JP2008019961A - 固定式等速自在継手 - Google Patents

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起佐雄 山崎
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Abstract

【課題】 作動角をとった時にケージと外輪間での摩擦力を低減すると共に、ボールの挙動を安定化させて良好な作動性を確保する。
【解決手段】 複数のトラック溝12a,12bが球面状内周面14に形成された外輪10と、複数のトラック溝22a,22bが球面状外周面24に形成された内輪20と、外輪10および内輪20のトラック溝で形成されたボールトラック32a,32bに配された複数のボール30と、外輪10の球面状内周面14と内輪20の球面状外周面24との間に介在するケージ40とを備え、トラックオフセットが異なる二種類のボールトラックとして、第一のボールトラック32aと第二のボールトラック32bとを具備する。
【選択図】 図1

Description

本発明は固定式等速自在継手に関し、詳しくは、自動車や各種産業機械の動力伝達系において使用されるもので、駆動側と従動側の二軸間で角度変位のみを許容する固定式等速自在継手に関する。
例えば、自動車の動力伝達系において、エンジンから車輪に回転力を等速で伝達する手段としてのドライブシャフトやプロペラシャフトに使用される連結用継手の一種に固定式等速自在継手がある。この固定式等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸を連結してその二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達し得る構造を備えている。一般的に、前述した固定式等速自在継手としては、バーフィールド型(BJ)やアンダーカットフリー型(UJ)が広く知られている。
図7(a)は、固定式等速自在継手の一つであるバーフィールド型等速自在継手の基本構成を例示する。なお、同図では、等速自在継手の上半分のみを示し、その下半分については省略している。
この等速自在継手は、同図に示すように軸方向に延びる複数のトラック溝112が球面状内周面114に形成された外側継手部材としての外輪110と、その外輪110のトラック溝112と対をなして軸方向に延びる複数のトラック溝122が球面状外周面124に形成された内側継手部材としての内輪120と、外輪110のトラック溝112と内輪120のトラック溝124との協働により形成されたボールトラック132に配されてトルクを伝達する複数のボール130と、外輪110の球面状内周面114と内輪120の球面状外周面124との間に介在してボール130を保持するケージ140とを備えている。複数のボール130は、ケージ140に形成されたポケット142に収容されて円周方向等間隔に配置されている。
この等速自在継手では、大きな作動角を取り得る構造とするため、外輪110のトラック溝112の曲率中心Oと内輪120のトラック溝122の曲率中心Oとを、ボール中心Oを含む継手中心Oに対して等距離f,f(f=f)だけ軸方向に逆向きにオフセットさせている〔図7(a)参照〕。つまり、外輪110のトラック溝112の曲率中心Oは、継手中心Oから外輪110の開口側へ向けて所定量f(トラックオフセット量)だけオフセットされ、内輪120のトラック溝122の曲率中心Oは、継手中心Oから外側の反開口側(奥側)へ向けて所定量f(トラックオフセット量)だけオフセットされている。
なお、図中、Roは外輪110のトラック溝112の曲率半径、Riは内輪120のトラック溝122の曲率半径をそれぞれ示す。また、図7(b)の一点鎖線は、外輪110のトラック溝112上でのボール中心Oの移動軌跡Pと内輪120のトラック溝122上でのボール中心Oの移動軌跡Qを示し、それぞれの移動軌跡P,Qでは、曲率半径Rの外輪PCDと、曲率半径Rの内輪PCDを持つ(R=R)。
このようにトラックオフセットを設けたことにより、両トラック溝112,122のそれぞれは、その軸方向中央から外輪奥側で浅く、外輪開口側で深くなっており、その結果、外輪110の奥側から開口側へ向けて径方向間隔が徐々に増加する楔状のボールトラック132が形成されている。
図8は、この等速自在継手の内輪120にシャフト150をスプライン嵌合により結合させた構造において、外輪110に対して内輪120、つまりシャフト150が作動角をとった状態を例示する。
外輪110のトラック溝112の最も奥側に位置する位相にあるボール130(図示上側のボール)と、外輪110のトラック溝112の最も開口側に位置する位相にあるボール130(図示下側のボール)とについて、前述したように外輪110のトラック溝112の曲率中心Oと内輪120のトラック溝122の曲率中心Oとを継手中心Oに対して等距離f,fだけ軸方向に逆向きにオフセットさせていることにより、外輪110のトラック溝112と内輪120のトラック溝122とがそれぞれのボール130を挟む角度、つまり楔角α,αが両トラック溝112,122間に発生する。その結果、ボール130は常にどの作動角においても、その作動角の二等分面内に維持され、継手の等速性が確保される。
しかしながら、この等速自在継手では、外輪110のトラック溝112の最も奥側に位置する位相にあるボール130と、外輪110のトラック溝112の最も開口側に位置する位相にあるボール130とについて、前述したトラックオフセットにより発生する楔角α,αが常に外輪110の開口側に開いている(図8参照)。そのため、同図の実線矢印で示すようにボール130が常に外輪110の開口側へ飛び出そうとする力が作用している。そのため、ケージ140はボール130により外輪110の開口側に強く押し付けられ、ケージ140の球面状外周面144と外輪110の球面状内周面114との間で強い摩擦力が生じる。これは、発熱による効率の低下(自動車では燃費の低下)および等速自在継手の寿命低下の一因となっている。
このトラックオフセットにより発生する楔角α,αは、そのトラックオフセットを小さくすれば小さくなるが、この楔角α,αを小さくしてしまうと、ボール130の挙動が不安定になり継手の作動性を低下させることになる。そのため、従来の等速自在継手では、作動性が確保できる範囲でないとトラックオフセットを小さくすることができず、継手の寿命低下を防止する上で設計上の限界があった。この欠点を補うものとして、二種類のトラック溝を組み合わせた構造の等速自在継手が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3475484号公報
ところで、前述の特許文献1に開示された従来の固定式等速自在継手は、トラックオフセットがないまたは小さいトラック溝と通常のトラックオフセットがあるトラック溝からなる二種類のトラック溝を円周上交互に配列させた構造を具備する。この等速自在継手では、トラックオフセットがないまたは小さいトラック溝で、ボールによりケージが外輪の開口側に押え付けられる力を低減すると共に、通常のトラックオフセットがあるトラック溝で、良好な作動性を確保するようにしている。
このように、トラックオフセットがないまたは小さいトラック溝と通常のトラックオフセットがあるトラック溝からなる二種類のトラック溝を有する構造としたことにより、ケージと外輪間での摩擦力の低減と良好な作動性の確保とのバランスがとれた等速自在継手を実現している。
しかしながら、この等速自在継手では、二種類のトラック溝のうちの一方のトラック溝、つまり、トラックオフセットがないまたは小さいトラック溝上で移動するボールは、外輪のトラック溝と内輪のトラック溝とがボールを挟む角度、つまり楔角がないまたは非常に小さい状態となっている。このように、トラックオフセットがないまたは小さいトラック溝の軸方向全領域に亘って楔角がないまたは非常に小さい状態では、そのトラック溝上を移動するボールの挙動が不安定になるという問題が生じる。
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、作動角をとった時にケージと外輪間での摩擦力を低減すると共に、ボールの挙動を安定化させて良好な作動性を確保し得る固定式等速自在継手を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、軸方向に延びる複数のトラック溝が球面状内周面に形成された外側継手部材と、その外側継手部材のトラック溝と対をなして軸方向に延びる複数のトラック溝が球面状外周面に形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との協働により形成されたボールトラックに配されてトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の球面状内周面と内側継手部材の球面状外周面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた固定式等速自在継手において、曲率中心を継手中心から外側継手部材の開口側へ向けて所定量だけオフセットさせた開口側曲線部分と、曲率中心を継手中心から外側継手部材の反開口側へ向けて所定量だけオフセットさせた反開口側曲線部分と、開口側曲線部分と反開口側曲線部分とを繋ぐ直線部分とで外側継手部材のトラック溝および内側継手部材のトラック溝が構成された第一のボールトラックと、内側継手部材のトラック溝の曲率中心を継手中心から外側継手部材の開口側へ向けて所定量だけオフセットさせると共に、外側継手部材のトラック溝の曲率中心を継手中心から外側継手部材の反開口側へ向けて所定量だけオフセットさせた第二のボールトラックとを具備したことを特徴とする。
本発明に係る固定式等速自在継手では、第一のボールトラックと第二のボールトラックとを具備し、それら第一のボールトラックと第二のボールトラックを継手円周方向に沿って交互に配置する。また、第一のボールトラックあるいは第二のボールトラックは、継手径方向で180°対向する位置に配置する必要がある。さらに、第一のボールトラックあるいは第二のボールトラックのうち、少なくともいずれか一方のボールトラックが一対含まれていればよい。なお、ボールの個数は、例えば4個、6個、8個のように偶数個であれば、その数は問わない。
第一のボールトラックは、曲率中心を継手中心から外側継手部材の開口側へ向けて所定量だけオフセットさせた開口側曲線部分と、曲率中心を継手中心から外側継手部材の反開口側へ向けて所定量だけオフセットさせた反開口側曲線部分と、開口側曲線部分と反開口側曲線部分とを繋ぐ直線部分とで、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝を構成する。
この第一のボールトラックでは、継手が作動角をとった時に、外側継手部材のトラック溝の最も奥側に位置する位相にあるボールと、外輪のトラック溝の最も開口側に位置する位相にあるボールとについて、両者の楔角が互いに逆方向となる。つまり、トラックオフセットにより発生する楔角が互いに開口側と反開口側の逆方向に開いているため(図3のα,α参照)、同図の実線矢印で示すように外側継手部材のトラック溝の最も奥側に位置する位相にあるボールと、外輪のトラック溝の最も開口側に位置する位相にあるボールとでそのボールを押し出そうとする力が互いに逆方向に発生し、それらの力は互いに打ち消しあう。その結果、従来のように、ケージはボールにより外輪の開口側に一方的に押し付けられることがないため、ケージの球面状外周面と外輪の球面状内周面との間での摩擦力を低減することができる。
一方、第二のボールトラックは、内側継手部材のトラック溝の曲率中心を継手中心から外側継手部材の開口側へ向けて所定量だけオフセットさせると共に、外側継手部材のトラック溝の曲率中心を継手中心から外側継手部材の反開口側へ向けて所定量だけオフセットさせている。
前述の第一のボールトラックにおいて、作動角が0°の時(図6参照)、外側継手部材のトラック溝および内側継手部材のトラック溝の直線部分にボールが位置することから、そのボールに対する楔角は0°となるが、これはトラック溝の軸方向全領域ではなく直線部分のみであり、その直線部分を除く開口側あるいは反開口側曲線部分にボールが位置する場合、つまり、前述した作動角をとった時(図3参照)には楔角が発生することから、ボールの挙動は安定する。
一方、この作動角が0°の時、第二のボールトラックでは、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝とで挟まれたボールに対する楔角が0°ではないため、その楔角がトラック溝の軸方向全領域に亘って同じ角度に保持されていることから(図5参照)、ボールの挙動は安定して良好な作動性を確保することができる。
本発明によれば、外側継手部材のトラック溝および内側継手部材のトラック溝を、トラックオフセットが異なる二種類のボールトラック、つまり、前述した第一のボールトラックおよび第二のボールトラックで構成したことにより、作動角をとった時にケージと外輪間での摩擦力を低減することができて、等速自在継手内部での発熱による効率の低下を抑制すると共に等速自在継手の寿命向上が図れる。また、トラック溝上を移動するボールの挙動を安定化させて良好な作動性を確保することができる。
本発明に係る固定式等速自在継手の実施形態を詳述する。以下の実施形態では、固定式等速自在継手の一つであるバーフィールド型等速自在継手(BJ)を例示する。なお、本発明は、他の固定式等速自在継手、例えばアンダーカットフリー型等速自在継手(UJ)にも適用可能である。
この等速自在継手は、図1に示すように軸方向に延びる複数(例えば8つ)のトラック溝12a,12bが球面状内周面14に円周方向等間隔に形成された外側継手部材としての外輪10と、その外輪10のトラック溝12a,12bと対をなして軸方向に延びる複数(例えば8つ)のトラック溝22a,22bが球面状外周面24に円周方向等間隔に形成された内側継手部材としての内輪20と、外輪10のトラック溝12a,12bと内輪20のトラック溝22a,22bとの協働により形成されたボールトラック32a,32bに配されてトルクを伝達する複数(例えば8個)のボール30と、外輪10の球面状内周面14と内輪20の球面状外周面24との間に介在してボール30を保持するケージ40とを備えている。複数のボール30は、ケージ40に形成されたポケット42に収容されて円周方向等間隔に配置されている〔図2(a)および図4(a)参照〕。
この等速自在継手では、トラックオフセットが異なる二種類のボールトラックとして、第一のボールトラック32aと第二のボールトラック32bとを具備する。これら第一のボールトラック32aと第二のボールトラック32bは継手円周方向に沿って交互に配置され、同種同士で継手径方向180°対向する位置に配置されている。この実施形態では、ボール30が8個の場合で、二対(4つ)の第一のボールトラック32aが180°対向配置されると共に、二対(4つ)の第二のボールトラック32bが180°対向配置されている。
なお、この実施形態に限らず、第一のボールトラック32aあるいは第二のボールトラック32bのうち、少なくともいずれか一方のボールトラックが一対含まれていればよい。また、ボール30の個数は、8個以外に、例えば4個、6個のように偶数個であれば、その数は問わない。
第一のボールトラック32aは、図2(a)に示すように曲率中心Oを継手中心Oから外輪10の開口側へ向けて所定量f(トラックオフセット量)だけオフセットさせた開口側曲線部分12a,22aと、曲率中心Oを継手中心Oから外輪10の反開口側(奥側)へ向けて所定量f(トラックオフセット量)だけオフセットさせた反開口側曲線部分12a,22aと、開口側曲線部分12a,22aと反開口側曲線部分12a,22aとを繋ぐ直線部分12a,22aとで、外輪10のトラック溝12aと内輪20のトラック溝22aを構成する。開口側曲線部分12a,22aのオフセット量fと反開口側曲線部分12a,22aのオフセット量fは継手中心Oに対して等距離である。また、それら開口側曲線部分12a,22aと反開口側曲線部分12a,22aとの間に位置する直線部分12a,22aは、外輪10の軸方向と平行で、前述した二つのオフセット量f,fの合計(f+f)がその軸方向寸法となっている。
なお、図中、Roは外輪10のトラック溝12aの開口側曲線部分12aの曲率半径、Roは外輪10のトラック溝12aの反開口側曲線部分12aの曲率半径、Riは内輪20のトラック溝22aの開口側曲線部分22aの曲率半径、Riは内輪20のトラック溝22aの反開口側曲線部分22aの曲率半径をそれぞれ示す。また、図(b)の一点鎖線は、外輪10のトラック溝12a上でのボール中心Oの移動軌跡Pと内輪20のトラック溝22a上でのボール中心Oの移動軌跡Qを示し、両者の移動軌跡P,Qは一致している。トラック溝12a,22aの開口側曲線部分12a,22aで曲率半径Rを持ち、その反開口側曲線部分12a,22aで曲率半径Rを持つ(R=R)。
この第一のボールトラック32aでは、図3に示すように、継手が作動角をとった時に、外輪10のトラック溝12aの最も奥側に位置する位相にあるボール30(図示上側のボール)と、外輪10のトラック溝12aの最も開口側に位置する位相にあるボール30(図示下側のボール)とについて、両者の楔角α,αが互いに逆方向となる。つまり、トラックオフセットにより発生する楔角α,αが互いに開口側と反開口側の逆方向に開いているため(図3参照)、同図の実線矢印で示すように外輪10のトラック溝12aの最も奥側に位置する位相にあるボール30と、外輪10のトラック溝12aの最も開口側に位置する位相にあるボール30とでそのボール30を押し出そうとする力が互いに逆方向に発生し、それらの力は互いに打ち消しあう。その結果、従来のように(図8参照)、ケージ40はボール30により外輪10の開口側に一方的に押し付けられることがないため、ケージ40の球面状外周面44と外輪10の球面状内周面14との間での摩擦力を低減することができ、継手の寿命の向上が図れる。なお、図3中、符号50は内輪20にスプライン嵌合により連結されたシャフトを示す。
一方、第二のボールトラック32bは、図4(a)に示すように内輪20のトラック溝22bの曲率中心Oを継手中心Oから外輪10の開口側へ向けて所定量f(トラックオフセット量)だけオフセットさせると共に、外輪10のトラック溝12bの曲率中心Oを継手中心Oから外輪10の反開口側(奥側)へ向けて所定量f(トラックオフセット量)だけオフセットさせている。
なお、図中、Roは外輪10のトラック溝12bの曲率半径、Riは内輪20のトラック溝22bの曲率半径をそれぞれ示す。また、図(b)の一点鎖線は、外輪10のトラック溝12b上でのボール中心Oの移動軌跡Qと内輪20のトラック溝22b上でのボール中心Oの移動軌跡Pを示し、それぞれの移動軌跡P,Qでは、曲率半径Rの外輪PCDと、曲率半径Rの内輪PCDを持つ(R=R)。
この第二のボールトラック32bでは、図5に示すように、継手が作動角をとった時に、外輪10のトラック溝12bの最も奥側に位置する位相にあるボール30(図示上側のボール)と、外輪10のトラック溝12bの最も開口側に位置する位相にあるボール30(図示下側のボール)とについて、トラックオフセットにより発生する楔角α,αが常に外輪10の反開口側に開いているため(図5参照)、同図の実線矢印で示すようにボール30が常に外輪10の反開口側へ向く力が作用する。つまり、ボール30に作用する力は従来のボールトラック132(図8参照)と比較して逆方向に発生するだけで、その大きさは同じである。
前述の第一のボールトラック32aにおいて、図6に示すように、作動角が0°の時、外輪10のトラック溝12aおよび内輪20のトラック溝22aの直線部分12a,22aにボール30が位置することから、そのボール30に対する楔角は0°となるが、これはトラック溝12a,22aの軸方向全領域ではなく直線部分12a,22aのみであり、その直線部分12a,22aを除く開口側曲線部分12a,22aあるいは反開口側曲線部分12a,22aにボール30が位置する場合、つまり、前述した作動角をとった時(図3参照)には楔角α,αが発生することから、ボール30の挙動は安定する。
一方、この作動角が0°の時、第二のボールトラック32bでは、外輪10のトラック溝12bと内輪20のトラック溝22bとで挟まれたボール30に対する楔角が0°ではないため、その楔角α,α(図5参照)がトラック溝12b,22bの軸方向全領域に亘って同じ角度に保持されていることから、ボール30の挙動は安定して良好な作動性を確保することができる。
この第二のボールトラック32bに関しては、従来のボールトラック132〔図7(a)参照〕に対して、オフセットを逆向きにして外輪10の開口側から反開口側(奥側)へ向けて径方向間隔が徐々に増加する楔状のボールトラック32bとしていることから、外輪10の開口側で肉厚を確保できる形状となっている。このように外輪10の開口側で肉厚を確保することで、外輪10の強度および剛性を向上させることができる。また、外輪10の開口側での肉厚を従来と同様にすれば、外輪10の外径を従来よりも小さくすることができ、外輪10のコンパクト化およびコスト低減化も図れる。さらに、内輪20の最弱部となる外輪10の開口側端部を従来よりも肉厚にすることができるので、内輪20の強度向上も図れる。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る固定式等速自在継手の実施形態で、バーフィールド型等速自在継手を外輪開口側から見た側面図である。 (a)は本発明の等速自在継手における第一のボールトラックを示す断面図、(b)は第一のボールトラックにおける外輪PCDと内輪PCDを示す説明図である。 図1の等速自在継手が作動角をとった状態で、第一のボールトラックでの作動状態を示す断面図である。 (a)は本発明の等速自在継手における第二のボールトラックを示す断面図、(b)は第二のボールトラックにおける外輪PCDと内輪PCDを示す説明図である。 図1の等速自在継手が作動角をとった状態で、第二のボールトラックでの作動状態を示す断面図である。 図1の等速自在継手において作動角が0°の状態で、第一のボールトラックでの作動状態を示す断面図である。 固定式等速自在継手の従来例で、(a)はバーフィールド型等速自在継手におけるボールトラックを示す断面図、(b)はボールトラックにおける外輪PCDと内輪PCDを示す説明図である。 図7の等速自在継手が作動角をとった状態で、ボールトラックでの作動状態を示す断面図である。
符号の説明
10 外側継手部材(外輪)
12a,12b トラック溝
12a,22a 開口側曲線部分
12a,22a 反開口側曲線部分
12a,22a 直線部分
14 球面状内周面
20 内側継手部材(内輪)
22a,22b トラック溝
24 球面状外周面
30 ボール
32a 第一のボールトラック
32b 第二のボールトラック
40 ケージ

Claims (4)

  1. 軸方向に延びる複数のトラック溝が球面状内周面に形成された外側継手部材と、その外側継手部材のトラック溝と対をなして軸方向に延びる複数のトラック溝が球面状外周面に形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との協働により形成されたボールトラックに配されてトルクを伝達する複数のボールと、前記外側継手部材の球面状内周面と内側継手部材の球面状外周面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた固定式等速自在継手において、
    曲率中心を継手中心から外側継手部材の開口側へ向けて所定量だけオフセットさせた開口側曲線部分と、曲率中心を前記継手中心から外側継手部材の反開口側へ向けて所定量だけオフセットさせた反開口側曲線部分と、前記開口側曲線部分と反開口側曲線部分とを繋ぐ直線部分とで外側継手部材のトラック溝および内側継手部材のトラック溝が構成された第一のボールトラックと、前記内側継手部材のトラック溝の曲率中心を継手中心から外側継手部材の開口側へ向けて所定量だけオフセットさせると共に、前記外側継手部材のトラック溝の曲率中心を継手中心から外側継手部材の反開口側へ向けて所定量だけオフセットさせた第二のボールトラックとを具備したことを特徴とする固定式等速自在継手。
  2. 前記第一のボールトラックあるいは第二のボールトラックは、継手径方向で180°対向する位置に配置されている請求項1に記載の固定式等速自在継手。
  3. 前記第一のボールトラックあるいは第二のボールトラックの少なくともいずれか一方が一対以上配置されている請求項1又は2に記載の固定式等速自在継手。
  4. 前記ボールが偶数個である請求項1〜3のいずれか一項に記載の固定式等速自在継手。
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JP2016514814A (ja) * 2013-03-27 2016-05-23 ゲー カー エヌ ドライブライン インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングGKN Driveline International GmbH カウンタートラックジョイントとしての等速ジョイント

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US9810269B2 (en) 2013-03-27 2017-11-07 Gkn Driveline International Gmbh Constant velocity joint in the form of a counter track joint
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