JP2010127311A - 固定式等速自在継手およびこれを用いた車輪軸受装置 - Google Patents

固定式等速自在継手およびこれを用いた車輪軸受装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 シャフトを、連結する相手部材の形状に合わせる設計が採り易くて部品点数の削減が容易に図れ、軸方向のコンパクト化を図る。
【解決手段】 円筒状外輪30を共通にしてその一端側に固定式継手部10を配設すると共に他端側に摺動式継手部20を配設し、摺動式継手部20の内輪22にシャフト21をスプライン嵌合によりトルク伝達可能に連結し、その摺動式継手部20のシャフト21の端部に凸球面部25を設けると共に固定式継手部10に凹球面部15を設け、凸球面部25と凹球面部15からなる球対偶40を介して固定式継手部10と摺動式継手部20を連結し、凸球面部25を、凹球面部15の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部25aとその頭部25aの中空部25bに嵌挿された首部21aとで構成し、首部21aの最大径D1を摺動式継手部20の内輪22のスプライン最小内径D2よりも小さくする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、自動車などの動力伝達系において使用され、駆動側と従動側の二軸間で作動角度変位のみを許容する固定式等速自在継手、およびこの等速自在継手を車輪用軸受に組み付けた車輪軸受装置に関する。
例えば、自動車のエンジンから車輪に回転力を等速で伝達する手段として使用される等速自在継手には、固定式等速自在継手と摺動式等速自在継手の二種がある。これら両者の等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸を連結してその二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達し得る構造を備えている。
自動車のエンジンから駆動車輪に動力を伝達するドライブシャフトは、エンジンと車輪との相対的位置関係の変化による角度変位と軸方向変位に対応する必要があるため、エンジン側(インボード側)に摺動式等速自在継手を、駆動車輪側(アウトボード側)に固定式等速自在継手をそれぞれ装備し、両者の等速自在継手をシャフトで連結した構造を具備する。
一般的に、前述した固定式等速自在継手としては、バーフィールド型等速自在継手(以下、BJと称す)や作動角の大きなアンダーカットフリー型等速自在継手(以下、UJと称す)が広く知られている。また、摺動式等速自在継手としては、ダブルオフセット型等速自在継手(以下、DOJと称す)やレブロ型等速自在継手(以下、LJと称す)が広く知られている。
近年、自動車の乗車空間拡大の観点からホイールベースを長くすることがあるが、それに伴って車両回転半径が大きくならないようにするため、自動車のドライブシャフトの連結用継手として使用されている固定式等速自在継手の高角化による前輪の操舵角の増大が求められている。
この要望に対して、本出願人は、前述の問題点を改善するため、二つの等速自在継手、例えばUJとDOJを組み合わせて、構造が簡単で高角化を実現容易にした軽量コンパクトな固定式等速自在継手を先に提案している(例えば、特許文献1参照)。
この等速自在継手180は、図10に示すように、単一の円筒状外輪130を共通にしてその一端側に固定式継手部110(UJ)を配設すると共に他端側に摺動式継手部120(DOJ)を配設し、その固定式継手部110の内輪112にスプライン嵌合されたシャフト111のDOJ側端部に凹球面部115を設けると共に摺動式継手部120の内輪122にスプライン嵌合されたシャフト121のUJ側端部に凸球面部125を設け、その凹球面部115と凸球面部125からなる球対偶140を介して固定式継手部110のシャフト111と摺動式継手部120のシャフト121とを連結した構造を具備する。
このように固定式継手部110と摺動式継手部120を共通の外輪130に組み込み、両者の固定式継手部110と摺動式継手部120を球対偶140で連結した構造としたことにより、固定式継手部110と摺動式継手部120のそれぞれの作動角を加えた大きな作動角を実現することができ、固定式継手部110と摺動式継手部120との間に凸球面部115と凹球面部125からなる球対偶140が介在するのみであるため、構造が簡単で軽量コンパクトな等速自在継手を実現している。
固定式継手部110における内輪112から延びるシャフト111と外輪130との間には、内部からのグリース漏洩および外部からの異物侵入を防止するために蛇腹状のブーツ150が装着されている。このブーツ150の大径端部152は外輪130の外周面にブーツバンド154により固定され、その小径端部156はシャフト111に取り付けられたアダプタ151の外周面にブーツバンド158により固定されている。
また、摺動式継手部120における内輪122から延びるシャフト121と外輪130との間にも、内部からのグリース漏洩および外部からの異物侵入を防止するために蛇腹状のブーツ160が装着されている。このブーツ160の大径端部162は外輪130の外周面にブーツバンド164により固定され、その小径端部166はシャフト121の外周面にブーツバンド168により固定されている。
この種の等速自在継手180をドライブシャフトの駆動車輪側(アウトボード側)に装着した場合、図11に示すように等速自在継手180における固定式継手部110の内輪112から延びるシャフト111を車輪用軸受170に連結する。
この車輪用軸受170は、ハブ輪171、内輪172、転動体173および外輪174で主要部が構成されている。ハブ輪171の車輪取付フランジに植設されたハブボルト175を利用して車輪(図示せず)が取り付けられる。ハブ輪171の小径段部に一対の内輪172が圧入により嵌合され、その内輪172の外周面に形成された複列の内側軌道面と外輪174の内周面に形成された複列の外側軌道面との間に転動体173が回転自在に配置されている。外輪174は、車体の懸架装置(図示せず)から延びるナックル176に固定される。
この車輪用軸受170のハブ輪171に、等速自在継手180の固定式継手部110の内輪112から延びるシャフト111をスプライン嵌合により連結し、そのシャフト111の先端部をナット177で締め付け固定することにより車輪用軸受170と等速自在継手180とを一体化している。この時、インボード側に位置する内輪172をアダプタ151に当接させることにより、ナット177による締め付け力でもって車輪用軸受170に予圧を付与するようにしている。
特開2008−196591号公報
ところで、前述した特許文献1に開示された等速自在継手180と車輪用軸受170とを一体化するに際しては、固定式継手部110の側に位置するブーツ150の小径端部156をシャフト111に取り付けるためのアダプタ151に、車輪用軸受170においてインボード側に位置する内輪172を当接させることにより、ナット177による締め付け力でもって車輪用軸受170に予圧を付与するようにしている。
この車輪用軸受170のハブ輪171に連結されたシャフト111の継手側端部に凹球面部115を形成していることから、等速自在継手180の組み立てに際しては、外輪130の内部に収容された状態にある内輪112に対して、前述のシャフト111を摺動式継手部側から挿入して内輪112にスプライン嵌合によりトルク伝達可能に連結し、凹球面部115の外周面を内輪112の摺動式継手部側端面に当接させるようにしている。このようにしてシャフト111を内輪112に組み付けなければならないことから、ブーツ150の小径端部156をシャフト111に取り付けるためのアダプタ151をシャフト111とは別部材で後付けしているのが現状である。
なお、前述したように固定式継手部110の内輪112に連結されたシャフト111に球対偶140の凹球面部115を形成するのは、球対偶140の中心と固定式継手部110の中心との軸方向寸法をできるだけ短くすることにより等速自在継手全体の軸方向コンパクト化を図るためであり、また、球対偶140の強度確保のために凸球面部125の支持部の軸径を大きくする必要があることから、凹球面部115の球面径を大きくしなければならないからである。
しかしながら、従来の等速自在継手180のように、車輪用軸受170のハブ輪171に連結されるシャフト111は、摺動式継手部側から挿入して内輪112にスプライン嵌合させ得る形状に限定されるため、ブーツ150の小径端部156をシャフト111に取り付けるためのアダプタ151をシャフト111とは別部材で後付けする構造を採用せざるを得ない。その結果、前述のシャフト111を、連結する相手部材の形状に合わせる設計が採り難く、場合によっては部品点数の増加を招く可能性がある。
そこで、本発明は前述の点を改善して提案されたもので、その目的とするところは、シャフトを、連結する相手部材の形状に合わせる設計が採り易くて部品点数の削減が容易に図れ、軸方向にコンパクトな固定式等速自在継手およびこれを用いた車輪軸受装置を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、円筒状外方部材を共通にしてその一端側に固定式継手部を配設すると共に他端側に摺動式継手部を配設し、継手部の少なくとも一方の内方部材に軸部材をスプライン嵌合によりトルク伝達可能に連結し、その一方の継手部の軸部材の端部に凸球面部を設けると共に他方の継手部に凹球面部を設け、凸球面部と凹球面部からなる球対偶を介して固定式継手部と摺動式継手部を連結し、凸球面部を、凹球面部の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部とその頭部の中空部に嵌挿された首部とで構成し、その首部の最大径を内方部材のスプライン最小内径よりも小さくしたことを特徴とする。
本発明では、固定式継手部と摺動式継手部とで円筒状外方部材を共通にしたことにより、その外方部材内に固定式と摺動式の二つの継手部を組み合わせた構造を具備する。さらに、固定式継手部あるいは摺動式継手部の少なくとも一方の内方部材に軸部材をスプライン嵌合によりトルク伝達可能に連結し、その一方の継手部の軸部材の端部に凸球面部を設けると共に他方の継手部に凹球面部を設け、凸球面部と凹球面部からなる球対偶を介して固定式継手部と摺動式継手部を連結したことにより、凸球面部と凹球面部からなる球対偶は、固定式継手部と摺動式継手部とを連結し、固定式継手部と摺動式継手部で共通の一点を中心とした球面案内機構とすることで、この球面中心を作動角の中心とする固定式等速自在継手となる。
このように固定式継手部と摺動式継手部を共通の外方部材に組み込み、両者の固定式継手部と摺動式継手部を球対偶で連結した構造としたことにより、固定式継手部と摺動式継手部のそれぞれの作動角を加えた大きな作動角を実現することができ、固定式継手部と摺動式継手部との間に凸球面部と凹球面部からなる球対偶が介在するのみであるため、構造が簡単で軽量コンパクトな固定式等速自在継手を提供できる。
さらに、この固定式等速自在継手では、凸球面部を、凹球面部の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部とその頭部の中空部に嵌挿された首部とで構成し、その首部の最大径を内方部材のスプライン最小内径よりも小さくしたことにより、凸球面部の球面径を大きくすることで球対偶の強度を確保することができると共に、軸部材の組み付け時、その軸部材の端部に設けられ、凸球面部の頭部から分離可能な首部から継手部の内方部材へ挿入することができる。
その結果、軸部材の反首部側に位置する部位の外径を大きくしたり、あるいは軸部材に車輪用軸受を連結する場合、その車輪用軸受の内方部材を当接させるフランジ部を軸部材に一体的に形成したりすることができ、軸部材を、連結する相手部材の形状に合わせる設計が採り易くて部品点数の削減が容易に図れる。
本発明における凸球面部が設けられた一方の継手部は8個のボールを有することが望ましい。8個ボールの継手部とすることで、6個ボールの継手部と比べてボール径が小さく径方向外方に位置するため、内方部材のスプライン内径を大きくすることができる。ここで、首部先端とスプライン形成部分との間に位置する首部根元を凹球面部との干渉を防止するために縊れた形状とするが、内方部材のスプライン内径を大きくすることで軸部材の首部の外径を大きくできることにより、その首部根元とスプライン形成部分とを繋ぐR状の隅部の曲率半径を大きくすることができ、トルク負荷時に曲げ荷重が発生して応力が集中する前記隅部の強度が向上し、トルク負荷容量が向上する。
本発明では、一方の継手部の軸部材と外方部材との間に、継手内部からの潤滑材漏洩および継手外部からの異物侵入を防止するブーツを装着し、そのブーツの端部を内方へ折り返し成形して軸部材にブーツバンドにより固定した構造が可能である。このように、ブーツの端部を内方へ折り返し成形して軸部材にブーツバンドにより固定した構造とすれば、ブーツの端部をブーツ内部で軸部材にブーツバンドにより固定することになり、ブーツを軸方向にコンパクトに配置することができる。これにより、固定式等速自在継手を前輪の駆動車輪側用としてその軸部材を車輪用軸受に連結した場合、その車輪用軸受から継手中心までの軸方向寸法を短くすることができ、転舵角に対する等速自在継手の作動角が小さくなり、大きな転舵角をとることが可能となる。なお、前述のブーツバンドは、折り返し成形されたブーツの端部に装着された金属管でもよい。
なお、前述したように凸球面部が設けられた一方の継手部が8個のボールを有する構造や、一方の継手部の軸部材と外方部材との間に、継手内部からの潤滑材漏洩および継手外部からの異物侵入を防止するブーツを装着し、そのブーツの端部を内方へ折り返し成形して軸部材にブーツバンドにより固定した構造では、一方の継手部を摺動式継手部とすることが好ましい。
本発明における固定式等速自在継手の内方部材から延びる軸部材を車輪用軸受に連結することにより車輪軸受装置を構成する。このようにすれば、軸部材を、連結する相手部材の形状に合わせる設計が採り易くて部品点数の削減が容易に図れ、軸方向にコンパクトな車輪軸受装置を提供することができる。
本発明における車輪用軸受は、内周に複列の外側軌道面が形成された外方部材と、外周に外側軌道面と対向する複列の内側軌道面を有し、ハブ輪および内輪からなる内方部材と、外方部材の外側軌道面と内方部材の内側軌道面との間に介装された複列の転動体とを備え、ハブ輪の小径段部に内輪を圧入し、内輪の端部を、軸部材に一体的に形成されたフランジ部に当接させることにより内輪をハブ輪に軸方向に固定した構造が望ましい。このようにすれば、車輪用軸受に予圧を付与するためのフランジ部を軸部材に一体的に形成したことで、部品点数の削減を容易に実現することができる。
本発明における車輪用軸受は、内周に複列の外側軌道面が形成された外方部材と、外周に外側軌道面と対向する複列の内側軌道面を有し、ハブ輪および内輪からなる内方部材と、外方部材の外側軌道面と内方部材の内側軌道面との間に介装された複列の転動体とを備え、ハブ輪の小径段部に内輪を圧入し、ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方へ塑性変形させることで加締め部を形成し、その加締め部で内輪をハブ輪に軸方向に固定した構造が望ましい。このようにすれば、ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方へ塑性変形させることで形成した加締め部により車輪用軸受に予圧を付与することができる。その結果、従来のようなアダプタや前述のフランジ部が不要となり、軸部材にフランジ部を形成する必要がなくなってコスト低減が図れ、車輪軸受装置を軸方向にコンパクトにすることができる。
本発明によれば、固定式継手部と摺動式継手部を共通の外方部材に組み込み、両者の固定式継手部と摺動式継手部を球対偶で連結した構造としたことにより、固定式継手部と摺動式継手部のそれぞれの作動角を加えた大きな作動角を実現することができ、固定式継手部と摺動式継手部との間に凸球面部と凹球面部からなる球対偶が介在するのみであるため、構造が簡単で軽量コンパクトな固定式等速自在継手を提供できる。
しかも、この固定式等速自在継手では、凸球面部を、凹球面部の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部とその頭部の中空部に嵌挿された首部とで構成し、その首部の最大径を内方部材のスプライン最小内径よりも小さくしたことにより、凸球面部の球面径を大きくすることで球対偶の強度を確保することができると共に、軸部材の組み付け時、首部先端から継手部の内方部材へ挿入することができる。その結果、軸部材の反首部側に位置する部位の外径を大きくしたり、あるいは軸部材に車輪用軸受を連結する場合、その車輪用軸受の内方部材を当接させるフランジ部を軸部材に一体的に形成したりすることができ、軸部材を、連結する相手部材の形状に合わせる設計が採り易くて部品点数の削減が容易に図れる。
その結果、例えば、近年における自動車のドライブシャフトに使用される固定式等速自在継手の高角化による前輪の操舵角の増大への要望に迅速に対応することができる。
また、この固定式等速自在継手の軸部材を車輪用軸受に連結した車輪軸受装置に適用する場合、軸部材を、連結する相手部材の形状に合わせる設計が採り易くて部品点数の削減が容易に図れ、軸方向にコンパクトな車輪軸受装置を提供することができる。
本発明に係る固定式等速自在継手の実施形態を以下に詳述する。図1に示す実施形態の固定式等速自在継手80は、固定式継手部10としてUJ、摺動式継手部20としてDOJをそれぞれ適用して組み合わせた構造を例示する。なお、固定式継手部10としてはBJ、摺動式継手部20としてはLJを適用して組み合わせることも可能である。
この実施形態の固定式等速自在継手80は、以下の構造を具備する。図1に示すように円筒状外方部材である単一の外輪30を共通にしてその一端側(図示右側)に固定式継手部10(UJ)を配設すると共に他端側(図示左側)に摺動式継手部20(DOJ)を配設し、その固定式継手部10の内方部材である内輪12にスプライン嵌合された軸部材であるシャフト11の端部に凹球面部15を一体的に設けると共に摺動式継手部20の内方部材である内輪22にスプライン嵌合された軸部材であるシャフト21の端部に凸球面部25を一体的に設け、その凹球面部15と凸球面部25からなる球対偶40を介して固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21を連結した構造を具備する。
固定式継手部10は、軸方向に延びる複数のトラック溝31が円筒状内周面に円周方向等間隔に形成された外輪30を摺動式継手部20と共通にし、外輪30のトラック溝31と対をなして軸方向に延びる複数のトラック溝16が球面状外周面に円周方向等間隔に形成された内輪12と、外輪30のトラック溝31と内輪12のトラック溝16との間に介在してトルクを伝達する複数のボール14と、外輪30の円筒状内周面と内輪12の球面状外周面との間に介在して各ボール14を保持するケージ13とを備えている。複数のボール14は、ケージ13に形成されたポケット17に収容されて円周方向等間隔に配置されている。
内輪12の軸孔18には、駆動側あるいは従動側のシャフト11がスプライン嵌合により結合されており、それらシャフト11と外輪30との間で作動角度変位を許容しながらトルク伝達が可能な構造となっている。なお、シャフト11の外周面のスプライン端部に形成された環状凹溝にサークリップ等の止め輪19を嵌合させ、内輪12の外輪開口側端部で止め輪19を係止させることにより、内輪12に対するシャフト11の抜け止め構造としている。
また、凹球面部15の外周面15aは内輪12の外輪反開口側端部のテーパ状端面12aに常時接触させた状態をなし、その凹球面部15の外周面15aには、作動角をとった時にボール14との干渉を回避するための複数の凹所15bがボール14の配列ピッチに合わせて円周方向に形成されている。
外輪30とシャフト11との間には、内部からのグリース漏洩および外部からの異物侵入を防止するために樹脂あるいはゴム製の蛇腹状ブーツ50が装着され、このブーツ50により外輪30の開口部を閉塞している。この蛇腹状ブーツ50の大径端部52は外輪30の外周面にブーツバンド54により固定され、その小径端部56はシャフト11の外周面にブーツバンド58により固定されている。
この固定式継手部10では、外輪30のトラック溝31の曲率中心O11と内輪12のトラック溝16の曲率中心O12とを、継手中心O10に対して等距離fだけ軸方向に互いに反対向きにオフセットしており、シャフト11と外輪30とが角度変位すると、ケージ13のポケット17に収容されたボール14は常にどの作動角においても、その作動角の二等分面内に維持され、継手の等速性が確保される。
また、外輪30のトラック溝31は、外輪開口側(図示右側)に位置して曲率中心O11を持つ円弧部分と、その曲率中心O11から径方向に延びる線分がトラック溝31の底部と交わる部位を境として外輪奥側(図示左側)に位置する軸方向と平行な直線部分とで構成されている。同様に、内輪12のトラック溝16は、外輪奥側に位置して曲率中心O12を持つ円弧部分と、その曲率中心O12から径方向に延びる線分がトラック溝16の底部と交わる部位を境として外輪開口側に位置する軸方向と平行な直線部分とで構成されている。
一方、摺動式継手部20は、軸線と平行に延びる複数の直線状トラック溝31が円筒状内周面に円周方向等間隔に形成された外輪30を前述の固定式継手部10と共通にし、外輪30のトラック溝31と対をなして軸線と平行に延びる複数の直線状トラック溝26が球面状外周面に円周方向等間隔に形成された内方部材である内輪22と、外輪30のトラック溝31と内輪22のトラック溝26との間に介在してトルクを伝達する複数のボール24と、外輪30の円筒状内周面と内輪22の球面状外周面との間に介在して各ボール24を保持するケージ23とを備えている。複数のボール24は、ケージ23に形成されたポケット27に収容されて円周方向等間隔に配置されている。
内輪22の軸孔28には、従動側あるいは駆動側のシャフト21がスプライン嵌合により結合されており、それらシャフト21と外輪30との間で作動角度変位を許容しながらトルク伝達が可能な構造となっている。また、シャフト21の外周面のスプライン端部に形成された環状凹溝にサークリップ等の止め輪29を嵌合させ、内輪22の外輪奥側端部に形成された凹段部22aで止め輪29を係止させることにより、内輪22に対するシャフト21の抜け止め構造としている。
また、外輪30とシャフト21との間には、内部からのグリース漏洩および外部からの異物侵入を防止するために樹脂あるいはゴム製の蛇腹状ブーツ60が装着され、このブーツ60により外輪30の開口部を閉塞している。この蛇腹状ブーツ60の大径端部62は外輪30の外周面にブーツバンド64により固定され、その小径端部66は内方へ折り返し成形されてシャフト21の外周面にブーツバンド68により固定されている。
このようにブーツ60の小径端部66を内方へ折り返し成形して固定した構造としたことにより、ブーツ60の小径端部66をブーツ内部でシャフト21にブーツバンド68により固定することになり、ブーツ60を軸方向にコンパクトに配置することができる。このような構造のブーツ60を摺動式継手部20に適用することで、等速自在継手80が作動角をとった状態(図2参照)で外輪30の内部スペースを利用することができるのでブーツ60の軸方向コンパクト化が促進される。
この摺動式継手部20では、ケージ23の球面状外周面の曲率中心O21と球面状内周面の曲率中心O22とを継手中心O20に対して等距離Fだけ軸方向にオフセットさせている。このケージオフセットにより、シャフト21と外輪30とが角度変位すると、ケージ23のポケット27に収容されたボール24は常にどの作動角においても、その作動角の二等分面内に維持され、継手の等速性が確保される。
これら固定式継手部10と摺動式継手部20を組み込んだ固定式等速自在継手80では、摺動式継手部20の凸球面部25を、凹球面部15の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部25aと、その頭部25aの中空部25bに嵌挿され、シャフト21の先端に設けられた首部21aとで構成している。この首部21aは止め輪25cにより頭部25aに対して抜け止めされている。
この頭部25aの中空部25bに嵌挿された首部先端21a1と、内輪22にスプライン嵌合したスプライン形成部分との間に位置する首部根元21a2は、等速自在継手80が作動角をとった時に凹球面部15との干渉を回避するために縊れた形状をなし、首部先端21a1はスプライン形成部分よりも小径となっている。この小径の首部根元21a2と大径のスプライン形成部分とを繋ぐ隅部21dはR形状をなす。
この凸球面部25の球面中心Oはシャフト21の中心軸M2上に配置されている。一方、固定式継手部10のシャフト11の先端部(摺動式継手部20のシャフト21との対向端部)に、凸球面部25を受ける凹球面部15が一体的に形成されている。この凹球面部15の球面中心Oはシャフト11の中心軸M1上に配置され、シャフト11の中心軸M1は摺動式継手部20のシャフト21の中心軸M2と一致する。凸球面部25の球面中心Oと凹球面部15の球面中心Oは一致して継手中心、つまり、球対偶40の中心となる。
凹球面部15と凸球面部25からなる球対偶40を、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21で共通の一点を中心Oとして球面案内機構とし、球対偶40の凸球面部25の頭部25aにシャフト21の首部21aを嵌挿したことにより、この球対偶40の中心Oを作動角の中心とする固定式等速自在継手となる。
このように固定式継手部10と摺動式継手部20を共通の外輪30に組み込み、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21を球対偶40で連結した構造とすることにより、固定式継手部10の作動角と摺動式継手部20の作動角を加えた大きな作動角を実現することができ、構造が簡単で軽量コンパクトな固定式等速自在継手80を提供できる。
図2は固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21が作動角θをとった状態を示す。この作動角θは、固定式継手部10の作動角と摺動式継手部20の作動角の合計となり、図1に示すように固定式継手部10の作動角が0°での球対偶40の球面中心Oから固定式継手部10の継手中心O10までの距離L1と、摺動式継手部20の作動角が0°での球対偶40の球面中心Oから摺動式継手部20の継手中心O20までの距離L2との関係によって決定される。なお、図2に示すように固定式継手部10と摺動式継手部20が作動角をとった時に、シャフト21の首部先端21a1とスプライン形成部分との間に形成された首部根元25a2が凹球面部15との干渉を回避している。
通常、固定式継手部10(限界作動角50°)が摺動式継手部20(限界作動角30°)よりも構造上大きな作動角をとることができることから、球対偶40の球面中心Oから固定式継手部10の継手中心O10までの距離L1と、球対偶40の球面中心Oから摺動式継手部20の継手中心O20までの距離L2については、L1<L2の条件を満足するように設定すればよい。
このように設定することにより、固定式継手部10に摺動式継手部20よりも大きな作動角を分担させることになり(固定式継手部10の作動角>摺動式継手部20の作動角)、例えば、固定式継手部10の作動角を35°、摺動式継手部20の作動角を25°とすることで、固定式等速自在継手80としては、より大きな作動角(θ=60°)が得られる。
作動角θは、固定式継手部10と摺動式継手部20に分配されることから、それぞれの作動角が限界作動角よりも小さくて済むため、ボールトラック端部に余裕ができ、また、荷重が各ボールトラックに均一に付与されることから強度の向上が図れる。また、固定式継手部10と摺動式継手部20の各作動角が限界作動角よりも小さくて済むことから、固定式継手部10および摺動式継手部20の構成部材間の相対変位が小さくなるため、耐久性の向上も図れる。これは、車両の常用角(直進状態での作動角)が大きい場合に特にその効果が顕著である。
なお、ボール14,24が8個の場合には、6個ボールタイプに比べて内輪12,22のシャフトスペースを広く確保することができるので、固定式継手部10と摺動式継手部20のシャフト11,21間に位置する球対偶40(凹球面部15および凸球面部25)を形成し易くなる。特に、8個ボールの摺動式継手部20とすることで、6個ボールの摺動式継手部と比べてボール径が小さく径方向外方に位置するため、内輪22のスプライン内径を大きくすることができる。
ここで、首部先端21a1とスプライン形成部分との間に位置する首部根元21a2を凹球面部15との干渉を防止するために縊れた形状としているが、内輪22のスプライン内径を大きくすることでシャフト21の首部21aの外径を大きくできることにより、その首部根元21a2とスプライン形成部分とを繋ぐR状の隅部21dの曲率半径を大きくすることができ、トルク負荷時に曲げ荷重が発生して応力が集中する隅部21dの強度が向上し、トルク負荷容量が向上する。
この固定式等速自在継手80では、凸球面部25を、凹球面部15の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部25aと、その頭部25aの中空部25bに嵌挿された首部21aとで構成したことにより、等速自在継手全体の軸方向寸法および径方向寸法を大きくすることなく、凸球面部25の付け根部、つまり、首部根元21a2の大径化が可能となる。その結果、等速自在継手80が作動角をとり負荷トルクが増大した場合であっても、凸球面部25の首部21aに加わる大きな曲げ荷重に対して首部21aの強度を十分に確保することができる。
また、固定式継手部10の凹球面部15の外周面15aを内輪12の外輪反開口側端部のテーパ状端面12aに常時接触させた状態としていることから、その凹球面部15と内輪12との隙間を詰めて径方向および軸方向に隙間のない集約した構造としている。その結果、図2に示すように固定式継手部10と摺動式継手部20とが作動角θをとった時、凸球面部25の首部21aに加わる大きな曲げ荷重に対して首部21aの強度を確保するため、等速自在継手全体の軸方向寸法および径方向寸法も大きくなることなく、凸球面部25およびその首部21aの大径化が容易となり、さらに、首部21aとスプライン形成部分とを繋ぐR状の隅部21dの曲率半径を大径化することも容易となってその強度を向上させることができる。この首部21aとスプライン形成部分とを繋ぐR状の隅部21dの曲率半径の大径化は、摺動式継手部20のボール24の数を8個とすることにより、内輪22の軸孔28の内径、つまり、シャフト21のスプライン形成部分の外径を大きくすることで実現容易となる。
この固定式等速自在継手80では、凸球面部25を、凹球面部15の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部25aとその頭部25aの中空部25bに嵌挿された首部21aとで構成し、その首部21aの最大径D1を内輪22のスプライン最小内径D2よりも小さくしたことにより、凸球面部25の球面径を大きくすることで球対偶40の強度を確保することができると共に、シャフト21の組み付け時、首部先端21a1から摺動式継手部20の内輪22へ挿入することができる。その結果、シャフト21の反首部側に位置する部位の外径を大きくしたり、あるいはシャフト21に車輪用軸受70を連結する場合(図8参照)、その車輪用軸受70の内輪72を当接させるフランジ部21eをシャフト21に一体的に形成したりすることができ、シャフト21を、連結する相手部材の形状に合わせる設計が採り易くて部品点数の削減が容易に図れる。
凸球面部25を、凹球面部15の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部25aと、その頭部25aの中空部25bに嵌挿された首部21aとで構成したことで、図3(a)(b)に示すように、凸球面部25の頭部25aに球面嵌合される凹球面部15は単純な内球面を有し、その内球面に凸球面部入れ込みのための切り欠きが形成されていないことから、球対偶40における凸球面部25と凹球面部15の球面保持面積を確保することが容易となり、等速自在継手80が作動角をとったとしても、その球面保持面積の減少量は小さく抑えられ、球面保持力の向上が図れると共に凹球面部15に切り欠きによる薄肉部も無くなって強度向上も図れる。
一方、図4(a)(b)に示すように、凸球面部25の頭部25aの外球面に凹球面部入れ込みのための切り欠き溝25dを軸方向全周に亘って形成する。この切り欠き溝25dを利用して凸球面部25の頭部25aを凹球面部15に組み込む。つまり、図5(a)(b)に示すように凸球面部25の頭部25aの軸線を凹球面部15の軸線に対して90°傾けた状態でその頭部25aを凹球面部15に挿入する。この時、頭部25aの外球面に切り欠き溝25dが形成されていることから、頭部25aを凹球面部15に干渉することなく挿入することが可能である。その後、頭部25aの軸線を凹球面部15の軸線に対して逆方向に90°傾けることにより頭部25aの軸線を凹球面部15の軸線に一致させて頭部25aを凹球面部15に対して正規の姿勢に配置して凸球面部25を凹球面部15に球面嵌合させる。
この固定式等速自在継手80の組み立ては、以下の要領でもって行う。まず、図6に示すように摺動式継手部20のシャフト21にブーツ60の小径端部66をブーツバンド68によりブーツ内部で固定した上で、そのシャフト21の先端に形成された首部21aを、内輪22、ボール24およびケージ23を組み付けたアッセンブリ体における内輪22の軸孔28に挿通させ、そのシャフト21のスプライン形成部分と内輪22のスプライン内径とを嵌合させる。
その上で、内輪22から突出するシャフト21の首部21aを、シャフト11先端の凹球面部15に球面嵌合された凸球面部25の頭部25aの中空部25bに嵌挿する。この時、首部21aの最大径D1、つまり、首部先端21a1の外径D1を内輪22のスプライン最小内径D2(スプライン歯先の内径)よりも小さくしたことにより、首部先端21a1から摺動式継手部20の内輪22へ挿入することができる。
次に、図7に示すように外輪30の一端側(図示右側)に固定式継手部10を組み込む。この固定式継手部10の組み込みは、通常のUJを組み立てる場合と同様で、ケージ13に内輪12を組み込み(ケージ13の軸線に対して内輪12を90°傾けた状態でケージ13に内輪12を挿入し、その後、内輪12を90°逆方向に傾けて正規の姿勢に配置する)、外輪30にケージ13を組み込む(外輪30の軸線に対してケージ13を90°傾けた状態で外輪30にケージ13を挿入し、その後、ケージ13を90°逆方向に傾けて正規の姿勢に配置する)。そして、ケージ13および内輪12を作動角以上に大きく傾けた状態で外輪30の開口端側にケージ13のポケット17を覗かせてボール14を組み込む。
その後、摺動式継手部20にシャフト21を組み付け、そのシャフト21に球対偶40を介してシャフト11を連結したアッセンブリ体を、外輪30および固定式継手部10に組み付ける。つまり、シャフト11を固定式継手部10の内輪12の軸孔18に挿通させてそのシャフト11のスプライン形成部分を内輪12のスプライン内径に嵌合させる。その後、ブーツ60の大径端部62を外輪30の外周面にブーツバンド64により固定し、固定式継手部10のブーツ50の小径端部56をシャフト11の外周面にブーツバンド58により固定すると共にその大径端部52を外輪30の外周面にブーツバンド54により固定することにより、固定式等速自在継手80の組立を完了する。
以上の実施形態で述べた固定式等速自在継手80は、自動車の車輪に動力を伝達するドライブシャフトに適用可能である。図8は、固定式等速自在継手80の摺動式継手部20のシャフト21に車輪用軸受70を連結した車輪軸受装置を例示する。
車輪用軸受70は、ハブ輪71、内輪72、転動体73および外輪74で主要部が構成されている。ハブ輪71の車輪取付フランジに植設されたハブボルト75を利用して車輪(図示せず)が取り付けられる。ハブ輪71の小径段部に一対の内輪72が圧入により嵌合され、その内輪72の外周面に形成された複列の内側軌道面と外輪74の内周面に形成された複列の外側軌道面との間に転動体73が回転自在に配置されている。外輪74は、車体の懸架装置(図示せず)から延びるナックル76に固定される。この車輪用軸受70のハブ輪71に、固定式等速自在継手80の摺動式継手部20の内輪22から延びるシャフト21をスプライン嵌合により連結し、そのシャフト21の先端部をナット77で固定することにより車輪用軸受70と固定式等速自在継手80とを一体化している。
この車輪軸受装置では、等速自在継手80の摺動式継手部20から延びるシャフト21にフランジ部21eを一体的に形成し、そのフランジ部21eに車輪用軸受70の内輪72を当接させることにより、ナット77による締め付け力でもって車輪用軸受70に予圧を付与している。車輪用軸受70に予圧を付与するためのフランジ部21eをシャフト21に一体的に形成したことで、部品点数の削減を容易に実現することができる。
また、固定式等速自在継手80を前輪の駆動車輪側用としてそのシャフト21を車輪用軸受70に連結した場合、摺動式継手部20のシャフト21をハブ輪71に連結したことにより、摺動式継手部20の作動角が固定式継手部10の作動角よりも小さいので、ブーツ60の圧縮および引張に伴う伸縮量が小さいことから、ブーツスペースが小さくて済み、ブーツ60の軸方向コンパクト化が図れる。その結果、車輪用軸受70から継手中心までの軸方向寸法を短くすることができ、転舵角に対する等速自在継手80の作動角が小さくなり、大きな転舵角をとることが可能となる。
図9は、図8の車輪用軸受70とは異なるタイプの車輪用軸受90を例示する。この車輪用軸受90は、ハブ輪91、内輪92、転動体93および外輪94で主要部が構成されている。ハブ輪91の車輪取付フランジに植設されたハブボルト95を利用して車輪(図示せず)が取り付けられる。ハブ輪91の小径段部に内輪92が圧入により嵌合され、そのハブ輪91の小径段部の端部を径方向外方へ塑性変形させることにより加締め部91aを形成し、その加締め部91aによりハブ輪91に内輪92を固定する。ハブ輪91および内輪92の外周面に形成された複列の内側軌道面と外輪94の内周面に形成された複列の外側軌道面との間に転動体93が回転自在に配置されている。外輪94は、車体の懸架装置(図示せず)から延びるナックル96に固定される。この車輪用軸受90のハブ輪91に、固定式等速自在継手80の摺動式継手部20の内輪22から延びるシャフト21をスプライン嵌合により連結し、そのシャフト21の先端部をボルト97で固定することにより車輪用軸受90と固定式等速自在継手80とを一体化している。
このように、ハブ輪91の小径段部の端部を径方向外方へ塑性変形させることで加締め部91aを形成し、その加締め部91aで内輪92をハブ輪91に軸方向に固定した構造では、加締め部91aにより車輪用軸受90に予圧を付与することができる。その結果、従来のようなアダプタ151(図11参照)や前述のフランジ部21e(図8参照)が不要となり、シャフト21にフランジ部を形成する必要がなくなってコスト低減が図れ、車輪軸受装置を軸方向にコンパクトにすることができる。
以上の実施形態における固定式等速自在継手80では、固定式継手部10と摺動式継手部20とで共通にした単一の外輪30を使用した場合について説明したが、外輪30を固定式継手部10と摺動式継手部20のそれぞれで二部材により分割構成し、両部材を同軸的に突き合わせて溶接などにより接合一体化した構成とすることも可能である。
また、以上で説明した全ての実施形態では、外輪30における摺動式継手部20のトラック溝31は、固定式継手部10のトラック溝31と共通して形成されているが、固定式継手部10と摺動式継手部20とで個別に形成することも可能である。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る固定式等速自在継手の実施形態を示す断面図である。 図1の固定式等速自在継手が作動角をとった状態を示す断面図である。 (a)は図1の固定式等速自在継手における凹球面部を示す断面図、(b)は(a)の右側面図である。 (a)は図1の固定式等速自在継手における凸球面部の頭部を示す断面図、(b)は(a)の右側面図である。 (a)は図1の固定式等速自在継手における凹球面部に頭部を組み付ける要領を説明するための断面図、(b)は(a)の右側面図である。 図1の固定式等速自在継手を組み立てる要領を説明するためのもので、摺動式継手部の構成部品および図5のアッセンブリ体を示す断面図である。 図1の固定式等速自在継手を組み立てる要領を説明するためのもので、図6のアッセンブリ体および固定式継手部の構成部品を示す断面図である。 図1の固定式等速自在継手に車輪用軸受を組み付けた車輪軸受装置を示す断面図である。 図8の車輪用軸受と異なるタイプの車輪用軸受を図1の固定式等速自在継手に組み付けた他の車輪軸受装置を示す断面図である。 従来の固定式等速自在継手を示す断面図である。 図10の固定式等速自在継手に車輪用軸受を組み付けた車輪軸受装置を示す断面図である。
符号の説明
10 固定式継手部(UJ)
11 固定式継手部の軸部材(シャフト)
12 固定式継手部の内方部材(内輪)
14 ボール
15 凹球面部
20 摺動式継手部(DOJ)
21 摺動式継手部の軸部材(シャフト)
21a 首部
22 摺動式継手部の内方部材(内輪)
24 ボール
25 凸球面部
25a 頭部
25b 中空部
30 外方部材(外輪)
40 球対偶
60 ブーツ
66 ブーツの端部(小径端部)
68 ブーツバンド
70,90 車輪用軸受
71,91 ハブ輪(内方部材)
72,92 内輪(内方部材)
73,93 転動体
74,94 外方部材(外輪)
1 首部の最大径
2 内方部材のスプライン最小内径

Claims (7)

  1. 円筒状外方部材を共通にしてその一端側に固定式継手部を配設すると共に他端側に摺動式継手部を配設し、前記継手部の少なくとも一方の内方部材に軸部材をスプライン嵌合によりトルク伝達可能に連結し、その一方の継手部の軸部材の端部に凸球面部を設けると共に他方の継手部に凹球面部を設け、前記凸球面部と凹球面部からなる球対偶を介して前記固定式継手部と摺動式継手部を連結し、前記凸球面部を、前記凹球面部の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部とその頭部の中空部に嵌挿された首部とで構成し、前記首部の最大径を前記内方部材のスプライン最小内径よりも小さくしたことを特徴とする固定式等速自在継手。
  2. 前記凸球面部が設けられた一方の継手部は、8個のボールを有する請求項1に記載の固定式等速自在継手。
  3. 前記一方の継手部の軸部材と外方部材との間に、継手内部からの潤滑材漏洩および継手外部からの異物侵入を防止するブーツを装着し、前記ブーツの端部を内方へ折り返し成形して前記軸部材にブーツバンドにより固定した請求項1又は2に記載の固定式等速自在継手。
  4. 前記軸部材が摺動式継手部の内方部材にスプライン嵌合によりトルク伝達可能に連結されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の固定式等速自在継手。
  5. 請求項1〜4に記載の固定式等速自在継手の内方部材から延びる軸部材を車輪用軸受に連結した車輪軸受装置。
  6. 前記車輪用軸受は、内周に複列の外側軌道面が形成された外方部材と、外周に前記外側軌道面と対向する複列の内側軌道面を有し、ハブ輪および内輪からなる内方部材と、前記外方部材の外側軌道面と内方部材の内側軌道面との間に介装された複列の転動体とを備え、前記ハブ輪の小径段部に内輪を圧入し、前記内輪の端部を、軸部材に一体的に形成されたフランジ部に当接させることにより内輪をハブ輪に軸方向に固定した請求項5に記載の車輪軸受装置。
  7. 前記車輪用軸受は、内周に複列の外側軌道面が形成された外方部材と、外周に前記外側軌道面と対向する複列の内側軌道面を有し、ハブ輪および内輪からなる内方部材と、前記外方部材の外側軌道面と内方部材の内側軌道面との間に介装された複列の転動体とを備え、前記ハブ輪の小径段部に内輪を圧入し、ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方へ塑性変形させることで加締め部を形成し、その加締め部で内輪をハブ輪に軸方向に固定した請求項5に記載の車輪軸受装置。
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