JP2010127312A - 摺動式等速自在継手およびこれを用いた車輪駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐久性の向上を図り、球対偶での球面保持力を確保すると共に組立てを容易にし、高角化の実現とコンパクト化を図る。
【解決手段】 円筒状の外輪30を共通にしてその一端側に固定式継手部10を配設すると共に他端側に摺動式継手部20を配設し、摺動式継手部20の内輪22にスプライン嵌合されたシャフト21の端部に凸球面部25を設けると共に固定式継手部10の内輪12にスプライン嵌合されたシャフト11の端部に凹球面部15を設け、凹球面部15と凸球面部25からなる球対偶40を介して固定式継手部10と摺動式継手部20を連結し、凸球面部25を、凹球面部15の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部50と、その頭部50の中空部52に軸方向スライド可能に嵌挿された首部21bとで構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、自動車などの動力伝達系において使用され、駆動側と従動側の二軸間で角度変位と軸方向変位を許容する摺動式等速自在継手、およびこの等速自在継手を車輪用軸受に組み付けた車輪駆動装置に関する。
例えば、自動車のエンジンから車輪に回転力を等速で伝達する手段として使用される等速自在継手には、固定式等速自在継手と摺動式等速自在継手の二種がある。これら両者の等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸を連結してその二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達し得る構造を備えている。
自動車のエンジンから駆動車輪に動力を伝達するドライブシャフトは、エンジンと車輪との相対的位置関係の変化による角度変位と軸方向変位に対応する必要があるため、エンジン側(インボード側)に摺動式等速自在継手を、駆動車輪側(アウトボード側)に固定式等速自在継手をそれぞれ装備し、両者の等速自在継手をシャフトで連結した構造を具備する。
一般的に、前述した固定式等速自在継手としては、バーフィールド型等速自在継手(以下、BJと称す)や作動角の大きなアンダーカットフリー型等速自在継手(以下、UJと称す)が広く知られている。また、摺動式等速自在継手としては、ダブルオフセット型等速自在継手(以下、DOJと称す)やレブロ型等速自在継手(以下、LJと称す)が広く知られている。
近年、自動車の乗車空間拡大の観点からホイールベースを長くすることがあるが、それに伴って車両回転半径が大きくならないようにするため、自動車のドライブシャフトの連結用継手として使用されている摺動式等速自在継手の高角化による前輪の操舵角の増大が求められている。
この要望に対して、本出願人は、前述の問題点を改善するため、二つの等速自在継手、例えばUJとDOJを組み合わせて、構造が簡単で高角化を実現容易にした軽量コンパクトな摺動式等速自在継手を先に提案している(例えば、特許文献1参照)。
この摺動式等速自在継手は、図13に示すように、単一の円筒状外輪130を共通にしてその一端側に固定式継手部110(UJ)を配設すると共に他端側に摺動式継手部120(DOJ)を配設し、その固定式継手部110の内輪112にスプライン嵌合されたシャフト111のDOJ側端部に凸球面部115を設けると共に摺動式継手部120の内輪122にスプライン嵌合されたシャフト121のUJ側端部に凹球面部125を設け、その凸球面部115と凹球面部125からなる球対偶140を介して固定式継手部110のシャフト111と摺動式継手部120のシャフト121とを連結し、凸球面部115をシャフト111に滑り軸受119を介してその軸方向にスライド可能に取り付けた構造を具備する。
このように固定式継手部110と摺動式継手部120を共通の外輪130に組み込み、両者の固定式継手部110と摺動式継手部120を球対偶140で連結した構造としたことにより、固定式継手部110と摺動式継手部120のそれぞれの作動角を加えた大きな作動角を実現することができ、固定式継手部110と摺動式継手部120との間に凸球面部115と凹球面部125からなる球対偶140が介在するのみであるため、構造が簡単で軽量コンパクトな摺動式等速自在継手を実現している。
ところで、球対偶140は、固定式継手部110のシャフト111の端部に設けられた凸球面部115と、摺動式継手部120のシャフト121の端部に設けられた凹球面部125とを球面嵌合により結合することにより形成されている。この等速自在継手の組立て時に、凸球面部115と凹球面部125との球面嵌合による結合を容易に行うために、図14に示すように凸球面部115の外周面に複数の切り欠き115cを円周方向等間隔に設けると共に、凹球面部125の開口部内周面に前述の凸球面部115の切り欠き115cと対応させて複数の切り欠き125cを円周方向等間隔に設けている。
この構造に基づいて、凸球面部115と凹球面部125の球面嵌合は、以下の要領でもって行う。つまり、凸球面部115の切り欠き115cと凹球面部125の切り欠き125cを対応させて位相合わせした上で、凸球面部115と凹球面部125の軸線を一致させた状態でその凸球面部115を凹球面部125に軸方向から挿入して嵌め込んだ上で両者を相互に回転させる。これにより、凸球面部115に凹球面部125が球面嵌合した球対偶140を形成するようにしている。
特開2007−78081号公報
ところで、前述した特許文献1に開示された摺動式等速自在継手では、凸球面部115が、内輪112にスプライン嵌合されたシャフト111に滑り軸受119を介して軸方向にスライド可能に取り付けられた構造を具備する。この構造の場合、等速自在継手が作動角をとった状態でトルクが負荷されると、凸球面部115の付け根部115b1に大きな曲げ荷重が加わり、負荷トルクの増大に対してその凸球面部115の付け根部115b1の強度を確保することが困難となる可能性がある。
この等速自在継手におけるトルク負荷容量を大きくするには、凸球面部115の付け根部115b1の外径を大きくすればよいが、その凸球面部115の付け根部115b1の外径を大きくした場合、凸球面部115が軸方向スライド可能に連結されたシャフト111の外径も大きくなり、等速自在継手自体が大型化することになり、等速自在継手のコンパクト化が困難となる。
また、この摺動式等速自在継手では、凸球面部115と凹球面部125との球面嵌合による結合を容易に行うため、凸球面部115の外球面および凹球面部125の内球面のそれぞれに切り欠き115c,125cを設けている。これにより、凸球面部115と凹球面部125を球面嵌合させた球対偶140において、凸球面部115と凹球面部125の球面保持面積が少なくなり、等速自在継手が作動角をとった状態ではその球面保持面積が作動角が0°の時よりもさらに少なくなる。その結果、球対偶140における球面保持力が低下する可能性がある。
さらに、凹球面部125に切り欠き125cを形成した場合、その凹球面部125の切り欠き形成部位の肉厚が薄くなることから、凹球面部125の強度が低下するおそれもあった。等速自在継手の組立て時においても、凹球面部125の切り欠き125cと凸球面部115の切り欠き115cを対応させて位相合わせを行わなければならず、組立てが煩雑となる可能性もあった。
そこで、本発明は前述の点を改善して提案されたもので、その目的とするところは、耐久性の向上を図り、球対偶での球面保持力を確保すると共に組立てを容易にし、高角化を実現し得る軽量コンパクトな摺動式等速自在継手およびこれを用いた車輪駆動装置を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明に係る摺動式等速自在継手は、円筒状外方部材を共通にしてその一端側に固定式継手部を配設すると共に他端側に摺動式継手部を配設し、固定式継手部の内方部材あるいは摺動式継手部の内方部材のいずれか一方の対向端部に凸球面部を設けると共に他方の対向端部に凹球面部を設け、凹球面部と凸球面部からなる球対偶を介して固定式継手部と摺動式継手部を連結し、凸球面部を、凹球面部の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部と、その頭部の中空部に軸方向スライド可能に嵌挿された首部とで構成したことを特徴とする。
本発明では、固定式継手部と摺動式継手部とで円筒状外方部材を共通にしたことにより、その外方部材内に固定式と摺動式の二つの継手部を組み合わせた構造を具備する。さらに、固定式継手部の内方部材あるいは摺動式継手部の内方部材のいずれか一方の対向端部に凸球面部を設けると共に他方の対向端部に凹球面部を設け、凹球面部と凸球面部からなる球対偶を介して固定式継手部と摺動式継手部を連結し、凸球面部を、凹球面部の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部と、その頭部の中空部に軸方向スライド可能に嵌挿された首部とで構成したことにより、凸球面部と凹球面部からなる球対偶は、固定式継手部と摺動式継手部で共通の一点を中心とした球面案内機構となり、かつ、凸球面部の頭部に対して首部を軸方向にスライド可能としているので、球対偶の中心を作動角の中心とした摺動式等速自在継手となる。
このように固定式継手部と摺動式継手部を共通の外方部材に組み込み、両者の固定式継手部と摺動式継手部を球対偶で連結した構造とすることにより、固定式継手部と摺動式継手部のそれぞれの作動角を加えた大きな作動角を実現することができ、固定式継手部と摺動式継手部との間に凸球面部と凹球面部からなる球対偶が介在するのみであるため、構造が簡単で軽量コンパクトな摺動式等速自在継手を提供できる。
さらに、この摺動式等速自在継手では、凸球面部を、凹球面部の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部と、その頭部の中空部に軸方向スライド可能に嵌挿された首部とで構成したことにより、等速自在継手全体の軸方向寸法および径方向寸法を大きくすることなく、凸球面部の付け根部、つまり、凸球面部の頭部に嵌挿された首部の大径化が可能となる。その結果、等速自在継手が作動角をとり負荷トルクが増大した場合であっても、凸球面部の首部に加わる大きな曲げ荷重に対して首部の強度を十分に確保することができる。
また、凸球面部を、凹球面部の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部と、その頭部の中空部に軸方向スライド可能に嵌挿された首部とで構成したことで、凸球面部の頭部に球面嵌合される凹球面部は単純な内球面を有し、その内球面に凸球面部入れ込みのための切り欠きが形成されていないことから、球対偶における凸球面部と凹球面部の球面保持面積を確保することが容易となり、等速自在継手が作動角をとったとしても、その球面保持面積の減少量は小さく抑えられ、球面保持力の向上が図れると共に凹球面部に切り欠きによる薄肉部も無くなって強度向上も図れる。
本発明における凸球面部を、凹球面部の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部と、その頭部の中空部に軸方向スライド可能に嵌挿された首部とで構成する場合、摺動式継手部の内方部材を、内輪とその内輪にトルク伝達可能に嵌挿されたシャフトとで構成し、そのシャフトの端部に凸球面部の首部を設けた構造が望ましい。このような構造を採用すれば、従来のようにスライド部分が凸球面部の頭部の外部に配置されることなく、そのスライド部分が凸球面部の頭部の内部、つまり、頭部の中空部に配置されているため、従来構造よりもモーメントによる荷重が小さくスライド抵抗を小さくすることができる。
本発明では、凸球面部の頭部と首部とを軸方向に延びる凹凸嵌合構造でもって連結することが望ましい。この凹凸嵌合構造により、凸球面部の頭部と首部が相対的に周方向で回転不能となるので、その凹凸嵌合構造が回り止めとしての機能を発揮する。この回り止め機能により、凸球面部の頭部と首部との間、および凸球面部と凹球面部との間で等速自在継手の回転に伴う周方向の回転変位を止めることができ、凸球面部および凹球面部での摩耗や摩耗に伴う接触面積の減少による球面保持力の低下を抑制でき、発熱による耐久性の低下も抑制できる。
本発明では、摺動式継手部の抜け止め手段を、凸球面部の頭部あるいは外方部材の少なくとも一方に設けることが望ましい。このような抜け止め手段を設ければ、首部が凸球面部の頭部の中空部から抜け出ることを防止でき、これは、凸球面部が設けられた摺動式継手部が外方部材から抜け出ることを防止することになる。この抜け止め手段は、凸球面部の頭部あるいは外方部材のいずれか一方に設ければよく、その場合、抜け止め手段を設けない他方を簡易な構造とすることができてコスト低減が図れる。なお、抜け止め手段を凸球面部の頭部と外方部材の両方に設ければ、摺動式継手部を確実に抜け止めすることが可能となる。
以上で述べた摺動式等速自在継手は、自動車などの車両の回転駆動源から車輪に動力を伝達するドライブシャフトなどの動力伝達系に車輪駆動装置として適用可能である。この摺動式等速自在継手では、固定式継手部と摺動式継手部とで等速自在継手の作動角を分担することになる。そのため、固定式継手部の作動角と摺動式継手部の作動角との合計となる等速自在継手の作動角、特に、車両の常用角(直進状態での作動角)を大きく取れる点で、車輪駆動装置としての適用が有効である。
本発明に係る車輪駆動装置は、摺動式等速自在継手の固定式継手部の内方部材あるいは摺動式継手部の内方部材のいずれか一方を車輪用軸受に連結すると共に他方を回転駆動源に連結し、その回転駆動源を車両前後方向に沿う軸を中心に揺動可能に車体に支持した構造が望ましい。車輪駆動装置の場合、車両の振動による等速自在継手の上下動に伴って回転駆動源に連結された内方部材が回転駆動源に対して角度変位するが、前述したように回転駆動源を車両前後方向に沿う軸を中心に揺動可能に車体に支持すれば、回転駆動源に対する軸部材の角度変位を吸収することができる。
なお、この場合、回転駆動源の揺動中心軸がその回転駆動源の重心を通っていることがより一層望ましい。このようにすれば、内方部材の角度変位により回転駆動源が受ける反力を小さくすることができ、回転駆動源の振動を低減できる。
また、本発明では、回転駆動源を車両上下方向に沿う軸を中心に揺動可能に車体に支持した構造が望ましい。摺動式等速自在継手における球対偶の中心、つまり、等速自在継手の中心が車輪のステアリング角中心とずれている場合であっても、回転駆動源を車両上下方向に沿う軸を中心に揺動可能に車体に支持すれば、その等速自在継手の中心と車輪のステアリング角中心とのずれを吸収することができる。
なお、この場合も、回転駆動源の揺動中心軸がその回転駆動源の重心を通っていることがより一層望ましい。このようにすれば、内方部材の角度変位により回転駆動源が受ける反力を小さくすることができ、回転駆動源の振動を低減できる。
本発明によれば、固定式継手部と摺動式継手部を共通の外方部材に組み込み、両者の固定式継手部と摺動式継手部を球対偶で連結した構造としたことにより、固定式継手部と摺動式継手部のそれぞれの作動角を加えた大きな作動角を実現することができ、固定式継手部と摺動式継手部との間に凸球面部と凹球面部からなる球対偶が介在するのみであるため、構造が簡単で軽量コンパクトな摺動式等速自在継手を提供できる。
しかも、この摺動式等速自在継手では、凸球面部を、凹球面部の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部と、その頭部の中空部に軸方向スライド可能に嵌挿された首部とで構成したことにより、等速自在継手が作動角をとり負荷トルクが増大した場合であっても、凸球面部の首部に加わる大きな曲げ荷重に対して首部の強度を十分に確保することができ、耐久性の向上が図れる。また、球対偶における凸球面部と凹球面部の球面保持面積を確保することが容易となり、球面保持力および強度の向上が図れる。
その結果、例えば、近年における自動車のドライブシャフトに使用される摺動式等速自在継手の高角化による前輪の操舵角の増大への要望に迅速に対応することができる。
また、この摺動式等速自在継手は、自動車などの車両の回転駆動源から車輪に動力を伝達するドライブシャフトなどの動力伝達系に車輪駆動装置として適用する場合、車両の常用角を大きく取れる点で有効であり、摺動式等速自在継手を回転駆動源に直結する場合、低振動でコンパクトな車輪駆動装置を提供することができ、摺動式等速自在継手を用いた車輪駆動装置の設計自由度も増す。
本発明に係る摺動式等速自在継手の実施形態を以下に詳述する。図1に示す実施形態の摺動式等速自在継手は、固定式継手部としてUJ、摺動式継手部としてDOJをそれぞれ適用して組み合わせた構造を例示する。その他、固定式継手部としてはBJ、摺動式継手部としてはLJを適用して組み合わせることも可能である。
この実施形態の摺動式等速自在継手は、以下の構造を具備する。図1に示すように円筒状外方部材である単一の外輪30を共通にしてその一端側(図示左側)に固定式継手部10(UJ)を配設すると共に他端側(図示右側)に摺動式継手部20(DOJ)を配設している。固定式継手部10の内方部材である内輪12にスプライン嵌合されたシャフト11のDOJ側端部に凹球面部15を一体的に設けると共に、摺動式継手部20の内方部材である内輪22にスプライン嵌合されたシャフト21のUJ側端部に凸球面部25を設ける。凹球面部15と凸球面部25からなる球対偶40を介して固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21を連結した構造を具備する。
固定式継手部10は、軸方向に延びる複数のトラック溝31が円筒状内周面に円周方向等間隔で形成された外輪30を摺動式継手部20と共通にし、外輪30のトラック溝31と対をなして軸方向に延びる複数のトラック溝16が球面状外周面に円周方向等間隔で形成された内輪12と、外輪30のトラック溝31と内輪12のトラック溝16との間に介在してトルクを伝達する複数のボール14と、外輪30の円筒状内周面と内輪12の球面状外周面との間に介在して各ボール14を保持するケージ13とを備えている。複数のボール14は、ケージ13に形成されたポケット17に収容されて円周方向等間隔に配置されている。
内輪12の軸孔18には、駆動側あるいは従動側のシャフト11がスプライン嵌合によりトルク伝達可能に結合されている。また、シャフト11の外周面のスプライン端部に形成された環状凹溝11aにサークリップ等の止め輪19を内輪12の外輪開口側端部で係止させることにより、内輪12に対するシャフト11の抜け止め構造としている。このシャフト11と内輪12とで固定式継手部10の内方部材を構成している。
なお、図示しないが、外輪30とシャフト11との間には、例えば、樹脂あるいはゴム製の蛇腹状ブーツが装着され、このブーツにより外輪30の開口部を閉塞することで、継手内部からのグリース漏洩および継手外部からの異物侵入を防止している。ブーツの両端部は、外輪30の外周面およびシャフト11の外周面に締付けバンドにより固定されている。
この固定式継手部10では、外輪30のトラック溝31の曲率中心O11と内輪12のトラック溝16の曲率中心O12とを継手中心O10に対して等距離fだけ軸方向逆向きにオフセットさせている。このトラックオフセットにより、シャフト11と外輪30とが相対的に角度変位すると、ケージ13のポケット17に収容されたボール14は常にどの作動角においても、その作動角の二等分面内に維持され、継手の等速性が確保される。
また、外輪30のトラック溝31は、外輪開口側(図示左側)に位置して曲率中心O11を持つ円弧部分と、その曲率中心O11から径方向に延びる線分がトラック溝31の底部と交わる部位を境として外輪奥側(図示右側)に位置する軸方向と平行な直線部分とで構成されている。同様に、内輪12のトラック溝16は、外輪奥側に位置して曲率中心O12を持つ円弧部分と、その曲率中心O12から径方向に延びる線分がトラック溝16の底部と交わる部位を境として外輪開口側に位置する軸方向と平行な直線部分とで構成されている。
一方、摺動式継手部20は、軸線と平行に延びる複数の直線状トラック溝31が円筒状内周面に円周方向等間隔で形成された外輪30を固定式継手部10と共通にし、外輪30のトラック溝31と対をなして軸線と平行に延びる複数の直線状トラック溝26が球面状外周面に円周方向等間隔で形成された内輪22と、外輪30のトラック溝31と内輪22のトラック溝26との間に介在してトルクを伝達する複数のボール24と、外輪30の円筒状内周面と内輪22の球面状外周面との間に介在して各ボール24を保持するケージ23とを備えている。複数のボール24は、ケージ23に形成されたポケット27に収容されて円周方向等間隔に配置されている。
内輪22の軸孔28には、従動側あるいは駆動側のシャフト21がスプライン嵌合によりトルク伝達可能に結合されている。また、シャフト21の外周面のスプライン端部に形成された環状凹溝21aにサークリップ等の止め輪29を嵌合させ、内輪22の外輪奥側端部に形成された凹段部22aで止め輪29を係止させることにより、内輪22に対するシャフト21の抜け止め構造としている。このシャフト21と内輪22とで摺動式継手部20の内方部材を構成している。
なお、図示しないが、外輪30とシャフト21との間には、例えば、樹脂あるいはゴム製の蛇腹状ブーツが装着され、このブーツにより外輪30の開口部を閉塞することで、継手内部からのグリース漏洩および継手外部からの異物侵入を防止している。ブーツの両端部は、外輪30の外周面およびシャフト21の外周面に締付けバンドにより固定されている。
この摺動式継手部20では、ケージ23の球面状外周面の曲率中心O21と球面状内周面の曲率中心O22とを継手中心O20に対して等距離Fだけ軸方向にオフセットさせている。このケージオフセットにより、シャフト21と外輪30とが角度変位すると、ケージ23のポケット27に収容されたボール24は常にどの作動角においても、その作動角の二等分面内に維持され、継手の等速性が確保される。
これら固定式継手部10と摺動式継手部20を組み込んだ摺動式等速自在継手では、摺動式継手部20の凸球面部25を、凹球面部15の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部50と、その頭部50の中空部52に軸方向スライド可能に嵌挿された首部21bとで構成している。この凸球面部25の首部21bは、シャフト21の内輪22から外輪奥側へ突出する部分であり、スプライン形成部分の外径よりも小さい外径を有し、この小径の首部21bと大径のスプライン形成部分とを繋ぐ隅部21cはR形状をなす。
この凸球面部25の球面中心Oはシャフト21の中心軸M2上に配置されている。一方、固定式継手部10のシャフト11の先端部(摺動式継手部20のシャフト21との対向端部)に、凸球面部25を受ける凹球面部15が一体的に形成されている。この凹球面部15の球面中心Oはシャフト11の中心軸M1上に配置され、そのシャフト11の中心軸M1は摺動式継手部20のシャフト21の中心軸M2と一致する。凸球面部25の球面中心Oと凹球面部15の球面中心Oは一致して継手中心、つまり、球対偶の中心となる。
凹球面部15と凸球面部25からなる球対偶40を、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21で共通の一点を中心Oとして球面案内機構とし、球対偶40の凸球面部25の頭部50にシャフト21の首部21bを軸方向にスライド可能としたことにより、この球対偶40の中心Oを作動角の中心とする摺動式等速自在継手となる。
このように固定式継手部10と摺動式継手部20を共通の外輪30に組み込み、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21を球対偶40で連結した構造とすることにより、固定式継手部10の作動角と摺動式継手部20の作動角を加えた大きな作動角を実現することができ、構造が簡単で軽量コンパクトな摺動式等速自在継手を提供できる。
図2は固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21が作動角θをとった状態を示す。この作動角θは、固定式継手部10の作動角と摺動式継手部20の作動角の合計となり、図1に示すように固定式継手部10の作動角が0°での球対偶40の球面中心Oから固定式継手部10の継手中心O10までの距離L1と、摺動式継手部20の作動角が0°での球対偶40の球面中心Oから摺動式継手部20の継手中心O20までの距離L2との関係によって決定される。
通常、固定式継手部10(限界作動角50°)が摺動式継手部20(限界作動角30°)よりも構造上大きな作動角をとることができることから、球対偶40の球面中心Oから固定式継手部10の継手中心O10までの距離L1と、球対偶40の球面中心Oから摺動式継手部20の継手中心O20までの距離L2については、L1<L2の条件を満足するように設定すればよい。
このように設定することにより、固定式継手部10に摺動式継手部20よりも大きな作動角を分担させることになり(固定式継手部10の作動角>摺動式継手部20の作動角)、例えば、固定式継手部10の作動角を35°、摺動式継手部20の作動角を25°とすることで、摺動式等速自在継手としては、より大きな作動角(θ=60°)が得られる。
作動角θは、固定式継手部10と摺動式継手部20に分配されることから、それぞれの作動角が限界作動角よりも小さくて済むため、ボールトラック端部に余裕ができ、また、各ボールトラックの荷重変動は小さく、より平均化して付与されることから強度の向上が図れる。また、固定式継手部10と摺動式継手部20の各作動角が限界作動角よりも小さくて済むことから、固定式継手部10および摺動式継手部20の構成部材間の相対変位が小さくなるため、耐久性の向上も図れる。これは、車両の常用角(直進状態での作動角)が大きい場合に特にその効果が顕著である。
なお、ボール14,24が8個の場合には、6個ボールタイプに比べて内輪12,22のシャフトスペースを広く確保することができるので、固定式継手部10と摺動式継手部20のシャフト11,21間に位置する球対偶40(凹球面部15および凸球面部25)を形成し易くなる。
この摺動式等速自在継手では、凸球面部25を、凹球面部15の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部50と、その頭部50の中空部52に軸方向スライド可能に嵌挿された首部21bとで構成したことにより、等速自在継手全体の軸方向寸法および径方向寸法を大きくすることなく、凸球面部25の付け根部、つまり、凸球面部25の頭部50に嵌挿された首部21bの大径化が可能となる。その結果、等速自在継手が作動角をとり負荷トルクが増大した場合であっても、凸球面部25の首部21bに加わる大きな曲げ荷重に対して首部21bの強度を十分に確保することができる。
また、固定式継手部10の凹球面部15の外周面15aを内輪12の外輪反開口側端部のテーパ状端面12aに常時接触させた状態としていることから、その凹球面部15と内輪12との隙間を詰めて径方向および軸方向に隙間のない集約した構造としている。その結果、図2に示すように固定式継手部10と摺動式継手部20とが作動角θをとった時、凸球面部25の首部21bに加わる大きな曲げ荷重に対して首部21bの強度を確保するため、等速自在継手全体の軸方向寸法および径方向寸法も大きくなることなく、凸球面部25およびその首部21bの大径化が容易となり、さらに、首部21bとスプライン形成部分とを繋ぐR状の隅部21cの曲率半径を大径化することも容易となってその強度を向上させることができる。この首部21bとスプライン形成部分とを繋ぐR状の隅部21cの曲率半径の大径化は、摺動式継手部20のボール24の数を8個とすることにより、内輪22の軸孔28の内径、つまり、シャフト21のスプライン形成部分の外径を大きくすることで実現容易となる。
凸球面部25を、凹球面部15の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部50と、その頭部50の中空部52に軸方向スライド可能に嵌挿された首部21bとで構成し、そのスライド部分が凸球面部25の頭部50の中空部52に配置されている。従来の場合、凸球面部115の頭部115aから延びる首部115bが滑り軸受119を介してシャフト111に嵌挿された構造となっており、スライド部分が凸球面部115の頭部115aの外部に配置されている(図13参照)。これに対して、この実施形態では、前述したようにスライド部分が凸球面部25の頭部50の中空部52に配置されていることから、従来構造よりもモーメントによる荷重が小さくスライド抵抗を小さくすることができる。
また、凸球面部25を、凹球面部15の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部50と、その頭部50の中空部52に軸方向スライド可能に嵌挿された首部21bとで構成したことで、図3(a)(b)に示すように、凸球面部25の頭部50に球面嵌合される凹球面部15は単純な内球面を有し、その内球面に凸球面部入れ込みのための切り欠きが形成されていないことから(図14参照)、球対偶40における凸球面部25と凹球面部15の球面保持面積を確保することが容易となり、等速自在継手が作動角をとったとしても、その球面保持面積の減少量は小さく抑えられ、球面保持力の向上が図れると共に凹球面部15に切り欠きによる薄肉部も無くなって強度向上も図れる。
一方、図4(a)(b)に示すように、凸球面部25の頭部50の外球面に凹球面部入れ込みのための切り欠き溝54を軸方向全周に亘って形成する。この切り欠き溝54を利用して凸球面部25の頭部50を凹球面部15に組み込む。つまり、図5に示すように凸球面部25の頭部50の軸線を凹球面部15の軸線に対して90°傾けた状態でその頭部50を凹球面部15に挿入する。この時、頭部50の外球面に切り欠き溝54が形成されていることから、頭部50を凹球面部15に干渉することなく挿入することが可能である。その後、頭部50の軸線を凹球面部15の軸線に対して逆方向に90°傾けることにより頭部50の軸線を凹球面部15の軸線に一致させて頭部50を凹球面部15に対して正規の姿勢に配置して凸球面部25を凹球面部15に球面嵌合させる。
この摺動式等速自在継手では、凸球面部25の頭部50と首部21bとを軸方向に延びる凹凸嵌合構造でもって連結している。図6(a)(b)は、凸球面部25の頭部50の中空部52に軸方向に延びるキー溝56を形成すると共に、凸球面部25の首部21bの外周面の一部に平坦部21dを設け、この平坦部21dとキー溝56と間にキー材58を嵌挿した凹凸嵌合構造を例示する。なお、頭部50の中空部52におけるキー溝56の開口縁部に塑性変形により係止部51を形成して径方向内方へ突設させることにより、この係止部51をキー材58の抜け止めとしている。
このキー溝56およびキー材58による凹凸嵌合構造により、凸球面部25の頭部50と首部21bが相対的に周方向で回転不能となるので、その凹凸嵌合構造が回り止めとしての機能を発揮する。この回り止め機能により、凸球面部25の頭部50と首部21bとの間、および凸球面部25と凹球面部15との間で等速自在継手の回転に伴う周方向の回転変位を止めることができ、凸球面部25および凹球面部15での摩耗や摩耗に伴う接触面積の減少による球面保持力の低下を抑制でき、発熱による耐久性の低下も抑制できる。
また、摺動式継手部20の抜け止め手段を頭部50の中空部52の開口縁部に設けている。この抜け止め手段としては、例えば、図6(a)(b)に示すように頭部50の中空部52の開口縁部に塑性変形により係止部53を形成して径方向内方へ突設させている。図示では、中空部52の開口縁部の周方向で対向する二箇所に係止部53を設けているが、係止部53の数および位置は任意である。
この係止部53による抜け止め手段を設けたことにより、首部21bが凸球面部25の頭部50の中空部52から抜け出ることを防止でき、これは、凸球面部25が設けられた摺動式継手部20が外輪30から抜け出ることを防止することになる。この実施形態では、図1に示すように外輪30の開口端部の内周面に環状の凹溝32を形成し、この凹溝32にサークリップ等の止め輪34を嵌着させることにより、この止め輪34が摺動式継手部20のボール24と干渉することで摺動式継手部20が外輪30から抜け出ることを防止している。
前述のように係止部53による抜け止め手段を設けておけば、止め輪34による抜け止め手段を外輪30に設ける必要がなくなるので、摺動式継手部20の外輪30への組み付けが容易となり、外輪30を簡易な構造とすることができてコスト低減が図れる。逆に、止め輪34による抜け止め手段を設けておけば、係止部53による抜け止め手段が不要となるので、頭部50の中空部52の開口縁部に塑性変形などの加工を施す必要がないことから、頭部50を簡易な構造とすることができてコスト低減が図れる。但し、係止部53による抜け止め手段と止め輪34による抜け止め手段の両方を設けておけば、首部21bと摺動式継手部20の抜け止めが確実となり信頼性の向上が図れる。
以上で述べた実施形態では、凸球面部25の頭部50と首部21bとを連結する凹凸嵌合構造をキー溝56およびキー材58とで構成したが、他の凹凸嵌合構造としては、図7に示すように頭部50と首部21bとをスプライン嵌合により連結することも可能である。つまり、頭部50の中空部52の内周面に軸方向に延びる雌スプライン55を形成すると共に首部21bの外周面に軸方向に延びる雄スプライン21eを形成し、両スプライン55,21eを軸方向にスライド可能に嵌合させるようにしてもよい。なお、図8は固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21が作動角θをとった状態を示す。
このスプライン嵌合による凹凸嵌合構造では、キー材58やキー溝56の加工が不要となり、頭部50と首部21bとの組み付けも容易となってコスト低減が図れる。なお、スプライン嵌合による凹凸嵌合構造を採用する場合、頭部50の雌スプライン55の最小径部分(スプライン歯先)と首部21bの雄スプライン21eの最小径部分(スプライン歯底)とを接触させるようにすれば、両スプライン55,21eでの径方向隙間を小さくすることができてガタツキを抑制できる。
以上の実施形態で述べた摺動式等速自在継手は、自動車などの車両の回転駆動源から車輪に動力を伝達するドライブシャフトなどの動力伝達系に車輪駆動装置として適用可能である。例えば、回転駆動源にモータを使用し、そのモータから車輪に動力を伝達するドライブシャフトに車輪駆動装置を適用する場合、車輪の駆動力を向上させるために一つの車輪を一つのモータで駆動しようとすると、車両の左右方向に二つのモータが配置されることからドライブシャフトが短くなり、車両の常用角を大きく取る必要がある。
この場合、前述の実施形態における摺動式等速自在継手では、固定式継手部10と摺動式継手部20とで等速自在継手の作動角を分担することになるため、固定式継手部10の作動角と摺動式継手部20の作動角との合計となる等速自在継手の作動角、特に、車両の常用角を大きく取れる点で、車輪駆動装置としての適用が有効である。
図9は、自動車の回転駆動源としてモータ60を使用し、そのモータ60から車輪に動力を伝達するドライブシャフトに適用し、一つの車輪を一つのモータ60で駆動する車輪駆動装置を例示する。この車輪駆動装置は、摺動式等速自在継手の固定式継手部10の内輪12から延びるシャフト11を車輪用軸受70に連結すると共に摺動式継手部20の内輪22から延びるシャフト21をモータ60に連結し、そのモータ60を車両前後方向に沿う軸を中心に揺動可能に車体80に支持した構造を具備する。
車輪用軸受70は、ハブ輪71、内輪72、転動体73および外輪74で主要部が構成されている。ハブ輪71の車輪取付フランジに植設されたハブボルト75を利用して車輪(図示せず)が取り付けられる。ハブ輪71の小径段部に一対の内輪72が圧入により嵌合され、その内輪72に形成された複列の内側軌道面と外輪74に形成された複列の外側軌道面との間に転動体73が回転自在に配置されている。外輪74は、車体の懸架装置(図示せず)から延びるナックル76に固定される。この車輪用軸受70のハブ輪71に、摺動式等速自在継手の固定式継手部10の内輪12から延びるシャフト11をスプライン嵌合により連結し、そのシャフト11の先端部をナット77で固定することにより車輪用軸受70と摺動式等速自在継手とを一体化している。
一方、摺動式等速自在継手の摺動式継手部20の内輪22から延びるシャフト21の先端部をモータ60の出力軸62と同軸的に連結する。このモータ60は、図10に示すように車体80に固定されたベース部92とそのベース部92の両側から起立するように設けられた一対の支持部94とからなる支持フレーム90に取り付けられている。モータ60は、その出力軸62がシャフト21と同軸的に連結されることから、図9に示すように車体80に対して傾斜した状態で取り付けられ、車両前後方向に沿う軸(図10のX軸)を中心に揺動可能に支持されている。このようにモータ60を車体80に対して傾斜した状態で取り付けることにより、モータ側に配置すべき等速自在継手を不要としている。
この車輪駆動装置では、図11に示すように、車両の振動による摺動式等速自在継手の上下動に伴ってモータ60に連結されたシャフト21がモータ60の揺動中心O3に対して角度変位するが、前述したようにモータ60を車両前後方向に沿う軸を中心に揺動可能に車体80に支持していることから、モータ60に対するシャフト21の角度変位を吸収することができる。
図11のAは等速自在継手の作動角θが0°の状態を示し、同図のBは等速自在継手がS1だけ下降した位置で等速自在継手の作動角がθ1°の状態を示し、同図のCはさらに等速自在継手がS2だけ下降した位置で等速自在継手の作動角が(θ1+θ2)°の状態を示す。なお、外輪30、ボール14,24およびケージ13,23を図示省略している。この時、継手中心Oからモータ60の揺動中心O3までの軸方向長さは、Aの状態でP1、Bの状態でP2、Cの状態でP3となり(P1<P2<P3)、この軸方向長さの変動を、凸球面部25の頭部50に首部21bを軸方向スライド可能に嵌挿した構造でもって吸収することになる。
この場合、モータ60の揺動中心軸(図10のX軸)、すなわち、車両前後方向に沿う軸がそのモータ60の重心Gを通るようにモータ60を支持フレーム90に取り付けている。これにより、シャフト21の角度変位によりモータ60が受ける反力を小さくすることができ、モータ60の振動を低減できる。
また、この支持フレーム90のベース部92を回転可能に車体80に取り付けることにより、モータ60を車両上下方向に沿う軸(図10のZ軸)を中心に揺動可能に車体80に支持した構造としている。これにより、図12に示すように、摺動式等速自在継手における球対偶40の中心O、つまり、等速自在継手の中心Oが車輪の転舵角中心O4とずれている場合であっても、モータ60を車両上下方向に沿う軸を中心に揺動可能に車体80に支持していることで、その等速自在継手の中心Oと車輪の転舵角中心O4とのずれを吸収することができる。なお、図12のDは等速自在継手の中心Oが車輪の転舵角中心O4と一致していない場合を示し、転舵角をとった状態での軸中心線を点線で示すが、等速自在継手の中心OはO1に移動し、転舵角0°の位置からS3だけずれることを示す。なお、外輪30、ボール14,24およびケージ13,23を図示省略している。
この場合も、モータ60の揺動中心軸(図10のZ軸)、すなわち、車両上下方向に沿う軸がそのモータ60の重心Gを通るようにモータ60を支持フレーム90に取り付けている。これにより、シャフト21の角度変位によりモータ60が受ける反力を小さくすることができ、モータ60の振動を低減できる。
以上の実施形態における摺動式等速自在継手では、固定式継手部10と摺動式継手部20とで共通にした単一の外輪30を使用した場合について説明したが、外輪30を固定式継手部10と摺動式継手部20のそれぞれで二部材により分割構成し、両部材を同軸的に突き合わせて溶接などにより接合一体化した構成とすることも可能である。
また、以上で説明した全ての実施形態では、外輪30における摺動式継手部20のトラック溝31は、固定式継手部10のトラック溝31と共通して形成されているが、固定式継手部10と摺動式継手部20とで個別に形成することも可能である。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明の実施形態で、摺動式等速自在継手の全体構成を示す縦断面図である。 図1の摺動式等速自在継手が作動角θをとった状態を示す縦断面図である。 (a)は図1の摺動式等速自在継手における凹球面部を示す断面図、(b)は(a)の右側面図である。 (a)は図1の摺動式等速自在継手における凸球面部の頭部を示す断面図、(b)は(a)の右側面図である。 図1の摺動式等速自在継手における凹球面部に頭部を組み付ける要領を説明するための図である。 (a)は図1の摺動式等速自在継手における凸球面部の頭部に首部を組み付けた状態を示し、(b)のA−O−A線に沿う断面図、(b)は(a)の右側面図である。 本発明の他の実施形態で、摺動式等速自在継手の全体構成を示す縦断面図である。 図7の摺動式等速自在継手が作動角θをとった状態を示す縦断面図である。 図7の摺動式等速自在継手を、モータから車輪に動力を伝達するドライブシャフトに適用した車輪駆動装置を示す構成図である。 図9のモータを支持する支持フレームを示す斜視図である。 車両の振動による摺動式等速自在継手の上下動に伴ってモータに連結されたシャフトがモータの揺動中心に対して角度変位する状態を示す正面図である。 等速自在継手の中心が車輪の転舵角中心と一致していない場合を示す平面図である。 従来の摺動式等速自在継手の全体構成を示す縦断面図である。 図13の固定式継手部における凸球面部を設けたシャフトと摺動式継手部における凹球面部を設けたシャフトを示す部分断面を含む正面図である。
符号の説明
10 固定式継手部(UJ)
11 固定式継手部の内方部材(シャフト)
12 固定式継手部の内方部材(内輪)
15 凹球面部
20 摺動式継手部(DOJ)
21 摺動式継手部の内方部材(シャフト)
21b 首部
21e 雄スプライン(凹凸嵌合構造)
22 摺動式継手部の内方部材(内輪)
25 凸球面部
30 外方部材(外輪)
34 止め輪(抜け止め手段)
40 球対偶
50 頭部
52 中空部
53 係止部(抜け止め手段)
55 雌スプライン(凹凸嵌合構造)
56 キー溝(凹凸嵌合構造)
58 キー材(凹凸嵌合構造)
60 回転駆動源(モータ)
70 車輪用軸受
80 車体

Claims (8)

  1. 円筒状外方部材を共通にしてその一端側に固定式継手部を配設すると共に他端側に摺動式継手部を配設し、前記固定式継手部の内方部材あるいは前記摺動式継手部の内方部材のいずれか一方の対向端部に凸球面部を設けると共に他方の対向端部に凹球面部を設け、前記凹球面部と凸球面部からなる球対偶を介して固定式継手部と摺動式継手部を連結し、前記凸球面部を、前記凹球面部の内球面に球面嵌合された中空形状の頭部と、その頭部の中空部に軸方向スライド可能に嵌挿された首部とで構成したことを特徴とする摺動式等速自在継手。
  2. 前記摺動式継手部の内方部材は、内輪とその内輪にトルク伝達可能に嵌挿されたシャフトとで構成され、そのシャフトの端部に前記首部を設けた請求項1に記載の摺動式等速自在継手。
  3. 前記凸球面部の頭部と首部とを軸方向に延びる凹凸嵌合構造でもって連結した請求項1又は2に記載の摺動式等速自在継手。
  4. 前記摺動式継手部の抜け止め手段を、前記凸球面部の頭部あるいは前記外方部材の少なくとも一方に設けた請求項1〜3のいずれか一項に記載の摺動式等速自在継手。
  5. 前記固定式継手部の内方部材あるいは前記摺動式継手部の内方部材のいずれか一方を車輪用軸受に連結すると共に他方を回転駆動源に連結し、前記回転駆動源を車両前後方向に沿う軸を中心に揺動可能に車体に支持した請求項1〜4のいずれか一項に記載の車輪駆動装置。
  6. 前記回転駆動源の揺動中心軸がその回転駆動源の重心を通っている請求項5に記載の車輪駆動装置。
  7. 前記回転駆動源を車両上下方向に沿う軸を中心に揺動可能に車体に支持した請求項5又は6に記載の車輪駆動装置。
  8. 前記回転駆動源の揺動中心軸がその回転駆動源の重心を通っている請求項7に記載の車輪駆動装置。
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