JP2008184051A - 車輪用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スプライン嵌合に係る挿入作業を簡便かつ正確に行うことで、組立て精度を高めた車輪用軸受装置を低コストに量産する。
【解決手段】ハブ輪1に設けた雌側のスプライン歯10の挿入側(インボード側)端部には、雄側のスプライン歯26を案内するための案内面28が設けられている。また、ステム部25に設けた雄側のスプライン歯26の挿入側(アウトボード側)端部には、雌側のスプライン歯10を案内するための案内面29が設けられている。詳細には、ハブ輪1側の案内面28は、インボード側からアウトボード側、すなわちステム部25の挿入方向に向けてテーパ状に拡径する傾斜面30で構成されている。同様に、ステム部25側の案内面29は、アウトボード側からインボード側、すなわちハブ輪1の嵌合方向に向けてテーパ状に拡径する傾斜面31で構成されている。
【選択図】図3
【解決手段】ハブ輪1に設けた雌側のスプライン歯10の挿入側(インボード側)端部には、雄側のスプライン歯26を案内するための案内面28が設けられている。また、ステム部25に設けた雄側のスプライン歯26の挿入側(アウトボード側)端部には、雌側のスプライン歯10を案内するための案内面29が設けられている。詳細には、ハブ輪1側の案内面28は、インボード側からアウトボード側、すなわちステム部25の挿入方向に向けてテーパ状に拡径する傾斜面30で構成されている。同様に、ステム部25側の案内面29は、アウトボード側からインボード側、すなわちハブ輪1の嵌合方向に向けてテーパ状に拡径する傾斜面31で構成されている。
【選択図】図3
Description
本発明は車輪用軸受装置に関する。
自動車の車輪用軸受装置には、従動輪用と駆動輪用があり、それぞれの用途に応じて種
々の形式のものが提案されている。このうち、駆動輪用の車輪用軸受装置は、自動車の懸架装置に対して駆動車輪(FF車の前輪、FR車の後輪、4WD車の全輪)を回転自在に支持する軸受装置として好適に使用されている。
々の形式のものが提案されている。このうち、駆動輪用の車輪用軸受装置は、自動車の懸架装置に対して駆動車輪(FF車の前輪、FR車の後輪、4WD車の全輪)を回転自在に支持する軸受装置として好適に使用されている。
図6はその一例を示すもので、この駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪101と外輪102、複列の転動体103、104、等速自在継手105を主要な構成要素として構成されている(例えば、特許文献1参照)。
ハブ輪101は、車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付けフランジ106を備えており、この車輪取付けフランジ106の円周方向等間隔に、ホイールディスクを固定するためのハブボルト107が植設されている。ハブ輪101の外周には、後述する複列の軌道面のうち、アウトボード側の軌道面108が形成されている。この軌道面108は、後述する外側継手部材120の肩部に形成された軌道面109とで複列の軌道面を構成する。また、ハブ輪101の内周には、複数のスプライン歯110からなる雌スプライン部が形成されている。
外輪102は、内周にハブ輪101の軌道面108および外側継手部材120の軌道面109と対向する複列の軌道面111、112を有すると共に、車体(図示せず)に取り付けるための車体取付けフランジ113を一体に有している。車体取付けフランジ113には複数の取付け孔114が形成されており、これら取付け孔114を利用して、車体の懸架装置(図示せず)から延びるナックルに車体取付けフランジ113がボルト固定される。
上記構成の外輪102を、その内周に設けた軌道面111、112がハブ輪101および外側継手部材120側の軌道面108、109と対向する位置に配設すると共に、これら軌道面間に転動体103、104を配設することで、車輪(ハブ輪101)用の軸受部117が構成される。この際、各列の転動体103、104はそれぞれ保持器115、116により円周方向等間隔に支持された状態で配設されている。軸受部117の両端開口部には、ハブ輪101と外側継手部材120とに摺接可能で、かつ外輪102とハブ輪101および外側継手部材120との環状空間を密封する一対のシール118、119が嵌合配設される。これにより、内部に充填されたグリースの漏洩ならびに外部からの水や異物の侵入を防止するようになっている。
等速自在継手105はドライブシャフトを構成する中間軸(図示せず)の一端に設けられるもので、内周にトラック溝が形成された外側継手部材120と、中間軸の一端に固定され、外側継手部材120のトラック溝と対向するトラック溝を外周面に有する内側継手部材121と、外側継手部材120のトラック溝と内側継手部材121のトラック溝との間に組み込まれたボール122と、外側継手部材120と内側継手部材121との間に配設され、ボール122を円周方向等間隔に保持するケージ123とからなる。
外側継手部材120は、内側継手部材121、ボール122、およびケージ123を収容したマウス部124と、マウス部124から軸方向に一体的に延びるステム部125とを有する。ステム部125の外周には、複数のスプライン歯126からなる雄スプライン部が形成されている。なお、外側継手部材120と中間軸との間にブーツバンドにより蛇腹状ブーツ(何れも図示は省略)を締め付け固定することにより、グリースが外部へ漏洩し、あるいは、外部から水やダスト等の異物が侵入するのを防止している。
ステム部125をハブ輪101の内周に挿入し、ステム部125の外周に設けた雄スプライン部を、ハブ輪101の内周に設けた雌スプライン部に嵌合する。併せて、ステム部125の先端に形成された中空筒部127を半径方向外側に加締めることで、外側継手部材120がハブ輪101に固定される。この場合、円周方向で相互に係合する雌スプライン部のスプライン歯110と雄スプライン部のスプライン歯126との間でトルク伝達が行われる。
また、この種のスプライン嵌合によりステム部をハブ輪に取り付ける場合、トルク伝達時におけるガタの発生を抑制あるいは防止する目的で、半径方向あるいは円周方向に締め代を設けた状態で双方のスプライン部を嵌合する手段が提案されている(同じく、特許文献1を参照)。
特開2003−54211号公報
ところで、この種の軸受装置においては、スプライン嵌合作業をスムーズかつ正確に行うことが生産性の面および精度の面で重要となる。すなわち、スプライン嵌合に際しては、挿入する一方の部材(例えば外側継手部材120のステム部125)に対し、他方の部材(例えばハブ輪101)の移動を治具等で拘束した状態で行う必要がある。また、嵌合前に双方のスプライン部間での位置合わせや位相合わせを必要とする。そのため、生産性の面やコスト面から、なるべく簡便かつスムーズに挿入作業を行うことが肝要となる。
また、スプライン嵌合は高トルク伝達を目的とするものであるから、例えば傾いて挿入されたり、芯ずれを生じた状態で挿入されると、嵌合(圧入嵌合)が不均等になされることとなり、トルクの伝達特性に悪影響を及ぼしかねない。また、嵌合部において緩みやガタが発生する原因となるため好ましくない。
特に、特許文献1のように締め代をもってスプライン部の嵌合作業を行う場合には、双方のスプライン部間でその中心軸が多少ずれた状態で挿入されても、そのままの状態で圧入される恐れがある。これでは、同軸度の低下を招くなど適切な組立て精度を得ることが難しく、また組立て精度を確保するために当該作業をより慎重に行わざるを得ない。かかる問題は、特に半径方向の締め代をもってスプライン嵌合を行う場合に顕著となる。そのため、この場合には、スプライン間の位相や同軸度のずれを吸収するため、ハブ輪101の内周面101aと、ステム部125の外周面125aとは、隙間嵌めでもって嵌合する必要がある。しかしながら、ハブ輪101の内周面101aとステム部125の外周面125aとを隙間嵌めでもって嵌合することは、軸受装置の剛性低下や嵌合面でのフレッティング摩耗を招来するという点で好ましくない。
以上の事情に鑑み、本発明では、スプライン嵌合に係る挿入作業を簡便かつ正確に行うことで、組立て精度を高めた車輪用軸受装置を低コストに量産することを技術的課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、内周に軌道面を有する外方部材と、一端に車輪取付け部を有すると共に外周に軌道面を有する内方部材と、内方部材との間にスプライン嵌合部を形成する等速自在継手の外側継手部材と、少なくとも外方部材の軌道面と内方部材の軌道面との間に配設される転動体とを備え、外側継手部材を内方部材に挿入してスプライン嵌合部でトルク伝達可能に結合させた車輪用軸受装置において、スプライン嵌合部を構成する雌雄一対のスプライン歯のうち、少なくとも一方のスプライン歯の挿入側端部に、他方のスプライン歯を案内するための案内面が設けられていることを特徴とする車輪用軸受装置を提供する。
この構成によれば、複数のスプライン歯(からなる雌雄のスプライン部)の中心軸がずれた状態で挿入が開始された場合であっても、少なくとも一方のスプライン歯の側に設けた案内面により、スプライン歯が相対的に適正な位置および姿勢に案内されつつ挿入される。そのため、高い組立て精度を伴って挿入作業ひいてはスプライン嵌合作業をスムーズに行うことができる。また、他方のスプライン歯が一方の案内面に当接した後、スプライン嵌合が開始されるので、過度の押込み力がスプライン部を有する部品あるいはその周囲の部品に作用する事態を可及的に避けることができる。そのため、これらの部品に不必要な変形を招くことがない。この点でも、組み立て精度の向上を図ることが可能となる。特に、スプライン嵌合が締め代を伴って実施される場合、先ず案内面に当接させることで、圧入力が急激に上昇するのを可及的に回避することができる。そのため、かかる圧入作業を慎重にかつ時間をかけて行わずに済み、生産面やコスト面でも優れている。
なお、特許文献1に開示のように、スプライン歯には、その端面形状を挿入方向に向けてテーパ状に拡径させたものがあるが(例えば図7を参照)、通常、この種の端面126aは、スプライン歯126を転造加工あるいはプレス加工等の塑性加工で形成する際、例えば塑性加工時の素材の逃げ等、その加工性を考慮して設けられたものに過ぎない。そのため、本件発明の如く案内機能を発揮するものとはいえない。また、スプライン歯の側面は、互いに嵌合する他のスプライン歯と係合し、トルク伝達を行うための面である。そのため、端面の傾斜角(例えばステム部の中心軸に対する傾斜角)を小さくすると、スプライン歯同士の係合面積が減少し、また歯端部における係合状態が変化することで、トルク伝達特性あるいは疲労強度等の耐久性に悪影響を及ぼす恐れがある。以上より、歯端面の傾斜角を、挿入性向上のために変更することは適切ではない。対して、本件発明によれば、スプライン歯が本来有すべきトルク伝達特性や機械的強度を確保しつつも、挿入性の向上ひいては生産性の向上を低コストに達成することが可能となる。
上述の案内面は、互いに嵌り合う他方のスプライン歯を案内できる形状をなしていればよく、例えば挿入方向に向けて漸次拡径する傾斜面で構成することができる。かかる構成とすることで、よりスムーズに他方のスプライン歯を挿入方向に案内することができ、作業性のさらなる向上を図ることが可能となる。また、半径方向の締め代をもってスプライン嵌合を行う場合、締め代が徐々に増加する点でも作業性に優れた構成といえる。具体的には、例えば図3(b)に示すように、スプライン歯26の挿入側端面26aの外径側に、挿入方向(スプライン歯26の挿入側端面26aから離れる向き)に向けてテーパ状に拡径する傾斜面31を形成するのがよい。この場合、スプライン歯26を有する外側継手部材の中心軸に対する傾斜面31の傾き(傾斜角)を、端面26aの傾きより小さくすることが肝要である。
以上のように、本発明によれば、スプライン嵌合に係る挿入作業を簡便かつ正確に行うことで、組立て精度を高めた車輪用軸受装置を低コストに量産することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図4に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車輪用軸受装置を示すもので、駆動輪用軸受装置として用いられるものである。この車輪用軸受装置は、内方部材としてのハブ輪1と外方部材としての外輪2、複列の転動体3、4、および等速自在継手5を主要な構成要素として構成されている。
ハブ輪1は、車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付けフランジ6を備えており、車輪取付けフランジ6の円周方向等間隔に、ホイールディスクを固定するためのハブボルト7が植設されている。ハブ輪1の外周には、後述する複列の軌道面のうち、アウトボード側(車輪側)の軌道面8が形成されている。この軌道面8は、後述する外側継手部材20の肩部に形成された軌道面9とで複列の軌道面を構成する。また、ハブ輪1の内周には、複数のスプライン歯10からなる雌スプライン部が形成されている。
外輪2は、内周にハブ輪1の軌道面8および外側継手部材20の軌道面9と対向する複列の軌道面11、12を有すると共に、車体(図示せず)に取り付けるための車体取付けフランジ13を一体に有している。車体取付けフランジ13には複数の取付け孔14が形成されており、これら取付け孔14を利用して、車体の懸架装置から延びるナックル(図示せず)に車体取付けフランジ13がボルト固定される。
上記構成の外輪2を、その内周に設けた軌道面11、12がハブ輪1および外側継手部材20の軌道面8、9と対向する位置に配設すると共に、これら軌道面間に転動体3、4を配設することで、車輪(ハブ輪1)用の軸受部17が構成される。この際、各列の転動体3、4はそれぞれ保持器15、16により円周方向等間隔に支持された状態で配設されている。この実施形態では、軸受部17は複列のアンギュラ玉軸受構造をなしている。また、インボード側の転動体4が、アウトボード側の転動体3より大径側に配設されるよう、各々の軌道面8、9、11、12が形成されている。かかる構成とすれば、収容可能な転動体4の数が増加するため、負荷容量の増大化を図ることが可能となる。
軸受部17の両端開口部には、ハブ輪1と外側継手部材20とに摺接可能で、かつ外輪2とハブ輪1および外側継手部材20との環状空間を密封する一対のシール部18、19が配設される。この実施形態では、インボード側のシール部19の一部が外側継手部材20に、残部が外輪2に固定され、両者間で摺接可能となるよう構成されている。
等速自在継手5は、ドライブシャフトを構成する中間軸(図示せず)の一端に設けられるもので、内周にトラック溝が形成された外側継手部材20と、中間軸の一端に固定され、外側継手部材20のトラック溝と対向するトラック溝を外周面に有する内側継手部材21と、外側継手部材20のトラック溝と内側継手部材21のトラック溝との間に組み込まれたボール22と、外側継手部材20と内側継手部材21との間に配設され、ボール22を円周方向等間隔に保持するケージ23とからなる。
外側継手部材20は、内側継手部材21、ボール22、およびケージ23を収容したマウス部24と、マウス部24から軸方向に一体的に延びるステム部25とを有する。ステム部25の外周には、複数のスプライン歯26からなる雄スプライン部が形成されている。なお、図示は省略するが、外側継手部材20と中間軸との間の空間をブーツで被覆することにより、グリースが外部へ漏洩し、あるいは継手内部へ水やダスト等の異物が侵入するのを防止することも可能である。
ステム部25をハブ輪1の内周に挿入し、ステム部25の外周に設けた雄スプライン部を、ハブ輪1の内周に設けた雌スプライン部に嵌め合わせることで、スプライン嵌合部が形成される。併せて、ステム部25の先端に形成された中空筒部27を半径方向外側に加締めることで、外側継手部材20がハブ輪1に固定される。この実施形態では、後述のように、スプライン嵌合部が半径方向の締め代を伴って形成される。
また、この実施形態では、スプライン嵌合がなされると同時に、雌雄一対のスプライン歯10、26のインボード側にそれぞれ位置するハブ輪1の内周円筒面1aと、ステム部25の外周円筒面25aとが、締め代をもって嵌合される。
上記構成の車輪用軸受装置において、円周方向で相互に係合する雌スプライン部のスプライン歯10と雄スプライン部のスプライン歯26との間でトルク伝達が行われる。以下、スプライン嵌合に係る挿入作業の詳細を図2〜図4に基づき説明する。
図2は、挿入嵌合前における車輪用軸受装置の各部品の状態を示している。ハブ輪1は、外輪2、転動体3、4、および保持器15、16をアセンブリした状態にある。一方、ステム部25を一体に有する外側継手部材20は、内側継手部材21、ボール22、およびケージ23をアセンブリした状態にある。
図3(a)および図3(b)は共に、挿入嵌合前におけるスプライン歯10、26の挿入側端部(図2でいえばそれぞれAで示す部分とBで示す部分)を円周方向側から見た拡大断面図である。図3(a)に示すように、ハブ輪1に設けた雌側のスプライン歯10の挿入側(ここではインボード側)端部には、雄側のスプライン歯26を案内するための案内面28が設けられている。また、図3(b)に示すように、ステム部25に設けた雄側のスプライン歯26の挿入側(ここではアウトボード側)端部には、雌側のスプライン歯10を案内するための案内面29が設けられている。
詳細には、ハブ輪1側の案内面28は、インボード側からアウトボード側、すなわちステム部25の挿入方向に向けてテーパ状に拡径する傾斜面30で構成されている。傾斜面30は、その軸方向両端でスプライン歯10の挿入側端面10aおよび外周面10bとつながっている。同様に、ステム部25側の案内面29は、アウトボード側からインボード側、すなわちハブ輪1の嵌合方向に向けてテーパ状に拡径する傾斜面31で構成されている。傾斜面31は、その軸方向両端でスプライン歯26の挿入側端面26aおよび外周面26bとつながっている。この実施形態では、ハブ輪1の中心軸に対する傾斜面30の傾斜角が、同中心軸に対する挿入側端面10aの傾斜角より小さくなるように形成されている。同様に、外側継手部材20(ステム部25)の中心軸に対する傾斜面31の傾斜角が、同中心軸に対する挿入側端面26aの傾斜角より小さくなるように形成されている。
上述の状態から、ハブ輪1の内周に外側継手部材20のステム部25を挿入して、スプライン歯10、26間の嵌合を開始する。ここで、スプライン歯10の挿入側端部に、互いに嵌り合う相手側のスプライン歯26を案内するための案内面28を設けておくことで、ステム部25の挿入姿勢やその位置が適正な状態に案内されながら挿入嵌合が進行する。ステム部25側のスプライン歯26に設けた案内面29に関しても、同様の作用を奏する。
また、この実施形態では、雌側スプライン歯10の谷部10cの内径寸法が、雄側スプライン歯26の外径寸法より小さく設定されており、かつ雄側スプライン歯26の谷部26cの外径寸法が雌側スプライン歯10の内径寸法より大きく設定されている。そのため、スプライン歯10、26間の嵌合が半径方向の締め代を伴って行われる。言い換えると、スプライン歯10、26間で圧入嵌合がなされる。
このようにして挿入作業を行うことで、例えば図4に示すように、双方のスプライン歯10、26間にスプライン嵌合部が形成されると共に、雌雄一対のスプライン歯10、26のインボード側にそれぞれ位置するハブ輪1の内周円筒面1aと、ステム部125の外周円筒面25aとが、例えば締め代をもって嵌合される。
そして、両者の嵌合作業が終了した段階で、具体的には、外側継手部材20の肩部にハブ輪1のインボード側端面が当接する位置まで挿入した段階で、ステム部25先端に設けた中空筒部27を半径方向外側に向けて加締め、これにより外側継手部材20をハブ輪1に固定する。なお、外側継手部材20の肩部にハブ輪1のインボード側端面を突き合わせた状態で、ステム部25の加締め量を調整することで軸受部17に付与する予圧の大きさが管理可能である。
このように、スプライン歯26の挿入側端部に案内面29を設けた外側継手部材20をハブ輪1に挿入することで、雌側スプライン歯10の中心軸と、雄側スプライン歯26間の中心軸がずれた状態で挿入が開始された場合であっても、スプライン歯26が相対的に適正な位置および姿勢に案内されつつ挿入される。そのため、高い組立て精度を伴ってかかる挿入嵌合作業を行うことができる。また、先ず一方のスプライン歯26が他方のスプライン歯10の案内面28に当接した後、スプライン嵌合が開始されるので、適度な押し込み力でもってスプライン部を挿入嵌合することができる。そのため、当該スプライン部を設けた部品(ハブ輪1や外側継手部材20)をはじめ周囲の部品に過大な負荷が作用するのを避け、不要な変形が生じるのを極力避けることができる。かかる案内面は、この実施形態のように、双方のスプライン歯10、26に設けることでより有効に作用する。
また、この実施形態では、案内面28を、挿入方向に向けてテーパ状に拡径する傾斜面30で形成したので、先ずこの案内面28と当接した他方のスプライン歯26を、よりスムーズかつ正確に案内することができる。特に、この実施形態のように、スプライン嵌合が半径方向の締め代を伴って実施される場合、スプライン歯10、26間の圧入が、テーパ状の傾斜面30上で開始される。これにより、挿入の進行と共に、徐々に締め代が増加する形となるため、圧入力が急激に上昇するのを可及的に避けることができる。従い、この構成によれば、圧入嵌合作業を慎重にかつ時間をかけて行わずに済むため、生産面ひいてはコスト面で好適であり、かつスプライン嵌合部におけるガタや緩みを低減した良質の軸受装置を提供することが可能となる。
なお、上述の構成による作用、特に締め代を伴ってスプライン嵌合部を形成する場合の作用を有効に得るためには、傾斜面30の内径寸法を適正に設計することが肝要となる。すなわち、雌側のスプライン歯10に設けた傾斜面30の内径寸法の最大値、言い換えると、傾斜面30と挿入側端面10aとの連続部分における内径寸法が、雄側スプライン歯26の谷部26cの外径寸法より大きくなるよう設計を行うことが、案内面28、29による作用を有効に得る上で肝要となる。
また、この実施形態では、雌雄一対のスプライン歯10、26のインボード側にそれぞれ位置するハブ輪1の内周円筒面1aとステム部25の外周円筒面25aとを締め代をもたせて嵌合させている。
かかる構成とすれば、ハブ輪1の内周円筒面1aを含む箇所(インボード側筒部)が緩み、ひいてはスプライン嵌合部に緩みやガタが生じるのを極力避けることができる。特に、この種の軸受装置においては、ハブ輪1は、その外周にアウトボード側の軌道面8を有する。そのため、内周円筒面1aとステム部25の外周円筒面25aとを半径方向の締め代を伴って嵌合することで、軌道面8側から受けるモーメント荷重により、ハブ輪1の内周円筒面1aを含む箇所(インボード側筒部)がフレッティング摩耗を生じるのを抑制することができる。これにより、スプライン嵌合部の緩みやガタを招くことなく当該軸受装置を継続使用することができ、耐久性の向上ひいては信頼性の向上を図ることが可能となる。
上述の如く、内周円筒面1aとステム部25の外周円筒面25aとを半径方向の締め代を伴って嵌合する場合、言い換えると、スプライン嵌合部のインボード側に位置する円筒嵌合部を圧入を伴って形成する場合、スプライン嵌合部の軸方向寸法Lsを、円筒嵌合部の軸方向寸法Lpより小さく設定するのが好ましい。
このような寸法関係とすることで、ハブ輪1の内周円筒面1aとステム部25の外周円筒面25aとが嵌り合う前に、スプライン歯10、26間で嵌合が開始する。そのため、この円筒嵌合部を締め代をもって嵌合固定しつつも、スプライン歯10、26間の位相合わせを容易に行うことができ、かかる嵌合作業を迅速に行うことができる。従い、以上の構成によれば、信頼性および耐久性に優れた車輪用軸受装置を低コストに量産することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態に係る車輪用軸受装置の構成および製造工程を説明したが、もちろん、これに限定されることなく、上記以外の構成および工程を採ることも可能である。
例えば上記実施形態では、案内面28、29を、挿入方向に向けてテーパ状に拡径する傾斜面30、31でそれぞれ構成した場合を説明したが、特にこの構成に限る必要はない。すなわち、案内面28、29は、当接する他方のスプライン歯26、10をそれぞれ挿入方向に向けて案内する機能を奏する限りにおいて任意の形状を採ることができる。具体的には、案内面28を構成する面は滑らかであればよく、例えばスプライン歯26、10の配列方向(円周方向)側から見て凸状に拡径する形状(曲面状など)であってもよい。あるいは、これら漸次拡径する傾斜面30、31と、これら傾斜面30、31と連続する径一定の円筒面とで案内面28、29を構成することも可能である。
図5はその一例を示すもので、雄側(ステム部25側)のスプライン歯26における案内面29が、径一定の円筒面32と、この円筒面32とインボード側でつながる傾斜面31とで構成されている。この場合、スプライン歯26の挿入側端面26aがそのインボード側で円筒面32とつながっていると共に、スプライン歯26の外周面26bがそのアウトボード側で傾斜面31とつながっている。かかる構成は、特にスプライン歯10、26間の嵌合姿勢を高精度に矯正あるいは維持できる利点を有する。
また、上記実施形態では、半径方向の締め代を伴ってスプライン嵌合を行う場合を説明したが、円周方向の締め代を伴ってスプライン嵌合を行うことも可能である。あるいは、半径方向と円周方向共に締め代を与えた状態でスプライン嵌合を行うことも可能である。円周方向の締め代を付与した状態でスプライン嵌合を実施することにより、スプライン嵌合部の特に円周方向へのガタを抑制することができ、効果的である。円周方向の締め代は、図示は省略するが、例えば雄側のスプライン歯26に所定のねじり角を付与したものを用意し、これに他方のスプライン歯10を嵌合することで得ることができる。
また、上記実施形態では、内方部材としてのハブ輪1の外周にアウトボード側の軌道面8を形成すると共に、ハブ輪1に固定される外側継手部材20の肩部にインボード側の軌道面9を形成したタイプ(いわゆる第4世代)に本発明を適用した場合を説明したが、これに限定されることなく、他のタイプ(いわゆる第1〜第3世代)の車輪用軸受装置にも適用することができる。すなわち、図示は省略するが、ハブ輪1や外側継手部材20とは別体の内輪部材を組み込み、この内輪部材の外周に、外側継手部材20に代えてインボード側の軌道面9を形成したタイプ(第3世代)の車輪用軸受装置や、さらに別体の内輪部材(第2の内輪部材)をハブ輪1と外輪2との間に組み込み、第2の内輪部材の外周に、ハブ輪1に代えてアウトボード側の軌道面8を形成したタイプ(第1、第2世代)の車輪用軸受装置にも本発明を適用することが可能である。従い、本発明における内方部材は、ハブ輪1のみで構成されるものの他、ハブ輪1と少なくとも一方の軌道面を有する部材(上記構成でいえば内輪部材)とで構成されるものを含む。
また、ハブ輪1と等速自在継手5との結合構造(特に抜止め構造)として、上記実施形態では、ステム部25の先端(例えば中空筒部27)を加締め固定した構造を例示したが、もちろんこれに限ることなく種々の固定手段が適用可能である。例えば図示は省略するが、ステム部25の先端にねじ部を設け、このねじ部にナットを螺合させることでステム部をハブ輪に固定する構造などが採用可能である。
1 ハブ輪
1a 内周円筒面
2 外輪
3、4 転動体
5 等速自在継手
6 フランジ
8、9、11、12 軌道面
10 スプライン歯(雌側)
20 外側継手部材
25 ステム部
25a 外周円筒面
26 スプライン歯(雄側)
28、29 案内面
30、31 傾斜面
32 円筒面
Ls スプライン嵌合部の軸方向寸法
Lp 円筒嵌合部の軸方向寸法
1a 内周円筒面
2 外輪
3、4 転動体
5 等速自在継手
6 フランジ
8、9、11、12 軌道面
10 スプライン歯(雌側)
20 外側継手部材
25 ステム部
25a 外周円筒面
26 スプライン歯(雄側)
28、29 案内面
30、31 傾斜面
32 円筒面
Ls スプライン嵌合部の軸方向寸法
Lp 円筒嵌合部の軸方向寸法
Claims (3)
- 内周に軌道面を有する外方部材と、一端に車輪取付け部を有すると共に外周に軌道面を有する内方部材と、前記内方部材との間にスプライン嵌合部を形成した等速自在継手の外側継手部材と、少なくとも前記外方部材の軌道面と前記内方部材の軌道面との間に配設される転動体とを備え、前記外側継手部材を前記内方部材に挿入して前記スプライン嵌合部でトルク伝達可能に結合させた車輪用軸受装置において、
前記スプライン嵌合部を構成する雌雄一対のスプライン歯のうち、少なくとも一方のスプライン歯の挿入側端部に、他方のスプライン歯を案内するための案内面が設けられていることを特徴とする車輪用軸受装置。 - 前記案内面が、テーパ状傾斜面で構成されている請求項1記載の車輪用軸受装置。
- 前記スプライン嵌合部が、半径方向の締め代をもって形成されている請求項1又は2記載の車輪用軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007019702A JP2008184051A (ja) | 2007-01-30 | 2007-01-30 | 車輪用軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007019702A JP2008184051A (ja) | 2007-01-30 | 2007-01-30 | 車輪用軸受装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2008184051A true JP2008184051A (ja) | 2008-08-14 |
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ID=39727356
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JP2007019702A Withdrawn JP2008184051A (ja) | 2007-01-30 | 2007-01-30 | 車輪用軸受装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010047057A (ja) * | 2008-08-19 | 2010-03-04 | Ntn Corp | 車輪用軸受装置およびアクスルモジュール |
JP2010116144A (ja) * | 2008-10-14 | 2010-05-27 | Ntn Corp | 車輪用軸受装置 |
-
2007
- 2007-01-30 JP JP2007019702A patent/JP2008184051A/ja not_active Withdrawn
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