JP2010132277A - 自動車用ホイールディスク - Google Patents

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Abstract

【課題】飾り穴周縁湾曲部からホイール軸方向外側に突出した突出量を少なくしてホイールの仕様の選択幅を広くすると共に、ホイールディスクの耐久性を確保し、かつスポーク部とハブ取付けボルト穴の数と配置とが互いに制約を受けないようにすることができハブナット締め付け作業が容易になるとともにホイールディスクの成形が容易である自動車用ホイールディスクの提供。
【解決手段】スポーク部13が、スポーク底壁13aと、スポーク底壁13aからホイール軸方向に立ち上がるスポーク側壁13b1とスポーク側壁13b1のホイール軸方向端部からホイール軸方向からホイール周方向に湾曲しホイール周方向に延びるスポーク補強板13b2とを含むスポーク側部13bと、を備えており、飾り穴15のホイール周方向両側に位置する一対のスポーク側部13bのホイール半径方向内側端部どうしが、ホイール周方向に平坦な連結壁18でつながれている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、自動車用ホイールディスクに関し、とくに板材から製造される自動車用ホイールディスクに関する。
特許文献1は、飾り穴のホイール半径方向内側でホイール軸方向外側に突出する突起部を設けた自動車用ホイールディスクを開示している。特許文献1には、突起部としてFIG.4に示す突起部が開示されている。
FIG.4に示す突起部とは、具体的には、ホイール半径方向に、飾り穴のホイール半径方向内側でホイール軸方向内側に湾曲する飾り穴周縁湾曲部からハブ取付けボルト穴が設けられるホイール半径方向位置よりホイール半径方向内側まで延びており、ホイール軸方向と直交する断面視で一対の側壁と該一対の側壁の端部同士を結ぶ単一の曲率半径の凸円弧状の頂壁とを備えた突起部である。
しかし、従来の自動車用ホイールディスクにはつぎの問題点がある。
突起部がハブ取付けボルト穴よりホイール半径方向内側まで延びているため、ハブ取付けボルト穴と突起部とが干渉しないように、ハブ取付けボルト穴を隣り合う突起部の間に位置させる必要があり、スポーク部とハブ取付けボルト穴とにその数および配置に制約を受ける。
また、ハブ取付けボルト穴のホイール周方向両側に突起部があるため、ハブナット締め具をハブナットにアクセスさせるスペースが制限され(ハブナット締め具が突起部に干渉しやすいため)ハブナット締め付け作業が困難になるとともに、ホイールディスクの成形が困難になる。
さらに、突起部が飾り穴周縁湾曲部からハブ取付けボルト穴が設けられるホイール半径方向位置よりホイール半径方向内側まで延びている場合、あるいは、突起部が飾り穴周縁湾曲部からハブ取付けボルト穴が設けられるホイール半径方向位置のホイール半径方向中間部まで延びている場合には、突起部とハブ取付けボルト穴が設けられるハブ取付け部との境界部に応力集中が生じやすく耐久性が低下し易い。
突起部が、ホイール軸方向外側に立ち上がる一対の側壁と該一対の側壁の端部同士を結ぶ単一の曲率半径の凸円弧状の頂壁とを備えているため、ホイールディスクの強度上有利とするためには、頂壁のホイール軸方向位置をホイール軸方向外側にずらし頂壁をその他のディスク部分(スポーク底壁)より可能な限りホイール軸方向外側に位置させることが望ましい。しかし、頂壁のホイール軸方向位置をホイール軸方向外側にずらし頂壁を飾り穴よりホイール軸方向外側に位置させると、ホイールディスクのホイール軸方向長さが長くなってしまい、ホイールのインセット、リム幅の選択幅が狭くなってしまう。
また、頂壁のホイール軸方向位置をホイール軸方向外側にずらし頂壁をその他のディスク部分よりホイール軸方向外側に位置させると、頂壁およびその近傍の突起部の板厚が薄くなり、突起部の強度を確保することが困難になる。
米国特許出願公開第2006/0197371号明細書
本発明の目的は、飾り穴周縁湾曲部からホイール軸方向外側に突出した突出量を少なくしてホイールの仕様の選択幅を広くすると共に、ホイールディスクの耐久性を確保し、かつスポーク部とハブ取付けボルト穴の数と配置とが互いに制約を受けないようにすることができハブナット締め付け作業が容易になるとともにホイールディスクの成形が容易である自動車用ホイールディスクを提供することにある。
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) ハブ取付け部と、
前記ハブ取付け部から立ち上がる傾斜部と、
前記傾斜部からホイール半径方向外側に放射状に延びる複数のスポーク部と、
前記複数のスポーク部間に位置する飾り穴と、
ホイール半径方向外側端部に位置し前記複数のスポーク部のホイール半径方向外側端部をホイール周方向に連結するディスク外周部と、
を有し、
前記スポーク部は、前記傾斜部からホイール半径方向外側に放射状に延びるスポーク底壁と、該スポーク底壁からホイール軸方向に立ち上がるスポーク側壁と該スポーク側壁のホイール軸方向端部から、ホイール軸方向からホイール周方向に湾曲しホイール周方向に延びるスポーク補強板とを含むスポーク側部と、を備えており、
前記飾り穴のホイール周方向両側に位置する一対の前記スポーク側部のホイール半径方向内側端部どうしがホイール周方向に平坦な連結壁でつながれている、自動車用ホイールディスク。
(2) 前記連結壁の、ホイール軸方向と直交する面で切断した断面形状が、直線、または、前記連結壁の両側の前記スポーク補強板のホイール軸方向と直交する面で切断した断面における曲率半径より大きな曲率半径の円弧もしくは楕円から構成されている、(1)記載の自動車用ホイールディスク。
(3) 前記スポーク側部のスポーク側壁のホイール軸方向幅の最大幅が、前記スポーク底壁の板厚の2倍から20倍の範囲内にある、(1)または(2)記載の自動車用ホイールディスク。
(4) 前記飾り穴と前記ディスク外周部との間に移行部を有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の自動車用ホイールディスク。
上記(1)の自動車用ホイールディスクによれば、飾り穴のホイール周方向両側に位置する一対のスポーク側部のホイール半径方向内側端部どうしがホイール周方向に平坦な連結壁でつながれているため、つぎの効果を得ることができる。
飾り穴のホイール半径方向内側でホイール軸方向外側かつホイール半径方向内側に突出し頂壁が単一の曲率半径の凸円弧形状である突起部の場合に比べて(従来の突起部を持つホイールディスクの場合に比べて)、スポーク底壁からホイール軸方向外側に突出した部分の突出量が少なくなる。そのため、ホイールのインセット、リム幅の選択幅が広くなる。また、従来の突起部を持つホイールディスクの場合に比べて、ホイール使用時において、スポーク部が変形するときの連結壁から中立軸までの距離が近くなる。そのため、連結壁にかかる応力を小さくすることができホイールディスクの耐久性を確保することができる。
上記(2)の自動車用ホイールディスクによれば、連結壁の、ホイール軸方向と直交する面で切断した断面形状が、直線、または、連結壁の両側のスポーク補強板のホイール軸方向と直交する面で切断した断面における曲率半径より大きな曲率半径の円弧もしくは楕円から構成されているため、スポーク部が変形するときの中立軸から遠い部分の断面積が大きくなる。そのため、ホイールディスクの剛性を確保することができる。
さらに、上記(1)、(2)の相乗的効果により、従来のような、ホイール半径方向に、飾り穴のホイール半径方向内側でホイール軸方向内側に湾曲する飾り穴周縁湾曲部からハブ取付けボルト穴が設けられるホイール半径方向位置よりホイール半径方向内側まで延びた突起部を設けなくても、ホイールディスクの耐久性および剛性を確保することができるため、従来のホイールに設けられていた突起部によってスポーク部とハブ取付けボルト穴との位置関係および数が制約を受けることを防止できる。また、従来の突起部が不要になるため、ハブナット締め付け作業が容易になる。
上記(3)の自動車用ホイールディスクによれば、ホイールディスクの剛性、耐久性、および成形性を確保できる。
上記(4)の自動車用ホイールディスクによれば、ディスク外周部の剛性を向上でき、さらに、ホイールディスクのリムとの組付けが容易となる。
本発明実施例の自動車用ホイールディスクの、リムと溶接されている状態の正面図である。 本発明実施例の自動車用ホイールディスクの、リムと溶接されている状態の断面図である。 本発明実施例の自動車用ホイールディスクの、曲面を表示した斜視図である。 連結壁のホイール軸方向と直交する面で切断した断面形状が直線から構成される場合の、図2のX−X断面図である。 連結壁のホイール軸方向と直交する面で切断した断面形状が、連結壁の両側のスポーク補強板のホイール軸方向と直交する面で切断した断面における曲率半径より大きな曲率半径の円弧もしくは楕円から構成される場合の、図2のX−X断面図である。 本発明実施例の自動車用ホイールディスクの側面図である。 本発明実施例の自動車用ホイールディスクの連結壁の断面(実線)と従来の突起部の断面(点線)との比較図である。 本発明実施例の自動車用ホイールディスクの、ディスク外周部の変形例の断面図である。 本発明実施例の自動車用ホイールディスクの、ディスク外周部の変形例の断面図である。 本発明実施例の自動車用ホイールディスクのスポーク部の、スポーク側壁がスポーク底壁からホイール軸方向外側に延びている場合における、ホイール半径方向と直交する面で切断したときの断面図である。 本発明実施例の自動車用ホイールディスクのスポーク部の、スポーク側壁がスポーク底壁からホイール軸方向内側に延びている場合における、ホイール半径方向と直交する面で切断したときの断面図である。 本発明とは異なる一般的な自動車用ホイールディスクの形状を示す断面図である。 本発明とは異なる一般的な自動車用ホイールディスクの形状を示す正面図である。 本発明実施例の自動車用ホイールディスクの、スポーク部に波打ち部が設けられていない場合の、リムと溶接されている状態の断面図である。
以下に、図1〜図14を参照して、本発明実施例の自動車用ホイールディスクを説明する。
本発明実施例の自動車用ホイールディスク(以下、単に、ホイールディスクまたはディスクともいう)10は、乗用車、トラック、バス、商用車等に用いられるホイールディスクである。ホイールディスク10は、板(たとえば鋼板)から成形(たとえばプレス成形)によって作られるホイールディスクが対象であり、鋳造ホイールは含まない。ホイールディスク10は、図1、図2に示すように、環状のリム(タイヤを保持する部品)20と溶接されてホイール1となる。
リム20は、図2に示すように、内側フランジ部21、内側ビードシート部22、内側サイドウォール部23、ドロップ部24、外側サイドウォール部25、外側ビードシート部26、外側フランジ部27と、を備える。内側フランジ部21、内側ビードシート部22、内側サイドウォール部23は、外側サイドウォール部25、外側ビードシート部26、外側フランジ部27よりも、ホイール1を車両に装着した際にホイール軸方向で車両の内側に近い側に位置する。
ホイールディスク10は、ハブ穴11と、ハブ取付け部12と、スポーク部13と、ディスク外周部14と、飾り穴15と、傾斜部17と、を有する。ホイールディスク10は、図12、図13に示すような、一般的な自動車用ホイールディスクに採用されている、傾斜部17のディスク半径方向外側部分に周方向に連続しホイール軸方向に突出した環状突起部Zを、有していない。
ハブ穴11は、図1に示すように、ホイールディスク10のホイール半径方向中央部に設けられている。
ハブ取付け部12は、ハブ穴11の周囲に設けられている。ハブ取付け部12は、平板状又は略平板状であり、ホイール軸方向(ホイールディスク10の軸芯)と直交またはほぼ直交する平面内にある。ハブ取付け部12にはハブ取付けボルト穴12aが複数設けられている。ハブ取付けボルト穴12aは、ホイール周方向に等間隔にたとえば5個設けられている。ただし、ハブ取付けボルト穴12aの数は、5個に限定されるものではなく、3個、4個でもよく、6個以上であってもよい。ハブから延びてくるハブ取付けボルト(両方共に図示略)をハブ取付けボルト穴12aに挿通し、ハブ取付けボルトに図示略のハブナットを螺合することにより、ホイールディスク10(ホイール1)はハブに固定される。図1および図2に示すように、ハブ取付け部12には、ハブ取付け部12の剛性向上、耐久性向上などのために、互いのハブ取付けボルト穴12aをつなぐ不連続の環状でかつ僅か(0.3mm〜5mm程度)にホイール軸方向外側に凸状に膨らんだアーチバンド12bと、傾斜部17とハブ取付けボルト穴12aとをつなぐホイール軸方向外側への膨らみ(サブリブ17a)とが、設けられている。
ハブ取付け部12の外周部12c(ハブ取付け部12と傾斜部17との境界部)は、図1に示すように、サブリブ17aを除いて円形をなしている。
ハブ取付け部12のホイール軸方向内側の面は、図2に示すように、ホイール軸方向で、ディスク外周部14のホイール軸方向外側とホイール軸方向内側との間にある。
スポーク部13は、傾斜部17からホイール半径方向外側にディスク外周部14まで放射状に延びている。スポーク部13は、図1に示すように、複数設けられている。スポーク部13は、ホイール周方向に等間隔にたとえば5個設けられている。ただし、スポーク部13の数は5個に限定されるものではなく、複数設けられていれば、3個、4個でもよく、6個以上であってもよい。
スポーク部13のホイール半径方向外側端部は、図2および図14に示すように、ホイール軸方向内側に折り返されてディスク外周部14と接続する外周側曲面接続部Rを形成している。また、スポーク部13のホイール半径方向内側端部は、ホイール軸方向内側に折り返されて傾斜部17と接続する内周側曲面接続部rを形成している。スポーク部13のホイール半径方向中間部(ホイール半径方向で外周側曲面接続部Rと内周側曲面接続部rとの間)は、ホイール軸方向に直交する方向(ホイール軸方向に略直交する方向を含む)に延びており、スポーク部13のホイール半径方向中間部の半径方向両端部はホイール軸方向でほぼ同じ位置にある。
スポーク部13のホイール半径方向中間部がホイール軸方向に直交する方向に延びているため、車両走行時にタイヤ(リム20)に横荷重が作用した場合、スポーク部13には大きな曲げモーメントが作用する。この大きな曲げモーメントによるスポーク部13の変形抑制および耐久性を向上させるため、スポーク部13は、図1および図3、図10、図11に示すように、スポーク底壁13aと、スポーク側部13bと、を備える。
スポーク底壁13aは、傾斜部17からホイール半径方向外側に放射状に延びている。スポーク底壁13aは、ホイール半径方向と直交する面で切断したときの断面視で、ホイール周方向(スポーク部13の幅方向)に延びている。
スポーク側部13bは、スポーク側壁13b1と、スポーク補強板13b2と、を含む。
スポーク側壁13b1は、スポーク底壁13aのホイール周方向両側端部から、スポーク底壁13aから離れる方向かつホイール軸方向に延びている(立ち上がっている)。スポーク側壁13b1は、図10に示すように、スポーク底壁13aからホイール軸方向外側に延びていてもよく、図11に示すように、スポーク底壁13aからホイール軸方向内側に延びていてもよい。なお、図10、図11において、Aはホイール軸方向外側を示している。なお、本発明実施例および図示例では、特にことわりの無い限り、スポーク側壁13b1がスポーク底壁13aからホイール軸方向外側に延びている場合を説明する。
スポーク補強板13b2は、図10、図11に示すように、スポーク側壁13b1のスポーク底壁側と反対側のホイール軸方向端部から、ホイール軸方向からホイール周方向に向かって湾曲し、スポーク部13のホイール周方向幅を大にする方向にホイール周方向に延びている。
スポーク部13は、図2に示すように、ハブ取付け部12およびディスク外周部14よりホイール軸方向外側に位置している。そのため、ホイール1を車両に取付けて車重がかかると、荷重のかかる接地側のスポーク部13には、ホイール軸方向内側への曲げが生じる。このとき、スポーク側壁13b1がスポーク底壁13aからホイール軸方向外側に延びている場合、スポーク補強板13b2にはホイール半径方向に引っ張り応力が働き荷重を支えるため、剛性を確保しやすい。また、スポーク側壁13b1がスポーク底壁13aからホイール軸方向内側に延びている場合、スポーク補強板13b2にはホイール半径方向に圧縮応力が働くため、飾り穴15との境界部の穴抜き加工による微小亀裂の影響を受けにくく、耐久性が向上する。
スポーク側部13bのホイール軸方向幅Hは、ホイール1の剛性を効果的に向上させるために、図2に示すように、飾り穴15のホイール半径方向内側端部の近傍部分で最大である。スポーク側部13bのホイール軸方向幅Hの最大幅は、スポーク底壁13aの板厚の2倍から20倍の範囲内にある。なお、スポーク側部13bのホイール軸方向幅Hの最大幅は、スポーク底壁13aの板厚の4倍から10倍の範囲内にあることが望ましい。その理由は、ホイール1の剛性も高く、ホイールディスク10の成形性も良いからである。
図2では、スポーク側部13bのホイール軸方向幅Hは、最大となる部位からホイール半径方向外側にいくにつれて狭くなっているが、部分的に広くなっていてもよい。
図2に示すように、スポーク部13に、スポーク底壁13aの一部が波打った波打ち部16が設けられている。波打ち部16は、波打ち部16が設けられない場合に比べてスポーク底壁13aをホイール軸方向外側に変位させた部分であり、スポーク部13のホイール半径方向と直交する面で切断したときの断面におけるホイール1の軸と直交しかつ各スポーク部13のホイール半径方向と直交する軸まわりの断面係数を小さくする部分である。スポーク部13に波打ち部16が設けられているため、波打ち部16が設けられていない場合に比べて、スポーク部13の波打ち部16が設けられている部位の剛性を下げることができ、スポーク部13と傾斜部17との接続部(内周側曲面接続部r)およびスポーク部13とディスク外周部14との接続部(外周側曲面接続部R)にかかる応力集中を分散してホイール1の耐久性を向上させることができる。ただし、図14に示すように、スポーク部13に波打ち部16が設けられていなくてもよい。
図1に示すように、ホイール周方向に隣り合うスポーク部13,13の間に、飾り窓15が位置している。スポーク部13のホイール周方向の幅は、ホイール周方向両側の飾り窓15のホイール周方向最大内径部位に対応する部位で最も狭い。
傾斜部17は、図1および図2に示すように、ハブ取付け部12の外周にある略円筒状(円錐台状、テーパ状)の部分である。傾斜部17は、スポーク底壁13aとハブ取付け部12とをつないでいる。傾斜部17は、ハブ取付け部12の外周部12cからホイール半径方向外側かつホイール軸方向外側に延びている。
ディスク外周部14は、図3に示すように、ホイールディスク10のホイール半径方向外側端部(その近傍も含む)に位置する。ディスク外周部14は、リング状であり、複数のスポーク部13のホイール半径方向外側端部をホイール周方向に連結する。ディスク外周部14は、円筒状であり、ホイール軸方向の全長で同一またはほぼ同一の直径となっている。
図2に示すように、ディスク外周部14は、リム20のドロップ部24でリム20と嵌合し、溶接等によりリム20に固定(接合)されている。ただし、リム20との嵌合部は、内側ビードシート部22または外側ビードシート部26などドロップ部24以外の部位でも良い。
ディスク外周部14は、飾り穴15に隣接するホイール軸方向内側の周方向位置W1(図1参照)のみでリム20に接合されていてもよく、スポーク部13のホイール半径方向外側に隣接するホイール軸方向内側の周方向位置W2(図1参照)のみでリム20に接合されていてもよく、飾り穴15とスポーク部13のホイール半径方向外側との間に隣接するホイール軸方向内側の周方向位置W3(図1参照)のみでリム20に接合されていてもよく、ホイール軸方向内側の周方向位置W1,W2,W3のうちどれか2箇所(W1とW2、または、W1とW3、あるいは、W2とW3)でリム20に接合されていてもよく、ホイール軸方向内側の周方向位置W1,W2,W3の全てでリム20に接合されていてもよい。
ディスク外周部14が周方向位置W1のみでリム20に溶接にて接合される場合、周方向位置W2に比べて剛性の小さい位置で溶接されることになり、溶接部の応力集中が緩和され、ホイール1の疲労耐久性が向上する。
ディスク外周部14が周方向位置W2のみでリム20に溶接にて接合される場合、リム20からの力がスポーク部13を通して確実にハブ取付け部12に伝達される。
ディスク外周部14が周方向位置W3のみでリム20に溶接にて接合される場合、飾り穴15をディスク外周部14になる部分のプレス成形より先に形成した場合であっても、周方向位置W3のプレス成形後のホイール軸方向位置は安定しており、溶接を確実に行なうことができる。
ディスク外周部14が溶接によりリム20に接合される場合、溶接のホイール軸方向位置Wは、ディスク外周部14のホイール軸方向内側(図2、図8、図9参照)であってもよく、ディスク外周部14のホイール軸方向外側(図示せず)であってもよく、ディスク外周部14のホイール軸方向内側とホイール軸方向外側の両方であってもよい。
飾り穴15は、図1に示すように、隣り合うスポーク部13、13の間に、ホイール周方向に等間隔に、スポーク部13の数と同数設けられている。飾り穴15のホイール半径方向外側端部分15aは、飾り穴15のうち最もディスク軸方向内側になっている。図2、図3では、飾り穴15の、ホイール半径方向外側端部分15aは、ディスク外周部14に達し、ディスク外周部14に直接接続している。ただし、図8および図9に示すように、飾り穴15とディスク外周部14との間に、テーパ状または段付き状の移行部14aがあっても良い。
図8では、移行部14aが段付き状であり、移行部14aの飾り穴15側の直径がディスク外周部14側の直径より大きく、飾り穴15の外周部のホイール半径方向外側端部分15aが、ディスク外周部14の外周面より半径方向外側にある。ディスク外周部14の外周面と移行部14aの外周面との半径の差(段付きの量)d1は、ディスク外周部14の板厚(たとえば5mm、さらに一般的には2.5mm〜8mm)より小さいことが望ましい。さらに望ましくは、段付きの量d1は、0.5mm以上でディスク外周部14の板厚以下が望ましい。段付きの量d1が0.5mm以上でディスク外周部14の板厚以下であると、ディスク外周部14の剛性が向上し、結果としてホイール1の耐久性が向上する。また、移行部14aの段付き部分により、リム20とホイールディスク10の組付け時にリム20とホイールディスク10とのホイール軸方向の位置決めが容易となる。段付きの量d1が0.5mmより小さいとホイール軸方向の位置決めの効果が少なくなってしまう。段付きの量d1がディスク外周部14の板厚より大きくてもよいが、ホイールディスク10の成形性が悪化する。
また、図9では、移行部14aが段付き状であり、移行部14aの飾り穴15側の直径がディスク外周部14側の直径より小さく、飾り穴15の外周部のホイール半径方向外側端部分15aが、ディスク外周部14の外周面より半径方向内側にある。ディスク外周部14の外周面と移行部14aの外周面との半径の差(段付きの量)d2は、ディスク外周部14の板厚(たとえば5mm、さらに一般的には2.5mm〜8mm)より小さいことが望ましい。さらに望ましくは、段付きの量d2は、0.5mm以上でディスク外周部14の板厚以下が望ましい。段付きの量d2が0.5mm以上でディスク外周部14の板厚以下であると、ディスク外周部14の剛性が向上し、結果としてホイール1の耐久性が向上する。また、移行部14aの直径がディスク外周部14の直径より小さくなっているため、リム20とホイールディスク10の組付け時にリム20とホイールディスク10との嵌合が容易となる。段付きの量d2が0.5mmより小さいと、リム20とホイールディスク10との嵌合が締り嵌めとなっているため、段付きが少なくなるようにホイールディスク10が変形して、そのため段付きの効果が少なくなる。段付きの量d2がディスク外周部14の板厚より大きくてもよいが、ホイールディスク10の成形性が悪化するとともに、飾り穴15が小さくなり意匠性が低下する。
図3〜図5に示すように、飾り穴15のホイール周方向両側に位置する一対のスポーク側部13b(スポーク補強板13b2)のホイール半径方向内側端部どうしは、飾り穴15のホイール半径方向内側の部分で、ホイール周方向に平坦な連結壁18でつながれている。平坦な連結壁18とは、ほぼ平坦な連結壁を含む。すなわち、平坦な連結壁18とは、図4に示すように、ホイール軸方向と直交する面で切断した断面形状が直線から構成される場合だけでなく、図5に示すように、ホイール軸方向と直交する面で切断した断面形状が、連結壁18の両側のスポーク補強板13b2のホイール軸方向と直交する面で切断した断面における曲率半径より大きな(2倍以上がよく望ましくは5倍以上さらに望ましくは10倍以上の)曲率半径の、円弧もしくは楕円から構成される場合も含む。
さらに、図6に示すように、連結壁18の最も飾り穴15に近い部分はホイール軸方向に凹凸しない平坦な形状となっている。
連結壁18のホイール周方向幅は、飾り穴15のホイール周方向最大内径より小である。連結壁18は、図1、図3に示すように、ホイール半径方向内側端部(ホイール軸方向内側端部)で傾斜部17と接続しており、ホイール半径方向外側端部(ホイール軸方向外側端部)で飾り穴15と接続している。連結壁18は、ハブ取付け部12の最外径よりホイール半径方向内側には入り込んでいない。
連結壁18が傾斜部17と接続する部分および飾り穴15と接続する部分のホイール周方向幅は、連結壁18のホイール半径方向中間部(ホイール軸方向中間部)のホイール周方向幅より広くなっている。
図7は、従来の、飾り穴のホイール半径方向内側でホイール軸方向外側かつ半径方向内側に突出し頂壁が単一の曲率半径の凸円弧形状である突起部の頂壁部18xを点線で示し、本発明の、スポーク側部13bと連結壁18の形状を実線で示し、頂壁部18xと連結壁18の形状を比較したものである。
本発明の連結壁18は、従来の突起部の単一の曲率半径の凸円弧状の頂壁部18xに代えて、飾り穴15のホイール周方向両側に位置する一対のスポーク側部13bのスポーク補強板13b2間を直線またはスポーク補強板13b2の曲率半径より大きな曲率半径の円弧もしくは楕円で結んだ平坦な形状としている。このようにすることで、スポーク部13が曲げ変形を受けた時の連結壁18から中立軸Y−Yまでの距離Lが従来の曲げ変形を受けた時の頂壁部18xから中立軸Y´−Y´までの距離L´より近くなるため、同じ大きさの変形が生じたときの連結壁18にかかる応力を従来の突起部の頂壁部18xにかかる応力より小さくすることができる。さらに、傾斜部17と接続する部分の連結壁18のホイール周方向幅が連結壁18のホイール半径方向中間部の幅より広くなっていることにより、傾斜部17への力の伝達が分散されて、応力集中が生じにくい。このため、ホイールディスク10の耐久性を確保することができる。また、連結壁18のホイール周方向幅Mを従来の頂壁部18xのホイール周方向幅M´より広くでき、その結果、スポーク部13が変形するときの中立軸から遠い連結壁18の断面積を大きくできるため、ホイールディスク10の剛性を確保することができる。
さらに、本発明の実施例では、従来のような、飾り穴のホイール半径方向内側でホイール軸方向内側に湾曲する飾り穴周縁湾曲部からハブ取付け部のハブ取付けボルト穴が設けられるホイール半径方向位置よりホイール半径方向内側までホイール半径方向に延びた突起部を設けていない。そのため、従来のホイールのように突起部によってスポーク部とハブ取付けボルト穴との位置関係および数が制約を受けることはない。
ただし、スポーク部13とハブ取付けボルト穴12aとの位置関係および数が制約を受けることを容認すれば、ハブ取付け部12の外周部12cよりホイール半径方向内側でホイール半径方向内側に突出した平坦な連結壁18を設けても支障は無い。
つぎに、本発明実施例の作用を説明する。
本発明実施例では、飾り穴15のホイール周方向両側に位置する一対のスポーク側部13bのホイール半径方向内側端部どうしがホイール周方向に平坦な連結壁18でつながれているため、つぎの効果を得ることができる。
飾り穴のホイール半径方向内側でホイール軸方向外側かつ半径方向内側に突出し頂壁が単一の曲率半径の凸円弧形状である突起部の場合に比べて(従来の突起部を持つホイールディスクの場合に比べて)、スポーク底壁13aからホイール軸方向外側に突出した部分の突出量が少なくなる。そのため、ホイール1のインセット、リム幅の選択幅が広くなる。また、従来の突起部を持つホイールディスクの場合に比べて、ホイール使用時において、スポーク部13が変形するときの連結壁18から中立軸までの距離が近くなる。そのため、連結壁18にかかる応力を小さくすることができホイールディスク10の耐久性を確保することができる。
また、平坦な連結壁18の、ホイール軸方向と直交する面で切断した断面形状が、直線、または、連結壁18の両側のスポーク補強板13b2のホイール軸方向と直交する面で切断した断面における曲率半径より大きな曲率半径の円弧もしくは楕円から構成されているため、スポーク部13が変形するときの中立軸から遠い部分の断面積が大きくなる。そのため、ホイールディスク10の剛性を確保することができる。
さらに、従来のような、飾り穴のホイール半径方向内側でホイール軸方向内側に湾曲する飾り穴周縁湾曲部からハブ取付け部のハブ取付けボルト穴が設けられるホイール半径方向位置よりホイール半径方向内側までホイール半径方向に延びた突起部を設けなくても、ホイールディスク10の耐久性および剛性を確保することができるため、従来のホイールに設けられていた突起部によってスポーク部とハブ取付けボルト穴との位置関係および数が制約を受けることを防止できる。また、従来の突起部が不要になるため、ハブナット締め付け作業が容易になるとともに、ホイールディスクの成形が容易になる。
スポーク側部13bのスポーク側壁13b1のホイール軸方向幅の最大幅Hが、スポーク底壁13aの板厚の2倍から20倍の範囲内にあるため、ホイールディスク10の剛性と耐久性、および成形性を確保できる。
飾り穴15とディスク外周部14との間に移行部14aを有する場合、ディスク外周部14の剛性を向上でき、さらに、ホイールディスク10のリム20との組付けが容易となる。
1 ホイール
10 ホイールディスク
11 ハブ穴
12 ハブ取付け部
12a ハブ取付けボルト穴
13 スポーク部
13a スポーク底壁
13b スポーク側部
13b1 スポーク側壁
13b2 スポーク補強板
14 ディスク外周部
15 飾り穴
18 連結壁
20 リム
21 内側フランジ部
22 内側ビードシート部
23 内側サイドウォール部
24 ドロップ部
25 外側サイドウォール部
26 外側ビードシート部
27 外側フランジ部

Claims (4)

  1. ハブ取付け部と、
    前記ハブ取付け部から立ち上がる傾斜部と、
    前記傾斜部からホイール半径方向外側に放射状に延びる複数のスポーク部と、
    前記複数のスポーク部間に位置する飾り穴と、
    ホイール半径方向外側端部に位置し前記複数のスポーク部のホイール半径方向外側端部をホイール周方向に連結するディスク外周部と、
    を有し、
    前記スポーク部は、前記傾斜部からホイール半径方向外側に放射状に延びるスポーク底壁と、該スポーク底壁からホイール軸方向に立ち上がるスポーク側壁と該スポーク側壁のホイール軸方向端部から、ホイール軸方向からホイール周方向に湾曲しホイール周方向に延びるスポーク補強板とを含むスポーク側部と、を備えており、
    前記飾り穴のホイール周方向両側に位置する一対の前記スポーク側部のホイール半径方向内側端部どうしがホイール周方向に平坦な連結壁でつながれている、自動車用ホイールディスク。
  2. 前記連結壁の、ホイール軸方向と直交する面で切断した断面形状が、直線、または、前記連結壁の両側の前記スポーク補強板のホイール軸方向と直交する面で切断した断面における曲率半径より大きな曲率半径の円弧もしくは楕円から構成されている、請求項1記載の自動車用ホイールディスク。
  3. 前記スポーク側部のスポーク側壁のホイール軸方向幅の最大幅が、前記スポーク底壁の板厚の2倍から20倍の範囲内にある、請求項1または請求項2記載の自動車用ホイールディスク。
  4. 前記飾り穴と前記ディスク外周部との間に移行部を有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ホイールディスク。
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