され、下面に液晶表示装置が接着するようにして配置されている。
基体シート10の材質としては、アクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニルなどの樹脂フィルムが挙げられる。基体シート10の厚みは5〜800μmの範囲で適宜設定可能である。5μm未満では、強度が不足して剥離する際に破れたりするので取り扱いが困難となり、800μmを越える厚みでは、基体シート10に剛性がありすぎて加工が困難となる。なお、加飾シートを転写シートとする場合には、上記樹脂フィルム上にシリコン、メラミン、アクリルなどの樹脂を塗布して離型性のある基体シート10としておくのが好ましい。
導電パターン層6は、例えば、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどのバインダー樹脂33と、導電性ナノファイバー3とからなる。導電パターン層6は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の汎用の各種印刷手法、ダイコーターによる塗布により設けることができる。具体的には、導電パターン層6は、基体シート10上に導通するように導電性ナノファイバー3を面状に広がるように印刷・塗布し、その上から保護膜であるバインダー樹脂33を印刷・塗布することにより形成される。バインダー樹脂33の厚みは、導電パターン層6の上面に導電性ナノファイバー3が露出するように設定される。その露出した導電性ナノファイバー3の一部を端子として、各導電パターン層6の静電容量の変化を検出する。
導電パターン層6の厚みは数十nmから数百nmの範囲で適宜設定可能である。厚みが数十nmより薄いと層としての強度が不足し、厚みが数百nmより厚いと層としての柔軟性がなくなり加工が困難となる。なお、導電パターン層6と基体シート10との間に、剥離層やアンカー層等を設けてもよいし、導電パターン層6上にアンカー層や接着層等を設けてもよい。
導電性ナノファイバー3の例としては、カーボンナノファイバーのほか、金、銀、白金、銅、パラジウムなどの金属イオンを担持した前駆体表面にプローブの先端部から印加電圧又は電流を作用させ連続的にひき出して作製した金属ナノワイヤや、基板上に原料ガスを導入しCVD法により作製したグラファイトナノファイバー、ペプチド又はその誘導体が自己組織化的に形成したナノファイバーに金粒子を付加してなるペプチドナノファイバーなどが挙げられる。
絶縁パターン層5は、導電性ナノファイバー3が断線していることを除けば、バインダー樹脂33や導電性ナノファイバー3など導電パターン層6の材質と何ら変わりがなく、導電パターン層6とほぼ同等の光線透過率やヘイズ値を呈する。したがって、導電パターン層6と絶縁パターン層5とについて、光線透過率およびヘイズ値の差が前述したように非常に小さくなるため、パターン見えを軽減させた導電パターン膜が形成できる。通常、エッチングにより導電パターン層6を形成する場合、導電パターン層6以外の部分については、エッチングにより、導電性ナノファイバー3やバインダー樹脂33は全て除去されてしまうため、導電パターン層6とその他の部分について、光線透過率及びヘイズ値の差が大きくなってしまい、パターン見えが発生してしまう。導電性ナノファイバーシート1では、絶縁パターン層5にも、導電性ナノファイバー3が残留しているため、導電パターン層6と絶縁パターン層5とについて、光線透過率およびヘイズ値の差を小さくすることができる。
絶縁パターン層5の厚みは、できる限り導電パターン層6の厚みと同等にするのが好ましい。しかし、下記絶縁パターン層5の形成方法によって導電性ナノファイバーを断線させる際に、絶縁パターン層5のバインダー樹脂の一部を焼失させてしまったり、剥離させてしまったりして、厚みが若干薄くなりがちやすい。従って、絶縁パターン層5の形成の際には、導電パターン層6と絶縁パターン層5との光線透過率の差が10%以下でヘイズ値の差が5%以下になるよう、厳重に光線透過率およびヘイズ値を測定管理して形成するのが好ましい。
導電性ナノファイバー3を断線させる方法としては、図2の(1)及び(2)を参照して、エネルギー線として数十μmのスポット径のYAGレーザーなどを使い、導電性ナノファイバー3に適度のエネルギー(熱)を加えることによって導電性ナノファイバー3の一部を焼き切る方法や、図2の(3)及び(4)を参照して、酸やアルカリの水溶液などのエッチング液に浸すことにより、エッチングレジスト層11が形成されていない部分の導電性ナノファイバーの一部を腐食させる方法などがあげられる。
なお、前記導電パターン層6と絶縁パターン層5との光線透過率の差が10%以下でヘイズ値の差が5%以下になるようにしたうえで、光線透過率を60%以上、ヘイズ値を5%以下であるようにできれば、パターン見えを軽減させた透明な導電パターン膜が形成できる。そして、それを使って透明タッチパネル8が作製可能となる。
なお、基体シート10上には、例えば3〜10mm角くらいのサイズの位置検知マーク25を形成するのが好ましい。この位置検知マーク25を光学的方法により読み取れば、基体シート10上の所定の位置に絶縁パターン層5を形成できるからである。
以上の方法によって得られた導電性ナノファイバーシート1をAおよびB金型からなる成形金型に挿入し、B金型から成形樹脂を射出し、冷却後、該成形金型から加飾成形品を取り出せば、成形と同時に表面に導電パターン層6、絶縁パターン層5が形成された成形同時加飾成形品を得ることができる。
使用する成形樹脂としてはアクリル、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエチレンなどがある。
基体シート10として厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製F−55.以下PETフィルムとする)の片面に、塩化ビニル系樹脂で位置検知マーク25を形成した。
次いで、アクリル系樹脂バインダー33中に平均直径60nm以下、平均長さ30μm以上の銀ナノワイヤからなる導電性ナノファイバー3を分散したインキを用いてグラビア印刷法をし、熱風乾燥して膜を形成後、焼き付けを行って導電パターン層6を形成した。次いで位置検知マーク25を光学的方法により読み取って所望の位置にYAGレーザー照射機50の先端を配置し、レーザー照射光51により熱を加えて、導電性ナノファイバー3の一部を焼き切り、導電パターン層6の一部を絶縁パターン層5に変化させた(図1の(1)及び(2)参照)。
得られた導電性ナノファイバーシート1は、導電パターン層6の光線透過率が91%であり、ヘイズ値が2%、絶縁パターン層5の光線透過率が91.5%であり、ヘイズ値が1.8%と、光線透過率およびヘイズ値の差がほとんどなく、外観上導電パターン層6がどこにあるのか判別できないような所謂パターン見えを軽減させた導電性ナノファイバーシート1であった(図1の(2)参照)。
得られた導電性ナノファイバーシート1を用いてタッチパネル8を得た(図1の(1)参照)。
導電性ナノファイバーシート1の製造において、絶縁パターン層5の形成を導電パターン層6の一部にエッチングレジスト層11を形成後、全面をエッチングして、エッチングレジスト層11が形成されていない部分の導電性ナノファイバー4を断線させて形成した他は実施例1と同様にして導電性ナノファイバーシート1を得た(図2の(3)及び(4)参照)。
この方法によって得られた導電性ナノファイバーシート1も、導電パターン層6の光線透過率が91%であり、ヘイズ値が2%、絶縁パターン層5の光線透過率が91.5%であり、ヘイズ値が1.8%と、光線透過率およびヘイズ値の差がほとんどなく、外観上導電パターン層6がどこにあるのか判別できない、いわゆるパターン見えを軽減させた導電性ナノファイバーシート1であった。そして、引き続き、実施例1と同様にしてタッチパネル8を得た。
その(1)が、この発明の第1の実施の形態による導電性ナノファイバーシートを電極として用いたタッチパネルの概略構成を示した断面図であり、その(2)がその(1)で示した導電性ナノファイバーシートの断面図であり、その(3)がその(2)で示した導電パターン層及び絶縁パターン層5の部分拡大図である。 図1で示した導電性ナノファイバーシートの製造工程を示した図である。
符号の説明
1 導電性ナノファイバーシート
3 導電性ナノファイバー
5 絶縁パターン層
6 導電パターン層
8 タッチパネル
10 基体シート
11 エッチングレジスト層
25 位置検知マーク
33 樹脂バインダー
50 レーザー照射機の先端
51 レーザー照射光
52 保護板
53 液晶表示装置

Claims (6)

  1. 基体シートと、
    導電性ナノファイバーを含み、前記基体シート上に形成された導電パターン層と、
    前記導電性ナノファイバーを含み、前記基体シート上の前記導電パターン層が形成されていない部分に形成された絶縁パターン層とを備え、
    前記導電パターン層は、前記導電性ナノファイバーを介して導通可能であり、
    前記絶縁パターン層は、前記導電性ナノファイバーが断線することにより前記導電パターン層から絶縁している、導電性ナノファイバーシート。
  2. 前記導電パターン層と前記絶縁パターン層とについて、光線透過率の差が10%以下であり、ヘイズ値の差が5%以下である、請求項1記載の導電性ナノファイバーシート。
  3. 前記導電パターン層及び前記絶縁パターン層の光線透過率が60%以上であり、前記導電パターン層及び前記絶縁パターン層のヘイズ値が20%以下である、請求項1又は請求項2記載の導電性ナノファイバーシート。
  4. 基体シート上に、導通可能となるように導電性ナノファイバーを含む導電パターン層を全面に形成する工程と、
    前記形成された導電パターン層の一部にエネルギー線を照射して前記導電性ナノファイバーを焼き切り、前記導電性ナノファイバーを断線させて、前記導電パターン層の一部を、前記導電パターン層から絶縁した絶縁パターン層にする工程とを備えた、導電性ナノファイバーシートの製造方法。
  5. 基体シート上に、導通可能となるように導電性ナノファイバーを含む導電パターン層を全面に形成する工程と、
    前記形成された導電パターン層上の一部にエッチングレジスト層を形成する工程と、
    前記エッチングレジスト層が形成された前記導電パターン層の全面をエッチングして、前記エッチングレジスト層が形成されていない部分の導電性ナノファイバーを断線させて、前記導電パターン層の一部を、前記導電パターン層から絶縁した絶縁パターン層にする工程とを備えた、導電性ナノファイバーシートの製造方法。
  6. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の導電性ナノファイバーシートを電極として用いた、タッチパネル。
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