JP2010065917A - 吸収ヒートポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】抽気の際に機外へ導出される冷媒の量を低減することができる吸収ヒートポンプを提供すること。
【解決手段】吸収ヒートポンプ1は、抽気溶液ポンプ36で溶液Sを抽気タンク62に圧送することにより凝縮器40内から第1の抽気流路64を介して抽気タンク62へ不凝縮ガスNgを抜き出す。抽気タンク62に収集された不凝縮ガスNgは、抽気逆流防止弁64vで流体の逆流が防止され、戻り溶液遮断弁67vで戻り溶液流路67が遮断され、かつ抽気溶液ポンプ36で溶液Sを抽気タンク62に圧送することにより、抽気タンク62内の不凝縮ガスNgが昇圧して、導出口62hから導出される。抽気タンク62内を昇圧するので、不凝縮ガスNgに同伴して抽気タンク62に収集された冷媒Vの蒸気は凝縮して抽気タンク62内の溶液Sに吸収され、冷媒Vの蒸気が機外に導出される量が低減される。
【選択図】図1

Description

本発明は吸収ヒートポンプに関し、特に抽気の際に機外へ導出される冷媒の量を低減することができる吸収ヒートポンプに関する。
低温の熱源から熱を汲み上げて高温の熱源にする機器であるヒートポンプのうち、熱駆動のものとして、吸収ヒートポンプが知られている。吸収ヒートポンプは、吸収溶液が冷媒の蒸気を吸収する際に発生する吸収熱で被加熱媒体を加熱して熱を汲み上げる。吸収ヒートポンプの内部は冷媒の蒸発を促進させるために高真空となっており、配管接続部等から吸収ヒートポンプの内部に大気が侵入することがある。大気は、吸収ヒートポンプサイクルにおいて凝縮しない不凝縮ガスである。不凝縮ガスは、吸収ヒートポンプサイクルにおいて最も圧力が低い凝縮器に集まる。不凝縮ガスは吸収ヒートポンプの能力を著しく低下させるため、機外に排出される。不凝縮ガスを吸収ヒートポンプ外に排出する手段として、凝縮器内の不凝縮ガスを抽気管を介して収集する抽気タンクと、抽気タンクに収集された不凝縮ガスを真空引きして機外に排出する真空ポンプとを備え、再生器の吸収溶液を抽気タンクにポンプで搬送し再び再生器に戻すように吸収溶液を循環させることで、凝縮器内の不凝縮ガスを吸引抽気するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
他方、吸収ヒートポンプと類似の構成を有する吸収冷凍機では、吸収冷凍サイクルにおいて最も圧力が低い吸収器に抽気管を設け、吸収器の吸収溶液を抽気タンクにポンプで搬送し再び吸収器に戻すように吸収溶液を循環させることで、吸収器内から不凝縮ガスを排出するものがある(例えば、特許文献2参照。)。この吸収冷凍機の抽気においては、抽気タンクに収集された不凝縮ガスを真空ポンプで強制的に排出するほか、抽気タンクに吸収溶液を搬送するポンプの圧力で抽気タンク内を大気圧以上に加圧して抽気タンクから機外に不凝縮ガスを排出することもできる。吸収冷凍機では吸収器から抽気をするため、抽気タンク内を大気圧以上にすることで仮に吸収溶液が抽気管から吸収器に逆流しても冷媒を汚すことはない。他方、吸収ヒートポンプでは凝縮器から抽気をするため、吸収溶液が抽気管から凝縮器に逆流すると冷媒を汚染することとなり、このような不都合を回避するため、抽気タンク内を大気圧未満に維持して真空ポンプにより抽気タンク内の不凝縮ガスを機外に排出するのが一般的であった。
特開2007−147148号公報(図3、図5等) 特開平11−118301号公報(図1−図5等)
凝縮器から抽気タンクへ不凝縮ガスを抽気する際には、凝縮器内の凝縮前の冷媒蒸気も不凝縮ガスに同伴して抽気タンクに流入する。したがって、抽気タンクから真空ポンプで不凝縮ガスを機外に排出する際に冷媒蒸気も同伴して機外に排出されてしまい、機内の冷媒の量が減少してしまっていた。
本発明は上述の課題に鑑み、抽気の際に機外へ導出される冷媒の量を低減することができる吸収ヒートポンプを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、吸収溶液が冷媒を吸収して濃度が低下した希溶液Swを導入し、希溶液Swを加熱して希溶液Sw中から冷媒を蒸発させると共に希溶液Swよりも濃度が上昇した濃溶液Saとする再生器30と;再生器30で発生した冷媒の蒸気Vgを導入し冷却し凝縮させる凝縮器40と;凝縮器40内に存在する不凝縮ガスNgを凝縮器40内から抜き出す第1の抽気流路64と;第1の抽気流路64を介して抜き出された不凝縮ガスNgを集める抽気タンク62であって、内部の不凝縮ガスNgを導出する導出口62hが形成された抽気タンク62と;再生器30内の吸収溶液Sを抽気タンク62に導く抽気溶液流路35、65、66と;抽気タンク62内の吸収溶液Sを再生器30に導く戻り溶液流路67と;第1の抽気流路64に設けられ、抽気タンク62の側から凝縮器40への流体の逆流を防ぐ抽気逆流防止弁64vと;抽気溶液流路35に設けられ、吸収溶液Sを抽気タンク62に圧送する抽気溶液ポンプ36と;戻り溶液流路67に設けられ、戻り溶液流路67内の吸収溶液Sの流れを遮断可能な戻り溶液遮断弁67vとを備え;抽気溶液ポンプ36で吸収溶液Sを抽気タンク62に圧送することにより凝縮器40内から第1の抽気流路64を介して抽気タンク62へ不凝縮ガスNgを抜き出すように構成され;抽気逆流防止弁64vで流体の逆流が防止され、戻り溶液遮断弁67vで戻り溶液流路67が遮断され、かつ抽気溶液ポンプ36で吸収溶液Sを抽気タンク62に圧送することにより、抽気タンク62内の不凝縮ガスNgを導出口62hを介して導出するように構成されている。ここで「不凝縮ガス」とは、典型的には、吸収ヒートポンプサイクル中で凝縮しないガスである。
このように構成すると、抽気逆流防止弁で流体の逆流が防止され、戻り溶液遮断弁で戻り溶液流路が遮断され、かつ抽気溶液ポンプで吸収溶液を抽気タンクに圧送することにより抽気タンク内の不凝縮ガスを導出口を介して導出するように構成されているので、不凝縮ガスに同伴して抽気タンクに搬送された冷媒の蒸気を抽気溶液ポンプによって加圧して凝縮させることが可能となり、導出口から導出される冷媒の量を低減することができる。
また、本発明の第2の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る吸収ヒートポンプ1において、第1の抽気流路64及び抽気溶液流路65、66に設けられたエジェクタ61であって、吸収溶液Sが通過する際に凝縮器40内の不凝縮ガスNgを吸引するエジェクタ61を備える。
このように構成すると、エジェクタで凝縮器内の不凝縮ガスを吸引することができると共に、吸引した不凝縮ガスに同伴する冷媒の蒸気を再生器からの溶液がエジェクタを通過して抽気タンクに至る間に吸収し回収することができ、凝縮器に集まった不凝縮ガスを抽気すると共に冷媒が機外に導出されることを抑制することができる。なお、エジェクタを通過する溶液を冷却した場合は、吸引した不凝縮ガスに同伴する冷媒蒸気の溶液による吸収を促進させることができ、冷媒が機外に導出されることをより抑制することができる。
また、本発明の第3の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図4に示すように、上記本発明の第1の態様に係る吸収ヒートポンプにおいて、抽気溶液流路65を流れる吸収溶液Sを冷却する冷却装置49を備え;冷却装置49で冷却された吸収溶液Sを抽気タンク62に導入して抽気タンク62内の圧力を低下させることにより、第1の抽気流路64Aを介して抜き出された不凝縮ガスNgを抽気タンク62に収集するように構成されている。
このように構成すると、冷却された吸収溶液が抽気タンクに導入されることで抽気タンク内の冷媒が凝縮し蒸気圧が低下して凝縮器内のガスを抽気タンクに収集することができ、簡易な構成で抽気を行うことができる。
また、本発明の第4の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1を参照して示すと、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る吸収ヒートポンプ1において、導出口62hが開閉可能に構成され、抽気逆流防止弁64vで流体の逆流が防止され及び戻り溶液遮断弁67vで戻り溶液流路67が遮断されてから所定の時間が経過した後に導出口62hが開放されるように構成されている。
このように構成すると、抽気タンク内における吸収溶液による冷媒の蒸気の吸収が平衡状態になった後に抽気タンクから不凝縮ガスを排出することが可能となり、機外に排出される冷媒の量を低減することができる。
また、本発明の第5の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る吸収ヒートポンプ1において、導出口62hから導出された不凝縮ガスNgを受け入れる補助タンク63であって、内部の不凝縮ガスNgを排出する排出口63hが形成された補助タンク63を備える。
このように構成すると、仮に抽気タンクから導出口を介して吸収溶液が漏洩した場合であっても、補助タンクで吸収溶液を受けることができ、吸収溶液の機外への漏洩を低減することができる。
また、本発明の第6の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、上記本発明の第5の態様に係る吸収ヒートポンプ1において、補助タンク63に導出口62hを介して導入された不凝縮ガスNgに同伴して導入された吸収溶液Sの、補助タンク63内における液位を検出する液位検出器63s又は補助タンク63からの漏洩を検出する漏洩検出器を備え;液位検出器63sが所定の液位を検出したとき又は前記漏洩検出器が漏洩を検出したときに戻り溶液遮断弁67vを開放するように構成されている。
このように構成すると、液位検出器が所定の液位を検出したとき又は漏洩検出器が漏洩を検出したときに戻り溶液遮断弁を開放するので、戻り溶液遮断弁の開放によって抽気タンク内圧を大気圧以下にして、抽気タンクからの吸収溶液の漏洩を止めることができる。さらに抽気逆流防止弁を開放した場合は、凝縮器に存在する不凝縮ガスを抽気タンクに収集することができる。なお、液位検出器が所定の液位を検出したとき又は漏洩検出器が漏洩を検出したときに警報を発報するように構成してもよい。
また、本発明の第7の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第6の態様のいずれか1つの態様に係る吸収ヒートポンプ1において、凝縮器40で凝縮された冷媒の液Vfを導入し加熱して蒸発させる蒸発器20と;再生器30で生成された濃溶液Saを導入すると共に蒸発器20で蒸発した冷媒の蒸気Veを導入し、濃溶液Saが冷媒の蒸気Veを吸収する際に生じる吸収熱で被加熱媒体Wqを加熱する吸収器10と;吸収器10内の不凝縮ガスNgを再生器30に導く連通管15とを備える。
吸収ヒートポンプでは、吸収ヒートポンプの缶胴を構成する鋼材が吸収溶液と反応して不凝縮ガスである水素ガスが発生することがあるが、この反応は高温になると活発になるため、吸収ヒートポンプサイクル内で最も温度が高い吸収器に水素ガスが発生することが多くなる。上記本発明の第7の態様に係る吸収ヒートポンプのように構成すると、吸収器内で発生した不凝縮ガスを凝縮器に導いて抽気することができる。
また、本発明の第8の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図2に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第6の態様のいずれか1つの態様に係る吸収ヒートポンプにおいて、凝縮器40で凝縮された冷媒の液Vfを導入し加熱して蒸発させる蒸発器20と;再生器30で生成された濃溶液Saを導入すると共に蒸発器20で蒸発した冷媒の蒸気Veを導入し、濃溶液Saが冷媒の蒸気Veを吸収する際に生じる吸収熱で被加熱媒体Wqを加熱する吸収器10と;吸収器10内の不凝縮ガスNgを抽気タンク62に導く第2の抽気流路68と;第2の抽気流路68に設けられ、第2の抽気流路68内の不凝縮ガスNgの流れを遮断可能な抽気遮断弁68vとを備える。
このように構成すると、吸収器内で発生した不凝縮ガスを凝縮器を介さずに第2の抽気流路を介して抽気タンクに導くことができ、不凝縮ガスが凝縮器を通過することに起因する凝縮器の伝熱の低下を抑制することができる。
また、本発明の第9の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば図3に示すように、上記本発明の第8の態様に係る吸収ヒートポンプにおいて、吸収器10内の不凝縮ガスNgを再生器30に導く連通管15を備える。
このように構成すると、吸収器内で発生した不凝縮ガスを、第2の抽気流路を介して抽気タンクに導くことと、凝縮器を介して抽気タンクに導くこととを選択することができ、状況に応じた適切な抽気を行うことが可能となる。
また、本発明の第10の態様に係る吸収ヒートポンプとして、例えば図3に示すように、上記本発明の第9の態様に係る吸収ヒートポンプにおいて、凝縮器40における冷媒の蒸気Vgの冷却に用いられる冷却水cの温度を検出する温度検出器43を備え;温度検出器43で検出される温度が、所定の温度未満のときに抽気遮断弁68vを開放し、所定の温度以上のときに抽気遮断弁68vを遮断するように構成してもよい。
このように構成すると、冷却水の温度が低いときは凝縮器の能力に余裕があるため凝縮器を介して抽気タンクに不凝縮ガスを導いても凝縮器の伝熱の低下の影響は少なく、冷却水の温度が高いときは第2の抽気流路を介して不凝縮ガスを抽気タンクに導いて凝縮器の伝熱の低下を抑制することができる。
本発明によれば、抽気逆流防止弁で流体の逆流が防止され、戻り溶液遮断弁で戻り溶液流路が遮断され、かつ抽気溶液ポンプで吸収溶液を抽気タンクに圧送することにより、抽気タンク内の不凝縮ガスを導出口を介して導出するように構成されているので、不凝縮ガスに同伴して抽気タンクに搬送された冷媒の蒸気を抽気溶液ポンプによって加圧して凝縮させることが可能となり、導出口から導出される冷媒の量を低減することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1を説明する。図1は、吸収ヒートポンプ1の模式的系統図である。吸収ヒートポンプ1は、吸収ヒートポンプサイクルを行う主要構成機器である吸収器10、蒸発器20、再生器30、及び凝縮器40と、吸収器10と再生器30とを連通する連通管15と、第1の抽気流路を構成する凝縮器抽気管64と、抽気溶液流路を構成する駆動溶液供給管65と、吸収溶液を通過させて凝縮器40からガスを抽出するエジェクタ61と、エジェクタ61で抽出したガスを収集する抽気タンク62と、補助タンク63と、戻り溶液流路を構成する戻り溶液管67と、制御装置99とを備えている。吸収ヒートポンプ1は、比較的利用価値の低い低温(例えば80℃〜90℃程度)の排温水を熱源媒体として再生器30及び蒸発器20に供給して、利用価値の高い蒸気(例えば、圧力が約0.1MPa(ゲージ圧)を超え、望ましくは0.8MPa(ゲージ圧)程度)を気液分離器80から取り出すことができるものである。
なお、以下の説明においては、吸収溶液に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「希溶液Sw」や「濃溶液Sa」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「吸収溶液S」、「吸収液S」、又は「溶液S」ということとする。同様に、冷媒に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「蒸発器冷媒蒸気Ve」、「再生器冷媒蒸気Vg」、「冷媒液Vf」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「冷媒V」ということとする。本実施の形態では、吸収液S(吸収剤と冷媒Vとの混合物)としてLiBr水溶液が用いられており、冷媒Vとして水(HO)が用いられている。また、被加熱媒体Wは、液体の被加熱媒体Wである被加熱媒体液Wq、気体の被加熱媒体である被加熱媒体蒸気Wv、被加熱媒体液Wqと被加熱媒体蒸気Wvとが混合した混合被加熱媒体Wmの総称である。本実施の形態では、被加熱媒体Wとして水(HO)が用いられている。
吸収器10は、被加熱媒体Wの流路を構成する加熱管11と、濃溶液Saを散布する濃溶液散布ノズル12を内部に有している。濃溶液散布ノズル12は、散布した濃溶液Saが加熱管11に降りかかるように、加熱管11の上方に配設されている。吸収器10は、濃溶液散布ノズル12から濃溶液Saが散布され、濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する際に吸収熱を発生させる。この吸収熱を、加熱管11を流れる被加熱媒体Wが受熱して、被加熱媒体Wが加熱されるように構成されている。吸収器10の下部には、散布された濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収して濃度が低下した希溶液Swが貯留される貯留部13が形成されている。加熱管11は、希溶液Swに没入しないように、貯留部13よりも上方に配設されている。このようにすると、加熱管11の表面に濡れ広がった濃溶液Saに蒸発器冷媒蒸気Veが吸収されるようになるため、濃溶液Saと蒸発器冷媒蒸気Veとの接触面積を大きくできると共に、発生した吸収熱が加熱管11を流れる被加熱媒体Wに速やかに伝わり、吸収能力の回復を早めることができる。貯留部13には、貯留された希溶液Swの液位を検出する吸収器液位検出器14が配設されている。
蒸発器20は、熱源媒体としての熱源温水hの流路を構成する熱源管21と、冷媒液Vfを散布する冷媒液散布ノズル22を内部に有している。冷媒液散布ノズル22は、散布した冷媒液Vfが熱源管21に降りかかるように、熱源管21の上方に配設されている。冷媒液散布ノズル22は、凝縮器40内の冷媒液Vfを蒸発器20に導く冷媒液管45と接続されている。蒸発器20は、冷媒液散布ノズル22から冷媒液Vfが散布され、散布された冷媒液Vfが熱源管21内を流れる熱源温水hの熱で蒸発して蒸発器冷媒蒸気Veが発生するように構成されている。蒸発器20の下部には、散布された冷媒液Vfのうち蒸発しなかった冷媒液Vfが貯留される貯留部23が形成されている。熱源管21は、貯留部23よりも上方に配設されている。貯留部23には、貯留された冷媒液Vfの液位を検出する蒸発器液位検出器24が配設されている。蒸発器液位検出器24は、冷媒液管45に配設された二方弁45vと信号ケーブルで接続されており、検出した冷媒液Vfの液位に応じて蒸発器20に導入する冷媒液Vfの流量を調節することができるように構成されている。貯留部23には、貯留されている冷媒液Vfを凝縮器40に戻す冷媒液管25が接続されている。冷媒液管25には、冷媒熱交換器48が配設されている。
吸収器10と蒸発器20とは、相互に連通するように1つの缶胴内に形成されている。吸収器10と蒸発器20とが連通することにより、蒸発器20で発生した蒸発器冷媒蒸気Veを吸収器10に供給することができるように構成されている。吸収器10と蒸発器20とは、典型的には、濃溶液散布ノズル12より上方及び冷媒液散布ノズル22より上方で連通している。
再生器30は、希溶液Swを加熱する熱源媒体としての熱源温水hを内部に流す熱源管31と、希溶液Swを散布する希溶液散布ノズル32とを有している。再生器30は、散布された希溶液Swから冷媒Vが蒸発して濃度が上昇した濃溶液Saが下部に貯留されるように構成されている。再生器30では、希溶液Swが熱源温水hに加熱されることにより、濃溶液Saと再生器冷媒蒸気Vgとが生成されるように構成されている。再生器30の濃溶液Saが貯留される部分と吸収器10の濃溶液散布ノズル12とは、濃溶液Saを流す濃溶液管35で接続されている。濃溶液管35には、再生器30の濃溶液Saを吸収器10に圧送する溶液ポンプ36が配設されている。溶液ポンプ36は、吸収器液位検出器14と信号ケーブルで接続されたインバータ36vを有しており、吸収器液位検出器14が検出する液位に応じて回転速度が調節されて吸収器10に圧送する濃溶液Saの流量を調節することができるように構成されている。希溶液散布ノズル32と吸収器10の貯留部13とは希溶液Swを流す希溶液管16で接続されている。濃溶液管35及び希溶液管16には、濃溶液Saと希溶液Swとの間で熱交換を行わせる溶液熱交換器38が配設されている。
凝縮器40は、冷却媒体流路を形成する冷却水管41を有している。冷却水管41には、冷却媒体としての冷却水cが流れる。凝縮器40は、再生器30で発生した再生器冷媒蒸気Vgを導入し、これを冷却水cで冷却して凝縮させるように構成されている。冷却水管41は、再生器冷媒蒸気Vgを直接冷却することができるように、再生器冷媒蒸気Vgが凝縮した冷媒液Vfに浸らないように配設されている。凝縮器40には凝縮した冷媒液Vfを蒸発器20に送る冷媒液管45が接続されている。冷媒液管45には、冷媒液Vfを蒸発器20に圧送するための冷媒ポンプ46と、蒸発器20から凝縮器40に向かう冷媒液Vfと凝縮器40から蒸発器20に向かう冷媒液Vfとで熱交換を行わせる冷媒熱交換器48と、蒸発器20への冷媒液Vfの供給を調節する二方弁45vとが、冷媒液Vfの流れる方向にこの順で配設されている。
再生器30と凝縮器40とは、相互に連通するように1つの缶胴内に形成されている。再生器30と凝縮器40とが連通することにより、再生器30で発生した再生器冷媒蒸気Vgを凝縮器40に供給することができるように構成されている。再生器30と凝縮器40とは、典型的には、希溶液散布ノズル32より上方で連通している。吸収器10と再生器30とは、連通管15を介して連通可能に構成されている。連通管15は、吸収器10の気相部と再生器30の気相部とを連通している。連通管15には、連通を遮断する連通遮断弁15vが配設されている。
エジェクタ61は、駆動源としての吸収溶液Sを減圧して加速させるノズル(不図示)と、吸引物としての不凝縮ガスNgを導入する導入口61aとを有している。エジェクタ61の導入口61aには、凝縮器抽気管64が接続されている。凝縮器抽気管64には、流体の流れを遮断する抽気逆流防止弁としての凝縮器抽気遮断弁64vが配設されている。凝縮器抽気遮断弁64vには、典型的には電動弁や電磁弁が用いられるが、手動の弁や、エジェクタ61側から凝縮器40側への流体の流れを遮断する逆止弁(チェッキ弁)が用いられてもよい。エジェクタ61のノズルの吸い込み側には、溶液ポンプ36と溶液熱交換器38との間で濃溶液管35から分岐した駆動溶液供給管65が接続されている。エジェクタ61のノズルの吐出側には、駆動源の吸収溶液Sと吸引物の不凝縮ガスNgとの混合流体を抽気タンク62へと導く抽気溶液流路を構成する気液混合管66が接続されている。つまり、抽気溶液流路は、再生器30から駆動溶液供給管65の接続部までの濃溶液管35と、駆動溶液供給管65と、気液混合管66とで構成されている。また、溶液ポンプ36は、再生器30の濃溶液Saを吸収器10に圧送するポンプであると共に、再生器30の溶液Sを抽気タンク62に圧送する抽気溶液ポンプを兼ねている。抽気溶液ポンプとして機能する溶液ポンプ36は、再生器30内の吸収溶液Sを大気圧以上に昇圧できるヘッドを持つように構成されている。
抽気タンク62は、駆動源の吸収溶液Sと、吸引物の不凝縮ガスNgと、不凝縮ガスNgに同伴して吸引される冷媒Vの蒸気(再生器冷媒蒸気Vg)との混合流体を導入し、捕集した不凝縮ガスNgを溜めておくことができるタンクである。抽気タンク62は、天板に気体溜まり62cが形成された抽気タンク本体62bと、気体溜まり62cに形成された開口に接続された短管62pと、短管62pに接続された導出弁62vとを有している。導出弁62vの短管62pが接続されたのとは反対側が導出口62hとなっており、導出弁62vを閉じることで導出口62hを遮断することができるように構成されている。気体溜まり62cにはフロート62fが設けられており、抽気タンク本体62b内の吸収溶液Sの液位の上昇と共にフロート62fが上昇することにより、短管62pが接続された開口を閉塞するように構成されている。抽気タンク本体62bの底部には、気液混合管66が接続されている。気液混合管66は、液トラップを形成するように、下に凸のU字状に配設されている。抽気タンク本体62bの底部にはまた、抽気タンク62内の吸収溶液Sを再生器30に戻す戻り溶液管67が接続されている。戻り溶液管67には、吸収溶液Sの流れを遮断する戻り溶液遮断弁67vが配設されている。戻り溶液管67もまた、液トラップを形成するように、抽気タンク62の底部及び再生器30の底部よりも下方へ一旦下がるように配設されている。
補助タンク63は、抽気タンク62内の吸収溶液Sが万一導出口62hから漏出した場合でも吸収ヒートポンプ1外に排出されることを防ぐために設けられたタンクである。抽気タンク62では、吸収溶液Sの液位が上昇して気体溜まり62cに形成された開口から導出される前に、フロート62fが開口を塞ぐために原則として吸収溶液Sが開口から導出されることはないが、フロート62fと開口との間に異物が挟まった場合のようにフロート62fが開口を閉塞できない場合は吸収溶液Sが開口から導出されうる。補助タンク63は、このように例外的に抽気タンク62から導出された吸収溶液Sを受け入れる。補助タンク63は、不凝縮ガスNg及び例外的に抽気タンク62から導出された吸収溶液Sを受け入れる補助タンク本体63bと、補助タンク本体63bの底板を貫通して補助タンク本体63b内を上方に伸びる導入管63rと、補助タンク本体63bの天板に接続された短管63pと、短管63pに接続された排出弁63vとを有している。排出弁63vの短管63pが接続されたのとは反対側が排出口63hとなっており、排出弁63vを閉じることで排出口63hを遮断することができるように構成されている。補助タンク本体63bの外側に位置する導入管63rの先端は、抽気タンク62の導出口62hに接続されている。補助タンク本体63b内には、濃溶液Saの液位を検出する液位検出器としての液位センサ63sが設けられている。液位センサ63sは、補助タンク本体63bの底部と補助タンク本体63b内の導入管63r端部との間(典型的には中間)の液位(所定の液位)を検出するように設けられている。また、補助タンク63の底部には、補助タンク63内に貯留された溶液Sを抽気タンク62に戻すレタンパイプ69が接続されている。レタンパイプ69には、流路を遮断する開閉弁69vが配設されている。
気液分離器80は、吸収器10の加熱管11を流れて加熱された被加熱媒体Wを導入し、被加熱媒体蒸気Wvと被加熱媒体液Wqとを分離する機器である。気液分離器80には、内部に貯留する被加熱媒体液Wqの液位を検出する気液分離器液位検出器81が設けられている。気液分離器80の下部と吸収器10の加熱管11の一端とは、被加熱媒体液Wqを加熱管11に導く被加熱媒体液管82で接続されている。被加熱媒体液管82には、被加熱媒体液Wqを加熱管11に向けて圧送する被加熱媒体ポンプ83が配設されている。内部が気相部となると気液分離器80の側面と加熱管11の他端とは、加熱された被加熱媒体Wを気液分離器80に導く加熱後被加熱媒体管84で接続されている。
また、気液分離器80には、蒸気として系外に供給された分の被加熱媒体Wを補うための補給水Wsを系外から導入する補給水管85が接続されている。補給水管85には、気液分離器80に向けて補給水Wsを圧送する補給水ポンプ86と、逆止弁85cと、補給水Wsを温水で予熱する補給水熱交換器87Bと、希溶液Swと熱交換させて補給水Wsをさらに加熱する補給水熱交換器87Aとが、補給水Wsの流れ方向に向かってこの順に配設されている。補給水ポンプ86は、気液分離器液位検出器81と信号ケーブルで接続されており、気液分離器80内の被加熱媒体液Wqの液位に応じて発停が制御されるように構成されている。補給水熱交換器87Aは、補給水Wsと希溶液Swとを熱交換させるように、補給水管85及び溶液熱交換器38よりも上流側の希溶液管16に配設されている。また、気液分離器80には、被加熱媒体蒸気Wvを系外に供給する被加熱媒体蒸気供給管89が上部(典型的には頂部)に接続されている。
気液分離器80は、加熱管11内で被加熱媒体液Wqの一部が蒸発して被加熱媒体液Wqと被加熱媒体蒸気Wvとが混合した混合被加熱媒体Wmを導入してもよく、被加熱媒体液Wqのまま気液分離器80に導いて減圧し一部を気化させて混合被加熱媒体Wmとしたものを気液分離させるようにしてもよい。被加熱媒体液Wqを減圧気化するには、オリフィス等の絞り手段を用いることができる。加熱管11内で被加熱媒体液Wqの一部を蒸発させるか否かは、典型的には、被加熱媒体ポンプ83及び/又は補給水ポンプ86の吐出圧力を調節することにより、加熱管11内の圧力を被加熱媒体液Wqの温度に相当する飽和圧力よりも高くするか否かによって調節することができる。
制御装置99は、吸収ヒートポンプ1の運転を制御する機器である。制御装置99は、冷媒ポンプ46及び被加熱媒体ポンプ83とそれぞれ信号ケーブルで接続されており、これらの発停や回転速度の調節を行うことができるように構成されている。これまでの説明では吸収器液位検出器14の出力を直接入力して制御されることとした溶液ポンプ36、及び気液分離器液位検出器81の出力を直接入力して制御されることとした補給水ポンプ86も、制御装置99を介して(検出器の出力信号を一旦制御装置99に入力して)制御されることとしてもよい。また、制御装置99は、連通遮断弁15v、導出弁62v、排出弁63v、凝縮器抽気遮断弁64v、戻り溶液遮断弁67vにそれぞれ信号を送信して弁の開閉動作をさせることができるように構成されている。これまでの説明では蒸発器液位検出器24の出力を直接入力して制御されることとした二方弁45vも、制御装置99を介して(検出器の出力信号を一旦制御装置99に入力して)制御されることとしてもよい。また、制御装置99は、液位センサ63sと信号ケーブルで接続されており、液位センサ63sから液位信号を受信することができるように構成されている。
引き続き図1を参照して、吸収ヒートポンプ1の作用を説明する。まず、冷媒側のサイクルを説明する。凝縮器40では、再生器30で蒸発した再生器冷媒蒸気Vgを受け入れて、冷却水管41を流れる冷却水cで冷却して凝縮し、冷媒液Vfとする。凝縮した冷媒液Vfは、冷媒ポンプ46で蒸発器20の冷媒液散布ノズル22に送られる。このとき、貯留部23内の冷媒液Vfが所定の液位になるように、蒸発器液位検出器24の検出液位に応じて二方弁45vが制御される。冷媒液散布ノズル22に送られた冷媒液Vfは、熱源管21に向けて散布され、熱源管21内を流れる熱源温水hによって加熱され、蒸発して蒸発器冷媒蒸気Veとなる。蒸発器20で発生した蒸発器冷媒蒸気Veは、蒸発器20と連通する吸収器10へと移動する。
次に吸収ヒートポンプ1の溶液側のサイクルを説明する。吸収器10では、濃溶液Saが濃溶液散布ノズル12から散布され、この散布された濃溶液Saが蒸発器20から移動してきた蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する。蒸発器冷媒蒸気Veを吸収した濃溶液Saは、濃度が低下して希溶液Swとなる。吸収器10では、濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する際に吸収熱が発生する。この吸収熱により、加熱管11を流れる被加熱媒体液Wqが加熱される。ここで、被加熱媒体蒸気Wvを取り出すための気液分離器80まわりの作用について説明する。
気液分離器80には、系外から補給水Wsが補給水管85を介して導入される。補給水Wsは、補給水ポンプ86により補給水管85を圧送され、まず補給水熱交換器87Bで温度が上昇した後に、補給水熱交換器87Aで希溶液Swと熱交換してさらに温度が上昇して、気液分離器80に導入される。気液分離器80に導入された補給水Wsは、被加熱媒体液Wqとして気液分離器80の下部に貯留される。気液分離器80の下部に貯留される被加熱媒体液Wqが所定の液位になるように、補給水ポンプ86が制御される。気液分離器80の下部に貯留されている被加熱媒体液Wqは、被加熱媒体ポンプ83で吸収器10の加熱管11に送られる。加熱管11に送られた被加熱媒体液Wqは、吸収器10における上述の吸収熱により加熱される。加熱管11で加熱された被加熱媒体液Wqは、一部が蒸発して被加熱媒体蒸気Wvとなった混合被加熱媒体Wmとして、あるいは温度が上昇した被加熱媒体液Wqとして、気液分離器80に向けて加熱後被加熱媒体管84を流れる。加熱後被加熱媒体管84を、温度が上昇した被加熱媒体液Wqが流れる場合、被加熱媒体液Wqは、気液分離器80に導入される際に減圧され、一部が蒸発して被加熱媒体蒸気Wvとなった混合被加熱媒体Wmとして気液分離器80に導入される。気液分離器80に導入された混合被加熱媒体Wmは、被加熱媒体液Wqと被加熱媒体蒸気Wvとが分離される。分離された被加熱媒体液Wqは、気液分離器80の下部に貯留され、再び吸収器10の加熱管11に送られる。他方、分離された被加熱媒体蒸気Wvは、被加熱媒体蒸気供給管89に導出され、蒸気利用場所に供給される。
再び吸収ヒートポンプ1の溶液側のサイクルの説明に戻る。吸収器10で蒸発器冷媒蒸気Veを吸収した濃溶液Saは、濃度が低下して希溶液Swとなり、貯留部13に貯留される。貯留部13内の希溶液Swは、重力及び内圧の差により再生器30に向かって希溶液管16を流れ、補給水熱交換器87Aで補給水Wsと熱交換して温度が低下した後に、溶液熱交換器38で濃溶液Saと熱交換してさらに温度が低下して、再生器30に至る。再生器30に送られた希溶液Swは、希溶液散布ノズル32から散布される。希溶液散布ノズル32から散布された希溶液Swは、熱源管31を流れる熱源温水h(本実施の形態では約80℃前後)によって加熱され、散布された希溶液Sw中の冷媒が蒸発して濃溶液Saとなり、再生器30の下部に貯留される。他方、希溶液Swから蒸発した冷媒Vは再生器冷媒蒸気Vgとして凝縮器40へと移動する。再生器30の下部に貯留された濃溶液Saは、溶液ポンプ36により、濃溶液管35を介して吸収器10の濃溶液散布ノズル12に圧送される。このとき、吸収器10の貯留部13に貯留された希溶液Swが所定の液位になるように、吸収器液位検出器14の検出液位に応じてインバータ36vにより溶液ポンプ36の回転速度(ひいては吐出流量)が調節される。濃溶液管35を流れる濃溶液Saは、溶液熱交換器38で希溶液Swと熱交換して温度が上昇してから吸収器10に流入し、濃溶液散布ノズル12から散布される。以降、同様のサイクルを繰り返す。
上記のような吸収溶液S及び冷媒Vのサイクルを行う吸収ヒートポンプ1は、吸収ヒートポンプサイクルを行う主要構成機器である吸収器10、蒸発器20、再生器30、及び凝縮器40の内部が大気圧以下であるため大気が侵入する場合がある。大気はその中でも低圧となる再生器30及び凝縮器40に侵入しやすい。また、再生器30で発生した再生器冷媒蒸気Vgが凝縮器40に移動することから、全体のガスの流れは再生器30から凝縮器40に向かっているので、再生器30に侵入した大気は凝縮器40に収集される傾向にある。この大気が不凝縮ガスNgとして吸収ヒートポンプ1内に滞留すると能力が低下するため、吸収ヒートポンプ1は、以下に説明するように内部の不凝縮ガスNgを抽気することとしている。
まず、凝縮器40内の不凝縮ガスNgを抽気タンク62に収集する収集工程について説明する。収集工程の際は、導出弁62vが閉となっており、凝縮器抽気遮断弁64v及び戻り溶液遮断弁67vが開となっている。溶液ポンプ36の作動により、再生器30内の濃溶液Saは、濃溶液管35を流れて吸収器10に圧送されると共に、一部が分流して駆動溶液供給管65に流入する(以下、駆動溶液供給管65に流入した濃溶液Saの濃度を不問とするため単に「溶液S」という。)。駆動溶液供給管65に流入した溶液Sは、溶液ポンプ36の圧力により、エジェクタ61を通過し、気液混合管66を流れて抽気タンク62に流入する。溶液Sがエジェクタ61を通過することで、導入口61aに接続された凝縮器抽気管64を介して凝縮器40内の不凝縮ガスNgがエジェクタ61に吸引される。このとき、凝縮器40内の再生器冷媒蒸気Vgも不凝縮ガスNgと共にエジェクタ61に吸引されてしまう(以下、エジェクタ61に吸引された再生器冷媒蒸気Vgを単に「冷媒V」という。)。エジェクタ61に吸引された不凝縮ガスNg及び冷媒Vの蒸気は、溶液Sと混合した状態で抽気タンク62に流入する。
抽気タンク62に流入した溶液S、不凝縮ガスNg、及び冷媒Vの蒸気は、抽気タンク62内で気液分離される。つまり、溶液Sと不凝縮ガスNgとは液体と気体とに分離される。冷媒Vの蒸気は、一部は気液混合管66内を移動する際に溶液Sに吸収され、残りは冷媒Vの蒸気のまま不凝縮ガスNgと混合した状態にある。抽気タンク62内で分離された溶液Sは、戻り溶液管67を流れて再生器30に戻される。他方、抽気タンク62内で分離された不凝縮ガスNgと冷媒Vの蒸気の混合気体は、導出弁62vが閉じられており、気液混合管66及び戻り溶液管67が液シール構造になっているため、抽気タンク62内に滞留する。このようにして、不凝縮ガスNgは、冷媒Vの蒸気と共に、抽気タンク62内に収集される。なお、吸収ヒートポンプ1の停止中で、溶液Sの流れが停止している状態でも、気液混合管66及び戻り溶液管67が液シール構造になっているため、不凝縮ガスNgは抽気タンク62内に保持される。
なお、吸収ヒートポンプ1は、缶胴を構成する鋼材が吸収溶液と反応して水素ガスが発生する。水素ガスは吸収ヒートポンプサイクル内で比較的高温となる吸収器10で多く発生する。水素ガスも、吸収ヒートポンプサイクル内及び大気圧下で凝縮しない不凝縮ガスNgである。水素ガスも不凝縮ガスNgであるから、吸収ヒートポンプ1内に滞留すると能力が低下する。したがって、制御装置99は、連通管15に設けられた連通遮断弁15vを断続的に開閉させる。連通遮断弁15vが開いたときに連通する吸収器10及び再生器30は、再生器30の方が低圧なため、連通遮断弁15vが開いたときに吸収器10内の不凝縮ガスNgが再生器30に移動する。吸収器10内の不凝縮ガスNgを再生器30に移動させているので、溶液Sが不凝縮ガスNgに同伴しても、冷媒Vの系統(蒸発器20及び凝縮器40)の内部を溶液Sで汚すことがない。再生器30に移動した水素ガスも、再生器30に侵入した大気と同様に凝縮器40に移動し、不凝縮ガスNgとしてエジェクタ61に吸引される。このように、抽気タンク62に収集された不凝縮ガスNgには、大気の他に水素ガスも含まれうる。
次に抽気タンク62に収集された不凝縮ガスNgを抽気タンク62の外に排出する排出工程について説明する。排出工程に移行したら、まず、制御装置99は、凝縮器抽気遮断弁64v及び戻り溶液遮断弁67vを閉にする。このとき、導出弁62vは閉じたままである。溶液ポンプ36も作動している。すると、凝縮器40内の不凝縮ガスNg及び冷媒Vの蒸気はエジェクタ61に吸引されないが、溶液Sは溶液ポンプ36により抽気タンク62に圧送される。これにより、抽気タンク62内の溶液Sの液位が上昇していき、抽気タンク62内の気体(不凝縮ガスNgと冷媒Vの蒸気との混合気体)は圧縮される。抽気タンク62内の冷媒Vの蒸気は、その分圧が高くなると凝縮して抽気タンク62内の溶液Sと混合される(冷媒Vの蒸気が溶液Sに吸収される)。抽気タンク62内の溶液Sの液位が上昇するほど、冷媒Vの蒸気の分圧は高くなり、冷媒Vは凝縮する。そして、ついには、抽気タンク62内の気体のほとんどが不凝縮ガスNgとなる。このときの不凝縮ガスNgの圧力は大気圧以上となっている。このように、凝縮器抽気遮断弁64v及び戻り溶液遮断弁67vを閉じてから、抽気タンク62内の冷媒Vの蒸気が機外に排出されても吸収ヒートポンプサイクルに影響を与えない程度の量になるまでの時間を所定の時間と規定して、所定の時間が経過したら制御装置99は導出弁62vを開にする。このとき補助タンク63の排出弁63vは閉じられている。なお、機外に排出されても吸収ヒートポンプサイクルに影響を与えない程度の冷媒Vの蒸気の量は、例えば、当該吸収ヒートポンプサイクルと同じ露点温度の吸収冷凍サイクルをもつ吸収冷凍機の吸収器から不凝縮ガスを抽気した際に同伴される冷媒の蒸気の量と同程度の量である。
導出弁62vが開になると、不凝縮ガスNgが補助タンク63に移動する。この不凝縮ガスNgの移動に伴って補助タンク63の内圧は上昇するので、移動量は抽気タンク62の内圧に依存する。このとき、抽気タンク62内の溶液Sの液位が上昇するが、溶液Sの液面の上昇と共に上昇するフロート62fが短管62pと連通する開口を塞ぐので、溶液Sが補助タンク63に流入することを防ぐことができる。フロート62fが短管62pと連通する開口を塞いだ場合は、抽気タンク62からの不凝縮ガスNgの導出も完了する。典型的には、上昇したフロート62fがスイッチ(不図示)を投入して、あるいは電極棒を利用した液面スイッチのような他の液面スイッチ(不図示)が作動して、制御装置99に信号を送信する構成としておくと、抽気タンク62からの不凝縮ガスNgの導出の完了を検出することができるので好ましい。あるいは、例えば制御装置99が導出弁62vを開にしてからの時間を計測し、あらかじめ測定しておいた不凝縮ガスNgの導出が完了するまでの時間に基づいて不凝縮ガスNgの導出の完了を検出してもよい。不凝縮ガスNgの導出が完了したら、制御装置99は、導出弁62vを閉じ、戻り溶液遮断弁67vを開放し、さらに凝縮器抽気遮断弁64vを開けて、収集工程を再開する。これと同時に制御装置99は、排出弁63vを開放して補助タンク63内の不凝縮ガスNgを機外に排出する。なお、排出弁63vに代えて、補助タンク63の内側から外側に向かって流体を流すが逆向きの流れを阻止する逆止弁(チェッキ弁)を用いてもよい。チェッキ弁を用いると、補助タンク63の内圧が大気圧以上になれば不凝縮ガスNgが排出され、補助タンク63の内圧はほぼ大気圧一定となり、抽気タンク62からの不凝縮ガスNgの排出量を多くすることができる。また、抽気タンク62又は補助タンク63の内圧を圧力センサ(不図示)で検出し、圧力センサ(不図示)が大気圧を超える圧力を検出しているときに排出弁63vを開放するようにしてもよい。
なお、排出工程において、短管62pと連通する開口とフロート62fとの間に異物が挟まる等により、開口がフロート62fで閉塞されない場合は、抽気タンク62内の溶液Sが抽気タンク62から排出される場合がある。しかし、抽気タンク62から排出された溶液Sは補助タンク63に貯留されるので、溶液Sが機外に搬出されることを防ぐことができる。補助タンク63内に溶液Sが貯留され、上昇した補助タンク63内の溶液Sが所定の液位になると、液位センサ63sが溶液Sを検出して制御装置99に信号を送信する。液位センサ63sから信号を受信した制御装置99は、警報を発報すると共に、戻り溶液遮断弁67vを開放する。すると、抽気タンク62内の溶液Sは再生器30に向かって流れ、抽気タンク62内の溶液Sの液面の上昇が止まる。このとき、制御装置99は、吸収ヒートポンプ1を停止するための希釈運転に移行するようにしてもよい。あるいは、戻り溶液遮断弁67vを開放すると共に凝縮器抽気遮断弁64vも開放して、不凝縮ガスNgを抽気タンク62に収集する収集工程に移行するようにしてもよい。収集工程に移行した後で排出工程を数回試みて、開口がフロート62fで閉塞されない状態が改善されているか確認するようにしてもよい。改善されていれば、上述したように収集工程と排出工程とを適宜繰り返せばよい。改善されていない場合は、漏洩部の補修が終了するまで排出工程の動作を制限することが好ましい。なお、補助タンク63に貯留された溶液Sは、開閉弁69vが開けられたときにレタンパイプ69を介して抽気タンク62に戻される。なお、レタンパイプ69及び開閉弁69vを省略すると共に、導入管63rを補助タンク63内に突出させずに導入管63rの端部が補助タンク63の底板と同一面上になるようにし、導入管63r、導出弁62v、及び短管62pを介して補助タンク63に貯留された溶液Sを抽気タンク62に戻すようにしてもよい。
引き続き図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ2について説明する。吸収ヒートポンプ2の、吸収ヒートポンプ1(図1参照)との異なる点は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)で設けられていた連通管15(図1参照)に代えて、吸収器10の内部と抽気タンク62内とを直接連通する第2の抽気流路としての吸収器抽気管68が設けられている点である。このように構成すると、吸収器10で発生した不凝縮ガスNg(典型的には水素ガス)を、再生器30及び凝縮器40を介さずに抽気タンク62内に導くことができる。吸収器抽気管68には、不凝縮ガスNgの流通を遮断する抽気遮断弁としての吸収器抽気遮断弁68vが配設されている。吸収器抽気遮断弁68vは、制御装置99と信号ケーブルで接続されており、制御装置99からの制御信号により開閉動作が制御されるように構成されている。また、吸収ヒートポンプ2では、冷媒熱交換器48よりも上流側の冷媒液管45と駆動溶液供給管65とに、冷媒液Vfと溶液Sとの間で熱交換を行わせる駆動溶液熱交換器49が挿入配置されている点も、吸収ヒートポンプ1(図1参照)とは異なっている。なお、駆動溶液熱交換器49は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)に設けられていてもよい。逆に、吸収ヒートポンプ2は、駆動溶液熱交換器49を備えなくてもよい。上記以外の吸収ヒートポンプ2の構成は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)の構成と同様である。
上記のように構成された吸収ヒートポンプ2では、駆動溶液供給管65を流れる溶液Sが、駆動溶液熱交換器49で冷媒液Vfと熱交換をして温度が低下した後にエジェクタ61に導入される。エジェクタ61に導入される溶液Sの温度を低下させることで、抽気タンク62内における不凝縮ガスNgに同伴して導入された冷媒Vの蒸気を吸収する能力を高めることができる。また、吸収ヒートポンプ2における吸収器10からの抽気は、収集工程において、吸収ヒートポンプ1(図1参照)における連通遮断弁15v(図1参照)の動作と同じ要領で、吸収器抽気遮断弁68vを断続的に開閉させればよい。収集工程においては、吸収器10の内圧よりも抽気タンク62の内圧の方が低くなるので、吸収器抽気遮断弁68vを開にすることにより、吸収器10内の不凝縮ガスNgを抽気タンク62に導くことができる。上記以外の吸収ヒートポンプ2の作用は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)の作用と同様である。
次に図3を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ3について説明する。吸収ヒートポンプ3は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)で設けられていた連通遮断弁15v(図1参照)に代えて三方弁15wを設け、三方弁15wの連通管15が接続されていないポートに吸収ヒートポンプ2(図2参照)に設けられているのと同様の吸収器抽気管68が接続されている。これにより、吸収ヒートポンプ3では、吸収器10の不凝縮ガスNgを、再生器30又は抽気タンク62に選択的に導くことができるように構成されている。三方弁15wは、制御装置99と信号ケーブルで接続されており、制御装置99からの制御信号により流路が切り替えられるように構成されている。吸収ヒートポンプ3は、吸収ヒートポンプ2(図2参照)と同様に、駆動溶液熱交換器49が設けられているが、駆動溶液熱交換器49が設けられていなくてもよい。上記以外の吸収ヒートポンプ3の構成は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)の構成と同様である。
上記のように構成された吸収ヒートポンプ3では、収集工程において、三方弁15wの流路を切り替えることにより、吸収器10内の不凝縮ガスNgを再生器30に導入するのか、抽気タンク62に直接導入するのかを選択することができる。不凝縮ガスNgを再生器30に導入した場合は、不凝縮ガスNgが凝縮器40に移動した後にエジェクタ61で吸引されるので、機内に残存する不凝縮ガスNgの量を低減することができる。他方、不凝縮ガスNgを抽気タンク62に直接導入した場合は、不凝縮ガスNgが凝縮器40を通過することに起因する凝縮器40の伝熱性能の低下を抑制することができる。三方弁15wの流路の切換は、凝縮器40に導入される冷却水cの温度に応じて決定してもよい。この場合、凝縮器40の冷却水管41に導入される冷却水cの温度を検出する冷却水温度センサ43を設け、冷却水温度センサ43で検出された温度が所定の温度未満のときは不凝縮ガスNgを再生器30に導入し、所定の温度以上のときは不凝縮ガスNgを抽気タンク62に直接導入するように、三方弁15wを切り替えることとしてもよい。このような制御により、冷却水cの温度が低いときは凝縮の温度差が大きくなるために凝縮器40の能力に余裕ができるので、凝縮器40における伝熱性能の低下を抑制することよりも、不凝縮ガスNgの抽気能力を高めることを優先させている。他方、冷却水cの温度が高いときは、冷却水cの温度が低いときに比べて凝縮器40の能力に余裕がなくなるので、凝縮器40における伝熱性能の低下を抑制することを優先させている。
次に図4を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ4について説明する。吸収ヒートポンプ4の、吸収ヒートポンプ1(図1参照)との異なる点は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)で設けられていたエジェクタ61(図1参照)及び気液混合管66を構成から除外し、吸収ヒートポンプ2(図2参照)で設けたのと同様の駆動溶液熱交換器49を冷却装置として駆動溶液供給管65に設けたうえで、駆動溶液供給管65を抽気タンク62の底部に接続し(以下、エジェクタ61(図1参照)に接続されている駆動溶液供給管65と区別するために参照符号を「65A」で示す)、凝縮器抽気管64を抽気タンク62の上部に接続した(以下、エジェクタ61(図1参照)に接続されている凝縮器抽気管64と区別するために参照符号を「64A」で示す)構成としている。上記以外の吸収ヒートポンプ4の構成は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)の構成と同様である。
上記のように構成された吸収ヒートポンプ4では、収集工程において、駆動溶液供給管65Aを流れる溶液Sが、駆動溶液熱交換器49で温度が低下した後に抽気タンク62内に流入する。温度が低下した溶液Sが抽気タンク62に流入すると、抽気タンク62内の蒸気圧が低下して内圧が低下するため、この状態で凝縮器抽気遮断弁64vを開くと凝縮器40内の不凝縮ガスNgが抽気タンク62に移動する。このようにして、凝縮器40内の不凝縮ガスNgを抽気タンク62に収集することができる。上記以外の収集工程、及び排出工程における作用は、吸収ヒートポンプ1(図1参照)の作用と同様である。
次に図5を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ5について説明する。吸収ヒートポンプ5は、二段昇温型の吸収ヒートポンプとして構成されており、図1〜4に示されている吸収ヒートポンプ1〜4における吸収器10及び蒸発器20が、高温側の高温吸収器10H及び高温蒸発器20Hと、低温側の低温吸収器10L及び低温蒸発器20Lとに分かれている。高温吸収器10Hは低温吸収器10Lよりも内圧が高く、高温蒸発器20Hは低温蒸発器20Lよりも内圧が高い。高温吸収器10Hと高温蒸発器20Hとは、高温蒸発器20Hの冷媒Vの蒸気を高温吸収器10Hに移動させることができるように上部で連通している。低温吸収器10Lと低温蒸発器20Lとは、低温蒸発器20Lの冷媒Vの蒸気を低温吸収器10Lに移動させることができるように上部で連通している。被加熱媒体液Wqは、高温吸収器10Hで加熱される。熱源温水hは、低温蒸発器20Lに導入される。低温吸収器10Lは低温蒸発器20Lから移動してきた冷媒Vの蒸気を溶液Sが吸収する際の吸収熱で高温蒸発器20H内の冷媒液Vfを加熱して高温蒸発器20H内に冷媒Vの蒸気を発生させ、発生した高温蒸発器20H内の冷媒Vの蒸気は高温吸収器10Hに移動して高温吸収器10H内の溶液Sに吸収される際の吸収熱で被加熱媒体液Wqを加熱するように構成されている。
吸収ヒートポンプ5では、不凝縮ガスNgである水素ガスが高温吸収器10Hにも低温吸収器10Lにも発生しうる。したがって、高温吸収器10H内の不凝縮ガスNgを作動圧力が低い低温吸収器10Lに導く連通管15Hが、高温吸収器10Hの気相部と低温吸収器10Lの気相部とに接続されている。また、低温吸収器10Lの気相部には連通管15Lの一端が挿入されており、連通管15Lの他端は三方弁15wに接続されている。三方弁15w以下は、吸収ヒートポンプ3(図3参照)と同様に、連通管15が再生器30に接続され、吸収器抽気管68が抽気タンク62に接続されている。この他、抽気を行うための構成(エジェクタ61や抽気タンク62等)及び抽気の作用は、吸収ヒートポンプ1〜4と同様である。なお、図示は省略するが、例えば、吸収ヒートポンプ5においてもエジェクタ61に代えて冷却装置としての駆動溶液熱交換器49を設けることとしてもよい。
以上で説明した吸収ヒートポンプ1〜5によれば、抽気タンク62内に収集された不凝縮ガスNgを、真空引きではなく、抽気タンク62内の圧力を高めることで導出させているので、不凝縮ガスNgに同伴して抽気タンク62に収集された冷媒Vの蒸気が気体のままで機外に排出されることを低減することができる。仮に不凝縮ガスNgを真空引きした場合についての影響を、以下に補足する。例えば、吸収ヒートポンプと類似の構成を有する吸収冷凍機の場合、吸収器から不凝縮ガスを吸引し、その際に同伴される冷媒の蒸気は露点温度で5〜6℃である。他方、昇温型吸収ヒートポンプの場合、凝縮器から不凝縮ガスを吸引し、その際に同伴される冷媒の蒸気は露点温度で30〜40℃であり、同伴される冷媒蒸気の蒸気圧が吸収冷凍機よりも高くなっている。このように、冷媒に水(HO)、吸収剤に臭化リチウム(LiBr)などの塩類水溶液を用いる昇温型吸収ヒートポンプでは、冷凍機の場合に比べ蒸気圧が6〜8倍程度高くなっている。したがって、昇温型吸収ヒートポンプにおいては、抽気の際に不凝縮ガスに同伴する冷媒の蒸気の量が多くなるため、抽気タンクから不凝縮ガスを真空引きしようとすると、多量の冷媒の蒸気が機外に排出されてしまう。しかしながら、吸収ヒートポンプ1〜5によれば、上述のように、冷媒の蒸気が機外に排出されることを低減することができる。また、抽気に際して真空引きを行わないため、真空ポンプ等の真空引きに必要な装置が不要となり、吸収ヒートポンプの構成が簡素化されて、信頼性も向上する。
以上の説明では、補助タンク本体63b内に液位センサ63sが設けられているとしたが、液位センサ63sに代えて漏洩検出器(不図示)を設けてもよい。この場合、補助タンク本体63bから溢れた溶液Sを受ける溶液受けを補助タンク本体63bの外周に設け、この溶液受けに漏洩検出器を設けるとよい。
以上の説明では、各弁の動作が制御装置99によって制御されることとしたが、各弁の操作を手動で行うこととしてもよい。この場合は、弁を自動弁にしなくて済むため構成が簡素化されると共に安価で吸収ヒートポンプを構築でき、信頼性も向上する。
以上の説明では、吸収器10と再生器30とが連通管15で連通された吸収ヒートポンプにおいて、連通管15に設けられた連通遮断弁15を断続的に開閉して吸収器10内の不凝縮ガスNgを断続的に抽気することとしたが、連通遮断弁15vに代えてオリフィスを設けて吸収器10から再生器30に移動する冷媒Vの蒸気の量を制限することとしてもよい。この場合は、自動弁や自動制御に必要な構成が不要ななるため、装置構成が簡素化されて信頼性を向上させることができる。
以上の説明では、抽気タンク62において、フロート62fが短管62pと連通する開口を塞ぐこととしたが、フロート62fに代えて、抽気タンク62内の溶液Sの液位を検出する液面センサ(不図示)と、この液面センサが所定の液位を検出したときに抽気タンク62から補助タンク63に至る流路を遮断する自動弁を設ける構成としてもよい。
以上の説明では、吸収器及び蒸発器が単段(吸収ヒートポンプ1〜4)又は二段(吸収ヒートポンプ5)である例を示したが、三段以上の多段昇温型の吸収ヒートポンプとしてもよい。
本発明の第1の実施の形態に係る吸収ヒートポンプの模式的系統図である。 本発明の第2の実施の形態に係る吸収ヒートポンプの模式的系統図である。 本発明の第3の実施の形態に係る吸収ヒートポンプの模式的系統図である。 本発明の第4の実施の形態に係る吸収ヒートポンプの模式的系統図である。 本発明の第5の実施の形態に係る吸収ヒートポンプの模式的系統図である。
符号の説明
1〜5 吸収ヒートポンプ
10 吸収器
15 連通管
20 蒸発器
30 再生器
35 濃溶液管
36 溶液ポンプ
40 凝縮器
43 冷却水温度検出器
49 駆動溶液熱交換器
61 エジェクタ
62 抽気タンク
62h 導出口
63 補助タンク
63h 排出口
63s 液位センサ
64 凝縮器抽気管
64v 凝縮器遮断弁
65 駆動溶液供給管
66 気液混合管
67 戻り溶液管
67v 戻り溶液遮断弁
68 吸収器抽気管
68v 吸収器抽気遮断弁
Ng 不凝縮ガス
S 溶液
Sa 濃溶液
Sw 希溶液
V 冷媒
Ve 蒸発器冷媒蒸気
Vg 再生器冷媒蒸気
Vf 冷媒液
Wq 被加熱媒体液

Claims (9)

  1. 吸収溶液が冷媒を吸収して濃度が低下した希溶液を導入し、前記希溶液を加熱して前記希溶液中から冷媒を蒸発させると共に前記希溶液よりも濃度が上昇した濃溶液とする再生器と;
    前記再生器で発生した冷媒の蒸気を導入し冷却し凝縮させる凝縮器と;
    前記凝縮器内に存在する不凝縮ガスを前記凝縮器内から抜き出す第1の抽気流路と;
    前記第1の抽気流路を介して抜き出された不凝縮ガスを集める抽気タンクであって、内部の不凝縮ガスを導出する導出口が形成された抽気タンクと;
    前記再生器内の吸収溶液を前記抽気タンクに導く抽気溶液流路と;
    前記抽気タンク内の前記吸収溶液を前記再生器に導く戻り溶液流路と;
    前記第1の抽気流路に設けられ、前記抽気タンクの側から前記凝縮器への流体の逆流を防ぐ抽気逆流防止弁と;
    前記抽気溶液流路に設けられ、前記吸収溶液を前記抽気タンクに圧送する抽気溶液ポンプと;
    前記戻り溶液流路に設けられ、前記戻り溶液流路内の前記吸収溶液の流れを遮断可能な戻り溶液遮断弁とを備え;
    前記抽気溶液ポンプで前記吸収溶液を前記抽気タンクに圧送することにより前記凝縮器内から前記第1の抽気流路を介して前記抽気タンクへ不凝縮ガスを抜き出すように構成され;
    前記抽気逆流防止弁で流体の逆流が防止され、前記戻り溶液遮断弁で前記戻り溶液流路が遮断され、かつ前記抽気溶液ポンプで前記吸収溶液を前記抽気タンクに圧送することにより、前記抽気タンク内の不凝縮ガスを前記導出口を介して導出するように構成された;
    吸収ヒートポンプ。
  2. 前記第1の抽気流路及び前記抽気溶液流路に設けられたエジェクタであって、前記吸収溶液が通過する際に前記凝縮器内の不凝縮ガスを吸引するエジェクタを備える;
    請求項1に記載の吸収ヒートポンプ。
  3. 前記抽気溶液流路を流れる前記吸収溶液を冷却する冷却装置を備え;
    前記冷却装置で冷却された前記吸収溶液を前記抽気タンクに導入して前記抽気タンク内の圧力を低下させることにより、前記第1の抽気流路を介して抜き出された不凝縮ガスを前記抽気タンクに収集するように構成された;
    請求項1に記載の吸収ヒートポンプ。
  4. 前記導出口が開閉可能に構成され、前記抽気逆流防止弁で流体の逆流が防止され及び前記戻り溶液遮断弁で前記戻り溶液流路が遮断されてから所定の時間が経過した後に前記導出口が開放されるように構成された;
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吸収ヒートポンプ。
  5. 前記導出口から導出された不凝縮ガスを受け入れる補助タンクであって、内部の不凝縮ガスを排出する排出口が形成された補助タンクを備える;
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の吸収ヒートポンプ。
  6. 前記補助タンクに前記導出口を介して導入された不凝縮ガスに同伴して導入された前記吸収溶液の、前記補助タンク内における液位を検出する液位検出器又は前記補助タンクからの漏洩を検出する漏洩検出器を備え;
    前記液位検出器が所定の液位を検出したとき又は前記漏洩検出器が漏洩を検出したときに前記戻り溶液遮断弁を開放するように構成された;
    請求項5に記載の吸収ヒートポンプ。
  7. 前記凝縮器で凝縮された冷媒の液を導入し加熱して蒸発させる蒸発器と;
    前記再生器で生成された前記濃溶液を導入すると共に前記蒸発器で蒸発した冷媒の蒸気を導入し、前記濃溶液が前記冷媒の蒸気を吸収する際に生じる吸収熱で被加熱媒体を加熱する吸収器と;
    前記吸収器内の不凝縮ガスを前記再生器に導く連通管とを備える;
    請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の吸収ヒートポンプ。
  8. 前記凝縮器で凝縮された冷媒の液を導入し加熱して蒸発させる蒸発器と;
    前記再生器で生成された前記濃溶液を導入すると共に前記蒸発器で蒸発した冷媒の蒸気を導入し、前記濃溶液が前記冷媒の蒸気を吸収する際に生じる吸収熱で被加熱媒体を加熱する吸収器と;
    前記吸収器内の不凝縮ガスを前記抽気タンクに導く第2の抽気流路と;
    前記第2の抽気流路に設けられ、前記第2の抽気流路内のガスの流れを遮断可能な抽気遮断弁とを備える;
    請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の吸収ヒートポンプ。
  9. 前記吸収器内の不凝縮ガスを前記再生器に導く連通管を備える;
    請求項8に記載の吸収ヒートポンプ。
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