JP2010133442A - 固定型等速自在継手 - Google Patents

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浩量 大場
Masayuki Kuroda
正幸 黒田
Hisaaki Kura
久昭 藏
Tatsuro Sugiyama
達朗 杉山
Teruaki Fujio
輝明 藤尾
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Abstract

【課題】 トルク損失の少ない高効率の固定型等速自在継手を低コストに製造できるようにする。
【解決手段】 外側継手部材1と内側継手部材2の対向する中央トラック溝部11b、12b、21b、22bの間にくさび角を形成する。外側継手部材1と内側継手部材2に形成されるトラック溝11、12、21、22を、作動角0°の状態において、くさび角αが外側継手部材1の開口側に向かって開く中央トラック溝部11b、21bを有する第1の対のトラック溝11、21と、これとは反対にくさび角βが外側継手部材1の奥側に向かって開く中央トラック溝部12b、22bを有する第2の対のトラック溝12、22の両方で構成する。外側継手部材1の第1トラック溝11および第2トラック溝12の双方において、中央トラック溝部11b、12bに直接接続される開口側トラック溝部11c、12cを開口側に向かってアンダーカットのない形状とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、固定型等速自在継手に関する。
自動車のフロント用ドライブシャフトには、インボード側に摺動型等速自在継手が組み込まれ、アウトボード側に固定型等速自在継手が組み込まれる。アウトボード側に使用されている固定型等速自在継手では、通常、作動性を確保するために、図13に示すように、外側継手部材101に形成したトラック溝のボール軌道中心線xの曲率中心を、軸心上で継手中心Ojの軸方向一方側にオフセットし、内側継手部材102に形成したトラック溝のボール軌道中心線yの曲率中心を軸心上で継手中心Ojの軸方向他方側にオフセットしている。オフセット量fo、fiは等しい。このオフセットによって、外側継手部材101のトラック溝101aと、これに対向する内側継手部材102のトラック溝102aとで形成されるボールトラックにくさび角αが形成され、ボール103および保持器104を作動角の2等分面に保持する力が作用する。このくさび角αは、通常、全てのボールトラックで外側継手部材101の開口側の向きに開く方向となっている。
この構成では、ボール103が外側継手部材のトラック溝101aおよび内側継手部材のトラック溝102aからくさび角αに応じた軸方向分力を受けるため、保持器104がボール103によって外側継手部材の開口側に押し込まれる。これにより、外側継手部材101と保持器104の間、および内側継手部材102と保持器104の間の球面嵌合部分に軸方向の力(球面力)が作用する。この球面力は等速自在継手の発熱につながり、伝達トルク損失を増加させる。
以上の問題を解決するため、特許第3111930号(特許文献1)では、複数のボールトラックを、くさび角の軸方向に開く向きが逆向きのボールトラックに置換した等速自在継手が開示されている。かかる構成であれば。ボールに作用する軸方向分力が相殺されるため、球面嵌合部の接触圧を減少させて、伝達トルク損失を少なくすることができる。
また、特開2004−169915号公報(特許文献2)では、複数のボールトラックを、くさび角の軸方向に開く向きが逆向きのボールトラックに置換した等速自在継手において、高作動角化を図るため、外側継手部材のトラック溝のうち、開口側の端部を、外側継手部材の外側に中心を有する円弧で形成した提案もなされている。
特許第3111930号 特開2004−169915号
しかしながら、特許文献1の構成では、外側継手部材の開口側にアンダーカットを有するトラック溝が存在し、高作動角をとった際には、そのトラック溝からトルク伝達ボールが脱落し易く、高作動角をとることが困難となる。
一方、特許文献2の構成であれば、高作動角化自体は達成できるが、高作動角時にくさび角が大きくなるので、ボールから保持器に作用する荷重が増大する。そのため、保持器の強度が不足するおそれがあり、この点が継手の小型化を図る上での障害となる。また、内側継手部材のトラック溝や外側継手部材のトラック溝の半径方向の寸法変化が大きく、内側継手部材や外側継手部材を鍛造する際に、ニアネットシェイプが困難となる。さらに、等速自在継手の作動角が0°のとき、外側継手部材の開口側に向けてくさび角を開いたトラック溝では、外側継手部材の奥側でトラック溝のトラック深さが浅くなるので、高作動角時の許容負荷トルクが低くなる。
以上の課題に鑑み、本発明は、トルク損失の少ない高効率の固定型等速自在継手を低コストに製造できるようにすることを目的とする。
また、高作動角をとることができ、かつ高作動角時の強度や耐久性にも優れた固定型等速自在継手を提供することも目的とする。
以上の目的を達成するため、本発明は、内球面に軸方向に延びる複数のトラック溝が形成され、軸方向に離間する開口側と奥側を有する外側継手部材と、外球面に軸方向に延びる複数のトラック溝が形成された内側継手部材と、対向する内側継手部材のトラック溝と外側継手部材のトラック溝との間に配置されるトルク伝達ボールと、外側継手部材の内球面および内側継手部材の外球面とそれぞれ球面嵌合し、かつ各トルク伝達ボールを保持する保持器とを具備する固定型等速自在継手において、前記外側継手部材と前記内側継手部材の対向するトラック溝(11、12、21、22)の常用角範囲に位置する中央トラック溝部(11b、12b、21b、22b)の間にくさび角を形成し、前記外側継手部材と前記内側継手部材に形成されるトラック溝(11、12、21、22)を、上記等速自在継手が作動角0°の状態において、前記くさび角(α)が外側継手部材の開口側に向かって開く前記中央トラック溝部(11b、21b)を有する第1の対のトラック溝(11、21)と、これとは反対に前記くさび角(β)が外側継手部材の奥側に向かって開く前記中央トラック溝部(12b、22b)を有する第2の対のトラック溝(12、22)の両方で構成すると共に、前記外側継手部材の第1トラック溝(11)および第2トラック溝(12)の双方において、前記中央トラック溝部(11b、12b)に直接接続され、又は中継トラック溝部(11d、12d)を介して接続される開口側のトラック溝部(11c、12c)を開口側に向かってアンダーカットのない形状とし、前記内側継手部材の第1および第2トラック溝(21、22)を、継手中心平面を基準として、前記外側継手部材の対になる第1および第2のトラック溝(11、12)と鏡像対称となる形状に形成したことを特徴とするものである。
なお、「常用角」とは、一名乗車時の自動車において、ステアリングを直進状態にした時にフロントドライブシャフトの固定型等速自在継手で生じる作動角をいい、「常用角範囲」とは、前記常用角をとった固定側等速自在継手において、内側継手部材のトラック溝および外側継手部材のトラック溝がトルク伝達ボールと接触する範囲をいう。常用角は、通常、5°〜15°の間で車種ごとの設計条件に応じて選択・決定される。
以上の構成であれば、常用角範囲内では、くさび角(α)が外側継手部材の開口側に向かって開く中央トラック溝部(11b、21b)と、これとは反対にくさび角(β)が外側継手部材の奥側に向かって開く中央トラック溝部(12b、22b)の二種類が形成される。この場合、常用角範囲内での使用時には、外側継手部材のトラック溝および内側継手部材のトラック溝からトルク伝達ボールに作用する軸方向分力が相殺されるため、保持器と内側継手部材の間に作用する球面力、および保持器と外側継手部材の間に作用する球面力を減じることができ、トルク損失を少なくすることができる。また、外側継手部材の奥側に向かって開くくさび角が、外側継手部材のトラック溝の一部領域に限って形成され、かつ内側継手部材のトラック溝が、継手中心平面を基準として、対になる外側継手部材のトラック溝と鏡像対称となる形状に形成されているので、全ての作動角でこの種のくさび角を形成する場合に比べ、外側継手部材のトラック溝や内側継手部材のトラック溝の加工が容易となり、低コスト化を図ることができる。
外側継手部材の中央トラック溝部(11b、21b)に直接接続され、または中継トラック溝部(11d、12d)を介して接続される開口側のトラック溝部(11c、12c)を開口側に向かってアンダーカットのない形状にしているので、高作動角状態でもボールトラックの開口側の端部からトルク伝達ボールが脱落することがなく、等速自在継手の高作動角化を図ることができる。また、外側継手部材や内側継手部材のトラック溝全体でその形状が単純化されるので、例えば外側継手部材や内側継手部材を鍛造で成形する際に、ニアネットシェイプ化が可能であり、製造コストを低廉化することができる。
内側継手部材と外側継手部材の対になる中央トラック溝部(11b、12b、21b、22b)が形成するくさび角(α、β)の軸方向に開く向きを、常用角範囲で変化させず、かつ作動角0°の時にそれぞれが形成するくさび角の軸方向に開く向きと同じにすることにより、常用角範囲では、外側継手部材のトラック溝および内側継手部材のトラック溝からトルク伝達ボールに作用する軸方向分力の少なくとも一部が常時相殺される。従って、常用角範囲内では球面力の発生を抑制することができる。
外側継手部材の少なくとも一つのトラック溝(11、12)のボール軌道中心線(x)は、常用角範囲内で傾斜直線状部分を有するもの、常用角範囲内で1つの曲率中心を有するもの、あるいは常用角範囲内で2つの曲率中心を有するもの、の何れかに形成することができる。
常用角範囲内で2つの曲率中心を有するものとした場合には、2つの曲率中心を外側継手部材のトラック溝の外径側と内径側に配置すれば、当該トラック溝を滑らかに連続させることが可能となる。
作動角が0°の状態で、外側継手部材の開口側に向かって開くくさび角(α)、および奥側に向かって開くくさび角(β)のうち、どちらか一方を形成する外側継手部材のトラック溝には、その常用角範囲よりも奥側に、ボール軌道中心線(x)の曲率中心を継手中心上に配した円弧部(11a、12a)を設けることができる。従来の固定型等速自在継手では、外側継手部材のトラック溝において、ボール軌道中心線の曲率中心を継手中心よりも開口側にオフセットさせている関係で、外側継手部材のトラック溝の奥側でトラック深さが浅くなる傾向にあるが、上記のようにボール軌道中心線(x)の曲率中心を継手中心上に配置することにより、奥側でのトラック深さを大きくすることができ、高作動角時の許容負荷トルクを向上させることができる。円弧部のボール軌道中心線(x)の曲率中心を、継手中心よりも奥側に配置すれば、高作動角領域でのトラック深さをさらに深くすることができる。
外側継手部材の内球面と嵌合する保持器の外球面の中心、および内側継手部材の外球面と嵌合する保持器の内球面の中心は同じ位置に配置する。
トルク伝達ボールは、円周方向に6個もしくは8個配置することができる。8個のトルク伝達ボールを配置すれば、6個を配置する場合に比べて、小型・軽量で高効率の固定型等速自在継手を提供することができる。
作動角が0°の状態で、開口側に向かって開くくさび角(α)を形成する外側継手部材のトラック溝(11)と、奥側に向かって開くくさび角(β)を形成する外側継手部材のトラック溝12とは、円周方向で交互に1つずつ配置し、あるいは円周方向で交互に2つずつ配置することができる。何れの場合でも、球面力を確実に減少させるため、二種類のトラック溝の数を同じにするのが望ましい。
以上のように、本発明によれば、トルク損失の少ない高効率の固定型等速自在継手を低コストに製造可能とすることが可能となる。また、高作動角化も容易であり、かつ高作動角時の強度や耐久性にも優れた固定型等速自在継手を提供することが可能となる。
以下本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
図1〜図4に本発明の第1の実施形態を示す。図1に示すように、第1の実施形態の固定型等速自在継手は、マウス部1aおよびステム部1bを一体に有する外側継手部材1と、外側継手部材1内に収容された内側継手部材2と、外側継手部材1と内側継手部材2の間でトルクを伝達する複数のトルク伝達ボール3と、トルク伝達ボール3を円周方向の等配位置に保持する保持器4とを具備する。外側継手部材1のマウス部1aは、軸方向の一端が閉じた形態を有し、軸方向一端側が奥側となり、軸方向他端側が開口側となっている。この固定型等速自在継手は、自動車のドライブシャフトのアウトボード側に組み込まれるもので、外側継手部材1のステム部1bがハブ(図示省略)に結合される。また、内側継手部材2の内周に中間軸(図示省略)の一端がスプライン結合され、この中間軸の他端がインボード側の摺動型等速自在継手に結合される。
外側継手部材1の内球面10には、軸方向に延びる複数のトラック溝11,12が形成され、内側継手部材2の外球面20には、同じく複数のトラック溝21、22が形成されている。対向する外側継手部材1のトラック溝と内側継手部材2のトラック溝との間(トラック溝11とトラック溝21との間、およびトラック溝12とトラック溝22との間)にボールトラックが形成され、このボールトラックにトルク伝達ボール3が一つずつ配置されている。本実施形態では、図2に示すように、8個のトルク伝達ボール3を使用する場合を例示している。保持器4は、部分球面状の外球面40と内球面41とを具備する。保持器4の外球面40と内球面41の球面中心は、何れも継手中心Oj上にあり、保持器4の外球面40が外側継手部材1の内球面10と球面嵌合し、保持器4の内球面41が内側継手部材2の外球面20と球面嵌合している。
図3に、外側継手部材1の断面図(図2におけるA−A線断面図)を示す。外側継手部材1のトラック溝11,12は、軸方向断面形状が異なる2種類で構成される。そのうちの一方が第1トラック溝11であり、他方が第2トラック溝12である。
図3に示すように、外側継手部材1の第1トラック溝11は、外側継手部材1の奥側から順に円弧部11a、中央トラック溝部11b、および開口側トラック溝部11cを有する。円弧部11aは、継手中心Oj上にボール軌道中心線xの曲率中心を有する円弧状であり、開口側トラック溝部11cのボール軌道中心線xは軸方向の直線状である。中央トラック溝部11bは、第1トラック溝11の外径側でかつ継手中心Ojよりも奥側にボール軌道中心線xの曲率中心を有する奥側の円弧と、第1トラック溝11の内径側(図示例では軸心上)でかつ継手中心Ojより開口側に曲率中心を有する開口側の円弧とを滑らかにつなげたS字状の形態である。中央トラック溝部11bは、円弧部11aおよび開口側トラック溝部11cと直接かつ滑らかに接続されている。円弧部11a、中央トラック溝部11b、および開口側トラック溝部11cの何れも開口側に向けてアンダーカットを有しない。
外側継手部材1の第2トラック溝12も同様に、外側継手部材1の奥側から順に円弧部12a、中央トラック溝部12b、および開口側トラック溝部12cを有する。中央トラック溝部12bは、円弧部12aおよび開口側トラック溝部12cと直接かつ滑らかに接続されている。円弧部12aは、継手中心Oj上にボール軌道中心線xの曲率中心を有する円弧状であり、開口側トラック溝部12cのボール軌道中心線xは軸方向に延びる直線状である。中央トラック溝部12bは、第2トラック溝12の内径側であって、継手中心Ojより奥側でかつ軸心から外径方向にオフセットした位置にボール軌道中心線xの曲率中心を有する奥側の円弧と、第2トラック溝12の外径側でかつ継手中心Ojより開口側にボール軌道中心線xの曲率中心を有する開口側の円弧とを滑らかにつなげたS字状の形態を有する。円弧部12aおよび開口側トラック溝部12cは開口側に向けてアンダーカットを有しないが、中央トラック溝部12bは開口側に向けて僅かにアンダーカットを有する。
外側継手部材1の第1トラック溝11および第2トラック溝12は、図2に示すように1つずつ円周方向に交互に配置される。この他、図示は省略するが、2つずつ円周方向に交互に配置してもよい。何れの場合でも、球面力の発生を極力回避するため、継手全体で第1トラック溝11の総数と第2トラック溝12の総数を同じにするのが好ましい。
図4に内側継手部材2の断面図(図2おけるA−A線断面図)を示す。内側継手部材2のトラック溝21,22は、軸方向断面形状を異にした2種類で構成される。そのうちの一方である第1トラック溝21は、外側継手部材1の第1トラック溝11と対向して配置され、他方である第2トラック溝22は、外側継手部材1の第2トラック溝12と対向して配置される。内側継手部材2の第1トラック溝21および第2トラック溝22は、継手中心平面(継手中心Ojを通る半径方向面)を基準として、対になる外側継手部材1のトラック溝11,12と鏡像対称となる形状を有する。すなわち、内側継手部材2の第1トラック溝21には、外側継手部材1の奥側から順に奥側トラック溝部21c、中央トラック溝部21b、および円弧部21aが形成され、同様に、内側継手部材2の第2トラック溝22には、外側継手部材1の奥側から順に奥側トラック溝部22c、中央トラック溝部22b、および円弧部22aが形成される。
内側継手部材2の円弧部21a,22aは、何れも継手中心Oj上にボール軌道中心線yの曲率中心を有し、第1トラック溝21の中央トラック溝部21bと第2トラック溝22の中央トラック溝部22bのボール軌道中心線yは何れも2つの曲率中心を有する。第1トラック溝21の中央トラック溝部21bは、内側継手部材2の第1トラック溝21の内径側(図示例では軸心上)でかつ継手中心Ojよりも奥側にボール軌道中心線yの曲率中心を有する奥側の円弧と、第1トラック溝21の外径側で継手中心Ojよりも開口側にボール軌道中心線yの曲率中心を有する開口側の円弧とを滑らかにつなげたS字状の形態である。第2トラック溝22の中央トラック溝部22bは、第2トラック溝22の外径側でかつ継手中心Ojよりも奥側にボール軌道中心線yの曲率中心を有する奥側の円弧と、第2トラック溝22の内径側であって、継手中心Ojよりも開口側でかつ軸心から外径方向にオフセットした位置にボール軌道中心線yの曲率中心を有する開口側の円弧とを滑らかにつなげたS字状の形態を有する。
なお、図3および図4において、外側継手部材1のトラック溝11,12のボール軌道中心線xおよび内側継手部材2のトラック溝21,22のボール軌道中心線yに描いた白丸印は、隣接する円弧間の変曲点、円弧と直線の境界点、あるいは直線と直線の境界点を表す。これら変曲点や境界点では、両側の領域を滑らかに連続させる。滑らかに連続させることが困難である場合には、小さいアールでつないでもよい(図5〜図12でも同様とする)。
図3および図4中の符号Lは、等速自在継手が常用角をとった際に、トルク伝達ボール3が外側継手部材1のトラック溝11,12、および内側継手部材2のトラック溝21,22と接触する範囲である常用角範囲を表す。外側継手部材1のトラック溝11,12、および内側継手部材2のトラック溝21,22のうち、常用角範囲Lの部分が中央トラック溝部11b,12b,21b,22bを構成する。
外側継手部材1内に、内側継手部材2、トルク伝達ボール3、および保持器4を組み込むと、図1に示すように、外側継手部材1の第1トラック溝11と内側継手部材2の第1トラック溝21との間、および外側継手部材1の第2トラック溝12と内側継手部材2の第2トラック溝22との間に、それぞれトルク伝達ボール3を収容するボールトラックが形成される。作動角0°の状態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11bと内側継手部材2の第1トラック溝21の中央トラック溝部21bは、外側継手部材1の開口側に向かって開くくさび角αを形成する。また、外側継手部材1の第2トラック溝12の中央トラック溝部12bと内側継手部材2の第2トラック溝22の中央トラック溝部22bは、外側継手部材1の奥側に向かって開くくさび角βを形成する。
この固定型等速自在継手を自動車のフロント用ドライブシャフトに組み込み、常用角(例えば10°)をとると、作動角0°の時のくさび角α,βと軸方向の同じ側に向かって開くくさび角が得られる。このくさび角により、外側継手部材1のトラック溝11,12および内側継手部材2のトラック溝21,22からトルク伝達ボール3に作用する力が互いに打ち消されるので、保持器4と外側継手部材1の間、および保持器4と内側継手部材2の間に作用する球面力を減少させることができる。これにより常用角範囲Lにおいて、伝達トルクの損失を抑制して、継手の高効率化を図ることが可能となる。
また、この固定型等速自在継手では、等速自在継手の作動角が0°の状態で相互に逆向きのくさび角αを形成する中央トラック溝部11b,21b、およびくさび角βを形成する中央トラック溝部12b,22bが、継手中心Ojを含む軸方向の一定範囲(常用角範囲L)に限って形成されている。外側継手部材1の中央トラック溝部11b,12bに接続される開口側トラック溝部11c,12c、および内側継手部材2の中央トラック溝部21b,22bに接続される奥側トラック溝21c,22cは、何れもアンダーカットのない形状である。外側継手部材1の第2トラック溝12の中央トラック溝部12b、および内側継手部材2の第2トラック溝22の中央トラック溝部22bにおいてアンダーカットを生じているが、これらのアンダーカット量は鍛造性に影響を与えない程度の微小量である。従って、外側継手部材1や内側継手部材2の鍛造を容易に行うことができ、鍛造時のニアネットシェイプも達成可能となる。
また、外側継手部材1のトラック溝11,12の奥側に形成された円弧部11a,12aのボール軌道中心線xの曲率中心を何れも継手中心Oj上にとっているので、継手中心Ojよりも開口側にボール軌道中心線の曲率中心をとる場合に比べて、トラック溝11,12の最奥部でのトラック深さを深くすることができる。従って、高作動角時の許容負荷トルクを大きくすることができる。
さらに、外側継手部材1のトラック溝11,12の開口側および内側継手部材2のトラック溝21,22の奥側には、従来のアンダーカットフリージョイント(UJ)と同形態の開口側トラック溝部11c,12c、および奥側トラック溝21c,22cを形成しているので、高作動角時にも過大な荷重が保持器4に作用することがない。従って、保持器4の小型化を通じて、継手全体の小型化を図ることができる。
以下、図5〜図12に基づいて、本発明の他の実施形態を説明する。
図5(a)(b)に、本発明の第2の実施形態を示す。この第2の実施形態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の開口側トラック溝部11c、および第2トラック溝12の開口側トラック溝部12cが、図1に示す第1の実施形態と共通した形態を有する。
その一方で、第1の実施形態と異なり、第1トラック溝11の中央トラック溝部11b、および第2トラック溝12の中央トラック溝部12bの各ボール軌道中心線xは、何れも傾斜直線状に形成されている。第1トラック溝11の中央トラック溝11bは開口側ほど大径となり、第2トラック溝12の中央トラック溝12bは開口側ほど小径になっている。また、第1トラック溝11の中央トラック溝部11bよりも奥側の領域11a、および第2トラック溝12の中央トラック溝部12bよりも奥側の領域12aでは、何れもボール軌道中心線xが軸方向の直線状に形成されている。中央トラック溝11b,12bは、何れも奥側のストレート領域11a,12aおよび開口側のトラック溝部11c,12cに直接接続されている。内側継手部材2の各トラック溝21,22は、継手中心平面を基準として、外側継手部材1の対になるトラック溝11,12と鏡像対称となる形状に形成されている(以下の実施形態でも同じ)。
以上の構成から、作動角0°の状態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11bと、内側継手部材2の第1トラック溝21の中央トラック溝部21bとで開口側に向かって開くくさび角αが形成され、外側継手部材1の第2トラック溝12の中央トラック溝部12bと、内側継手部材2の第2トラック溝22の中央トラック溝部22bとで奥側に向かって開くくさび角βが形成される。常用角範囲Lでは、それぞれのボールトラックにおいて、上記くさび角α、βの軸方向に開く向きは変わらない。
図6(a)(b)に、本発明の第3の実施形態を示す。この第3の実施形態では、外側継手部材1の第1トラック溝11および第2トラック溝12のうち、中央トラック溝部11b,12b、および開口側トラック溝部11c,12cが、図5(a)(b)に示す第2の実施形態と共通した形態を有する。
第2の実施形態と異なり、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11bよりも奥側、および第2トラック溝12の中央トラック溝部12bよりも奥側には、円弧部11a,12が形成されている。これら円弧部11a,12aのボール軌道中心線xの曲率中心は、継手中心Oj上もしくは継手中心Ojよりも継手奥側に設けられる。図6(a)(b)では、一例として、第1トラック溝11に形成された円弧部11aのボール軌道中心線xの曲率中心を継手中心Ojよりも奥側の軸心上に設け、第2トラック溝12に形成された円弧部12aのボール軌道中心線xの曲率中心を、継手中心Ojよりも奥側の軸心上に設けている。第1トラック溝11では、円弧部11aと中央トラック溝部11bとを滑らかに接続するため、両者間に、中央トラック溝部11bを延長した形態(傾斜直線状)の中継トラック溝部11dを介在させている。第2トラック溝12では、円弧部12aを中央トラック溝部12bに直接かつ滑らかに接続させている。
以上の構成から、作動角0°の状態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11bと、内側継手部材2の第1トラック溝21の中央トラック溝部21bとで開口側に向かって開くくさび角αが形成され、外側継手部材1の第2トラック溝12の中央トラック溝部12bと、内側継手部材2の第2トラック溝22の中央トラック溝部22bとで外側継手部材1の奥側に向かって開くくさび角βが形成される。常用角範囲Lでは、各ボールトラックのくさび角α、βの軸方向に開く向きは変わらない。
図7(a)(b)に、本発明の第4の実施形態を示す。この第4の実施形態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11b、および第2トラック溝12の中央トラック溝部12bが、何れも第1の実施形態と同様に、各ボール軌道中心線xの曲率中心を2つ有するS字状に形成されている。第1トラック溝11の中央トラック溝部11bのうち、開口側の円弧は、継手中心Ojよりも開口側で、軸心上にボール軌道中心線xの曲率中心を有する。中央トラック溝部11bの奥側の円弧は、継手中心Ojよりも奥側で、かつ第1トラック溝11の外径側にボール軌道中心線xの曲率中心を有する。第2トラック溝12の中央トラック溝部12bのうち、奥側の円弧は、継手中心Ojより奥側で軸心上にボール軌道中心線xの曲率中心を有する。中央トラック溝部12bの開口側の円弧は、継手中心Ojよりも開口側で、かつ第2トラック溝12よりも外径側にボール軌道中心線xの曲率中心を有する。第1トラック溝11の開口側トラック溝部11c、および第2トラック溝12の開口側トラック溝部12cは、図1に示す第1の実施形態と共通した形態を有し、中央トラック溝部11b、12bの開口側の円弧に直接かつ滑らかに接続されている。
その一方で、第1の実施形態と異なり、第1トラック溝11の中央トラック溝部11bよりも奥側、および第2トラック溝12の中央トラック溝部12bよりも奥側の各領域11a,12aでは、ボール軌道中心線xが軸方向の直線状に形成されている。この奥側の領域11a,12aは、中央トラック溝11b,12bの奥側の円弧に直接かつ滑らかに接続されている。
以上の構成から、作動角0°の状態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11bと、内側継手部材2の第1トラック溝21の中央トラック溝部21bとで外側継手部材1の開口側に向かって開くくさび角αが形成され、外側継手部材1の第2トラック溝12の中央トラック溝部12bと、内側継手部材2の第2トラック溝22の中央トラック溝部22bとで外側継手部材1の奥側に向かって開くくさび角βが形成される。常用角範囲Lでは、上記くさび角α、βの軸方向に開く向きは変わらない。
図8(a)(b)に、本発明の第5の実施形態を示す。この第5の実施形態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11b、および第2トラック溝12の中央トラック溝部12bが、図1に示す第1の実施形態と同様にボール軌道中心線に2つの曲率中心を持たせたS字状に形成されている。第1トラック溝11の中央トラック溝部11bのうち、奥側の円弧は、継手中心Ojよりも奥側でかつ第1トラック溝11の外径側にボール軌道中心線xの曲率中心を有し、開口側の円弧は、継手中心Ojよりも開口側の軸心上にボール軌道中心線xの曲率中心を有する。第2トラック溝12の中央トラック溝部12bのうち、奥側の円弧は継手中心Ojよりも奥側の軸心上にボール軌道中心線xの曲率中心を有し、開口側の円弧は継手中心Ojよりも開口側でかつ第2トラック溝12よりも外径側にボール軌道中心線xの曲率中心を有する。第1トラック溝11の開口側トラック溝部11c、および第2トラック溝12の開口側トラック溝部12cは第1の実施形態と共通した形態を有する。
その一方で、第1の実施形態と異なり、第1トラック溝11の円弧部11aおよび第2トラック溝12の円弧部12aのボール軌道中心線xの曲率中心は、何れも継手中心Ojよりも奥側にある。図8では、一例として両曲率中心を軸心上の共通位置に配置しているが、継手中心Ojよりも奥側であれば、両曲率中心を異なる位置に配置することもできる。第1トラック溝11の中央トラック溝11b、および第2トラック溝12の中央トラック溝12bは、何れも奥側の円弧部11a,12aおよび開口側トラック溝部11c,12cに直接かつ滑らかに接続されている。第2トラック溝12の中央トラック溝部12bのうち、継手中心Ojよりも奥側の円弧は、そのボール軌道中心線xの曲率中心を円弧部12aのボール軌道中心線の曲率中心と同じ位置に有する。
以上の構成から、作動角0°の状態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11bと、内側継手部材2の第1トラック溝21の中央トラック溝部21bとで外側継手部材1の開口側に向かって開くくさび角αが形成され、外側継手部材1の第2トラック溝12の中央トラック溝部12bと、内側継手部材2の第2トラック溝22の中央トラック溝部22bとで外側継手部材1の奥側に向かって開くくさび角βが形成される。常用角範囲Lでは、上記くさび角α、βの軸方向に開く向きは変わらない。
図9(a)(b)に、本発明の第6の実施形態を示す。この第6の実施形態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11b、および第2トラック溝の中央トラック溝部12bが、常用角範囲L内でボール軌道中心線xに1つの曲率中心を持たせた単一円弧で形成されている。外側継手部材1の第1トラック溝11の開口側トラック溝部11c、および外側第2トラック溝12の開口側トラック溝部12cは、第1の実施形態と共通した形態を有し、中央トラック溝部11b、12bに直接かつ滑らかに接続されている。
第1トラック溝11の中央トラック溝部11bにおいて、ボール軌道中心線xの曲率中心は、継手中心Ojよりも開口側の軸心上にあり、第2トラック溝12の中央トラック溝部12bにおいて、ボール軌道中心線xの曲率中心は、継手中心Ojよりも開口側でかつ第2トラック溝12の外径側にある。また、第1トラック溝11のうち、円弧部11aのボール軌道中心線xの曲率中心は、継手中心Ojよりも奥側の軸心上にある。この円弧部11aと中央トラック溝部11bとを滑らかに接続するため、両者間には、継手中心Ojよりも奥側でかつ第1トラック溝11の外径側にボール軌道中心線xの曲率中心を有する中継トラック溝部11dが形成される。この中継トラック溝部11dおよび中央トラック溝部11bは、外側継手部材1の開口側に向けてアンダーカットを有しない。第2トラック溝12の円弧部12aは、継手中心Ojよりも奥側であって、第2トラック溝12の内径側でかつ軸心から外径方向にオフセットした位置にボール軌道中心線xの曲率中心を有する。第2トラック溝12は、円弧部12aと中央トラック溝部12bとを滑らかにつなぐための中継トラック溝部12dを有する。中継トラック溝部12dのボール軌道中心線xの曲率中心は、円弧部12aのボール軌道中心線xの曲率中心と一致している。第2トラック溝12の中継トラック溝部12dおよび中央トラック溝部12bは、鍛造性に影響を与えない程度のアンダーカットを形成する。
以上の構成から、作動角0°の状態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11bと、内側継手部材2の第1トラック溝21の中央トラック溝部21bとで外側継手部材1の開口側に向かって開くくさび角αが形成され、外側継手部材1の第2トラック溝12の中央トラック溝部12bと、内側継手部材2の第2トラック溝22の中央トラック溝部22bとで外側継手部材1の奥側に向かって開くくさび角βが形成される。常用角範囲Lでは、上記くさび角α、βの軸方向に開く向きは変わらない。
図10(a)(b)に、本発明の第7の実施形態を示す。この第7の実施形態では、第6の実施形態と同様に、第1トラック溝11の中央トラック溝部11b、および第2トラック溝12の中央トラック溝部12bが、ボール軌道中心線に1つの曲率中心を持たせた単一円弧で形成されている。第1トラック溝11の開口側トラック溝部11c、および外側第2トラック溝12の開口側トラック溝部12cは、第1の実施形態と共通した形態を有する。図9(a)(b)に示す第6の実施形態では、中央トラック溝部11b,12bを直接開口側のトラック溝部11c,12cに接続しているが、図10(a)(b)に示す第7の実施形態では、中央トラック溝部11b,12bと開口側のトラック溝部11c,12cとの間に中継トラック溝部11d,12dをそれぞれ介在させることで、両者を滑らかに接続している。第1トラック溝11の中継トラック溝部11dは、継手中心Ojよりも開口側であって、第1トラック溝11の内径側でかつ軸心よりも外径側にオフセットした位置にボール軌道中心線xの曲率中心を有し、第2トラック溝12の中継トラック溝部12dは、継手中心よりも開口側であって、第1トラック溝11の外径側にボール軌道中心線xの曲率中心を有する。
外側継手部材1の第1トラック溝11の円弧部11a、および外側継手部材1の第2トラック溝12の円弧部12aは、そのボール軌道中心線xの曲率中心を何れも継手中心Ojよりも奥側に有する。図示例では、円弧部11a,12aのボール軌道中心線xの曲率中心を軸心上の共通位置に設けているが、これらの曲率中心を継手中心Ojよりも奥側で異なる位置に配置することもできる。第1トラック溝11の中央トラック溝部11bは、継手中心Ojよりも奥側でかつ第1トラック溝11の外径側にボール軌道中心線xの曲率中心を有し、円弧部11aと直接かつ滑らかに接続されている。第2トラック溝11の中央トラック溝部12bは、円弧部12aのボール軌道中心線xと同じ位置にボール軌道中心線xの曲率中心を有する。
以上の構成から、作動角0°の状態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11bと、内側継手部材2の第1トラック溝21の中央トラック溝部21bとで外側継手部材の開口側に向かって開くくさび角αが形成され、外側継手部材1の第2トラック溝12の中央トラック溝部12bと、内側継手部材2の第2トラック溝22の中央トラック溝部22bとで外側継手部材1の奥側に向かって開くくさび角βが形成される。常用角範囲Lでは、上記くさび角α、βの軸方向に開く向きは変わらない。
図11(a)(b)に、本発明の第8の実施形態を示す。この第8の実施形態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11bは、ボール軌道中心線xに一つの曲率中心を持たせた単一円弧で形成されているが、外側継手部材1の第2トラック溝12の中央トラック溝部12bは、ボール軌道中心線xに2つの曲率円弧を持たせたS字状に形成されている。第1トラック溝11の開口側トラック溝部11c、および第2トラック溝12の開口側トラック溝部12cは、第1の実施形態と同じ形態を有し、それぞれ中央トラック溝部11b、12bに直接かつ滑らかに接続されている。
第1トラック溝11の中央トラック溝部11bのボール軌道中心線xは、円弧部11aのボール軌道中心線xの曲率中心と同じ位置に曲率中心を有する円弧で形成される。この曲率中心は、継手中心Ojよりも開口側の軸心上にある。第2トラック溝12の中央トラック溝部12bは、継手中心Ojよりも開口側の領域が、継手中心Ojよりも開口側でかつ第2トラック溝12の外径側にボール軌道中心線xの曲率中心を有する円弧で形成され、継手中心Ojよりも奥側の領域が円弧部12aと同じ位置にボール軌道中心線xの曲率中心を有する円弧で形成されている。中央トラック溝部12bの奥側の領域および円弧部12aのボール軌道中心線xの曲率中心は、継手中心Ojよりも奥側の軸心上にある。
以上の構成から、作動角0°の状態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11bと、内側継手部材2の第1トラック溝21の中央トラック溝部21bとで外側継手部材1の開口側に向かって開くくさび角αが形成され、外側継手部材1の第2トラック溝12の中央トラック溝部12bと、内側継手部材2の第2トラック溝22の中央トラック溝部22bとで外側継手部材の奥側向かって開くくさび角βが形成される。常用角範囲Lでは、上記くさび角α、βの軸方向に開く向きは変わらない。
なお、この第8の実施形態における外側継手部材1の第1トラック溝11は、アンダーカットフリージョイント(UJ)と称される等速自在継手の外側継手部材のトラック溝形態と共通するものである。かかる構成では、変曲点の数が第1〜第7の実施形態に比べて減少するので、外側継手部材1や内側継手部材2の加工コストを低廉化することができる。
図12(a)(b)に、本発明の第9の実施形態を示す。この第9の実施形態は、図11(a)(b)に示す第8の実施形態において、外側継手部材1の第1トラック溝11の円弧部11aおよび中央トラック溝部11bのボール軌道中心線xの曲率中心を、継手中心Ojよりも開口側の領域で、かつ軸心を超えて軸心から外径方向にオフセットした位置まで移動させたもの(曲率半径をより長くしたもの)である。第2トラック溝12の構成は、図11(a)(b)に示す第8の実施形態と共通する。
以上の構成から、作動角0°の状態では、外側継手部材1の第1トラック溝11の中央トラック溝部11bと、内側継手部材2の第1トラック溝21の中央トラック溝部21bとで外側継手部材の開口側に向かって開くくさび角αが形成され、外側継手部材1の第2トラック溝12の中央トラック溝部12bと、内側継手部材2の第2トラック溝22の中央トラック溝部22bとで外側継手部材2の奥側に向かって開くくさび角βが形成される。常用角範囲Lでは、上記くさび角α、βの軸方向に開く向きは変わらない。
この構成では、外側継手部材1の第1トラック溝11の奥側においてトラック深さが第8の実施形態よりも深くなるので、奥側での許容負荷トルクを大きくすることができる。
なお、以上の説明で述べた各円弧の中心位置は例示にすぎず、外側継手部材1の第1トラック溝11、外側継手部材1の第2トラック溝12、内側継手部材2の第1トラック溝21、および内側継手部材2の第2トラック溝22がエッジのない滑らかに連続した形態となる限り任意に決定することができる。
本発明にかかる固定型等速自在継手の断面図(図2のA−A方向)である。 上記固定型等速自在継手を外側継手部材の開口側から見た正面図である。 外側継手部材の断面図(図2のA−A方向)である。 内側継手部材の断面図(図2のA−A方向)である。 (a)図は、第2の実施形態にかかる固定型等速自在継手の断面図(図2のA−A方向)であり、(b)図は、外側継手部材の断面図(図2のA−A方向)である。 (a)図は、第3の実施形態にかかる固定型等速自在継手の断面図(図2のA−A方向)であり、(b)図は、外側継手部材の断面図(図2のA−A方向)である。 (a)図は、第4の実施形態にかかる固定型等速自在継手の断面図(図2のA−A方向)であり、(b)図は、外側継手部材の断面図(図2のA−A方向)である。 (a)図は、第5の実施形態にかかる固定型等速自在継手の断面図(図2のA−A方向)であり、(b)図は、外側継手部材の断面図(図2のA−A方向)である。 (a)図は、第6の実施形態にかかる固定型等速自在継手の断面図(図2のA−A方向)であり、(b)図は、外側継手部材の断面図(図2のA−A方向)である。 (a)図は、第7の実施形態にかかる固定型等速自在継手の断面図(図2のA−A方向)であり、(b)図は、外側継手部材の断面図(図2のA−A方向)である。 (a)図は、第8の実施形態にかかる固定型等速自在継手の断面図(図2のA−A方向)であり、(b)図は、外側継手部材の断面図(図2のA−A方向)である。 (a)図は、第9の実施形態にかかる固定型等速自在継手の断面図(図2のA−A方向)であり、(b)図は、外側継手部材の断面図(図2のA−A方向)である。 従来の固定型等速自在継手の断面図である。
符号の説明
1 外側継手部材
1a マウス部
1b ステム部
2 内側継手部材
3 トルク伝達ボール
4 保持器
10 内球面
11 外側継手部材の第1トラック溝
11a 円弧部
11b 中央トラック溝部
11c 開口側トラック溝部
11d 中継トラック溝部
12 外側継手部材の第2トラック溝
12a 円弧部
12b 中央トラック溝部
12c 開口側トラック溝部、奥側トラック溝部
12d 中継トラック溝部
20 外球面
21 内側継手部材の第1トラック溝
22 内側継手部材の第2トラック溝
40 外球面
41 内球面
Oj 継手中心
L 常用角範囲

Claims (13)

  1. 内球面に軸方向に延びる複数のトラック溝が形成され、軸方向に離間する開口側と奥側を有する外側継手部材と、外球面に軸方向に延びる複数のトラック溝が形成された内側継手部材と、対向する内側継手部材のトラック溝と外側継手部材のトラック溝との間に配置されるトルク伝達ボールと、外側継手部材の内球面および内側継手部材の外球面とそれぞれ球面嵌合し、かつ各トルク伝達ボールを保持する保持器とを具備する固定型等速自在継手において、
    前記外側継手部材と前記内側継手部材の対向するトラック溝(11、12、21、22)の常用角範囲に位置する中央トラック溝部(11b、12b、21b、22b)の間にくさび角を形成し、前記外側継手部材と前記内側継手部材に形成されるトラック溝(11、12、21、22)を、上記等速自在継手が作動角0°の状態において、前記くさび角(α)が外側継手部材の開口側に向かって開く前記中央トラック溝部(11b、21b)を有する第1の対のトラック溝(11、21)と、これとは反対に前記くさび角(β)が外側継手部材の奥側に向かって開く前記中央トラック溝部(12b、22b)を有する第2の対のトラック溝(12、22)の両方で構成すると共に、前記外側継手部材の第1トラック溝(11)および第2トラック溝(12)の双方において、前記中央トラック溝部(11b、12b)に直接接続され、又は中継トラック溝部(11d、12d)を介して接続される開口側のトラック溝部(11c、12c)を開口側に向かってアンダーカットのない形状とし、前記内側継手部材の第1および第2トラック溝(21、22)を、継手中心平面を基準として、前記外側継手部材の対になる第1および第2トラック溝(11、12)と鏡像対称となる形状に形成したことを特徴とする固定型等速自在継手。
  2. 前記内側継手部材と外側継手部材の対になる中央トラック溝部(11b、12b、21b、22b)が形成するくさび角(α、β)の開く向きを、常用角範囲で変化させず、かつ作動角0°の時にそれぞれが形成するくさび角の開く向きと同じにした請求項1に記載の固定型等速自在継手。
  3. 外側継手部材の少なくとも一つのトラック溝(11,12)のボール軌道中心線(x)が、常用角範囲内で傾斜直線状部分を有する請求項1または2に記載の固定型等速自在継手。
  4. 外側継手部材の少なくとも一つのトラック溝(11、12)のボール軌道中心線(x)が、常用角範囲内で1つの曲率中心を有する請求項1または2に記載の固定型等速自在継手。
  5. 外側継手部材の少なくとも一つのトラック溝(11、12)のボール軌道中心線(x)が、常用角範囲内で2つの曲率中心を有する請求項1または2に記載の固定型等速自在継手。
  6. 前記2つの曲率中心を、外側継手部材のトラック溝(11、12)の外径側と内径側に配置した請求項5記載の固定型等速自在継手。
  7. 作動角が0°の状態で、外側継手部材の開口側に向かって開くくさび角(α)、および奥側に向かって開くくさび角(β)のうち、どちらか一方を形成する外側継手部材のトラック溝が、その常用角範囲よりも奥側に、ボール軌道中心線(x)の曲率中心を継手中心上に配した円弧部(11a、12a)を有する請求項1〜6の何れか1項に記載の固定型等速自在継手。
  8. 作動角が0°の状態で、外側継手部材の開口側に向かって開くくさび角、および奥側に向かって開くくさび角のうち、どちらか一方を形成する外側継手部材のトラック溝が、その常用角範囲よりも奥側に、ボール軌道中心線(x)の曲率中心を継手中心よりも奥側に配した円弧部(11a、12a)を有する請求項1〜6の何れか1項に記載の固定型等速自在継手。
  9. 外側継手部材の内球面と嵌合する保持器の外球面の中心、および内側継手部材の外球面と嵌合する保持器の内球面の中心を同じ位置に配置した請求項1〜8の何れか1項に記載の固定型等速自在継手。
  10. トルク伝達ボールを、円周方向に6個配置した請求項1〜9の何れか1項に記載の固定型等速自在継手。
  11. トルク伝達ボールを、円周方向に8個配置した請求項1〜9の何れか1項に記載の固定型等速自在継手。
  12. 作動角が0°の状態で、開口側に向かって開くくさび角(α)を形成する外側継手部材のトラック溝(11)と、奥側に向かって開くくさび角(β)を形成する外側継手部材のトラック溝12とを、円周方向で交互に1つずつ配置した請求項1〜11の何れか1項に記載の固定型等速自在継手。
  13. 作動角が0°の状態で、開口側に向かって開くくさび角(α)を形成する外側継手部材のトラック溝(11)と、奥側に向かって開くくさび角(β)を形成する外側継手部材のトラック溝12とを、円周方向で交互に2つずつ配置した請求項1〜11の何れか1項に記載の固定型等速自在継手。
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