JP2010096224A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】マニュアルモードで自動シフトアップが可能な自動変速機に対し、自動アップシフト線とダウンシフト許可線との間のヒステリシスを適正化し、手動変速可能領域の拡大を図ることが可能な自動変速機の変速制御装置を提供する。
【解決手段】自動アップシフト線とダウンシフト許可線との間のヒステリシスを、アクセル開度が小さいほど小さく設定する。これにより、アクセル開度が大きくハンチングが発生しやすい状況に対して、ダウンシフトとアップシフトとの時間間隔が極端に小さくなってしまうことを抑制する。一方、アクセル開度が小さくハンチングが発生し難い状況に対して、マニュアルダウンシフト可能領域を高回転側に拡大することができ、高車速域から運転者のマニュアルダウンシフト要求に応えることが可能になる。
【選択図】図7

Description

本発明は、自動変速機の変速制御装置に係る。特に、本発明は、手動変速が可能なマニュアルモード(手動変速モード)を備え、このマニュアルモードでの自動アップシフトが可能な自動変速機における手動変速可能領域の拡大を図るための対策に関する。
従来より、例えば下記の特許文献1〜特許文献3に開示されているようなマニュアルモード付き自動変速機が知られている。この種の自動変速機では、マニュアルモードが選択されている場合に、エンジン回転数が所定の上限値に達する状況になった際、自動でアップシフトしてエンジンのオーバーレブ(オーバーレボリューション:過回転)を防止するようになっている。
また、上記マニュアルモードでは、ドライバの要求に応じてダウンシフトが可能であるが、ドライバのダウンシフト操作(シフトレバーの操作)によって変速機がダウンシフトした直後にエンジン回転数が上昇して上記自動アップシフトが実行されてしまうと、ドライバがハンチングによる違和感を覚えてしまう。このため、自動アップシフトが行われる出力軸回転数(自動変速機の出力軸回転数)とダウンシフトを可能にする出力軸回転数との間にヒステリシスを設けておき、上記ハンチングを抑制するようにしている。
具体的には、図8に示すように出力軸回転数(横軸)とアクセル開度(縦軸)とをパラメータとして規定される自動アップシフトマップ上に、高回転側に自動アップシフト線(図中の実線)を、低回転側にダウンシフト許可線(図中の破線)をそれぞれ設定しておき、オーバーレブを防止するために設定されている自動アップシフト線に対して一定のヒステリシスを存してダウンシフト許可線を規定している。これにより、ドライバのダウンシフト操作に伴うダウンシフトの直後に自動アップシフトが実行されてしまうといったハンチングの発生を防止している。
特開平11−294570号公報 特開2007−198413号公報 特開2007−139124号公報
これまで、上記ヒステリシスは、以下の述べるような技術的思想により規定されていた。つまり、アクセル開度が比較的大きな領域では、エンジントルクが高いため、単位時間当たりにおける出力軸回転数の上昇量も大きい。このため、上記ヒステリシスを小さく設定してしまうと、出力軸回転数がダウンシフト許可線よりも低い状況でマニュアルダウンシフトを行っても、その後、短時間のうちに出力軸回転数が自動アップシフト線を超えて自動アップシフトが行われてしまう可能性がある。従って、上記ヒステリシスとしては、このマニュアルダウンシフトを行った後に出力軸回転数が自動アップシフト線を超えるまでの時間が十分に確保されるようなヒステリシス(出力軸回転数が急速に上昇しても自動アップシフト線を超えるまでには所定以上の時間(ハンチングを招かない時間)が確保できるようなヒステリシス)が必要である。
そして、これまでは、上記技術的思想により規定されるヒステリシスをアクセル開度の全域に亘って一律に設定していた。
本発明の発明者らは、上記ヒステリシスの最適化について検討を行った。そして、上述した如くヒステリシスがアクセル開度の全域に亘って一律に設定されている場合、以下に述べるような課題があることを見出した。
つまり、アクセル開度が比較的小さい領域でも上述の如き比較的大きなヒステリシス(アクセル開度が比較的大きい領域と同等のヒステリシス)が設定されていたため、この領域(アクセル開度が比較的小さい領域)でのダウンシフト許可線としては、かなり出力軸回転数が低い領域(低車速領域)に設定されてしまっていた。
これでは、アクセル開度が比較的小さい場合にドライバにダウンシフト要求が生じたとしても、車速が十分に低下するまでダウンシフトが実行できない状況を招いてしまう。例えば降坂路走行時でのダウンシフトによりエンジンブレーキ力を高めたいといった要求が生じているにも拘わらず、車速が高いために出力軸回転数がダウンシフト許可線よりも高くなっている可能性が高く、この状況ではダウンシフトが実行できない。このため、上記ドライバのダウンシフト要求に応えることができなかった。言い換えると、従来では、ダウンシフトを実行しても出力軸回転数が上記自動アップシフト線を超えることがなく、且つダウンシフトの実行後に出力軸回転数が急速に上昇して上記自動アップシフト線を超えてしまう可能性もないような車両走行状況であっても、上記ヒステリシスが設定されてダウンシフト許可線が低車速側に規定されていたためにダウンシフトが規制されてしまい、手動変速可能領域が大きく制約されしまっていた。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記自動アップシフト線とダウンシフト許可線との間のヒステリシスを適正化し、手動変速可能領域の拡大を図ることが可能な自動変速機の変速制御装置を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、回転動力源(エンジン等)のトルクやそのトルクに相関のある物理量、または、回転動力源から駆動輪までの動力伝達経路における何れかの回転体の回転加速度に応じ、これら値が比較的高く上記ハンチングが発生しやすい状況に対しては上記ヒステリシスを大きく設定しておく。一方、上記回転動力源のトルクやそのトルクに相関のある物理量、または、上記回転体の回転加速度が比較的低く上記ハンチングが発生し難い状況に対しては上記ヒステリシスを小さく設定しておく。これにより、前者の状況で、ダウンシフトとアップシフトとの時間間隔が極端に小さくなってしまうことによるハンチングの発生を抑制することができる。また、後者の状況での手動変速可能領域(ダウンシフト可能領域)を高回転側に拡大することができ、従来よりも高い回転数(例えば高車速域)から運転者の要求(マニュアルダウンシフト要求)に応えることが可能になる。
−解決手段−
具体的に、本発明は、運転者の手動ダウンシフト操作に応じてダウンシフトを行うマニュアルモードでの変速が可能である一方、このマニュアルモード時に回転動力源の回転速度が所定の許容上限速度に達する状況になった際、変速比を小さくする自動アップシフトを行う自動変速機の変速制御装置を前提としている。この自動変速機の変速制御装置に対し、上記自動アップシフトを実行する回転速度である、自動変速機の出力軸、自動変速機内部の回転部材、回転動力源の出力軸の何れかの回転体の許容上限速度と、上記手動ダウンシフト操作に応じたダウンシフトを許可する上記回転体のダウンシフト許可上限速度との間にヒステリシスを設ける。そして、このヒステリシスを、上記回転動力源のトルクまたはそのトルクに相関のある物理量をパラメータとして設定している。
ここで、上記「回転動力源の回転速度が所定の許容上限速度に達する状況になった際」とは、回転動力源自体の回転速度が許容上限速度に達した場合に限らず、この回転動力源から駆動輪までの動力伝達経路における何れかの回転体の回転速度が許容上限速度に達した場合も含んでいる。
上記ヒステリシスの設定手法として具体的には、上記回転動力源のトルクに相関のある物理量は運転者の操作によるアクセル開度であり、このアクセル開度が小さいほど上記ヒステリシスを小さく設定すること、上記回転動力源のトルクが小さいほど上記ヒステリシスを小さく設定すること、上記回転動力源のトルクに相関のある物理量は上記流体式トルク伝達装置(所謂トルクコンバータ)の内部における滑り量であり、この滑り量が小さいほど上記ヒステリシスを小さく設定することが挙げられる。
これら特定事項により、マニュアルモード時、運転者が手動により設定している現在の変速段において回転動力源の回転速度が許容上限速度に達する状況(例えば、変速比が比較的大きい変速段に設定され且つ車速が高い状況)になると、変速機は自動的に変速比を小さくする自動アップシフトを行う。これにより、回転動力源の回転速度を低下させる。
また、回転動力源のトルクまたはそのトルクに相関のある物理量(上記アクセル開度、回転動力源のトルク、流体式トルク伝達装置の内部における滑り量)が比較的大きい場合には、手動ダウンシフト後、短時間の間に上記回転体の回転速度が許容上限速度まで上昇するといった状況を招かないように、つまり、自動アップシフトが実行されるまでの時間が十分に確保されるように、比較的大きなヒステリシスが設定されている。
一方、上記物理量が比較的小さい場合には、回転動力源のトルクが低いために、手動ダウンシフトが行われても短時間の間に上記回転体の回転速度が急速に高くなる可能性は低い。このため、この物理量が比較的小さな領域では、上記ヒステリシスを小さく設定したとしても、回転体の回転速度が、自動アップシフトを実行する速度に達するまでの時間が十分に確保される。つまり、ヒステリシスを小さく設定しても上記ハンチングの発生は招かない。このため、この物理量が比較的小さな領域では、上記ヒステリシスを小さく設定することにより、ダウンシフト許可領域を高回転側に拡大することができる。
このように、回転動力源のトルクまたはそのトルクに相関のある物理量をパラメータとして上記ヒステリシスを設定していることで、上記ハンチングの発生を防止しながらも、手動ダウンシフト可能領域を高回転側に拡大することができ、運転者の手動ダウンシフト要求に応えることが可能になって、車両の操作性の向上を図ることができる。
上記目的を達成するための他の解決手段としては以下のものも挙げられる。
運転者の手動ダウンシフト操作に応じてダウンシフトを行うマニュアルモードでの変速が可能である一方、このマニュアルモード時に回転動力源の回転速度が所定の許容上限速度に達する状況になった際、変速比を小さくする自動アップシフトを行う自動変速機の変速制御装置を前提としている。この自動変速機の変速制御装置に対し、上記自動アップシフトを実行する回転速度である、自動変速機の出力軸、自動変速機内部の回転部材、回転動力源の出力軸の何れかの回転体の許容上限速度と、上記手動ダウンシフト操作に応じたダウンシフトを許可する上記回転体のダウンシフト許可上限速度との間にヒステリシスを設ける。そして、このヒステリシスを、上記回転体の回転加速度をパラメータとして設定している。
この場合、上記ヒステリシスの設定手法として具体的には、上記回転体の回転加速度が小さいほど上記ヒステリシスを小さく設定することが挙げられる。
この解決手段では、上記回転体の回転加速度が小さいほど上記ヒステリシスを小さく設定しているために、回転動力源の駆動状況(回転動力源のトルクやそれに相関のある物理量)ばかりでなく、車両が走行している路面状況に応じても適切なヒステリシスを設定することができる。以下、具体的に説明する。
例えば車両が登坂路を走行している場合、回転動力源のトルクとしては大きくても車両の走行加速度としては低くなっていることが考えられる。このような場合、手動ダウンシフトを行っても単位時間当たりにおける車速の上昇量(加速度)は僅かであるため、上記回転体の回転速度が自動アップシフトが行われる回転速度に達するまでの時間は十分に確保される状況にある。このため、本解決手段の如く回転体の回転加速度が小さい場合にはヒステリシスを小さく設定してもハンチングを招くことがなく、手動ダウンシフト可能領域を高回転側に拡大することができる。
一方、車両が降坂路を走行している場合、回転動力源のトルクとしては小さくても車両の走行加速度としては高くなっていることが考えられる。このような場合、手動ダウンシフトを行ったとしても単位時間当たりにおける車速の上昇量(加速度)が大きくなる可能性があるため、手動ダウンシフト後、短時間の間に上記回転体の回転速度が自動アップシフトが行われる回転速度まで上昇するといった状況を招かないよう、つまり、自動アップシフトが実行されるまでの時間が十分に確保されるよう、比較的大きなヒステリシスを設定するようにしている。
このように、本解決手段によれば、回転動力源のトルクやそれに相関のある物理量(アクセル開度等)によって上記ヒステリシスを設定する場合に比べて、よりいっそう適切なヒステリシスを設定することが可能であり、車両が如何なる路面(登坂路や降坂路)を走行している状況であっても、言い換えると、走行条件のバラツキによる悪影響を受けることなしに、上記ハンチングの発生を防止しながらも、手動ダウンシフト可能領域を高回転側に拡大することができ、車両の操作性の向上を図ることができる。
更に、上述した如く回転体の回転加速度が小さいほどヒステリシスを小さく設定する場合に、そのヒステリシスの具体的な設定手法としては以下のものが挙げられる。
つまり、以下の式(1)
ヒステリシス=Δnt/T1 …(1)
(Δnt:上記回転体の単位時間当たりの変化量、T1:車両の運転者がハンチングを感じることのない手動ダウンシフトから自動アップシフトまでの最短時間)
によってヒステリシスを規定するものである。
これによれば、運転者がハンチングを感じることのない手動ダウンシフトから自動アップシフトまでの最短時間を任意に設定するのみで、上記ヒステリシスを規定することができ、本発明の実用性の向上を図ることができる。
本発明では、回転動力源のトルクやそのトルクに相関のある物理量、または、回転動力源から駆動輪までの動力伝達経路における何れかの回転体の回転加速度に応じ、これら値が比較的高く上記ハンチングが発生しやすい状況に対しては上記ヒステリシスを大きく設定し、逆に、上記回転動力源のトルクやそのトルクに相関のある物理量、または、上記回転体の回転加速度が比較的低く上記ハンチングが発生し難い状況に対しては上記ヒステリシスを小さく設定している。このため、前者の状況でのハンチングの発生の抑制と、後者の状況での手動ダウンシフト可能領域の高回転側への拡大を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、自動変速機を搭載したFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両に対して本発明を適用した場合について説明する。先ず、車両のパワートレーン(車両用駆動装置)および自動変速機の基本動作等について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両のパワートレーンを示す概略構成図、図2は、図1の自動変速機2における変速機構部30の一例を示すスケルトン図、図3は、図2の変速機構部30における変速段毎の各クラッチおよび各ブレーキの係合表である。
図1中において、1はエンジン(駆動源:回転動力源)、2は自動変速機、3はエンジン制御装置(エンジンECU)、4はトランスミッション制御装置(変速機ECU)である。
−エンジン1−
エンジン1は、外部から吸入する空気とインジェクタ(燃料噴射弁)5から噴射される燃料とを適宜の比率で混合した混合気を、点火プラグ12の点火によって燃焼させることにより、回転動力を発生する内燃機関である。吸入空気量は、スロットルバルブ6によって調節される。このスロットルバルブ6は、電動式のアクチュエータ(スロットルモータ等)7により駆動されるもので、アクセルペダル11の踏み込み量や制御上の条件に基づきアクチュエータ7を駆動することにより開度調節される。インジェクタ5およびアクチュエータ7は、エンジン制御装置3により制御される。
−自動変速機2−
自動変速機2は、エンジン1から入力軸9に入力される回転動力を変速し、出力軸10を介して駆動輪に出力するもので、主として、トルクコンバータ(流体継手:流体式トルク伝達装置)20、変速機構部30、油圧制御装置40等を含んで構成されている。
図2に示すように、トルクコンバータ20は、エンジン1に回転連結されるもので、ポンプインペラ21、タービンランナ22、ステータ23、ワンウェイクラッチ24、ステータシャフト25、ロックアップクラッチ26を含んで構成されている。
上記ロックアップクラッチ26は、トルクコンバータ20のポンプインペラ21(入力側)とタービンランナ22(出力側)とを直結可能とするものであり、必要に応じて、ポンプインペラ21とタービンランナ22とを直結する係合状態と、ポンプインペラ21とタービンランナ22とを切り離す解放状態と、これら係合状態と解放状態との中間の半係合状態(スリップ状態)との間で切り換えられる。
このロックアップクラッチ26の係合力制御は、ロックアップコントロールバルブ27でポンプインペラ21とタービンランナ22とに対する作動油圧をコントロールすることによって行われる。
変速機構部30は、図2に示すように、主として、第1プラネタリ31、第2プラネタリ32、第3プラネタリ33、クラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4、ワンウェイクラッチF0〜F3等を含んで構成されており、前進6段、後進1段の変速が可能になっている。
第1プラネタリ31は、ダブルピニオンタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、サンギアS1と、リングギアR1と、複数個のインナーピニオンギアP1Aと、複数個のアウターピニオンギアP1Bと、キャリアCA1とを含む構成である。
サンギアS1は、クラッチC3を介して入力軸9に選択的に連結される。このサンギアS1は、ワンウェイクラッチF2およびブレーキB3を介してハウジングに選択的に連結され、逆方向(入力軸9の回転と反対方向)の回転が阻止される。キャリアCA1は、ブレーキB1を介してハウジングに選択的に連結されるとともに、そのブレーキB1と並列に設けられたワンウェイクラッチF1により、常に逆方向の回転が阻止される。リングギアR1は、第2プラネタリ32のリングギアR2と一体的に連結されており、ブレーキB2を介してハウジングに選択的に連結される。
第2プラネタリ32は、シングルピニオンタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、サンギアS2と、リングギアR2と、複数個のピニオンギアP2と、キャリアCA2とを含む構成である。
サンギアS2は、第3プラネタリ33のサンギアS3と一体的に連結されており、クラッチC4を介して入力軸9に選択的に連結される。このサンギアS2は、ワンウェイクラッチF0およびクラッチC1を介して入力軸9に選択的に連結され、その入力軸9に対して相対的に逆方向へ回転することが阻止される。キャリアCA2は、第3プラネタリ33のリングギアR3と一体的に連結されており、クラッチC2を介して入力軸9に選択的に連結されるとともに、ブレーキB4を介してハウジングに選択的に連結される。このキャリアCA2は、ブレーキB4と並列に設けられたワンウェイクラッチF3により、常に逆方向の回転が阻止される。
第3プラネタリ33は、シングルピニオンタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、サンギアS3と、リングギアR3と、複数個のピニオンギアP3と、キャリアCA3とを含む構成である。キャリアCA3は、出力軸10に一体的に連結されている。
クラッチC1〜C4およびブレーキB1〜B4は、オイルの粘性を利用した湿式多板摩擦係合装置(摩擦係合要素)により構成されている。
油圧制御装置40は、変速機構部30におけるクラッチC1〜C4ならびにブレーキB1〜B4を個別に係合、解放させることにより適宜の変速段(前進1〜6速段、後進段)を成立させるものである。この油圧制御装置40の基本構成は公知であるので、ここでは詳細な図示や説明を割愛する。
ここで、上述した変速機構部30における各変速段を成立させる条件について、図3を用いて説明する。
図3は、変速機構部30の変速段毎でのクラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4およびワンウェイクラッチF0〜F3の係合または解放状態を示す係合表である。この係合表において、○印は「係合」、×印は「解放」、◎印は「エンジンブレーキ時に係合」、△印は「駆動時のみ係合」を示す。
なお、クラッチC1は、前進クラッチ(入力クラッチ)と呼ばれ、図3の係合表に示すように、パーキングポジション(P)、リバースポジション(R)、ニュートラルポジション(N)以外である、車両が前進するための変速段を成立させる際に係合状態で使用される。
−エンジン制御装置3、トランスミッション制御装置4−
エンジン制御装置3は、走行状況に応じてエンジン1へ供給する混合気や燃焼タイミングを制御することによりエンジン1を駆動するものである。
トランスミッション制御装置4は、油圧制御装置40を制御することにより変速機構部30における適宜の変速段つまり動力伝達経路を成立させるものである。
また、これらエンジン制御装置3とトランスミッション制御装置4とは、エンジン制御やトランスミッション制御に必要な情報を互いに送受可能に接続されている。
エンジン制御装置3およびトランスミッション制御装置4は、図示していないが、共に一般的に公知のECU(Electronic Control Unit)とされており、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびバックアップRAMなどを備えている。
ROMは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは、エンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
図4に示すように、エンジン制御装置3には、上記エンジン1のクランクシャフトの回転数(回転速度)を検出するエンジン回転数センサ101、上記スロットルバルブ6の開度を検出するスロットル開度センサ102、吸入空気量を検出するエアフローメータ103などのエンジン1の運転状態を検出する各種センサが接続されており、その各センサの信号が入力される。また、このエンジン制御装置3は、スロットルバルブ6のアクチュエータ7、インジェクタ5の燃料噴射量や燃料噴射タイミング、点火プラグ12の点火タイミング、吸排気バルブの開閉タイミングの位相を変化させるためのVVT(Variable Valve Timing)機構13などのエンジン1の各部を制御する。
また、このエンジン制御装置3のROMには、エンジン1の出力トルクを推定するためのトルク推定マップが記憶されている。このトルク推定マップにより、上記エンジン回転数センサ101によって検出されるエンジン回転数、スロットル開度センサ102によって検出されるスロットル開度、エアフローメータ103によって検出される吸入空気量、更には、インジェクタ5からの燃料噴射量、点火プラグ12の点火タイミング、VVT機構13により調整される吸排気バルブの開閉タイミングに基づいて、現在のエンジン1の出力トルクを推定可能となっている。
トランスミッション制御装置4には、上記入力軸9の回転数(回転速度)を検出する入力軸回転数センサ110、出力軸10の回転数(回転速度)を検出する出力軸回転数センサ111、ドライバにより操作されるアクセルペダル11の開度を検出するアクセル開度センサ112、自動変速機2のシフトレバー位置を検出するシフトポジションセンサ113、駆動輪の速度(車輪速度)を検出する車輪速センサ114などが接続されている。尚、この車輪速センサ114は、各車輪に備えられており、ABS(Antilock Brake System)制御において路面状況を検知するためのものとして使用されている。
また、このトランスミッション制御装置4は、上記ロックアップコントロールバルブ27にロックアップクラッチ制御信号を出力する。このロックアップクラッチ制御信号に基づいてロックアップコントロールバルブ27がロックアップクラッチ26の係合圧を制御し、上述したロックアップクラッチ26の係合状態(トルコン状態)、解放状態(完全スリップ状態)、半係合状態(スリップ状態:フレックスロックアップ状態とも呼ばれる)が切り換えられるようになっている。
さらに、トランスミッション制御装置4は、自動変速機2の油圧制御装置40にソレノイド制御信号(油圧指令信号)を出力する。このソレノイド制御信号に基づいて油圧制御装置40の油圧制御回路に備えられているリニアソレノイドバルブやオンオフソレノイドバルブなどが制御され、所定の変速段(第1変速段〜第6変速段、後退変速段など)を達成するように、自動変速機2の各クラッチC1〜C4、各ブレーキB1〜B4などが所定の状態に係合または解放される。
−シフト装置50およびパドルスイッチ61,62−
また、本実施形態に係る車両の運転席の近傍にはシフト装置50が配置されている(図1参照)。このシフト装置50にはシフトレバー51が変位操作可能に設けられている。また、このシフト装置50には、図5に示すように、パーキング(P)位置、リバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置、および、シーケンシャル(S)位置を有するシフトゲートが形成されており、ドライバが所望の変速位置へシフトレバー51を変位させることが可能となっている。これらパーキング(P)位置、リバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置、シーケンシャル(S)位置(下記の「+」位置および「−」位置も含む)の各変速位置は、上記シフトポジションセンサ113によって検出される。
上記シフトレバー51が「ドライブ(D)位置」に操作されている状態では、自動変速機2は「自動変速モード(オートマチックモード)」とされ、後述する変速マップに従って変速段が選定されて自動変速動作が行われる。
一方、上記シフトレバー51が「シーケンシャル(S)位置」に操作されている状態では、自動変速機2は「手動変速モード(マニュアルモード)」とされる。このS位置の前後には「+」位置および「−」位置が設けられている。「+」位置は、マニュアルアップシフトの際にシフトレバー51が操作される位置であり、「−」位置は、マニュアルダウンシフトの際にシフトレバー51が操作される位置である。そして、シフトレバー51がS位置にあるときに、シフトレバー51がS位置を中立位置として「+」位置または「−」位置に操作されると、自動変速機2の変速段がアップまたはダウンされる。具体的には、「+」位置への1回操作ごとに変速段が1段ずつアップ(例えば1st→2nd→・・→6th)される。一方、「−」位置への1回操作ごとにギヤ段が1段ずつダウン(例えば6th→5th→・・→1st)される。
また、図1に示すように、本実施形態に係る車両の運転席の前方に配設されるステアリングホイール60には、パドルスイッチ61,62が設けられている。これらパドルスイッチ61,62はレバー形状とされ、変速段のアップシフトを要求する指令信号を出力するためのアップシフト用パドルスイッチ61と、変速段のダウンシフトを要求する指令信号を出力するためのダウンシフト用パドルスイッチ62とを備えている。上記アップシフト用パドルスイッチ61には「+」の記号が、上記ダウンシフト用パドルスイッチ62には「−」の記号がそれぞれ付されている。
そして、上記シフトレバー51が「シーケンシャル(S)位置」に操作されて「手動変速モード」となっている場合には、アップシフト用パドルスイッチ61が操作(手前に引く操作)されると、1回操作ごとに変速段が1段ずつアップ(例えば1st→2nd→・・→6th)される。一方、ダウンシフト用パドルスイッチ62が操作(手前に引く操作)されると、1回操作ごとに変速段が1段ずつダウン(例えば6th→5th→・・→1st)される。
また、本実施形態のものでは、所謂、Dレンジパドルアクティブ制御も可能となっている。つまり、上記シフトレバー51が「ドライブ(D)位置」に操作されて自動変速機2が「自動変速モード」となっている状態であっても、パドルスイッチ61,62の操作による手動変速動作が可能となっている。具体的には、このようにシフトレバー51が「ドライブ(D)位置」に操作されている状態では「自動変速モード」とされ、基本的には、後述する変速マップに従って変速段が選定されて自動変速動作が行われるが、この状態で、アップシフト用パドルスイッチ61が操作されると変速段がアップされ、ダウンシフト用パドルスイッチ62が操作されると変速段がダウンされるようになっている。また、その後に、パドルスイッチ61,62が操作されない状態が所定時間継続したり、アクセルペダル11の踏み込み量が大きくなったりして「自動変速モード」への復帰条件が成立すると、変速マップに従った自動変速動作に復帰するようになっている。
−変速マップ−
上記「自動変速モード」における自動変速機2の変速制御は、例えば図6に示すような変速マップ(変速条件)に従って行われる。この変速マップは、車速Vおよびアクセル開度θTHをパラメータとし、それら車速Vおよびアクセル開度θTHに応じて、適正な変速段を求めるための複数の領域が設定されたマップであって、上記トランスミッション制御装置4のROM内に記憶されている。変速マップの各領域は複数の変速線(変速段の切り換えライン)によって区画されている。尚、図6に示す変速マップにおいて、アップシフト線(変速線)を実線で示し、ダウンシフト線(変速線)を破線で示している。また、アップシフトおよびダウンシフトの各切り換え方向を図中に数字と矢印とを用いて示している。
−自動変速機2の変速制御動作−
次に、上述の如く構成された自動変速機2の変速制御動作について説明する。
先ず、シフトレバー51が「ドライブ(D)位置」に操作されている「自動変速モード」について説明する。
トランスミッション制御装置4は、上記出力軸回転数センサ111の出力信号から車速Vを算出するとともに、アクセル開度センサ112の出力信号からアクセル開度θTHを算出し、それら車速Vおよびアクセル開度θTHに基づいて図6の変速マップを参照して目標変速段を算出する。さらに、上記入力軸回転数センサ110および出力軸回転数センサ111の出力信号から得られる回転数の比(出力回転数/入力回転数)を求めて現在変速段を判定し、その現在変速段と目標変速段とを比較して変速操作が必要であるか否かを判定する。
その判定結果により、変速の必要がない場合(現在変速段と目標変速段とが同じで、変速段が適切に設定されている場合)には、現在変速段を維持するソレノイド制御信号(油圧指令信号)を自動変速機2の油圧制御装置40に出力する。
一方、現在変速段と目標変速段とが異なる場合には変速制御を行う。例えば、自動変速機2の変速段が「4速」の状態で走行している状況から、車両の走行状態が変化して、例えば図6に示す点Aから点Bに変化した場合、アップシフト変速線[4→5]を跨ぐ変化となるので、変速マップから算出される目標変速段が「5速」となり、その5速の変速段を設定するソレノイド制御信号(油圧指令信号)を自動変速機2の油圧制御装置40に出力して、4速の変速段から5速の変速段への変速(4→5アップ変速)を行う。
また、例えば、自動変速機2の変速段が「6速」の状態で走行している状況から、車両の走行状態が変化して、例えば図6に示す点Cから点Dに変化した場合、ダウンシフト変速線[6→5]を跨ぐ変化となるので、変速マップから算出される目標変速段が「5速」となり、その5速の変速段を設定するソレノイド制御信号(油圧指令信号)を自動変速機2の油圧制御装置40に出力して、6速の変速段から5速の変速段への変速(6→5ダウン変速)を行う。尚、この6速の変速段から5速の変速段への変速動作は、クラッチC3を解放状態から係合状態に移行させると同時に、ブレーキB2を係合状態から解放状態に移行させる、所謂クラッチツークラッチ変速となっている。
一方、このようにシフトレバー51が「ドライブ(D)位置」に操作されている「自動変速モード」であっても、ドライバがパドルスイッチ61,62を操作した場合には、その操作に従って変速動作(手動変速動作)が行われる。つまり、この「自動変速モード」時において、アップシフト用パドルスイッチ61が操作されると、アップシフトのためのソレノイド制御信号(油圧指令信号)が自動変速機2の油圧制御装置40に出力され変速段がアップされる。一方、ダウンシフト用パドルスイッチ62が操作されると、ダウンシフトのためのソレノイド制御信号(油圧指令信号)が自動変速機2の油圧制御装置40に出力され変速段がダウンされることになる。
次に、シフトレバー51が「シーケンシャル(S)位置」に操作されている「手動変速モード」について説明する。
上述した如く、この「手動変速モード」では、シフトレバー51の操作およびパドルスイッチ61,62の操作によって変速動作が行われる。つまり、シフトレバー51が、S位置を中立位置として、「+」位置へ1回操作されるごとに変速段が1段ずつアップされ、「−」位置へ1回操作されるごとにギヤ段が1段ずつダウンされる。また、アップシフト用パドルスイッチ61が操作されると、1回操作ごとに変速段が1段ずつアップされ、ダウンシフト用パドルスイッチ62が操作されると、1回操作ごとに変速段が1段ずつダウンされる。
−自動アップシフト−
本実施形態に係る車両は、上記「手動変速モード」が選択されている場合に、上記出力軸回転数センサ111によって検出されている出力軸10の回転数(回転速度)が所定の許容上限回転数(許容上限速度)に達したとき、言い換えると、エンジン1の回転数(回転速度)が所定の許容上限回転数(許容上限速度)に達したときに、自動変速機2が自動でアップシフトする。つまり、エンジン回転数が上記許容上限回転数を超えないように(オーバーレブを防止するように)自動アップシフトが行われるようになっている。以下の説明では、各回転体の回転速度を「回転数」として表現することとする。
具体的に、上記エンジン回転数の許容上限回転数は、エンジン1の耐久性等を考慮して設定されるエンジン1に許容される最大許容回転数であって、予め実験やシミュレーションによって決定された回転数である。
また、上記自動アップシフト動作を実行する際のアップシフト規則は、手動操作により設定されている現在の変速段を1段以上高速側(変速比が小さい側)へ変更するように定められている。この自動アップシフトを実行するための上記許容上限回転数は、具体的には、エンジン1の耐久性等を考慮した場合の許容上限回転数近傍の回転数であって、アップシフトの際の変速応答遅れ等によるエンジン回転数の吹き上がり量を考慮し、この許容上限回転数よりも所定値だけ低い値に予め実験等により求められて設定されている。
−自動アップシフトマップ−
次に、上記自動アップシフトを実行する際に参照される自動アップシフトマップについての複数の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図7は、本実施形態における自動アップシフトマップを示している。この図7に示すように、本実施形態の自動アップシフトマップは、出力軸回転数(横軸)とアクセル開度(縦軸:エンジントルクに相関のある物理量)とをパラメータとして規定され、上記「手動変速モード」において、エンジン回転数が所定の許容上限回転数を超えないように、アクセル開度に応じて出力軸回転数の上限値(許容上限回転数)を設定するものである。つまり、出力軸回転数が、この許容上限回転数に達した時点ではエンジン回転数が上記許容上限回転数近傍にまで達しており、この場合に自動変速機2の自動アップシフトを実行して、エンジン回転数を低下させるようにするためのものである。
図7の実線は、この出力軸回転数の許容上限回転数を規定する自動アップシフト線を示している。また、この自動アップシフト線は、アクセル開度が大きいほど出力軸回転数の許容上限回転数を低く設定している。これは、アクセル開度が大きい場合、エンジントルクが大きいことに伴ってエンジン回転数の単位時間当たりの上昇量(エンジン回転数の加速度)が大きくなり、それに伴って出力軸回転数の単位時間当たりの上昇量も大きくなるので、この出力軸回転数が未だ低い状態から自動アップシフトを開始させてエンジン回転数が上記許容上限回転数を超えてしまうことを確実に阻止するためである。
このように、自動アップシフトマップは、出力軸回転数とアクセル開度とをパラメータとして規定されている。そして、各変速段毎にエンジン回転数と出力軸回転数との比は異なっている(自動変速機2での変速比の差分だけ異なっている)ため、この自動アップシフトマップは、各変速段(第1変速段〜第6変速段)それぞれに対応して個別に設定されて上記トランスミッション制御装置4のROM内に記憶されている。つまり、何れの変速段おいても、エンジン回転数が許容上限回転数を超えてしまうことのない出力軸回転数の許容上限回転数が規定されるように各自動アップシフトマップの自動アップシフト線は設定されている。以下の説明では一つの自動アップシフトマップ(例えば第3変速段に対応する自動アップシフトマップ)を例に挙げて説明する。
自動アップシフトマップには、上記自動アップシフト線に対し、低回転側に所定のヒステリシスを存してダウンシフト許可線(図中の破線)が設定されている。
このダウンシフト許可線は、ドライバの手動操作による手動ダウンシフトを可能とする出力軸回転数の上限値を規定するものである。つまり、このダウンシフト許可線よりも出力軸回転数の高回転側では手動ダウンシフトを禁止し、手動ダウンシフトに起因してエンジン回転数が上記許容上限回転数を超えてしまったり、手動ダウンシフト後の短時間のうちにエンジン回転数が上記許容上限回転数を超えてしまうといった状況を回避するようにしている。
一方、この手動ダウンシフト許可線よりも出力軸回転数の低回転側では手動ダウンシフトを許可している。これは、その出力軸回転数で手動ダウンシフトを行ってもエンジン回転数が上記許容上限回転数を超えないためである。
そして、このダウンシフト許可線は、上述した如く自動アップシフト線に対して、出力軸回転数の低回転側に所定のヒステリシスを存して設定されている。このヒステリシスを設けることで、上述したようにドライバの手動ダウンシフト操作(シフトレバーの操作)によって自動変速機2がダウンシフトした直後にエンジン回転数が上昇して上記自動アップシフトが実行されてしまうといったハンチングの発生を防止することができる。
そして、本実施形態の特徴とするところは、上記自動アップシフト線とダウンシフト許可線との間に設定されている上記ヒステリシスが、アクセル開度が小さいほど小さく(自動アップシフト線上の出力軸回転数とダウンシフト許可線上の出力軸回転数との偏差が小さく)なるように設定されている点にある。以下、具体的に説明する。
上記アクセル開度が比較的大きな領域では、エンジン1の吸入空気量および燃料噴射量が共に多く、エンジントルクが高いため、単位時間当たりにおける出力軸回転数の上昇量も大きくなっている。このため、出力軸回転数が上記ダウンシフト許可線よりも低い回転数にある状況でマニュアルダウンシフトを行ったとしても、エンジントルクが高いために、その後、出力軸回転数が短時間の間に大きく上昇する可能性がある。このため、このアクセル開度が比較的大きな領域では、自動アップシフト線を超えるまでの時間が十分に確保されるような比較的大きなヒステリシス(出力軸回転数が急速に上昇しても自動アップシフト線を超えるまでには所定以上の時間(ハンチングを招かない時間)が確保できるようなヒステリシス)が設けられている。
一方、アクセル開度が比較的小さな領域では、エンジン1の吸入空気量および燃料噴射量が共に少なく、エンジントルクが低いため、単位時間当たりにおける出力軸回転数の上昇量も小さくなっている。このため、出力軸回転数が上記ダウンシフト許可線よりも低い回転数にある状況でマニュアルダウンシフトを行った場合、エンジントルクが低いために、その後、出力軸回転数が短時間の間に大きく上昇するといったことはない。このため、このアクセル開度が比較的小さな領域では、上記ヒステリシスを小さく設定したとしても、出力軸回転数が自動アップシフト線を超えるまでの時間が十分に確保されることになる。
以上の技術的思想に基づいて、アクセル開度が小さくなっていくほど徐々にヒステリシスも小さくなるように上記ダウンシフト許可線は設定されている。例えば、アクセル開度が全開である場合のヒステリシスに比べて、アクセル開度が全閉である場合のヒステリシスは1/3程度に設定されている。この値はこれに限定されるものではない。
また、上述した如く、自動アップシフトマップは、各変速段(第1変速段〜第6変速段)それぞれに対応して個別に設定されている。従って、全ての自動アップシフトマップそれぞれで設定されるヒステリシスとしては、アクセル開度が小さくなっていくほど徐々にヒステリシスも小さくなるように上記ダウンシフト許可線は設定されている。更に、各自動アップシフトマップ同士を対比した場合、上記ヒステリシスは、低変速段(変速比の大きな変速段)に対応する自動アップシフトマップほど、上記ヒステリシスとしては大きめに設定されている。これは、同一アクセル開度であっても、低変速段ほど車両の加速度は高く(出力軸10の回転数の単位時間当たりの上昇量は大きく)、上記ハンチングが発生しやすい状況となるからである。
以上のように、本実施形態では、運転者の操作によるアクセル開度が小さいほど、上記ヒステリシスを小さく、逆に、運転者の操作によるアクセル開度が大きいほど、上記ヒステリシスを大きく設定している。
このため、アクセル開度が比較的大きく上記ハンチングが発生しやすい状況である場合には上記ヒステリシスを大きく設定していることで、ダウンシフトとアップシフトとの時間間隔が極端に小さくなってしまうことによるハンチングの発生を抑制することができる。これにより、ハンチングの発生によって運転者に違和感を与えてしまうといったことが解消される。
一方、アクセル開度が比較的小さく上記ハンチングが発生し難い状況である場合には上記ヒステリシスを小さく設定していることで、手動変速可能領域(マニュアルダウンシフト可能領域)を高回転側に拡大することができ、従来よりも高い回転数から運転者の要求(マニュアルダウンシフト要求)に応えることが可能になる。このため、例えば、降坂路でのダウンシフトによりエンジンブレーキ力を高めたいといった要求が生じた場合に、本実施形態によれば、マニュアルダウンシフトの実行が可能であり、ドライバのダウンシフト要求に応えることができて、車両の操作性の向上を図ることができる。
尚、上述した実施形態では、アクセル開度に応じて上記ヒステリシスを変化させるようにしていたが、このアクセル開度に代えてスロットル開度に置き換えることも可能である。つまり、上記スロットル開度センサ102によって検出されるスロットル開度が小さいほど上記ヒステリシスを小さく、逆に、スロットル開度が大きいほど上記ヒステリシスを大きく設定するものである。
また、上述した実施形態では、自動アップシフトマップのパラメータとして出力軸回転数を採用していたが、これに代えて、自動変速機2の内部の回転部材(各種ギヤやシャフト)の回転数や、エンジン1の出力軸であるクランクシャフトの回転数としてもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態における自動アップシフトマップは、出力軸回転数とエンジントルクとをパラメータとして規定され、上記「手動変速モード」において、エンジン回転数が所定の許容上限回転数を超えないように、エンジントルクに応じて出力軸回転数の許容上限回転数を設定するものである。つまり、出力軸回転数が、エンジントルクに応じて設定された出力軸回転数の許容上限回転数に達した時点で自動アップシフトを実行させるようにしている。その他の構成および制御動作は上述した第1実施形態のものと同様であるので、以下の説明では上記第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
本実施形態における自動アップシフトマップは、上述した第1実施形態に係る自動アップシフトマップ(図7)の縦軸を、アクセル開度に代えてエンジントルクとするものであり、上記自動アップシフト線およびダウンシフト許可線は同様であるので、本実施形態に係る自動アップシフトマップについての図示は省略する。つまり、本実施形態にあっても、上記自動アップシフト線に対して所定のヒステリシスを存してダウンシフト許可線が設定されている。そして、このヒステリシスは、エンジントルクが小さいほど小さく(出力軸回転数の偏差が小さく)なるように設定されている。
尚、エンジントルクは、上述した如く各種センサの出力信号に基づいて求めることが可能である。具体的に、上記エンジン回転数センサ101によって検出されるエンジン回転数、スロットル開度センサ102によって検出されるスロットル開度、エアフローメータ103によって検出される吸入空気量、インジェクタ5からの燃料噴射量、点火プラグ12の点火タイミング、VVT機構13により調整される吸排気バルブの開閉タイミング等から現在のエンジン1の出力トルクを推定するトルク推定マップをエンジン制御装置3のROMに記憶させ、このトルク推定マップからエンジン1の出力トルクを推定するようにしている。
このように出力軸回転数とエンジントルクとをパラメータとして自動アップシフトマップを規定したことで、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
つまり、エンジントルクが比較的大きく上記ハンチングが発生しやすい状況である場合には上記ヒステリシスを大きく設定していることで、ダウンシフトとアップシフトとの時間間隔が極端に小さくなってしまうことによるハンチングの発生を抑制することができる。これにより、ハンチングの発生によって運転者に違和感を与えてしまうといったことが解消される。
一方、エンジントルクが比較的小さく上記ハンチングが発生し難い状況である場合には上記ヒステリシスを小さく設定していることで、手動変速可能領域(ダウンシフト領域)を高回転側に拡大することができ、従来よりも高い回転数から運転者の要求(マニュアルダウンシフト要求)に応えることが可能になり、車両の操作性の向上を図ることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態における自動アップシフトマップは、出力軸回転数とトルクコンバータ20内部での滑り量(エンジントルクに相関のある物理量)、つまり、ポンプインペラ21とタービンランナ22との回転差(ポンプインペラ21の回転数−タービンランナ22の回転数)とをパラメータとして規定され、上記「手動変速モード」において、エンジン回転数が所定の許容上限回転数を超えないように、上記滑り量に応じて出力軸回転数の許容上限回転数を設定するものである。つまり、出力軸回転数が、上記滑り量に応じて設定された出力軸回転数の許容上限回転数に達した時点で自動アップシフトを実行させるようにしている。その他の構成および制御動作は上述した第1実施形態のものと同様であるので、ここでも上記第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
本実施形態における自動アップシフトマップは、上述した第1実施形態に係る自動アップシフトマップ(図7)の縦軸を、アクセル開度に代えてトルクコンバータ20内部での滑り量とするものであり、上記自動アップシフト線およびダウンシフト許可線は同様であるので、本実施形態に係る自動アップシフトマップについての図示は省略する。つまり、本実施形態にあっても、上記自動アップシフト線に対して所定のヒステリシスを存してダウンシフト許可線が設定されている。そして、このヒステリシスは、トルクコンバータ20内部での滑り量が小さいほど小さく(出力軸回転数の偏差が小さく)なるように設定されている。
尚、トルクコンバータ20内部での滑り量は、上記エンジン回転数センサ101によって検出されるクランクシャフトの回転数と、入力軸回転数センサ110によって検出される入力軸9の回転数との偏差から求められる。この偏差(トルクコンバータ20内部での滑り量)は、エンジントルクに相関のある値であって、エンジントルクが大きいほど、この偏差(滑り量)も大きくなる。つまり、単位時間当たりにおける出力軸回転数の上昇量が大きくなるものである。このため、上記トルクコンバータ20内部での滑り量に応じて上記ヒステリシスを変化させることは、エンジントルクに応じて上記ヒステリシスを変化させることと同義である。
このように出力軸回転数とトルクコンバータ20内部での滑り量とをパラメータとして自動アップシフトマップを規定したことで、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
つまり、トルクコンバータ20内部での滑り量が大きい場合には、エンジントルクも比較的大きいと推測でき、上記ハンチングが発生しやすい状況である。この場合には上記ヒステリシスを大きく設定している。このことで、ダウンシフトとアップシフトとの時間間隔が極端に小さくなってしまうことによるハンチングの発生を抑制することができる。これにより、ハンチングの発生によって運転者に違和感を与えてしまうといったことが解消される。
一方、トルクコンバータ20内部での滑り量が小さい場合には、エンジントルクも比較的小さいと推測でき、上記ハンチングが発生し難い状況である。この場合には上記ヒステリシスを小さく設定している。このことで、手動変速可能領域(ダウンシフト可能領域)を高回転側に拡大することができ、従来よりも高い回転数から運転者の要求(マニュアルダウンシフト要求)に応えることが可能になり、車両の操作性の向上を図ることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態における自動アップシフトマップは、出力軸回転数と、この出力軸回転数の単位時間当たりの増加量(出力軸10の回転加速度)とをパラメータとして規定され、上記「手動変速モード」において、エンジン回転数が所定の許容上限回転数を超えないように、出力軸10の回転加速度に応じて出力軸回転数の許容上限回転数を設定するものである。つまり、出力軸回転数が、この許容上限回転数に達した時点で自動アップシフトを実行させるようにしている。その他の構成および制御動作は上述した第1実施形態のものと同様であるので、ここでも上記第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
本実施形態における自動アップシフトマップは、上述した第1実施形態に係る自動アップシフトマップ(図7)の縦軸を、アクセル開度に代えて出力軸10の回転加速度とするものであり、上記自動アップシフト線およびダウンシフト許可線は同様であるので、本実施形態に係る自動アップシフトマップについての図示は省略する。つまり、本実施形態にあっても、上記自動アップシフト線に対して所定のヒステリシスを存してダウンシフト許可線が設定されている。そして、このヒステリシスは、出力軸10の回転加速度が小さいほど小さく(出力軸回転数の偏差が小さく)なるように設定されている。
尚、出力軸10の回転加速度は、上記出力軸回転数センサ111によって検出されている出力軸10の回転数(回転速度)の単位時間当たりの変化量として求めることができる。
このように出力軸回転数と出力軸10の回転加速度とをパラメータとして自動アップシフトマップを規定したことで、以下に述べる作用効果を得ることができる。
つまり、本実施形態によれば、エンジン1の駆動状況(エンジン1のトルクやそれに相関のある物理量)ばかりでなく、車両が走行している路面状況に応じても適切なヒステリシスを設定することができる。
例えば車両が登坂路を走行している場合、エンジン1のトルクとしては大きくても車両の走行加速度としては低くなっていることが考えられる。このような場合、マニュアルダウンシフトを行っても単位時間当たりにおける車速の上昇量(加速度)は僅かであるため、上記出力軸10の回転数が自動アップシフトが行われる回転数(上記自動アップ線上の出力軸回転数)に達するまでの時間は十分に確保される状況にある。このため、本実施形態の如く出力軸10の回転加速度が小さい場合にはヒステリシスを小さく設定してもハンチングを招くことがなく、マニュアルダウンシフト可能領域を高回転側に拡大することができる。
一方、車両が降坂路を走行している場合、エンジン1のトルクとしては小さくても車両の走行加速度としては高くなっていることが考えられる。このような場合、マニュアルダウンシフトを行ったとしても単位時間当たりにおける車速の上昇量(加速度)が大きくなる可能性があるため、マニュアルダウンシフト後、短時間の間に上記出力軸10の回転数が自動アップシフトが行われる回転数(上記自動アップ線上の出力軸回転数)まで上昇するといった状況を招かないよう、つまり、自動アップシフトが実行されるまでの時間が十分に確保されるよう、比較的大きなヒステリシスを設定するようにしている。
より具体的に、本実施形態において、上記ヒステリシスの具体的な設定手法としては以下のものが挙げられる。
つまり、以下の式(1)
ヒステリシス=Δnt/T1 …(1)
(Δnt:出力軸10の回転数の単位時間当たりの変化量(出力軸10の回転加速度)、T1:車両の運転者がハンチングを感じることのない手動ダウンシフトから自動アップシフトまでの最短時間)
によってヒステリシスを規定するようにしている。
これによれば、運転者がハンチングを感じることのないマニュアルダウンシフトから自動アップシフトまでの最短時間(T1)を任意に設定するのみで、上記ヒステリシスを規定することができ、本発明の実用性の向上を図ることができる。
このように、本実施形態によれば、エンジン1のトルクやそれに相関のある物理量(アクセル開度等)によって上記ヒステリシスを設定する場合に比べて、よりいっそう適切なヒステリシスを設定することが可能であり、車両が如何なる路面(登坂路や降坂路)を走行している状況であっても、言い換えると、走行条件のバラツキによる悪影響を受けることなしに、上記ハンチングの発生を防止しながらも、マニュアルダウンシフト可能領域を高回転側に拡大することができ、車両の操作性の向上を図ることができる。
尚、上述した実施形態では、出力軸10の回転加速度に応じて上記ヒステリシスを変化させるようにしていたが、この出力軸10の回転加速度に代えて、上記入力軸回転数センサ110によって検出される入力軸9の回転加速度、エンジン回転数センサ101によって検出されるエンジン回転数など、エンジン1から駆動輪までの動力伝達経路における何れかの回転体の回転加速度に置き換えることも可能である。つまり、この回転体の回転加速度が小さいほど上記ヒステリシスを小さく、逆に、回転体の回転加速度が大きいほど上記ヒステリシスを大きく設定するものである。
−その他の実施形態−
以上説明した各実施形態は、前進6速の変速が可能な自動変速機2を搭載したFR車両に対して本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、前進5速や前進8速等の変速が可能な自動変速機を搭載した車両や、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両や4輪駆動車に適用することも可能である。
また、上述した各実施形態では、ガソリンエンジンを搭載した車両に本発明を適用した場合について説明したが、ディーゼルエンジン等の他のエンジンを搭載した車両に対しても本発明は適用可能である。また、車両の動力源については、エンジン(内燃機関)のほか、電動モータ、あるいはエンジンと電動モータの両方を備えているハイブリッド形動力源であってもよい。
また、上述した各実施形態では、自動アップシフトマップに従って自動シフトアップやダウンシフト許可を行うようにしていたが、所定の演算式に従って自動シフトアップのタイミングを設定したり、ダウンシフト許可の有無を判断するようにしてもよい。
実施形態に係る車両のパワートレーンを示す概略構成図である。 自動変速機における変速機構部の一例を示すスケルトン図である。 自動変速機における各クラッチおよび各ブレーキの変速段毎の係合状態を示す図である。 エンジン制御装置およびトランスミッション制御装置を含む制御ブロックを示す概略構成図である。 シフト装置のシフトゲートを示す図である。 変速制御に用いる変速マップを示す図である。 第1実施形態における自動アップシフト線とダウンシフト許可線との間のヒステリシスを説明するための自動アップシフトマップを示す図である。 従来の自動アップシフトマップを示す図である。
符号の説明
1 エンジン(回転動力源)
2 自動変速機
10 出力軸
20 トルクコンバータ(流体式トルク伝達装置)
112 アクセル開度センサ

Claims (7)

  1. 運転者の手動ダウンシフト操作に応じてダウンシフトを行うマニュアルモードでの変速が可能である一方、このマニュアルモード時に回転動力源の回転速度が所定の許容上限速度に達する状況になった際、変速比を小さくする自動アップシフトを行う自動変速機の変速制御装置において、
    上記自動アップシフトを実行する回転速度である、自動変速機の出力軸、自動変速機内部の回転部材、回転動力源の出力軸の何れかの回転体の許容上限速度と、上記手動ダウンシフト操作に応じたダウンシフトを許可する上記回転体のダウンシフト許可上限速度との間にはヒステリシスが設けられており、このヒステリシスは、上記回転動力源のトルクまたはそのトルクに相関のある物理量をパラメータとして設定されていることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  2. 運転者の手動ダウンシフト操作に応じてダウンシフトを行うマニュアルモードでの変速が可能である一方、このマニュアルモード時に回転動力源の回転速度が所定の許容上限速度に達する状況になった際、変速比を小さくする自動アップシフトを行う自動変速機の変速制御装置において、
    上記自動アップシフトを実行する回転速度である、自動変速機の出力軸、自動変速機内部の回転部材、回転動力源の出力軸の何れかの回転体の許容上限速度と、上記手動ダウンシフト操作に応じたダウンシフトを許可する上記回転体のダウンシフト許可上限速度との間にはヒステリシスが設けられており、このヒステリシスは、上記回転体の回転加速度をパラメータとして設定されていることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  3. 上記請求項1記載の自動変速機の変速制御装置において、
    上記回転動力源のトルクに相関のある物理量は運転者の操作によるアクセル開度であり、このアクセル開度が小さいほど上記ヒステリシスは小さく設定されていることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  4. 上記請求項1記載の自動変速機の変速制御装置において、
    上記回転動力源のトルクが小さいほど上記ヒステリシスは小さく設定されていることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  5. 上記請求項1記載の自動変速機の変速制御装置において、
    上記回転動力源と自動変速機との間には流体式トルク伝達装置が設けられており、
    上記回転動力源のトルクに相関のある物理量は上記流体式トルク伝達装置の内部における滑り量であり、この滑り量が小さいほど上記ヒステリシスは小さく設定されていることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  6. 上記請求項2記載の自動変速機の変速制御装置において、
    上記回転体の回転加速度が小さいほど、上記ヒステリシスは小さく設定されていることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  7. 上記請求項6記載の自動変速機の変速制御装置において、
    上記ヒステリシスは以下の式(1)
    ヒステリシス=Δnt/T1 …(1)
    (Δnt:上記回転体の単位時間当たりの変化量、T1:車両の運転者がハンチングを感じることのない手動ダウンシフトから自動アップシフトまでの最短時間)
    により設定されていることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
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