JP2010137415A - アクリル樹脂系積層フィルム、積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents

アクリル樹脂系積層フィルム、積層体及び積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリプロピレン樹脂等の基材に対して耐熱性に優れた密着性及び耐候耐久性に優れた密着性を有するアクリル樹脂系積層フィルム、基材の表面にアクリル樹脂系積層フィルムが積層された積層体並びにその積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】アクリル樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、無水マレイン酸で変性され、且つ塩素含有率が20〜30質量%である塩素化ポリプロピレン樹脂の層が積層されたアクリル樹脂系積層フィルム、アクリル樹脂系積層フィルムがアクリル樹脂系積層フィルムを構成する塩素化ポリプロピレン樹脂の層の面を介して基材の表面に積層された積層体及びアクリル樹脂系積層フィルムを射出成形金型内で真空成形又は圧空成形した後に射出成形金型内に基材となる樹脂を射出成形して積層一体化して得られる積層体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はアクリル樹脂系積層フィルム、アクリル樹脂系積層フィルムから得られる積層体及びその積層体の製造方法に関する。
低コストで成形品に意匠性を付与する方法として、インサート成形法又はインモールド成形法がある。インサート成形法は、印刷等により加飾を施したポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の加飾フィルム又はシートを予め真空成形等によって三次元の形状に成形し、不要な部分を除去し、射出成形金型内に挿入した後に基材となる樹脂を射出成形することにより、加飾フィルム又はシートと基材とを一体化させた成形品を得る方法である。一方、インモールド成形法は、加飾フィルム又はシートを射出成形金型内に設置し、金型内にて真空成形を施した後、同じ金型内において基材となる樹脂を射出成形することにより、加飾フィルム又はシートと基材とを一体化させた成形品を得る方法である。
インサート成形又はインモールド成形に用いることができる表面硬度、成形加工性、耐熱性、耐可塑剤白化性等の各種性能に優れたアクリル樹脂フィルムとして、ゴム含有重合体及び熱可塑性重合体を含有する種々のアクリル樹脂フィルムが提案されている(例えば、特許文献1〜4)。これらのアクリル樹脂フィルムは成形品に加飾性を付与するばかりでなく、クリア塗装の代替材料として使用することもできる。
インサート成形法又はインモールド成形法等により加飾フィルム又はシートと基材とを一体化した成形品を得る方法において、基材を構成するために一般的に使用する樹脂としてはアクリル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂又はこれらの混合物が挙げられる。
一方で、安価なポリオレフィン系樹脂からなる射出成形品の表面に加飾する場合は、予め印刷等の加飾の無い成形物を作成し、その成形物の加飾部分にプライマー処理等の下地処理を施した後、水圧転写法等により加飾して所望の成形品を得る場合がほとんどであった。しかしながら、インサート成形法又はインモールド成形法に比べ、水圧転写法では工程数が格段に多く、材料コストを削減しても製造コストが高いため、結果的にコストアップに繋がることもあった。
また、インサート成形法又はインモールド成形法を採用し、安価なポリオレフィン系樹脂を基材とした、耐熱性に優れた密着性、表面光沢性、耐傷付性、透明性、耐候性、耐反り性、耐剥がれ性等に優れるアクリル樹脂系加飾成形品が提案されている(例えば、特許文献5〜7)。しかしながら、これらのアクリル樹脂系加飾成形品は、加飾フィルムを真空成形する際の熱や基材用樹脂の射出成形時の熱及びアクリル樹脂系加飾成形品への太陽光等の曝露による熱、紫外線照射、雨等の環境因子の影響による、基材と加飾フィルムとの密着力の耐久性が充分とはいえない状況にある。
特開平8−323934号公報 特開平11−147237号公報 特開2002−80678号公報 特開2002−80679号公報 特開2000−33665号公報 特開2000−33677号公報 特開平11−245261号公報
本発明の目的とするところは、ポリプロピレン樹脂等の基材に対して耐熱性に優れた密着性及び耐候耐久性に優れた密着性を有するアクリル樹脂系積層フィルム、基材の表面にアクリル樹脂系積層フィルムが積層された積層体並びにその積層体の製造方法を提供することである。
本発明の要旨とするところは、アクリル樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、無水マレイン酸で変性され、且つ塩素含有率が20〜30質量%である塩素化ポリプロピレン樹脂の層が積層されたアクリル樹脂系積層フィルム(以下、「本積層フィルム」という)を第1の発明とする。
また、本発明の要旨とするところは、本積層フィルムが、本積層フィルムを構成する塩素化ポリプロピレン樹脂の層の面を介して基材の表面に積層された積層体(以下、「本積層体」という)を第2の発明とする。
更に、本発明の要旨とするところは、本積層フィルムを射出成形金型内で真空成形又は圧空成形した後に射出成形金型内に基材となる樹脂を射出成形して積層一体化する本積層体の製造方法を第3の発明とする。
本積層体は、基材として密着しにくいポリオレフィン系樹脂を使用しても耐熱性及び耐候耐久性に優れた密着性を有することから、自動車内装用部材、自動車外装用部材等の車両用部材、建築用内装材、建築用外装材等の建材、各種表面化粧材、光学部材等の多くの用途に使用することができる。
本発明に使用されるアクリル樹脂フィルムとしては、公知のアクリル樹脂フィルムが挙げられる。アクリル樹脂フィルムの具体例としては、表面硬度、安価な加飾性、成形加工性、耐熱性、耐熱可塑剤白化性、耐芳香剤性、耐整髪料性及び耐熱老化性に優れたインサート成形品又はインモールド成形品を目的とする、特開平8−323934号公報、特開平11−147237号公報、特開2002−80678号公報、特開2002−80679号公報及び特開2005−97351号公報に記載されているものが挙げられる。また、インサート成形又はインモールド成形に使用することができる、耐白化性、表面硬度、耐熱性、耐薬品性、透明性又は艶消し性等を目的とする特開2005−163003号公報及び特開2005−139416号公報に記載のアクリル樹脂フィルムが挙げられる。更に、成形時のトリミング加工性等を目的とする特開2008−106252号公報に記載のアクリル樹脂フィルムが挙げられる。
アクリル樹脂フィルムの厚さとしては10〜500μmが好ましい。アクリル樹脂フィルムの厚さを500μm以下とすることにより、インサート成形及びインモールド成形に適した剛性が得られ、安定にフィルムを製造することができる傾向にある。また、アクリル樹脂フィルムの厚さを10μm以上とすることにより、本発明で使用される基材の保護性とともに、本積層体に深み感をより十分に付与することができる傾向にある。アクリル樹脂フィルムの厚さは30μm以上がより好ましく、50μm以上が特に好ましい。また、アクリル樹脂フィルムの厚さは300μm以下がより好ましく、200μm以下が特に好ましい。
本発明においては、アクリル樹脂フィルムの鉛筆硬度としては、本積層フィルムの表面硬度の点で、2B以上が好ましく、HB以上がより好ましく、F以上が特に好ましい。
本発明においてはアクリル樹脂フィルムとしては、加熱時にできるだけ収縮しないものが好ましい。
アクリル樹脂フィルムの収縮率としては、例えば、インサート成形若しくはインモールド成形を施す際の本積層フィルムの皺発生による成形品外観の不良を抑制する点又は本積層体を製造する際若しくは本積層体への太陽光等の暴露によるアクリル樹脂フィルムと塩素化ポリプロピレン樹脂との層間剥離による密着性不良を抑制する点で、130℃雰囲気下60分間加熱処理によるMD方向(製膜時の流れ方向)の加熱収縮率が50%以下であり、TD方向(MD方向と垂直に交わる向き)の加熱収縮率が−10〜10%であることが好ましい。アクリル樹脂フィルムのMD方向の加熱収縮率は30%以下がより好ましく、15%以下が特に好ましい。また、アクリル樹脂フィルムのMD方向の加熱収縮率は0%以上が好ましい。アクリル樹脂フィルムのTD方向の加熱収縮率は0〜5%がより好ましい。
本発明においては、アクリル樹脂フィルムは、必要に応じて、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の配合剤を含有することができる。
上記配合剤の中で、アクリル樹脂フィルムに耐候性を付与するために、アクリル樹脂フィルム中に紫外線吸収剤を配合することが好ましい。
紫外線吸収剤としては公知のものを用いることができ、共重合タイプのものを使用してもよい。
紫外線吸収剤の分子量は300以上が好ましく、400以上がより好ましい。紫外線吸収剤の分子量が300以上で、射出成形金型内で真空成形又は圧空成形を施す際の紫外線吸収剤の揮発による金型汚れ等を防止することができる傾向にある。また、紫外線吸収剤の分子量が高いほど、フィルムに加工した後のブリードアウトが長期的に起こりにくく、分子量が低いものよりも紫外線吸収性能が長期間に渡り持続される傾向にある。更に、紫外線吸収剤の分子量が300以上で、アクリル樹脂フィルムがTダイから押し出された後に冷却ロールで冷やされるまでの間において紫外線吸収剤が揮発する量が少ない傾向にある。また、紫外線吸収剤の分子量が300以上で、揮発した紫外線吸収剤がTダイ上部にあるTダイを吊すチェーン又は排気用のフードの上で再結晶して経時的に成長した後に製造されたフィルム上に落ちてフィルム外観の欠陥になるという問題も少なくなる傾向にある。
紫外線吸収剤としては、分子量400以上のベンゾトリアゾール系又は分子量400以上のトリアジン系の紫外線吸収剤が特に好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、チバスペシャリティケミカルズ(株)製チヌビン234(商品名)及び(株)ADEKA製アデカスタブLA−31(商品名)が挙げられる。また、トリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、チバスペシャリティケミカルズ(株)製チヌビン1577(商品名)が挙げられる。
紫外線吸収剤の配合量としては、耐候性の点で、アクリル樹脂フィルムの原料樹脂100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上が特に好ましい。また、紫外線吸収剤の配合量としては、製膜時のロール汚れ、アクリル樹脂フィルムの耐薬品性及び透明性の点で、アクリル樹脂フィルムの原料樹脂100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が特に好ましい。
本発明において、光安定剤としては公知のものを用いることができ、ヒンダードアミン系光安定剤が耐久性の点で好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤の配合量としては、耐光性の点で、アクリル樹脂フィルムの原料樹脂100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.2質量部以上が特に好ましい。また、ヒンダードアミン系光安定剤の配合量としては、製膜時のロール汚れの点で、アクリル樹脂フィルムの原料樹脂100質量部に対して5質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましく、1質量部以下が特に好ましい。
アクリル樹脂フィルム中に配合剤を配合する方法としては、アクリル樹脂フィルムを製造するための押出機にアクリル樹脂フィルムの原料樹脂と共に供給する方法及びアクリル樹脂フィルムの原料樹脂に配合剤を配合したものを各種混練機にて混練混合する方法が挙げられる。後者の方法に使用する混練機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー及びロール混練機が挙げられる。
アクリル樹脂フィルムの製造方法としては、溶融流延法、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出法、カレンダー法等の公知の方法が挙げられる。これらのうち、経済性の点でTダイ法が好ましい。
Tダイ法によりアクリル樹脂フィルムを製造する場合、金属ロール、非金属ロール及び金属ベルトから選ばれる複数のロール又はベルトに狭持して製膜する方法を用いることが好ましい。この方法により、得られる本積層フィルムの表面平滑性を向上させ、アクリル樹脂フィルムに塩素化ポリオレフィン樹脂を積層する際の欠陥又はアクリル樹脂フィルムに印刷処理した際の印刷抜けを抑制することができる傾向にある。
上記の金属ロールとしては、金属製の鏡面タッチロールや、日本特許第2,808,251号公報又は国際公開第97/28,950号パンフレットに記載の金属スリーブ(金属製薄膜パイプ)と成型用ロールとからなるスリーブタッチ方式で使用されるロール等が挙げられる。
前記の非金属ロールとしてはシリコンゴム製等のタッチロール等が挙げられる。
前記の金属ベルトとしては金属製のエンドレスベルト等が挙げられる。
これらの金属ロール、非金属ロール及び金属ベルトは複数を組み合わせて使用することができる。
金属ロール、非金属ロール及び金属ベルトから選ばれる複数のロール又はベルトに狭持して製膜する方法においては、溶融押出後のアクリル樹脂フィルムの原料樹脂を、実質的にバンク(樹脂溜まり)が無い状態で狭持し、実質的に圧延することなく面転写させて製膜することが好ましい。バンクを形成することなく製膜した場合は、冷却過程にあるアクリル樹脂フィルムの原料樹脂が圧延されることなく面転写されるため、得られたアクリル樹脂フィルムは加熱収縮率を低減することができる傾向にある。
また、Tダイ法等で溶融押出しをする場合は、200メッシュ以上のスクリーンメッシュで溶融状態にあるアクリル樹脂フィルムの原料樹脂を濾過しながら押出しすることが好ましい。
本発明で使用される塩素化ポリプロピレン樹脂は無水マレイン酸で変性されており、且つ塩素化ポリプロピレン樹脂中の塩素含有率は20〜30質量%以下である。
塩素化ポリプロピレン樹脂を無水マレイン酸により変性することで、インサート成形又はインモールド成形により得られる本積層体の耐候曝露試験において基材とアクリル樹脂フィルムとの密着耐久性に優れた結果が得られ、好ましい。
また、塩素化ポリプロピレン樹脂における無水マレイン酸の変性量としては5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。無水マレイン酸の変性量を5質量%以下とすることにより、アクリル樹脂フィルムに塩素化ポリプロピレン樹脂の層を積層する際に、後述する塩素化ポリプロピレン樹脂の溶剤溶液の保存安定性が良好となり、塩素化ポリプロピレン樹脂の溶剤溶液の塗工作業性に優れるため好ましい。
塩素化ポリプロピレン樹脂の塩素含有率が20質量%以上で密着性が良好となる。また、塩素化ポリプロピレン樹脂の塩素含有率が30質量%以下、好ましくは25質量%以下で、本積層体を得るための成形時の熱や太陽光等の暴露による熱、紫外線照射、雨等の環境因子による影響を受けても平滑性に優れた良好な外観を有する積層体が得られる。
本発明においては、塩素化ポリプロピレン樹脂の融点は80℃以上が好ましい。塩素化ポリプロピレン樹脂の融点を80℃以上とすることにより、本積層フィルムをロール状に巻き取って保管する際のフィルム間でのブロッキング不良が抑制される傾向にある。
また、本発明においては、塩素化ポリプロピレン樹脂の質量平均分子量(以下、「Mw」という)は50,000以下が好ましい。塩素化ポリプロピレン樹脂のMwを50,000以下とすることにより、アクリル樹脂フィルムの上に塩素化ポリプロピレン樹脂の層を積層する際に、塩素化ポリプロピレン樹脂の溶剤溶液の粘度を低く設計することが可能となり、塗工作業性に優れる傾向にある。
上記の無水マレイン酸で変性された塩素化ポリプロピレン樹脂としては、例えば、ハードレンCY−9122P、ハードレンCY−9124P、ハードレンHM−21P、ハードレンM−28P、ハードレンF−2P及びハードレンF−6P(いずれも東洋化成工業(株)製、商品名)が挙げられる。
アクリル樹脂フィルムへの塩素化ポリプロピレン樹脂の層の積層方法としては、例えば、印刷法及びコート法が挙げられる。これらの方法で塩素化ポリプロピレン樹脂の層を積層する場合、具体例として以下の方法により製造することができる。
まず、塩素化ポリプロピレン樹脂を溶剤に溶解又は分散して塗料を調製する。次いで、得られた塗料をアクリル樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に塗布し、更に加熱乾燥して溶剤を除去することによって、本積層フィルムが得られる。
上記方法は、塩素化ポリプロピレン樹脂とアクリル樹脂フィルムとの初期密着性を良好とする上で好ましい。
前記の印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法及びオフセット印刷法が挙げられる。
また、前記のコート法としては、例えば、フローコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、キスリバースコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ロッドコート法、ロールドクターコート法、エアナイフコート法、コンマロールコート法、リバースロールコート法、トランスファーロールコート法、キスロールコート法、カーテンコート法及びディッピングコート法が挙げられる。
本積層フィルムにおける塩素化ポリプロピレン樹脂の層の厚みは目的に応じて適宜選定できるが、通常1〜100μm程度である。
前記で使用する溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族系溶剤;ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶剤;フェノール、クレゾール等のフェノール系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、メトキシトルエン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶剤;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸系溶剤;無水酢酸等の酸無水物系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、ギ酸ブチル等のエステル系溶剤;エチルアミン、トルイジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の窒素含有溶剤;チオフェン、ジメチルスホキシド等の硫黄含有溶剤;ジアセトンアルコール、2−メトキシエタノール(メチルセロソルブ)、2−エトキシエタノール(エチルセロソルブ)、2−ブトキシエタノール(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコール、2−アミノエタノール、アセトシアノヒドリン、ジエタノールアミン、モルホリン、1−アセトキシ−2−エトキシエタン、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン等の2種以上の官能基を有する溶剤及び水が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明においては、塩素化ポリプロピレン樹脂には、塗料としての印刷適性又はコート適性に応じて、皮張り防止剤、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、消泡剤、レベリング剤等の溶液性状を改善するための公知の添加剤及び体質顔料、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤等の塗膜性能を改善するための公知の添加剤を添加することができる。
本積層フィルムには本積層体に意匠性を付与するために絵柄層を形成することができる。
本積層フィルムに絵柄層を形成する場合、絵柄層の保護、本積層体への高級感の付与、基材との密着性等の点で、本積層フィルムの塩素化ポリプロピレン樹脂の面上に絵柄層を形成することが好ましい。
絵柄層の形成方法としては、例えば、印刷法、蒸着法及び印刷法と蒸着法を組み合わせた方法が挙げられる。
印刷法による絵柄としては、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字及び全面ベタ柄が挙げられる。
絵柄を形成させるための塗料としては、例えば、バインダー、顔料又は染料及び溶剤を含有するインキが挙げられる。
上記のバインダーとしては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキッド樹脂及び塩素化ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
前記の顔料としては、例えば、黄色顔料、赤色顔料、青色顔料、黒色顔料、白色顔料等が挙げられる。
黄色顔料としては、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン等の有機顔料及び黄鉛等の無機顔料が挙げられる。
赤色顔料としては、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドン等の有機顔料及び弁柄等の無機顔料が挙げられる。
青色顔料としては、フタロシアニンブルー等の有機顔料及びコバルトブルー等の無機顔料が挙げられる。
黒色顔料としては、アニリンブラック等の有機顔料が挙げられる。
白色顔料としては、二酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
また、前記の染料としては公知の染料を使用することができる。
溶剤としては、アクリル樹脂フィルムの上に塩素化ポリプロピレン樹脂の層を積層する際に使用される溶剤と同様のものが挙げられる。
絵柄を印刷する方法としては、オフセット印刷法、グラビア輪転印刷法、スクリーン印刷法、ロールコート法、スプレーコート法及びフレキソグラフ印刷法が挙げられる。
印刷法による絵柄層の厚さは必要に応じて適宜決めればよく、通常、0.5〜30μm程度である。
印刷法による絵柄層の印刷抜けの個数としては、意匠性及び加飾性の点で、10個/m以下が好ましく、5個/m以下がより好ましく、1個/m以下が特に好ましい。印刷抜けの個数を10個/m以下とすることにより、本積層体の外観がより良好となる傾向にある。
蒸着法による絵柄層は、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、インジウム、スズ、銀、チタニウム、鉛、亜鉛等の少なくとも一つの金属若しくはこれらの合金又はそれらの金属化合物で形成される。
蒸着法による絵柄層の厚さは必要に応じて適宜決めることができる。
蒸着法による絵柄層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法及びメッキ法が挙げられる。
本発明においては、本積層フィルムに基材を積層して後述する積層体とすることができる。
基材としては、例えば、アクリル樹脂;ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体);AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体);塩化ビニル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体又はその鹸化物;エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のポリオレフィン系共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂;6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリスチレン樹脂;セルロースアセテート、ニトロセルロース等の繊維素誘導体;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂;及びこれらから選ばれる2種以上の共重合体、混合物、複合体又は積層体が挙げられる。
これらの中で、基材としては、安価、汎用的、適用用途の多さ及び本積層フィルムの適用効果の点でポリプロピレン樹脂が好ましい。
ポリプロピレン樹脂の具体例としては、ノバテックOX−1042、ノバテックNX−1045及びノバテックNX−1060(いずれも日本ポリプロ(株)製、商品名)が挙げられる。
本発明においては、基材中には、必要に応じて、例えば、安定剤、酸化防止剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤等の配合剤を配合することができる。
また、本発明においては、インモールド成形、インサート成形等によって得られる本積層体の反り又はフィルム若しくはシートの剥がれ等の不具合を解消できる点で、射出成形後の基材の収縮率を本積層フィルムの収縮率に近似させることが好ましい。
基材の収縮率を調整する方法としては、例えば、基材中に充填材やエラストマー成分を配合する方法が挙げられる。
上記充填材としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、マイカ、ガラス繊維及びカーボン繊維が挙げられる。
本積層体は、本積層フィルムが、本積層フィルムを構成する塩素化ポリプロピレン樹脂の層の面を介して基材の表面に積層されたものである。
本積層体の用途としては、例えば、インストルメントパネル、コンソールボックス、メーターカバー、ドアロックペゼル、ステアリングホイール、パワーウィンドウスイッチベース、センタークラスター、ダッシュボード等の自動車内装用部材;ウェザーストリップ、バンパー、バンパーガード、サイドマッドガード、ボディーパネル、スポイラー、フロントグリル、ストラットマウント、ホイールキャップ、センターピラー、ドアミラー、センターオーナメント、サイドモール、ドアモール、ウインドモール、窓、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、風防部品等の自動車外装用部材;AV機器等の各種フロントパネル;ボタン、エンブレム等の表面化粧材;携帯電話等のハウジング、表示窓、ボタン等の各種部品;家具用外装材;壁面、天井、床等の建築用内装材;サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の建築用外装材;窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居等の家具類の表面化粧材;各種ディスプレイ、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラス等の光学部材;電車、航空機、船舶等の自動車以外の各種乗り物の内外装用部材;及び瓶、化粧品容器、小物入れ等の各種包装容器、包装材料、景品、小物等の雑貨等のその他各種用途に好適に使用することができる。
本積層体の製造方法としては、例えば、二次元形状の積層体の場合には、熱ラミネーション法が挙げられる。
また、三次元形状の積層体の場合には、例えば、インサート成形法及びインモールド成形法が挙げられる。これらの中で、インモールド成形法が、フィルムの成形と射出成形を一工程で行えるため、作業性、経済性の点で好ましい。
インモールド成形時の加熱温度はフィルムの熱的性質又は積層体の形状によって適宜設定すればよいが、本積層フィルムが軟化する温度以上が好ましい。具体的には、インモールド成形時の加熱温度は通常70℃以上である。
また、インモールド成形時の加熱温度は、表面外観や離型性の点で、通常は170℃以下である。
更に、エネルギー効率の点で、真空成形時の予備加熱温度は135℃以下が好ましい。また、予備加熱温度が低くても本積層フィルムを成形できる場合は、予備加熱温度を低くする代わりに予備加熱時間を短くすることもできる。この場合、真空成形のハイサイクル化が可能となり、工業的利用価値が高い。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。実施例中の「部」及び「%」は夫々「質量部」及び「質量%」を表す。但し、加熱収縮率、射出速度及び射出圧力についての「%」はこの限りではない。また、実施例中の略号は表1の通りである。
Figure 2010137415
以下において、得られるゴム含有重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」という)及び質量平均粒子径、使用する熱可塑性重合体の還元粘度、アクリル樹脂フィルムの加熱収縮率及び鉛筆硬度、得られるアクリル樹脂系積層フィルムにおける塩素化ポリプロピレン樹脂の層の厚さ並びに得られる積層体の初期密着性及び耐候暴露試験後密着性を以下の方法により評価した。
(1)ゴム含有重合体のTg
ゴム含有重合体のTgをポリマーハンドブック〔Polymer HandBook Third Edition(J.Brandrup, Wiley−Interscience,1989)〕に記載されている値を用いてFOXの式から算出した。
(2)ゴム含有重合体の質量平均粒子径
ゴム含有重合体のラテックスを使用し、大塚電子(株)製の光散乱光度計DLS−700(商品名)により動的光散乱法でゴム含有重合体の質量平均粒子径を測定した。
(3)熱可塑性重合体の還元粘度
熱可塑性重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で還元粘度を測定した。
(4)アクリル樹脂フィルムの加熱収縮率
A4サイズに切り出したアクリル樹脂フィルムの試験片の表面に、MD方向及びTD方向に、5cm間隔に3本の平行な直線を引いて、その間隔をノギスで正確に計測した。平行な直線の間隔の計測は2箇所で行い、計測した箇所に目印を付けた。次いで、その試験片を130℃雰囲気下に60分放置した後に室温まで冷却した。この試験片の、先に計測した箇所と同じ箇所の間隔をもう一度計測した。2箇所の平行な直線の間隔の平均値を用い、下式により加熱収縮率を算出した。
加熱収縮率(%)=((加熱前の間隔−加熱後の間隔)/加熱前の間隔)×100
尚、MD方向及びTD方向が不明であるアクリル樹脂フィルムにおいて、MD方向及びTD方向を特定するには、例えば次のように行う。
フィルム上に特定半径の円を描き、前記の条件で加熱処理し、得られたフィルム上の円(異方性がある場合は楕円)の形状から収縮率が最大となる方向を決定し、その方向をMD方向とし、その方向と垂直な方向をTD方向とする。
(5)アクリル樹脂フィルムの鉛筆硬度
JIS K5600に従ってアクリル樹脂フィルムの鉛筆硬度を測定した。
(6)アクリル樹脂系積層フィルムにおける塩素化ポリプロピレン樹脂の層の厚さ
アクリル樹脂系積層フィルムを断面方向に70nmの厚みに切断したサンプルを、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、J100S(商品名))にて観察し、5箇所で塩素化ポリプロピレン樹脂の層の厚さを測定し、それらの平均値を塩素化ポリプロピレン樹脂の層の厚さとした。
(7)積層体の初期密着性
JIS K5600に従い、積層体の表面に、深さが基材に達するまで切込みを入れて、密着性を測定し、クロスカット部分の剥離状態を観察して以下の基準で評価した。
○:剥離なし(クロスカット部分の残存数;25/25)
△:一部剥離(クロスカット部分の残存数;1〜24/25)
×:全て剥離(クロスカット部分の残存数;0/25)
(8)積層体の耐候曝露試験後密着性
超促進曝露試験(アイスーパーUVテスター、岩崎電気(株)製、商品名「アイスーパーUVテスターSUV−F1」、照度:100mw/□、暴露温度:63℃、暴露時間:200時間)後の積層体を用い、JIS K5600に従い、積層体の表面に、深さが基材に達するまで切込みを入れて、密着性を測定し、クロスカット部分の剥離状態を観察して以下の基準で評価した。
○:剥離なし(クロスカット部分の残存数;25/25)
△:一部剥離(クロスカット部分の残存数;1〜24/25)
×:全て剥離(クロスカット部分の残存数;0/25)
[実施例1]
(ゴム含有重合体の製造)
攪拌機を備えた容器に脱イオン水10.8部を仕込んだ後、MMA0.3部、n−BA4.5部、1,3−BD0.2部、AMA0.05部及びCHP0.025部を混合した単量体混合物(1)を投入し、室温下で攪拌混合した。次いで、攪拌しながら、乳化剤(東邦化学工業(株)製、商品名「フォスファノールRS610NA」)1.3部を上記容器内に投入し、攪拌を20分間継続して乳化液を調製した。
冷却器付き重合容器内に脱イオン水139.2部を投入し、75℃に昇温した。この後、脱イオン水5部にソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.20部、硫酸第一鉄0.0001部及びEDTA0.0003部を加えて調製した混合物を重合容器内に一度に投入した。次いで、窒素下で攪拌しながら、調製した前記の乳化液を8分間にわたって重合容器内に滴下した後、15分間反応を継続させ、単量体混合物(1)の重合を完結し、1段目重合体のラテックスを得た。1段目重合体のTgは−48℃であった。
続いて、MMA9.6部、n−BA14.4部、1,3−BD1.0部、AMA0.25部及びCHP0.016部を混合した単量体混合物(2)を90分間にわたって1段目重合体のラテックスが入った重合容器内に滴下した後、60分間反応を継続させ、単量体混合物(2)の重合を完結させ、1段目重合体及び2段目重合体のラテックスを得た。単量体混合物(2)の重合で得られた重合体のTgは−10℃であった。
1段目重合体及び2段目重合体のラテックスが入った重合容器内に、MMA6部、MA4部、AMA0.075部及びCHP0.0125部の単量体混合物(3)を45分間にわたって滴下した後、60分間反応を継続させ、重合を完結し、1段目重合体〜3段目重合体のラテックスを得た。単量体混合物(3)の重合で得られた重合体のTgは60℃であった。
続いて、MMA57部、MA3部、n−OM0.264部及びt−BH0.075部の単量体混合物(4)を140分間にわたって1段目重合体〜3段目重合体のラテックスが入った重合容器内に滴下した後、60分間反応を継続させ、単量体混合物(4)の重合を完結させ、ゴム含有重合体のラテックスを得た。単量体混合物(4)の重合で得られた重合体のTgは99℃であった。また、ゴム含有重合体の質量平均粒子径は0.11μmであった。
得られたゴム含有重合体のラテックスを、濾材としてSUS製のメッシュ(平均目開き62μm)を取り付けた振動型濾過装置を用いて濾過した後、酢酸カルシウム3.5部を含む水溶液中で塩析させ、水洗して回収した後、乾燥し、粉体状のゴム含有重合体を得た。
また、得られた粉体状のゴム含有重合体214.3gを目開き25μmのナイロンメッシュで濾過したアセトン1,500mL中に投入し、3時間攪拌して、ゴム含有重合体のアセトン分散液を調製した。次いで、この分散液を目開き32μmのナイロンメッシュで濾過した後、ナイロンメッシュごとクロロホルム中で15分間超音波洗浄してメッシュ上の捕捉物をクロロホルム洗浄した。この後、目開き25μmのナイロンメッシュで濾過したアセトン150mLが入った容器に上記の超音波洗浄後の捕捉物をナイロンメッシュごと投入し、この容器の内容物を15分間超音波処理した後、ナイロンメッシュを除去して、メッシュ上の捕捉物のアセトン分散液150mLを調製した。次いで、この分散液70mLについて、リオン(株)製の自動式液中微粒子計測器(型式:KL−01)にて25℃下で直径55μm以上の粒子の数を求めたところ、10個であった。
(アクリル樹脂フィルムの製造)
上記で得られたゴム含有重合体75部に、熱可塑性重合体としてMMA/MA共重合体(MMA/MA=99/1(質量比)、還元粘度ηsp/c=0.06L/g)25部並びに配合剤としてチバスペシャリティケミカルズ(株)製チヌビン234(商品名)1.4部、(株)ADEKA製アデカスタブAO−50(商品名)0.1部及び(株)ADEKA製アデカスタブLA−67(商品名)0.3部を添加した後、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。得られた混合物を230℃に加熱した脱気式押出機(池貝鉄工(株)製、PCM−30(商品名))に供給し、混練して、300メッシュのスクリーンメッシュで異物を取り除きながら押し出し、ペレットを得た。
得られたペレットを80℃で一昼夜乾燥し、このペレットを、300mm巾のTダイを取り付けた直径40mmのノンベントスクリュー型押出機(L/D=26)を用いて、シリンダー温度180〜240℃、Tダイ温度240℃及びTダイのスリット幅0.3mmの条件で、500メッシュのスクリーンメッシュで異物を取り除きながら押し出した。得られた溶融状態のアクリル樹脂フィルムを2本の金属製冷却ロール間に通し、バンク(樹脂溜まり)のない状態で樹脂を挟持し、圧延せずに面転写した後、これを巻き取り機で紙巻に巻き取ることによって厚さ125μmのアクリル樹脂フィルムを得た。
得られたアクリル樹脂フィルムの加熱収縮率はMD方向で7%、TD方向で2%であった。また、アクリル樹脂フィルムの鉛筆硬度はHであった。
(アクリル樹脂系積層フィルム(イ)の製造)
塩素含有率21%、融点87℃、Mw45,000及び無水マレイン酸の変性量が1.6%の塩素化ポリプロピレン樹脂(東洋化成工業(株)製、商品名「ハードレンHM−21P」)20%及びトルエン80%を含有する、粘度が20cpsの塗料を調製した。
次いで、前記で得たアクリル樹脂フィルムの片面に上記の塗料を塗布した後、85℃の雰囲気下で溶剤を除去して、アクリル樹脂系積層フィルム(イ)を得た。塩素化ポリプロピレン樹脂の層の厚さは5μmであった。
アクリル樹脂系積層フィルム(イ)を紙管にロール状に巻き取り保管した際に、フィルム間でのブロッキング現象は確認されなかった。
(積層体(A)の製造)
真空引き機能を有し、形状が縦150mm×横120mm×深さ10mm及び樹脂注入厚み2mmの箱型であり、ゲート位置が金型中央に1箇所、中央ゲートの上下40mmの位置に各1箇所の計3箇所であり、ゲート形状が直径1mmのピンポイントゲートである金型を用い、(株)日本製鋼所製射出成形機J85ELII型(商品名)及び日本写真印刷(株)製ホットパックシステム(商品名)を組み合わせたインモールド成形装置により、下記に示すインモールド成形を行った。
アクリル樹脂系積層フィルムの真空成形は、ヒーター設定温度約330℃、加熱時間12秒及びヒーターとフィルムとの距離15mmの条件で行い、アクリル樹脂フィルム側が金型と接するようにアクリル樹脂系積層フィルムを配置して真空成形を実施した。
また、引き続き同一金型内で実施する射出成形は、シリンダー温度220℃、射出速度27%、射出圧力17%及び金型温度70℃の条件で、塩素化ポリプロピレン樹脂の層の側から基材となるポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックNX−1045」)を射出し、積層体(A)を得た。得られた積層体(A)の初期密着性及び耐候曝露試験後密着性の評価結果を表2に示す。
[実施例2]
塩素含有率20%、融点72℃、Mw75,000及び無水マレイン酸の変性量が(1.6質量%)の塩素化ポリプロピレン樹脂(東洋化成工業(株)製、商品名「ハードレンF−2P」)を使用して粘度が60cpsの塗料を調製した。それ以外は実施例1と同様にしてアクリル樹脂系積層フィルム(ロ)及び積層体(B)を得た。得られた積層体(B)の初期密着性及び耐候曝露試験後密着性の評価結果を表2に示す。
尚、アクリル樹脂系積層フィルム(ロ)を紙管にロール状に巻き取り保管した際に、フィルム間で若干ブロッキング現象が確認された。
[比較例1]
アクリル樹脂系積層フィルム(イ)を使用せず、実施例1と同様のインモールド成形条件にて実施例1と同様のアクリル樹脂フィルムに実施例1と同様の基材が直接積層された積層体(C’)を得た。得られた積層体の初期密着性及び耐候曝露試験後密着性の評価結果を表2に示す。
[比較例2]
塩素含有率27%、融点80℃、Mw42,000及び無水マレイン酸で変性されていない塩素化ポリプロピレン樹脂(東洋化成工業(株)製、商品名「ハードレン14−WL−P」)を使用して粘度が20cpsの塗料を調製した。それ以外は実施例1と同様にしてアクリル樹脂系積層フィルム(ハ)及び積層体(D’)を得た。得られた積層体の初期密着性及び耐候曝露試験後密着性の評価結果を表2に示す。
Figure 2010137415

Claims (4)

  1. アクリル樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、無水マレイン酸で変性され、且つ塩素含有率が20〜30質量%である塩素化ポリプロピレン樹脂の層が積層されたアクリル樹脂系積層フィルム。
  2. 請求項1に記載のアクリル樹脂系積層フィルムが、アクリル樹脂系積層フィルムを構成する塩素化ポリプロピレン樹脂の層の面を介して基材の表面に積層された積層体。
  3. 基材として使用する樹脂がポリオレフィン樹脂である請求項2に記載の積層体。
  4. 請求項1に記載のアクリル樹脂系積層フィルムを射出成形金型内で真空成形又は圧空成形した後に射出成形金型内に基材となる樹脂を射出成形して積層一体化する請求項2又は3に記載の積層体の製造方法。
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