しかしながら、蒸発器の冷媒液を再生器に流入させる場合は、再生器から吸収器へ吸収溶液を搬送する管に高濃度の吸収溶液が残ってしまう。また、蒸発器の冷媒液を再生器から吸収器へ吸収溶液を搬送する管内に流入させる場合も、蒸発器内の冷媒液の量が再生器から吸収器へ吸収溶液を搬送する管内に保有される吸収溶液の量に比べて少ないので、再生器から吸収器へ吸収溶液を搬送する管内の吸収溶液を十分に希釈することができない場合があった。
本発明は上述の課題に鑑み、吸収溶液の希釈運転が完了する前に溶液ポンプを運転することができなくなった場合でも吸収溶液が結晶することを安定的に回避することができる吸収ヒートポンプを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、吸収溶液Saが冷媒蒸気Veを吸収して濃度が低下した希溶液Swとなる際に発生する吸収熱で被加熱媒体Wqを加熱する吸収器10と;希溶液Swを導入し加熱して、希溶液Swから冷媒Vgを蒸発させて濃度が上昇した濃溶液Saを生成する再生器30と;希溶液Swを吸収器10から再生器30に導く希溶液ライン16と;濃溶液Saを再生器30から吸収器10に導く濃溶液ライン35であって、濃溶液Saを圧送する溶液ポンプ35pを有する濃溶液ライン35と;希溶液ライン16内の希溶液Swを濃溶液ライン35内に導く希釈管58A(58B)であって、希溶液ライン16側から濃溶液ライン35側への希溶液Swの流れを許し、濃溶液ライン35側から希溶液ライン16側への溶液ポンプ35pで圧送された濃溶液Saの流れを遮断する逆流防止手段59A(59B)を有する希釈管58A(58B)とを備える。
このように構成すると、希溶液ライン内の希溶液を濃溶液ライン内に導く希釈管であって、希溶液ライン側から濃溶液ライン側への希溶液の流れを許し、濃溶液ライン側から希溶液ライン側への溶液ポンプで圧送された濃溶液の流れを遮断する逆流防止手段を有する希釈管を備えるので、吸収溶液の希釈運転が完了する前に溶液ポンプを運転することができなくなった場合でも希溶液を濃溶液に混合させることができて濃溶液を希釈することができ、濃溶液が結晶することを安定的に回避することができる。
また、本発明の第2の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る吸収ヒートポンプ1において、冷媒液Vfを導入し加熱して、導入した冷媒液Vfの一部を蒸発させて吸収器10に供給する冷媒蒸気Veを生成し、導入した冷媒液Vfの残りを下部に貯留する蒸発器20と;蒸発器20の下部に貯留された冷媒液Vfを吸収器10に導く連通管28であって、吸収器10内の吸収溶液Swが蒸発器20に流入しないように構成された連通管28と;連通管28に配設された自動弁29であって、電気の供給が遮断されているときに流路を開放する自動弁29とを備え;自動弁29への電気の供給が遮断されているときには、蒸発器20の下部に貯留された冷媒液Vfが、連通管28及び吸収器10を介して希溶液ライン16に流入するように構成されている。
このように構成すると、自動弁への電気の供給が遮断されているときに、蒸発器の下部に貯留された冷媒液が、連通管及び吸収器を介して希溶液ラインに流入するので、希釈管を介して濃溶液ライン内に流入する希釈用の流体の量を、蒸発器に貯留された冷媒液を直接濃溶液ラインに供給する場合の量に比べて多くすることができて、濃溶液ラインのより広範囲にわたり希釈用の流体を行き渡らせることができる。
また、本発明の第3の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図2に示すように、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る吸収ヒートポンプ1(例えば図1参照)において、溶液ポンプ35pが、羽根車52pを回転させる電動機53mを収容するハウジング53を有し、吐出した流体の一部をハウジング53内に導入してハウジング53内を冷却するように構成され;希釈管58Bが、希溶液ライン16(例えば図1参照)内の希溶液Swをハウジング53内に導くように溶液ポンプ35pに接続されて構成されている。
このように構成すると、比較的流路の断面積が小さく濃溶液が留まりがちな溶液ポンプの冷却系統内の濃溶液を希溶液で確実に希釈することができる。
また、本発明の第4の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図2、図3に示すように、上記本発明の第2の態様に係る吸収ヒートポンプにおいて、溶液ポンプ35pが、羽根車52pを回転させる電動機53mを収容するハウジング53を有し、吐出した流体の一部をハウジング53内に導入してハウジング53内を冷却するように構成され;蒸発器20の下部に貯留された冷媒液Vfをハウジング53内に導く溶液ポンプ希釈管58B’をさらに備える。
このように構成すると、比較的流路の断面積が小さく濃溶液が留まりがちな溶液ポンプの冷却系統内の濃溶液を冷媒液で確実に希釈することができる。
また、本発明の第5の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る吸収ヒートポンプ1において、再生器30で発生した冷媒蒸気Vgを導入し冷却し凝縮させる凝縮器40と;凝縮器40内に存在する不凝縮ガスNgを凝縮器40内から抜き出す抽気流路64、66と;抽気流路64、66を介して抜き出された不凝縮ガスNgを集める抽気タンク62と;再生器30から導出された濃溶液Saを抽気タンク62に導く抽気溶液流路65、66と;抽気タンク62内の吸収溶液Saを再生器30に導く戻り溶液流路67と;希溶液ライン16を流れる希溶液Swを抽気タンク62へ導く希溶液抽気希釈管68とを備え;濃溶液Saを抽気溶液流路65、66を介して抽気タンク62に搬送することにより凝縮器40内から抽気流路64、66を介して抽気タンク62へ不凝縮ガスNgを抜き出すように構成されている。
このように構成すると、濃溶液を抽気タンクに搬送することで不凝縮ガスを抽気する抽気系統内の吸収溶液を希溶液で希釈することができる。
また、本発明の第6の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図3に示すように、上記本発明の第2の態様又は第4の態様に係る吸収ヒートポンプにおいて、再生器30で発生した冷媒蒸気Vgを導入し冷却し凝縮させる凝縮器40と;凝縮器40内に存在する不凝縮ガスNgを凝縮器40内から抜き出す抽気流路64、66と;抽気流路64、66を介して抜き出された不凝縮ガスNgを集める抽気タンク62と;再生器30から導出された濃溶液Saを抽気タンク62に導く抽気溶液流路65、66と;抽気タンク62内の吸収溶液Saを再生器30に導く戻り溶液流路67と;蒸発器20の下部に貯留された冷媒液Vfを抽気タンク62へ導く冷媒液抽気希釈管68Aとを備え;濃溶液Saを抽気溶液流路65、66を介して抽気タンク62に搬送することにより凝縮器40内から抽気流路64、66を介して抽気タンク62へ不凝縮ガスNgを抜き出すように構成されている。
このように構成すると、濃溶液を抽気タンクに搬送することで不凝縮ガスを抽気する抽気系統内の吸収溶液を冷媒液で希釈することができる。
また、本発明の第7の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第6の態様のいずれか1つの態様に係る吸収ヒートポンプ1において、溶液ポンプ35pで吐出された濃溶液Saが流れる方向を順方向として、溶液ポンプ35pの吐出側の濃溶液ライン35に設けられた逆流制限手段35cであって、逆方向に流れる流体の流量を溶液ポンプ35pに損傷を与えない流量に制限する逆流制限手段35cを備える。
このように構成すると、溶液ポンプが停止した際に吸収器と再生器との圧力差及び位置ヘッドにより生ずる濃溶液ライン内の吸収溶液の逆流によって溶液ポンプが損傷することを防ぐことができる。
また、本発明の第8の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図6に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第7の態様のいずれか1つの態様に係る吸収ヒートポンプにおいて、濃溶液ライン35内の濃溶液Saと希溶液ライン16内の希溶液Swとで熱交換させる溶液熱交換器38であって、導入された濃溶液Sa及び希溶液Swが再生器30の下部に貯留される濃溶液Saの停止中の液位よりも高所に位置するように設けられた溶液熱交換器38を備える。
このように構成すると、溶液ポンプが停止した際に吸収器と再生器との圧力差及び位置ヘッドにより濃溶液ライン内の吸収溶液が逆流したときに、濃溶液が溶液熱交換器から導出されるので、溶液熱交換器内で吸収溶液が結晶することを回避することができる。
また、本発明の第9の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図6に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第7の態様のいずれか1つの態様に係る吸収ヒートポンプにおいて、濃溶液ライン35内の濃溶液Saと希溶液ライン16内の希溶液Swとで熱交換させる溶液熱交換器38を備え;希釈管58A’が、溶液熱交換器38よりも上流側の希溶液ライン16と溶液熱交換器38よりも下流側の濃溶液ライン35とを連絡するように接続されている。
このように構成すると、希釈管から濃溶液ラインに合流した希溶液が再生器に向かって流れる際に濃溶液を溶液熱交換器から押し出すこととなり、溶液熱交換器内に濃溶液が滞留することを回避することができる。
本発明によれば、希溶液ライン内の希溶液を濃溶液ライン内に導く希釈管であって、希溶液ライン側から濃溶液ライン側への希溶液の流れを許し、濃溶液ライン側から希溶液ライン側への溶液ポンプで圧送された濃溶液の流れを遮断する逆流防止手段を有する希釈管を備えるので、吸収溶液の希釈運転が完了する前に溶液ポンプを運転することができなくなった場合でも希溶液を濃溶液に混合させることができて濃溶液を希釈することができ、濃溶液が結晶することを安定的に回避することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1を説明する。図1は、吸収ヒートポンプ1の模式的系統図である。吸収ヒートポンプ1は、吸収ヒートポンプサイクルを行う主要構成機器である吸収器10、蒸発器20、再生器30、及び凝縮器40と、希溶液Swを吸収器10から再生器30に導く希溶液ラインとしての希溶液管16と、濃溶液Saを再生器30から吸収器10に導く濃溶液ラインとしての濃溶液管35及び溶液ポンプ35pと、希溶液管16内の希溶液Swを濃溶液管35に導く希釈管としての流路希釈管58A及び溶液ポンプ35pに導く希釈管としてのポンプ希釈管58Bと、制御装置99とを備えている。吸収ヒートポンプ1は、比較的利用価値の低い低温(例えば80℃〜90℃程度)の排温水を熱源媒体として再生器30及び蒸発器20に供給して、利用価値の高い蒸気(例えば、圧力が約0.1MPa(ゲージ圧)を超え、望ましくは0.8MPa(ゲージ圧)程度)を気液分離器80から取り出すことができるものである。
なお、以下の説明においては、吸収溶液に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「希溶液Sw」や「濃溶液Sa」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「吸収溶液S」又は「溶液S」ということとする。同様に、冷媒に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「蒸発器冷媒蒸気Ve」、「再生器冷媒蒸気Vg」、「冷媒液Vf」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「冷媒V」ということとする。本実施の形態では、吸収溶液S(吸収剤と冷媒Vとの混合物)としてLiBr水溶液が用いられており、冷媒Vとして水(H2O)が用いられている。また、被加熱媒体Wは、液体の被加熱媒体Wである被加熱媒体液Wq、気体の被加熱媒体である被加熱媒体蒸気Wv、被加熱媒体液Wqと被加熱媒体蒸気Wvとが混合した混合被加熱媒体Wmの総称である。本実施の形態では、被加熱媒体Wとして水(H2O)が用いられている。
吸収器10は、被加熱媒体Wの流路を構成する加熱管11と、濃溶液Saを散布する濃溶液散布ノズル12を内部に有している。濃溶液散布ノズル12は、散布した濃溶液Saが加熱管11に降りかかるように、加熱管11の上方に配設されている。吸収器10は、濃溶液散布ノズル12から濃溶液Saが散布され、濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する際に吸収熱を発生させる。この吸収熱を、加熱管11を流れる被加熱媒体Wが受熱して、被加熱媒体Wが加熱されるように構成されている。吸収器10の下部には、散布された濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収して濃度が低下した希溶液Swが貯留される貯留部13が形成されている。加熱管11は、希溶液Swに没入しないように、貯留部13よりも上方に配設されている。このようにすると、加熱管11の表面に濡れ広がった濃溶液Saに蒸発器冷媒蒸気Veが吸収されるようになるため、濃溶液Saと蒸発器冷媒蒸気Veとの接触面積を大きくできると共に、発生した吸収熱が加熱管11を流れる被加熱媒体Wに速やかに伝わり、吸収能力の回復を早めることができる。貯留部13には、貯留された希溶液Swの液位を検出する吸収器液位検出器14が配設されている。
蒸発器20は、熱源媒体としての熱源温水hの流路を構成する熱源管21と、冷媒液Vfを散布する冷媒液散布ノズル22を内部に有している。冷媒液散布ノズル22は、散布した冷媒液Vfが熱源管21に降りかかるように、熱源管21の上方に配設されている。冷媒液散布ノズル22は、凝縮器40内の冷媒液Vfを蒸発器20に導く冷媒液管45と接続されている。蒸発器20は、冷媒液散布ノズル22から冷媒液Vfが散布され、散布された冷媒液Vfが熱源管21内を流れる熱源温水hの熱で蒸発して蒸発器冷媒蒸気Veが発生するように構成されている。蒸発器20は、散布された冷媒液Vfのうち蒸発しなかった冷媒液Vfが下部に貯留されるように構成されている。熱源管21は、典型的には、下部に貯留された冷媒液Vfに浸らないように配設されている。蒸発器20の下部には、貯留された冷媒液Vfの液位を検出する蒸発器液位検出器24が配設されている。蒸発器液位検出器24は、冷媒液管45に配設された二方弁45vと信号ケーブルで接続されており、検出した冷媒液Vfの液位に応じて蒸発器20に導入する冷媒液Vfの流量を調節することができるように構成されている。蒸発器20の底部には、貯留されている冷媒液Vfを凝縮器40に戻す冷媒液管25と、冷媒液Vfを吸収器10の貯留部13に導く連通管28が接続されている。冷媒液管25には、冷媒熱交換器48が配設されている。連通管28には、電気が供給されているときに閉となり、電気の供給が遮断されているときに開となる自動弁としての電磁弁29が配設されている。電磁弁29は、いわゆるノーマリオープンの電磁弁である。
吸収器10と蒸発器20とは、相互に連通するように1つの缶胴内に形成されている。吸収器10と蒸発器20とが連通することにより、蒸発器20で発生した蒸発器冷媒蒸気Veを吸収器10に供給することができるように構成されている。吸収器10と蒸発器20とは、典型的には、濃溶液散布ノズル12より上方及び冷媒液散布ノズル22より上方で連通している。また、蒸発器20は、連通管28を介して吸収器10内の吸収溶液Sが蒸発器20内に流入しないように、蒸発器20の底面が吸収器10の貯留部13の液面よりも高くなるように配設されている。換言すれば、連通管28は、吸収器10との接続部よりも蒸発器20との接続部の方が高所に位置するように構成されている。
再生器30は、希溶液Swを加熱する熱源媒体としての熱源温水hを内部に流す熱源管31と、希溶液Swを散布する希溶液散布ノズル32とを有している。再生器30は、散布された希溶液Swから冷媒Vが蒸発して濃度が上昇した濃溶液Saが下部に貯留されるように構成されている。再生器30では、希溶液Swが熱源温水hに加熱されることにより、濃溶液Saと再生器冷媒蒸気Vgとが生成されるように構成されている。再生器30の濃溶液Saが貯留される部分と吸収器10の濃溶液散布ノズル12とは、濃溶液Saを流す濃溶液管35で接続されている。濃溶液管35には、再生器30の濃溶液Saを吸収器10に圧送する溶液ポンプ35pが配設されている。溶液ポンプ35pは、吸収器液位検出器14と信号ケーブルで接続されたインバータ35vを有しており、吸収器液位検出器14が検出する液位に応じて回転速度が調節されて吸収器10に圧送する濃溶液Saの流量を調節することができるように構成されている。希溶液散布ノズル32と吸収器10の貯留部13とは希溶液Swを流す希溶液管16で接続されている。濃溶液管35及び希溶液管16には、濃溶液Saと希溶液Swとの間で熱交換を行わせる溶液熱交換器38が配設されている。
ここで図2を参照して、溶液ポンプ35pの構造について説明する。溶液ポンプ35pは、機外から供給された電力で稼働する遠心式のキャンドモータポンプであり、羽根車52pを収容するケーシング52と、電動機53mを収容するハウジング53とを有している。電動機53mは、ロータ53rと、ロータ53rを囲むように配設されたステータ53sとを有している。ロータ53rと羽根車52pとは軸受け54bに支持された軸54を介して接続されており、ロータ53rの回転により羽根車52pを回転させることができるように構成されている。また、溶液ポンプ35pは、羽根車52pの回転によって吐出された流体(本実施の形態では濃溶液Sa)の一部を、ケーシング52からハウジング53の反ケーシング52側に導く冷却用管55を有している。冷却用管55を流れる流体は、ハウジング53内に流入し、ロータ53rとステータ53sとの間を通ってケーシング52内の羽根車52p部分に到達するように構成されている。このように流体が流れることにより、電動機53m及び軸受け54bを冷却することができるように構成されている。冷却用管55には、ポンプ希釈管58Bが接続されている。
再び図1に戻って吸収ヒートポンプ1の構成の説明を続ける。凝縮器40は、冷却媒体流路を形成する冷却水管41を有している。冷却水管41には、冷却媒体としての冷却水cが流れる。凝縮器40は、再生器30で発生した再生器冷媒蒸気Vgを導入し、これを冷却水cで冷却して凝縮させるように構成されている。冷却水管41は、再生器冷媒蒸気Vgを直接冷却することができるように、再生器冷媒蒸気Vgが凝縮した冷媒液Vfに浸らないように配設されている。凝縮器40には凝縮した冷媒液Vfを蒸発器20に送る冷媒液管45が接続されている。冷媒液管45には、冷媒液Vfを蒸発器20に圧送するための冷媒ポンプ46と、蒸発器20から凝縮器40に向かう冷媒液Vfと凝縮器40から蒸発器20に向かう冷媒液Vfとで熱交換を行わせる冷媒熱交換器48と、蒸発器20への冷媒液Vfの供給を調節する二方弁45vとが、冷媒液Vfの流れる方向にこの順で配設されている。
再生器30と凝縮器40とは、相互に連通するように1つの缶胴内に形成されている。再生器30と凝縮器40とが連通することにより、再生器30で発生した再生器冷媒蒸気Vgを凝縮器40に供給することができるように構成されている。再生器30と凝縮器40とは、典型的には、希溶液散布ノズル32より上方で連通している。また、再生器30の下部と凝縮器40の下部とは、凝縮器40内の冷媒液Vfが所定の液位よりも上昇しようとしたときに冷媒液Vfを再生器30に導くオーバーフロー管44で接続されている。オーバーフロー管44は、凝縮器40側では、凝縮器40の底部を貫通して内部に立ち上げられ、端部が所定の液位に位置するように配設されている。また、再生器30の下部と凝縮器40の下部とは、ノーマリオープンの電磁弁47vが配設された連絡管47で接続されている。連絡管47は、再生器30側ではオーバーフロー管44を介して冷媒液Vfを再生器30に流入させることができるようにオーバーフロー管44に接続され、凝縮器40側ではオーバーフロー管44の立ち上がり高さよりも低い位置に管端が位置するように配設されている。吸収器10と再生器30とは、不凝縮ガス移動管15を介して連通可能に構成されている。不凝縮ガス移動管15は、吸収器10内に生じた不凝縮ガスNgを再生器30に移動させることができるように、吸収器10の気相部と再生器30の気相部とを連通している。不凝縮ガス移動管15には、連通を遮断する遮断弁15vが配設されている。また、吸収器10及び蒸発器20が再生器30及び凝縮器40よりも高所に配設されており、位置ヘッドで吸収器10内の吸収溶液Sを再生器30へ及び蒸発器20内の冷媒液Vfを凝縮器40へそれぞれ搬送可能に構成されている。
流路希釈管58Aは、溶液熱交換器38と希溶液散布ノズル32との間の希溶液管16と、溶液ポンプ35pと溶液熱交換器38との間の濃溶液管35とに接続されており、希溶液管16と濃溶液管35とを連絡している。流路希釈管58Aには、逆流防止手段としてのチェッキ弁59Aが設けられている。チェッキ弁59Aは、メカニカルな構造で流体の逆流を防止するように構成されており、希溶液管16から濃溶液管35への希溶液Swの流れを許し、濃溶液管35から希溶液管16への濃溶液Saの流れを遮断するように配設されている。流路希釈管58Aの接続部分と溶液熱交換器38との間の濃溶液管35には、逆流制限手段としての有孔チェッキ弁35cが設けられている。有孔チェッキ弁35cは、流体の逆流を防ぐための弁体に小孔が形成されており、所定流量の流体の逆流を許す点で一般的なチェッキ弁(逆止弁)と異なっている点以外は一般的なチェッキ弁(逆止弁)と同じ構造になっている。有孔チェッキ弁35cが逆流を許す所定の流量は、流体の逆流によって溶液ポンプ35pの羽根車52p(図2参照)が回転させられることにより溶液ポンプ35pが損傷することを回避することができる範囲内でできるだけ多い流量である。有孔チェッキ弁35cは、吸収器10側から再生器30側への吸収溶液Sが上記の逆流を許す所定の流量となるように配設されている。
ポンプ希釈管58Bは、流路希釈管58Aの接続部分よりも下流側の希溶液管16と、溶液ポンプ35pの冷却用管55(図2参照)とに接続されており、希溶液管16内の希溶液Swを溶液ポンプ35pのハウジング53(図2参照)内に導入することができるように構成されている。ポンプ希釈管58Bには、通電時に閉となり電気の供給が遮断されているときに開となる電磁弁59B(ノーマリオープンの電磁弁)が配設されている。
吸収ヒートポンプ1は、気液分離器80と、抽気系統60とをさらに備えている。気液分離器80は、吸収器10の加熱管11を流れて加熱された被加熱媒体Wを導入し、被加熱媒体蒸気Wvと被加熱媒体液Wqとを分離する機器である。気液分離器80には、内部に貯留する被加熱媒体液Wqの液位を検出する気液分離器液位検出器81が設けられている。気液分離器80の下部と吸収器10の加熱管11の一端とは、被加熱媒体液Wqを加熱管11に導く被加熱媒体液管82で接続されている。被加熱媒体液管82には、被加熱媒体液Wqを加熱管11に向けて圧送する被加熱媒体ポンプ83が配設されている。内部が気相部となる気液分離器80の側面と加熱管11の他端とは、加熱された被加熱媒体Wを気液分離器80に導く加熱後被加熱媒体管84で接続されている。
また、気液分離器80には、蒸気として系外に供給された分の被加熱媒体Wを補うための補給水Wsを系外から導入する補給水管85が接続されている。補給水管85には、気液分離器80に向けて補給水Wsを圧送する補給水ポンプ86と、逆止弁85cと、補給水Wsを温水で予熱する補給水熱交換器87Bと、希溶液Swと熱交換させて補給水Wsをさらに加熱する補給水熱交換器87Aとが、補給水Wsの流れ方向に向かってこの順に配設されている。補給水ポンプ86は、気液分離器液位検出器81と信号ケーブルで接続されており、気液分離器80内の被加熱媒体液Wqの液位に応じて発停が制御されるように構成されている。補給水熱交換器87Aは、補給水Wsと希溶液Swとを熱交換させるように、補給水管85及び溶液熱交換器38よりも上流側の希溶液管16に配設されている。また、気液分離器80には、被加熱媒体蒸気Wvを系外に供給する被加熱媒体蒸気供給管89が上部(典型的には頂部)に接続されている。
気液分離器80は、加熱管11内で被加熱媒体液Wqの一部が蒸発して被加熱媒体液Wqと被加熱媒体蒸気Wvとが混合した混合被加熱媒体Wmを導入してもよく、被加熱媒体液Wqのまま気液分離器80に導いて減圧し一部を気化させて混合被加熱媒体Wmとしたものを気液分離させるようにしてもよい。被加熱媒体液Wqを減圧気化するには、オリフィス等の絞り手段を用いることができる。加熱管11内で被加熱媒体液Wqの一部を蒸発させるか否かは、典型的には、被加熱媒体ポンプ83及び/又は補給水ポンプ86の吐出圧力を調節することにより、加熱管11内の圧力を被加熱媒体液Wqの温度に相当する飽和圧力よりも高くするか否かによって調節することができる。
抽気系統60は、エジェクタ61と抽気タンク62とを有している。エジェクタ61は、駆動源としての濃溶液Saを減圧して加速させるノズル(不図示)と、吸引物としての不凝縮ガスNgを導入する導入口61aとを有している。エジェクタ61の導入口61aには、抽気流路を構成する凝縮器抽気管64が接続されている。凝縮器抽気管64には、流体の流れを遮断する抽気逆流防止弁としての凝縮器抽気遮断弁64vが配設されている。凝縮器抽気遮断弁64vには、典型的にはノーマリオープンの電磁弁が用いられるが、手動の弁や、エジェクタ61側から凝縮器40側への流体の流れを遮断する逆止弁(チェッキ弁)が用いられてもよい。エジェクタ61のノズルの吸い込み側には、溶液ポンプ35pと有孔チェッキ弁35cとの間で濃溶液管35から分岐した抽気溶液流路を構成する駆動溶液供給管65が接続されている。エジェクタ61のノズルの吐出側には、駆動源の濃溶液Saと吸引物の不凝縮ガスNgとの混合流体を抽気タンク62へと導く抽気溶液流路を構成する気液混合管66が接続されている。つまり、抽気溶液流路は、再生器30から駆動溶液供給管65の接続部までの濃溶液管35と、駆動溶液供給管65と、気液混合管66とで構成されている。また、溶液ポンプ35pは、再生器30の濃溶液Saを吸収器10に圧送するポンプであると共に、再生器30の濃溶液Saを抽気タンク62に圧送する抽気溶液ポンプを兼ねている。抽気溶液ポンプとして機能する溶液ポンプ35pは、典型的には、再生器30内の吸収溶液Sを大気圧以上に昇圧できるヘッドを持つように構成されている。
抽気タンク62は、駆動源の濃溶液Saと吸引物の不凝縮ガスNgとを導入し、捕集した不凝縮ガスNgを溜めておくことができるタンクである。抽気タンク62は、天板に気体溜まり62cが形成されており、気体溜まり62cの上部に不凝縮ガスNgを導出する導出弁62vが設けられている。気体溜まり62cにはフロート62fが設けられており、抽気タンク62内の濃溶液Saの液位の上昇と共にフロート62fが上昇することにより、不凝縮ガスNgを機外に排出する排出口を閉塞するように構成されている。抽気タンク62の底部には、気液混合管66が接続されている。気液混合管66は、液トラップを形成するように、下に凸のU字状に配設されている。抽気タンク62の底部にはまた、抽気タンク62内の濃溶液Saを再生器30に戻す戻り溶液流路を構成する戻り溶液管67が接続されている。戻り溶液管67には、濃溶液Saの流れを遮断する戻り溶液遮断弁67v(ノーマリオープンの電磁弁)が配設されている。戻り溶液管67もまた、液トラップを形成するように、抽気タンク62の底部及び再生器30の底部よりも下方へ一旦下がるように配設されている。抽気タンク62の天板には、希溶液抽気希釈管68の一端が接続されている。希溶液抽気希釈管68の他端は、吸収器10近傍の希溶液管16に接続されており、希溶液管16を流れる希溶液Swを抽気タンク62へ流入させることができるように構成されている。希溶液抽気希釈管68には、通電時に閉となり電気の供給が遮断されているときに開となる電磁弁69(ノーマリオープンの電磁弁)が配設されている。
制御装置99は、吸収ヒートポンプ1の運転を制御する機器である。制御装置99は、冷媒ポンプ46及び被加熱媒体ポンプ83とそれぞれ信号ケーブルで接続されており、これらの発停や回転速度の調節を行うことができるように構成されている。これまでの説明では吸収器液位検出器14の出力を直接入力して制御されることとした溶液ポンプ35p、及び気液分離器液位検出器81の出力を直接入力して制御されることとした補給水ポンプ86も、制御装置99を介して(検出器の出力信号を一旦制御装置99に入力して)制御されることとしてもよい。また、制御装置99は、遮断弁15v、電磁弁29、電磁弁47v、電磁弁59B、凝縮器抽気遮断弁64v、戻り溶液遮断弁67v、電磁弁69にそれぞれ信号を送信して弁の開閉動作をさせることができるように構成されている。これまでの説明では蒸発器液位検出器24の出力を直接入力して制御されることとした二方弁45vも、制御装置99を介して(検出器の出力信号を一旦制御装置99に入力して)制御されることとしてもよい。
上述のノーマリオープンの電磁弁29、47v、59B、69、及び凝縮器抽気遮断弁64v、戻り溶液遮断弁67vは、溶液ポンプ35pに電気が供給されなくなると併せて電気の供給が遮断されるように構成されており、典型的には、溶液ポンプ35pに接続される電気ケーブルが接続された分電盤を介して機外から電気の供給を受ける(典型的には、溶液ポンプ35p及び各電磁弁29、47v、59B、69、64v、67v共に商用電源から電力の供給を受ける)ように構成されている。
引き続き図1を参照して、吸収ヒートポンプ1の作用を説明する。吸収ヒートポンプ1の被加熱媒体Wを昇温する運転中は、各電磁弁29、47v、59B、69に電気が供給されており、各電磁弁29、47v、59B、69は閉になっている。まず、冷媒側のサイクルを説明する。凝縮器40では、再生器30で蒸発した再生器冷媒蒸気Vgを受け入れて、冷却水管41を流れる冷却水cで冷却して凝縮し、冷媒液Vfとする。凝縮した冷媒液Vfは、冷媒ポンプ46で蒸発器20の冷媒液散布ノズル22に送られる。このとき、蒸発器20の下部に貯留される冷媒液Vfが所定の液位になるように、蒸発器液位検出器24の検出液位に応じて二方弁45vが制御される。冷媒液散布ノズル22に送られた冷媒液Vfは、熱源管21に向けて散布され、熱源管21内を流れる熱源温水hによって加熱され、蒸発して蒸発器冷媒蒸気Veとなる。蒸発器20で発生した蒸発器冷媒蒸気Veは、蒸発器20と連通する吸収器10へと移動する。凝縮器40内の冷媒液Vfが所定の液位を超える場合は、超える分の冷媒液Vfがオーバーフロー管44を介して再生器30に移動する。これにより、吸収ヒートポンプ1の運転中の吸収溶液Sの濃度が結晶しない濃度に維持される。
次に吸収ヒートポンプ1の溶液側のサイクルを説明する。吸収器10では、濃溶液Saが濃溶液散布ノズル12から散布され、この散布された濃溶液Saが蒸発器20から移動してきた蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する。蒸発器冷媒蒸気Veを吸収した濃溶液Saは、濃度が低下して希溶液Swとなる。吸収器10では、濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する際に吸収熱が発生する。この吸収熱により、加熱管11を流れる被加熱媒体液Wqが加熱される。ここで、被加熱媒体蒸気Wvを取り出すための気液分離器80まわりの作用について説明する。
気液分離器80には、系外から補給水Wsが補給水管85を介して導入される。補給水Wsは、補給水ポンプ86により補給水管85を圧送され、まず補給水熱交換器87Bで温度が上昇した後に、補給水熱交換器87Aで希溶液Swと熱交換してさらに温度が上昇して、気液分離器80に導入される。気液分離器80に導入された補給水Wsは、被加熱媒体液Wqとして気液分離器80の下部に貯留される。気液分離器80の下部に貯留される被加熱媒体液Wqが所定の液位になるように、補給水ポンプ86が制御される。気液分離器80の下部に貯留されている被加熱媒体液Wqは、被加熱媒体ポンプ83で吸収器10の加熱管11に送られる。加熱管11に送られた被加熱媒体液Wqは、吸収器10における上述の吸収熱により加熱される。加熱管11で加熱された被加熱媒体液Wqは、一部が蒸発して被加熱媒体蒸気Wvとなった混合被加熱媒体Wmとして、あるいは温度が上昇した被加熱媒体液Wqとして、気液分離器80に向けて加熱後被加熱媒体管84を流れる。加熱後被加熱媒体管84を、温度が上昇した被加熱媒体液Wqが流れる場合、被加熱媒体液Wqは、気液分離器80に導入される際に減圧され、一部が蒸発して被加熱媒体蒸気Wvとなった混合被加熱媒体Wmとして気液分離器80に導入される。気液分離器80に導入された混合被加熱媒体Wmは、被加熱媒体液Wqと被加熱媒体蒸気Wvとが分離される。分離された被加熱媒体液Wqは、気液分離器80の下部に貯留され、再び吸収器10の加熱管11に送られる。他方、分離された被加熱媒体蒸気Wvは、被加熱媒体蒸気供給管89に導出され、蒸気利用場所に供給される。
再び吸収ヒートポンプ1の溶液側のサイクルの説明に戻る。吸収器10で蒸発器冷媒蒸気Veを吸収した濃溶液Saは、濃度が低下して希溶液Swとなり、貯留部13に貯留される。貯留部13内の希溶液Swは、重力及び吸収器10と再生器30との内圧の差により再生器30に向かって希溶液管16を流れ、補給水熱交換器87Aで補給水Wsと熱交換して温度が低下した後に、溶液熱交換器38で濃溶液Saと熱交換してさらに温度が低下して、再生器30に至る。このとき、溶液ポンプ35pの吐出圧力がチェッキ弁59Aにかかっているので、また、電磁弁59Bが閉になっているので、希溶液Swは流路希釈管58Aを介して及びポンプ希釈管58Bを介して濃溶液管35に流入することなく再生器30に達する。再生器30に送られた希溶液Swは、希溶液散布ノズル32から散布される。希溶液散布ノズル32から散布された希溶液Swは、熱源管31を流れる熱源温水h(本実施の形態では約80℃前後)によって加熱され、散布された希溶液Sw中の冷媒が蒸発して濃溶液Saとなり、再生器30の下部に貯留される。他方、希溶液Swから蒸発した冷媒Vは再生器冷媒蒸気Vgとして凝縮器40へと移動する。再生器30の下部に貯留された濃溶液Saは、溶液ポンプ35pにより、濃溶液管35を介して吸収器10の濃溶液散布ノズル12に圧送される。このとき、流路希釈管58Aにはチェッキ弁59Aが配設されているため流路希釈管58Aを介して濃溶液Saが希溶液管16に流入することがなく、またポンプ希釈管58Bの電磁弁59Bが閉じられているのでポンプ希釈管58Bを介して濃溶液Saが希溶液管16に流入することがない。また、吸収器10の貯留部13に貯留された希溶液Swが所定の液位になるように、吸収器液位検出器14の検出液位に応じてインバータ35vにより溶液ポンプ35pの回転速度(ひいては吐出流量)が調節される。濃溶液管35を流れる濃溶液Saは、溶液熱交換器38で希溶液Swと熱交換して温度が上昇してから吸収器10に流入し、濃溶液散布ノズル12から散布される。以降、同様のサイクルを繰り返す。
上記のような吸収溶液S及び冷媒Vのサイクルを行う吸収ヒートポンプ1は、吸収ヒートポンプサイクルを行う主要構成機器である吸収器10、蒸発器20、再生器30、及び凝縮器40の内部が大気圧以下であるため大気が侵入する場合がある。大気はその中でも低圧となる再生器30及び凝縮器40に侵入しやすい。また、吸収ヒートポンプ1は、缶胴を構成する鋼材が吸収溶液と反応して水素ガスが発生する。水素ガスは吸収ヒートポンプサイクル内で比較的高温となる吸収器10で多く発生する。大気や水素ガスは、吸収ヒートポンプサイクル内及び大気圧下で凝縮しない不凝縮ガスNgである。吸収器10内の不凝縮ガスNgは、制御装置99が遮断弁15vを定期的に開くことによってより低圧の再生器30に移動する。他方、再生器30で発生した再生器冷媒蒸気Vgが凝縮器40に移動することから、全体のガスの流れは再生器30から凝縮器40に向かっているので、再生器30内の不凝縮ガスNgは凝縮器40に収集される傾向にある。不凝縮ガスNgが吸収ヒートポンプ1内に滞留すると能力が低下するため、吸収ヒートポンプ1は、以下に説明するように内部の不凝縮ガスNgを抽気することとしている。
凝縮器40内の不凝縮ガスNgを抽気タンク62に収集する際は、導出弁62vが閉となっており、凝縮器抽気遮断弁64v及び戻り溶液遮断弁67vが開となっている。溶液ポンプ35pの作動により、再生器30内の濃溶液Saは、濃溶液管35を流れて吸収器10に圧送されると共に、一部が分流して駆動溶液供給管65に流入する。駆動溶液供給管65に流入した濃溶液Saは、溶液ポンプ35pの圧力により、エジェクタ61を通過し、気液混合管66を流れて抽気タンク62に流入する。濃溶液Saがエジェクタ61を通過することで、導入口61aに接続された凝縮器抽気管64を介して凝縮器40内の不凝縮ガスNgがエジェクタ61に吸引される。
抽気タンク62に流入した濃溶液Sa及び不凝縮ガスNgは、抽気タンク62内で気液分離される。つまり、濃溶液Saと不凝縮ガスNgとは液体と気体とに分離される。抽気タンク62内で分離された濃溶液Saは、戻り溶液管67を流れて再生器30に戻される。他方、抽気タンク62内で分離された不凝縮ガスNgは、導出弁62vが閉じられており、気液混合管66及び戻り溶液管67が液シール構造になっているため、抽気タンク62内に滞留する。このようにして、不凝縮ガスNgは抽気タンク62内に収集される。なお、吸収ヒートポンプ1の停止中で、濃溶液Saの流れが停止している状態でも、気液混合管66及び戻り溶液管67が液シール構造になっているため、不凝縮ガスNgは抽気タンク62内に保持される。
抽気タンク62に収集された不凝縮ガスNgを抽気タンク62の外に排出する際は、制御装置99は、凝縮器抽気遮断弁64v及び戻り溶液遮断弁67vを閉にする。このとき、導出弁62vは閉じたままである。溶液ポンプ35pも作動している。すると、凝縮器40内の不凝縮ガスNgはエジェクタ61に吸引されないが、濃溶液Saは溶液ポンプ35pにより抽気タンク62に圧送される。これにより、抽気タンク62内の濃溶液Saの液位が上昇していき、抽気タンク62内の不凝縮ガスNgは圧縮される。そして、不凝縮ガスNgの圧力が大気圧以上となったら制御装置99は導出弁62vを開にする。導出弁62vが開になると、不凝縮ガスNgが導出弁62vを介して機外に排出される。このとき、抽気タンク62内の濃溶液Saの液位が上昇するが、濃溶液Saの液面の上昇と共に上昇するフロート62fが導出弁62vと連通する開口を塞ぐので、濃溶液Saが機外に流出することを防ぐことができる。フロート62fが導出弁62vと連通する開口を塞いだ場合は、抽気タンク62からの不凝縮ガスNgの導出も完了する。典型的には、上昇したフロート62fがスイッチ(不図示)を投入して、あるいは電極棒を利用した液面スイッチのような他の液面スイッチ(不図示)が作動して、制御装置99に信号を送信する構成としておくと、抽気タンク62からの不凝縮ガスNgの導出の完了を検出することができるので好ましい。あるいは、例えば制御装置99が導出弁62vを開にしてからの時間を計測し、あらかじめ測定しておいた不凝縮ガスNgの導出が完了するまでの時間に基づいて不凝縮ガスNgの導出の完了を検出してもよい。不凝縮ガスNgの導出が完了したら、制御装置99は、導出弁62vを閉じ、戻り溶液遮断弁67vを開放し、さらに凝縮器抽気遮断弁64vを開けて、凝縮器40内の不凝縮ガスNgの抽気タンク62への収集を再開する。
上述のように作用する吸収ヒートポンプ1は、被加熱媒体Wを昇温する運転中、吸収溶液Sが、昇温された被加熱媒体Wの温度前後の温度で濃度を変化させながら吸収器10と再生器30とを循環して吸収ヒートポンプサイクルを継続させる。そして、吸収ヒートポンプ1の運転を停止する際は、濃度が高い濃溶液Saがそのままの濃度で周囲環境温度(例えば室温)に近づいて吸収溶液Sが結晶してしまい次に起動することができなくなることを回避するために、希釈運転が行われる。吸収ヒートポンプ1の希釈運転は、典型的には、まず被加熱媒体Wの昇温を停止したときに熱源管21、31への熱源温水hの供給を停止し、電磁弁29を開にして蒸発器20内の冷媒を吸収溶液Sに戻し、溶液ポンプ35pの運転を継続することで吸収器10及び再生器30並びにこれらを連絡する希溶液管16及び濃溶液管35内の吸収溶液Sの濃度を希釈すると共にほぼ均一にすることにより行われる。このとき、電磁弁29が希釈弁として機能することになるが、希釈運転時に電磁弁29に代えて電磁弁47vを開にして、凝縮器40内の冷媒を吸収溶液Sに戻すこととしてもよい。希釈弁として電磁弁47vを用いた場合は、連絡管47の立ち上がりの高さの設定により、サイクル濃度を考慮して必要な冷媒量を戻すことができる。なお、希釈弁として電磁弁29を利用し電磁弁47vを利用しない場合は、電磁弁47vを設けなくてよい。
吸収ヒートポンプ1の被加熱媒体Wを昇温する運転中あるいは希釈運転中に停電が生じた場合は、吸収溶液Sが十分希釈されないままの状態で溶液ポンプ35pが停止してしまい、このままの状態で周囲環境温度(例えば室温)に近づくと吸収溶液Sが結晶してしまうこととなる。吸収ヒートポンプと類似の装置構成を持ち溶液サイクルの圧力及び露点温度が異なる吸収冷凍機では、一般に被冷却媒体である冷水の出口温度を一定にする運転をしており、蒸発器の冷媒温度はほぼ一定になっている。このような吸収冷凍機では、吸収器に導入される冷却水の温度が低下した場合には吸収器内の吸収溶液の温度が低下するので、蒸発温度と吸収器溶液温度とが関係する吸収溶液濃度が低下する。このような吸収冷凍機では、温度が低下した際に吸収溶液の濃度が結晶濃度以上になるのは、一般に冷却水温度が高く外気温度も高い夏季の短期間であり、この夏季において停電等が発生して吸収溶液の希釈が不完全な状態で停止していたとしても、温度が低下して結晶が生じるまでには一般に数時間の余裕があり復電後の再起動で結晶が避けられることが多い。これに対し、吸収ヒートポンプ1は、典型的には被加熱媒体Wの出口温度をほぼ一定にする運転をするので、被加熱媒体Wを加熱する吸収器10内の吸収溶液Sの温度がほぼ一定の高温(昇温された被加熱媒体Wの温度をやや上回る温度)の状態になっている。吸収器10に供給される蒸発器冷媒蒸気Veは蒸発器20において熱源温水hで加熱されるため、蒸発器20内はほぼ一定温度になっており、冷却水cの温度が低下した場合でも蒸発温度と吸収器溶液温度とが関係する吸収溶液濃度は全負荷状態のままほぼ一定となる。つまり、吸収ヒートポンプ1は、典型的には、年間を通じて、温度が低下した際に吸収溶液の濃度が結晶濃度以上になる高濃度サイクルとなっており、停電等が生じて溶液ポンプ35pが稼働しなくなった場合は吸収溶液Sが結晶してしまう可能性が高い。吸収ヒートポンプ1は、このような不都合を回避すべく以下に示す作用をするように構成されている。
吸収ヒートポンプ1の被加熱媒体Wを昇温する運転中あるいは希釈運転中に停電等が生じて溶液ポンプ35pが停止した場合、吸収器10及び再生器30の内圧の差と位置ヘッドとにより、希溶液管16内の希溶液Sw及び濃溶液管35内の濃溶液Saの双方が吸収器10側から再生器30側へ向かって流れる。このとき、溶液ポンプ35pの吐出圧がチェッキ弁59Aにかからなくなっているので、希溶液管16内の希溶液Swが流路希釈管58Aを介して濃溶液管35に流入し、流入した希溶液Swが濃溶液管35内の濃溶液Saと混合して、濃溶液Saが希釈される。また、停電によりノーマリオープンの電磁弁59Bが開となり、ポンプ希釈管58Bを介して希溶液Swが溶液ポンプ35pのハウジング53内に流入して、ハウジング53内の濃溶液Saが希釈される。このように、吸収ヒートポンプ1では、濃溶液管35及び溶液ポンプ35p内の濃溶液Saが、吸収器10の貯留部13及び希溶液管16内に保有されている充分な量の希溶液Swで希釈されるため、希釈が不十分になることが抑制され、濃溶液Saが結晶することを安定的に回避することができる。
なお、濃溶液管35には、溶液ポンプ35pの損傷を防ぐために有孔チェッキ弁35cが設けられているが、有孔チェッキ弁35cには小孔が形成されているため、溶液ポンプ35pの損傷を防止しつつ濃溶液Saを逆流させることができ、有孔チェッキ弁35cよりも吸収器10側に位置する濃溶液管35内の濃溶液Saを希釈することができる。このとき、吸収器10内の気体(典型的には蒸発器冷媒蒸気Ve)が希溶液管16を介して再生器30に抜けるよりも濃溶液管35を介して再生器30に抜ける方が早くなる大きさに有孔チェッキ弁35cの小孔の口径が形成されている場合は、再生器30から濃溶液散布ノズル12までの濃溶液Sa(濃溶液系の濃溶液Sa)を一時的にすべて再生器30に戻すことができる。濃溶液系の濃溶液Saがすべて再生器30に戻ると、希溶液管16を介して再生器30に流入した希溶液Swと混合して希釈され、希釈された吸収溶液Sが再び濃溶液管35に流入して、吸収器10及び再生器30の内圧がバランスする位置で吸収溶液Sが静止する。静止した吸収溶液Sは、結晶濃度未満に希釈されていることとなる。
吸収ヒートポンプ1では、さらにノーマリオープンの電磁弁29が停電により開となり、蒸発器20の下部に貯留されていた冷媒液Vfが連通管28を介して貯留部13に流入し、貯留部13内の希溶液Swをさらに希釈する。貯留部13内の希溶液Swは濃溶液系の濃溶液Saを希釈するため、貯留部13内の希溶液Swの濃度が低下し及び量が増加することで、濃溶液系の濃溶液Saの希釈効果を向上させることができる。また、吸収ヒートポンプ1では、さらにノーマリオープンの電磁弁69が停電により開となり、希溶液管16内の希溶液Swが抽気タンク62に流入して、駆動溶液として導入された濃溶液Saを希釈する。駆動溶液供給管65、気液混合管66、及び戻り溶液管67は、これらを流れる濃溶液Saが吸収器10及び再生器30を循環する吸収溶液Sに比べて少量であるため口径が小さく、内部に濃溶液Saが滞留するとこの濃溶液Saが冷却されやすく結晶しやすい。吸収ヒートポンプ1は、抽気タンク62内の濃溶液Saが希釈されることにより、希釈された吸収溶液Sが、一部は気液混合管66及び駆動溶液供給管65を介して再生器30に流れ、その他は戻り溶液管67を介して再生器30に流れるため、駆動溶液供給管65、気液混合管66、及び戻り溶液管67内の吸収溶液Sを希釈することができ、吸収溶液Sの結晶を抑制することができる。
次に図3を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ2を説明する。図3は、吸収ヒートポンプ2の模式的系統図である。吸収ヒートポンプ2の、吸収ヒートポンプ1(図1参照)との異なる点は、溶液ポンプ35p内に導入する流体を希溶液管16内の希溶液Swではなく蒸発器20内の冷媒液Vfとするように、ポンプ希釈管58B’の反溶液ポンプ35p側が蒸発器20の下部(典型的には底部)に接続されている。さらに、抽気タンク62に導入する流体を希溶液管16内の希溶液Swではなく蒸発器20内の冷媒液Vfとするように、希溶液抽気希釈管68に代えて冷媒液抽気希釈管68Aが蒸発器20の下部(典型的には底部)と抽気タンク62とを連絡するように設けられている。吸収ヒートポンプ2のその他の構成は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)と同様である。吸収ヒートポンプ2では、冷媒液Vfを溶液ポンプ35p及び抽気タンク62に導入することとしているので、吸収溶液Sの流路断面積が小さく比較的結晶が生じやすいこれらの部分の吸収溶液Sを、効率よく希釈することができる。なお、吸収ヒートポンプ2では、溶液ポンプ35p及び抽気タンク62の双方に冷媒液Vfを導入することとしているが、冷媒液Vfを導入するのをいずれか一方とし、他方を吸収ヒートポンプ1(図1参照)のように希溶液Swを導入するように構成してもよい。
次に図4を参照して、本発明の第2の実施の形態の変形例に係る吸収ヒートポンプ2Aを説明する。図4は、吸収ヒートポンプ2Aの模式的系統図である。吸収ヒートポンプ2Aの、吸収ヒートポンプ2(図3参照)との異なる点は、冷媒液Vfを貯留するのを凝縮器40に代えて蒸発器20の下部としている。そして、蒸発器20の冷媒液Vfを凝縮器40に導く冷媒液管25(図3参照)に代えて蒸発器20下部に貯留されている冷媒液Vfを冷媒液散布ノズル22に導く冷媒液管25Aが設けられ、冷媒液管25Aには蒸発器20下部の冷媒液Vfを冷媒液散布ノズル22に送液する冷媒ポンプ26が配設され、凝縮器40の冷媒液Vfを蒸発器20の冷媒液散布ノズル22に導く冷媒液管45(図3参照)に代えて凝縮器40の冷媒液Vfを蒸発器20の液溜まり部に導く冷媒液管45Aが設けられ、蒸発器液位検出器24(図3参照)に代えて凝縮器40下部の冷媒液Vfの液位を検出する凝縮器液位検出器42が設けられている。凝縮器液位検出器42と二方弁45vとは信号ケーブルで接続されており、凝縮器液位検出器42が検出した冷媒液Vfの液位に応じて蒸発器20に導入する冷媒液Vfの流量を調節することができるように構成されている。吸収ヒートポンプ2Aは、さらに、オーバーフロー管44(図1参照)に相当するオーバーフロー管27Aと、電磁弁47v(図1参照)が配設された連絡管47(図1参照)に相当する電磁弁27vが配設された連絡管27Bが、蒸発器20に設けられている。なお、吸収ヒートポンプ2(図3参照)では設けられていた冷媒熱交換器48が、吸収ヒートポンプ2Aでは設けられていない。吸収ヒートポンプ2Aのその他の構成は、吸収ヒートポンプ2(図3参照)と同様である。吸収ヒートポンプ2Aでは、希釈運転時は電磁弁27vを開け連絡管27Bを介して適量の冷媒を吸収溶液Sに戻すと共に溶液ポンプ35pで溶液系を循環混合させることができ、停電時等は電磁弁29が開となり連通管28を介して蒸発器20下部の冷媒液Vfを全量吸収溶液Sに戻して吸収溶液Sの結晶を防止することができる。なお、電磁弁29が希釈弁の機能を兼ねる場合は連絡管27B及び電磁弁27vを設けなくてもよい。
次に図5を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ3について説明する。吸収ヒートポンプ3は、二段昇温型の吸収ヒートポンプとして構成されており、図1、3、4に示されている吸収ヒートポンプ1、2、2Aにおける吸収器10及び蒸発器20が、高温側の高温吸収器10H及び高温蒸発器20Hと、低温側の低温吸収器10L及び低温蒸発器20Lとに分かれている(図5では図4に示す吸収ヒートポンプ2Aを二段昇温型にした例を示しているが、吸収ヒートポンプ1(図1参照)あるいは吸収ヒートポンプ2(図2参照)を二段昇温型にしてもよい。)。高温吸収器10Hは低温吸収器10Lよりも内圧が高く、高温蒸発器20Hは低温蒸発器20Lよりも内圧が高い。高温吸収器10Hと高温蒸発器20Hとは、高温蒸発器20Hの冷媒Vの蒸気VeHを高温吸収器10Hに移動させることができるように上部で連通していると共に電磁弁29Hが配設された連通管28Hにより下部で連通している。低温吸収器10Lと低温蒸発器20Lとは、低温蒸発器20Lの冷媒Vの蒸気VeLを低温吸収器10Lに移動させることができるように上部で連通していると共に電磁弁29Lが配設された連通管28Lにより下部で連通している。被加熱媒体液Wqは、高温吸収器10Hで加熱される。熱源温水hは、低温蒸発器20Lに導入される。低温吸収器10Lは低温蒸発器20Lから移動してきた冷媒Vの蒸気を溶液Sが吸収する際の吸収熱で高温蒸発器20H内の冷媒液Vfを加熱して高温蒸発器20H内に冷媒Vの蒸気を発生させ、発生した高温蒸発器20H内の冷媒Vの蒸気は高温吸収器10Hに移動して高温吸収器10H内の溶液Sに吸収される際の吸収熱で被加熱媒体液Wqを加熱するように構成されている。吸収ヒートポンプ3では、低温吸収器10Lから導出されて希溶液管16を流れる希溶液Swが、流路希釈管58Aを介して濃溶液管35に流入することができ、ポンプ希釈管58Bを介して溶液ポンプ35pに流入することができるように構成されている。
図6には、吸収ヒートポンプ1、2、2A、3に適用可能な変形例の、溶液熱交換器38まわりの構成を示す。図6に示す変形例では、溶液熱交換器38内の吸収溶液Sの下端が、吸収ヒートポンプ1、2、2A、3の停止時の再生器30の吸収溶液Sの液面の停止位置よりも高所に位置するように、溶液熱交換器38が配設されている。このように構成すると、吸収ヒートポンプ1、2、2A、3の停止時に溶液熱交換器38内に吸収溶液Sが残らなくなり、溶液熱交換器38内での吸収溶液Sの結晶を避けることができる。また、機内のほとんどの吸収溶液S及び蒸発器20内の冷媒液Vfが再生器30内に集まるので、吸収溶液Sの平均濃度が低下し、再生器30内での吸収溶液Sの結晶が抑制される。
図6に示す変形例では、さらに、流路希釈管58A’が、溶液熱交換器38よりも上流側の希溶液管16と溶液熱交換器38よりも下流側の濃溶液管35とを連絡するように接続されている。換言すれば、希溶液管16と濃溶液管35とが、溶液熱交換器38よりも再生器30側ではなく、溶液熱交換器38よりも吸収器10側で連絡している。このように構成すると、流路希釈管58A’を介して濃溶液管35に流入した希溶液Swが再生器30に向かって流れる際に濃溶液Saを溶液熱交換器38から押し出すこととなり、溶液熱交換器38内に濃溶液Saが滞留することを回避することができる。また、流路希釈管58A’を介して濃溶液管35に流入した希溶液Swが濃溶液Saと共に再生器30に至るまでの距離が長くなるため、吸収溶液Sのより均一な希釈が可能となる。なお、図6に示す変形例では、上述の溶液熱交換器38内の吸収溶液Sの下端が停止時の再生器30の吸収溶液Sの液面の停止位置よりも高くなるように配置する溶液熱交換器38の配置的な特徴と、この段落で述べた溶液熱交換器38よりも吸収器10側で希溶液管16と濃溶液管35とを流路希釈管58A’を介して連絡するという流路希釈管58A’の接続に関する特徴との両方を示しているが、これらの変形例のいずれか一方を吸収ヒートポンプ1、2、2A、3に適用することとしてもよく、あるいは両方の特徴を適用してもよい。
以上の説明では、希釈管として流路希釈管58A(又は流路希釈管58A’)及びポンプ希釈管58B(又はポンプ希釈管58B’)を有していることとしたが、いずれか一方を設けることで他方の希釈管の機能を満たす場合は、他方を省略することとしてもよい。
以上の説明では、流路希釈管58A(又は流路希釈管58A’)に配設された逆流防止手段がメカニカルな構造で流体の逆流を防止するチェッキ弁59Aであるとしたが、通電時に閉となり電気の供給が遮断されているときに開となる電磁弁をチェッキ弁59Aに代えて設けることとしてもよい。また、各所に設けられている電磁弁29、47v、59B、69をノーマリオープンのスプリングリターン弁に代えてもよい。
以上の説明では、逆流制限手段が、弁体に小孔が形成されたチェッキ弁(逆止弁)である有孔チェッキ弁35cであるとしたが、有孔チェッキ弁35cに代えて小孔が形成されていないチェッキ弁(逆止弁)を設け、チェッキ弁を迂回する迂回流路をチェッキ弁に並設し、この迂回流路にオリフィスを設ける構成としてもよい。この場合、オリフィスが有孔チェッキ弁35cの小孔に相当する。
以上の説明では、抽気タンク62内の圧力を大気圧以上に昇圧して不凝縮ガスNgを機外へ排出することとしたが、真空ポンプを設けて大気圧未満の抽気タンク62内の不凝縮ガスNgを真空引きすることにより機外へ排出してもよい。この場合は、凝縮器抽気遮断弁64v及び戻り溶液遮断弁67vを設けなくてもよい。また、以上の説明ではエジェクタ61により凝縮器40内の不凝縮ガスNgを吸引することとしたが、凝縮器抽気管64を抽気タンク62に直接接続すると共に駆動溶液供給管65内を流れる吸収溶液Sを冷却したうえで抽気タンク62に導入するように構成し、抽気タンク62内の圧力を低下させることで凝縮器40内の不凝縮ガスNgを抽気タンク62に導くこととしてもよい。駆動溶液供給管65内を流れる吸収溶液Sを冷却するには、例えば凝縮器40から導出された冷媒液Vfと熱交換を行わせる熱交換器を設けることにより行ってもよい。