JP2017044807A - 熱線反射材料及び窓 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線(特に、波長300nm及び350nmの光)による断熱性の低下及び材料の変色が抑制された熱線反射材料及び窓を提供する。
【解決手段】ポリエステルを含む支持体2と、繊維状導電粒子を含み、支持体の一方の面上に配置された導電粒子含有層1と、0.001質量%の濃度の溶液を調製して光路長1cmのセルに収容した状態で透過率測定を行った場合の波長300nm及び350nmにおける光の透過率がいずれも70%未満である紫外線吸収剤を含み、支持体の他方の面上に配置された粘着剤層3と、を有する熱線反射材料10及び窓。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱線反射材料及び窓に関する。
近年、二酸化炭素削減のための省エネルギー施策の一つとして環境負荷の少ない商品が求められており、自動車や建物等の窓に対する日射調整フィルムや熱線反射材料が注目されている。窓などに熱線反射材料を設置することで室内側と室外側との熱の移動を遅くさせることができるため断熱性に優れ、冷暖房の負荷が減り、省エネルギー効果が期待できる。
断熱性は、熱貫流率で表すことができる。国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(いわゆるグリーン購入法)における窓用日射調整フィルム調達基準では、断熱性については、JIS(Japanese Industrial Standards) A 5759:2008「建築窓ガラス用フィルム」による計測方法で、熱貫流率5.9W/(m・K)未満であることが求められており、この数字が小さいほど断熱性が高いことになる。JIS A 5759:2008によれば、熱貫流率は波長5μm〜25μmの遠赤外線の反射スペクトルから求めることができる。すなわち、熱貫流率を下げるには波長5μm〜25μmの遠赤外線の反射率を上げることが好ましい。
上記のような熱線反射材料及び熱線反射材料を備えた窓は種々提案されている。
例えば、透明フィルムと、金属ナノ繊維を含み、透明フィルムの表面に設けられた熱線反射層と、を有する熱線遮蔽材料が、熱線反射層が形成された面の反対側の面で、接着剤層を介して、透明基板に接着された熱線遮蔽ウィンドウが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されている熱線遮蔽ウィンドウは、熱線反射層が金属ナノ繊維を含んでいるので、室内から放射される暖房等の熱線を反射して逃がさず、外気の熱を室内に取り込まない断熱性に優れるとされている。
また、紫外線吸収剤を含有する粘着層と、六角形状〜円盤形状の金属粒子を含有する金属粒子含有層と、金属粒子含有層の少なくとも一方の表面に密接して配置されたオーバーコート層と、を有する熱線遮蔽材料が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に開示されている熱線遮蔽材料は、可視光透過性及び日射反射率が高く、遮熱性に優れるとされている。
特開2012−252172号公報 特開2012−215811号公報
特許文献1に開示されているように、金属ナノ繊維などの繊維状導電粒子は、熱線(例えば、波長5μm〜25μmの遠赤外線)を反射する性質を有するため、熱線反射材料として注目されている。他方、繊維状導電粒子の紫外線に対する吸収特性についての検討は、赤外線に対する検討と比較すると少ない。特に、繊維状導電粒子が、波長350nmの光(紫外線)に対してプラズモン共鳴に起因する吸収を有するとの知見は少ない。その一方で、繊維状導電粒子が波長350nmの光を吸収することで、繊維状導電粒子が切断され長軸長が短くなる(すなわち劣化する)ことがあり、その繊維状導電粒子の熱線反射性が低下するおそれがある。また、熱線反射材料が繊維状導電粒子を含む層を有する場合、繊維状導電粒子の劣化に起因して、層が変色(例えば黄変)する傾向があるとの知見を得た。
特許文献1に記載の熱線遮蔽ウィンドウでは、特定の波長の光による金属ナノ繊維の劣化までは考慮されていないため、断熱性の低下及び変色が起こりやすく、断熱性及び変色の抑制については改善の余地が大きい。また、特許文献2に記載の熱線遮蔽材料では、六角形状〜円盤形状の金属粒子を用いており、断熱性が不足している傾向にある。
また、熱線反射材料の支持体としてポリエステル等の樹脂を用いた場合、支持体自体が紫外線(特に波長300nm以下の光)により変色(例えば黄変)することもある。
以上のように、熱線反射材料において断熱性を安定的に保持し、かつ、透明性、すなわち、変色を抑制することは重要である。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、紫外線(特に、波長300nm及び350nmの光)による断熱性の低下及び変色が抑制される熱線反射材料及び窓を提供することを課題とする。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> ポリエステルを含む支持体と、繊維状導電粒子を含み、支持体の一方の面上に配置された導電粒子含有層と、0.001質量%の濃度の溶液を調製して光路長1cmのセルに収容した状態で透過率測定を行った場合の波長300nm及び350nmにおける光の透過率がいずれも70%未満である紫外線吸収剤を含み、支持体の他方の面上に配置された粘着剤層と、を有する熱線反射材料。
<2> 紫外線吸収剤が、トリアジン系化合物及びベンゾトリアゾール系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である<1>に記載の熱線反射材料。
<3> ベンゾトリアゾール系化合物は、2位の窒素原子がアルキルフェニル基で置換されたベンゾトリアゾール系化合物である<2>に記載の熱線反射材料。
<4> トリアジン系化合物は、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物である<2>に記載の熱線反射材料。
<5> 紫外線吸収剤は、透過率測定を行った場合の波長300nm及び350nmにおける光の透過率が、いずれも60%未満である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の熱線反射材料。
<6> 紫外線吸収剤は、透過率測定を行った場合の波長390nmにおける光の透過率が90%以上である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の熱線反射材料。
<7> 紫外線吸収剤の含有量が、粘着剤層の全質量に対して0.05質量%〜6質量%である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の熱線反射材料。
<8> 繊維状導電粒子は、平均短軸長が150nm以下であり、平均長軸長が5μm〜50μmである<1>〜<7>のいずれか1つに記載の熱線反射材料。
<9> 繊維状導電粒子が繊維状金属粒子である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の熱線反射材料。
<10> 繊維状金属粒子が繊維状銀粒子である<9>に記載の熱線反射材料。
<11> 粘着剤層の厚みが、10μm〜100μmである<1>〜<10>のいずれか1つに記載の熱線反射材料。
<12> 透明基材と、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の熱線反射材料と、を備えた窓。
本発明によれば、紫外線(特に、波長300nm及び350nmの光)による断熱性の低下及び変色が抑制される熱線反射材料及び窓が提供される。
本発明の熱線反射材料の一例を示す概略図である。 本発明の熱線反射材料の他の一例を示す概略図である。 本発明の窓の一例を示す概略図である。
以下、本発明の熱線反射材料及び窓について詳細に説明する。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において、「断熱」とは、波長5μm〜25μmの遠赤外線を平均反射率で5%以上反射することを意味する。遠赤外線の平均反射率は7%以上であることがより好ましく、8%以上であることが特に好ましく、10%以上であることがより特に好ましい。遠赤外線の反射率は、赤外分光機(ブルカー・オプティクス社製、IFS66v/S)により測定された値である。
<熱線反射材料>
本発明の熱線反射材料は、ポリエステルを含む支持体と、繊維状導電粒子を含み、支持体の一方の面上に配置された導電粒子含有層と、0.001質量%の濃度の溶液を調製して光路長1cmのセルに収容した状態で透過率測定を行った場合の波長300nm及び350nmにおける光の透過率がいずれも70%未満である紫外線吸収剤(以下、特定紫外線吸収剤ともいう)を含み、支持体の他方の面上に配置された粘着剤層と、を有する。
本発明の効果が現れる理由は明確ではないが以下のように推定される。
上述のように繊維状導電粒子は、波長350nmの光を吸収することで劣化し、その劣化に起因して繊維状導電粒子を含む熱線反射材料の断熱性が低下すること、及び繊維状導電粒子を含む層が変色(例えば黄変)することがある。従来から熱線を反射する材料は検討されているものの、特許文献1に記載の熱線遮蔽ウィンドウのように、特定の波長の光による金属ナノ繊維の劣化までは検討されておらず、断熱性の低下及び変色を防止することは困難である。
また、熱線反射材料の支持体としてポリエステル等の樹脂を用いた場合、支持体に紫外線が当ることにより支持体が変色(例えば黄変)することがある。熱線反射材料の透明性を維持する観点から変色を抑制することは重要である。支持体の変色は、支持体が波長300nmの光を吸収することで樹脂が分解することに起因すると考えられる。
本発明の熱線反射材料は、0.001質量%の濃度の溶液を調製して光路長1cmのセルに収容した状態で透過率測定を行った場合の波長300nm及び350nmにおける光の透過率がいずれも70%未満である紫外線吸収剤を含む粘着剤層が設けられている。上記のように、極めて低い濃度で紫外線吸収剤を含む溶液を調製し透過率測定を行った場合でも、波長300nm及び350nmにおける光の透過率が70%未満であることから、上記の紫外線吸収剤は波長300nm及び350nmの光に対する吸収能が高いといえる。このように、波長300nm及び350nmにおける光の吸収能が選択的に高い紫外線吸収剤を用いることで、粘着剤層の上に配置された支持体及び導電粒子含有層への波長300nm及び350nmの光の入射が抑制され、繊維状導電粒子の劣化と、支持体及び導電粒子含有層の変色と、を抑制することができると考えられる。
従って、本発明の熱線反射材料は、断熱性の低下及び変色が抑制されると考えられる。
<粘着剤層>
本発明の熱線反射材料は、支持体の他方の面上(支持体の導電粒子含有層を有する側とは反対側の面上)に配置された粘着剤層を有する。粘着剤層は、0.001質量%の濃度の溶液を調製して光路長1cmのセルに収容した状態で透過率測定を行った場合の波長300nm及び350nmにおける光の透過率がいずれも70%未満である紫外線吸収剤(特定紫外線吸収剤)を含む。
粘着剤層は、熱線反射材料を被着体へ固定する機能と、繊維状導電粒子及び支持体の紫外線による劣化を抑制する機能と、を有する。
(特定紫外線吸収剤)
粘着剤層は、0.001質量%の濃度の溶液を調製して光路長1cmのセルに収容した状態で透過率測定を行った場合の波長300nm及び350nmにおける光の透過率がいずれも70%未満である紫外線吸収剤(特定紫外線吸収剤)の少なくとも1種を含む。
粘着剤層が特定紫外線吸収剤を含むことで、支持体及び導電粒子含有層への波長300nm及び350nmの光の入射が抑制され、繊維状導電粒子及び支持体の劣化を抑制することができ、熱線反射材料の断熱性の低下及び変色を抑制することができる。
透過率は、特定紫外線吸収剤の濃度を0.001質量%に調整した溶液を光路長1cmのセルに収容した状態で分光光度計(日本分光(株)製、V−670)により測定された値である。
紫外線吸収剤としては、0.001質量%の濃度の溶液を調製して光路長1cmのセルに収容した状態で透過率測定を行った場合の波長300nm及び350nmにおける光の透過率がいずれも70%未満である紫外線吸収剤から選択できる。紫外線吸収剤としては、熱線反射材料の断熱性の低下及び変色を抑制する観点から、前述の透過率測定を行った場合の波長300nm及び350nmにおける光の透過率が、いずれも60%未満である紫外線吸収剤がより好ましい。
紫外線吸収剤は、前述の透過率測定を行った場合の波長390nmにおける光の透過率が90%以上であることがさらに好ましい。
波長390nmにおける光の透過率が90%以上であると、紫外線吸収剤自体の透明性が高く、熱線反射材料の透明性を高くすることができる。
紫外線吸収剤としては、上記の波長の光の吸収特性が優れる観点から、トリアジン系化合物及びベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−トリアジン系化合物−
トリアジン系化合物は、分子中にトリアジン骨格を有する化合物から選択できる。トリアジン系化合物としては、例えば、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物が挙げられる。より具体的には、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物等が挙げられる。
中でも、紫外線吸収特性の観点から、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物が好ましく、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、及び2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物がより好ましい。
−ベンゾトリアゾール系化合物−
ベンゾトリアゾール系化合物は、分子中にベンゾトリアゾール骨格を有する化合物から選択できる。ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2位の窒素原子がアルキルフェニル基で置換されたベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。より具体的には、2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネート、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖又は側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−〔5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル〕−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、及び2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等が挙げられる。
中でも、2位の窒素原子がアルキルフェニル基で置換されたベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、及び3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシがより好ましい。
特定紫外線吸収剤としては、上市されている市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、TINUVIN400、TINUVIN405、TINUVIN460、TINUVIN477、TINUVIN479(いずれもBASF社製、トリアジン系化合物)、TINUVIN PS、TINUVIN 99−2、TINUVIN384−2、TINUVIN900、TINUVIN928、TINUVIN1130、TINUVIN Carboprotect(いずれもBASF社製、ベンゾトリアゾール系化合物)が挙げられる。
中でも、TINUVIN PS、TINUVIN99−2、TINUVIN928、TINUVIN405、TINUVIN460、TINUVIN477、及びTINUVIN Carboprotectが好ましい。
粘着剤層における特定紫外線吸収剤の含有量は、粘着剤層の全質量に対して0.05質量%〜6質量%が好ましく、0.1質量%〜4質量%がより好ましく、0.3質量%〜2質量%がさらに好ましい。
特定紫外線吸収剤の含有量が0.05質量%以上であると、断熱性の低下の抑制及び変色の抑制効果によりに優れる。一方、特定紫外線吸収剤の含有量が6質量%以下であると、熱線反射材料の透明性により優れる。
(粘着剤層の材料)
粘着剤層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂など樹脂成分が挙げられる。中でも屈折率の観点から、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、「(メタ)アクリル」とは、メタクリル及びアクリルの少なくとも一方を意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及びアクリレートの少なくとも一方を意味する。
粘着剤層は、主成分として(メタ)アクリル樹脂を含むことがより好ましい。「主成分」とは、粘着剤層に含まれる成分のうち、50質量%以上(好ましくは60質量%以上、より好ましく70質量%以上)を占める成分を意味する。
粘着剤層には、前述の特定紫外線吸収剤及び主成分となり得る樹脂成分以外の他の成分(後述する粘着付与剤、ゴム成分、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤など)が含まれていてもよい。
−(メタ)アクリル樹脂−
(メタ)アクリル樹脂は、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマーを含むモノマー成分の重合体である。(メタ)アクリル樹脂の合成に用いられるモノマー成分としては、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマー以外の他のモノマー(例えば、アクリルアミドモノマー、ビニルモノマー)を用いてもよい。
(メタ)アクリル樹脂としては、炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基)を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来の構造単位(以後、構造単位Wともいう)を含むことが好ましい。なお、(メタ)アクリレートモノマーが炭化水素基を有する場合、(メタ)アクリレートモノマー中、炭化水素基とエステル基との間には、2価の連結基(例えば、オキシアルキレン基)が含まれていてもよい。
上記の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、鎖状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び上記炭素数の環状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
より具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどのモノマーが挙げられる。
中でも、粘着剤層の屈折率の観点から、n−ブチルアクリレートなどの鎖状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートなどの環状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートモノマーがより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂には、上述した以外の他のモノマーに由来の構造単位が含まれていてもよい。また、(メタ)アクリル樹脂は1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。
他のモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘプタプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールエチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
中でも、粘着剤層の屈折率の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノンが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂の好ましい態様の一つとしては、鎖状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートモノマー(n−ブチルアクリレート等)に由来の構造単位、及び環状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートモノマー(イソボルニルアクリレート等)に由来の構造単位を有する態様が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂中、構造単位Wの含有量としては、粘着剤層の屈折率の観点から、(メタ)アクリル樹脂の全構造単位に対して、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。なお、上限は特に制限されないが、100質量%である。
(メタ)アクリル樹脂の他の好ましい態様としては、鎖状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートモノマー(n−ブチルアクリレート等)に由来の構造単位、及び環状脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートモノマー(イソボルニルアクリレート等)に由来の構造単位、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー(2−ヒドロキシエチルアクリレート等)、ベンゾフェノン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー(4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン等)に由来の構造単位を有する態様が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂は、架橋構造を有していてもよい。架橋構造の形成方法は特に制限されず、架橋剤を使用する方法、多官能(メタ)アクリレートモノマーを使用する方法などが挙げられる。
−−架橋剤−−
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤が使用できる。イソシアネート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤の種類は、特に限定されず公知のものから適宜選択できる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、及びトリフェニルメタントリイソシアネート、並びにこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、及びこれらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体が挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤の中でも、粘着剤層の柔軟性の観点から、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルが好ましい。
イソシアネート系架橋剤又はエポキシ系架橋剤の使用量は特に制限されないが、後述の粘着剤層形成用塗布液中の全固形分に対して、0質量%〜3質量%が好ましく、粘着剤層の柔軟性と粘着性の両立の観点から、0.01質量%〜2質量%がより好ましく、0.1質量%〜1質量%がさらに好ましい。
これらの架橋剤は1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも可能であり、架橋剤の総量として上記の量に含まれていることが好ましい。
−−多官能(メタ)アクリレートモノマー−−
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
2官能の(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基を2つ含有するモノマーであればよく、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステルが挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基を3つ以上含有するモノマーであればよく、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記の多官能(メタ)アクリレートモノマーの中でも、粘着剤層の柔軟性の観点から、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートモノマーの使用量は特に制限されないが、後述の粘着剤層形成用塗布液中の全固形分に対して、0質量%〜5質量%が好ましく、粘着剤層の柔軟性と粘着性の両立の観点から0.01質量%〜2質量%がより好ましく、0.02質量%〜1質量%がさらに好ましく、0.05質量%〜0.5質量%が特に好ましい。
これらの多官能(メタ)アクリレートモノマーは単独で使用しても、2種類以上を併用することも可能であり、多官能(メタ)アクリレートモノマーの総量として上記の量に含まれていることが好ましい。
−他の成分−
粘着剤層に含まれ得る前述の特定紫外線吸収剤及び(メタ)アクリル樹脂以外の他の成分としては、疎水性化合物、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などが挙げられる。
粘着剤層に(メタ)アクリル樹脂と疎水性化合物とが含まれる場合、粘着剤層全質量に対する、(メタ)アクリル樹脂の含有量は特に制限されず、5質量%〜80質量%が好ましく、10質量%〜75質量%がより好ましく、15質量%〜60質量%がさらに好ましく、20質量%〜45質量%が特に好ましい。
疎水性化合物としては、例えば、粘着付与剤やゴム成分が好ましく挙げられる。
粘着付与剤としては、極性基を含有しない石油系樹脂、テルペン系樹脂、スチレン系樹脂が挙げられる。
ゴム成分(柔軟化剤)としては、天然ゴム、ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンなどが挙げられる。
粘着剤層の厚みとしては、10μm〜100μmが好ましく、15μm〜50μmがより好ましく、20μm〜40μmがさらに好ましい。
粘着剤層の厚みが10μm以上であると、繊維状導電粒子及び支持体の劣化をより抑制することができる。一方、粘着剤層の厚みが100μm以下であると、コスト及び施工性の点で有利である。
〜粘着剤層の形成〜
粘着剤層の形成方法は、特に制限はない。その他の好ましい実施態様において、粘着剤層を支持体の一方の面上に形成する方法としては、特定紫外線吸収剤を含む粘着剤層形成用塗布液を調製して、塗布液を支持体の一方の面上に塗布して塗膜を形成することが好ましい。
上記の塗布液を支持体の一方の面上に塗布する方法には特に制限はなく、一般的な塗布方法で行うことができ、目的に応じて適宜選択することができる。例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法が挙げられる。
支持体に上記の塗布液を塗布した後、例えば、塗布膜を加熱乾燥することで粘着剤層を形成することができる。
[導電粒子含有層]
本発明の熱線反射材料は、繊維状導電粒子を含み、支持体の一方の面上(粘着剤層とは反対側の面上)に配置された導電粒子含有層を有する。
導電粒子含有層が繊維状導電粒子を含むことで、熱線反射材料は断熱性を示す。
(繊維状導電粒子)
繊維状導電粒子は、繊維状の導電性を有する粒子である。
ここで、「繊維状」には、ワイヤ状もしくは線状、又は棒状の形状の粒子が含まれる。また、「導電性を有する粒子」とは、繊維状粒子を錠剤成型機で成形することや繊維状粒子を液体に分散後乾固することにより厚さ0.01mm以上のペレットを作製した場合の、ペレットの一端面と他端面との間の抵抗値が10Ω以下になる粒子のことを指す。抵抗値は、2点式のテスター(MR−4060、MONOTARO製)にて測定される値である。
繊維状導電粒子としては、例えば、金属ナノワイヤ及び棒状金属粒子等の繊維状金属粒子、カーボンナノチューブ、繊維状導電性樹脂を挙げることができる。繊維状導電粒子としては、金属ナノワイヤが好ましい。
「金属ナノワイヤ」とは、導電性を有し、かつ、長軸長が直径(短軸長)に比べて長く、短軸長(すなわち長手方向と直交する断面の長さ)がナノオーダーサイズの形状を持つ金属粒子をいう。中実繊維であっても、中空繊維であってもよい。
導電粒子含有層は、平均短軸長150nm以下の繊維状導電粒子を含有することが好ましい。平均短軸長が150nm以下であると、断熱性が向上し、光散乱等による光学特性の悪化が生じにくくなるため好ましい。繊維状導電粒子は、中実構造であることが好ましい。
より透明な導電粒子含有層を形成しやすいという観点からは、例えば、繊維状導電粒子は、平均短軸長が1nm〜150nmのものが好ましい。
製造時の扱い易さから、繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)は、100nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましく、特に25nm以下であることがヘイズに関して一段と優れるものが得られるので好ましい。平均短軸長を1nm以上とすることにより、耐酸化性が良好で、耐候性に優れる導電粒子含有層が容易に得られる。平均短軸長は5nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましく、15nm以上であることが特に好ましい。
繊維状導電粒子の平均短軸長は、ヘイズ値、耐酸化性、及び耐候性の観点から、1nm〜100nmであることが好ましく、5nm〜60nmであることがより好ましく、10nm〜60nmであることが更に好ましく、15nm〜50nmであることが特に好ましい。
繊維状導電粒子の平均長軸長は、反射したい遠赤外線の反射帯域と同じ程度であることが、その反射したい遠赤外線の反射帯域を反射しやすい観点から好ましい。繊維状導電粒子の平均長軸長は、5μm〜50μmであることが波長5μm〜50μmの遠赤外線を反射しやすい観点から好ましく、10μm〜40μmがより好ましく、15μm〜40μmが更に好ましい。繊維状導電粒子の平均長軸長が50μm以下であると、繊維状導電粒子を凝集物が生じることなく合成することが容易となり、平均長軸長が5μm以上であると、十分な断熱性を得ることが容易となる。
繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)と光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができる。
具体的には、繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JEM−2000FX)を用い、ランダムに選択した300個の繊維状導電粒子について、各々短軸長と長軸長を測定し、その平均値から繊維状導電粒子の平均短軸長と平均長軸長を求めることができる。
なお、繊維状導電粒子の短軸方向断面が円形でない場合の短軸長は、短軸方向の測定で最も長い箇所の長さを短軸長とする。また、繊維状導電粒子が曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長とする。
繊維状導電粒子は、断熱性、及び断熱性の低下の抑制の観点から、平均短軸長が150nm以下であり、平均長軸長が5μm〜50μmであることが好ましい。
導電粒子含有層における全繊維状導電粒子の含有量に対する、平均短軸長(直径)が150nm以下であり、かつ平均長軸長が5μm以上50μm以下である繊維状導電粒子の含有量が、金属量で50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることが更に好ましい。
平均短軸長(直径)が150nm以下であり、平均長軸長が5μm以上50μm以下である繊維状導電粒子の割合が、50質量%以上であることで、十分な伝導性が得られるとともに、電圧集中が生じにくくなり、電圧集中に起因する耐久性の低下を抑制し得るため好ましい。繊維状導電粒子以外の繊維状でない導電性粒子が導電粒子含有層に実質的に含まれない構成では、プラズモン吸収が強い場合にも透明度の低下を避け得る。
導電粒子含有層に用いられる繊維状導電粒子の平均短軸長(直径)の変動係数は、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
変動係数が40%以下であると、波長5μm〜25μmの遠赤外線を反射しやすい繊維状導電粒子の比率が増えて、透明性と断熱性の観点で好ましい。
繊維状導電粒子の平均短軸長(直径)の変動係数は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個のナノワイヤの平均短軸長(直径)を計測し、その標準偏差と算術平均値を算出し、標準偏差を算術平均値で除することにより、求めることができる。
繊維状導電粒子のアスペクト比は、10以上であることが好ましい。ここで、アスペクト比とは、平均短軸長に対する平均長軸長の比(平均長軸長/平均短軸長)を意味する。前述の方法により算出した平均長軸長と平均短軸長から、アスペクト比を算出することができる。
繊維状導電粒子のアスペクト比は、10以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜100,000が好ましく、50〜100,000がさらに好ましく、100〜100,000がより好ましい。
アスペクト比が10以上であると、繊維状導電粒子同士が接触したネットワークが容易に形成され、高い断熱性を有する導電粒子含有層が容易に得られる。また、アスペクト比が100,000以下であると、例えば支持体上に導電粒子含有層を塗布により設ける際の塗布液において、繊維状導電粒子同士が絡まって凝集物を形成することが抑制され、安定な塗布液が得られるので、導電粒子含有層の形成が容易となる。
導電粒子含有層に含まれる全繊維状導電粒子の質量に対するアスペクト比が10以上の繊維状導電粒子の含有量は特に制限されない。例えば、70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
繊維状導電粒子の形状としては、例えば円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状であり得るが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面が5角形以上の多角形であって鋭角的な角が存在しない断面形状であるものが好ましい。
繊維状導電粒子の断面形状は、支持体上に繊維状導電粒子の水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより検知することができる。
繊維状導電粒子が繊維状金属粒子である場合、繊維状金属粒子を形成する金属は特に制限がなく、いかなる金属であってもよい。1種の金属以外にも2種以上の金属を組み合わせて用いてもよく、合金を用いることも可能である。これらの中でも、金属単体又は金属化合物から形成されるものが好ましく、金属単体から形成されるものがより好ましい。
金属としては、周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2〜14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、これらの金属を主成分として含むことが特に好ましい。
金属としては、具体的には銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、及び、これらのうちいずれかを含む合金などが挙げられる。これらの中でも、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム又はこれらの合金が好ましく、パラジウム、銅、銀、金、白金、錫、又は、これらのうちいずれかを含む合金がより好ましく、銀又は銀を含有する合金が特に好ましい。ここで銀を含有する合金における銀の含有量は合金の全量に対して50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。
導電粒子含有層に含まれる繊維状導電粒子は、高い断熱性を実現する観点から、繊維状金属粒子であることが好ましく、金属ナノワイヤであることがより好ましく、繊維状銀粒子(以下、銀ナノワイヤともいう)であることがさらに好ましい。
銀ナノワイヤとしては、平均短軸長が1nm〜150nmであって、平均長軸長が1μm〜100μmの銀ナノワイヤが好ましく、平均短軸長が5nm〜30nmであって、平均長軸長が5μm〜30μmの銀ナノワイヤが更に好ましい。導電粒子含有層に含まれる全繊維状導電粒子の質量に対する銀ナノワイヤの含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に制限されない。例えば、導電粒子含有層に含まれる全繊維状導電粒子の質量に対する銀ナノワイヤの含有量は50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、全繊維状導電粒子が実質的に銀ナノワイヤであることが更に好ましい。ここで「実質的に」とは、不可避的に混入する銀以外の金属原子を許容することを意味する。
導電粒子含有層に含まれる繊維状導電粒子の含有量は、繊維状導電粒子の種類等に応じて、導電粒子含有層の抵抗率、全光透過率及びヘイズ値が所望の範囲となるような量とされることが好ましい。
導電粒子含有層に対する繊維状導電粒子の量は、1質量%〜35質量%であることが好ましく、3質量%〜30質量%であることがより好ましく、5質量%〜25質量%であることが特に好ましい。
−繊維状導電粒子の製造方法−
繊維状導電粒子は、特に制限はなく、いかなる方法で作製されたものであってもよい。繊維状導電粒子として金属ナノワイヤを用いる場合、以下のように、ハロゲン化合物と分散剤を溶解した溶媒中で金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。また、繊維状導電粒子を形成した後は、常法により脱塩処理を行うことが、分散性、導電粒子含有層の経時安定性の観点から好ましい。
繊維状導電粒子の製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報などに記載の方法を用いることができる。
繊維状導電粒子の製造に用いられる溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、例えば、水、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。
加熱する場合、その加熱温度は、250℃以下が好ましく、20℃以上200℃以下がより好ましく、30℃以上180℃以下が更に好ましく、40℃以上170℃以下が特に好ましい。上記温度を20℃以上とすることで、形成される繊維状導電粒子の長さが分散安定性を確保しうる好ましい範囲となり、且つ、250℃以下とすることで、繊維状導電粒子の断面外周が鋭角を有しない、なめらかな形状となるため、金属粒子の表面プラズモン吸収による着色が抑えられ、透明性の観点から好適である。
なお、必要に応じて、粒子形成過程で温度を変更してもよく、途中での温度変更は核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果があることがある。
加熱処理は、還元剤を添加して行うことが好ましい。
還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グルタチオンなどが挙げられる。これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
還元剤によっては、機能として分散剤や溶媒としても機能する化合物があり、同様に好ましく用いることができる。
繊維状導電粒子の製造は分散剤と、ハロゲン化合物又はハロゲン化金属微粒子を添加して行うことが好ましい。
分散剤とハロゲン化合物の添加のタイミングは、還元剤の添加前でも添加後でもよく、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加前でも添加後でもよいが、単分散性のよりよい繊維状導電粒子を得るためには、核形成と成長を制御できるためか、ハロゲン化合物の添加を2段階以上に分けることが好ましい。
分散剤を添加する段階は特に制限されない。繊維状導電粒子を調製する前に添加し、分散剤存在下で繊維状導電粒子を添加してもよいし、繊維状導電粒子調製後に分散状態の制御のために添加しても構わない。
分散剤としては、例えば、アミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、多糖類由来の天然高分子、合成高分子、又はこれらに由来するゲル等の高分子化合物類が挙げられる。これらのうち分散剤として用いられる各種高分子化合物類は、後述するポリマーに包含される化合物である。
分散剤として好適に用いられるポリマーとしては、例えば、保護コロイド性のあるポリマーであるゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン構造を含む共重合体、アミノ基やチオール基を有するポリアクリル酸等の親水性基を有するポリマーが好ましく挙げられる。
分散剤として用いるポリマーはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)が、3000以上300000以下であることが好ましく、5000以上100000以下であることがより好ましい。
分散剤として使用可能な化合物の構造については、例えば「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
使用する分散剤の種類によって得られる繊維状導電粒子の形状を変化させることができる。
ハロゲン化合物は、臭素、塩素、ヨウ素を含有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム等のアルカリハライドや下記の分散添加剤と併用できる化合物が好ましい。
ハロゲン化合物は、分散添加剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を併用してもよい。
また、分散剤の機能とハロゲン化合物の機能との双方を有する単一の物質を用いてもよい。即ち、分散剤としての機能を有するハロゲン化合物を用いることで、1つの化合物で、分散剤とハロゲン化合物の双方の機能を発現する。
分散剤の機能を有するハロゲン化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド(HTAB)、アミノ基と塩化物イオンを含むヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド(HTAC)、アミノ基と臭化物イオン又は塩化物イオンを含む、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
繊維状導電粒子として金属ナノワイヤを用いる場合、金属ナノワイヤの製造方法においては、金属ナノワイヤ形成後に脱塩処理を行うことが好ましい。金属ナノワイヤ形成後の脱塩処理は、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
繊維状導電粒子が金属ナノワイヤである場合、金属ナノワイヤは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオン等の無機イオンをなるべく含まないことが好ましい。繊維状導電粒子を水性溶媒に分散させた水性分散物とした場合、水性分散物の電気伝導度は1mS/cm以下が好ましく、0.1mS/cm以下がより好ましく、0.05mS/cm以下が更に好ましい。
繊維状導電粒子の水性分散物の25℃における粘度は、0.5mPa・s〜100mPa・sが好ましく、1mPa・s〜50mPa・sがより好ましい。
電気伝導度及び粘度は、水性分散物における繊維状導電粒子の濃度を0.45質量%として測定される。水性分散物における繊維状導電粒子の濃度が上記濃度より高い場合には、水性分散物を蒸留水にて希釈して測定する。
導電粒子含有層における繊維状導電粒子の含有量は、0.010g/m〜0.300g/mであることが好ましく、0.020g/m〜0.200g/mであることがより好ましく、0.020g/m〜0.100g/mであることがさらに好ましい。
繊維状導電粒子の含有量が0.010g/m以上であることで、断熱性をより向上させることができる。一方、繊維状導電粒子の含有量が0.300g/m以下であることで、熱線反射材料の導電性を低く抑えることができ、さらに熱線反射材料のヘイズを低くすることができる。
(マトリックス)
導電粒子含有層は、マトリックスを含んでもよい。ここで「マトリックス」は、繊維状導電粒子を分散させた状態で固定化し、かつ、層を形成する樹脂成分の総称である。マトリックスを含むことにより、導電粒子含有層における繊維状導電粒子の分散が安定に維持される上、支持体表面に導電粒子含有層を、直接形成した場合においても支持体と導電粒子含有層との強固な接着が確保される傾向がある。
マトリックスとしては、例えば、ゾルゲル硬化物、非感光性樹脂が挙げられる。
−ゾルゲル硬化物−
導電粒子含有層は、マトリックスとしての機能も有するゾルゲル硬化物を含んでもよく、ゾルゲル硬化物を含む場合、ケイ素、チタン、ジルコニウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる元素(b)を含むアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物を含むことが好ましい。
導電粒子含有層は、繊維状導電粒子として金属元素(a)を含みかつ平均短軸長が150nm以下である金属ナノワイヤ、並びに、ケイ素、チタン、ジルコニウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる元素(b)を含むアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物を少なくとも含むことがより好ましい。
導電粒子含有層は、下記条件(i)又は(ii)の少なくとも一つを満たすことが好ましく、下記条件(ii)を少なくとも満たすことがより好ましく、下記条件(i)及び(ii)を満たすことが特に好ましい。
(i)導電粒子含有層に含まれる元素(b)の物質量と、導電粒子含有層に含まれる金属元素(a)の物質量との比〔(元素(b)のモル数)/(金属元素(a)のモル数)〕が0.10/1〜22/1の範囲にある。
(ii)導電粒子含有層においてゾルゲル硬化物の形成に使用されるアルコキシド化合物の質量と、導電粒子含有層に含まれる金属ナノワイヤの質量の比〔(アルコキシド化合物の含有量)/(金属ナノワイヤの含有量)〕が0.25/1〜30/1の範囲にある。
導電粒子含有層は、前述の金属ナノワイヤの使用量に対するアルコキシド化合物の使用量の比率、即ち、〔(アルコキシド化合物の質量)/(金属ナノワイヤの質量)〕の比を0.25/1〜30/1の範囲として形成されることが好ましい。上記質量比が0.25/1以上である場合、断熱性(繊維状導電粒子の導電性が高いことに起因すると考えられる)と透明性が優れ、かつ、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性及び耐屈曲性の全てが優れた導電粒子含有層となり得る。上記質量比が30/1以下である場合、導電性及び耐屈曲性が優れた導電粒子含有層となり得る。
上記質量比は、より好ましくは0.5/1〜25/1の範囲、更に好ましくは1/1〜20/1、最も好ましくは2/1〜15/1の範囲である。質量比を好ましい範囲とすることで、得られた導電粒子含有層は、高い断熱性と高い透明性(可視光透過率及びヘイズ)とを有し、かつ、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れ、しかも耐屈曲性に優れることになり、好適な物性を有する熱線反射材料を安定的に得ることができる。
最適な態様として、導電粒子含有層において、元素(b)の物質量と、金属元素(a)の物質量との比〔(元素(b)のモル数)/(金属元素(a)のモル数)〕が0.10/1〜22/1の範囲にある態様が挙げられる。モル比は、より好ましくは0.20/1〜18/1、特に好ましくは0.45/1〜15/1、より特に好ましくは0.90/1〜11/1の範囲であり、さらにより特に好ましくは1.5/1〜10/1の範囲である。
モル比が上記範囲にあると、導電粒子含有層は、断熱性と透明性とが両立し、且つ、物性の観点からは、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性に優れ、且つ、耐屈曲性にも優れたものとなり得る。
導電粒子含有層の形成時に用いられ得るアルコキシド化合物は、加水分解及び重縮合により消尽され、導電粒子含有層中にはアルコキシド化合物は実質的に存在しないが、得られた導電粒子含有層には、アルコキシド化合物由来のケイ素等である元素(b)が含まれる。含有するケイ素等の元素(b)と金属ナノワイヤ由来の金属元素(a)との物質量比を上記範囲に調整することで、優れた特性を有する導電粒子含有層が形成される。
導電粒子含有層におけるアルコキシド化合物由来のケイ素、チタン、ジルコニア及びアルミニウムからなる群より選ばれる元素(b)成分、及び、金属ナノワイヤ由来の金属元素(a)成分は以下の方法で解析可能である。
即ち、導電粒子含有層をX線光電子分析(Electron Spectroscopy FOR Chemical Analysis(ESCA)に付することで、物質量比、すなわち、(元素(b)成分モル数)/(金属元素(a)成分モル数)の値を算出しうる。しかし、ESCAによる分析方法では元素によって測定感度が異なるために、得られた値は必ずしも直ちに元素成分のモル比を示すものではない。このため、予め元素成分のモル比が既知の導電粒子含有層を用いて検量線を作成し、その検量線から実際の導電粒子含有層の物質量比を計算することが可能となる。本明細書における、各元素のモル比は、上記方法に算出した値を用いる。
熱線反射材料は、高い断熱性と高い透明性を有し、かつ、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れ、かつ耐屈曲性に優れ得るという効果を奏することが好ましい。これらの効果は、導電粒子含有層が金属ナノワイヤを含み、かつアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物であるマトリックスを含んでいることにより発現すると考えられる。すなわち、マトリックスとして一般的な有機高分子樹脂(例えば、(メタ)アクリル樹脂、ビニル重合系樹脂など)を含む導電粒子含有層の場合に比べて、導電粒子含有層に含まれるマトリックスの割合が少ない範囲であっても、空隙が少なく、且つ、架橋密度の高い緻密な導電粒子含有層が形成されるため、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れる熱線反射材料が得られる。そして、「アルコキシド化合物由来の元素(b)/金属ナノワイヤ由来の金属元素(a)」の含有モル比が0.10/1〜22/1の範囲とされること、及び、0.10/1〜22/1の範囲とされていることと関連して、「アルコキシド化合物/金属ナノワイヤ」の質量比が0.25/1〜30/1の範囲とされていることのいずれかを満たすことで、上記の作用がバランスよく高まり、断熱性と透明性が維持されつつ、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れると同時に、耐屈曲性にも優れるという効果がもたらされるものと推定している。
−非感光性樹脂−
非感光性樹脂には、ポリマーが含まれる。ポリマーの具体例には、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル))、ポリアクリレート、及びポリアクリロニトリルなどのポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、及びポリカーボネート)、フェノール又はクレゾール−ホルムアルデヒド(Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、及びポリフェニルエーテルなどの高芳香性を有する高分子、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及び環状オレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース、シリコーン及びその他のシリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサン及びポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、及びフッ化炭素系重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、又はポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロ−オレフィンの共重合体、及び炭化水素オレフィン(例えば、旭硝子(株)製のLUMIFLON(登録商標))、及び非晶質フルオロカーボン重合体又は共重合体(例えば、旭硝子(株)製のCYTOP(登録商標)又はデュポン社製のTeflon(登録商標)AF)が挙げられるがそれだけに限定されない。
(その他の添加剤)
導電粒子含有層は、必要に応じて、分散剤、溶媒、金属酸化防止剤、他の導電性材料などの添加剤を含んでもよい。
−分散剤−
分散剤は、後述の導電粒子含有層形成用の組成物中における前述の繊維状導電粒子が凝集することを防止しつつ分散させるために用いられる。分散剤としては、繊維状導電粒子を分散させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、顔料分散剤として市販されている分散剤を利用でき、特に繊維状導電粒子に吸着する性質を持つ高分子分散剤が好ましい。このような高分子分散剤としては、例えばポリビニルピロリドン、BYK(登録商標)シリーズ(ビックケミー社製)、ソルスパース(登録商標)シリーズ(日本ルーブリゾール(株)製など)、アジスパー(登録商標)シリーズ(味の素(株)製)などが挙げられる。
導電粒子含有層中における分散剤の含有量は、導電粒子含有層の全固形分100質量部に対し、0.1質量部〜50質量部となる量が好ましく、0.5質量部〜40質量部となる量がより好ましく、1質量部〜30質量部となる量が特に好ましい。
導電粒子含有層の全固形分に対する分散剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、繊維状導電粒子の凝集が効果的に抑制され、50質量部以下とすることで、塗布工程において安定な液膜が形成され、塗布ムラの発生が抑制されるため好ましい。
−溶媒−
溶媒は、前述の繊維状導電粒子を含む組成物を支持体の表面に膜状に形成するための組成物(塗布液)とするために使用される成分であり、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネートが挙げられる。この溶媒は、前述の繊維状導電粒子の分散液の溶媒の少なくとも一部が兼ねていてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような溶媒を含む塗布液の固形分濃度は、0.1質量%〜20質量%の範囲であることが好ましい。
−金属腐食防止剤−
導電粒子含有層は繊維状導電粒子の金属腐食防止剤を含有することが好ましい。このような金属腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばチオール類、アゾール類が好適である。
金属腐食防止剤を含有させることで、防錆効果を発揮させることができ、導電粒子含有層の経時による断熱性及び透明性の低下を抑制することができる。金属腐食防止剤は導電粒子含有層形成用の組成物中に、適した溶媒で溶解した状態、又は粉末で添加することで付与することができる。
金属腐食防止剤を添加する場合、導電粒子含有層中におけるその含有量は、繊維状導電粒子の含有量に対して0.5質量%〜10質量%であることが好ましい。
その他マトリックスとしては、前述の繊維状導電粒子の製造の際に使用された分散剤としての高分子化合物を、マトリックスを構成する成分の少なくとも一部として使用することが可能である。
−他の導電性材料−
導電粒子含有層には、繊維状導電粒子に加え、他の導電性材料、例えば、繊維状でない導電性微粒子などを本発明の効果を損なわない限りにおいて併用しうる。効果の観点からは、繊維状導電粒子(好ましくは、アスペクト比が10以上の金属ナノワイヤ)の含有比率は、繊維状導電粒子を含む導電性材料の総量に対して体積基準で、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、75%以上が特に好ましい。繊維状導電粒子の含有比率を50%とすることにより、繊維状導電粒子同士の密なネットワークが形成され、高い導電性を有する導電粒子含有層を容易に得ることができる。
また、繊維状導電粒子以外の形状の導電性粒子は、導電粒子含有層における導電性に大きく寄与しない上に可視光領域に吸収を持つ場合がある。特に導電性粒子が金属であって、球形などのプラズモン吸収が強い形状ではないことが、導電粒子含有層の透明度が悪化しないようにする観点から好ましい。
ここで、繊維状導電粒子の比率は、下記のように求めることができる。例えば、繊維状導電粒子が銀ナノワイヤである場合には、銀ナノワイヤ水分散液をろ過して、銀ナノワイヤと、それ以外の導電性粒子とを分離し、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量とを各々測定し、繊維状導電粒子の比率を算出することができる。繊維状導電粒子のアスペクト比は、ろ紙に残っている繊維状導電粒子などの繊維状導電粒子をTEMで観察し、300個の繊維状導電粒子の短軸長及び長軸長をそれぞれ測定することにより算出される。
繊維状導電粒子の平均短軸長及び平均長軸長の測定方法は既述の通りである。
〜導電粒子含有層の物性等〜
(平均厚み)
導電粒子含有層の平均厚みは、通常、0.005μm〜2μmの範囲で選択される。例えば、平均厚みを0.001μm〜0.5μmとすることで、十分な耐久性、膜強度が得られる。特に、平均厚みを0.01μm〜0.1μmの範囲とすれば、製造上の許容範囲が確保され得るので好ましい。
本発明は、上記の条件(i)又は(ii)の少なくとも一つを満たす導電粒子含有層とすることで、断熱性と透明性とを高く維持しうるとともに、ゾルゲル硬化物に起因して、繊維状導電粒子が安定に固定化されるとともに、高い強度と耐久性とを実現し得ることが好ましい。例えば、導電粒子含有層の厚みを0.005μm〜0.5μmという薄層としても、実用上問題のない耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性及び耐屈曲性を有する導電粒子含有層を得ることができる。このため、熱線反射材料は種々の用途に好適に使用される。薄層を必要とする態様では、厚みは、0.005μm〜0.5μmとしてもよく、0.007μm〜0.3μmがより好ましく、0.008μm〜0.2μmがさらに好ましく、0.01μm〜0.1μmが特に好ましい。このように導電粒子含有層をより薄層とすることで、導電粒子含有層の透明性がさらに向上し得る。
導電粒子含有層の平均厚みは、電子顕微鏡による導電粒子含有層断面の直接観察により、導電粒子含有層の厚みを5点測定し、その算術平均値として算出される。なお、導電粒子含有層の厚みは例えば、触針式表面形状測定器(Dektak(登録商標)150、Bruker AXS製)を用いて、導電粒子含有層を形成した部分と導電粒子含有層を除去した部分の段差として測定することもできる。しかし、導電粒子含有層を除去する際に支持体の一部まで除去してしまう恐れがあること、また、形成される導電粒子含有層が薄膜なため誤差が生じやすい。そのため、後述の実施例においては電子顕微鏡を用いて測定される平均厚みを記載している。
(表面抵抗)
導電粒子含有層の表面抵抗は、1000Ω/square以上であることが好ましい。導電粒子含有層の表面抵抗が1000Ω/square以上である場合、熱線反射材料に電波透過性を付与することができる。
導電粒子含有層の表面抵抗としては、1500Ω/square以上がより好ましく、2000Ω/square以上が更に好ましく、3000Ω/square以上が特に好ましい。
表面抵抗は、非接触抵抗計(EC−80、ナプソン社製)にて測定される値である。
〜導電粒子含有層の形成〜
導電粒子含有層の形成方法は、特に制限はない。導電粒子含有層の層形成時において、繊維状導電粒子の量を、全固形分量に比較して少なくして層を形成する方法が好ましい。その他の好ましい実施態様において、導電粒子含有層を支持体上に形成する方法としては、前述の繊維状導電粒子を含む分散液及び前述のマトリックスを含む溶液をそれぞれ調製し、さらに両者を混合した導電粒子含有層形成用組成物を調製して、導電粒子含有層形成用組成物を支持体上に塗布して塗膜を形成することが好ましい。
上記の導電粒子含有層形成用組成物を支持体上に塗布する方法には特に制限はなく、一般的な塗布方法で行うことができ、目的に応じて適宜選択することができる。例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法が挙げられる。
−有機溶剤−
上記の導電粒子含有層形成用組成物は、必要に応じて、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤を含有することにより支持体上に、より均一な液膜を形成することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。
導電粒子含有層形成用組成物が有機溶剤を含む場合、有機溶剤は組成物の全質量に対して50質量%以下の範囲が好ましく、更に30質量%以下の範囲がより好ましい。
[支持体]
熱線反射材料は、ポリエステルを含む支持体を有する。
ポリエステルを含む支持体としては、光学的に透明な支持体が好ましく、例えば、可視光線透過率が70%以上のもの(好ましくは80%以上のもの)、近赤外線域の透過率が高いものなどが挙げられる。
ポリエステルを含む支持体の形状、構造、大きさについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、大きさとしては、熱線反射材料の大きさなどに応じて適宜選択することができる。
支持体に含まれるポリエステルとしては、例えば、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルが挙げられる。線状飽和ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。中でも、力学的物性やコストのバランスの点で、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
支持体は、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリエステル以外の樹脂を含んでもよい。ポリエステル以外の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1等のポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、セルロースアセテート等のセルロース樹脂が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に制限はなく、熱線反射材料の使用目的に応じて適宜選択することができ、通常は10μm〜500μm程度であるが薄膜化の観点からは、より薄い方が好ましい。支持体の厚みは10μm〜100μmであることが好ましく、20μm〜75μmであることがより好ましく、35μm〜75μmであることが特に好ましい。支持体の厚みが十分に厚いと、接着故障が起き難くなる傾向にある。また、支持体の厚みが十分に薄いと、熱線反射材料として建材や自動車等の窓ガラス等に貼り合わせる際、材料としての剛性が高過ぎず、施工し易くなる傾向にある。更に、支持体が十分に薄いことにより、可視光透過率が増加し、原材料費を抑制できる傾向にある。
[その他の層]
本発明の熱線反射材料は、上述の導電粒子含有層、及び粘着剤層以外にも、保護層、中間層などを有していてもよい。
−保護層−
熱線反射材料は、支持体上の導電粒子含有層の上に、更に金属アルコキシドに由来する金属酸化物を含む保護層を有していてもよい。保護層を有することで、耐傷性に優れる。また、熱線反射材料は、支持体と保護層との間に位置する導電粒子含有層として既述の導電粒子含有層が配されることで、ゾルゲル法で保護層を形成することに起因した導電粒子含有層の耐候性の劣化がより抑制された構造になる。
保護層が「金属アルコキシドに由来する金属酸化物を含む」とは、ゾルゲル法によって金属アルコキシドを含む溶液を用いて形成された保護層であることを意味する。
ゾルゲル法では、溶液から出発し、加水分解、縮重合等の化学反応を経てゲル(ゼリー状の固体)を形成し、熱処理をすることによって内部に残された溶媒を取り除くことで、層形成することができる。
金属アルコキシド(以下、アルコキシド化合物ともいう。)は、M(OR)で表される化合物である。ここで、Mは、金属元素を表し、Rは、アルキル基を表し、nは、金属元素Mの酸化数を表す。Mで表される金属元素としては、例えば、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)等が挙げられる。
金属アルコキシドの好ましい例として、Si、Ti、Zr及びAlからなる群より選ばれる金属元素のアルコキシド化合物が挙げられる。M=Siである場合のアルコキシド化合物は、Si(OR)で表される(モノ,ジ,トリ,テトラ−)アルコキシシランである。また、他の金属元素Mを有するアルコキシド化合物の例としては、Al(O−i−C、Ba(OC、Mg(OC、NaOC、Sn(O−i−C、Zn(OC、Zr(O−i−C、Zr(O−t−C等を挙げることができる。
また、アルコキシシランには、エポキシ基を有するエポキシ基含有アルコキシシラン等も含まれる。保護層は、エポキシ基含有アルコキシシランと、エポキシ基を有しないエポキシ基非含有アルコキシシランと、の双方を含んでもよい。
保護層は、ゾルゲル法を利用してアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合することにより形成される層であり、例えば、Si、Ti、Zr及びAlからなる群より選ばれる金属元素のアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合することにより形成されてもよい。
ゾルゲル法を利用した保護層の形成は、後述する方法により行ってもよい。
まず、一種又は二種以上の金属アルコキシド(例えばアルコキシシラン)を、酸成分を含む酸性水溶液に添加し、金属アルコキシドを十分に加水分解させた水性組成物を調製する。この水性組成物では、金属アルコキシドが加水分解して金属水酸化物が生成され、金属水酸化物を含む水性組成物が得られる。また、水性組成物は、必要に応じて、金属錯体、透明粒子、界面活性剤等の添加剤が添加される。この水性組成物を用い、被塗物の表面に水性組成物を塗布することで塗布膜を形成し、形成された塗布膜を乾燥させる。塗布膜の乾燥過程において、塗布膜中の金属水酸化物が反応し、金属酸化物が生成する。
このようにして、被塗物の表面に、金属アルコキシドに由来する金属酸化物を含む乾燥塗膜である保護層が形成される。上記のように、保護層は、金属アルコキシドと酸成分とに由来する金属水酸化物を経由した金属酸化物を含有したものとすることができる。
以下、水性組成物を調製に用いる成分について、さらに詳述する。
−−エポキシ基含有アルコキシシラン、エポキシ基非含有アルコキシシラン−−
保護層の形成に用いられる水性組成物は、エポキシ基含有アルコキシシラン及びエポキシ基非含有アルコキシシランから選ばれるアルコキシド化合物を含んでもよい。保護層の硬度、耐光性の観点から、エポキシ基含有アルコキシシラン及びエポキシ基非含有アルコキシシランの双方を含むことが好ましい。
アルコキシド化合物は、水溶性又は水分散性の素材を用いることが好ましい。水溶性又は水分散性の素材を用いることは、VOC(volatile organic compounds)による環境汚染を低減する観点からも好ましい。
エポキシ基含有アルコキシシラン及びエポキシ基非含有アルコキシシランは、各々、加水分解性基を有する。加水分解性基が酸性水溶液中で加水分解されることによりシラノールが生成され、シラノール同士が縮合することによって、オリゴマーが生成される。水性組成物中においては、エポキシ基含有アルコキシシランとエポキシ基非含有アルコキシシランの一部は加水分解されてもよい。
エポキシ基含有アルコキシシラン及びエポキシ基非含有アルコキシシランからなる全アルコキシシランに対して、エポキシ基含有アルコキシシランが占める割合としては、20質量%〜100質量%が好ましい。エポキシ基含有アルコキシシランが占める割合は、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。また、エポキシ基含有アルコキシシランが占める割合は、100質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。全アルコキシシランに対してエポキシ基含有アルコキシシランが占める割合を上記範囲内とすることにより、水性組成物の安定性を高めることができ、更にアルカリ耐性の強い保護層を形成することができる。
エポキシ基含有アルコキシシランは、エポキシ基を有するアルコキシシランである。エポキシ基含有アルコキシシランとしては、1分子中に1つ以上エポキシ基を有するものであればよく、エポキシ基の数は特に限定されない。エポキシ基含有アルコキシシランは、エポキシ基の他に、さらに、アルキル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、エステル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基などの基を有していてもよい。
エポキシ基含有アルコキシシランとしては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。市販品としては、KBE−403(信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
エポキシ基非含有アルコキシシランは、エポキシ基を有さないアルコキシシランである。エポキシ基非含有アルコキシシランは、エポキシ基を有さないアルコキシシランであればよく、アルキル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、エステル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基などの基を有していてもよい。
エポキシ基非含有アルコキシシランは、例えば、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、及びこれらの混合物が挙げられ、テトラアルコキシシランであることが好ましい。テトラアルコキシシランを有することにより、保護層を形成した際に良好な硬度を得ることができる。
テトラアルコキシシランは、4官能のアルコキシシランであり、各アルコキシ基の炭素数が1〜4のものがより好ましい。4官能のアルコキシシランの例としては、テトラメトキシシラン〔Si(OCH〕、テトラエトキシシラン〔Si(OC〕、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシラン、メトキシトリエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、メトキシトリプロポキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、プロポキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等の4官能のアルコキシシラン(以下、「エポキシ基非含有アルコキシシラン」ということがある。)などを挙げることができる。中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランは好適に用いられる。炭素数を4以下とすることにより、酸性水と混ぜた場合のテトラアルコキシシランの加水分解速度が遅くなりすぎることがなく、均一な水溶液にするまでの溶解に要する時間がより短くなる。これにより、保護層を製造する際の製造効率を高めることができる。市販品としては、KBE−04(信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
トリアルコキシシランは、3官能のアルコキシシランであり、下記一般式(1)で表されるアルコキシシランである。
RSi(OR ・・・(1)
式中、Rは、アミノ基を含まない炭素数が1〜15の有機基を表し、Rは、炭素数4以下のアルキル基を表す。
一般式(1)で表される3官能のアルコキシシランは、アミノ基を官能基として含まない。つまり、この3官能のアルコキシシランは、アミノ基を持たない有機基Rを有している。Rがアミノ基を有する場合は、4官能のアルコキシシランと混合して加水分解すると、生成するシラノール同士で脱水縮合が促進されてしまう。このため、水性組成物を調製した場合に不安定となりやすい。
一般式(1)のRは、炭素数が1〜15の範囲であるような分子鎖長をもつ有機基であればよく、例えば、ビニル基、メタクリロキシプロピル、メタクリロキシプロピルメチル基、アクリロキシプロピル基、メルカプトプロピル基、メルカプトプロピルメチル基などを挙げることができる。炭素数を15以下とすることにより、保護層を形成した際の柔軟性が過度に大きくならず、良好な硬度を得ることができる。Rの炭素数を上記範囲内とすることにより、脆性がより改善された保護層を得ることができる。また、導電粒子含有層との間の密着性を高めることができる。
また、Rで表される炭素数4以下のアルキル基としては、メチル、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。
さらに、Rで表される有機基は、酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を有してもよい。有機基がヘテロ原子を有することにより、保護層(又は保護層と導電粒子含有層との間に他の層を有する場合は他の層)と導電粒子含有層との間の密着性がより向上する。
トリアルコキシシランとしては、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランを挙げることができる。中でも、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランは特に好ましく用いられる。市販品としては、KBE−13(信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
−−金属錯体(硬化剤)−−
水性組成物は、金属錯体(硬化剤)を含んでもよい。金属錯体としては、Al、Mg、Mn、Ti、Cu、Co、Zn、Hf及びZrより選ばれる金属を有する金属錯体が好ましく、これらの金属錯体を併用することもできる。
金属錯体は、金属アルコキシドにキレート化剤を反応させることにより容易に得ることができる。キレート化剤の例としては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのβ−ジケトン;アセト酢酸エチル、ベンゾイル酢酸エチルなどのβ−ケト酸エステルなどが挙げられ、中でもアルミニウムキレートが好ましい。
金属錯体の好ましい具体的な例としては、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等のアルミニウムキレート化合物、エチルアセトアセテートマグネシウムモノイソプロピレート、マグネシウムビス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートマグネシウムモノイソプロピレート、マグネシウムビス(アセチルアセトネート)等のマグネシウムキレート化合物、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)、マンガンアセチルアセトナート、コバルトアセチルアセトナート、銅アセチルアセトナート、チタンアセチルアセトナート、チタンオキシアセチルアセトナートが挙げられる。これらのうち、好ましくは、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、マグネシウムビス(アセチルアセトネート)、マグネシウムビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトナートであり、保存安定性、入手容易さを考慮すると、アルミニウムキレート錯体であるアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネートが特に好ましい。市販品としては、アルミキレートA(W)、アルミキレートD、アルミキレートM(川研ファインケミカル(株)製)などが挙げられる。
金属錯体の占める割合は、アルコキシシランの総量に対して、20質量%〜70質量%が好ましく、30質量%〜60質量%がより好ましく、40質量%〜50質量%がさらに好ましい。
本発明では、金属錯体の割合が20質量%以上であると、シラノールの脱水縮合の反応速度を適切な速度とすることができ、膜厚が均一でアルカリ耐性の高い保護層を得ることができる。
−−透明粒子−−
水性組成物は、透明粒子を含んでもよい。透明粒子を含むことで、保護層の硬度や滑り性を向上させることができる。「透明」とは、入射した光が通過する光量の割合が80%以上である性質を指す。
透明粒子としては、ポリマー粒子及び金属酸化物粒子等が挙げられる。ポリマー粒子の具体例としては、アクリル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、エチレン・アクリル酸共重合物、ポリウレタン、ナイロンなどの粒子が挙げられる。
金属酸化物粒子の具体例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタンからなる粒子が挙げられ、アルコキシシランとの架橋の観点から、シリカ粒子が好ましい。
シリカ粒子としては、四塩化ケイ素の燃焼によって製造される粉末状のシリカ、及び二酸化ケイ素もしくはその水和物が水に分散したコロイダルシリカを用いることができる。粉末状のシリカを用いる場合は、超音波分散機等を用いて水に分散させることで、水性組成物に添加することができる。コロイダルシリカとしては、特に限定されないが、例えば、シーホスターKE−P10などのシーホスターシリーズ((株)日本触媒製)、スノーテックス(登録商標)OZL−35などのスノーテックス(登録商標)シリーズ(日産化学工業(株)製)などが挙げられる。
なお、コロイダルシリカは、水性組成物中に添加される時点でのpHが2〜7の範囲に調整されていることがより好ましい。pHが2〜7であると、2よりも小さいあるいは7よりも大きい場合に比べて、アルコキシシランの加水分解物であるシラノールの安定性がより良好で、シラノールの脱水縮合反応が速く進行することによる塗布液の粘度上昇を抑制することができる。
水性組成物中の全固形分に対して透明粒子が占める割合は、30体積%以上であることが好ましく、35体積%以上であることがより好ましく、40体積%以上であることがより好ましい。また、透明粒子が占める割合は、60体積%以下であることが好ましく、55体積%以下であることがより好ましく、50体積%以下であることがさらに好ましい。
なお、無機粒子は2種以上を併用してもよく、その場合は使用した全種類の合計量が上記範囲内となる。無機粒子が占める割合を上記範囲内とすることにより、水性組成物中における無機粒子の分散性を高めることができる。
−−その他の添加剤−-
水性組成物には、保護層の平滑性を向上させて塗膜表面の摩擦を軽減する目的で界面活性剤を添加してもよい。また、顔料や染料、その他微粒子等を分散させることによって保護層を着色してもよい。さらに、耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤や酸化防止剤等を添加してもよい。
水性組成物にpH調整剤を添加し、pHを所望の範囲となるように調節することが好ましい。pH調整剤としては酸(有機酸、無機酸)が好ましい。酸(有機酸、無機酸)としては、例えば硝酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、塩酸などが挙げられる。pH調整剤は、直接添加しても、水溶液などの溶液として添加してもよい。pH調整剤は、pHが所望の範囲を満たす限り、使用する量は特に限定されない。
本発明では、水性組成物のpHが2〜6となるように調整されることが好ましい。pH調整剤としては硝酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、塩酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
水性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファック(登録商標)F171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロン(登録商標)S−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、パイオニンD−6512、D−6414、D−6112、D−6115、D−6120、D−6131、D−6108−W、D−6112−W、D−6115−W、D−6115−X、D−6120−X(竹本油脂(株)製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、ナロアクティー(登録商標)CL−95、HN−100(三洋化成工業(株)製)等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)、サンデッド(登録商標)BL(三洋化成工業(株)製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤として具体的には、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越化学工業(株)製の「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、水性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
〜保護層の形成〜
保護層は、水性組成物を調製し、前述の導電粒子含有層の表面に塗布することにより形成してもよい。保護層形成用の水性組成物の調製手順は特に限定されない。
保護層形成用の水性組成物の塗布は公知の方法で行うことができる。例えば、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコータ等を用いる塗布方法が挙げられる。
−中間層−
熱線反射材料は、支持体と導電粒子含有層との間に中間層を有していてもよい。支持体と導電粒子含有層との間に中間層を設けることにより、支持体と導電粒子含有層との密着性、導電粒子含有層の全光透過率、導電粒子含有層のヘイズ、および導電粒子含有層の膜強度のうちの少なくとも一つを向上させることができる。
中間層としては、支持体と導電粒子含有層との接着力を向上させるための接着剤層、導電粒子含有層に含まれる成分との相互作用により機能性を向上させる機能性層などが挙げられ、目的に応じて適宜設けられる。
[熱線反射材料の層構成]
本発明の熱線反射材料は、少なくとも前述の支持体と前述の導電粒子含有層と前述の粘着剤層とを有するものであれば、形態は特に制限されない。熱線反射材料は、透明性及び生産性の観点から、フィルムである態様が好ましい。すなわち、本発明の熱線反射材料は、熱線反射フィルムであることが好ましい。
本発明の熱線反射材料の層構成としては、図1に一例を示すように、導電粒子含有層1と、支持体2と、粘着剤層3と、がこの順で積層されている構成の熱線反射材料10が挙げられる。
本発明の熱線反射材料の他の層構成としては、図2に一例を示すように、導電粒子含有層1と、中間層(第2の接着層5と第1の接着層4)と、支持体2と、粘着剤層3と、がこの順で積層されている構成の熱線反射材料10が挙げられる。熱線反射材料が中間層を有する場合、中間層は、支持体2との親和性に優れた第1の接着層4と、導電粒子含有層1との親和性に優れた第2の接着層5とを含む態様が好ましい。図2以外の構成の中間層を有していてもよく、例えば、支持体2と導電粒子含有層1との間に、図2の実施形態と同様の第1の接着層4および第2の接着層5に加え、導電粒子含有層1に隣接して機能性層を備えて構成される中間層を有していてもよい(不図示)。
[熱線反射材料の製造方法]
熱線反射材料は、前述の支持体の一方の面上に、前述の導電粒子含有層及び前述の粘着剤層を形成することで製造することができる。導電粒子含有層及び粘着剤層の形成方法は既述の通りである。
また、熱線反射材料が保護層を有する場合、導電粒子含有層の面上に形成されてもよい。
熱線反射材料は、ロール状に製造されてもよく、シート状に製造されてもよい。導電粒子含有層を形成した後、ロール状に巻き取られてもよく、シート状にカットされてもよい。
<窓>
本発明の窓は、透明基材と、前述の熱線反射材料と、を備える。熱線反射材料は、断熱の効率の観点から、家屋又は車両等の窓における室内側に配置されることが好ましい。
透明基材に前述の熱線反射材料が貼り付けられた際、導電粒子含有層は、室内側の最上層であることが好ましい。熱線反射材料が導電粒子含有層の室内側に上にさらに層を有し、その層が最上層である場合は、最上層の厚み(最上層が複数の層が積層されて形成される場合は、合計の厚みが)が5μm以下であるが断熱性を高める観点から好ましく、4μm以下にあることがより好ましく、3μm以下であることがさらに好ましい。
[透明基材]
透明基材は、厚み0.5mm以上であることが好ましく、厚み1mm以上であることがより好ましく、透明基材の厚みに起因する熱伝導を抑制して温暖性を高める観点からは厚み2mm以上の透明基材であることが特に好ましい。
透明基材は一般的には、板状のものが使用される。
透明基材としては、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス;ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属;セラミック、半導体基板に使用されるシリコンウエハーなどが挙げられる。中でも、透明基材が、ガラス又は樹脂であることが好ましく、ガラスであることがより好ましい。ガラスの成分は、特に制限されるものではなく、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラスが好適である。
なお、透明基材は、表面が平滑であることが好ましく、フロートガラスであることが特に好ましい。
可視光透過率を求める際に、本発明の熱線反射材料を3mmの青板ガラスに貼り合わせて測定することが好ましい。3mmの青板ガラスについてはJIS A5759:2008に記載されているガラスを使用することが好ましい。
熱線反射材料のJIS A5759:2008に準拠した可視光透過率は、70%以上であることが好ましい。
透明基材に熱線反射材料を貼り付ける際、あらかじめ透明基材表面と粘着剤層表面に界面活性剤(主にアニオン系)を含んだ水溶液を噴霧してから、熱線反射材料の粘着剤層側と透明基材とを対向させて設置することが好ましい。
水分が蒸発するまでの間、粘着剤層の粘着力は低く、透明基材表面では本発明の熱線反射材料の位置の調整が可能である。透明基材に対する熱線反射材料の貼り付け位置が定まった後、スキージー等を用いて透明基材と熱線反射材料の間に残る水分をガラス中央から端部に向けて掃き出すことにより、透明基材表面に熱線反射材料を固定できる。このようにして、透明基材に熱線反射材料を貼り付けることが可能である。
〜窓の構成〜
本発明の窓の構成としては、図3に一例を示すように、透明基材6と、粘着剤層3と、支持体2と、導電粒子含有層1と、がこの順に積層されている構成の窓20が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(実施例1)
<銀ナノワイヤ水分散液の調製>
予め、下記の添加液A、GおよびHを調製した。
(添加液A)
硝酸銀粉末0.51gを純水50mL(ミリリットル)に溶解した。その後、1N(1mol/L)のアンモニア水を透明になるまで添加した。そして、全量が100mLになるように純水を添加し添加液Aを調製した。
(添加液G)
グルコース粉末0.5gを140mLの純水で溶解して、添加液Gを調製した。
(添加液H)
HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)粉末0.5gを27.5mLの純水で溶解して、添加液Hを調製した。
次に、以下のようにして、銀ナノワイヤを含む水分散液を調製した。
純水410mLを三口フラスコ内に入れ、20℃にて攪拌しながら、添加液H 82.5mL及び添加液G 206mLをロートにて添加した。この液に、添加液A 206mLを流量2.0mL/分、攪拌回転数800rpmで添加した。その10分間後、添加液Hを82.5mL添加した。その後、3℃/分で内温73℃まで昇温した。その後、攪拌回転数を200rpmに落とし、4時間加熱した。得られた水分散液を冷却した。
ここで、限外濾過モジュールSIP1013(商品名、旭化成(株)製、分画分子量:6,000)、マグネットポンプ、及びステンレスカップをシリコーン製のチューブで接続し、限外濾過装置を用意した。
上述の冷却後の水分散液を限外濾過装置のステンレスカップに入れ、ポンプを駆動させて限外濾過を行った。限外濾過モジュールからの濾液が50mLになった時点で、ステンレスカップに950mLの蒸留水を加え、濾過物の洗浄を行った。前述の洗浄を電気伝導度(東亜ディーケーケー(株)製のCM−25Rで測定)が50μS/cm以下になるまで繰り返した後、濃縮し、0.84質量%の銀ナノワイヤを含有する水分散液とした。
得られた水分散液に含まれる銀ナノワイヤについて、下記の方法で平均短軸長、平均長軸長、及び短軸長の変動係数を測定した。
その結果、平均短軸長17.1nm、平均長軸長25.1μm、変動係数が17.9%の銀ナノワイヤを得たことがわかった。以後、「銀ナノワイヤ水分散液」と表記する場合は、上記方法で得られた銀ナノワイヤの水分散液を示す。
<金属ナノワイヤの平均短軸長及び平均長軸長の測定方法>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子(株)製、商品名:JEM−2000FX)を用いて金属ナノワイヤのTEM像を撮影した。TEM像においてランダムに選択した300個の金属ナノワイヤの短軸長(直径)と長軸長を測定し、その算術平均値から金属ナノワイヤの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長を求めた。
<金属ナノワイヤの短軸長の変動係数の測定方法>
上記透過型電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個の銀ナノワイヤの短軸長(直径)を測定し、300個の銀ナノワイヤの短軸長について標準偏差と算術平均値を算出し、標準偏差を算術平均値で除することにより求めた。
<ゾルゲル溶液の調製>
下記組成のアルコキシド化合物の溶液を60℃で1時間撹拌して均一になったことを確認した。調製した溶液をゾルゲル溶液とした。
(ゾルゲル溶液)
・テトラエトキシシラン・・・5.0部
(商品名:KBE−04、信越化学工業(株)製)
・1質量%酢酸水溶液・・・10.0部
・蒸留水・・・4.0部
<熱線反射材料の作製>
−導電粒子含有層の形成−
得られたゾルゲル溶液8.1部と、銀ナノワイヤ水分散液を32.7部と、を混合することにより、銀ナノワイヤ塗布液を調製した。
支持体(ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、東洋紡(株)製のA4300)の表面にコロナ放電処理を施し、コロナ処理を施した表面にバーコート法で銀ナノワイヤの量が0.040g/m、全固形分塗布量が0.280g/mとなるように上記塗布液を塗布した。その後、175℃で1分間乾燥した後、ゾルゲル反応させて、導電粒子含有層を形成した。導電粒子含有層における銀ナノワイヤ/テトラエトキシシランの質量比は1/2であった。
−粘着剤層の形成−
紫外線架橋性部位を有するアクリル酸エステルを含むモノマーのアクリル共重合体を合成した。具体的には、BA(n−ブチルアクリレート)/IBXA(イソボルニルアクリレート)/HEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート)/AEBP(4−アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン)=50.0/25.0/25.0/0.20(質量比)となるように調製し、モノマー濃度が40質量%となるようにメチルエチルケトン(MEK)で希釈した。重合開始剤として、V−65(和光純薬工業(株)製)をモノマー成分に対して0.4質量%となるように加え、さらに、紫外線吸収剤として、TINUVIN PS(BASF社製、ベンゾトリアゾール系化合物)を1.0質量%添加し、10分間窒素パージした。続いて、50℃の恒温槽で24時間反応させたところ、透明な粘稠溶液(重合溶液)が得られた。
次に、この重合溶液を、50μmの厚みの剥離フィルム(シリコーンコートPET)上にナイフコーターのギャップを30μmに調整して塗布し、100℃のオーブンで3分間乾燥させた。乾燥後の粘着剤層の平均厚みは24μmであった。続いて、この粘着剤層上に、38μmの厚みの剥離フィルム(シリコーンコートPET)をラミネートし、2枚の剥離フィルム(シリコーンコートPET)で挟まれた粘着剤層を備える粘着フィルムを得た。
以下の方法で、支持体上に粘着剤層を貼り合わせた。上記で得られた粘着フィルムの一方の剥離フィルム(シリコーンコートPET)を剥がし、導電粒子含有層が形成された支持体の支持体側の表面に貼り合わせることで、支持体上に、粘着剤層を形成し、熱線反射材料を作製した。
(実施例2〜実施例15、及び比較例1〜比較例11)
実施例1において用いた紫外線吸収剤を、下記表1に示す種類及び配合量に変更した以外は同様にして各実施例及び比較例の熱線反射材料を作製した。
<評価>
上記で得られた各実施例及び比較例の熱線反射材料について、以下の評価を行った。評価結果は表1に示す。
(1−1)断熱性(熱貫流率)
各実施例及び比較例の熱線反射材料についてJIS A 5759:2008に準拠して熱貫流率(W/m・K)を算出し、下記の基準に従い断熱性を評価した。なお、熱貫流率は、赤外分光機(ブルカー・オプティクス社製、IFS66v/S)を用いて熱線反射材料の波長5μm〜25μmの反射率を測定し算出した。また、熱貫流率は数値が低いほど断熱性に優れる。
−評価基準−
5:熱貫流率が4.5W/m・K未満である。
4:熱貫流率が4.5W/m・K以上5.0W/m・K未満である。
3:熱貫流率が5.0W/m・K以上5.5W/m・K未満である。
2:熱貫流率が5.5W/m・K以上5.8W/m・K未満である。
1:熱貫流率が5.8W/m・K以上である。
(1−2)色味
各実施例及び比較例の熱線反射材料について、紫外可視近赤外分光機(日本分光(株)製、V−670、積分球ユニットISN−723)を用いてb値を測定し、下記の基準に従い色味を評価した。なお、b値は、数値が大きいほど、熱線反射材料が黄色く着色し、その色が濃いこと示す。
−評価基準−
5:b値が1.0未満である。
4:b値が1.0以上2.0未満である。
3:b値が2.0以上4.0未満である。
2:b値が4.0以上6.0未満である。
1:b値が6.0以上である。
(2)促進耐候性試験
各実施例及び比較例の熱線反射材料について、JIS A 5759:2008に準拠して、JIS B 7753に規定するサンシャインカーボンアーク灯式の耐候性試験機を用いて促進耐候性試験を行った。促進耐候性試験後の各実施例及び比較例について、断熱性及び色味の評価を行った。
(2−1)断熱性(熱貫流率)変化
促進耐候性試験後の各実施例及び比較例の熱線反射材料について、上記断熱性の評価において行った測定と同様の測定を行い、熱貫流率(W/m・K)を算出した。その後、促進耐候性試験前の熱貫流率の値から促進耐候性試験後の熱貫流率の値を減算することで熱貫流率の差を求め、下記の評価基準に従い断熱性変化を評価した。なお、断熱性変化は、熱貫流率の差の数値が低いほど断熱性の低下が少ないことを表す。
−評価基準−
5:熱貫流率の差が0.05W/m・K未満である。
4:熱貫流率の差が0.05W/m・K以上0.1W/m・K未満である。
3:熱貫流率の差が0.1W/m・K以上0.2W/m・K未満である。
2:熱貫流率の差が0.2W/m・K以上0.4W/m・K未満である。
1:熱貫流率の差が0.4W/m・K以上である。
(2−2)色味変化
促進耐候性試験後の各実施例及び比較例の熱線反射材料について、上記色味の評価において行った方法と同様の方法でb値を測定した。その後、促進耐候性試験前のb値から促進耐候性試験後のb値を減算することでb値の差を求め、下記の評価基準に従い色味変化を評価した。なお、色味変化は、b値の差の数値が低いほど変色が少ないことを表す。
−評価基準−
5:b値の差が0.5未満である。
4:b値の差が0.5以上1.0未満である。
3:b値の差が1.0以上2.0未満である。
2:b値の差が2.0以上4.0未満である。
1:b値の差が4.0以上である。
表1中の成分の詳細は以下の通りである。
TINUVIN PS : BASF社製、下記構造の化合物
TINUVIN99−2 : BASF社製、下記構造の化合物
TINUVIN928 : BASF社製、下記構造の化合物
TINUVIN405 : BASF社製、下記構造の化合物
TINUVIN460 : BASF社製、下記構造の化合物
TINUVIN477 : BASF社製、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物/1−メトキシ−2−プロピルアセタート=80/20(質量比)の混合物
TINUVIN Carboprotect : BASF社製、ベンゾトリアゾール系化合物
ベンゾフェノン :アルドリッチ社製、下記構造の化合物
CIBA CHIMASSORB 81 : BASF社製、下記構造の化合物
Uvinul A Plus Granular : BASF社製、下記構造の化合物
<熱線反射材料を備えた窓の作製>
実施例1〜実施例15の各熱線反射材料を用いて、上記の方法で形成した粘着剤層から剥離フィルム(シリコーンコートPET)を剥がし、施工液であるリアルパーフェクト(リンテック(株)製)の0.5質量%希釈液を粘着剤層と透明基材(ソーダ石灰珪酸塩である青板ガラス厚み:3mm)とに吹き付けた。その後、粘着剤層と青板ガラスとを貼り合わせて、図3に示した構成の窓を作製した。得られた窓を各実施例の窓とした。
なお、青板ガラスはイソプロピルアルコールで汚れを拭き取って自然乾燥したものを使用し、貼り合わせ時、25℃、相対湿度65%の環境下で、ゴムローラーを用いて0.5kg/cmの面圧で圧着した。
これらの窓は、実施例1〜実施例15の熱線反射材料を用いているため、紫外線(特に、波長300nm及び350nmの光)による断熱性の低下及び変色が抑制される。
1・・・導電粒子含有層
2・・・支持体
3・・・粘着剤層
4・・・第1の接着層
5・・・第2の接着層
6・・・透明基材
10・・・熱線反射材料
20・・・窓

Claims (12)

  1. ポリエステルを含む支持体と、
    繊維状導電粒子を含み、前記支持体の一方の面上に配置された導電粒子含有層と、
    0.001質量%の濃度の溶液を調製して光路長1cmのセルに収容した状態で透過率測定を行った場合の波長300nm及び350nmにおける光の透過率がいずれも70%未満である紫外線吸収剤を含み、前記支持体の他方の面上に配置された粘着剤層と、
    を有する熱線反射材料。
  2. 前記紫外線吸収剤が、トリアジン系化合物及びベンゾトリアゾール系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の熱線反射材料。
  3. 前記ベンゾトリアゾール系化合物は、2位の窒素原子がアルキルフェニル基で置換されたベンゾトリアゾール系化合物である請求項2に記載の熱線反射材料。
  4. 前記トリアジン系化合物は、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物である請求項2に記載の熱線反射材料。
  5. 前記紫外線吸収剤は、前記透過率測定を行った場合の波長300nm及び350nmにおける光の透過率が、いずれも60%未満である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
  6. 前記紫外線吸収剤は、前記透過率測定を行った場合の波長390nmにおける光の透過率が90%以上である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
  7. 前記紫外線吸収剤の含有量が、前記粘着剤層の全質量に対して0.05質量%〜6質量%である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
  8. 前記繊維状導電粒子は、平均短軸長が150nm以下であり、平均長軸長が5μm〜50μmである請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
  9. 前記繊維状導電粒子が繊維状金属粒子である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
  10. 前記繊維状金属粒子が繊維状銀粒子である請求項9に記載の熱線反射材料。
  11. 前記粘着剤層の厚みが、10μm〜100μmである請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の熱線反射材料。
  12. 透明基材と、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の熱線反射材料と、を備えた窓。
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