JP2010111682A - ハロゲン化2−(3−ブテニルスルファニル)−1,3−チアゾールを製造する方法 - Google Patents

ハロゲン化2−(3−ブテニルスルファニル)−1,3−チアゾールを製造する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】中間体2−メルカプト−1,3−チアゾールを回避したそのハロゲン化物の製造方法の提供。
【解決手段】式(II)の化合物[式中、Xはハロゲン、メシレートまたはトシレートを表す]をチオシアン酸塩と反応させ、中間体反応生成物(IV)を得る。
Figure 2010111682

Figure 2010111682

Figure 2010111682

【選択図】なし

Description

本発明は、次式(I)
Figure 2010111682
[式中、
RはHまたはFである]
のハロゲン化2−(3−ブテニルスルファニル)−1,3−チアゾールを調製する方法に関する。
式(I)の2−[(3−ブテニル)スルファニル]−1,3−チアゾールは、例えば、WO01/02378、米国特許第3,513,172号、米国特許第3,697,538号またはWO95/24403に記載されているように、殺虫剤を調製するための重要な前駆物質である。化合物2−[(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニル)スルファニル]−1,3−チアゾールは、WO86/07590に記載されていた。化合物2−[(4,4−ジフルオロ−3−ブテニル)スルファニル]−1,3−チアゾールは、例えば,WO95/24403に記載されていた。
2−[(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニル)スルファニル]−1,3,−チアゾールおよび2−[(4,4−ジフルオロ−3−ブテニル)スルファニル]−1,3−4アゾールは、従来、WO86/07590に従って、n−ブチルリチウムを用いたチアゾールのメタレーション、硫黄元素との反応、および引き続いて4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテンと反応させることによって(WO86/07590、実施例16参照)、または、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテンを用いて2−メルカプトチアゾールをアルキル化することによって(WO01/02378も参照)調製されてきた。また、2−[(4,4−ジフルオロ−3−ブテニル)スルファニル]−1,3−チアゾールを調製する場合にも、対応するアプローチがなされている(WO98/47884またはWO95/04727参照)。
必要とされる2−メルカプト−1,3−チアゾール前駆物質の調整に対する一連の方法が既に記載されている。(WO98/37074,EP0926140A1,米国特許第5,994,553号、米国特許第2,426,397号、Mathes等(1948)、J.Am.Chem.Soc.70,1451)。
記載されている各方法は、ジチオカルバミン酸の塩、特にアンモニウムジチオカルバマートを酸性または中性状態でクロロアセトアルデヒドの水溶液と反応させることを含む。
しかし、これらジチオカルバマートおよびその酸は不安定である(Gattow等、(1969)Z.Anorg.Allg.Chem.365,70;GattowおよびHahnkamm(1969),Z.Anorg.Allg.Chem.364,161;Redemann等、(1955)Org.Synth.Coll.Vol.3,763;Fourquet(1969)Bull.Soc.Chim.Fr.3,301;Hahnkamm等、(1969)Z.Anorg.Allg.Chem.368,127)。このことは、かなりの程度副反応が生じる可能性があって、危険な二硫化炭素を放出する恐れがあるという結果を生む。収率は、その分だけ低くなる。さらに、アンモニウムジチオカルバマートの合成は、危険な二硫化炭素および気体アンモニアの使用を伴う。
WO01/02378 米国特許第3,513,172号 米国特許第3,697,538号 WO95/24403 WO86/07590 WO98/478847 はWO95/0472 WO98/37074 欧州特許出願公開第0926140号 米国特許第5,994,553号 米国特許第2,426,397号
Mathes等(1948)、J.Am.Chem.Soc.70,1451 Gattow等、(1969)Z.Anorg.Allg.Chem.365,70 GattowおよびHahnkamm(1969),Z.Anorg.Allg.Chem.364,161 Redemann等、(1955)Org.Synth.Coll.Vol.3,763 Fourquet(1969)Bull.Soc.Chim.Fr.3,301 Hahnkamm等、(1969)Z.Anorg.Allg.Chem.368,127
従って、本発明の目的は、先に述べた方法に替る方法を提示し、中間体2−メルカプト−1,3−チアゾールを回避しながら、式(I)の所望の最終生成物を直接もたらす方法を開発することである。
硫化水素によってアリールチオシアナートをS−アリールジチオカルバマートに変換することができ、またクロロアセトアルデヒドジエチルアセタールを用いて後者を環化させて、2−アリールメルカプトチアゾールが得られることは知られていた。(Maeda等、(1983)、Chem.Pharm.Bull.31,3424,Chart3,VII参照)。クロロアセトアルデヒドを用いるメチルジチオカルバマートの環化は、同様に、よく知られた反応である(Brandsma等、(1985)Synthesis,948)。以下に述べるRがFである式(V)の化合物は、米国特許第3,510,503号によって開示されている。
式(I)の化合物は、
(a) 式(II)の化合物
Figure 2010111682
[式中、
RはHまたはFであり、
Xは臭素、塩素、メシレートまたはトシレートであり、好ましくは臭素である]
を、式(III)のチオシアナート塩
SCN (III)
[式中、Mは水素、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオンまたはアルカリ金属イオン、例えば、KもしくはNaである]
と、場合によって反応助剤の存在下、および場合によって希釈剤の存在下で反応させて、
式(IV)の3−ブテニルチオシアナート
Figure 2010111682
[式中、
Rは上記に定義されたとおりである]
を得て、
(b)この得られた化合物に、場合によって反応助剤の存在下、および場合によって希釈剤の存在下で、硫化水素またはその塩を添加することにより、
式(V)の3−ブテニル1−ジチオカルバマート
Figure 2010111682
[式中、
Rは上記に定義されたとおりである]
に変換し、さらに、
(c)この変換した化合物を、場合によって反応助剤の存在下、および場合によって希釈剤の存在下で、アセトアルデヒド、クロロアセトアルデヒド(ClCHCHO)またはそのアセタール、例えば、クロロアセトアルデヒドジアルキルアセタールと最終的に反応させることによって、調製できることが見出された。このアセタールは環状アセタールであってもよい。
本発明による方法は、不安定なアンモニウムジチオカルバマートの使用を避けることができる利点を有する。対照的に、式(IV)および(V)の中間体は、貯蔵したときに安定である。式(V)の3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニル1−ジチオカルバマートを、危険なCSの分解および放出の危険がなく、アンモニウムジチオカルバマートとクロロアセトアルデヒドとの反応の際に生じるような樹脂状副生物の発生もなしに、例えば、アセトアルデヒド、クロロアセトアルデヒドまたはそのアセタールを使用して、極めて容易に2−[(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニル)スルファニル]−1,3−チアゾールに変換することができる。また、かかる副生物は、EP0926,40A1に述べられている。以前の方法で使用されていた酸化感受性の高い2−メルカプト−1,3−チアゾールの使用を避けることができる。式(V)の化合物を(環状)アセタールと反応させる場合には、酸、例えば、HCl、p−トルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸の存在が重要である。
この方法のさらなる独特の特徴は、式(IV)の3−ブテニルチオシアナートと硫化水素またはその塩との反応である。硫黄求核試薬、例えば、HSは、一般にフッ素含有オレフィンの二重結合に付加する(例えば、Ali等、(1982)J.Med.Chem.25,1235)。本発明では、HSおよびその塩(反応(b))は、驚くべきことには、式(IV)の化合物のオレフィンにではなく、チオシアナート基だけに付加する。記載されている反応も同様に本発明の主題の一部をなすものである。
同じ理由から、式(III)(MSCN)のチオシアナート塩と式(II)の化合物との反応では、二重結合への付加ではなく、X基の置換のみが生じることは驚くべきことと考えられる。さらに、式(II)の化合物を式(III)のチオシアン酸塩と反応させることにより、式(IV)の所望のチオシアナートが得られることは、予想されないことであった。むしろ、アルキルハライドをチオシアン酸塩と反応させると、しばしば熱力学的により安定なイソチオシアン酸塩が生じるということがこれまでに知られていた(Houben−Weyl,IX巻、857頁および867頁、参照)。したがって、この本発明の場合に、所望の領域異性体(region isomer)3−ブテニルチオシアナートのみが得られることは、異例のことに思われる。記載されている反応(a)も同様に、本発明の主題の一部をなすものである。
上述の方法に対する別法としては、式(II)の化合物をアンモニウムジチオカルバマート(HNCSNH)と直接反応させて、式(V)の3−ブテニル1−ジチオカルバマートを得ることも可能である。
本発明による方法および上述した別のステップも、図式的に以下のように表すことができる。
Figure 2010111682
例えば、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテンおよびアンモニウムチオシアナートを使用した場合には、3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルチオシアナートが得られ、次いで、これをHSと反応させると、3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルジチオカルバマートが得られる。さらにまた、3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルジチオカルバマートをクロロアセトアルデヒドと反応させると、2−[(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニル)スルファニル]−1,3−チアゾールがもたらされる。この反応系列は、図式的に以下のように表すことができる。
Figure 2010111682
本発明によるプロセスステップは、前の反応の直後に続けて次の反応を実施してもよく、そうでなければ各ステップを個別に実施してもよいが、それぞれの場合に生成物を精製することもできる。
式(IV)の化合物を調製するために本発明によるプロセス(a)で使用される化合物は、式(II)を特徴とする。式(II)中、Xは、より好ましくは臭素であり、Rは特に好ましくはフッ素である。式(II)の化合物は、知られている化合物である。XがFである式(II)の化合物は、例えば、WO86/07590に記載されており、そこに挙げられている方法によって調製することができる。XがHである式(II)の化合物は、例えば、英国特許第2304713号に記載されており、そこに挙げられている方法によって調製することができる。
式(IV)の化合物を調製するために本発明によるプロセス(a)でさらに使用される化合物は、式(III)を特徴とする。式(III)では、Mは好ましくはカリウム、ナトリウムまたはアンモニウムイオンであり、より好ましくはアンモニウムイオンである。式(III)のチオシアナート塩、例えばアンモニウムチオシアナート(NHSCN)は、知られた化合物であり、市販されている。
式(V)の化合物を調製するための出発材料でもある式(IV)の化合物は、同様に本出願の主題の一部をなす新規な物質である。式(IV)中、Rは好ましくは水素またはフッ素であり、より好ましくはフッ素である。
式(IV)の化合物は、上述のプロセス(a)によって調製することができる。4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテンを、とりわけ、置換されたアンモニウムジチオカルバマートと反応させるか、または、適切なメルカプタンとCSとを塩基触媒下に縮合させた後、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテンを付加させるかによって、トリフルオロブテニルジチオカルバマートを調製することが、例えば、米国特許第3,510,503号に記載されている。
式(V)の化合物を調製するために本発明によるプロセス(b)でさらに使用される化合物は、硫化水素(HS)およびその塩である。これらの化合物は一般に、式MSHおよびMSによって記述することができ、ここでMは、例えば、アンモニウムイオンまたはナトリウムイオンである。本発明によるプロセス(b)では、HS、硫化アンモニウム、NaSH溶液、またはNaSを使用することが好ましい。
式(II)の化合物から出発して化合物(V)を調製するための本発明による別のプロセスで使用することができるジチオカルバミン酸アンモニウム塩(NHNCSNH)は知られており、また市販されている。
式(I)の化合物を調製するために本発明によるプロセス(c)で使用されるクロロアセトアルデヒドおよびクロロアセトアルデヒドジアルキルアセタールは知られており、市販されている。
式(I)の化合物を調製するためにさらに本発明によるプロセス(c)で使用される化合物は、式(V)を特徴とする。式(V)の化合物は、本出願の主題の一部をなす新規な化合物である。この式(V)の化合物は、上述したプロセス(b)あるいは(a)と(b)によって調製することができる。式(V)の化合物は、互変異性体の場合がある(前記の図および実施例2、参照)。
一般式(I)の化合物を調製するためには、本発明によるプロセス(a)から(c)は希釈剤を使用して実施することが好ましい。本発明によるプロセスを実施するための有用な希釈剤は、水ならびに、特に不活性有機溶媒である。これら有機溶媒には、特に脂肪族、脂環式または芳香族の、場合によってハロゲン化された炭化水素例えば、ベンジン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、石油エーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルまたはエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル;アセトン、ブタノンまたはメチルイソブチルケトンなどのケトン;アセトニトリル、プロピオニトリルまたはブチロニトリルなどのニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルホスホルアミドなどのアミド;酢酸メチルまたは酢酸エチルなどのエステル;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド;メタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルコールまたはその水との混合物などがある。
プロセス(a)を実施するために有用な希釈剤は、特にプロトン性極性溶媒であり、例えば、メタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルコールである。特に好ましい実施形態では、使用される希釈剤はエタノールである。
プロセス(b)を実施するために有用な希釈剤は、特に、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルまたはエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル、ピリジン、酢酸エチル、酢酸イソプロピルである。特に好ましい実施形態では、使用される希釈剤はメチルt−ブチルエーテルである。
プロセス(c)を実施するために有用な希釈剤は、特に例えば、ジオキサン、アセトニトリル、およびカルボン酸、例えば、氷酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸およびそれらの混合物である。カルボン酸、p−トルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸は触媒量だけ添加することが好ましい。
本発明によるプロセス(a)および(b)のために有用な反応助剤は、一般に通常の無機または有機の、塩基または酸アクセプターである。これらには好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩、アミド、炭酸塩、炭酸水素塩、水素化物、水酸化物およびアルコキシド、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムもしくは酢酸カルシウム、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミドもしくはカルシウムアミド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、もしくは炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムもしくは炭化水素カルシウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムもしくは水素化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムもしくは水酸化カルシウム、ナトリウムのメトキシド、エトキシド、n−もしくはi−プロポキシドまたはn−、i−、s−もしくはt−ブトキシド、カリウムのメトキシド、エトキシド、n−もしくはi−プロポキシドまたはn−、i−、s−もしくはt−ブトキシド;さらにまた、塩基性窒素化合物、例えばアンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチルジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、2−メチル−、3−メチル−、4−メチル−、2,4−ジメチル−、2,6−ジメチル−、3,4−ジメチル−もしくは3,5−ジメチルピリジン、5−エチル−2−メチルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルピペリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)または1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)が含まれる。
プロセス(b)に対しては、0.1〜20モル%の塩基、より好ましくは0.5〜8モル%の塩基を使用することが好ましい。
本発明によるプロセス(c)のために有用な反応助剤は、特に例えば、カルボン酸、例えば酢酸、HCl、BF、HSO、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸およびメタンスルホン酸であり、これらは、溶媒として直接使用することができるが、触媒量で反応系に添加することもできる。反応助剤は、好ましくは0.1〜10モル%、より好ましくは0.5〜5モル%である。
本発明による方法を実施する場合、反応温度は比較的広い範囲で変化させることができる。一般に、0℃〜150℃、好ましくは10℃〜120℃の温度で、操作を実施する。好ましい温度範囲は、製造実施例からも推測することができる。
一般に本発明による方法は、大気圧の下で実施される。しかし、本発明による方法を高圧または減圧下、一般に0.098気圧(0.1bar)〜49気圧(50bar)、好ましくは0.98気圧(1bar)〜9.8気圧(10bar)でも実施することもできる。
本発明による方法を実施するには、出発材料は一般に等モル量の近傍で使用される。しかし、成分の1つを比較的大過剰に使用することも可能である。本発明によるプロセス(b)を実施する場合、硫化水素またはその塩を式(IV)の化合物の1モル当り1.5〜3モル使用することが好ましい。一般に、反応助剤の存在下で、適切な希釈剤中で反応を実施し、一般に、反応混合物を必要とされる温度で1時間を超える間、撹拌する。仕上げは通常の方法で実施する(製造実施例、参照)
式(IV)の化合物を調製するための本発明によるプロセス(a)の好ましい実施形態では、溶媒、好ましくはアルコール中で式(III)のチオシアナートと式(II)の化合物とを、好ましくは室温で撹拌すると、沈殿が形成する。次いで、バッチを還流状態まで加熱し、冷却させて、濾液を吸引で濾別し、蒸発によって濃縮する。
式(V)の化合物を調製するための本発明によるプロセス(b)の好ましい実施形態では、塩基、好ましくはトリエチルアミンの存在下で、式(IV)の化合物の好ましくはメチルt−ブチルエーテルの溶液中に、硫化水素を飽和するまで徐々に通し、次いで撹拌する。溶媒を蒸発させた後、式(V)の化合物が得られる。
式(I)の化合物を調製するための本発明によるプロセス(c)の好ましい実施形態では、希釈剤好ましくはジオキサン中の式(V)の化合物を、触媒量の塩酸の存在下で、クロロアセトアルデヒド水溶液と混合し、保護ガスの下で沸騰させる。式(I)の化合物を調製するための本発明によるプロセス(c)の好ましい実施形態では、希釈剤好ましくは氷酢酸中の式(V)の化合物を、触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物の存在下で、クロロアセトアルデヒドジエチルアセタールと混合し、高温で撹拌する。室温に冷却させた後、混合物を蒸発により濃縮し、残渣を、例えば、ジクロロメタン中に溶かし、アルカリ溶液、好ましくは1N水酸化ナトリウム溶液で洗浄し、有機相を取り出す。
プロセスステップ(a)、(b)および(c)を、さらに例示する以下の実施例により式(I)の化合物を調製する。しかし、実施例は、限定して解釈されるべきものではない。
3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルチオシアナートの調製(プロセス(a))
Figure 2010111682
エタノール400ml中のアンモニウムチオシアナート60.25g(771.7ミリモル)を4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテン164.3g(810.3ミリモル)と混合し、室温で2時間撹拌すると、白色沈殿が形成される。次いで混合物を8時間、還流状態で沸騰させる。室温に冷却後、吸引して濾液を濾別し、減圧下で蒸発させて濃縮する。蒸発残渣をジクロロメタンに溶かし、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発によって濃縮する。黄色オイル121.1g(理論値の93.3%;GC/MSによる純度:99.4面積%)が得られる。
(SiO,CHCl):0.85.
HNMR(CDCl,400MHz):δ=2.8−2.92(m,2H)、3.1(t,1H).
13CNMR(CDCl,100MHz):δ=26.6(CH−CF)、29.5(S−CH)、110.9(SCN)、125.4(CF)、153.7(CF).
MS(DCI,NH):167(11%,M)、108(92%)、95(100%)、69(40%).
3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルジチオカルバマートの調製(チオシアナートプロセス)(プロセス(b))
Figure 2010111682
3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルチオシアナート33.41g(200ミリモル)およびトリエチルアミン全量0.26gをメチルt−ブチルエーテル130mlに溶かした溶液中に、10℃で、飽和(約2モル当量)するまで硫化水素を徐々に通し、次いで混合物を室温で終夜撹拌する。減圧下で、溶媒を蒸発後、結晶化残渣41.2g(理論値の88.5%;GC/MSによる純度:86.4面積%)が得られ、これは冷トルエンから再結晶化することができる。
m.p.=49〜53℃
(SiO,トルエン−酢酸エチル4:1):0.5
HNMR(CDCl,400MHz):δ=2.65−2.82(m,2H)、3.41(t,2H)、6.7(broad s,1H)、7.25(broad s,1H).
MS(DCI,NH):201(0.2%,M)、119(50%)、93(58%)、60(100%).
3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルジチオカルバマートの調製(アンモニウムジチオカルバマートプロセス)
Figure 2010111682
エタノール40ml中のアンモニウムジチオカルバマート2.8g(25ミリモル)を滴下しながら、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロ−1−ブテン5.32g(26.3ミリモル;純度93.2%)と混合し、40℃で3時間撹拌する。1時間後、アンモニウムジチオカルバマート2.8gをさらに添加し、全体を室温で8時間放置する。濾液を吸引で濾別して、減圧下で蒸発によって濃縮し、残渣をジクロロメタンに溶かし、水で1回洗浄して、さらに有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させる。減圧下で蒸発によって濃縮後、半結晶残渣4.3g(理論値の63%;GC/MSによる純度:74面積%)が得られる。
2−[(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニル)スルファニル]−1,3−チアゾールの調整(クロロアセトアルデヒドを用いたプロセス(c))
Figure 2010111682
ジオキサン100ml中の3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルジチオカルバマート15.1g(64.8ミリモル;純度86.3%)を濃塩酸0.2mlおよび45%クロロアセトアルデヒド水溶液12.4g(71.2ミリモル)と混合する。混合物をアルゴン下で4時間沸騰させ、2時間後、さらにクロロアセトアルデヒド溶液1mを加える。次いで、混合物を減圧下で蒸発によって濃縮し、残渣をジクロロエタンに溶かし、水で洗浄し、有機相をMgSOで乾燥後、減圧下で蒸発によって濃縮する。オイル16g(理論値の94.4%;GC/MSによる純度:86.1面積%)が得られ、これは0.4T/86℃で蒸留することができる。
2−[(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニル)スルファニル]−1,3−チアゾールの調整(クロロアセトアルデヒドジエチルアセタールを用いたプロセス(c))
Figure 2010111682
氷酢酸15ml中の3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニルジチオカルバマート3g(14.9ミリモル)をクロロアセトアルデヒドジエチルアセタール2.3g(15.1ミリモル)およびp−トルエンスルホン酸一水和物40mgと混合する。混合物を95℃で1.5時間撹拌し、室温に冷却後、次いで、減圧下で蒸発によって濃縮する。蒸発残渣をジクロロメタンに溶かし、1N水酸化ナトリウム溶液で洗浄し、有機相を取り出しNaSOで乾燥して、さらに減圧下で蒸発によって濃縮すると、オイル2.8g(理論値の81.5%;GC/MSによる純度:97.7面積%)が得られる。

Claims (5)

  1. 次式(IV)の化合物を調製する方法であって、
    Figure 2010111682
    [式中、
    RはHまたはFである]
    式(II)の化合物
    Figure 2010111682
    [式中、
    RはHまたはFであり、
    Xは臭素、塩素、メシレートまたはトシレートである]
    を式(III)のチオシアナート塩
    SCN (III)
    [式中、
    は水素、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオンまたは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属イオンである]
    と、場合によって反応助剤の存在下、および場合によって希釈剤の存在下で、反応させることを特徴とする方法。
  2. 式(II)の化合物を塩基の存在下で、HSCNと反応させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 式(II)の化合物をNHSCNと反応させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 反応に使用する希釈剤が、アルコールであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. Rがフッ素であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
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