JP2010116264A - 羽根車機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成により常に安定した動作が可能で安価な羽根車機構を実現する
【解決手段】第1の羽根車1が停止状態から回転軸4と一体に回転したとき、第2の羽根車2の突起2cを回転軸4に固定したピン25に押付けるスプリング26により第2の羽根車2も回転し、第2の羽根車2の羽根2aが紙幣収納部に集積された紙幣に接触して負荷を受けると、第2の羽根車2の回転が止まり、ピン25が突起2cから離れて突起2bに当接することで第2の羽根車2が回転軸4及び第1の羽根車1と共に回転して羽根1a、2aにより集積する紙幣の後端を叩く動作を行い、第1の羽根車1を停止させると、突起2cがピン25に当接するまで第2の羽根車2が回転してから停止することで、両羽根車1,2の羽根1a、2aが紙幣繰出しの妨げにならないように退避するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射状に羽根を設けた羽根車を回転軸に取り付けた羽根車機構に関するもので、特に紙葉状の媒体の集積及び繰出しを行う媒体集積繰出し装置等に用いられる羽根車機構に関するものである。
従来の羽根車機構として、例えば特許文献1及び特許文献2に示されるものがある。
特許文献1の羽根車機構は、羽根車(回転部材)を取付けた回転軸がモータにより回動するリンクに支持されており、媒体の集積時には、フィードローラにより集積空間に放出される媒体(紙葉類)の後端を羽根車(回転部材)の羽根(回転片)で叩いて媒体を整列させ、媒体の繰出し時には、モータによりリンクが回動することで所定の位置に退避するものとなっている。
また、特許文献2の羽根車機構は、羽根車を所定の方向に回転させると羽根が遠心力で広がる構成とし、媒体の集積時には、羽根車を所定の方向に回転させることで羽根を広げ、フィードローラにより集積空間に放出される媒体(紙幣)の後端を羽根車の羽根で叩いて媒体を整列させ、媒体の繰出し時には、羽根車を逆転させると羽根が閉じて繰出しの妨げにならないようにしている。
特開2007−290850 特開2004−137015
しかしながら、上述した従来の技術においては、以下の問題がある。
特許文献1の羽根車機構では退避用の専用モータやリンクが必要であるため、構成が複雑となり、コスト高になるという問題がある。
また、特許文献2の羽根車機構では、羽根車の回転に伴う遠心力により羽根を広げるため、回転速度や羽根の材質、厚さ、更には温度変化や経年変化等の影響を受け易く、常に安定した動作を得ることが難しいという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
そのため、本発明の羽根車機構は、回転軸に固定され、該回転軸と一体に回転する第1の羽根車と、前記回転軸に回転可能に嵌合され、一側面にほぼ180度の間隔で2つの突起を設けた第2の羽根車と、前記回転軸に設けられた駆動部材と、この駆動部材に前記第2の羽根車の一方の突起が当接するように前記第2の羽根車を回転方向に付勢する付勢手段を備え、前記第1の羽根車が停止状態から回転軸と共に回転したとき、前記第2の羽根車が負荷を受けることで前記駆動部材が前記第2の羽根車の一方の突起から離れ、前記駆動部材が前記第2の羽根車の他方の突起に当接して押すことで前記第1の羽根車および回転軸と共に前記第2の羽根車が回転することを特徴とする。
このようにした本発明は、羽根車を第1の羽根車と第2の羽根車で構成しているため、媒体の繰出し集積を行う装置において集積する媒体の後端を叩く羽根車機構として用いる場合、第1の羽根車の回転を制御するのみで両羽根車の羽根を媒体の繰出しの妨げにならないように退避させることができ、羽根車を退避させるための専用モータやリンク等を必要としないため、簡単な構成で安価に実現できるという効果が得られる。
また、第2の羽根車を回転軸の外周に回転自在に嵌合させると共に、突起をほぼ180度の間隔で設け、一方の突起が回転軸に固定したピンに当接するようにスプリングで付勢して、第1の羽根車と第2の羽根車の羽根が負荷を受けた後、第1の羽根車が回転軸と共に回転することで第1の羽根車と第2の羽根車の羽根が回転軸の全周に亘って放射状に展開するようにしているため、回転速度や羽根の材質、厚さ、更には温度変化や経年変化等の影響を受けにくく、常に安定した動作が可能になるという効果も得られる。
以下、図面を参照して本発明による羽根車機構の実施例を説明する。
図1は第1の実施例を示す斜視図、図2は第1の実施例における第2の羽根車の斜視図である。
図において1は第1の羽根車、2は第2の羽根車、3は押さえ部材、4は回転軸、25はピン(駆動部材)、26はスプリングである。
第1の羽根車1は回転軸4の外周に嵌合されていて図示しないねじ等で回転軸4に固定され、回転軸4と一体に回転するものとなっている。
第2の羽根車2は第1の羽根車1と所定の間隔をあけて離れるように回転軸4の外周に回転自在に嵌合させ、また押さえ部材3は第1の羽根車1と反対側の位置で第2の羽根車2と隣接するように回転軸4の外周に嵌合されていて図示しないねじ等で回転軸4に固定されている。
更に第2の羽根車2を回転させるための駆動部材としてのピン25は押さえ部材3との間に第2の羽根車2を挟むようにして回転軸4に固定されていて、第2の羽根車2は回転軸4に対して回転可能になっている。
第1の羽根車1と第2の羽根車2には、それぞれ外周に約半分の範囲で複数枚の弾力性(可撓性)を有する羽根1a、2aが放射状を成すように植設されており、そして第2の羽根車2には、図2に示したように第1の羽根車1との対向面にピン25と係合する係合手段としての突起2b、突起2cが例えばほぼ180度の間隔で設けられている。
尚、図では第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aの数をそれぞれ4枚として示しているが、これに限られるものではない。
スプリング26は第1の羽根車1と第2の羽根車2との間で回転軸4の外周に嵌装されており、その一端は第1の羽根車1に設けられた横穴に挿入固定され、他端は第2の羽根車2の突起2bに設けられた横穴に挿入固定されていて、第2の羽根車2に対する所定の付勢力を発生している。
5は図示しないモータ(駆動源)の回転を回転軸4に伝える駆動ギアで、この駆動ギア5はワンウェイクラッチ6を介して回転軸4に取り付けられており、このワンウェイクラッチ6により時計回り方向の回転のみが回転軸4に伝達されるものとなっている。
7は回転軸4に固定された位置出し部材で、外周部に部分的に突出形成された被検知部7aを有している。
8は被検知部7aを光学的に検知する位置検知センサで、発光素子と受光素子を対向させ、この発光素子と受光素子間に被検知部7aが入ったとき、被検知部7aを検知するものとなっており、この位置検知センサ8の検知出力に基づいて図示しない制御部により第1の羽根車1の停止位置の制御が行われるものとなっている。
図3は上述した構成による第2の羽根車2の動作を示す側面図である。
図3(a)は回転軸4を停止した状態を示し、この状態では第2の羽根車2はスプリング26による矢印A方向の付勢力により時計回り方向に回転し、第2の羽根車2の突起2cが回転軸4に固定されているピン25に当接した位置で停止している。
この状態から図示しないモータにより駆動される駆動ギア5(図1参照)の回転力がワンウェイクラッチ6(図1参照)を介して回転軸4に伝わると、回転軸4が矢印Bで示したように時計回り方向に回転するが、このとき羽根2aが負荷を受けていなければ図3(b)に示したように突起2cがピン25に当接した状態を保ったまま第2の羽根車2は回転軸4の回転に追従して回転する。
そして回転軸4と第2の羽根車2が回転を続けることで、回転方向の先端側の羽根2aが図示しない媒体(後述する紙幣等)と接触することにより図3(c)に示したように負荷Fを受けると、第2の羽根車2の回転は止まり回転軸4のみが回転するため、回転軸4と一体に回転するピン25は突起2cから離れて行く。
但し、この場合、羽根2aが媒体と接触することによる負荷はスプリング26の付勢力より大きい。すなわち、羽根2aの弾性力(腰の強さ)はスプリング26の付勢力よりも強い必要がある。
更に、回転軸4のみが回転すると、やがてピン25が第2の羽根車2の突起2bに突当り、これにより羽根2aにかかる負荷Fより大きな回転力が第2の羽根車2に加えられるので、第2の羽根車2は回転軸4と共に時計回り方向に回転する。
図4は上述した構成による羽根車機構の作用を示す側面図である。
図4(a)は回転軸4を停止した状態を示し、この状態では第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aが回転軸4の外周のほぼ半分の範囲に位置しており、また前記図3で説明したようにスプリング26の付勢力により第2の羽根車2の突起2cがピン25に当接している。
この状態から図示しないモータにより駆動される駆動ギア5(図1参照)の回転力がワンウェイクラッチ6(図1参照)を介して回転軸4に伝わると、回転軸4が時計回り方向に回転し、図4(b)に示したように回転軸4と一体に第1の羽根車1が回転する。
このとき第2の羽根車2は、前記図3で説明したようにスプリング26の付勢力により、時計回り方向に回転して第1の羽根車1に追従する。
この回転により第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aが移動して行き、そして第1の羽根車1と第2の羽根車2が所定角度回転すると、図4(c)に示したように羽根1a、2aがその回転経路の途中に集積されている紙幣10に接触し、これにより羽根1a、2aは紙幣10から接触負荷を受ける。
ここで、第2の羽根車2は、前記図3で説明したように羽根2aが負荷を受けた場合、回転が停止(阻止)され、回転軸4に固定されている第1の羽根車1のみが回転軸4と共に回転し、これにより第1の羽根車1の羽根1aが撓んで紙幣10との接触位置を通過する。
また、このとき回転軸4に固定されているピン25も第2の羽根車2の突起2cから離れて行く。
そして、回転軸4と共に第1の羽根車1が更に回転し、ピン25が第2の羽根車2の突起2bに突当る時点で第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aが回転軸4の全周に亘って放射状に展開する状態となり、更に回転軸4が回転することでピン25と突起2bにより第2の羽根車2に回転力が加わるため、第2の羽根車2は回転軸4及び第1の羽根車1と共に時計回り方向に回転する。
この回転により紙幣10との接触している第2の羽根車2の羽根2aが撓んで紙幣10との接触位置を通過し、以後、回転軸4、第1の羽根車1、第2の羽根車2の回転に従って図4(d)に示したように羽根1aと2aが紙幣10を叩くように接触位置を通過する動作を繰返す。
第1の羽根車1の回転は、回転軸4に固定された位置出し部材7の被検知部7aが位置検知センサ8で検知されたとき停止される。
この回転停止はモータの回転を停止することにより行われ、このとき第1の羽根車1はすべての羽根1aが紙幣10と接触しない位置となるように制御される。
第1の羽根車1の回転が停止した後、図4(e)に示したように紙幣10を第2の羽根車2は羽根2aと接触しないように下げると、第2の羽根車2は図4(e)の状態からスプリング26の付勢力により図4(f)に示したように時計回り方向に回転し、これにより突起2cがピン25に当接して停止することで図4(a)と同様の状態に戻る。
図5は第1の実施例の羽根車機構を用いた紙幣(媒体)集積繰出し装置を示す側面図で、(a)は繰出し時の状態、(b)は紙幣集積時の状態である。
図において10は媒体としての紙幣、11は紙幣収納部、12は紙幣収納部11内に上下動可能に設けられた紙幣集積用のステージである。
13はフィードローラ、14はピッカローラで、このピッカローラ14はピッカアーム15の一端に回転可能に軸支され、ピッカアーム15の他端はフィードローラ13の回転軸にその回転を受けないように取り付けられている。
16はフィードローラ13の回転軸に取り付けられた歯付きプーリとピッカローラ14の軸に取り付けられた歯付きプーリに掛け渡された無端状の駆動ベルトで、この駆動ベルト16によりフィードローラ13の回転がピッカローラ14に伝達されるものとなっている。
17はリバースローラで、第1の羽根車1及び第2の羽根車2の回転軸4に取り付けられており、このリバースローラ17はフィードローラ13と共に紙幣収納部11の紙幣出入口に配置されている。
これら第1の羽根車1及び第2の羽根車2とリバースローラ17とフィードローラ13の組み合わせについては後で図6により説明する。
18はステージ12上に集積される紙幣10の集積方向と直交する方向を向くように紙幣収納部11の紙幣出入口側に設けられた搬送路で、第1の羽根車1及び第2の羽根車2とリバースローラ17は紙幣収納部11の前部側でかつ搬送路18の下側に位置するように配置されており、紙幣収納部11の前部には第1の羽根車1及び第2の羽根車2の回転時に羽根1aと2a先端を紙幣収納部11内に入り込ませるための溝または穴等が設けられている。
19は搬送路18を通過する紙幣10を光学的に検知する紙幣検知センサ、20は紙幣収納部11の紙幣出入口と対向するように紙幣収納部11の後部内面に設けたビルストッパ、21はステージ12上の最上位の紙幣10を光学的に検知する上面センサである。
尚、ビルストッパ20はフィードローラ13及びリバースローラ17により紙幣収納部11内に送り込まれる紙幣10を衝突させて止めるもので、図示しないスプリング等が設けられており、衝突した紙幣10の運動エネルギーが吸収されるようになっている。
図6は紙幣集積繰出し装置の正面図で、この図に示したようにフィードローラ13は回転軸22に2個設けられ、このフィードローラ13の下側に回転軸4に取り付けられたリバースローラ17が2個配置されている。
フィードローラ13とリバースローラ17はそれぞれ外周全域に亘る溝を有しており、互いの溝により非接触状態で噛み合わせている。
第1の羽根車1は2個1組としてリバースローラ17の両外側に位置するように2組設けられ、第2の羽根車2はそれぞれの第1の羽根車1の間に1個ずつ設けられている。
これらリバースローラ17と少なくとも2組以上の第1の羽根車1、第2の羽根車2を、紙幣集積繰出し装置が利用される紙幣処理装置等において、取扱う紙幣10のうち、長手方向の長さが一番短い紙幣10の長手方向の長さの範囲内に配置することで、このような長手方向の長さが一番短い紙幣10に対しても第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1aと2aにより叩いて引き寄せることができるようにする。
尚、両羽根車1,2とリバースローラ17の配置及び個数は、これに限定されるものではない。
更に、第2の羽根車2の両側に第1の羽根車1を配置した場合、単一の第2の羽根車2の羽根2aと2個の第1の羽根車1の羽根1aにより叩くので、紙幣10に加わる力は羽根1aと羽根2aとで差が出ることになり、従って羽根1aと羽根2aの材質または幅あるいはその両方を変えて紙幣10が受ける力を同程度にするようにしてもよい。
上述した構成による紙幣集積繰出し装置の作用について説明する。
尚、以下に説明する各部の動作は、図示しない記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない制御部により制御されるものとする。
まず、紙幣10の繰出し時には、図1に示した回転軸4に固定されている位置出し部材7の被検知部7aが位置検知センサ8で検知された位置で第1の羽根車1が停止され、第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aが図5(a)に示したように回転軸4の外周のほぼ半分の範囲に位置して紙幣収納部11内及び搬送路18中に入り込まないように退避している。
この状態でステージ12を上昇させて、ステージ12上の最上位の紙幣10をピッカローラ14に当接させた後、フィードローラ13を図示しないモータにより時計回り方向に回転させると、フィードローラ13の回転が駆動ベルト16によりピッカローラ14に伝えられ、ピッカローラ14が時計回り方向に回転するため、紙幣10が紙幣収納部11から繰出されてフィードローラ13側に送られる。
このとき、第1の羽根車1と第2の羽根車2及びリバースローラ17を取り付けた回転軸4にはワンウェイクラッチ6により前記モータの回転が伝わらないので、第1の羽根車1と第2の羽根車2及びリバースローラ17は回転せず、従って第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aは退避状態が保たれる。
フィードローラ13側に送られた紙幣10はフィードローラ13の回転により搬送路18に送られ、図示しない搬送手段により搬送されて行く。
紙幣集積時には、ステージ12を最上位の紙幣10が上面センサ21に検知される位置に待機させ、フィードローラ13を図示しないモータにより反時計回り方向に回転させる。
このとき、第1の羽根車1と第2の羽根車2及びリバースローラ17を取り付けた回転軸4に前記モータの回転が伝えられるため、第1の羽根車1とリバースローラ17は時計回り方向に回転し、また図4で説明したように第2の羽根車2も時計回り方向に回転する。
そして、図4で説明したように第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aが紙幣10に当接して、第2の羽根車2の回転が停止すると共に第1の羽根車1が回転を続け、回転軸に固定されているピン25が第2の羽根車2の突起2bに突当る時点で第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aが回転軸4の全周に亘って放射状に展開し、更に図6(b)に示したように第1の羽根車1と共に第2の羽根車2も回転する。
この状態で紙幣10が搬送路18を搬送されてくると、その搬送されてきた紙幣10はフィードローラ13とリバースローラ17に挟持され、フィードローラ13とリバースローラ17の回転により紙幣収納部11内に送り込まれる。
そして、紙幣収納部11内に送り込まれた紙幣10はビルストッパ20に衝突して止められ、落下するが、その際紙幣10の後端は図6(b)に示したように第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aにより叩かれ、ステージ12上の紙幣10の上に押さえ付けられ、後続の紙幣10の集積の妨げにならないように整列させられる。
集積が終了すると、回転軸4に固定されている位置出し部材7の被検知部7aが位置検知センサ8で検知された位置で第1の羽根車1が停止するようモータが止められる。
これにより図4で説明したように、スプリング26の付勢力により第2の羽根車2は時計回り方向に回転し、第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aが回転軸4の外周のほぼ半分の範囲に位置して紙幣収納部11内及び搬送路18中に入り込まないように退避する。
以上説明した第1の実施例による羽根車機構によれば、羽根車を第1の羽根車と第2の羽根車で構成しているため、媒体の繰出し集積を行う装置において集積する媒体の後端を叩く羽根車機構として用いる場合、第1の羽根車の回転を制御するのみで両羽根車の羽根を媒体の繰出しの妨げにならないように退避させることができ、羽根車を退避させるための専用モータやリンク等を必要としないため、簡単な構成で安価に実現できるという効果が得られる。
また、第2の羽根車を回転軸の外周に回転自在に嵌合させると共に、突起をほぼ180度の間隔で設け、一方の突起が回転軸に固定したピンに当接するようにスプリングで付勢して、第1の羽根車と第2の羽根車の羽根が負荷を受けた後、第1の羽根車が回転軸と共に回転することで第1の羽根車と第2の羽根車の羽根が回転軸の全周に亘って放射状に展開するようにしているため、回転速度や羽根の材質、厚さ、更には温度変化や経年変化等の影響を受けにくく、常に安定した動作が可能になるという効果も得られる。
更に、第1の羽根車と第2の羽根車の羽根が回転軸の全周に亘って放射状に展開することにより、媒体集積時にステージ上に集積された媒体の浮き上がりを同じタイミングで一様に抑えることが可能になり、順次送り込まれてくる後続の媒体とぶつかることによるジャム等の集積不良の発生を防止して、正確に集積を行うことができるという効果も得られる。
図7は第2の実施例を示す側面図である。
この実施例は、例えば図5に示す紙幣集積繰出し装置において、紙幣収納部11外及び搬送路18外でかつ第1の羽根車1と第2の羽根車2の近傍の位置に羽根1a、2aに当接する平板状の当接部材27を設けたものである。
ここで当接部材27は、第1の羽根車1と第2の羽根車2の回転方向における先頭側の羽根1a、2aに当接するように傾斜させて設けているが、第2の羽根車2の羽根2aに対して負荷をかけることができるものであれば、当接部材27の形状や設置位置を任意に選ぶことができる。
尚、当接部材27は第2の羽根車2の羽根2aのみに当接するように設けるものとしてもよい。
この他の構成は第1の実施例と同様である。
図8は上述した構成による第2の実施例の羽根車機構の作用を示す側面図である。
図8(a)は回転軸4を停止した状態を示し、この状態では第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aが回転軸4の外周のほぼ半分の範囲に位置しており、また前記図3で説明したようにスプリング26の付勢力により第2の羽根車2の突起2cがピン25に当接し、第1の羽根車1と第2の羽根車2の回転方向における先頭側の羽根1a、2aが当接部材27に当接している。
この状態から図示しないモータにより駆動される駆動ギア5(図1参照)の回転力がワンウェイクラッチ6(図1参照)を介して回転軸4に伝わると、回転軸4が時計回り方向に回転する。
このとき第1の羽根車1と第2の羽根車2の回転方向における先頭側の羽根1a、2aが当接部材27に当接して負荷を受けているので、図8(b)に示したように回転軸4に対して回転自在な第2の羽根車2は回転せず、回転軸4に固定されている第1の羽根車1のみが回転する。
これにより第1の羽根車1の羽根1aは移動して当接部材27との当接位置を通過し、回転軸4に固定されているピン25が第2の羽根車2の突起2cから離れて行く。
そして、回転軸4と共に第1の羽根車1が更に回転し、ピン25が第2の羽根車2の突起2bに突当る時点で図8(c)に示したように第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aが回転軸4の全周に亘って放射状に展開する状態となり、更に回転軸4が回転することでピン25と突起2bにより第2の羽根車2に回転力が加わるため、図8(d)に示したように第2の羽根車2は回転軸4及び第1の羽根車1と共に時計回り方向に回転し、 この回転により第1の羽根車1の羽根1aは移動して当接部材27との当接位置を通過する。
以後、第1の羽根車1と第2の羽根車2は回転軸4と共に時計方向に回転する。
第1の羽根車1の回転は、回転軸4に固定された位置出し部材7の被検知部7aが位置検知センサ8で検知されたとき停止される。
この回転停止はモータの回転を停止することにより行われ、このとき第1の羽根車1は図8(e)に示したように回転方向の先端側の羽根1aが当接部材に当接する位置となるように制御される。
これにより第2の羽根車2は図8(e)の状態からスプリング26の付勢力により図8(f)に示したように時計回り方向に回転し、これにより突起2cがピン25に当接して停止することで図8(a)と同様の状態に戻る。
以上説明した第2の実施例による羽根車機構によれば、媒体の繰出し集積を行う装置において集積する媒体の後端を叩く羽根車機構として用いる場合、第1の実施例と同様の効果が得られ、しかもこの第2の実施例によれば第1の実施例に比べて第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aを回転軸4の全周に亘って放射状に速く展開させることができるという効果も得られる。
図9は第3の実施例を示す側面図、図10は第3の実施例における第2の羽根車2の斜視図である。
この実施例は、例えば図5に示す紙幣集積繰出し装置において、紙幣収納部11及び搬送路18外でかつ第2の羽根車2の近傍の位置に板バネ28を配置すると共に、第2の羽根車2の外周に板バネ28の先端と係合及び解除可能な係合部2dを設けたものである。
この係合部2dは第2の羽根車2の幅方向において羽根2aから外れた位置に設けられ、その形状は突起状のものを示しているが凹部状とすることも可能である。
この他の構成は第1の実施例と同様である。
図11は上述した構成による第3の実施例の羽根車機構の作用を示す側面図である。
図11(a)は回転軸4を停止した状態を示し、この状態では第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aが回転軸4の外周のほぼ半分の範囲に位置しており、また前記図3で説明したようにスプリング26の付勢力により第2の羽根車2の突起2cがピン25に当接し、更に第2の羽根車2の係合部2dが板バネ28の先端に係合している。
この状態から図示しないモータにより駆動される駆動ギア5(図1参照)の回転力がワンウェイクラッチ6(図1参照)を介して回転軸4に伝わると、回転軸4が時計回り方向に回転する。
このとき第2の羽根車2の係合部2dが板バネ28の先端に係合して負荷を受けているので、図11(b)に示したように回転軸4に対して回転自在な第2の羽根車2は回転せず、回転軸4に固定されている第1の羽根車1のみが回転する。
これにより第1の羽根車1の羽根1aは移動し、また回転軸4に固定されているピン25が第2の羽根車2の突起2cから離れて行く。
そして、回転軸4と共に第1の羽根車1が更に回転し、ピン25が第2の羽根車2の突起2bに突当る時点で図11(c)に示したように第1の羽根車1と第2の羽根車2の羽根1a、2aが回転軸4の全周に亘って放射状に展開する状態となり、更に回転軸4が回転することでピン25と突起2bにより第2の羽根車2に回転力が加わるため、第2の羽根車2の係合部2dが板バネ28の先端から外れ(係合が解除され)、図11(d)に示したように第2の羽根車2は回転軸4及び第1の羽根車1と共に時計回り方向に回転し、以後、第1の羽根車1と第2の羽根車2は回転軸4と共に時計方向に回転する。
第1の羽根車1の回転は、回転軸4に固定された位置出し部材7の被検知部7aが位置検知センサ8で検知されたとき停止される。
この回転停止はモータの回転を停止することにより行われ、このとき第1の羽根車1は図11(e)に示したように回転方向の先端側の羽根1aが板バネ28の位置にくるように制御される。
そして第2の羽根車2は図11(e)の状態からスプリング26の付勢力により図11(f)に示したように時計回り方向に回転し、これにより突起2cがピン25に当接し、同時に係合部2dが板バネ28の先端に係合して第2の羽根車2が停止することで図11(a)と同様の状態に戻る。
以上説明した第3の実施例による羽根車機構によれば、媒体の繰出し集積を行う装置において集積する媒体の後端を叩く羽根車機構として用いる場合、第2の実施例と同様の効果が得られ、しかもこの第3の実施例では板バネが第1の羽根車と第2の羽根車の羽根と接触しないので、羽根の磨耗を防止できるという効果も得られる。
尚、本発明は上述した実施例に限られるものではない。
例えば、上述した各実施例では駆動部材として回転軸4にピン25を固定したものとしたが、ピン25の代わりに回転軸4の外周に円柱形等のポストを形成して駆動部材とすることも可能である。
また、上述した各実施例では、第1の羽根車1の羽根1aと第2の羽根車2の羽根2aをそれぞれほぼ180度の範囲で設けるものとしたが、これに限定されず、例えば120度の範囲で3分割することや、90度の範囲で4分割することも可能であり、その場合には羽根1a、2aの紙幣収納部11や搬送路18内への入り込み防止に関する構造や制御等を簡易的なものにできたり、設計の自由度が増したりする。
また、上述した実施例による羽根車機構は、紙幣の集積及び繰出しを行う装置に限らず、債券、証書などの媒体を扱う装置にも適用可能であり、これらの媒体の集積のみを行う装置にも適用可能である。
第1の実施例を示す斜視図 第1の実施例における第2の羽根車の斜視図 第1の実施例における羽根車の動作を示す側面図 第1の実施例の作用を示す側面図 第1の実施例を用いた紙幣集積繰出し装置を示す側面図 第1の実施例を用いた紙幣集積繰出し装置の正面図 第2の実施例を示す側面図 第2の実施例の作用を示す側面図 第3の実施例を示す側面図 第3の実施例における第2の羽根車の斜視図 第3の実施例の作用を示す側面図
符号の説明
1 第1の羽根車
1a 羽根
2 第2の羽根車
2a 羽根
2b 突起
2c 突起
3 押さえ部材
4 回転軸
5 駆動ギア
6 ワンウェイクラッチ
7 位置出し部材
7a 被検知部
8 位置検知センサ
10 紙幣
11 紙幣収納部
12 ステージ
13 フィードローラ
14 ピッカローラ
17 リバースローラ
18 搬送路
21 上面センサ
22 回転軸
25 ピン
26 スプリング
27 当接部材
28 板バネ

Claims (6)

  1. 回転軸に固定され、該回転軸と一体に回転する第1の羽根車と、
    前記回転軸に回転可能に嵌合され、一側面にほぼ180度の間隔で2つの突起を設けた第2の羽根車と、
    前記回転軸に設けられた駆動部材と、
    この駆動部材に前記第2の羽根車の一方の突起が当接するように前記第2の羽根車を回転方向に付勢する付勢手段を備え、
    前記第1の羽根車が停止状態から回転軸と共に回転したとき、前記第2の羽根車が負荷を受けることで前記駆動部材が前記第2の羽根車の一方の突起から離れ、前記駆動部材が前記第2の羽根車の他方の突起に当接して押すことで前記第1の羽根車および回転軸と共に前記第2の羽根車が回転することを特徴とする羽根車機構。
  2. 請求項1記載の羽根車機構において
    前記第1、第2の羽根車は、それぞれ外周に複数枚の羽根が半周の範囲内で放射状に設けられ、
    前記第2の羽根車が回転するとき、前記第1、第2の羽根車の羽根が前記回転軸の全周に亘って放射状に展開することを特徴とする羽根車機構。
  3. 請求項2記載の羽根車機構において、
    前記第1、第2の羽根車は、媒体を集積する昇降可能なステージを有する媒体収納部と、前記ステージ上における媒体の集積方向と直交する方向に向けて設けられた搬送路の間に位置するように前記媒体収納部の媒体収納繰出し口に配置され、
    前記搬送路を搬送されてきた媒体を前記媒体収納部に送り込んで前記ステージ上に集積する際、前記第1、第2の羽根車を回転させて羽根により前記媒体の後端を叩き、
    集積処理終了後は前記第1、第2の羽根車の羽根を前記回転軸のほぼ半周の範囲内に位置して前記羽根が前記搬送路内に入り込まないように停止させることを特徴とする羽根車機構。
  4. 請求項3記載の羽根車機構において、
    前記第2の羽根車は回転途中で羽根が前記ステージ上に集積されている媒体に接触することで負荷を受けるようにしたことを特徴とする羽根車機構。
  5. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の羽根車機構において、
    少なくとも前記第2の羽根車の羽根に当接する当接部材を設けて、この当接部材により負荷を受けるようにしたことを特徴とする羽根車機構。
  6. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の羽根車機構において、
    前記第2の羽根車の近傍に板バネを設け、この板バネ先端に対して係合、解除可能な係合部を前記第2の羽根車の外周に設けて、該係合部が前記板バネ先端に係合することで、負荷を受けるようにしたことを特徴とする羽根車機構。
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