JP2010112439A - 摺動式等速自在継手およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フロートタイプのものであっても、ボールやケージに過大な力が加わらないようにシャフトを内輪に組み付けることができる。
【解決手段】 内周面に複数の直線状トラック溝が軸線に対して傾斜した状態で軸方向に形成されたカップ状の外輪と、外周面24に複数の直線状トラック溝22が軸線に対して外輪のトラック溝と反対方向に傾斜した状態で軸方向に形成された内輪20と、外輪のトラック溝と内輪20のトラック溝12との交叉部に組み込まれてトルクを伝達する複数のボールと、外輪の内周面と内輪20の外周面24との間に介在してボールを保持するケージ40とで構成された摺動式等速自在継手であって、ケージ40の最小内径Dcと内輪20の最大外径Diとが0<Dc−Di≦1の条件を満足することにより、作動角が1°以下の状態のみで内輪20の内径にシャフトを圧入する時に内輪20の奥側端面を外輪の底面に当接可能とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば4WD車やFR車などの自動車で使用されるプロペラシャフトやドライブシャフト等の動力伝達軸に組み込まれ、駆動軸と被駆動軸との間で角度変位および軸方向変位を可能にした摺動式等速自在継手およびその製造方法に関する。
例えば4WD車やFR車などの自動車で使用されるプロペラシャフトは、トランスミッションとディファレンシャル間の相対位置変化による角度変位に対応できる構造とするためにクロスグルーブ型と称される等速自在継手を具備するものがある。この等速自在継手は、通常、車両全体の重量軽減という観点から、軽量で、しかも回転バランスおよび振動特性がよく、また、衝突時の軸方向衝撃によるトランスミッションとディファレンシャル間の軸方向変位を吸収できる構造を採用している。
このクロスグルーブ型等速自在継手は、図6(a)(b)に示すように外輪110,210、内輪120,220、ボール130,230およびケージ140,240を主要な構成要素とし、内輪120,220、ボール130,230およびケージ140,240からなる内部要素150,250を外輪110,210に軸方向変位可能に収容した構造を具備する。
外輪110,210は、複数の直線状トラック溝112,212が軸線に対して傾斜した状態で軸方向に沿って内周面114,214に形成されている。内輪120,220は、複数の直線状トラック溝122,222が軸線に対して外輪110,210のトラック溝112,212と反対方向に傾斜した状態で軸方向に沿って外周面124,224に形成されている。ボール130,230は、外輪110,210のトラック溝112,212と内輪120,220のトラック溝122,222との交叉部に組み込まれて両者間でトルクを伝達する。ケージ140,240は、外輪110,210の内周面114,214と内輪120,220の外周面124,224との間に介在してボール130,230を保持する。内輪120,220の内径にはシャフト(図示せず)がスプライン嵌合により連結される。
この種の等速自在継手をプロペラシャフトに組み込んだ場合、自動車に衝撃が生じたとき、その衝撃を受けたシャフトを介して、内輪120,220、ボール130,230およびケージ140,240からなる内部要素150,250が外輪110,210に対して軸方向にスライド移動しようとする。このスライド移動により、トランスミッションとディファレンシャルとの間の軸方向変位が吸収され、ディファレンシャルを介して車体に入力する衝撃力が低減され、車体に生じる衝撃が大幅に低減して安全性が向上する。
前述した構成を具備する二つの等速自在継手は、図6(a)に示すようにケージ140の最小内径を内輪120の最大外径よりも小さく設定することにより、ケージ140と内輪120の干渉により軸方向変位量を規制するフロートタイプと、図6(b)に示すようにケージ240の最小内径を内輪220の最大外径よりも大きく設定することにより、ボール230とケージ240の干渉により軸方向変位量を規制するノンフロートタイプの二種類に大別される。
また、前述した二つの等速自在継手は、外輪のタイプで区別するとディスクタイプである。この種の等速自在継手は、ディスクタイプの他に、図7(a)(b)に示すカップタイプのものがある。なお、図7(a)はフロートタイプであり、図7(b)はノンフロートタイプを例示している。これらカップタイプの等速自在継手において、図6(a)(b)と同一または相当部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。カップ状の外輪210を有するノンフロートタイプの等速自在継手には、例えば特許文献1で開示されるものがある。
前述したディスクタイプの等速自在継手では、通常、別部品であるコンパニオンフランジをボルト締結により外輪110,210に結合させて使用される。一方、カップタイプの等速自在継手では、外輪110,210をコンパニオンフランジと一体化したものであることから、ボルトの廃止による等速自在継手の小型化、軽量化、部品点数の削減による低コスト化、組立性の簡略化を実現している。
特開2003−56590号公報
ところで、前述した特許文献1で開示された等速自在継手、つまり、カップ状の外輪210を有するノンフロートタイプの等速自在継手では、図8(a)に示すようにシャフト260を内輪220の内径に圧入するに際して、ボール230やケージ240に過大な力が加わらないように内輪220の奥側端面226を外輪210の底面216に当接させることにより軸方向への移動を規制した状態でシャフト260を内輪220の内径に圧入し、サークリップ270によりシャフト260を内輪220に対して抜け止めするようにしている。なお、図8(b)はこの等速自在継手が作動角θをとった状態を示す。
前述のようなシャフト260の組み付けは、ケージ240の最小内径を内輪220の最大外径よりも大きく設定したノンフロートタイプのもので可能となっている。これは、図9に示すように等速自在継手を車両に組み込む上で必要な軸方向変位および角度領域(図中斜線部分)に対して、その作動角が0°の状態〔図8(a)参照〕では必要な軸方向変位領域L2以上にスライド可能であるため、その軸方向変位領域L2を超える位置〔図9の軸方向変位領域L1(L2<L1)〕で内輪220の奥側端面226が外輪210の底面216に当接するように設定することができるからである。
しかしながら、ケージ140の最小内径を内輪120の最大外径よりも小さく設定したフロートタイプの等速自在継手の場合、前述したノンフロートタイプのようにシャフトを組み付けることが困難である。つまり、図10(a)に示すように内輪120の奥側端面126を外輪110の底面116に当接させることができるように設定しようとすると、図11に示すように等速自在継手を車両に組み込む上で必要な軸方向変位および角度領域(図中斜線部分)において、等速自在継手の外輪奥側で、必要な軸方向変位領域(図11の軸方向変位領域L3)を確保することができないためである〔軸方向変位領域L4参照(L3>L4)〕。なお、図10(b)はこの等速自在継手が作動角θをとった状態を示す。
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、フロートタイプのものであっても、ボールやケージに過大な力が加わらないようにシャフトを内輪に組み付け得る摺動式等速自在継手およびその製造方法を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、内周面に複数の直線状トラック溝が軸線に対して傾斜した状態で軸方向に形成されたカップ状の外側継手部材と、外周面に複数の直線状トラック溝が軸線に対して外側継手部材のトラック溝と反対方向に傾斜した状態で軸方向に形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との交叉部に組み込まれてトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内周面と内側継手部材の外周面との間に介在してボールを保持するケージとで構成され、内側継手部材の内径に軸部材が圧入される摺動式等速自在継手であって、ケージの最小内径Dcと内側継手部材の最大外径Diとが0<Dc−Di≦1の条件を満足することにより、軸部材の圧入時に作動角が1°以下の状態のみで内側継手部材の端面を外側継手部材の底面に当接可能としたことを特徴とする。
また、本発明は、内周面に複数の直線状トラック溝が軸線に対して傾斜した状態で軸方向に形成されたカップ状の外側継手部材と、外周面に複数の直線状トラック溝が軸線に対して外側継手部材のトラック溝と反対方向に傾斜した状態で軸方向に形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との交叉部に組み込まれてトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内周面と内側継手部材の外周面との間に介在してボールを保持するケージとで構成された摺動式等速自在継手の製造方法であって、内側継手部材の内径に軸部材を圧入により嵌合させるに際し、ケージの最小内径Dcと内側継手部材の最大外径Diとが0<Dc−Di≦1の条件を満足することにより、作動角が1°以下の状態のみで内側継手部材の端面を外側継手部材の底面に当接させるようにしたことを特徴とする。
本発明では、ケージの最小内径Dcと内側継手部材の最大外径Diとが0<Dc−Di≦1の条件を満足することにより、内側継手部材の内径に軸部材を圧入するに際して、作動角が1°以下の状態のみで内側継手部材の奥側端面を外側継手部材の底面に当接させるようにしたことから、ボールやケージに過大な力が加わらないように軸部材を内側継手部材に組み付けることが可能となる。
なお、この摺動式等速自在継手は、通常、作動角が1°より大きな状態で車両などに取り付けられる。そのため、作動角が1°より大きな状態では、ケージの内周面と内側継手部材の外周面とが干渉することにより、軸方向のスライドが規制されて所期の軸方向変位および角度領域でもって等速自在継手が作動する。
ここで、前述の条件がDc−Diが零以下、つまり、ケージの最小内径が内側継手部材の最大外径よりも大きくなることから、軸部材の圧入時に内側継手部材の外周面とケージの内周面とが干渉するので、内側継手部材の奥側端面を外側継手部材の底面に当接させることが困難となる。また、Dc−Diが1よりも大きいと、作動角1°より大きな状態でも、ケージの内周面と内側継手部材の外周面とが干渉しないので、軸方向のスライドを規制することが困難となる。
本発明では、ケージの内周面が内球面部とその軸方向両側に位置するインロー部とで構成され、内側継手部材の外周面が外球面部とその軸方向中央に位置する円筒部とで構成され、ケージの内球面部とインロー部との繋ぎ部、あるいは、内側継手部材の外球面部と円筒部との繋ぎ部の少なくとも一方をR形状とすることが望ましい。このようにすれば、等速自在継手を車両などに取り付けた状態で、内側継手部材の円筒部がケージのインロー部に入り込んだとしても、ケージの内周面と内側継手部材の外周面との干渉を抑制することができるので、内側継手部材の円筒部がケージのインロー部から容易に抜け出せる。
本発明では、内側継手部材の端面を外側継手部材の底面に当接させた状態で、ケージのインロー部と内側継手部材の円筒部との重合部分の軸方向寸法を2mm以下とすることが望ましい。このようにすれば、等速自在継手を車両などに取り付けた状態で、内側継手部材の円筒部がケージのインロー部に入り込んだとしても、ケージの内周面と内側継手部材の外周面との干渉を抑制することができるので、内側継手部材の円筒部がケージのインロー部から容易に抜け出せる。なお、前述の軸方向寸法が2mmより大きいと、内側継手部材の円筒部がケージのインロー部に入り込み過ぎることになり、その円筒部がインロー部から抜け出るのが困難となる。
本発明では、軸部材を内側継手部材に圧入による凹凸嵌合構造でもってトルク伝達可能に連結することが望ましい。このようにすれば、内側継手部材に対して軸部材を完全締め代で強固に連結することが可能となる。
本発明では、軸部材の先端に止め輪を装着し、軸部材の圧入により止め輪を内側継手部材に係止させることにより内側継手部材に対して軸部材を止め輪で抜け止めすることが望ましい。このようにすれば、内側継手部材の内径に軸部材を圧入すると同時に、軸部材を止め輪により内側継手部材に容易に抜け止めすることができる。
本発明によれば、ケージの最小内径Dcと内側継手部材の最大外径Diとが0<Dc−Di≦1の条件を満足することにより、内側継手部材の内径に軸部材を圧入するに際して、作動角が1°以下の状態のみで内側継手部材の端面を外側継手部材の底面に当接させるようにしたことから、ボールやケージに過大な力が加わらないように軸部材を内側継手部材に組み付けることが可能となる。その結果、組み付け性の向上が図れ、信頼性の向上が図れると共に高品質の摺動式等速自在継手を提供できる。
本発明に係る摺動式等速自在継手およびその製造方法の実施形態を以下に詳述する。以下の実施形態では、カップ状の外輪を有するフロートタイプのクロスグルーブ型等速自在継手を例示する。
図1に示す実施形態の等速自在継手は、外側継手部材である外輪10、内側継手部材である内輪20、ボール30およびケージ40を主要な構成要素とし、内輪20、ボール30およびケージ40からなる内部要素50を外輪10に軸方向変位可能に収容した構造を具備する。
外輪10は、複数の直線状トラック溝12が軸線に対して傾斜した状態で軸方向に沿って内周面14に形成されている。内輪20は、外輪10の内周に位置し、外輪10のトラック溝12と同数の直線状トラック溝22が軸線に対して外輪10のトラック溝12と反対方向に傾斜した状態で軸方向に沿って外周面24に形成されている。ボール30は、外輪10のトラック溝12と内輪20のトラック溝22との交叉部に組み込まれて両者間でトルクを伝達する。ケージ40は、外輪10の内周面14と内輪20の外周面24との間に介在してボール30を保持する。ボール30の数は、6個、8個あるいは10個が好適であるが、その数は任意である。
内輪20の内径には軸部材であるシャフト60がスプライン嵌合により連結されている。つまり、内輪20の軸孔の内周面に雌スプライン21を形成すると共にシャフト60の軸端部の外周面に雄スプライン61を形成し、シャフト60の軸端部を内輪20の軸孔に圧入することにより、内輪20の雌スプライン21とシャフト60の雄スプライン61とを嵌合させた凹凸嵌合構造でもって内輪20にシャフト60をトルク伝達可能に連結する。これにより、内輪20に対してシャフト60を完全締め代で強固に連結することが可能となる。
なお、シャフト60の雄スプライン61の先端部には環状の凹溝63が形成され、この凹溝63に止め輪としてのサークリップ70を嵌合させ、内輪20の軸孔にシャフト60を圧入することにより、このサークリップ70を内輪20の奥側端部に形成された凹段部23に係止させることで、内輪20に対してシャフト60を抜け止めする構造としている。これにより、内輪20の軸孔にシャフト60を圧入すると同時に、シャフト60をサークリップ70により内輪20に容易に抜け止めすることができる。
この種の等速自在継手をプロペラシャフトに組み込んだ場合、自動車に衝撃が生じたとき、その衝撃を受けたシャフト60を介して、内輪20、ボール30およびケージ40からなる内部要素50が外輪10に対して軸方向にスライド移動しようとする。このスライド移動により、トランスミッションとディファレンシャルとの間の軸方向変位が吸収され、ディファレンシャルを介して車体に入力する衝撃力が低減され、車体に生じる衝撃が大幅に低減して安全性が向上する。
この実施形態の等速自在継手は、カップ状の外輪10を有するカップタイプで、外輪10をディスクタイプで使用するコンパニオンフランジと一体化することにより、ボルトの廃止による小型化、軽量化、部品点数の削減による低コスト化、組立性の簡略化を実現したものである。なお、この外輪10の底面16には、内輪20の奥側端面26から突出するシャフト60の軸端部を収容する凹所18が設けられている。
一方、この種の等速自在継手は、ケージ40の最小内径を内輪20の最大外径よりも小さく設定したフロートタイプであることから、車両において必要な軸方向変位および角度領域において、等速自在継手の外輪奥側で、必要な軸方向変位および角度領域を確保することができないことから、従来の等速自在継手では、内輪の内径にシャフトを圧入するに際して、ノンフロートタイプのように内輪の奥側端面を外輪の底面に当接させることができない。
通常、この種の等速自在継手は、作動角が1°以上の状態で車両に取り付けられるため、図1に示す実施形態の等速自在継手では、ケージ40の最小内径Dcを内輪20の最大外径Diよりも大きく設定する(Dc>Di)。ここで、ケージ40の内周面42は、図2(a)に示すように内球面部42aとその軸方向両側に位置するインロー部42b1,42b2とで構成され、内輪20の外周面24は、図2(b)に示すように外球面部24a1,24a2とその軸方向中央に位置する円筒部24bとで構成されている。ケージ40の最小内径Dcはインロー部42b1の内径Dc1あるいはインロー部42b2の内径Dc2となり、内輪20の最大外径Diは円筒部24bの外径となる。
なお、インロー部42b1,42b2の内径を円筒部24bの外径よりも大きくするのは、ケージ40の外輪奥側のインロー部42b1の内径Dc1のみか、あるいはケージ40の外輪奥側のインロー部42b1の内径Dc1と外輪開口側のインロー部42b2の内径Dc2の両方のいずれであってもよい。
特に、ケージ40の最小内径Dcと内輪20の最大外径Diとが0<Dc−Di≦1の条件を満足することにより、図3に示すように内輪20の軸孔にシャフト60を圧入する時に、作動角が1°以下の状態のみで内輪20の奥側端面26を外輪10の底面16に当接可能としている。このシャフト60の圧入時に内輪20の奥側端面26を外輪10の底面16に当接させることで、ボール30やケージ40に過大な力が加わらないようにシャフト60を内輪20に組み付けることが可能となる。
前述したようにこの種の等速自在継手は、通常、作動角が1°より大きな状態で車両などに取り付けられる。そのため、作動角が1°より大きな状態では、ケージ40の内周面42と内輪20の外周面24とが干渉することにより、図4に示すように軸方向のスライドが規制されて所期の軸方向変位および角度領域(図中のハッチング部分)でもって等速自在継手が作動する。従って、シャフト60の圧入時、つまり、作動角が1°以下の状態のみに、所期の軸方向変位および角度領域を超える領域(図中のクロスハッチング部分)を使用することになる。
ここで、前述の条件がDc−Diが零以下、つまり、ケージ40の最小内径Dcが内輪20の最大外径Diよりも大きくなることから、シャフト60の圧入時に内輪20の外周面24とケージ40の内周面42とが干渉するので、内輪20の奥側端面26を外輪10の底面16に当接させることが困難となる。また、Dc−Diが1よりも大きいと、作動角1°より大きな状態でも、ケージ40の内周面42と内輪20の外周面24とが干渉しないので、軸方向のスライドを規制することが困難となる。
また、他の実施形態として、図5(a)に示すようにケージ40の内球面部42aと外輪奥側のインロー部42b1との繋ぎ部42cをR形状としたり、あるいは、同図(b)に示すように内輪20の外球面部24a1,24a2と円筒部24bとの繋ぎ部24c1,24c2をR形状としたりすることも可能である。これにより、等速自在継手を作動角が1°未満で取り付けるような特殊の車両に適用する場合であっても、内輪20の円筒部24bがケージ40のインロー部42b1に入り込んだとしても、ケージ40の内周面42と内輪20の外周面24との干渉を抑制することができるので、内輪20の円筒部24bがケージ40のインロー部42b1から容易に抜け出せる。
さらに、内輪20の奥側端面26を外輪10の底面16に当接させた状態(図3参照)で、ケージ40の外輪奥側のインロー部42b1と内輪20の円筒部24bとの重合部分の軸方向寸法Wを2mm以下とするようにしてもよい。これによっても、等速自在継手を作動角が1°未満で取り付けるような特殊の車両に適用する場合であっても、内輪20の円筒部24bがケージ40のインロー部42b1に入り込んだとしても、ケージ40の内周面42と内輪20の外周面24との干渉を抑制することができるので、内輪20の円筒部24bがケージ40のインロー部42b1から容易に抜け出せる。なお、前述の軸方向寸法が2mmより大きいと、内輪20の円筒部24bがケージ40のインロー部42b1に入り込み過ぎることになり、その円筒部24bがインロー部42b1から抜け出るのが困難となる。
なお、以上の実施形態では、プロペラシャフトに適用した等速自在継手について説明したが、この等速自在継手はドライブシャフトにも適用可能である。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明の実施形態で、フロートタイプのクロスグルーブ型等速自在継手を示す断面図である。 (a)は図1のケージを示す断面図、(b)は図1の内輪を示す断面図である。 図1の内輪にシャフトを圧入する状態を示す断面図である。 図1の等速自在継手における軸方向変位および角度領域を示す特性図である。 本発明の他の実施形態で、(a)はケージを示す断面図、(b)は内輪を示す断面図である。 従来の摺動式等速自在継手で、(a)はフロートタイプのクロスグルーブ型等速自在継手を示す断面図、(b)はノンフロートタイプのクロスグルーブ型等速自在継手を示す断面図である。 従来の摺動式等速自在継手で、(a)はカップ状の外輪を有するフロートタイプのクロスグルーブ型等速自在継手を示す断面図、(b)はカップ状の外輪を有するノンフロートタイプのクロスグルーブ型等速自在継手を示す断面図である。 カップ状の外輪を有するノンフロートタイプのクロスグルーブ型等速自在継手で、(a)は作動角が0°の状態を示す断面図、(b)は作動角がθ°の状態を示す断面図である。 図8の等速自在継手における軸方向変位および角度領域を示す特性図である。 カップ状の外輪を有するフロートタイプのクロスグルーブ型等速自在継手で、(a)は作動角が0°の状態を示す断面図、(b)は作動角がθ°の状態を示す断面図である。 図10の等速自在継手における軸方向変位および角度領域を示す特性図である。
符号の説明
10 外側継手部材(外輪)
12 トラック溝
14 内周面
16 底面
20 内側継手部材(内輪)
22 トラック溝
24 外周面
24a1,24a2 外球面部
24c1,24c2 繋ぎ部
24b 円筒部
26 端面
30 ボール
40 ケージ
42 内周面
42a 内球面部
42b1,42b2 インロー部
42c 繋ぎ部
60 軸部材(シャフト)
70 止め輪(サークリップ)

Claims (10)

  1. 内周面に複数の直線状トラック溝が軸線に対して傾斜した状態で軸方向に形成されたカップ状の外側継手部材と、外周面に複数の直線状トラック溝が軸線に対して前記外側継手部材のトラック溝と反対方向に傾斜した状態で軸方向に形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との交叉部に組み込まれてトルクを伝達する複数のボールと、前記外側継手部材の内周面と内側継手部材の外周面との間に介在してボールを保持するケージとで構成され、前記内側継手部材の内径に軸部材が圧入される摺動式等速自在継手であって、
    前記ケージの最小内径Dcと前記内側継手部材の最大外径Diとが0<Dc−Di≦1の条件を満足することにより、前記軸部材の圧入時に作動角が1°以下の状態のみで内側継手部材の端面を外側継手部材の底面に当接可能としたことを特徴とする摺動式等速自在継手。
  2. 前記ケージの内周面が内球面部とその軸方向両側に位置するインロー部とで構成され、前記内側継手部材の外周面が外球面部とその軸方向中央に位置する円筒部とで構成され、ケージの内球面部とインロー部との繋ぎ部、あるいは、内側継手部材の外球面部と円筒部との繋ぎ部の少なくとも一方をR形状とした請求項1に記載の摺動式等速自在継手。
  3. 前記内側継手部材の端面を外側継手部材の底面に当接させた状態で、ケージのインロー部と内側継手部材の円筒部との重合部分の軸方向寸法を2mm以下とした請求項2に記載の摺動式等速自在継手。
  4. 前記軸部材を内側継手部材の内径に圧入による凹凸嵌合構造でもってトルク伝達可能に連結した請求項1〜3のいずれか一項に記載の摺動式等速自在継手。
  5. 前記軸部材の先端に止め輪を装着し、軸部材の圧入により前記止め輪を内側継手部材に係止させることにより前記内側継手部材に対して軸部材を止め輪で抜け止めした請求項1〜4のいずれか一項に記載の摺動式等速自在継手。
  6. 内周面に複数の直線状トラック溝が軸線に対して傾斜した状態で軸方向に形成されたカップ状の外側継手部材と、外周面に複数の直線状トラック溝が軸線に対して前記外側継手部材のトラック溝と反対方向に傾斜した状態で軸方向に形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との交叉部に組み込まれてトルクを伝達する複数のボールと、前記外側継手部材の内周面と内側継手部材の外周面との間に介在してボールを保持するケージとで構成された摺動式等速自在継手の製造方法であって、
    前記内側継手部材の内径に軸部材を圧入により嵌合させるに際し、前記ケージの最小内径Dcと前記内側継手部材の最大外径Diとが0<Dc−Di≦1の条件を満足することにより、作動角が1°以下の状態のみで内側継手部材の端面を外側継手部材の底面に当接させるようにしたことを特徴とする摺動式等速自在継手の製造方法。
  7. 前記ケージの内周面が内球面部とその軸方向両側に位置するインロー部とで構成され、前記内側継手部材の外周面が外球面部とその軸方向中央に位置する円筒部とで構成され、ケージの内球面部とインロー部との繋ぎ部、あるいは、内側継手部材の外球面部と円筒部との繋ぎ部の少なくとも一方をR形状とする請求項6に記載の摺動式等速自在継手の製造方法。
  8. 前記内側継手部材の端面を外側継手部材の底面に当接させた状態で、ケージのインロー部と内側継手部材の円筒部との重合部分の軸方向寸法を2mm以下とする請求項7に記載の摺動式等速自在継手の製造方法。
  9. 前記軸部材を内側継手部材に圧入による凹凸嵌合構造でもってトルク伝達可能に連結する請求項6〜8のいずれか一項に記載の摺動式等速自在継手の製造方法。
  10. 前記軸部材の先端に止め輪を装着し、軸部材の圧入により前記止め輪を内側継手部材に係止させることにより前記内側継手部材に対して軸部材を止め輪で抜け止めする請求項6〜9のいずれか一項に記載の摺動式等速自在継手の製造方法。
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