JP2010106248A - 近赤外線吸収組成物、近赤外線吸収塗布物、及び樹脂混練物 - Google Patents

近赤外線吸収組成物、近赤外線吸収塗布物、及び樹脂混練物 Download PDF

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Abstract

【課題】堅牢性と不可視性を両立し、かつ光劣化による変色が少ない近赤外線吸収組成物及び該近赤外線吸収組成物を備えた近赤外線吸収塗布物、樹脂混練物を提供する。
【解決手段】少なくとも1種類の紫外線吸収剤と、少なくとも1種の下記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物とを含有する近赤外線吸収組成物。
Figure 2010106248

(式中、R1a及びR1bは同じであっても異なっても良く、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。R2及びR3は各々独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R2及びR3は結合して環を形成しても良い。R4は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素、金属原子を表し、R1a、R1b及び/又はR3と共有結合もしくは配位結合しても良い。)
【選択図】なし

Description

本発明は可視領域の光を吸収せず、近赤外領域の光を吸収する組成物に関し、該近赤外線吸収組成物を含む塗布物、及び樹脂混練物に関する。
近赤外吸収色素は、プラズマディスプレイパネル(PDP)やCCD用の赤外線カットフィルムや熱線遮蔽フィルムとしての光学フィルター用途や、追記型光ディスク(CD−R)やフラッシュ溶融定着材料としての光熱変換材料用途、セキュリティーインクや、不可視バーコードインクとしての情報表示材料として用いられており、特に近赤外色素に特徴的な性能として、近赤外領域に強い吸収を有することに併せて、目に見えないという不可視性への高い要求がある。また、同時に色素全般に要求される性能として高い堅牢性が要求されている。
400nm〜700nmの領域に吸収をほとんど持たない不可視性に優れる色素としては、第一にシアニンメチン色素やそのJ会合体が挙げられるが、長いメチン共役鎖は、フレキシブルであるため異性化に伴う吸収形の変化や熱や酸素、求核剤との反応による分解が起こりやすく、堅牢性が低い。
剛直な骨格をもち高堅牢な近赤外吸収色素としては、日本触媒(株)から上市されているバナジルナフタロシアニン色素やBASF(株)から上市されているクオータリレン色素があるが、バナジルフタロシアニンは不可視性が不十分である。一方、クオータリレンは溶液など分子分散状態では良好な不可視性を有するものの、濃度を上げると会合により可視域に吸収を生じ、不可視性が失われ、使用形態が限定される。
不可視性に優れ、赤外領域を広くカバーする色素としては、日本化薬(株)等から上市されているジインモニウム色素があるが、還元されやすく、堅牢性は不十分であり、使用形態が限定されてしまう。
このように、現在、不可視性と堅牢性とを両立する近赤外色素は上市されておらず、これら性能を両立する近赤外色素の開発が望まれている。
また、赤外色素としてピロロピロール系色素が知られている(例えば、非特許文献1を参照)。非特許文献1には、赤外蛍光色素を目指し検討した結果が記載されており、ホウ素錯体化し、分子の剛直性を上げることで、高い蛍光量子収率を達成することが記載されている。また、この骨格群に特徴的な蛍光色素を応用した例として有機エレクトロルミネッセンス素子への応用が知られている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
一般に、強い蛍光を発させるには、蛍光色素を濃度消光を起こさない希薄状態で用い、ホスト材料の共蒸着を行い分子分散状態で使用される。また、このような蛍光色素は、一般に耐光性が低いことが知られている。
不可視性と堅牢性とを両立する近赤外色素組成物をピロロピロール系色素で達成するためには、堅牢性(特に光堅牢性)の改善が重要な課題であり、特に分子分散した分散物の塗布物や、アモルファス状態の塗布膜(アモルファス膜)での耐光性の改善が望まれていた。また、ピロロピロール系色素は、微粒子として用いた場合には耐光性が向上することが知られているが、さらなる耐光性の改善が望まれていた。
特許第3704748号公報 特開2003−027049号公報 国際公開WO2003/048268号パンフレット
「アンゲバンテ・ヘミー・インターナショナル・エディション・オブ・イングリッシュ(Angewante Chemie International Edition of English)」,第46巻,第3750〜3753ページ(2007年)
本発明の目的は、堅牢性と不可視性を両立し、かつ光劣化による変色が少ない近赤外線吸収組成物及び該近赤外線吸収組成物を備えた近赤外線吸収塗布物、及びその樹脂混練物を提供することにある。
本発明の課題は、下記の手段により解決された。
<1>少なくとも1種類の紫外線吸収剤と、少なくとも1種の下記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物とを含有する近赤外線吸収組成物。
Figure 2010106248
(式中、R1a及びR1bは同じであっても異なっても良く、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。R2及びR3は各々独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R2及びR3は結合して環を形成しても良い。R4は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素、金属原子を表し、R1a、R1b及び/又はR3と共有結合もしくは配位結合しても良い。)
<2>前記紫外線吸収剤の溶液における270nm〜1600nmの範囲での分光吸収極大波長が410nm以下であることを特徴とする<1>項に記載の近赤外線吸収組成物。
<3>前記紫外線吸収剤が、下記一般式(II−1)〜(II−10)のいずれかで表される化合物よりなる紫外線吸収剤であることを特徴とする<1>又は<2>項に記載の近赤外線吸収組成物。
Figure 2010106248
[式中、R011〜R014、R021〜R066、R071〜R078、R081〜R084、R086〜R089、R091〜R100、R103〜R106は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R015は水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表す。R079、R080及びR085は各々独立に置換基を表す。R101、R102は芳香族基又は複素環基を表す。X041は水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表す。n079、n080及びn085は各々独立に0〜4の整数を表しn079、n080及びn085が2以上の場合、複数のR079、R080及びR085は各々同一でも異なっていてもよい。ここで、互いに隣接する基が、互いに結合して環を形成してもよい。]
<4>支持体上に、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物を用いて形成されたことを特徴とする近赤外線吸収塗布物。
<5>前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物の樹脂混練物。
本発明の近赤外線吸収組成物は、高い不可視性と堅牢性とを有し、かつ光劣化による変色が少ない。
本発明の近赤外線吸収塗布物、及びその樹脂混練物は、前記近赤外線吸収組成物を用いてなるので、高い不可視性と堅牢性とを有し、かつ光劣化による変色が少ない。
例示化合物D−10の溶液吸収スペクトルを表す。 実施例2で作製した近赤外吸収膜2−2の吸収スペクトルを表す。 実施例3で作製した樹脂混練物Cの吸収スペクトルを表す。
本発明の近赤外線吸収組成物は、少なくとも1種の紫外線吸収剤と、少なくとも1種の下記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物を含有することを特徴とし、これにより、高い不可視性と耐光性を両立する近赤外線吸収組成物を構成することができる。
まず、下記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物について説明する。
Figure 2010106248
(式中、R1a及びR1bは同じであっても異なっても良く、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。R2及びR3は各々独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R2及びR3は結合して環を形成しても良い。R4は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素、金属原子を表し、R1a、R1b及び/又はR3と共有結合もしくは配位結合していても良い。)
一般式(1)中、R1a、R1bで表されるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30(本発明では、「A〜B」は、「A以上B以下」の意味で用いる。)、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
また、R1a、R1bで表されるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えばフェニル、o−メチルフェニル、p−メチルフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリルなどが挙げられる。
1a、R1bで表されるヘテロアリール基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロアリール基である。ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。ヘテロアリール基としては、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ナフトチアゾリル、m−カルバゾリル、アゼピニルなどが挙げられる。一般式(1)中のR1a及びR1bは、互いに同一でも異なってもよい。
2及びR3は各々独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R2及びR3は結合して環を形成しても良い。置換基としては例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、芳香族ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、
アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、
芳香族ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されていてもよい。
2又はR3で表される電子吸引性基としては、好ましくはHammettのσp値(シグマパラ値)が0.2以上の電子吸引性基を表し、例えばシアノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、ヘテロ環基などが挙げられる。これら電子吸引性基はさらに置換されていても良い。
ハメットの置換基定数σ値について説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができる。例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版,1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊,122号,96〜103頁,1979年(南光堂)、Chem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページなどに詳しい。本発明におけるハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基とは電子求引性基であることを示している。σp値として好ましくは0.25以上であり、より好ましくは0.3以上であり、特に好ましくは0.35以上である。
具体例としては、シアノ基(0.66)、カルボキシル基(-COOH:0.45)、アルコキシカルボニル基(-COOMe:0.45)、アリールオキシカルボニル基(-COOPh:0.44)、カルバモイル基(-CONH2:0.36)、アルキルカルボニル基(-COMe:0.50)、アリールカルボニル基(-COPh:0.43)、アルキルスルホニル基(-SO2Me:0.72)、またはアリールスルホニル基(-SO2Ph:0.68)などが挙げられる。本明細書において、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。なお、括弧内の値は代表的な置換基のσp値をChem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページから抜粋したものである。
さらに、R2及びR3が結合して環を形成する場合は、5ないし7員環(好ましくは5ないし6員環)の環を形成し、形成される環としては通常メロシアニン色素で酸性核として用いられるものが好ましく、その具体例としては例えば以下のものが挙げられる。
(a)1,3−ジカルボニル核:例えば1,3−インダンジオン核、1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオンなど。
(b)ピラゾリノン核:例えば1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ベンゾチアゾイル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オンなど。
(c)イソオキサゾリノン核:例えば3−フェニル−2−イソオキサゾリン−5−オン、3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オンなど。
(d)オキシインドール核:例えば1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドールなど。
(e)2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核:例えばバルビツル酸または2−チオバルビツル酸およびその誘導体など。誘導体としては例えば1−メチル、1−エチル等の1−アルキル体、1,3−ジメチル、1,3−ジエチル、1,3−ジブチル等の1,3−ジアルキル体、1,3−ジフェニル、1,3−ジ(p−クロロフェニル)、1,3−ジ(p−エトキシカルボニルフェニル)等の1,3−ジアリール体、1−エチル−3−フェニル等の1−アルキル−1−アリール体、1,3−ジ(2−ピリジル)等の1,3位ジヘテロ環置換体等が挙げられる。
(f)2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核:例えばローダニンおよびその誘導体など。誘導体としては例えば3−メチルローダニン、3−エチルローダニン、3−アリルローダニン等の3−アルキルローダニン、3−フェニルローダニン等の3−アリールローダニン、3−(2−ピリジル)ローダニン等の3位ヘテロ環置換ローダニン等が挙げられる。
(g)2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン(2−チオ−2,4−(3H,5H)−オキサゾールジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオンなど。
(h)チアナフテノン核:例えば3(2H)−チアナフテノン−1,1−ジオキサイドなど。
(i)2−チオ−2,5−チオゾリジンジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオンなど。
(j)2,4−チオゾリジンジオン核:例えば2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−2,4−チアゾリジンジオン、3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオンなど。
(k)チアゾリン−4−オン核:例えば4−チアゾリノン、2−エチル−4−チアゾリノンなど。
(l)4−チアゾリジノン核:例えば2−エチルメルカプト−5−チアゾリン−4−オン、2−アルキルフェニルアミノ−5−チアゾリン−4−オンなど。
(m)2,4−イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)核:例えば2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオンなど。
(n)2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン(2−チオヒダントイン)核:例えば2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオンなど。
(o)イミダゾリン−5−オン核:例えば2−プロピルメルカプト−2−イミダゾリン−5−オンなど。
(p)3,5−ピラゾリジンジオン核:例えば1,2−ジフェニル−3,5−ピラゾリジンジオン、1,2−ジメチル−3,5−ピラゾリジンジオンなど。
(q)ベンゾチオフェン−3−オン核:例えばベンゾチオフェン−3−オン、オキソベンゾチオフェン−3−オン、ジオキソベンゾチオフェン−3−オンなど。
(r)インダノン核:例えば1−インダノン、3−フェニル−1−インダノン、3−メチル−1−インダノン、3,3−ジフェニル−1−インダノン、3,3−ジメチル−1−インダノンなど。
なお、環を形成する場合のR2及びR3のσp値を規定することができないが、本発明においてはR2及びR3にそれぞれ環の部分構造が置換しているとみなして、環形成の場合のσp値を定義することとする。例えば1,3−インダンジオン環を形成している場合、R2及びR3にそれぞれベンゾイル基が置換したものとして考える。
2及びR3が結合して形成される環としては、好ましくは1,3−ジカルボニル核、ピラゾリノン核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)、2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン核、2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核、2,4−チアゾリジンジオン核、2,4−イミダゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン核、2−イミダゾリン−5−オン核、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェン−3−オン核、またはインダノン核であり、更に好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェン−3−オン核、またはインダノン核である。
3はヘテロ環であることが特に好ましい。一般式(1)中の2つのR2は、互いに同一でも異なってもよく、また、2つのR3は、互いに同一でも異なってもよい。
4で表されるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基は、R1a、R1bで説明した置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。R4で表される置換ホウ素の置換基は、R2及びR3について上述した置換基と同義であり、好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基である。また、R4で表される金属原子は、好ましくは遷移金属、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、又はスズであり、より好ましくはアルミニウム、亜鉛、スズ、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、パラジウム、イリジウム、又は白金であり、特に好ましくはアルミニウム、亜鉛、バナジウム、鉄、銅、パラジウム、イリジウム、又は白金である。
4は、R1a、R1b及び/又はR3と共有結合もしくは配位結合しても良い。
一般式(1)中の2つのR4は、互いに同一でも異なってもよい。
前記一般式(1)で表される化合物は、好ましくは下記一般式(2)、(3)又は(4)のいずれかで表される近赤外線吸収化合物である。
Figure 2010106248
(式中、Z1a及びZ1bは各々独立にアリール環もしくはヘテロアリール環を形成する原子団を表す。R5a及びR5bは各々独立に炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、炭素数1〜20のカルバモイル基、ハロゲン原子、又はシアノ基のいずれか1つを表し、R5a又はR5bとZ1a又はZ1bとが結合して縮合環を形成しても良い。R22及びR23は各々独立にシアノ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜20の含窒素ヘテロアリール基を表し、又はR22及びR23が結合して環状酸性核を表す。R4は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、金属原子、又は置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数4〜20のヘテロアリール基を有する置換ホウ素を表し、R23と共有結合もしくは配位結合を有しても良い。また、当該化合物は更に置換基を有しても良い。)
Figure 2010106248
(式中、R31a及びR31bは各々独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数3〜20のヘテロアリール基を表す。R32はシアノ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜10の含窒素ヘテロアリール基を表す。R6及びR7は各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数4〜10のヘテロアリール基を表し、R6及びR7は結合して環を形成してよく、形成する環としては炭素数5〜10の脂環、炭素数6〜10のアリール環、又は炭素数3〜10のヘテロアリール環である。R8及びR9は各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数3〜10のヘテロアリール基を表す。Xは酸素原子、イオウ原子、−NR−、−CRR’−を表し、R及びR’は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)
Figure 2010106248
(式中、R41a及びR41bは互いに異なる基を表し、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数3〜20のヘテロアリール基を表す。R42はシアノ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜10の含窒素ヘテロアリール基を表す。Z2は−C=N−と共に含窒素ヘテロ5又は6員環を形成する原子団を表し、含窒素ヘテロ環としてはピラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、これらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環、又はこれら縮環の複合体を表す。R44は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、金属原子、又は置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数4〜20のヘテロアリール基を有する置換ホウ素を表し、Z2が形成する含窒素ヘテロ環と共有結合もしくは配位結合を有しても良い。また、当該化合物は更に置換基を有しても良い。)
前記一般式(2)について説明する。
前記一般式(2)中、Z1a及びZ1bは各々独立にアリール環もしくはヘテロアリール環を形成する原子団を表す。形成されるアリール環、ヘテロアリール環は、前記一般式(1)におけるR2及びR3の置換基として説明したアリール基、ヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。Z1a及びZ1bは同一であることが好ましい。
5a及びR5bは各々独立に炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、炭素数1〜20のカルバモイル基、ハロゲン原子、又はシアノ基のいずれか1つを表す。具体例には、前記一般式(1)におけるR2及びR3で説明した例と同義であり、好ましい範囲も同様である。R5a及びR5bは同一であることが好ましい。
5a又はR5bとZ1a又はZ1bとが結合し縮合環を形成しても良く、該縮合環としてはナフチル環、キノリン環などが挙げられる。
1a又はZ1bが形成するアリール環もしくはヘテロアリール環にR5a又はR5bで表される基を導入することで、不可視性を大きく向上することができる。
22及びR23は各々独立にシアノ基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜20の含窒素ヘテロアリール基を表し、又はR22及びR23が結合して環状酸性核を表す。具体的には、前記一般式(1)におけるR2及びR3で説明した例と同義であり、好ましい範囲も同様である。R4は前記一般式(1)におけるR4と同義であり、好ましい範囲も同様である。R4はR23と共有結合もしくは配位結合を有しても良い。
前記一般式(2)で表される化合物は更に置換基を有しても良く、該置換基としてはR2及びR3の置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記一般式(2)における好ましい組合せとしては、Z1a及びZ1bが各々独立にベンゼン環もしくはピリジン環を形成し、R5a及びR5bが各々独立にアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基であり、R22及びR23が各々独立にヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はR22及びR23が結合した環状酸性核であり、R4が水素原子、置換ホウ素、遷移金属原子、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、スズである場合である。特に好ましい組合せとしては、Z1a及びZ1bが共にベンゼン環を形成し、R5a及びR5bが共にアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基であり、R22及びR23が各々独立に含窒素ヘテロ環基とシアノ基もしくはアルコキシカルボニル基との組合せ、又はR22及びR23が結合した環状酸性核であり、R4が水素原子、置換ホウ素、アルミニウム、亜鉛、バナジウム、鉄、銅、パラジウム、イリジウム、白金である場合である。
前記一般式(3)について説明する。
一般式(3)中、R31a及びR31bは各々独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数3〜20のヘテロアリール基を表し、具体的には、前記一般式(1)におけるR1a及びR1bで説明した例と同義であり、好ましい範囲も同様である。R31a及びR31bは同一であることが好ましい。
32はシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜10の含窒素ヘテロアリール基であり、具体的には、前記一般式(1)におけるR2の例と同義であり、好ましい範囲も同様である。
6及びR7は各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数4〜10のヘテロアリール基であり、具体的には、前記一般式(1)におけるR2及びR3の置換基の例と同義であり、好ましい範囲も同様である。また、R6及びR7は結合して環を形成してよく、形成する環としては炭素数5〜10の脂環、炭素数6〜10のアリール環、炭素数3〜10のヘテロアリール環であり、好ましい例としてはベンゼン環やナフタレン環、ビリジン環などが挙げられる。
6及びR7が置換した5員含窒素ヘテロ環を導入し、更にホウ素錯体とすることで、高い堅牢性、高い不可視性を両立する赤外線吸収色素を実現することができる。
8及びR9は各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数3〜10のヘテロアリール基であり、具体的には、前記一般式(1)におけるR2及びR3の置換基の例と同義であり、好ましい範囲も同様である。
Xは酸素原子、イオウ原子、−NR−、−CRR’−を表す。R及びR’は各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表し、好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基である。
前記一般式(3)における好ましい組合せとしては、R31a及びR31bが各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、ベンゼン環もしくはピリジン環であり、R32がシアノ基、アルコキシカルボニル基であり、R6及びR7が結合してベンゼン環もしくはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環を形成し、R8及びR9が各々独立に炭素原子1〜6のアルキル基、フェニル基、ナフチル基であり、Xが酸素原子、イオウ原子、−NR−、−CRR’−であり、R及びR’が各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基である場合である。特に好ましい組合せとしては、R31a及びR31bが共に炭素数1〜10のアルキル基またはベンゼン環であり、R32がシアノ基であり、R6及びR7が結合してベンゼン環もしくはピリジン環であり、R8及びR9が各々独立に炭素原子1〜6のアルキル基、フェニル基、ナフチル基であり、Xが酸素、硫黄である場合である。
前記一般式(4)について説明する。
一般式(4)中、R41a及びR41bは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数3〜20のヘテロアリール基を表し、具体的には、前記一般式(1)におけるR1a及びR1bで説明した例と同義であり、好ましい範囲も同様である。ただし、R41a及びR41bは互いに異なる基を表す。
42はシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、又は炭素数3〜10の含窒素ヘテロアリール基であり、具体的には、前記一般式(1)におけるR2の例と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2は−C=N−と共に含窒素ヘテロ5又は6員環を形成する原子団を表し、含窒素ヘテロ環としてはピラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、これらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環、又はこれら縮環の複合体を表す。
44は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、金属原子または置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数4〜20のヘテロアリール基を有する置換ホウ素を表し、Z2が形成する含窒素ヘテロ環と共有結合もしくは配位結合を有しても良い。
互いに異なるR41a及びR41bで表される基を導入し、Z2が−C=N−と共に形成する含窒素ヘテロ5又は6員環を導入することで、高い堅牢性および高い不可視性、優れた分散性、高い有機溶媒溶解性を付与することができる。
前記一般式(4)における好ましい組合せとしては、R41a及びR41bが各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、ベンゼン環もしくはピリジン環であり、R42がシアノ基、炭素数1〜10のアルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルコキシカルボニル基であり、Z2が−C=N−と共にチアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、又はこれらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環を形成し、R44が水素原子、置換ホウ素、遷移金属原子、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、又はスズである場合である。特に好ましい組合せとしては、R41a及びR41bが各々独立に炭素数1〜10のアルキル基またはベンゼン環であり、R42がシアノ基であり、Z2が−C=N−と共にチアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、又はこれらのベンゾ縮環もしくはナフト縮環を形成し、R44が水素原子、置換ホウ素(置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、ベンゼン環、ピリジン環、又はチオフェン環)、アルミニウム、亜鉛、バナジウム、鉄、銅、パラジウム、イリジウム、又は白金である場合である。
以下に、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物(色素化合物)の具体例を示すが、本発明は下記具体例に限定されるものではない。本明細書において、Etはエチル基、Buはブチル基を表す。
Figure 2010106248
Figure 2010106248
Figure 2010106248
Figure 2010106248
Figure 2010106248
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Figure 2010106248
Figure 2010106248
Figure 2010106248
Figure 2010106248
Figure 2010106248
Figure 2010106248
次に、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物の合成法について説明する。
前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物は、該当するジケトピロロピロール化合物に、活性メチレン化合物を縮合させ、場合によっては、さらに、ホウ素や金属を反応させることで合成することができる。ジケトピロロピロール化合物は、「ハイパフォーマンス・ピグメンツ(High Performance Pigments)」,Wiley−VCH,2002年,160〜163ページに記載の方法で合成でき、より具体的な例としては米国特許第5,969,154号明細書や特開平9−323993号公報に記載の方法で合成できる。また、ジケトピロロピロール化合物と活性メチレン化合物との縮合反応やその後のホウ素化については、非特許文献1に従って合成できる。ホウ素化試薬はJ.Med.Chem.第3巻356〜360頁(1976年)を参考にして合成することができる。また、例えばブロモカテコールボランは東京化成工業社より購入して使用することができる。
前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物は、特に限定されないが、好ましくは700〜1050nm、より好ましくは700〜1000nmに吸収極大を有する。前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物は、波長700nm以上1000nm以下の赤外線を選択的に吸収することが好ましい。
また、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物は、モル吸光係数εは特に限定されないが、好ましくは50,000〜300,000であり、より好ましくは100,000〜250,000である。
前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物は、IR色素として好ましく用いることができる。不可視であるため化合物の色は透明であることが好ましいが、ごくわずかに緑色、灰色に着色していてもよい。
本発明の近赤外線吸収組成物をフィルター用途等に適用する場合は、散乱の影響を低減させるために、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物を一般に分子分散状態やアモルファス状態で使用することが好ましい。また、微粒子として用いてもよい。本発明の近赤外線吸収組成物は、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物からなる微粒子を含むことにより、より高い堅牢性を示す。
以下に、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物からなる微粒子の調製方法について説明する。
(微粒子の調製方法)
上記した化合物の合成方法によって、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物は粗結晶として得られるが、微粒子として用いる場合、後処理を行うことが好ましい。この後処理の方法としては、例えば、ソルベントソルトミリング、ソルトミリング、ドライミリング、ソルベントミリング、アシッドペースティング等の摩砕処理、溶媒加熱処理などによる微粒子制御工程、樹脂、界面活性剤および分散剤等による表面処理工程が挙げられる。
前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物は、後処理として溶媒加熱処理を行っても良い。溶媒加熱処理に使用される溶媒としては、例えば、水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の極性非プロトン性有機溶媒、氷酢酸、ピリジン、またはこれらの混合物等が挙げられる。これらの後処理によって、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物(顔料)の平均粒子径を0.01μm〜1μmに調整することが好ましい。
本発明の近赤外線吸収組成物において、赤外線遮蔽効果を有効に得るためには、前記近赤外線吸収化合物の含有量は、10質量%以上とすることが好ましく、20質量%以上が好ましい。また、可視光透過性の付与のためには、赤外線吸収色素の量を90質量%以下に抑えることが好ましい。
次に、紫外線吸収剤について説明する。
本発明の近赤外吸収組成物においては、少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有することを特徴とする。これにより、より効果的に耐光性が向上する。
本発明における紫外線吸収剤は、分光吸収特性として、紫外線領域(10〜400nm)に吸収を有し、溶液における270〜1600nmの範囲での分光吸収極大波長が470nm以下である化合物を意味する。耐光性向上効果の点から、前記分光吸収極大波長が、430nm以下であることが好ましく、より好ましくは410nm以下、更に好ましくは380nm以下である。
本発明における紫外線吸収剤としては、下記一般式(II−1)〜(II−10)のいずれかで表される化合物よりなる紫外線吸収剤が好ましい。
以下に、一般式(II−1)〜(II−10)で表される化合物について説明する。
Figure 2010106248
上記式中、R011〜R014、R021〜R066、R071〜R078、R081〜R084、R086〜R089、R091〜R100、R103〜R106は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R015は水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表す。R079、R080及びR085は各々独立に置換基を表す。R101、R102は芳香族基又は複素環基を表す。X041は水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表す。n079、n080及びn085は各々独立に0〜4の整数を表しn079、n080及びn085が2以上の場合、複数のR079、R080及びR085は各々同一でも異なっていてもよい。ここで、互いに隣接する基が、互いに結合して環を形成してもよい。
011〜R014、R021〜R060、R103〜R106として、それぞれ、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基である。
011〜R014は、それぞれ、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、イミド基、又はシリル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、又はアミノ基であり、特に好ましくは水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、最も好ましくは水素原子又はハロゲン原子である。
015は、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、又は炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数6〜30のヘテロアリール基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数6〜20のヘテロアリール基でありであり、更に好ましくは炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数6〜20のヘテロアリール基であり、特に好ましくは炭素数6〜20のアリール基であり、最も好ましくは炭素数6〜20のオルトヒドロキシフェニル基である。
021〜R040は、それぞれ、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はカルバモイル基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はカルバモイル基であり、特に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、又はアルコキシカルボニル基である。またR021、R031が、それぞれ、ヒドロキシル基であることが最も好ましい。
041〜R050は、それぞれ、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、又はアリールチオ基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、又はアシルアミノ基であり、最も好ましくは水素原子、アルコキシ基、又はアミノ基である。
041は好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、又は炭素数6〜30のアリール基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜25のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、又は炭素数6〜25のアリール基であり、特に好ましくは炭素数1〜22のアルキル基、又は炭素数6〜22のアリール基であり、最も好ましくは炭素数1〜18のアルキル基である。
051〜R060は、それぞれ、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アリールチオ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、又はアルコキシカルボニル基であり、R051がヒドロキシル基となるのが最も好ましい。
061、R065として、それぞれ、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、又はシリル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又はイミド基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、又はアルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、又はアシルアミノ基である。
062〜R064及びR066として、それぞれ、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、又はシリル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はシリル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基であり、最も好ましくは水素原子である。
071、R074、R075及びR078として、それぞれ、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、又はメルカプト基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、又はアミノ基であり、最も好ましくは水素原子である。
072、R073、R076及びR077として、それぞれ、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、二トロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、又はシリル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、又はスルファモイル基であり、特に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、又はアルキルチオ基であり、最も好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、又はアルコキシ基である。
079及びR080として、それぞれ、好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、又はシリル基であり、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はヘテロ環チオ基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はアルコキシ基である。
079及びn080として好ましくは0〜3であり、更に好ましくは0〜2であり、更に好ましくは0または1であり、0が最も好ましい。
081、R084、R086及びR089の好ましい範囲は前述のR071と同様である。またR082、R083、R087及びR088の好ましい範囲は前述のR072と同様である。
085として好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、又はシリル基であり、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、又はアルキルチオ基であり、更に好ましくはハロゲン原子又はアルキル基である。
085は好ましくは0〜3であり、より好ましくは0〜2であり、更に好ましくは0〜1であり、最も好ましくは0である。
また、互いに隣接する2つのR085が互いに結合して縮合環を形成し、ナフト−1,4−イル基を構成することもまた好ましい。
091、R094、R097及びR100の好ましい範囲は前述のR071と同様である。またR092、R093、R098及びR099の好ましい範囲は前述のR072と同様である。
095及びR096として、それぞれ、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、シリル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アミノ基であり、特に好ましくは水素原子、アルキル基である。
101、R102として、それぞれ、好ましくは、アリール基、ヘテロアリール基が好ましく、さらに好ましくはフェニル基であり、最も好ましくはo−ヒドロキシフェニル基である。
103〜R106の好ましい範囲は前述のR011と同様である。
一般式(II−1)〜(II−10)で表される化合物のうち、好ましくは一般式(II−1)、(II−2)、(II−3)、(II−8)、(II−9)又は(II−10)で表される化合物であり、更に好ましくは一般式(II−1)、(II−2)、(II−3)、(II−9)又は(II−10)で表される化合物であり、更に好ましくは一般式(II−1)、(II−2)又は(II−10)で表される化合物である。
本発明において、一般式(II−1)で表される化合物としては、R011〜R014が水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5のアルキル基であって、R015が炭素数6〜20のオルトヒドロキシフェニル基であることが好ましい。
また、一般式(II−2)で表される化合物としては、R022〜R030が、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシルアミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基であって、R021がヒドロキシル基であることが好ましい。
また、一般式(II−10)で表される化合物としては、R101、R102がフェニル基であって、より好ましくは少なくとも一方がo−ヒドロキシフェニル基であって、R103〜R106が、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましい。
以下に、本発明における一般式(II−1)〜(II−10)で表される化合物の具体例として、例示化合物(II−1)〜(II−70)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010106248
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これらの化合物は、特公昭50−25337号公報、米国特許第3,785,827号明細書、特開平5−4449号公報、特公昭48−30492号公報、特開平2−188573号公報、EP0684278A1号明細書、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー,第23巻,1344頁(1958年発行)等に記載の方法もしくはこれに準じた方法で容易に合成できる。また、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社から「チヌビン326」、「チヌビン405」などの商品名にて販売されていたり、住友化学(株)製のWhitwefuluorの商品群、昭和化学(株)製のHakkolの商品群、ヘキスト(株)製のHostaluxの商品群、および日本化薬(株)製のKayalightの商品群の中から選定することが可能である。
本発明の近赤外線吸収組成物においては、前記紫外線吸収剤を2種以上含有してもよい。これにより、より効果的に耐光性を向上させることができる。
また、本発明の近赤外線吸収組成物に含まれる紫外線吸収剤の量は、前記近赤外線吸収化合物1モルに対して、0.05〜4.0モルであることが好ましく、0.1〜2.0モルであることがより好ましく、0.1〜1.0モルであることが更に好ましい。紫外線吸収剤の含有量が、前記範囲内であることにより、より効果的な耐光性向上と、赤外線吸収能、可視透過性の両立が容易になる。
次に、本発明の近赤外線吸収組成物について説明する。
本発明の近赤外線吸収組成物は、250〜400nmと700〜1200nmとに吸収極大を有することが好ましく、300〜380nmと750〜1000nmとに吸収極大を有することがより好ましい。
本発明の近赤外線吸収塗布物は、可視光領域(450nm〜650nm)の吸収率が25%以下(好ましくは0〜15%)であることが好ましい。
ここで、吸収率とは、近赤外線領域における吸収極大における吸光度を100%としたときの、測定波長における吸光度を百分率で表した値をいう。
本発明の近赤外線吸収組成物は、水系であっても非水系であってもよい。
(水系組成物)
本発明の近赤外線吸収組成物が水系組成物である場合、前記一般式(1)で表される化合物および前記紫外線吸収剤を分散する水性の液体としては、水を主成分とし、所望により親水性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。
前記親水性有機溶剤としては,例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールものブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートトリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコール誘導体、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン等のアミン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
さらに、本発明の近赤外線吸収組成物は水性樹脂を含んでいてもよい。水性樹脂としては、水に溶解する水溶解性の樹脂、水に分散する水分散性の樹脂、コロイダルディスパーション樹脂、またはそれらの混合物が挙げられる。水性樹脂の具体例としては、アクリル系、スチレン−アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、フッ素系等の樹脂が挙げられる。
本発明において用いられる水分散性の樹脂は、主成分が水である分散媒(本明細書では溶媒と呼ぶこともある)に疎水性の合成樹脂が分散された分散物である。
溶媒中に含まれる水の含量は、30質量%〜100質量%が好ましく、50質量%〜100質量%がより好ましい。水以外の溶媒としては、メタノールやエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフランやブチルセロソルブなど、水に溶解性を有する溶剤が好ましく用いられる。
前記合成樹脂(ポリマー)としては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等、ポリアミド樹脂、フッ素系樹脂など種々のポリマーを使用することができる。また、水溶性の樹脂としてはゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーである。
上記ビニル樹脂としては、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)を挙げることができる。これらの中で、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくは、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体)が好ましい。上記ビニル樹脂は、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル及びポリ酢酸ビニルでは、例えば、ビニルアルコール単位をポリマー中に残すことにより水酸基を有するポリマーとし、他のポリマーについては、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用することにより架橋可能なポリマーとする。
上記ポリウレタン樹脂としては、ポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)、ポリヒドロキシ化合物と多塩基酸との反応により得られる脂肪族ポリエステル系ポリオール、ポリエーテルポリオール(例、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、及びポリエチレンテレフタレートポリオールのいずれか一種、あるいはこれらの混合物とポリイソシアネートから誘導されるポリウレタンを挙げることができる。上記ポリウレタン樹脂では、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応後、未反応として残った水酸基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。
上記ポリエステル樹脂としては、一般にポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)と多塩基酸との反応により得られるポリマーが使用される。上記ポリエステル樹脂では、例えば、ポリオールと多塩基酸との反応終了後、未反応として残った水酸基、カルボキシル基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。もちろん、水酸基等の官能基を有する第三成分を添加してもよい。
なお、ポリマーの水性分散物の分散状態としては、ポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持つもの等、いずれでもよい。なお、前記ポリマーの水性分散物(または単に水分散物と呼ぶ)については、「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))等に記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
なお、水分散物としては下記のような市販ポリマーを用いてもよい。
スーパフレックス830、460、870、420、420NS(第一工業製薬製ポリウレタン)、ボンディック1370NS、1320NS、ハイドランHw140SF、WLS201、WLS202、WLS213(大日本インキ化学工業製ポリウレタン)、オレスターUD350、UD500、UD600(三井化学製ポリウレタン)、ネオレッツR972、R966、R9660(楠本化成製ポリウレタン)、ファインテックスEs650、Es2200(大日本インキ化学工業製ポリエステル)、バイロナールMD1100、MD1400、MD1480(東洋紡製ポリエステル)、ジュリマーET325、ET410、AT−613、SEK301(日本純薬製アクリル)、ボンコートAN117、AN226(大日本インキ化学工業製アクリル)、ラックスターDS616、DS807(大日本インキ化学工業製スチレン−ブタジエンゴム)、ニッポールLX110、LX206、LX426、LX433(日本ゼオン製スチレン−ブタジエンゴム)、ニッポールLX513、LX1551、LX550、LX1571(日本ゼオン製アクリロニトリル−ブタジエンゴム)(いずれも商品名)。
本発明の近赤外線吸収組成物のバインダーとして用いる前記ポリマーは1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。
本発明の近赤外線吸収組成物のバインダーとして用いられる前記ポリマーの分子量には特に制限はないが、通常、重量平均分子量で3,000〜1,000,000程度のものが好ましい。重量平均分子量が3,000未満のものは塗布層の強度が不十分になる場合があり、1,000,000を超えるものは塗布面状が悪い場合がある。
さらに、微粒子の分散および画像の品質を向上させるため、界面活性剤および分散剤を用いてもよい。界面活性剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性の界面活性剤が挙げられ、いずれの界面活性剤を用いてもよいが、アニオン性または非イオン性の界面活性剤を用いるのが好ましい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸フォルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系、シリコン系等が挙げられる。
(非水系組成物)
本発明の近赤外線吸収組成物が非水系組成物である場合、当該組成物は、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される近赤外線吸収化合物と前記紫外線吸収剤とを非水系ビヒクルに分散してなる。
非水系ビヒクルに使用される樹脂は、例えば、石油樹脂、カゼイン、セラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、酸化ゴム、塩酸ゴム、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、乾性油、合成乾性油、スチレン/マレイン酸樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂塩素化ポリプロピレン、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。非水系ビヒクルとして、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を用いてもよい。
また、非水系ビヒクルに使用される溶剤としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物のようなカルバミン酸エステル等が挙げられる。
以下、本発明の近赤外線吸収塗布物(以下、近赤外線吸収塗布膜ということもある。)について説明する。
本発明の近赤外線吸収塗布膜は、前記近赤外線吸収化合物と前記紫外線吸収剤とを含有する前記近赤外線吸収組成物を調製し、前記近赤外線吸収組成物を支持体上に塗布してなる近赤外線及び紫外線吸収層を形成することで作製できる。
また、本発明の近赤外線吸収塗布膜は、前記近赤外線吸収化合物を含有する近赤外線吸収組成物と、前記紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収組成物とを調製し、前記近赤外線吸収組成物を支持体上に塗布し、その塗布物にさらに前記紫外線吸収組成物を塗布してなる近赤外線吸収塗布膜であってもよい。
前記近赤外線吸収層等の塗布方法としては、例えばディップコート法、ローラーコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、ダイコート法などを選択できる。これらのコート法は連続加工を行うことができ、バッチ式の蒸着法などに比べて生産性が優れている。また、薄く均一な塗膜を形成できるスピンコート法も採用し得る。
塗布層を担持した支持体(例えば、ポリエステル等のプラスチックフィルム)は、逐次二軸延伸前、同時二軸延伸前、一軸延伸後で再延伸前、あるいは二軸延伸後のいずれであってもよい。塗布液を塗布するプラスチック支持体の表面は、あらかじめ紫外線照射処理、コロナ放電処理、グロー放電処理などの表面処理を施しておくことが好ましい。
なお、前記近赤外線吸収層は2層以上設けてもよい。近赤外線吸収層の膜厚は、1層当たり、近赤外線遮蔽効果を有効に得るために、0.1μm以上が好ましく、成膜時の溶媒が残留しにくい、成膜の操作性が容易であるなどの点から10μm以下が好ましく、特に0.3〜3μmであることが好ましい。
本発明の近赤外線吸収塗布膜を透明支持体に塗設して光学フィルターを作製する場合、支持体としては、プラスチックフィルム、プラスチック板、およびガラス板などを用いることができる。
上記プラスチックフィルムおよびプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
本発明においては、透明性、耐熱性、取り扱いやすさおよび価格の点から、上記プラスチックフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルム又はトリアセチルセルロース(TAC)であることが好ましい。
例えばディスプレイ用の近赤外線吸収フィルターなど、透明性が要求される用途には、支持体の透明性は高いことが好ましい。この場合におけるプラスチックフィルムまたはプラスチック板の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。また、本発明では、前記プラスチックフィルムおよびプラスチック板として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
本発明におけるプラスチックフィルムおよびプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして用いることも可能である。
本発明における支持体としてガラス板を用いる場合、その種類は特に限定されないが、ディスプレイ用電磁波シールド膜の用途として用いる場合、表面に強化層を設けた強化ガラスを用いることが好ましい。強化ガラスは、強化処理していないガラスに比べて破損を防止できる可能性が高い。さらに、風冷法により得られる強化ガラスは、万一破損してもその破砕破片が小さく、かつ端面も鋭利になることはないため、安全上好ましい。
本発明の近赤外吸収塗布膜に、必要に応じてさらに別の機能性を付与してもよい。又は近赤外吸収層とは別に機能性を有する機能層を設けていてもよい。この機能層は、用途ごとに種々の仕様とすることができる。例えば、ディスプレイ用電磁波シールド材用途としては、屈折率や膜厚を調整した反射防止機能を付与した反射防止層や、ノングレアー層またはアンチグレア層(共にぎらつき防止機能を有する)、特定の波長域の可視光を吸収する色調調節機能をもった層、指紋などの汚れを除去しやすい機能を有した防汚層、傷のつき難いハードコート層、衝撃吸収機能を有する層、ガラス破損時のガラス飛散防止機能を有する層などを設けることができる。これらの機能層は、銀塩含有層と支持体とを挟んで反対側の面に設けてもよく、あるいは同一面側に設けてもよい。
(反射防止性・防眩性)
透光性電磁波シールド膜には、外光反射を抑制するための反射防止(AR:アンチリフレクション)性、または、鏡像の映り込みを防止する防眩(AG:アンチグレア)性、またはその両特性を備えた反射防止防眩(ARAG)性のいずれかの機能性を付与することが好ましい。
これらの性能により、照明器具等の映り込みによって表示画面が見づらくなってしまうのを防止できる。また、膜表面の可視光線反射率が低くすることにより、映り込み防止だけではなく、コントラスト等を向上させることができる。反射防止性・防眩性を有する機能性フィルムを透光性電磁波シールド膜に貼付した場合の可視光線反射率は、2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.3%以下、さらに好ましくは0.8%以下である。
上記のような機能性フィルムは、適当な透明基材上に反射防止性・防眩性を有する機能層を設けることにより形成することができる。
反射防止層としては、例えば、フッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化珪素の薄膜等を例えば1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、窒化物、硫化物等の無機化合物またはシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂等の有機化合物の薄膜を2層以上多層積層したもの等で形成することができる。
防眩性層としては、0.1μm〜10μm程度の微少な凹凸の表面状態を有する層から形成することができる。具体的には、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂に、シリカ、有機珪素化合物、メラミン、アクリル等の無機化合物または有機化合物の粒子を分散させインキ化したものを塗布、硬化することにより形成することが可能である。
粒子の平均粒径は、1〜40μm程度が好ましい。
また、防眩性層としては、上記の熱硬化型または光硬化型樹脂を塗布した後、所望のグロス値または表面状態を有する型を押しつけ硬化することによっても形成することができる。
防眩性層を設けた場合の透光性電磁波シールド膜のヘイズは0.5%以上20%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以上10%以下である。ヘイズが小さすぎると防眩性が不十分であり、ヘイズが大きすぎると透過像鮮明度が低くなる傾向がある。
(ハードコート性)
近赤外線吸収フィルターに耐擦傷性を付加するために、機能性フィルムがハードコート性を有していることも好適である。ハードコート層としてはアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂等が挙げられるが、その種類も形成方法も特に限定されない。ハードコート層の厚さは、1〜50μm程度であることが好ましい。ハードコート層上に上記の反射防止層および/または防眩層を形成すると、耐擦傷性・反射防止性および/または防眩性を有する機能性フィルムが得られ好適である。
ハードコート性が付与された透光性電磁波シールド膜の表面硬度は、JIS(K−5400)に従った鉛筆硬度が少なくともHであることが好ましく、より好ましくは2H、さらに好ましくは3H以上である。
本発明において、透明支持体を挟んで近赤外線吸収層の反対側に、電磁波シールド層、ハードコート層、反射防止層および防眩性層の少なくとも1つを有することが好ましい。すなわち、透明支持体の一方の面に、近赤外線吸収層を先ず形成する。その後、透明支持体の他方の面に、電磁波シールド層、ハードコート層、反射防止層および防眩性層の少なくとも1つを形成する。なお、これらの全ての層を形成することが好ましい。
(防汚性)
近赤外線吸収フィルターが防汚性を有していると、指紋等の汚れ防止や汚れが付いたときに簡単に取り除くことができるので好適である。
防汚性を有する機能性フィルムは、例えば透明基材上に防汚性を有する化合物を付与することにより得られる。防汚性を有する化合物としては、水および/または油脂に対して非濡性を有する化合物であればよく、例えばフッ素化合物やケイ素化合物が挙げられる。フッ素化合物として具体的には商品名オプツール(ダイキン社製)等が挙げられ、ケイ素化合物としては、商品名タカタクォンタム(日本油脂社製)等が挙げられる。
本発明の樹脂混練物は、高分子物質に、前記近赤外吸収化合物及び前記紫外線吸収剤を混練してなる。高分子物質としては、前記ポリエステル樹脂及びその配合物を用いることが好ましく、中でもポリエチレンテレフタラートが最も好ましい。また、高分子物質として、前記ビニル樹脂を用いることが好ましい。ビニル樹脂の例としては、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリプロピレン、エチレン/ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)であり、中でも好ましくは、ポリビニルブチラールである。
本発明に用いられる高分子物質は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
本発明に用いられる高分子物質は、透過率が80%以上であることが好ましい。なお、本発明における透過率については、日本化学会編「第4版実験化学講座 29 高分子材料媒」(丸善、1992年)225〜232ページに記載の内容に基づき、全光線透過率を求めたものである。
本発明に用いられる高分子物質は、ガラス転移点(Tg)が−80℃以上200℃以下であることが好ましく、−30℃以上180℃以下であることが更に好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記Tgを示す高分子物質を用いた高分子材料は適度な軟らかさと硬さの高分子材料を作製することが可能であり、ポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、作業の効率が上がり、光堅牢性を良化させる効果がある。
本発明の樹脂混練物には、上記の高分子物質等に加えて、必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、加工安定剤、老化防止剤、相溶化剤等の任意の添加剤を適宜含有してもよい。
高分子物質としてポリエチレンテレフタレートを用いる場合、本発明の樹脂混練物は、ポリエチレンテレフタレート及び前記近赤外線吸収化合物及び前記紫外線吸収剤を200℃以上で溶融混練することによって作製することが好ましい。同温度以下でポリエチレンテレフタレートを溶融させることにより作製した樹脂混練物は紫外線吸収剤が斑に点在した高分子材料となる可能性がある。このとき、本発明の樹脂混練物における前記近赤外線吸収化合物の含有量は、ポリエチレンテレフタレート100質量%に対して0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜25質量%が更に好ましい。0.4質量%〜10質量%が特に好ましい。
また、本発明の樹脂混練物に含まれる前記紫外線吸収剤の量は、前記近赤外線吸収化合物1モルに対して、0.05〜4.0モルであることが好ましく、0.1〜2.0モルであることがより好ましく、0.1〜1.0モルであることが更に好ましい。
本発明の樹脂混練物は、前記近赤外線吸収化合物及び前記紫外線吸収剤を含有しているため、優れた耐光性を有しており、前記近赤外線吸収化合物及び前記紫外線吸収剤の析出や長期使用によるブリードアウトが生じることがない。また、本発明の樹脂混練物は、近赤外線吸収フィルタや容器として用いることができ、近赤外線等に弱い化合物などを保護することもできる。例えば、を押出成形又は射出成形などの任意の方法により成形することで、本発明の樹脂混練物からなる成形品(容器等)を得ることができる。
本発明の近赤外線吸収組成物の用途としては、画像、特に不可視画像を形成するための画像記録材料やフィルター用途、光熱変換材料用途が挙げられ、具体的には、赤外線カットフィルターやインクジェット方式記録材料を始めとして、感熱記録材料、感圧記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン、フラッシュ定着用光熱変換材料や光照射溶融接着剤等があり、好ましくは、フィルター用途、インクジェット方式記録材料、感熱記録材料、電子写真方式を用いる記録材料である。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例中の吸収スペクトルは株式会社島津製作所製のUV-3300PC(商品名)を用いて測定した。
合成例1
[例示化合物(D−17)の調製]
下記スキームに従って、例示化合物(D−17)を調製した。
Figure 2010106248
まず、ジケトピロロピロール化合物(DPP)を、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゾニトリルを原料にして、米国特許第5,969,154号明細書に記載された方法に従って、合成した。
ジケトピロロピロール化合物3グラム(1モル当量)とピリジンアセトニトリル1.6グラム(2.5モル当量)をトルエン60mL中で攪拌し、オキシ塩化リン6.5グラム(8モル当量)を加えて4時間加熱還流した。室温(25℃)に冷却してクロロホルム50mLと水20mLを加え、さらに30分攪拌した。分液操作により有機層を取り出し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒クロロホルム)で精製し、さらにクロロホルム/アセトニトリル溶媒を用いて再結晶し、目的化合物(D−17)を3.3グラム、収率70%で得た。
1H−NMR(CDCl3):δ0.9−1.0(m,12H),1.35−1.6(m,16H),1.8(m,2H),3.95(d,4H),7.1(d,4H),7.4−7.5(m,4H),7.7(d,4H),7.75(d,2H),8.0(d,2H)
合成例2
[例示化合物(D−10)の調製]
前記スキームに従い例示化合物(D−10)を調製した。
ジフェニルボリン酸2−アミノメチルエステル(1.4g、3モル当量)のトルエン溶液(1.2M)に塩化チタン(0.9mL、3モル当量)を添加し、30分間、外接温度100℃で攪拌した。次に、例示化合物(D−17)(2.3g)のトルエン混合液(0.2M)を添加し、さらに2時間加熱還流条件で攪拌した。室温まで冷やし、メタノールを加えたところ、結晶が析出したため、これをろ別し、クロロホルム/メタノールで再結晶を行い、例示化合物(D−10)を3.0g、収率93%で得た。図1は、例示化合物D−10の溶液吸収スペクトルを表す。図1中、横軸は波長を、縦軸は吸光度を示す。
1H−NMR(CDCl3):δ0.9−1.0(m,12H),1.35−1.6(m,16H),1.8(m,2H),3.85(d,4H),6.45(s,8H),7.0(d,4H),7.15(m12H),7.2(m,2H),7.25(m,4H+4H),7.5(m,2H)
合成例3
[例示化合物(D−28)の合成]
4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゾニトリルをトルニトリルに変更し、ベンゾチアゾールアセトニトリルをピリジンアセトニトリルに変更したこと以外は上記と同様にして、例示化合物(D−28)を合成した。構造同定したH−NMRを示す。
例示化合物(D−28)
H−NMR(CDCl):1.9(s,6H),6.65(d,2H),6.7−6.8(m,6H),6.95(m,8H),7.0−7.1(m,4H),7.25−7.35(m,12H),7.5(m,2H),7.85(d,2H)
λmaxはクロロホルム中で752nmであった。モル吸収係数は、クロロホルム中、1.53×10dm/mol・cmであった。
合成例4
[例示化合物(D−142)の合成]
4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゾニトリルを4−(2−メチルブチルオキシ)ベンゾニトリルに変更したこと以外は合成例1,2と同様にして、例示化合物(D−142)を合成した。D−142はDMSOやクロロホルムへの溶解性が低く、H−NMR測定が困難であった。構造同定したMALDI−MASSスぺクトルの結果を示す。
計算値:〔M+〕=1100.42
実測値:〔M−H〕=1099.5
実施例1
(塗布膜の作製)
例示化合物(D−10)0.1gと表1に示す構造、及び量の紫外線吸収剤とポリエステル樹脂(東洋紡製、商品名バイロン200)0.2gに、クロロホルム20mLを加えて溶解し、塗布液Aを得た。塗布液Aを、室温にてガラス板にスピンコートし、塗布膜Aを作製した。塗布膜Aは例示化合物(D−10)からなるアモルファス膜である。
(耐光性試験)
実施例1で得られた塗布膜(アモルファス膜)Aを17万ルクスのキセノンランプにて24時間照射し、塗布膜Aの分光極大吸収波長848nmにおける吸光度を測定し、光照射前のそれに対する残存率(%)を下記式に従って算出し、耐光性を評価した。
残存率%=100×(照射後の吸収強度)/(照射前の吸収強度)
結果を表1に示す。
Figure 2010106248
表1から明らかなように、比較例の試料No.1−1は残存率が低いのに対し、本発明の試料No.1−2〜No.1−9は、いずれも残存率が高く優れた耐光性を示していることがわかる。また、試験後の本発明の試料No.1−2〜No.1−9は、いずれも目視で比較例の試料No.1−1より色味が薄かった。
実施例2
(微粒子の製造)
例示化合物(D−10)を10質量部および分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)2質量部に水を加え500質量部とした。これにさらに0.1mmφのジルコニアビーズを500質量部添加し、遊星型ボールミルにて300rpmで5時間処理を行い、微細粒子からなる水分散液を作製した。
その後、前記水分散液からビーズを濾過で分離し、水分散液Bを得た。ナノトラックUPA粒度分析計(UPA−EX150、商品名、日機装社製)によって水分散液Bの粒径を測定したところ、平均粒径は0.05μmであった。
(微粒子分散膜の作製)
水分散液Bにゼラチン水溶液を添加し、ゼラチン下塗りしたポリエチレンテレフタレート(PET)板に塗布し、例示化合物(D−10)微粒子のゼラチン分散膜である近赤外線吸収層を作製した。得られたゼラチン膜の吸収スペクトルを測定し、例示化合物(D−10)の吸収のλmax光学濃度が1.5となるよう水分散物濃度を調節した。
(塗布膜Bの製造)
ポリエステル樹脂(東洋紡製、商品名バイロン200)25質量部をトルエン/メチルエチルケトン(1/1)に溶解して100質量部とした溶液に、表2に示す構造、量の紫外線吸収剤を加え、塗布液Cを得た。前述のように作製した微粒子分散膜PET板の裏面に、塗布液Cを塗布バーによって塗布した後、100℃で90秒加熱乾燥して紫外線吸収層を形成し、近赤外線吸収フィルターBを作製した。
(耐光性試験)
実施例2で得られた塗布膜Bを、紫外線吸収層が光源側となるように設置して、22万ルクスのキセノンランプにて24時間照射した。例示化合物D−10の分光極大吸収波長における吸光度を測定し、光照射前のそれに対する残存率(%)を算出し、耐光性を評価した。結果を表2に示す。
また、図2は、表2に示した近赤外吸収膜2−2の吸収スペクトルを表す。図2中、横軸は波長を、縦軸は吸光度を示す。
Figure 2010106248
表2から明らかなように、比較例の試料No.2−1は残存率が低いのに対し、本発明の試料No.2−2〜No.2−5は、いずれも残存率が高く優れた耐光性を示していることがわかる。また、試験後の本発明の試料No.2−2〜No.2−5は、いずれも目視で比較例の試料No.2−1より色味が薄かった。
実施例3
(樹脂混練物の作製)
例示化合物(D−10)0.02g、紫外線吸収剤(II-70)0.1gとポリエチレンテレフタラート樹脂(Tg:60℃)10gを、二軸混練機にセットし、120℃、200回転で5分間混連操作を行い、樹脂混練物Cを作成した。
図3に樹脂混練物Cの吸収スペクトルを表す。図3中、横軸は波長を、縦軸は吸光度を示す。図3から明らかなように、本発明の樹脂混練物Cは、優れた近赤外吸収性を示している。

Claims (5)

  1. 少なくとも1種類の紫外線吸収剤と、少なくとも1種の下記一般式(1)で表される近赤外線吸収化合物とを含有する近赤外線吸収組成物。
    Figure 2010106248
    (式中、R1a及びR1bは同じであっても異なっても良く、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。R2及びR3は各々独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R2及びR3は結合して環を形成しても良い。R4は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素、金属原子を表し、R1a、R1b及び/又はR3と共有結合もしくは配位結合しても良い。)
  2. 前記紫外線吸収剤の溶液における270nm〜1600nmの範囲での分光吸収極大波長が410nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収組成物。
  3. 前記紫外線吸収剤が、下記一般式(II−1)〜(II−10)のいずれかで表される化合物よりなる紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の近赤外線吸収組成物。
    Figure 2010106248
    [式中、R011〜R014、R021〜R066、R071〜R078、R081〜R084、R086〜R089、R091〜R100、R103〜R106は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R015は水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表す。R079、R080及びR085は各々独立に置換基を表す。R101、R102は芳香族基又は複素環基を表す。X041は水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表す。n079、n080及びn085は各々独立に0〜4の整数を表しn079、n080及びn085が2以上の場合、複数のR079、R080及びR085は各々同一でも異なっていてもよい。ここで、互いに隣接する基が、互いに結合して環を形成してもよい。]
  4. 支持体上に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物を用いて形成されたことを特徴とする近赤外線吸収塗布物。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物の樹脂混練物。
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