JP2011247227A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】変速時にブリッピング制御を行う変速機を備えた車両に対し、多重変速の実行時における変速の応答性を高めることが可能な車両の制御装置を提供する。
【解決手段】第1の目標変速段(3rd)への変速途中に第2の目標変速段(2nd)への変速要求がなされた多重変速時、第1の目標変速段の成立時に係合し且つ第2の目標変速段の成立時に解放されるクラッチが完全に解放されるまでの期間、タービン回転数NTをモニタし、このタービン回転数NTが第1の目標変速段の同期回転数に達することのない範囲で、できるだけ高い回転数になるようにエンジンの吸入空気量を調整する。上記クラッチが完全に解放された後に、第2の目標変速段を成立させるためのブリッピング制御を実行し、この第2の目標変速段への変速動作を開始させる。
【選択図】図7

Description

本発明は、内燃機関及び自動変速機を搭載した車両の制御装置に係る。特に、本発明は、ある変速段を成立させるべく自動変速機の変速動作を行っている途中で異なる変速段への変速要求が生じた場合の制御の改良に関する。
自動車等に搭載される自動変速機として、例えば、クラッチ及びブレーキと遊星歯車装置とを用いてギヤ段(以下、変速段と呼ぶ場合もある)を設定する遊星歯車式自動変速機が知られている。
この種の自動変速機が搭載された車両においては、車速とアクセル開度(またはスロットル開度)に応じた最適なギヤ段を得るための変速線(ギヤ段の切り換えライン)を有する変速マップがECU(Electronic Control Unit)等に記憶されている。そして、この変速マップを参照して車速及びアクセル開度に基づいて目標ギヤ段を求め、その目標ギヤ段が得られるように、摩擦係合要素である上記クラッチやブレーキを所定状態に係合または解放し、ギヤ段(変速段)を自動的に設定している。
また、この自動変速機の摩擦係合要素としてワンウェイクラッチを利用しているものも知られている。つまり、自動変速機の動力伝達系路の一部にワンウェイクラッチが配設され、例えばワンウェイクラッチの入力側(エンジン側)の回転数が出力側(駆動輪側)の回転数よりも高くなった場合に係合状態となって動力伝達に寄与するものである(例えば、特許文献1を参照)。
また、この自動変速機が搭載された車両においては、運転者により操作されるシフトレバーが設けられており、そのシフトレバーを操作することにより、自動変速機のシフトポジションを、例えばP(パーキングレンジ)位置、R(後進走行レンジ)位置、N(ニュートラルレンジ)位置、D(前進走行レンジ)位置等に切り換えることができる。更に、手動変速機能付きの自動変速機(所謂シーケンシャルモード付き自動変速機)も実用化されており、上記シフトレバーの操作によって自動変速機の変速段を任意に切り換えることも可能になっている。
ところで、この種の自動変速機にあっては、ある変速段への変速動作の途中で、その変速段とは異なる変速段への変速要求がなされることがある。例えば、上記シーケンシャルモードにおける運転者のシフトレバー操作として、連続したシフトダウン操作が行われた場合などである。具体的には、4速段(4th)での走行中に運転者のシフトレバー操作によって3速段(3rd)への変速指示が行われた後、その3速段(3rd)への変速動作の途中で(3速段の成立前に)、再び運転者のシフトレバー操作が行われて2速段(2nd)への変速指示が行われた場合が挙げられる。
尚、以下の説明では、前者の変速段(上記の例の場合には3速段)を「第1の目標変速段」と呼び、後者の変速段、つまり「第1の目標変速段」への変速動作途中に変速要求がなされた変速段(上記の例の場合には2速段)を「第2の目標変速段」と呼ぶこととする。
上述のような変速要求がなされた場合、上記第1の目標変速段の成立を待って第2の目標変速段への変速動作を開始する単一変速(順番変速とも呼ばれる)では、変速動作の応答性が十分に得られないことになる。このため、上記第1の目標変速段の成立を待つことなく第2の目標変速段への変速動作を開始する多重変速(飛び変速とも呼ばれる)を行うことが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
一方、下記の特許文献3にも開示されているように、自動変速機のシフトダウン(上記シーケンシャルモードにおける運転者のシフトレバー操作によるシフトダウン)が行われた際、変速ショックを軽減するために、ブリッピング制御を行うものも知られている。このブリッピング制御は、上記シフトダウン時に、一時的にスロットル開度を増大させるなどしてエンジン回転数を上昇させ(自動変速機の入力軸回転数を変速後の変速段における同期回転数に向けて上昇させ)、これにより、上記摩擦係合要素の係合動作等を円滑に行って変速ショックを軽減するものである。
特開2008−69947号公報 特開2008−232169号公報 特開2010−7491号公報
ところで、上述したようなシフトダウン時にブリッピング制御を行うようにした自動変速機にあっては、上記多重変速の実行時、以下に述べるような不具合があった。
つまり、自動変速機にあっては、上記第1の目標変速段では係合され且つ第2の目標変速段では解放されるクラッチと、第1の目標変速段への移行時に係合されるワンウェイクラッチとを備えたものがある。このような自動変速機の多重変速時において、上記第1の目標変速段への変速途中に第2の目標変速段への変速指示がなされると、その時点から第2の目標変速段を成立させるために上記クラッチの解放動作が開始される。このような状況で、第2の目標変速段を成立させるためのブリッピング制御を行ってしまうと、上記クラッチの解放動作が完了する前に自動変速機の入力軸回転数(以下、タービン回転数と呼ぶ場合もある)が第1の目標変速段の同期回転に達し、その時点で上記ワンウェイクラッチが係合状態になってしまうことになる。つまり、解放途中にあるクラッチによるトルク伝達とワンウェイクラッチが係合状態になることによるトルク伝達とが同時に発生することになり、このワンウェイクラッチの係合に伴うショック(以下、これを「ワンウェイクラッチの同期ショック」と呼ぶ)が生じてしまうことになる。
このようなワンウェイクラッチの同期ショックを回避するためには、上記多重変速の実行時、上記クラッチの解放動作が完了するまでブリッピング制御を禁止してワンウェイクラッチの係合を遅延させる必要があった。つまり、多重変速の開始(上記第2の目標変速段への変速指示)と同時にブリッピング制御を禁止する必要があった。
ところが、このような状況では、上記クラッチの解放動作が完了するまでの期間、つまり、上記ブリッピング制御を禁止している期間中にエンジン回転数が大幅に低下してしまい、それに伴って、自動変速機の入力軸回転数(タービン回転数)も変速後の同期回転数(第2の目標変速段の同期回転数)に対して大きく低下した状態となってしまう。その結果、クラッチの解放動作の完了後にブリッピング制御を実行してシフトダウン動作を開始させ、タービン回転数を第2の目標変速段の同期回転数に上昇させるまでの時間(上述の場合には2速段(2nd)への変速が完了するまでの時間)を長く要することになってしまい、変速の応答性の面で未だ改良の余地があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、変速時にブリッピング制御を行う変速機を備えた車両に対し、多重変速の実行時における変速の応答性を高めることが可能な車両の制御装置を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、第1の目標変速段への変速動作途中で第2の目標変速段への変速指示がなされる多重変速の実行時、解放される摩擦係合要素の解放完了までの期間、ワンウェイクラッチの係合が行われないように自動変速機の入力軸回転数を、第1の目標変速段の同期回転数以下であって、この同期回転数に近付けるように内燃機関を制御するようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、内燃機関の回転数を調整可能な回転数調整機構と、摩擦係合要素及びワンウェイクラッチを選択的に係合させることにより所定の変速段を成立させ上記内燃機関からの駆動力を変速して出力する変速機とを備え、変速機のシフトダウン動作が行われる際に、内燃機関の回転数を上昇させるブリッピング制御を行うようにした車両の制御装置を前提とする。この車両の制御装置に対し、上記変速機の第1の目標変速段への変速動作途中で第2の目標変速段への変速指示がなされる多重変速時、上記第2の目標変速段への変速に伴って解放動作を行う摩擦係合要素の解放が完了するまで、変速機の入力軸回転数を、上記第1の目標変速段の同期回転数未満に維持しながら、この同期回転数に近付けるように上記回転数調整機構を制御する回転数調整手段を備えさせている。
この特定事項により、多重変速時において、摩擦係合要素の解放が完了した後にあっては、変速機の入力軸回転数が第1の目標変速段の同期回転数近傍まで上昇しているので、この入力軸回転数を第2の目標変速段の同期回転数に上昇させるまでの時間を短縮することができ、多重変速の実行時における変速の応答性を高めることが可能である。
上記回転数調整機構として具体的には、内燃機関の吸入空気量を調整するスロットルバルブが挙げられる。この場合、上記回転数調整手段は、変速機の多重変速時、第2の目標変速段への変速に伴って解放動作を行う摩擦係合要素の解放が完了するまで、変速機の入力軸回転数を、上記第1の目標変速段の同期回転数に近付けるようにスロットルバルブの開度を制御する構成となる。
また、上記回転数調整機構は、変速機の入力軸回転数と上記第1の目標変速段の同期回転数との乖離量が所定量に達するまで内燃機関の回転数が上昇するように回転数調整機構を作動させていき、この変速機の入力軸回転数と上記第1の目標変速段の同期回転数との乖離量が所定量に達すると回転数調整機構の作動状態を維持する構成となっている。
本発明では、第1の目標変速段への変速動作途中で第2の目標変速段への変速指示がなされる多重変速の実行時、解放される摩擦係合要素の解放完了までの期間、ワンウェイクラッチの係合が行われないように自動変速機の入力軸回転数を、第1の目標変速段の同期回転数以下であって、この同期回転数に近付けるように内燃機関を制御するようにしている。このため、摩擦係合要素の解放が完了した後に、上記入力軸回転数を第2の目標変速段の同期回転数に上昇させるまでの時間を短縮することができ、多重変速の実行時における変速の応答性を高めることが可能である。
実施形態に係る車両のパワートレーンを示す概略構成図である。 自動変速機における変速機構部の一例を示すスケルトン図である。 自動変速機における各クラッチ、各ブレーキ及び各ワンウェイクラッチの変速段毎の係合状態を示す図である。 エンジン制御装置及びトランスミッション制御装置を含む制御ブロックを示す概略構成図である。 シフト装置のシフトゲートを示す図である。 変速制御に用いる変速マップを示す図である。 多重変速動作の手順を示すフローチャート図である。 従来の多重変速実行時における変速段、スロットル開度要求、タービン回転数の変化の一例を示すタイミングチャート図である。 実施形態に係る多重変速実行時における変速段、スロットル開度要求、タービン回転数の変化の一例を示すタイミングチャート図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、自動変速機を搭載したFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両に対して本発明を適用した場合について説明する。また、本実施形態において特徴とする制御である多重変速時の制御動作について説明する前に、車両のパワートレーン(車両用駆動装置)及び自動変速機の基本動作等について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両のパワートレーンを示す概略構成図、図2は、図1の自動変速機2における変速機構部30の一例を示すスケルトン図、図3は、図2の変速機構部30における変速段毎の各クラッチ、各ブレーキ及び各ワンウェイクラッチの係合表である。
図1中において、1はエンジン(内燃機関)、2は自動変速機、3はエンジン制御装置(エンジンECU)、4はトランスミッション制御装置(変速機ECU)である。
−エンジン1−
エンジン1は、外部から吸入する空気とインジェクタ(燃料噴射弁)5から噴射される燃料とを適宜の比率で混合した混合気を、点火プラグ12の点火によって燃焼させることにより、回転動力を発生する内燃機関である。吸入空気量は、スロットルバルブ6(回転数調整機構)によって調節される。このスロットルバルブ6は、電動式のアクチュエータ(スロットルモータ等)7により駆動されるもので、アクセルペダル11の踏み込み量や制御上の条件に基づきアクチュエータ7を駆動することにより開度調節される。インジェクタ5、アクチュエータ7及び点火プラグ12は、エンジン制御装置3により制御される。
−自動変速機2−
自動変速機2は、エンジン1から入力軸9に入力される回転動力を変速し、出力軸10を介して駆動輪に出力するもので、主として、トルクコンバータ(流体継手)20、変速機構部30、油圧制御装置40等を含んで構成されている。
図2に示すように、トルクコンバータ20は、エンジン1に回転連結されるもので、ポンプインペラ21、タービンランナ22、ステータ23、ワンウェイクラッチ24、ステータシャフト25、ロックアップクラッチ26を含んで構成されている。
上記ロックアップクラッチ26は、トルクコンバータ20のポンプインペラ21(入力側)とタービンランナ22(出力側)とを直結可能とするものであり、必要に応じて、ポンプインペラ21とタービンランナ22とを直結する係合状態と、ポンプインペラ21とタービンランナ22とを切り離す解放状態と、これら係合状態と解放状態との中間の半係合状態(スリップ状態)との間で切り換えられる。
このロックアップクラッチ26の係合力制御は、ロックアップコントロールバルブ27でポンプインペラ21とタービンランナ22とに対する作動油圧をコントロールすることによって行われる。
変速機構部30は、図2に示すように、主として、第1プラネタリ31、第2プラネタリ32、第3プラネタリ33、クラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4、ワンウェイクラッチF0〜F3等を含んで構成されており、前進6段、後進1段の変速が可能になっている。
第1プラネタリ31は、ダブルピニオンタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、サンギアS1と、リングギアR1と、複数個のインナーピニオンギアP1Aと、複数個のアウターピニオンギアP1Bと、キャリアCA1とを含む構成である。
サンギアS1は、クラッチC3を介して入力軸9に選択的に連結される。このサンギアS1は、ワンウェイクラッチF2及びブレーキB3を介してハウジングに選択的に連結され、逆方向(入力軸9の回転と反対方向)の回転が阻止される。キャリアCA1は、ブレーキB1を介してハウジングに選択的に連結されるとともに、そのブレーキB1と並列に設けられたワンウェイクラッチF1により、常に逆方向の回転が阻止される。リングギアR1は、第2プラネタリ32のリングギアR2と一体的に連結されており、ブレーキB2を介してハウジングに選択的に連結される。
第2プラネタリ32は、シングルピニオンタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、サンギアS2と、リングギアR2と、複数個のピニオンギアP2と、キャリアCA2とを含む構成である。
サンギアS2は、第3プラネタリ33のサンギアS3と一体的に連結されており、クラッチC4を介して入力軸9に選択的に連結される。このサンギアS2は、ワンウェイクラッチF0及びクラッチC1を介して入力軸9に選択的に連結され、その入力軸9に対して相対的に逆方向へ回転することが阻止される。キャリアCA2は、第3プラネタリ33のリングギアR3と一体的に連結されており、クラッチC2を介して入力軸9に選択的に連結されるとともに、ブレーキB4を介してハウジングに選択的に連結される。このキャリアCA2は、ブレーキB4と並列に設けられたワンウェイクラッチF3により、常に逆方向の回転が阻止される。
第3プラネタリ33は、シングルピニオンタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、サンギアS3と、リングギアR3と、複数個のピニオンギアP3と、キャリアCA3とを含む構成である。キャリアCA3は、出力軸10に一体的に連結されている。
クラッチC1〜C4及びブレーキB1〜B4は、オイルの粘性を利用した湿式多板摩擦係合装置(摩擦係合要素)により構成されている。
油圧制御装置40は、変速機構部30におけるクラッチC1〜C4ならびにブレーキB1〜B4を個別に係合、解放させることにより適宜の変速段(前進1〜6速段、後進段)を成立させるものである。この油圧制御装置40の基本構成は公知であるので、ここでは詳細な図示や説明を割愛する。
ここで、上述した変速機構部30における各変速段を成立させる条件について、図3を用いて説明する。
図3は、変速機構部30の変速段毎でのクラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4及びワンウェイクラッチF0〜F3の係合状態または解放状態を示す係合表である。この係合表において、○印は「係合」、×印は「解放」、◎印は「エンジンブレーキ時に係合」、△印は「動力伝達を行わない係合」を示す。
なお、クラッチC1は、前進クラッチ(入力クラッチ)と呼ばれ、図3の係合表に示すように、パーキングポジション(P)、リバースポジション(R)、ニュートラルポジション(N)以外であって車両が前進するための変速段を成立させる際に係合状態で使用される。
また、本実施形態における変速機構部30では、クラッチC3が、3速段(3rd)で係合され且つ2速段(2nd)で解放されるようになっている。また、ワンウェイクラッチF1が、4速段(4th)で解放され且つ3速段(3rd)で係合される(タービン回転数NTが3速段の同期回転数に達した際に係合される)ようになっている。
−エンジン制御装置3、トランスミッション制御装置4−
エンジン制御装置3は、走行状況に応じてエンジン1へ供給する混合気や燃焼タイミングを制御することによりエンジン1を駆動するものである。
トランスミッション制御装置4は、油圧制御装置40を制御することにより変速機構部30における適宜の変速段つまり動力伝達経路を成立させるものである。
また、これらエンジン制御装置3とトランスミッション制御装置4とは、エンジン制御やトランスミッション制御に必要な情報を互いに送受可能に接続されている。
エンジン制御装置3及びトランスミッション制御装置4は、図示していないが、共に一般的に公知のECU(Electronic Control Unit)とされており、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びバックアップRAMなどを備えている。
ROMは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは、エンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
図4に示すように、エンジン制御装置3には、上記エンジン1のクランクシャフトの回転数を検出するエンジン回転数センサ101、上記スロットルバルブ6の開度を検出するスロットル開度センサ102、吸入空気量を検出するエアフローメータ103などのエンジン1の運転状態を検出する各種センサが接続されており、その各センサの信号が入力される。また、このエンジン制御装置3は、スロットルバルブ6のアクチュエータ(スロットルモータ)7、インジェクタ5の燃料噴射量や燃料噴射タイミング、点火プラグ12の点火タイミング、吸排気バルブの開閉タイミングの位相を変化させるためのVVT(Variable Valve Timing)機構13などのエンジン1の各部を制御する。
また、このエンジン制御装置3のROMには、エンジン1の出力トルクを推定するためのトルク推定マップが記憶されている。このトルク推定マップにより、上記エンジン回転数センサ101によって検出されるエンジン回転数、スロットル開度センサ102によって検出されるスロットル開度、エアフローメータ103によって検出される吸入空気量に基づいて、現在のエンジン1の出力トルクを推定可能となっている。
トランスミッション制御装置4には、上記入力軸9の回転数(タービン回転数NT)を検出する入力軸回転数センサ110、出力軸10の回転数を検出する出力軸回転数センサ111、ドライバにより操作されるアクセルペダル11の開度を検出するアクセル開度センサ112、自動変速機2のシフトレバー位置を検出するシフトポジションセンサ113、駆動輪の速度(車輪速度)を検出する車輪速センサ114などが接続されている。尚、この車輪速センサ114は、各車輪に備えられており、ABS(Antilock Brake System)制御において路面状況を検知するためのものとして使用されている。
また、このトランスミッション制御装置4は、上記ロックアップコントロールバルブ27にロックアップクラッチ制御信号を出力する。このロックアップクラッチ制御信号に基づいてロックアップコントロールバルブ27がロックアップクラッチ26の係合圧を制御し、上述したロックアップクラッチ26の係合状態(トルコン状態または完全ロックアップ状態とも呼ばれる)、解放状態(完全スリップ状態とも呼ばれる)、半係合状態(スリップ状態:フレックスロックアップ状態とも呼ばれる)が切り換えられるようになっている。
さらに、トランスミッション制御装置4は、自動変速機2の油圧制御装置40にソレノイド制御信号(油圧指令信号)を出力する。このソレノイド制御信号に基づいて油圧制御装置40の油圧制御回路に備えられているリニアソレノイドバルブやオンオフソレノイドバルブなどが制御され、所定の変速段(第1変速段〜第6変速段、後退変速段など)を達成するように、自動変速機2の各クラッチC1〜C4、各ブレーキB1〜B4などが所定の状態に係合または解放される。
−シフト装置50及びパドルスイッチ61,62−
本実施形態に係る車両の運転席の近傍にはシフト装置50が配置されている(図1参照)。このシフト装置50にはシフトレバー(セレクトレバーとも呼ばれる)51が変位操作可能に設けられている。また、このシフト装置50には、図5に示すように、パーキング(P)位置、リバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置、及び、シーケンシャル(S)位置を有するシフトゲートが形成されており、ドライバが所望のレンジ位置へシフトレバー51を変位させることが可能となっている。これらパーキング(P)位置、リバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置、シーケンシャル(S)位置(下記の「+」位置及び「−」位置も含む)の各レンジ位置は、上記シフトポジションセンサ113によって検出される。
上記シフトレバー51が「ドライブ(D)位置」に操作されている状態では、自動変速機2は「自動変速モード」とされ、後述する変速マップに従って変速段が選定されて自動変速動作が行われる。
一方、上記シフトレバー51が「シーケンシャル(S)位置」に操作されている状態では、自動変速機2は「手動変速モード」とされる。このS位置の前後には「+」位置及び「−」位置が設けられている。「+」位置は、マニュアルアップシフトの際にシフトレバー51が操作される位置であり、「−」位置は、マニュアルダウンシフトの際にシフトレバー51が操作される位置である。そして、シフトレバー51がS位置にあるときに、シフトレバー51がS位置を中立位置として「+」位置または「−」位置に操作されると、自動変速機2の変速段がアップまたはダウンされる。具体的には、「+」位置への1回操作ごとに変速段が1段ずつアップ(例えば1st→2nd→…→6th)される。一方、「−」位置への1回操作ごとにギヤ段が1段ずつダウン(例えば6th→5th→…→1st)される。
また、図1に示すように、本実施形態に係る車両の運転席の前方に配設されるステアリングホイール60には、パドルスイッチ61,62が設けられている。これらパドルスイッチ61,62はレバー形状とされ、変速段のアップシフトを要求する指令信号を出力するためのアップシフト用パドルスイッチ61と、変速段のダウンシフトを要求する指令信号を出力するためのダウンシフト用パドルスイッチ62とを備えている。上記アップシフト用パドルスイッチ61には「+」の記号が、上記ダウンシフト用パドルスイッチ62には「−」の記号がそれぞれ付されている。
そして、上記シフトレバー51が「シーケンシャル(S)位置」に操作されて「手動変速モード」となっている場合には、アップシフト用パドルスイッチ61が操作(手前に引く操作)されると、1回操作ごとに変速段が1段ずつアップ(例えば1st→2nd→…→6th)される。一方、ダウンシフト用パドルスイッチ62が操作(手前に引く操作)されると、1回操作ごとに変速段が1段ずつダウン(例えば6th→5th→…→1st)される。
また、本実施形態のものでは、所謂、Dレンジパドルアクティブ制御も可能となっている。つまり、上記シフトレバー51が「ドライブ(D)位置」に操作されて自動変速機2が「自動変速モード」となっている状態であっても、パドルスイッチ61,62の操作による手動変速動作が可能となっている。具体的には、このようにシフトレバー51が「ドライブ(D)位置」に操作されている状態では「自動変速モード」とされ、基本的には、後述する変速マップに従って変速段が選定されて自動変速動作が行われるが、この状態で、アップシフト用パドルスイッチ61が操作されると変速段がアップされ、ダウンシフト用パドルスイッチ62が操作されると変速段がダウンされるようになっている。また、その後に、パドルスイッチ61,62が操作されない状態が所定時間継続したり、アクセルペダル11の踏み込み量が大きくなったりして「自動変速モード」への復帰条件が成立すると、変速マップに従った自動変速動作に復帰するようになっている。
−変速マップ−
上記「自動変速モード」における自動変速機2の変速制御は、例えば図6に示すような変速マップ(変速条件)に従って行われる。この変速マップは、車速V及びアクセル開度θTHをパラメータとし、それら車速V及びアクセル開度θTHに応じて、適正な変速段を求めるための複数の領域が設定されたマップであって、上記トランスミッション制御装置4のROM内に記憶されている。変速マップの各領域は複数の変速線(変速段の切り換えライン)によって区画されている。尚、図6に示す変速マップにおいて、シフトアップ線(シフトアップを実行するための変速線)を実線で示し、シフトダウン線(シフトダウンを実行するための変速線)を破線で示している。また、シフトアップ及びシフトダウンの各切り換え方向を図中に数字と矢印とを用いて示している。
−自動変速機2の変速制御動作−
次に、上述の如く構成された自動変速機2の基本的な変速制御動作について説明する。
先ず、シフトレバー51が「ドライブ(D)位置」に操作されている「自動変速モード」について説明する。
トランスミッション制御装置4は、上記出力軸回転数センサ111の出力信号から車速Vを算出するとともに、アクセル開度センサ112の出力信号からアクセル開度θTHを算出し、それら車速V及びアクセル開度θTHに基づいて図6の変速マップを参照して目標変速段を算出する。さらに、上記入力軸回転数センサ110及び出力軸回転数センサ111の出力信号から得られる回転数の比(出力回転数/入力回転数)を求めて現在の変速段を判定し、その現在変速段と目標変速段とを比較して変速操作が必要であるか否かを判定する。
その判定結果により、変速の必要がない場合(現在変速段と目標変速段とが同じで、変速段が適切に設定されている場合)には、現在変速段を維持するソレノイド制御信号(油圧指令信号)を自動変速機2の油圧制御装置40に出力する。
一方、現在変速段と目標変速段とが異なる場合には変速制御を行う。例えば、自動変速機2の変速段が「4速段」の状態で走行している状況から、車両の走行状態が変化して、例えば図6に示す点Aから点Bに変化した場合、シフトアップ変速線[4→5]を跨ぐ変化となるので、変速マップから算出される目標変速段が「5速段」となり、その5速段を設定するソレノイド制御信号(油圧指令信号)を自動変速機2の油圧制御装置40に出力して、4速段から5速段への変速(4→5アップ変速)を行う。
また、例えば、自動変速機2の変速段が「6速段」の状態で走行している状況から、車両の走行状態が変化して、例えば図6に示す点Cから点Dに変化した場合、シフトダウン変速線[6→5]を跨ぐ変化となるので、変速マップから算出される目標変速段が「5速段」となり、その5速段を設定するソレノイド制御信号(油圧指令信号)を自動変速機2の油圧制御装置40に出力して、6速段から5速段への変速(6→5ダウン変速)を行う。尚、この6速段から5速段への変速動作は、クラッチC3を解放状態から係合状態に移行させると同時に、ブレーキB2を係合状態から解放状態に移行させる、所謂クラッチツークラッチ変速となっている。
一方、このようにシフトレバー51が「ドライブ(D)位置」に操作されている「自動変速モード」であっても、ドライバがパドルスイッチ61,62を操作した場合には、その操作に従って変速動作(手動変速動作)が行われる。つまり、この「自動変速モード」時において、アップシフト用パドルスイッチ61が操作されると、アップシフトのためのソレノイド制御信号(油圧指令信号)が自動変速機2の油圧制御装置40に出力され変速段がアップされる。一方、ダウンシフト用パドルスイッチ62が操作されると、ダウンシフトのためのソレノイド制御信号(油圧指令信号)が自動変速機2の油圧制御装置40に出力され変速段がダウンされることになる。
次に、シフトレバー51が「シーケンシャル(S)位置」に操作されている「手動変速モード」について説明する。
上述した如く、この「手動変速モード」では、シフトレバー51の操作及びパドルスイッチ61,62の操作によって変速動作が行われる。つまり、シフトレバー51が、S位置を中立位置として、「+」位置へ1回操作されるごとにアップシフトのためのソレノイド制御信号(油圧指令信号)が自動変速機2の油圧制御装置40に出力されて変速段が1段ずつアップされる。一方、「−」位置へ1回操作されるごとにダウンシフトのためのソレノイド制御信号(油圧指令信号)が自動変速機2の油圧制御装置40に出力され変速段が1段ずつダウンされる。また、アップシフト用パドルスイッチ61が操作されると、1回操作ごとに変速段が1段ずつアップされ、ダウンシフト用パドルスイッチ62が操作されると、1回操作ごとに変速段が1段ずつダウンされる。
−ブリッピング制御−
本実施形態に係る自動変速機2は、ダウンシフト時、例えば上記手動変速モード時において、シフトレバー51が「−」位置へ操作されることでシフトダウン動作が行われる際や、上記ダウンシフト用パドルスイッチ62が操作されることでシフトダウン動作が行われる際にブリッピング制御が実行される。
具体的には、シフトダウン時に、一時的にスロットル開度を増大させると共にインジェクタ5からの燃料噴射量を増量させることでエンジン回転数を上昇させる。これに伴い、自動変速機2の入力軸回転数(タービン回転数NT)を、目標としている変速段(変速後の変速段)の同期回転数に向けて上昇させ、上記摩擦係合要素(クラッチやブレーキ)の係合動作を円滑に行って変速ショックを軽減するようにしている。
例えば4速段(4th)での走行中に運転者のシフトレバー操作等によって3速段(3rd)への変速指示が行われた場合、ブリッピング制御を実行することでエンジン回転数を上昇させ、自動変速機2のタービン回転数NTを3速段(3rd)の同期回転数に近付け、その後、この3速段(3rd)で係合すべき摩擦係合要素(本実施形態の場合にはブレーキB1)を係合させることにより変速ショックの軽減を図るようにしている。また、この場合、タービン回転数NTが3速段(3rd)の同期回転数に達した時点でワンウェイクラッチF1も係合されることになる。
尚、このブリッピング制御の実行条件としては、上記エンジン回転数センサ101によって検出されたエンジン回転数が所定値(例えば1000rpm)以上であり且つドライバがアクセルペダルを踏み込んでいない(アクセル開度が非常に小さい状態(例えば開度5%以下)を含む)状態においてシフトダウン要求がなされた場合である。
−多重変速動作−
次に、本実施形態の特徴とする動作である多重変速時(ある変速段(第1の目標変速段)への変速動作の途中で、その変速段とは異なる変速段(第2の目標変速段)への変速要求がなされた場合の変速動作時)の制御動作について説明する。
ここでは、自動変速機2が「手動変速モード」とされており(シフトレバー51が「シーケンシャル(S)位置」にあり)、上記エンジン1の被駆動状態で、シフトレバー51の「−」位置への操作、または、ダウンシフト用パドルスイッチ62の操作によってシフトダウンが行われる場合について説明する。尚、これに限らず、自動変速機2が「自動変速モード」とされている場合において、アクセルオフ状態でシフトダウンされる際(所謂コーストダウン変速される際や、上記Dレンジパドルアクティブ制御によってシフトダウンされる際)に同様の制御動作を行うようにしてもよい。
本実施形態における多重変速動作の概略は次のとおりである。多重変速要求がなされた場合(上記第2の目標変速段への変速指示がなされた場合)に上記ブリッピング制御によるブリッピングを一時的に停止し、タービン回転数NTの上昇を抑える。これにより、タービン回転数NTが第1の目標変速段の同期回転数まで上昇してしまうことを回避し、この第1の目標変速段の成立時に係合されるワンウェイクラッチが係合されてしまうことを阻止する。
また、上記第2の目標変速段への変速指示がなされたことに伴って、第1の目標変速段の成立時に係合し且つ第2の目標変速段の成立時に解放される摩擦係合要素の解放動作が開始されるが、この摩擦係合要素が完全に解放されるまでの期間、上記タービン回転数NTをモニタし、このタービン回転数NTが上記第1の目標変速段の同期回転数に達することのない範囲で、できるだけ高い回転数になるようにエンジン1の吸入空気量を調整する(以下、この動作を「タービン回転数コントロール用ブリッピング」と呼ぶ:本発明でいう回転数調整手段による回転数調整機構の制御動作)。そして、この第2の目標変速段の成立時に解放される摩擦係合要素が完全に解放された後に、第2の目標変速段を成立させるためのブリッピング制御を実行し、この第2の目標変速段への変速動作(第2の目標変速段の成立時に係合される摩擦係合要素の係合動作)を開始させる。
次に、具体的な多重変速動作について図7のフローチャートを用いて説明する。以下の説明では、「4速段(4th)→3速段(3rd)→2速段(2nd)」の多重変速時を例に挙げて説明する。つまり、4速段(4th)での走行中に運転者のシフトレバー操作等によって3速段(3rd)への変速指示が行われた後、その3速段(3rd)への変速動作の途中で(3速段の成立前に)、再び運転者のシフトレバー操作等が行われて2速段(2nd)への変速指示が行われた場合について説明する。
尚、この図7に示すルーチンは、自動変速機2の変速動作中(上記の場合は3速段(3rd)への変速動作中)に他の変速段(上記の場合は2速段(2nd))の変速指示がなされた場合の割り込み制御として実行される。つまり、多重変速判定がなされた場合に、この図7に示すルーチンが開始されることになる。また、このルーチンの開始時点では、3速段(3rd)への変速動作中であるので、この3速段(3rd)への変速動作に際してのブリッピング制御が行われている。また、2速段(2nd)の変速指示がなされているので、この2速段(2nd)を成立させるための摩擦係合要素の係合動作及び解放動作が開始されている。具体的には、係合状態にあったクラッチC3の解放動作等が開始されている。
先ず、ステップST1において、現在実行されているブリッピングを停止する。つまり、第1の目標変速段(3速段)への変速動作実行に際して行われているブリッピングを停止する。このブリッピングの停止動作により、エンジン回転数が低下していくことになり、それに伴ってタービン回転数NTも低下していき、このタービン回転数NTが第1の目標変速段(3速段)の同期回転数に達することがない。つまり、上記ワンウェイクラッチF1が係合状態になることがない。
その後、ステップST2に移り、上記RAMに予め設けられたスロットル開度維持フラグが「1」にセットされているか否かを判定する。このスロットル開度維持フラグは、上記タービン回転数コントロール用ブリッピング動作においてスロットル開度を維持するように判定された際に「1」にセットされるフラグである。多重変速動作の開始時には、タービン回転数コントロール用ブリッピング動作は未だ開始されていないためスロットル開度維持フラグは「0」にリセットされており、ステップST2ではNO判定される。
ステップST2でNO判定されると、ステップST3に移り、上記入力軸回転数センサ110の出力信号からタービン回転数NTを検出する。そして、ステップST4に移り、この検出されたタービン回転数NTが、第1の目標変速段(3速段)の同期回転数NTS1よりも所定量aだけ低い規制回転数(NTS1−a)未満であるか否かを判定する。この所定量aは実験やシミュレーション等によって適宜設定される値であり、例えば50rpmに設定される。この値はこれに限定されるものではない。
タービン回転数NTが規制回転数(NTS1−a)未満であり、ステップST4でYES判定されると、ステップST5に移り、スロットル開度TAを所定開度bだけ大きくするように補正する。この所定開度bも実験やシミュレーション等によって適宜設定される値であり、例えば5%(スロットルバルブ6の全閉から全開までの回動角度を100%とした場合の5%)だけスロットル開度を大きく設定する。この値もこれに限定されるものではない。
その後、ステップST6に移り、上述の如く解放動作が開始されていたクラッチC3の解放が完了したか否かを判定する。この判定は、クラッチC3の解放が完了した場合、タービン回転数NTが、第1の目標変速段(3速段)の同期回転数(NTS1)に達しても上記ワンウェイクラッチF1の同期ショック(解放途中にあるクラッチC3によるトルク伝達とワンウェイクラッチF1が係合状態になることによるトルク伝達とが同時に発生することに伴うショック)は生じない状態であり、第2の目標変速段(2速段)を成立させるためのブリッピング制御の実行が可能となるので、このブリッピング制御の実行許可を判定するものである。尚、クラッチC3の解放が完了したか否かの具体的な判定動作としては、上記2速段(2nd)の変速指示がなされてからの経過時間(ディレータイマでカウントされる時間)が所定時間を経過した時点でクラッチC3の解放が完了したと判定するようにしている。
未だクラッチC3の解放が完了しておらず、ステップST6でNO判定された場合には、ステップST2に戻る。スロットル開度維持フラグは未だ「0」のままであるので、ステップST2ではNO判定される。そして、上述したステップST3でのタービン回転数NTの検出動作、ステップST4での回転数比較動作、ステップST5でのスロットル開度の補正動作が、ステップST4でNO判定されるか、または、ステップST6でYES判定されるまで実行される。尚、ステップST4でNO判定されるまでにクラッチC3の解放が完了し、ステップST6でYES判定された場合には、ステップST9に移って第2の目標変速段(2速段)を成立させるためのブリッピング制御の実行を開始させる。
クラッチC3の解放が完了するまでにタービン回転数NTが規制回転数(NTS1−a)に達し、上記ステップST4でNO判定された場合には、ステップST7に移り、現在のスロットル開度TAを維持し、ステップST8でスロットル開度維持フラグを「1」にセットする。この場合、タービン回転数NTは、規制回転数(NTS1−a)に近接した状態で維持されることになる。
このようにしてスロットル開度維持フラグが「1」にセットされると、ステップST2ではYES判定されることになるので、ステップST6でYES判定されるまで、つまり、クラッチC3の解放が完了するまで、ステップST2とステップST6との動作を繰り返す。つまり、上記タービン回転数NTの検出動作や、それに伴うスロットル開度TAの補正動作を行うことなく、スロットル開度TAを維持した状態でクラッチC3の解放が完了するのを待つ。
そして、クラッチC3の解放が完了し、ステップST6でYES判定された場合には、ステップST9に移り、第2の目標変速段(2速段)を成立させるためのブリッピング制御を開始させる。つまり、上記エンジン制御装置3からスロットルバルブ6のアクチュエータ7に対して開指令信号を出力すると共に、インジェクタ5に対して燃料噴射指令信号を出力する。これにより、スロットルバルブ6の開度を大きく設定すると共に、吸気行程を迎えている気筒に対してインジェクタ5から順次燃料噴射及びその混合気に対する点火プラグ12による点火を実行する。これにより、燃焼室内での燃焼に伴ってエンジン回転数が上昇することになる。このエンジン回転数の上昇に伴いタービン回転数NTも第2の目標変速段(2速段)の同期回転数に向けて上昇することになる。ここでのスロットルバルブ6の開度、インジェクタ5からの燃料噴射量の制御、点火プラグ12の制御としては、シフトダウン動作後の変速段(上記第2の目標変速段)における同期回転数にタービン回転数NTが迅速に達するように行われる。
このブリッピング制御の実行に伴い、ステップST10で第2の目標変速段(2速段)への変速動作を開始する。具体的にはブレーキB2の係合動作を開始する。そして、ステップST11で第2の目標変速段(2速段)への変速が完了したか否かを判定し(入力軸回転数センサ110及び出力軸回転数センサ111の出力信号から得られる回転数の比(出力回転数/入力回転数)より第2の目標変速段(2速段)への変速が完了したか否かを判定し)、変速が完了すればステップST12に移って上記スロットル開度維持フラグを「0」にリセットして多重変速動作を終了する。
図8は、従来の多重変速実行時における変速段、スロットル開度要求、タービン回転数の変化の一例を示すタイミングチャート図である。また、図9は、実施形態に係る多重変速実行時における変速段、スロットル開度要求、タービン回転数の変化の一例を示すタイミングチャート図である。
図8に示すように、従来の多重変速動作では、上記ワンウェイクラッチの同期ショックを回避するために、2速段(2nd)への変速指示がなされてからクラッチの解放動作が完了するまでの期間(図8における期間t1)ブリッピング制御を禁止していた。つまり、多重変速の開始(2速段への変速指示)と同時にブリッピング制御を禁止し、その後、クラッチの解放動作が完了するまでスロットル開度を「0」に設定していた。このため、クラッチの解放動作が完了するまでの期間、つまり、上記ブリッピング制御を禁止している期間中にタービン回転数が、変速後の同期回転数(2速段の同期回転数)に対して大きく低下した状態となってしまい(4速段の同期回転数まで低下した状態となってしまい)、クラッチの解放動作の完了後にブリッピング制御を実行してシフトダウン動作に移行させたとしても、タービン回転数を2速段の同期回転数まで上昇させる時間を長く要し、この2速段の成立までの時間が遅延していた。図8における時間t2が、クラッチの解放動作の完了から2速段の成立までに要する時間である。
これに対し、実施形態に係る多重変速動作では、図9に示すように、先ず、多重変速要求(2速段への変速指示)がなされた場合にブリッピングを停止し、タービン回転数NTの上昇を抑えて、タービン回転数NTが3速段の同期回転数まで上昇してしまうことを回避し、ワンウェイクラッチが係合されてしまうことを阻止する。そして、クラッチが完全に解放されるまでの期間、上記タービン回転数NTをモニタし、このタービン回転数NTが上記規制回転数に達するまでスロットル開度を増大補正していき(図9にT1で示すスロットル開度増大期間を参照)、タービン回転数NTが上記規制回転数に達した時点でスロットル開度を維持する(図9にT2で示すスロットル開度維持期間を参照)。そして、クラッチが完全に解放された後に、2速段を成立させるためのブリッピング制御を実行し、この2速段への変速動作(2速段の成立時に係合される摩擦係合要素の係合動作)を開始させる。この場合、2速段への変速動作の開始時には、上記タービン回転数コントロール用ブリッピングによってタービン回転数NTは規制回転数にまで上昇しているので、このタービン回転数を2速段の同期回転数まで上昇させる時間が短縮されることになる。図9における時間T3が、クラッチの解放動作の完了から2速段の成立までに要する時間である。
以上説明したように、本実施形態では、多重変速時において摩擦係合要素が完全に解放されるまでの期間、タービン回転数NTをモニタし、このタービン回転数NTを上記規制回転数を上限として、できるだけ高い回転数になるようにエンジン1の吸入空気量を調整している。このため、摩擦係合要素が完全に解放した後、第2の目標変速段への変速動作の開始時には、タービン回転数NTは規制回転数にまで上昇しているので、このタービン回転数NTを第2の目標変速段の同期回転数まで上昇させる時間を短縮することができ、多重変速の実行時における変速の応答性を高めることが可能になる。
−他の実施形態−
上記実施形態では、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両に対して本発明を適用した場合について説明したが、FF車両や4輪駆動車に対しても本発明は適用可能である。
また、上記実施形態では、ガソリンエンジン1を搭載した自動車に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、ディーゼルエンジンを搭載した自動車にも適用可能である。また、気筒数やエンジン形式(V型や水平対向型等)についても特に限定されるものではない。
更に、上記実施形態では、3つのプラネタリ31〜33を備える変速機構部30を有する自動変速機2を例に挙げたが、本発明はこれに限るものではなく種々の変速機構部を有する自動変速機に対して適用することが可能である。また、変速機構部30における変速可能な段数についても特に限定されるものではない。
本発明は、シフトダウン時にブリッピング制御を行う自動変速機の多重変速実行時におけるエンジンの吸入空気量制御に適用可能である。
1 エンジン(内燃機関)
2 自動変速機
3 エンジン制御装置
4 トランスミッション制御装置
5 インジェクタ(燃料噴射弁)
6 スロットルバルブ(回転数調整機構)
110 入力軸回転数センサ
C3 クラッチ(摩擦係合要素)
F1 ワンウェイクラッチ

Claims (3)

  1. 内燃機関の回転数を調整可能な回転数調整機構と、摩擦係合要素及びワンウェイクラッチを選択的に係合させることにより所定の変速段を成立させ上記内燃機関からの駆動力を変速して出力する変速機とを備え、変速機のシフトダウン動作が行われる際に、内燃機関の回転数を上昇させるブリッピング制御を行うようにした車両の制御装置において、
    上記変速機の第1の目標変速段への変速動作途中で第2の目標変速段への変速指示がなされる多重変速時、上記第2の目標変速段への変速に伴って解放動作を行う摩擦係合要素の解放が完了するまで、変速機の入力軸回転数を、上記第1の目標変速段の同期回転数未満に維持しながら、この同期回転数に近付けるように上記回転数調整機構を制御する回転数調整手段を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
  2. 請求項1記載の車両の制御装置において、
    上記回転数調整機構は、内燃機関の吸入空気量を調整するスロットルバルブであって、上記回転数調整手段は、変速機の多重変速時、第2の目標変速段への変速に伴って解放動作を行う摩擦係合要素の解放が完了するまで、変速機の入力軸回転数を、上記第1の目標変速段の同期回転数に近付けるようにスロットルバルブの開度を制御するよう構成されていることを特徴とする車両の制御装置。
  3. 請求項1または2記載の車両の制御装置において、
    上記回転数調整機構は、変速機の入力軸回転数と上記第1の目標変速段の同期回転数との乖離量が所定量に達するまで内燃機関の回転数が上昇するように回転数調整機構を作動させていき、この変速機の入力軸回転数と上記第1の目標変速段の同期回転数との乖離量が所定量に達すると回転数調整機構の作動状態を維持するよう構成されていることを特徴とする車両の制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013204791A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Honda Motor Co Ltd 自動二輪車用ツインクラッチ式自動変速機の変速制御装置
JP2016043879A (ja) * 2014-08-26 2016-04-04 トヨタ自動車株式会社 車両の制御装置

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