JP2009121667A - 摺動式等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】 球対偶での球面保持力および強度を向上させると共に、組立てを容易にする。
【解決手段】 円筒状外輪30を共通にしてその一端側に固定式継手部10を配設すると共に他端側に摺動式継手部20を配設し、固定式継手部10の内輪12にトルク伝達可能に嵌挿されたシャフト11の端部に凹球面部15を一体的に設けると共に摺動式継手部20の内輪22にトルク伝達可能に嵌挿されたシャフト21の端部に凸球面部25を軸方向にスライド可能に設け、凹球面部15と凸球面部25からなる球対偶40を介して固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21とを連結し、凹球面部15の開口径よりも小さい外径を有し、かつ、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21とが所定の作動角をとった状態で凹球面部15に挿入可能とする組込み部25bを凸球面部25の外球面に形成し、この組込み部25bからの挿入により凸球面部25を凹球面部15に球面嵌合させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、自動車や各種産業機械の動力伝達系において使用され、駆動側と従動側の二軸間で角度変位と軸方向変位を許容する摺動式等速自在継手に関する。
例えば、自動車のエンジンから車輪に回転力を等速で伝達する手段として使用される等速自在継手には、固定式等速自在継手と摺動式等速自在継手の二種がある。これら両者の等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸を連結してその二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達し得る構造を備えている。
自動車のエンジンから駆動車輪に動力を伝達するドライブシャフトは、エンジンと車輪との相対的位置関係の変化による角度変位と軸方向変位に対応する必要があるため、エンジン側(インボード側)に摺動式等速自在継手を、駆動車輪側(アウトボード側)に固定式等速自在継手をそれぞれ装備し、両者の等速自在継手をシャフトで連結した構造を具備する。
一般的に、前述した固定式等速自在継手としては、バーフィールド型等速自在継手(以下、BJと称す)や作動角の大きなアンダーカットフリー型等速自在継手(以下、UJと称す)が広く知られている。また、摺動式等速自在継手としては、ダブルオフセット型等速自在継手(以下、DOJと称す)やレブロ型等速自在継手(以下、LJと称す)が広く知られている。
近年、自動車の乗車空間拡大の観点からホイールベースを長くすることがあるが、それに伴って車両回転半径が大きくならないようにするため、自動車のドライブシャフトの連結用継手として使用されている摺動式等速自在継手の高角化による前輪の操舵角の増大が求められている。
この要望に対して、二個のBJを組み合わせたものがある(例えば、特許文献1,2参照)。なお、二つの等速自在継手を組み合わせた構造例では、摺動式等速自在継手として、BJとDOJを組み合わせたものもある(例えば、特許文献3参照)。
特開平4−191523号公報 特開平1−210619号公報 特開平7−269585号公報 特開2007−78081号公報
ところで、前述した特許文献に開示された等速自在継手では、二個のBJを組み合わせたり、あるいはBJとDOJを組み合わせたりすることにより、通常のUJ単体よりも大きな作動角をとることができるという利点がある。
しかしながら、特許文献1,2に開示された固定式等速自在継手のように二個のBJを組み合わせた構造では、二つのBJが作動角をとった時に、入出力軸であるBJのそれぞれの軸間での軸方向変位を吸収するための機構を二つのBJ間に配設しなければならない。このように二つのBJの作動角を制御する機構を外輪であるハウジングに支持した構造を有することから、全体の重量が大きくなると共に大型化し、また、構造も複雑となって部品点数の増加により製品のコストアップを招来する。
一方、特許文献3に開示された摺動式等速自在継手のようにBJとDOJを組み合わせた構造では、前述したように二つのBJを組み合わせた固定式等速自在継手のように二軸間の角度変位のみを許容する機能はなく、また、入出力軸の軸周りの回転自由度以外(例えば、軸方向、角度位置など)を固定しないと、入力軸に対する出力軸の位置が定まらない。
そこで、本出願人は、前述の問題点を改善するため、二つの等速自在継手、例えばUJとDOJを組み合わせて、構造が簡単で高角化を実現容易にした軽量コンパクトな摺動式等速自在継手を先に提案している(例えば、特許文献4参照)。
この摺動式等速自在継手は、図16に示すように、単一の円筒状外輪130を共通にしてその一端側に固定式継手部110(UJ)を配設すると共に他端側に摺動式継手部120(DOJ)を配設し、その固定式継手部110の内輪112にスプライン嵌合されたシャフト111のDOJ側端部に凸球面部115を設けると共に摺動式継手部120の内輪122にスプライン嵌合されたシャフト121のUJ側端部に凹球面部125を設け、その凸球面部115と凹球面部125からなる球対偶140を介して固定式継手部110のシャフト111と摺動式継手部120のシャフト121とを、凸球面部115がシャフト111に滑り軸受119を介してその軸方向にスライド可能に連結した構造を具備する。
このように固定式継手部110と摺動式継手部120を共通の外輪130に組み込み、両者の固定式継手部110と摺動式継手部120を球対偶140で連結した構造としたことにより、固定式継手部110と摺動式継手部120のそれぞれの作動角を加えた大きな作動角を実現することができ、固定式継手部110と摺動式継手部120間に凸球面部115と凹球面部125からなる球対偶140が介在するのみであるため、構造が簡単で軽量コンパクトな摺動式等速自在継手を実現している。
ところで、球対偶140は、固定式継手部110のシャフト111の端部に設けられた凸球面部115と、摺動式継手部120のシャフト121の端部に設けられた凹球面部125とを球面嵌合により結合することにより形成されている。この等速自在継手の組立て時に、凸球面部115と凹球面部125との球面嵌合による結合を容易に行うために、図17に示すように凸球面部115の外周面に複数の切り欠き115cを円周方向等間隔に設けると共に、凹球面部125の開口部内周面に前述の凸球面部115の切り欠き115cと対応させて複数の切り欠き125cを円周方向等間隔に設けている。
この構造に基づいて、凸球面部115と凹球面部125の球面嵌合は、以下の要領でもって行う。つまり、凸球面部115の切り欠き115cと凹球面部125の切り欠き125cを対応させて位相合わせした上で、凸球面部115と凹球面部125の軸線を一致させた状態でその凸球面部115に凹球面部125を軸方向から挿入して嵌め込んだ上で両者を相互に回転させる。これにより、凸球面部115に凹球面部125が球面嵌合した球対偶140を形成するようにしている。
しかしながら、前述したように凸球面部115の外球面および凹球面部125の内球面のそれぞれに切り欠き115c,125cを設けると、それら凸球面部115と凹球面部125を球面嵌合させた球対偶140において、凸球面部115と凹球面部125の球面保持面積が少なくなり、等速自在継手が作動角をとった状態ではその球面保持面積が作動角が0°の時よりもさらに少なくなる。その結果、球対偶140における球面保持力が低下する可能性がある。
また、凹球面部125に切り欠き125cを形成した場合、その凹球面部125の切り欠き形成部位の肉厚が薄くなることから、凹球面部125の強度が低下するおそれもあった。等速自在継手の組立て時においても、凹球面部125の切り欠き125cと凸球面部115の切り欠き115cを対応させて位相合わせを行わなければならず、組立てが煩雑となる可能性もあった。
そこで、本発明は前述の点を改善して提案されたもので、その目的とするところは、球対偶での球面保持力および強度を向上させると共に、組立てを容易にし得る摺動式等速自在継手を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、円筒状外方部材を共通にしてその一端側に固定式継手部を配設すると共に他端側に摺動式継手部を配設し、固定式継手部の内方部材あるいは摺動式継手部の内方部材のいずれか一方の対向端部に凸球面部を設けると共に他方の対向端部に凹球面部を設け、凹球面部と凸球面部からなる球対偶を介して固定式継手部の内方部材と摺動式継手部の内方部材とを、凸球面部あるいは凹球面部のいずれか一方が軸方向にスライド可能に連結した固定式等速自在継手であって、凹球面部の開口径よりも小さい外径を有し、かつ、固定式継手部の内方部材と摺動式継手部の内方部材とが所定の作動角をとった状態で凹球面部に挿入可能とする組込み部を凸球面部の外球面に形成し、この組込み部からの挿入により凸球面部を凹球面部に球面嵌合させたことを特徴とする。
本発明では、固定式継手部と摺動式継手部とで円筒状外方部材を共通にしたことにより、その外方部材内に固定式と摺動式の二つの継手部を組み合わせた構造を具備する。さらに、固定式継手部の内方部材あるいは摺動式継手部の内方部材のいずれか一方の対向端部に凸球面部を設けると共に他方の対向端部に凹球面部を設け、凹球面部と凸球面部からなる球対偶を介して固定式継手部と摺動式継手部を、凸球面部あるいは凹球面部のいずれか一方が軸方向にスライド可能に連結したことにより、凸球面部と凹球面部からなる球対偶は、固定式継手部と摺動式継手部で共通の一点を中心とした球面案内機構となり、かつ、、凸球面部あるいは凹球面部のいずれか一方が内方部材に軸方向にスライド可能で、他方が内方部材に軸方向にスライド不能に連結されることになるので、この球面中心を作動角の中心とする摺動式等速自在継手となる。
このように固定式継手部と摺動式継手部を共通の外方部材に組み込み、両者の固定式継手部と摺動式継手部を球対偶で連結した構造とすることにより、固定式継手部と摺動式継手部のそれぞれの作動角を加えた大きな作動角を実現することができ、固定式継手部と摺動式継手部間に凸球面部と凹球面部からなる球対偶が介在するのみであるため、構造が簡単で軽量コンパクトな摺動式等速自在継手を提供できる。
さらに、この摺動式等速自在継手では、凹球面部の開口径よりも小さい外径を有し、かつ、固定式継手部の内方部材と摺動式継手部の内方部材とが所定の作動角をとった状態で凹球面部に挿入可能とする組込み部を凸球面部の外球面に形成し、この組込み部からの挿入により凸球面部を凹球面部に球面嵌合させたことにより、凹球面部は複数の切り欠きが形成されていない単純な内球面とすることができると共に、凸球面部は一つの組込み部が形成された外球面であることから、球対偶における凸球面部と凹球面部の球面保持面積を確保することが容易となり、等速自在継手が作動角をとったとしても、その球面保持面積が減少することはなく、球面保持力の向上が図れると共に凹球面部の強度向上も図れる。
本発明の摺動式等速自在継手の製造時、凹球面部に凸球面部を組み付けるに際しては、固定式継手部の内方部材と摺動式継手部の内方部材とを所定の作動角をとった状態に設定する。凸球面部は、凹球面部の開口径よりも小さい外径を有する組込み部が外球面に形成されていることから、所定の作動角をとった状態で、凹球面部に凸球面部が挿入可能であり、組込み部からの挿入により凸球面部を凹球面部に球面嵌合させることになる。
この組込み部は、凸球面部の外球面中心と一致した中心周りで凸球面部の外球面の全周に亘って形成された凹状をなす構造が可能である。この場合、凹球面部の内球面中心に対して凸球面部の外球面中心を一致させた状態で凹球面部に組込み部を挿入することにより組み付けが可能となる。
また、組込み部は、凸球面部の外球面中心からずれた中心周りで凸球面部の外球面の一部に形成された凹状をなす構造が可能である。この場合、凹球面部の内球面中心に対して凸球面部の外球面中心をずらした状態で凹球面部に組込み部を挿入することにより組み付けが可能となる。
凹球面部に凸球面部を組み付けるに際しては、固定式継手部の内方部材と摺動式継手部の内方部材とがなす所定の作動角を限界作動角(最大作動角)よりも大きく設定することが望ましい。このように、凹球面部への凸球面部の組付時における所定の作動角を限界作動角よりも大きく設定しておけば、摺動式等速自在継手の作動時、つまり、固定式継手部と摺動式継手部とが限界作動角以下の範囲内で角度変位する場合に、球対偶の凹球面部から凸球面部が抜脱することはない。
なお、組込み部が、凸球面部の外球面中心と一致した中心周りで凸球面部の外球面の全周に亘って形成された凹状をなす構造の場合、凹球面部の内球面中心に対して凸球面部の外球面中心を一致させた状態で凹球面部に組込み部を挿入することから、その組込み部の挿入時における所定の作動角を限界作動角以下とすると、固定式継手部と摺動式継手部とが限界作動角以下の範囲内で角度変位する時に、その所定の作動角で球対偶の凹球面部から凸球面部が抜脱する可能性がある。
この場合、凹球面部と球面嵌合した状態にある凸球面部の外球面と接触して支持する抜け止め機構を外方部材の内径に設ける必要がある。このように、外方部材の内径に凸球面部の抜け止め機構を設ければ、組込み部の挿入時における所定の作動角を限界作動角以下とした場合であっても、摺動式等速自在継手の作動時に、抜け止め機構により、所定の作動角で球対偶の凹球面部から凸球面部が抜脱することはない。
これに対して、組込み部が、凸球面部の外球面中心からずれた中心周りで凸球面部の外球面の一部に形成された凹状をなす構造の場合、凹球面部への凸球面部の組付時における所定の作動角を限界作動角以下としても、凹球面部の内球面中心に対して凸球面部の外球面中心をずらした状態で凹球面部に組込み部を挿入することから、摺動式等速自在継手の作動時には凹球面部の内球面中心に対して凸球面部の外球面中心が一致しているので、固定式継手部と摺動式継手部とが限界作動角以下の範囲内で角度変位しても、球対偶の凹球面部から凸球面部が抜脱することはない。その結果、前述した抜け止め機構を外方部材の内径に設ける必要はない。従って、この場合、凹球面部への凸球面部の組付時における所定の作動角は、限界作動角に制約されることなく、任意の角度に設定可能である。
なお、前述した組込み部は凹状をなすことから、凹球面部の内球面との間に隙間を形成することが容易となり、その隙間にグリース等の潤滑材が入り込むことで、球対偶における凸球面部と凹球面部との相対運動がスムーズになって作動性の向上が図れる。
また、この摺動式等速自在継手において、固定式継手部と摺動式継手部とで共通にした外方部材は、単一の部材で構成することが可能であるが、固定式継手部と摺動式継手部のそれぞれで二部材により分割構成し、両部材を同軸的に突き合わせて接合一体化した構成とすることも可能である。
本発明によれば、固定式継手部と摺動式継手部を共通の外方部材に組み込み、両者の固定式継手部と摺動式継手部を球対偶で連結した構造としたことにより、固定式継手部と摺動式継手部のそれぞれの作動角を加えた大きな作動角を実現することができ、固定式継手部と摺動式継手部間に凸球面部と凹球面部からなる球対偶が介在するのみであるため、構造が簡単で軽量コンパクトな摺動式等速自在継手を提供できる。
しかも、凹球面部の開口径よりも小さい外径を有し、かつ、固定式継手部の内方部材と摺動式継手部の内方部材とが所定の作動角をとった状態で凹球面部に挿入可能とする組込み部を凸球面部の外球面に形成し、この組込み部からの挿入により凸球面部を凹球面部に球面嵌合させたことにより、凹球面部は複数の切り欠きが形成されていない単純な内球面とすることができると共に、凸球面部は一つの組込み部が形成された外球面であることから、球対偶における凸球面部と凹球面部の球面保持面積を確保することが容易となり、等速自在継手が作動角をとったとしても、その球面保持面積が減少することはなく、球面保持力の向上が図れると共に凹球面部の強度向上も図れる。
その結果、例えば、近年における自動車のドライブシャフトに使用される摺動式等速自在継手の高角化による前輪の操舵角の増大への要望に迅速に対応することができる。
本発明に係る摺動式等速自在継手の実施形態を以下に詳述する。図1に示す実施形態の摺動式等速自在継手は、固定式継手部としてUJ、摺動式継手部としてDOJをそれぞれ適用して組み合わせた構造を例示する。その他、固定式継手部としてはBJ、摺動式継手部としてはLJを適用して組み合わせることも可能である。
この実施形態の摺動式等速自在継手は、以下の構造を具備する。図1に示すように円筒状外方部材である単一の外輪30を共通にしてその一端側(図示左側)に固定式継手部10(UJ)を配設すると共に他端側(図示右側)に摺動式継手部20(DOJ)を配設している。固定式継手部10の内方部材である内輪12にスプライン嵌合されたシャフト11のDOJ側端部に凹球面部15を一体的に設けると共に摺動式継手部20の内方部材である内輪22にスプライン嵌合されたシャフト21のUJ側端部に凸球面部25を軸方向にスライド可能に設けている。凹球面部15と凸球面部25からなる球対偶40を介して固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21を連結した構造を具備する。
固定式継手部10は、軸方向に延びる複数のトラック溝31が円筒状内周面に円周方向等間隔で形成された外輪30を摺動式継手部20と共通にし、外輪30のトラック溝31と対をなして軸方向に延びる複数のトラック溝16が球面状外周面に円周方向等間隔で形成された内方部材である内輪12と、外輪30のトラック溝31と内輪12のトラック溝16との間に介在してトルクを伝達する複数のボール14と、外輪30の円筒状内周面と内輪12の球面状外周面との間に介在して各ボール14を保持するケージ13とを備えている。複数のボール14は、ケージ13に形成されたポケット17に収容されて円周方向等間隔に配置されている。
内輪12の軸孔18には、駆動側あるいは従動側のシャフト11がスプライン嵌合によりトルク伝達可能に結合されている。また、シャフト11の外周面に形成された環状凹溝11aにサークリップ等の止め輪19を、内輪12の外輪開口側端部に形成された凹段部12aで係止させることにより、内輪12に対するシャフト11の抜け止め構造としている。このシャフト11と内輪14とで内方部材を構成している。
なお、図示しないが、外輪30とシャフト11との間には、例えば、樹脂あるいはゴム製の蛇腹状ブーツが装着され、このブーツにより外輪30の開口部を閉塞することで、継手内部からのグリース漏洩および継手外部からの異物侵入を防止している。ブーツの両端部は、外輪30の外周面およびシャフト11の外周面に締付けバンドにより固定されている。
この固定式継手部10では、外輪30のトラック溝31の曲率中心O11と内輪12のトラック溝16の曲率中心O12とを継手中心O10に対して等距離fだけ軸方向逆向きにオフセットさせている。このトラックオフセットにより、シャフト11と外輪30とが相対的に角度変位すると、ケージ13のポケット17に収容されたボール14は常にどの作動角においても、その作動角の二等分面内に維持され、継手の等速性が確保される。
また、外輪30のトラック溝31は、外輪開口側(図示左側)に位置して曲率中心O11を持つ円弧部分と、その曲率中心O11から径方向に延びる線分がトラック溝31の底部と交わる部位を境として外輪奥側(図示右側)に位置する軸方向と平行な直線部分とで構成されている。同様に、内輪12のトラック溝16は、外輪奥側に位置して曲率中心O12を持つ円弧部分と、その曲率中心O12から径方向に延びる線分がトラック溝16の底部と交わる部位を境として外輪開口側に位置する軸方向と平行な直線部分とで構成されている。
一方、摺動式継手部20は、軸線と平行に延びる複数の直線状トラック溝31が円筒状内周面に円周方向等間隔で形成された外輪30を固定式継手部10と共通にし、外輪30のトラック溝31と対をなして軸線と平行に延びる複数の直線状トラック溝26が球面状外周面に円周方向等間隔で形成された内方部材である内輪22と、外輪30のトラック溝31と内輪22のトラック溝26との間に介在してトルクを伝達する複数のボール24と、外輪30の円筒状内周面と内輪22の球面状外周面との間に介在して各ボール24を保持するケージ23とを備えている。複数のボール24は、ケージ23に形成されたポケット27に収容されて円周方向等間隔に配置されている。
内輪22の軸孔28には、従動側あるいは駆動側のシャフト21がスプライン嵌合によりトルク伝達可能に結合されている。また、シャフト21の外周面に形成された二つの環状凹溝21a,21bにサークリップ等の止め輪29a,29bを嵌合させ、内輪22の外輪開口側と外輪奥側のそれぞれの端面で止め輪29a,29bを係止させることにより、内輪22に対するシャフト21の抜け止め構造としている。このシャフト21と内輪22とで内方部材を構成している。
なお、図示しないが、外輪30とシャフト21との間には、例えば、樹脂あるいはゴム製の蛇腹状ブーツが装着され、このブーツにより外輪30の開口部を閉塞することで、継手内部からのグリース漏洩および継手外部からの異物侵入を防止している。ブーツの両端部は、外輪30の外周面およびシャフト21の外周面に締付けバンドにより固定されている。
この摺動式継手部20では、ケージ23の球面状内周面の曲率中心O21と球面状外周面の曲率中心O22とを継手中心O20に対して等距離Fだけ軸方向にオフセットさせている。このケージオフセットにより、シャフト21と外輪30とが角度変位すると、ケージ23のポケット27に収容されたボール24は常にどの作動角においても、その作動角の二等分面内に維持され、継手の等速性が確保される。
これら固定式継手部10と摺動式継手部20を組み込んだ摺動式等速自在継手では、摺動式継手部20のシャフト21の軸端部に形成された孔21cに滑り軸受29cを介して凸球面部25から一体的に延びる軸部25cを挿入することにより凸球面部25を軸方向にスライド可能にシャフト21の軸端部(固定式継手部10のシャフト11との対向端部)に取り付けられている。なお、この凸球面部25の軸部25cは、例えば断面形状を非円形とする等の適宜の手段により、シャフト21に対して軸周りに回転不能に取り付けられている。
この凸球面部25の球面中心Oはシャフト21の中心軸M上に配置されている。一方、固定式継手部10のシャフト11の先端部(摺動式継手部20のシャフト21との対向端部)に、凸球面部25を受ける凹球面部15が一体的に形成されている。この凹球面部15の球面中心Oはシャフト11の中心軸M上に配置され、そのシャフト11の中心軸Mは摺動式継手部20のシャフト21の中心軸Mと一致する。凸球面部25の球面中心Oと凹球面部15の球面中心Oは一致して継手中心となる。
凹球面部15と凸球面部25からなる球対偶40を、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21で共通の一点を中心Oとして球面案内機構とし、球対偶40の凸球面部25を軸方向にスライド可能としたことにより、この球面中心Oを作動角の中心とする摺動式等速自在継手となる。このように固定式継手部10と摺動式継手部20を共通の外輪30に組み込み、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21を球対偶40で連結した構造とすることにより、固定式継手部10の作動角と摺動式継手部20の作動角を加えた大きな作動角を実現することができ、構造が簡単で軽量コンパクトな摺動式等速自在継手を提供できる。
図2は固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21が限界作動角θ(最大作動角)をとった状態を示す。この限界作動角θは、固定式継手部10の作動角と摺動式継手部20の作動角の合計となり、図1に示すように固定式継手部10の作動角が0°での球対偶40の球面中心Oから固定式継手部10の継手中心O10までの距離Lと、摺動式継手部20の作動角が0°での球対偶40の球面中心Oから摺動式継手部20の継手中心O20までの距離Lとの関係によって決定される。
なお、図2に示すように固定式継手部10と摺動式継手部20が限界作動角θをとった時に、凸球面部25の基部に形成された縊れ部25aが凹球面部15との干渉を回避している。また、固定式継手部10では、外輪30から飛び出そうとする位相にあるボール14が凹球面部15の外周面と干渉することを回避するために、その凹球面部15の外周面に環状の凹部15aが形成されている。
通常、固定式継手部10(限界作動角50°)が摺動式継手部20(限界作動角30°)よりも構造上大きな作動角をとることができることから、球対偶40の球面中心Oから固定式継手部10の継手中心O10までの距離Lと、球対偶40の球面中心Oから摺動式継手部20の継手中心O20までの距離Lについては、L<Lの条件を満足するように設定すればよい。このように設定することにより、固定式継手部10に摺動式継手部20よりも大きな作動角を分担させることになり(固定式継手部10の作動角>摺動式継手部20の作動角)、例えば、固定式継手部10の作動角を35°、摺動式継手部20の作動角を25°とすることで、摺動式等速自在継手としては、より大きな作動角(θ=60°)が得られる。
このように、限界作動角θは、固定式継手部10と摺動式継手部20に分配されることから、それぞれの作動角が限界作動角よりも小さくて済むため、ボールトラック端部に余裕ができ、また、荷重が各ボールトラックに均一に付与されることから強度の向上が図れる。また、固定式継手部10と摺動式継手部20の各作動角が限界作動角θよりも小さくて済むことから、固定式継手部10および摺動式継手部20の構成部材間の相対変位が小さくなるため、耐久性の向上も図れる。これは、車両の常用角(直進状態での作動角)が大きい場合に特にその効果が顕著である。
なお、ボール14,24が8個の場合には、6個ボールタイプに比べて内輪12,22のシャフトスペースを広く確保することができるので、固定式継手部10と摺動式継手部20のシャフト11,21間に位置する球対偶40(凹球面部15および凸球面部25)を形成し易くなる。
この摺動式等速自在継手では、凹球面部15の開口径よりも小さい外径を有し、かつ、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21とが所定の作動角をとった状態で凹球面部15に挿入可能とする組込み部25bを凸球面部25の外球面に形成し、この組込み部25bからの挿入により凸球面部25を凹球面部15に球面嵌合させて球対偶40を形成している。
これにより、凹球面部15は複数の切り欠きが形成されていない単純な内球面とすることができると共に、凸球面部25は一つの組込み部25bが形成された外球面であることから、球対偶40における凸球面部25と凹球面部15の球面保持面積を確保することが容易となり、等速自在継手が作動角をとったとしても、その球面保持面積が減少することはなく、球面保持力の向上が図れると共に凹球面部15の強度向上も図れる。
図1および図2に示す実施形態での組込み部25bは、凸球面部25の外球面中心と一致した中心周りで凸球面部25の外球面の全周に亘って形成された凹状をなし、例えば、その断面形状を円形とした円筒側面状の凹溝としている。なお、この組込み部25bの断面形状は円形以外の楕円形なども可能で任意に設定すればよい。また、組込み部25bは、凸球面部25の外球面の全周に亘って形成されることから、その外球面の全周に沿う帯状となっている。
摺動式等速自在継手の製造時、凹球面部15に凸球面部25を組み付けるに際しては、図3に示すように固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21とを所定の作動角θをとった状態に設定する。凹球面部15はその内球面の径Dがプラス公差を有するのに対して、凸球面部25はその外球面の径Dがマイナス公差を有する。
凸球面部25には、凹球面部15の開口径Dよりも小さい外径D(D<D)を有する組込み部25bが凸球面部25の外球面中心と一致した中心周りでその外球面の全周に亘って形成されていることから、所定の作動角θをとると共に凹球面部15の内球面中心に対して凸球面部25の外球面中心を一致させた状態で、凹球面部15に凸球面部25が挿入可能となっている。この組込み部25bからの挿入により凸球面部25を凹球面部15に球面嵌合させることになる。
この凹球面部15への凸球面部25の組み付け時、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21とがなす所定の作動角θを限界作動角θ(最大作動角)よりも大きく設定している(θ>θ)。このように、所定の作動角θを限界作動角θよりも大きく設定しておけば、摺動式等速自在継手の作動時、つまり、固定式継手部10と摺動式継手部20とが限界作動角θ以下の範囲内で角度変位する場合に、球対偶40の凹球面部15から凸球面部25が抜脱することはない。
以上の実施形態では、凹球面部15への凸球面部25の組み付け時、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21とがなす所定の作動角θを限界作動角θ(最大作動角)よりも大きく設定した場合について説明したが、図6に示すように、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21とがなす所定の作動角θを限界作動角θ以下とすることも可能である(θ≦θ)。
このように凹球面部15への凸球面部25の組み付け時に二つのシャフト11,21がなす所定の作動角θを限界作動角θ以下に設定した場合の実施形態における摺動式等速自在継手を図4および図5に示す。図4は作動角が0°の場合、図5は所定の作動角θをとった状態を示す。なお、図4および図5に示す実施形態において、図1および図2と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
この実施形態では、組込み部25bが凸球面部25の外球面中心と一致した中心周りでその外球面に形成され、凸球面部25の組み付け時、凹球面部15の内球面中心に対して凸球面部25の外球面中心を一致させた状態で凹球面部15に組込み部25bを挿入するようにしている。そのため、凸球面部25の組み付け時において二つのシャフト11,21がなす所定の作動角θを限界作動角θ以下とすると、固定式継手部10と摺動式継手部20とが限界作動角θ以下の範囲内で角度変位する時に、所定の作動角θで凹球面部15から凸球面部25が抜脱する可能性がある。
そこで、図4および図5に示すように、凹球面部15と球面嵌合した状態にある凸球面部25の外球面と接触して支持する抜け止め機構50を外輪30の内径に設ける必要がある。この抜け止め機構50は、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21とが所定の作動角θをとった時に凸球面部25の外球面と接触する受け面52が形成された円筒状の抜け止め部材54を、外輪30の内径に嵌合させて固定している(図5参照)。この抜け止め部材54の受け面52は、凸球面部25の外球面と接触するように軸方向に沿う凹円弧状に形成されている。
このように、外輪30の内径に抜け止め部材54を設ければ、凹球面部15への凸球面部25の組み付け時において二つのシャフト11,21がなす所定の作動角θを限界作動角θ以下とした場合であっても、固定式継手部10と摺動式継手部20とが限界作動角θ以下の範囲内で角度変位した時に、所定の作動角θで凸球面部25の外球面を抜け止め部材54の受け面52で支持することから、凹球面部15から凸球面部25が抜脱することはない。
以上の二つの実施形態における摺動式等速自在継手では、固定式継手部10と摺動式継手部20とで共通にした単一の外輪30を使用した場合について説明したが、外輪30を固定式継手部10と摺動式継手部20のそれぞれで二部材により分割構成し、両部材を同軸的に突き合わせて接合一体化した構成とすることも可能である。
図7および図8は、図1および図2の実施形態の変形例として、外輪30を固定式継手部側に位置する第一の円筒状部材30aと摺動式継手部側に位置する第二の円筒状部材30bにより分割構成した実施形態を示す。図7は作動角が0°の場合、図8は限界作動角θ(最大作動角)をとった状態を示す。なお、図7および図8に示す実施形態において、図1および図2と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
図7および図8に示す実施形態では、第一の円筒状部材30aと第二の円筒状部材30bとを同軸的に突き合わせ、その突き合わせ端部同士を例えば溶接(図中の溶接部A)により接合一体化することにより外輪30を構成している。
また、外輪30を固定式継手部10と摺動式継手部20のそれぞれで二部材30a,30bにより分割構成する場合、それら二部材30a,30b間に、凹球面部15と球面嵌合した状態にある凸球面部25の外球面と接触して位置規制する抜け止め機構が内径に設けられた中間部材を介在させて各部材を同軸的に突き合わせて接合一体化した構成とすることも可能である。
図9および図10は、図4および図5の実施形態の変形例として、外輪30を固定式継手部側に位置する第一の円筒状部材30aと摺動式継手部側に位置する第二の円筒状部材30bにより分割構成し、その第一の円筒状部材30aと第二の円筒状部材30bとの間に中間部材30cを介在させた実施形態を示す。図9は作動角が0°の場合、図10は所定の作動角θをとった状態を示す。なお、図9および図10に示す実施形態において、図4および図5と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
この中間部材30cは、凸球面部25の抜け止め機構50として、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21とが所定の作動角θをとった時に凸球面部25の外球面と接触する受け面52が形成された円筒状の抜け止め部材54を兼ねている。第一の円筒状部材30aと第二の円筒状部材30bとをその間に中間部材30cを介在させた状態でこれら三部材30a〜30cを同軸的に突き合わせ、その突き合わせ端部同士を例えば溶接(図中の溶接部B,C)により接合一体化することにより外輪30を構成している。
以上の実施形態における組込み部25bは、凸球面部25の外球面中心と一致した中心周りで凸球面部25の外球面の全周に亘って形成された構造をなし、凹球面部15への凸球面部25の組み付け時、凹球面部15の内球面中心に対して凸球面部25の外球面中心を一致させた状態で凹球面部15に組込み部25bを挿入可能とした場合について説明したが、この組込み部は、凸球面部25の外球面中心からずれた中心周りで凸球面部25の外球面の一部に形成された構造とすることも可能である。
図11および図12は、図1および図2の実施形態と異なる他の実施形態として、組込み部25cを、凸球面部25の外球面中心からずれた中心周りで凸球面部25の外球面の一部に形成された構造を例示する。図11は作動角が0°の場合、図12は限界作動角θ(最大作動角)をとった状態を示す。なお、図11および図12に示す実施形態において、図1および図2と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
この実施形態における組込み部25cは、凸球面部25の外球面中心からずれた中心周りで凸球面部25の外球面の一部に形成された凹状をなし、例えば、その断面形状を円形とした円筒側面状の凹溝としている。なお、この組込み部25bの断面形状は円形以外の楕円形なども可能で任意に設定すればよい。図1および図2に示す実施形態における組込み部25bは、凸球面部25の外球面中心と一致した中心周りで凸球面部25の外球面の全周に亘って形成されているのに対して、図11および図12に示す実施形態における組込み部25cは、凸球面部25の外球面中心からずらした中心周りでその外球面に形成されることから、凸球面部25の外球面の一部に形成される。
この実施形態では、凹球面部15に凸球面部25を組み付けるに際しては、図13に示すように固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21とを、例えば限界作動角θよりも大きく設定した所定の作動角θをとった状態に設定する。凸球面部25には、凹球面部15の開口径Dよりも小さい外径D(D<D)を有する組込み部25cが、凸球面部25の外球面中心からずれた中心周りでその外球面の一部に形成されていることから、所定の作動角θをとると共に凹球面部15の内球面中心に対して凸球面部25の外球面中心をずらした状態で、凹球面部15に凸球面部25が挿入可能となっている。この組込み部25cからの挿入により凸球面部25を凹球面部15に球面嵌合させることになる。なお、この凹球面部15の内球面中心Xに対する凸球面部25の外球面中心Yのずらし量t(図13参照)は、組込み部25cを凸球面部25の外球面中心Yに対して中心回りで形成する際のずれ量と一致する。
この実施形態の場合、凹球面部15への凸球面部25の組み付け時に、固定式継手部10のシャフト11と摺動式継手部20のシャフト21とがなす所定の作動角θ(図6参照)を限界作動角θ以下としても(θ≦θ)、凹球面部15の内球面中心に対して凸球面部25の外球面中心をずらした状態で凹球面部15に組込み部25cを挿入することから、摺動式等速自在継手の作動時には凹球面部15の内球面中心に対して凸球面部25の外球面中心が一致しているので、固定式継手部10と摺動式継手部20とが限界作動角θ以下の範囲内で角度変位しても、凹球面部15から凸球面部25が抜脱することはない。従って、この実施形態の場合、凹球面部15と球面嵌合した状態にある凸球面部25の外球面と接触して支持する抜け止め機構50(図4および図5参照)を外輪30の内径に設ける必要はない。
この実施形態では、固定式継手部10と摺動式継手部20とで共通にした単一の外輪30を使用した場合について説明したが、外輪30を固定式継手部10と摺動式継手部20のそれぞれで二部材により分割構成し、両部材を同軸的に突き合わせて接合一体化した構成とすることも可能である。
図14および図15は、図11および図12の実施形態の変形例として、外輪30を固定式継手部側に位置する第一の円筒状部材30aと摺動式継手部側に位置する第二の円筒状部材30bにより分割構成した実施形態を示す。図14は作動角が0°の場合、図15は限界作動角θ(最大作動角)をとった状態を示す。なお、図14および図15に示す実施形態において、図11および図12と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
図14および図15に示す実施形態では、第一の円筒状部材30aと第二の円筒状部材30bとを同軸的に突き合わせ、その突き合わせ端部同士を例えば溶接(図中の溶接部A)により接合一体化することにより外輪30を構成している。
なお、以上で説明した全ての実施形態では、凸球面部25の外球面に形成された組込み部25b,25cは凹状をなすことから、凹球面部15の内球面との間に隙間を形成することが容易となり、その隙間にグリース等の潤滑材が入り込むことで、球対偶40における凸球面部25と凹球面部15との相対運動がスムーズになって作動性の向上が図れる。
また、以上で説明した全ての実施形態では、外輪30における摺動式継手部20のトラック溝31は、固定式継手部10のトラック溝31と共通して形成されているが、固定式継手部10と摺動式継手部20とで個別に形成することも可能である。
さらに、以上の実施形態では、固定式継手部10の凹球面部15をシャフト11に一体的に形成すると共に、摺動式継手部20のシャフト21の孔21cに滑り軸受29cを介して凸球面部25から延びる軸部25cを挿入することにより凸球面部25を軸方向にスライド可能にシャフト21に取り付けた構造について説明した。図示しないが、これとは逆に、摺動式継手部20の凸球面部25をシャフト21に一体的に形成すると共に、固定式継手部10のシャフト11の軸端部に孔を形成し、その孔に滑り軸受を介して凹球面部15から延びる軸部を挿入することにより凹球面部15をシャフト11に軸方向にスライド可能に取り付けることも可能である。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明の実施形態で、摺動式等速自在継手の全体構成を示す縦断面図である。 図1の摺動式等速自在継手が限度作動角θをとった状態を示す縦断面図である。 図1の摺動式等速自在継手において、凹球面部に対して凸球面部を組み付ける状態を示す説明図である。 本発明の他の実施形態で、凸球面部の抜け止め機構を設けた摺動式等速自在継手の全体構成を示す縦断面図である。 図4の摺動式等速自在継手が所定の作動角θをとった状態を示す縦断面図である。 図4の摺動式等速自在継手において、凹球面部に対して凸球面部を組み付ける状態を示す説明図である。 本発明の他の実施形態で、外輪を二部材で分割構成した摺動式等速自在継手の全体構成を示す縦断面図である。 図7の摺動式等速自在継手が限度作動角をとった状態を示す縦断面図である。 本発明の他の実施形態で、外輪を二部材で分割構成し、凸球面部の抜け止め機構を設けた摺動式等速自在継手の全体構成を示す縦断面図である。 図9の摺動式等速自在継手が所定の作動角θをとった状態を示す縦断面図である。 本発明の他の実施形態で、摺動式等速自在継手の全体構成を示す縦断面図である。 図11の摺動式等速自在継手が限度作動角θをとった状態を示す縦断面図である。 図11の摺動式等速自在継手において、凹球面部に対して凸球面部を組み付ける状態を示す説明図である。 本発明の他の実施形態で、外輪を二部材で分割構成した摺動式等速自在継手の全体構成を示す縦断面図である。 図14の摺動式等速自在継手が限度作動角をとった状態を示す縦断面図である。 本発明の前提となる摺動式等速自在継手の全体構成を示す縦断面図である。 図16の固定式継手部における凸球面部を設けたシャフトと摺動式継手部における凹球面部を設けたシャフトを示す部分断面を含む正面図である。
符号の説明
10 固定式継手部(UJ)
11 固定式継手部の内方部材(シャフト)
12 固定式継手部の内方部材(内輪)
15 凹球面部
20 摺動式継手部(DOJ)
21 摺動式継手部の内方部材(シャフト)
22 摺動式継手部の内方部材(内輪)
25 凸球面部
25b,25c 組込み部
30 外方部材(外輪)
30a,30b 二部材
40 球対偶
50 抜け止め機構
凹球面部の開口径
組込み部の外径
θ 限界作動角
θ,θ 所定の作動角

Claims (6)

  1. 円筒状外方部材を共通にしてその一端側に固定式継手部を配設すると共に他端側に摺動式継手部を配設し、前記固定式継手部の内方部材あるいは前記摺動式継手部の内方部材のいずれか一方の対向端部に凸球面部を設けると共に他方の対向端部に凹球面部を設け、前記凹球面部と凸球面部からなる球対偶を介して固定式継手部の内方部材と摺動式継手部の内方部材とを、前記凸球面部あるいは凹球面部のいずれか一方が軸方向にスライド可能に連結した摺動式等速自在継手であって、
    前記凹球面部の開口径よりも小さい外径を有し、かつ、固定式継手部の内方部材と摺動式継手部の内方部材とが所定の作動角をとった状態で凹球面部に挿入可能とする組込み部を前記凸球面部の外球面に形成し、前記組込み部からの挿入により凸球面部を凹球面部に球面嵌合させたことを特徴とする摺動式等速自在継手。
  2. 前記組込み部は、凸球面部の外球面中心と一致した中心周りで前記凸球面部の外球面の全周に亘って形成された凹状をなし、前記凹球面部の内球面中心に対して凸球面部の外球面中心を一致させた状態で凹球面部に前記組込み部を挿入可能とした請求項1に記載の摺動式等速自在継手。
  3. 前記組込み部は、凸球面部の外球面中心からずれた中心周りで前記凸球面部の外球面の一部に形成された凹状をなし、前記凹球面部の内球面中心に対して凸球面部の外球面中心をずらした状態で凹球面部に前記組込み部を挿入可能とした請求項1に記載の摺動式等速自在継手。
  4. 前記所定の作動角を限界作動角よりも大きく設定した請求項1〜3のいずれか一項に記載の摺動式等速自在継手。
  5. 前記外方部材は、固定式継手部と摺動式継手部とで共通した単一の部材で構成した請求項1〜4のいずれか一項に記載の摺動式等速自在継手。
  6. 前記外方部材は、固定式継手部と摺動式継手部のそれぞれで二部材により分割構成し、両部材を同軸的に突き合わせて接合一体化した請求項1〜4のいずれか一項に記載の摺動式等速自在継手。
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