JP5978911B2 - 車両の走行制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、走行慣性力により惰性走行することができる車両の走行制御装置に関し、特に動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断することができる係合装置と、動力源から出力されたトルクを変速して駆動輪に伝達することができる変速機構とを備えた車両の走行制御装置に関するものである。
運転者による加速要求や減速要求がない場合には、動力源と駆動輪との動力の伝達を行う必要がないため、動力源と駆動輪との間にクラッチを設け、そのクラッチを開放するとともに、動力源をアイドル回転数程度の回転数としたりその回転を停止させたりするように構成された車両が知られている。このように構成された車両は、車両が停止しているときや車両の走行慣性力によって惰性走行しているときに、クラッチを開放して動力源をアイドル回転数程度の回転数としたりその回転を停止させたりすることにより燃費の向上を図っている。
また、従来知られた車両は、動力源の回転数を燃費が良好な回転数に変更するため、あるいは動力源から出力されたトルクを増減させるために、動力源と駆動輪との間に変速機構を備えている。その変速機構としては、変速比を段階的に変化させる有段変速機や無段変速機があり、それら変速機構の入力側あるいは出力側もしくは変速比を変更するためのクラッチが設けられており、そのクラッチを開放することによって、動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断することができるように構成されている。
したがって、クラッチを開放して惰性走行しているときであっても変速機構における変速比を変更することができるが、クラッチの出力側の回転数が高回転数となっているように変速してしまうと、クラッチを係合させるときに動力源が連結されたクラッチの入力側の回転数と出力側の回転数との偏差が大きくなってしまう可能性がある。クラッチの入力側の回転数と出力側の回転数との偏差が大きい状態でクラッチを係合してしまうと、動力源の慣性力が駆動輪に伝達されてしまい、過剰な制動力が駆動輪に作用してショックが発生してしまう可能性がある。また、そのショックを抑制もしくは防止するためにクラッチを係合させるときにクラッチの入力側の回転数と出力側の回転数とが同期するように動力源の回転数を増大させる必要があるので、燃費が悪化してしまう可能性がある。
そのため、特許文献1や特許文献2には、クラッチを開放して惰性走行しているときには、変速機構における変速比を変更しないように構成された制御装置が記載されている。特に特許文献1に記載された制御装置は、クラッチの出力側の回転数を検出して、その回転数が所定の回転数以上のときにのみ、シフトレバーの切替をアクチュエータなどによって禁止して変速比が変更されないように構成されている。
また、変速機構の変速比をシフトレバーによって変更することができる構成では、クラッチを開放して惰性走行しているときに、運転者によるシフトレバーの操作によって変速比が変更されてしまう場合がある。そのため、特許文献3に記載された制御装置は、クラッチを開放しているときにシフトレバーが操作された場合には、クラッチを係合する制御を実行せずに運転者に警告してシフトレバーを元の位置に変更させた後に、クラッチを係合する制御を実行するように構成されている。
なお、特許文献4には、車両が惰性走行しているとき、および車両が減速しているときにクラッチを開放させるとともに、動力源を停止させて燃費の向上を図る制御装置が記載されている。
特開2012−013186号公報 国際公開第2012/002533号 特開2012−031944号公報 特開2012−047148号公報
上述した特許文献1に記載された制御装置は、クラッチを開放して惰性走行しているときに、クラッチの出力側の回転数が所定の回転数以下の範囲であれば、変速機構の変速比を変更することができる。しかしながら、変速機構の変速比を所定の変速比に固定するようにシフトレバーが選択されている状態あるいはスポーツモードなどが設定されている状態であってクラッチを開放して惰性走行することを禁止し、変速機構の変速比を所定の変速比に固定して走行している状態から、シフトレバーが操作されてDレンジが選択されてクラッチを開放して走行することを許可された場合には、クラッチを開放して惰性走行を開始させる条件と変速比を変更する条件とが同時に生じる可能性がある。また、有段変速機を備えた車両は、アクセル開度と車速とから変速段を決定するように構成されているため、アクセルペダルが戻されて変速段を変更する条件が成立し、同時にアクセルペダルが戻されることによりクラッチを開放して惰性走行させる条件が成立する場合がある。上記のようにクラッチを開放して惰性走行させる条件と、変速機構の変速比を変更する条件とが同時に成立した場合には、車両の走行状態に応じてクラッチを開放して惰性走行させる惰性走行制御と変速比を変更する変速制御との開始のタイミングによっては燃費が悪化してしまったり、動力源の回転数が運転者が意図しない変化をして運転者に違和感を感じさせるなどのドライバビリティが低下してしまったりする可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、惰性走行制御と変速制御とを開始させる条件が同時に成立したときに、燃費とドライバビリティとを両立することができる車両の走行制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、予め定めた条件が成立することにより動力源が出力した動力を駆動輪に対して伝達しまたはその伝達を遮断する係合手段と、動力伝達経路における動力源と駆動輪との間に設けられ、予め定めた他の条件が成立することにより変速比を変更する変速機構と、前記動力源の出力軸に連結された流体伝動装置とを備えた車両の走行制御装置において、前記車両が走行している状態で、前記係合手段によって動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断する条件と、前記変速機構の変速比を変更する他の条件とが同時に成立した場合に、前記変速比の変更が前記流体伝動装置の出力軸の回転数と、前記動力源のアイドル回転数および前記流体伝動装置の速度比に応じた前記流体伝動装置の出力軸のアイドル回転数との差が小さくなるような変更のときには、前記変速比を変更した後に、前記係合手段によって前記動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断し、前記変速比の変更が前記流体伝動装置の出力軸の回転数と前記流体伝動装置の出力軸のアイドル回転数との差が大きくなるような変更のときには、前記変速機構における変速比が変更されるまでに前記係合手段によって前記動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断するように構成されていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記変速比の変更が前記流体伝動装置の出力軸の回転数と前記流体伝動装置の出力軸のアイドル回転数との差が大きくなるような変更のときには、前記係合手段によって前記動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断した後に、前記変速機構における変速比の変更を開始するように構成されていることを特徴とする車両の走行制御装置である。
この発明によれば、車両が走行している状態で、動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断する条件と、変速機構の変速比を変更する他の条件とが同時に成立した場合に、変速比の変更が流体伝動装置の出力軸の回転数とそのアイドル回転数との差が小さくなるような変更のときには、変速比を変更した後に、動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断する。そのため、変速比を変更させることにより流体伝動装置の出力軸の回転数とそのアイドル回転数との差が小さくなった後に、流体伝動装置の出力軸の回転数がそのアイドル回転数となるため、流体伝動装置の出力軸の回転数が急激にそのアイドル回転数まで変化することがなく、運転者に違和感を感じさせることを抑制もしくは防止することができる。また、変速比の変更が流体伝動装置の出力軸の回転数とそのアイドル回転数との差が大きくなるような変更のときには、変速比が変更されるまでに動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断する。そのため、変速比を変更させることにより流体伝動装置の出力軸の回転数とそのアイドル回転数との差が大きくなった後に流体伝動装置の出力軸の回転数がそのアイドル回転数となるような、流体伝動装置の出力軸の回転数の一時的な増大あるいは減少が生じることを抑制もしくは防止することができるので、運転者に違和感を感じさせることを抑制もしくは防止することができる。さらに、流体伝動装置の出力軸の回転数とそのアイドル回転数との差が一時的に大きくなるような挙動を抑制もしくは防止することができるため、流体伝動装置の出力軸の回転数を早期にそのアイドル回転数とすることができるとともに、一時的に流体伝動装置の出力軸の回転数が増大することに伴って燃費が低下してしまうことを抑制もしくは防止することができる。
また、変速比を変更させることにより流体伝動装置の出力軸の回転数とそのアイドル回転数との差が大きくなる変更のときに、動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断した後に、変速比を変更させ始めることによって、変速に伴って流体伝動装置の出力軸の回転数がそのアイドル回転数まで変化しにくくなること、すなわち流体伝動装置の出力軸の回転数とそのアイドル回転数との差が大きくなるような変速動作が作用することを防止することができる。その結果、流体伝動装置の出力軸の回転数を早期にそのアイドル回転数とすることができるため、燃費を向上させることができる。
この発明に係る車両の走行制御装置の制御の一例を説明するためのフローチャートである。 この発明に係る車両の走行制御装置の他の制御例を説明するためのフローチャートである。 比較的高速で走行しているときに、図2の制御を実行した場合における車速、タービン回転数、ニュートラル制御の実行の有無などの変化を説明するためのタイムチャートであって、(a)はダウンシフトする条件が成立した場合、(b)はアップシフトする条件が成立した場合の各変化を示すタイムチャートである。 比較的低速で走行しているときに、図2の制御を実行した場合における車速、タービン回転数、ニュートラル制御の実行の有無などの変化を説明するためのタイムチャートであって、(a)はダウンシフトする条件が成立した場合、(b)はアップシフトする条件が成立した場合の各変化を示すタイムチャートである。 車両に搭載された動力伝達装置を示すスケルトン図である。 図5に示す有段変速機における各変速段を設定するために係合するクラッチあるいはブレーキを示す図表である。
つぎにこの発明に係る制御装置で対象とすることができる車両の構成の一例について説明する。この発明に係る制御装置で対象とすることができる車両は、動力源と駆動輪との間に、動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断することができるクラッチを備え、かつ動力源から駆動輪に伝達する動力を変速することができる変速機構を備えたものである。そのクラッチは、変速機の入力側あるいは出力側に設けられたものであってもよく、複数の変速段を変更する有段変速機の場合には、それら変速段を設定する際に係合させられるクラッチであってもよい。また、変速機としては、上記有段変速機に限らず、変速比を連続的に変更可能なベルト式無段変速機やトロイダル式無段変速機などであってもよい。
以下の説明では、複数の変速段を変更することができる有段変速機を備えた車両を例に挙げて説明する。図5は、車両の一例を説明するためのスケルトン図である。図5に示す車両は、動力源1と駆動輪2,2との間に前進8段および後進1段の変速段を設定できる有段変速機3を有した動力伝達装置を示している。図5に示す動力伝達装置は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関(以下、エンジン1と記す。)と、そのエンジン1の出力軸4に連結された、トルク増幅機能を有した流体伝動装置(以下、トルクコンバータ5と記す。)と、トルクコンバータ5の出力軸6に連結された有段変速機3と、有段変速機3の出力軸7にデファレンシャルギヤ8を介して連結された駆動輪2,2とを有している。なお、図5に示す動力伝達装置は、前輪に動力を伝達するように構成されたものであってもよく、後輪に動力を伝達するように構成されたものであってもよい。また、エンジン1を駆動させるためのスタータモータを付設したものであってもよい。
ここで、図5に示す有段変速機3の具体的な構成について説明する。図5に示す有段変速機3は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構9と、ラビニョウ型の遊星歯車機構10とによって構成されている。図5に示すダブルピニオン型の遊星歯車機構9は、ケース11に連結されて回転不能に固定されたサンギヤ9Sと、そのサンギヤ9Sと同心円上に配置されたリングギヤ9Rと、サンギヤ9Sと噛み合う第1ピニオンギヤ9P1と、第1ピニオンギヤ9P1とリングギヤ9Rとの双方に噛み合う第2ピニオンギヤ9P2と、第1ピニオンギヤ9P1と第2ピニオンギヤ9P2とを自転および公転可能に保持し、トルクコンバータ5の出力軸6と一体に回転するキャリヤ9Cとによって構成されている。なお、トルクコンバータ5の出力軸6は、有段変速機3の入力軸として機能するため、以下の説明では、入力軸6と記す。したがって、ダブルピニオン型の遊星歯車機構9は、サンギヤ9Sがケース11に固定されているため、エンジン1からキャリヤ9Cに伝達された動力の回転数を減少させてリングギヤ9Rから出力するように構成されている。すなわち、ダブルピニオン型の遊星歯車機構9は、キャリヤ9Cが入力要素として機能し、サンギヤ9Sが反力要素として機能し、リングギヤ9Rが出力要素として機能する3要素の遊星歯車機構であり、上述したようにエンジン1から伝達された動力の回転数を減少させて出力する減速機として機能するように構成されている。
つぎに、ラビニョウ型の遊星歯車機構10の構成について説明する。図5に示すラビニョウ型の遊星歯車機構10は、シングルピニオン型の遊星歯車機構とダブルピニオン型の遊星歯車機構とを複合させて構成した4要素の複合遊星歯車機構である。具体的には、中空状に形成されたサンギヤ10S1と、そのサンギヤ10S1に噛み合い軸線方向に比較的長く形成されたロングピニオンギヤ10P1と、サンギヤ10S1の中空部を貫通して配置された回転軸12と一体化されたサンギヤ10S2と、そのサンギヤ10S2とロングピニオンギヤ10P1との双方に噛み合い軸線方向における長さが比較的短く形成されたショートピニオンギヤ10P2と、ロングピニオンギヤ10P1とショートピニオンギヤ10P2とを自転および公転可能に保持するキャリヤ10Cと、出力軸7に連結されたリングギヤ10Rとによって構成されている。すなわち、サンギヤ10S1、ロングピニオンギヤ10P1、キャリヤ10Cおよびリングギヤ10Rによってシングルピニオン型の遊星歯車機構が構成され、サンギヤ10S2、ロングピニオンギヤ10P1、ショートピニオンギヤ10P2、キャリヤ10Cおよびリングギヤ10Rによってダブルピニオン型の遊星歯車機構が構成されている。言い換えると、シングルピニオン型の遊星歯車機構とダブルピニオン型の遊星歯車機構とにおけるロングピニオンギア10P1とリングギヤ10Rとキャリヤ10Cとが共用されている。このように構成されたラビニョウ型の遊星歯車機構10は、各サンギヤ10S1,10S2とキャリヤ10Cとリングギヤ10Rとが、ラビニョウ型の遊星歯車機構10を構成する部材以外に連結された回転要素として機能する、いわゆる4要素の遊星歯車機構によって構成されている。
そして、前記ダブルピニオン型の遊星歯車機構9と、ラビニョウ型の遊星歯車機構10とを構成する各回転要素を、選択的に係合あるいは解放することができるクラッチ、および係合することにより回転不能にするブレーキが複数設けられている。なお、クラッチやブレーキは、油圧あるいは電磁力に応じて係合力を制御することができる係合装置であって、各クラッチやブレーキには、それぞれ図示しない油圧アクチュエータや電磁アクチュエータが設けられている。以下の説明では、クラッチやブレーキの係合力が油圧アクチュエータによって制御される例を挙げて説明する。図5に示す例では、リングギヤ9Rとサンギヤ10S2との間、具体的には、リングギヤ9Rと回転軸12との間にクラッチC1が設けられ、入力軸6とキャリヤ10Cとの間にクラッチC2が設けられ、リングギヤ9Rとサンギヤ10S1との間にクラッチC3が設けられ、キャリヤ9Cとサンギヤ10S1との間にクラッチC4が設けられている。さらに、係合することによりサンギヤ10S1を回転不能にするブレーキB1と、係合することによりキャリヤ10Cを回転不能にするブレーキB2とが設けられている。また、キャリヤ10Cにおける回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチF1が設けられている。
上述した有段変速機における各クラッチおよび各ブレーキを図6に示すように係合あるいは解放することによって、各変速段が設定される。なお、図6に示す「○」はクラッチあるいはブレーキを係合している状態を示し、「(○)」はエンジンブレーキを作用させるときに係合させることを示している。具体的には、クラッチC1とブレーキB2あるいはワンウェイクラッチF1とが係合することによって前進第1速が設定される。なお、ワンウェイクラッチF1は、キャリヤ10Cの逆回転(エンジン1の回転とは範囲方向の回転)を阻止するように係合しているので、これとは反対方向のトルクがキャリヤ10Cに作用するとワンウェイクラッチF1は解放する。このような状態ではキャリヤ10Cに反力が作用しないことによりエンジンブレーキ力が生じないので、エンジンブレーキを可能にするためにブレーキB2が係合させられる。また、クラッチC1とブレーキB1とを係合させることによって前進第2速が設定され、クラッチC1とクラッチC3とを係合させることによって前進第3速が設定され、クラッチC1とクラッチC4とを係合させることによって前進第4速が設定され、クラッチC1とクラッチC2とを係合させることによって前進第5速が設定され、クラッチC2とクラッチC4とを係合させることによって前進第6速が設定され、クラッチC2とクラッチC3とを係合させることによって前進第7速が設定され、クラッチC2とブレーキB1とを係合させることによって前進第8速が設定される。さらに、クラッチC4とブレーキB2とを係合させることによって後進第1速が設定される。
また、図5に示す動力伝達装置には、車速を検出するセンサ13、アクセルペダル14の開度などの操作量を検出するセンサ15、トルクコンバータの出力軸の回転数、より具体的にはトルクコンバータを構成するタービンの回転数を検出するセンサ16、エンジン回転数を検出するセンサ17などが設けられており、それらのセンサで検出した信号が、電子制御装置(ECU)18に入力される。そのECU18は、入力された信号を一時的に保存するRAM、予め実験やシミュレーションなどによって用意されたマップや演算式が保存されたROM、入力された信号などから種々の演算を行うCPUなどを備えている。そして、その入力された信号に基づいて変速段を設定するために係合させるクラッチやブレーキなどの係合装置を選択して、その選択された係合装置を係合させる信号を出力したり、エンジン1への燃料の供給量を制御したりする。なお、上述したクラッチやブレーキは、ECU18から出力された信号に応じて係合および解放を制御することができるものであればよく、その一例として、油圧アクチュエータによって係合および解放が制御されるものや、電磁アクチュエータによって係合および解放が制御されるものなどである。
上記のように各変速段は、クラッチおよびブレーキの係合装置を少なくとも2つ係合させることによって設定される。言い換えると、各変速段を設定するために係合される係合装置のうち少なくとも一つの係合装置を解放すると、エンジン1と駆動輪2,2との動力伝達が遮断される。すなわち、ニュートラル状態となる。したがって、各変速段を設定する係合装置のうち少なくとも一つの係合装置を解放することによって、エンジン1と駆動輪2,2との動力伝達を遮断することができるので、エンジン1から出力された動力を駆動輪2,2に伝達することが要求されて走行している状態から、その動力の伝達が要求されなくなった場合あるいは設定されている走行モードなどの条件に応じて、その走行時における変速段を設定する係合装置の一つを解放してニュートラル状態で走行することができる。こうすることにより、エンジン1をアイドル回転数で運転したりエンジン1の回転を停止したりすることができ、その結果、燃費を低減することができる。
なお、図5に示す変速機3の変速制御は従来知られた変速制御と同様に、アクセル開度と車速とに基づいた変速マップを予め用意して、その変速マップに応じて変速段を設定するものである。すなわち、図5に示す変速機3は、車速やアクセルペダル14の操作量などの条件に応じて変速段を変更するように構成されている。
上述したように構成された車両が走行しているときに、マニュアル操作によって変速段を設定するようにシフトレバーが選択された状態あるいはスポーツモードやパワーモードが設定されている状態、すなわち変速段を所定の変速段に設定するとともに、ニュートラル惰性走行を禁止している状態から、シフトレバーの操作によってDレンジが選択されあるいはスポーツモードやパワーモードが解消されて変速段の変更およびニュートラル惰性走行を許可される状態へ変更されて、ニュートラル惰性走行させる条件と変速機3の変速段を変更する条件とが同時に成立した場合の制御の一例について説明する。図1は、その制御例を説明するためのフローチャートであって、図1に示すルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行されている。まず、ニュートラル惰性走行(N惰行)の開始条件が成立(ON)し、かつ変速機3の変速比を変更する条件が成立(ON)されたか否かを判断する(ステップS1)。具体的には、マニュアル操作によって変速段を設定するようにシフトレバーが選択された状態からDレンジに変更され、もしくはスポーツモードやパワーモードが設定された状態からその設定か解除されるとともに、そのときの車速およびアクセル開度から設定される変速段が、マニュアル操作によって選択されていた変速段あるいはスポーツモードやパワーモードが設定されていたときの変速段と異なっていた場合に、ステップS1で肯定的に判断される。または、シフトレバーがDレンジを選択してアクセルペダルが踏み込まれて走行している状態から、そのアクセルペダルの踏み込み量が低下して変速比が小さい変速段に変更する条件が成立した場合に、ステップS1で肯定的に判断される。
それとは反対に、ニュートラル惰性走行させる条件と変速段を変更する条件との少なくともいずれか一方が成立していない場合には、ステップS1で否定的に判断される。ニュートラル惰性走行させる条件のみが成立していてステップS1で否定的に判断された場合には、ニュートラル惰性走行させるために、現在係合させられているクラッチのうちいずれか一方のクラッチを開放させる制御を実行し、変速段を変更する条件のみが成立してステップS1で否定的に判断された場合には、現在係合しているクラッチのうち少なくともいずれか一方を開放し、かつ目標変速段を設定するためのクラッチを係合させる変速制御を実行する(ステップS2)。この変速制御は、従来知られたクラッチツウクラッチ制御などである。また、ニュートラル惰性走行させる条件と変速段を変更する条件とのいずれかもが成立していない場合には、ニュートラル惰性走行させる制御や変速制御を実行せずにそのまま図1に示すルーチンを終了する。なお、その場合であってもエンジン1や他の装置などを制御して走行することが通常であるため、図1では、これら各制御を通常制御と示している。そして、ステップS2で通常制御を実行してこのルーチンを一旦終了する。
一方、ニュートラル惰性走行を開始する条件と変速段を変更させる条件とが同時に成立してステップS1で肯定的に判断された場合には、現在、センサ16で検出されているタービン回転数と、エンジン1のアイドル回転数とトルクコンバータの速度比とから定まるタービンのアイドル回転数との差を算出する(ステップS3)。なお、エンジン1は、図示しないオイルポンプやオルタネータあるいはコンプレッサーなどの装置を駆動させるためにも使用されるので、上記のエンジン1のアイドル回転数とは、それらの装置の負荷を加味した回転数である。言い換えると、エンジン1を自立回転させ、かつ上記装置などを駆動させることができる程度の回転数を意味する。したがって、エンジン1のアイドル回転数は、予め定められた固定された回転数ではなく、上記装置などの運転状態に応じて変更可能な回転数である。ついで、変速した場合におけるタービン回転数と上記タービンのアイドル回転数との差を算出する(ステップS4)。なお、変速した場合におけるタービン回転数は、現在の車速と変速することによって設定される変速段の変速比とから算出することができる。
そして、ステップS3で算出された差回転がステップS4で算出された差回転より大きいか否かが判断される(ステップS5)。このステップS5の判断は、変速がタービン回転数とそのアイドル回転数との差が小さくなる変速であって、変速によってタービン回転数がそのアイドル回転数に近づくか否かを判断するものである。ステップS5で肯定的に判断された場合、すなわちステップS3で算出された差回転が、ステップS4で算出された差回転より大きい場合には、変速によってタービン回転数がそのアイドル回転数に向けて変化するため、ニュートラル惰性走行させるためのクラッチを開放させずに、変速制御を実行し(ステップS6)、ついで変速制御が終了したか否かを判断する(ステップS7)。このステップS7の判断は、センサ16で検出した回転数が、車速と変速後における変速段の変速比とから求めることができる回転数となったか否かによって判断することができ、またはタイマーなどによって変速に要する時間を経過したか否かによって判断することができる。そして、変速制御が終了するまでステップS7を繰り返し実行する。
それとは反対に、変速制御が終了してステップS7で肯定的に判断された場合は、クラッチを開放してニュートラル状態とするニュートラル制御を実行して(ステップS8)、図1に示すルーチンを終了する。具体的には、変速した後の変速段を設定する係合装置のうち、一つの係合装置を開放してニュートラル状態とし、エンジン回転数をそのアイドル回転数まで低下させる。
一方、ステップS5で否定的に判断された場合、すなわちステップS3で算出された差回転がステップS4で算出された差回転以下の場合には、変速制御を実行せずにあるいは変速制御の終了を待たずに、ステップS8に進み、ニュートラル制御を実行し、図1に示すルーチンを終了する。すなわち、ステップS5で否定的に判断された場合には、変速制御とニュートラル制御とを同時に実行してもよいが、変速制御が完了してタービン回転数あるいはエンジン回転数が変速に伴ってそれらのアイドル回転数から遠ざかるように変化する以前、言い換えると、タービン回転数とそのアイドル回転数との差が大きくなるように変化する以前にニュートラル制御を完了させる。具体的には、現在係合されている2つの係合装置の双方を開放した後に、変速後に係合させるべき係合装置のうち一方のみを係合させたり、一方の係合装置をクラッチツウクラッチ制御によって切り替えながら他方の係合装置を開放させたりする。
上述したようにニュートラル惰性走行させる条件と変速する条件とが同時に成立した場合に、タービン回転数とそのアイドル回転数との差が小さくなる変速のときには、変速制御が完了した後にニュートラル制御を実行する。そのため、変速制御することによってエンジン回転数およびタービン回転数がそれらのアイドル回転数に向けて変化した後に、ニュートラル制御を実行するので、エンジン回転数が徐々に変化する。その結果、エンジン回転数が急激に変化することによる違和感を運転者が感じることを抑制もしくは防止することができる。
また、タービン回転数とそのアイドル回転数との差が大きくなる変速のときには、変速制御に先行してあるいは変速制御が完了する以前にニュートラル制御を実行してクラッチを開放させ、かつエンジン回転数をそのアイドル回転数まで低下させる。そのため、変速によってタービン回転数とそのアイドル回転数との差が大きくなるように変化した後に、クラッチを開放してそのタービン回転数がそのアイドル回転数となるような変化を抑制もしくは防止することができる。具体的には、タービン回転数が増大した後にそのアイドル回転数まで低下したり、タービン回転数が低下した後にそのアイドル回転数まで増大することを抑制もしくは防止することができる。その結果、タービン回転数の一時的な変化によって運転者が違和感を感じることを抑制もしくは防止することができる。さらに、上記のように変速制御が完了する以前にニュートラル制御を実行することによって、変速制御によってエンジン回転数がそのアイドル回転数から遠ざかった後にそのアイドル回転数に収束するような挙動が生じることを抑制もしくは防止することができる。そのため、エンジン回転数をそのアイドル回転数まで低下させる時間を抑制もしくは防止することができるとともに、エンジン回転数がそのアイドル回転数まで低下する間に供給される余分な燃料の噴射量を低減すること、ひいては燃費を向上させることができる。
一方、上述した制御例では、タービン回転数とそのアイドル回転数との差が大きくなる変速の場合に、変速制御が完了する以前にニュートラル制御を実行するように構成されているが、例えば、クラッチツウクラッチ制御を実行しつつ、ニュートラル制御を実行する場合には、少なからず駆動輪2,2から車両の慣性力がタービンあるいはエンジンに伝達されてしまう可能性がある。そのような場合には、エンジン回転数を低下させるようにスロットルバルブなどを制御したとしても、駆動輪2,2から伝達される動力によってエンジン回転数が低下し難くなる。そのため、タービン回転数とそのアイドル回転数との差が大きくなる変速の場合には、ニュートラル制御を実行してクラッチが開放された後に、変速制御を実行すること、すなわち、開放している一方の係合装置を係合することによって現在の車速に応じた変速段となるように、他方の係合装置を切り替えることが望ましい。なお、以下の説明では、ニュートラル惰性走行時に、係合している係合装置を切り替えることを「変速制御」と記す。
タービン回転数とそのアイドル回転数との差が大きくなる変速の場合に、ニュートラル制御を実行してクラッチを開放させた後に、変速制御を実行する制御例を説明するためのフローチャートを図2に示している。なお、図2におけるフローチャートと図1におけるフローチャートとで同一のステップには、同一の符号を参照して説明を省略する。ステップS3で算出された差回転がステップS4で算出された差回転以下であって、ステップS5で否定的に判断された場合には、まず、ニュートラル制御を実行する(ステップS9)。すなわち、変速制御を実行させずにニュートラル制御を実行する。具体的には、現在係合されている係合装置のうち一方の係合装置を開放する。ついで、その開放する係合装置が完全に開放されたか否かを判断する(ステップS10)。ステップS10は、係合装置の係合力を制御するアクチュエータの制御量が、係合装置のトルク容量が所定値以下となる制御量より小さくなったか否か、あるいはタービン回転数がエンジン回転数にのみ追従して変化しているか否か、もしくは係合装置を開放させるためにアクチュエータの制御量を変化させてから、係合装置が確実に開放されるまでの所定時間が過ぎたか否かなどによって判断することができる。
そして、係合装置が完全に開放されておらず、ステップS10で否定的に判断された場合には、係合装置が完全に開放されるまでステップS10を繰り返し実行する。それとは反対に係合装置が完全に開放されてステップS10で肯定的に判断された場合には、変速制御を実行して(ステップS11)、図2に示すルーチンを一旦終了する。なお、ステップS11における変速制御とは、変速機3がニュートラル状態でありかつ係合装置を切り替える制御であって、上記ステップS5における変速制御とは異なっている。すなわち、一つの係合装置を開放させた状態で、係合されている他方の係合装置をクラッチツウクラッチなどによって切り替える。
図2に示すように制御することによって、ニュートラル制御によってクラッチが完全に開放された後に変速制御を実行するため、変速に伴ってエンジン1が連れ回されることがなく、エンジン回転数をそのアイドル回転数まで低下させる時間を短くすることができる。その結果、エンジン回転数が低下するまでに供給される燃料の噴射量を低減でき、ひいては燃費を向上させることができる。
つぎに、図2に示す制御を実行した場合における車速、タービン回転数、ニュートラル制御の実行の有無などの変化を図3および図4に示すタイムチャートを参照しつつ説明する。図3に示すタイムチャートは、比較的高速で車両が走行している状態から、ニュートラル惰性走行させる条件と変速する条件とが同時に成立した場合の例を示しており、(a)がダウンシフトする条件が成立した例、(b)がアップシフトする条件が成立した例を示している。なお、図3および図4における実線はタービン回転数Nt を示し、破線は変速機3の入力軸回転数Ninを示している。したがって、タービンと変速機3との間に発進クラッチを設けた構成の場合には、発進クラッチの出力軸の回転数が入力軸回転数Ninとなり、図5に示すようにタービンの出力軸と変速機3の入力軸とが一体となっており、その変速機3の変速比を変更するクラッチを開放してニュートラル状態をする構成の場合には、ニュートラル状態とするために開放しているクラッチを係合した場合における変速比と車速とから算出することができる変速機3の理論的な入力軸回転数が、図3および図4に示すNinに相当する。
図3(a)のように、車速が一定の勾配で減少し、かつ入力軸回転数Ninがタービン回転数Nt のアイドル回転数より大きい状態で、ニュートラル惰性走行させる条件と変速段をダウンシフトする条件、すなわち変速比が大きくなる変速段へ変速する条件とが同時に成立した場合には、まず、ニュートラル制御が実行される(t1時点)。これは、ニュートラル状態とせずに係合する係合装置を切り替えてダウンシフトした場合には、入力軸回転数Ninが増大するとともにタービン回転数Nt がそのアイドル回転数より大きい状態から更にタービン回転数Nt が増大するため、図2に示す制御例におけるステップS5で否定的に判断されるからである。したがって、t1時点でニュートラル制御が実行されると、係合装置を開放させ始めるため、徐々にタービン回転数Nt がそのアイドル回転数まで低下する。なお、タービン回転数Nt が徐々に低下するのは、係合装置の係合力およびエンジン回転数が徐々に低下するためである。
そして、係合装置が完全に開放されてタービン回転数がそのアイドル回転数まで低下すると(t2時点)、図2に示す制御例におけるステップS10で肯定的に判断されて、変速制御が実行される。すなわち、変速後における変速段を設定する係合装置のうちいずれか一方の係合装置に係合させる係合装置を切り替える。その結果、設定させる変速比が大きくなるので、入力軸回転数Ninが徐々に増大する。なお、上述したように図5に示す場合には、入力軸回転数Ninは理論値であって、実際に入力軸回転数が増大することを意味していない。
一方、図3(b)のように、車速が一定の勾配で増大し、かつ入力軸回転数Ninがタービン回転数Nt のアイドル回転数より大きい状態で、ニュートラル惰性走行させる条件と変速段をアップシフトする条件、すなわち変速比が小さくなる変速段へ変速する条件とが同時に成立した場合には、まず、変速制御が実行される(t1時点)。これは、ニュートラル状態とせずに係合する係合装置を切り替えてアップシフトした場合には、入力軸回転数Ninが低下してタービン回転数Nt がそのアイドル回転数に向けて変化するため、図2に示す制御例におけるステップS5で肯定的に判断されるからである。したがって、t1時点で変速制御が実行されて設定させる変速比が小さくなると、タービン回転数Nt が低下する。具体的には、変速後における変速比と車速とから求められる回転数までタービン回転数Nt が低下する。
そして、タービン回転数Nt が変速後における変速比と車速とから求められる回転数まで低下して変速制御が終了すると、図2に示すステップS7で肯定的に判断されて、ニュートラル制御が実行され(t2時点)、タービン回転数Nt がそのアイドル回転数まで低下する。なお、ニュートラル制御が実行されて係合装置が開放された場合であって、変速比あるいは変速段を変更していないので、t2時点以降であっても、入力軸回転数Ninは一定となっている。
つぎに比較的低車速のときに、図2に示す制御例を実行した場合の車速、タービン回転数、ニュートラル制御の実行の有無などの変化を図4に示すタイムチャートを参照して説明する。図4(a)のように、車速が一定の勾配で減少し、かつ入力軸回転数Ninがタービン回転数Nt のアイドル回転数より小さい状態、すなわちトルクコンバータ5がトルクを増幅させて出力するコンバータ領域で、ニュートラル惰性走行させる条件と変速段をダウンシフトする条件とが同時に成立した場合には、まず、変速制御が実行される(t1時点)。これは、ニュートラル状態とせずに係合する係合装置を切り替えてダウンシフトした場合には、入力軸回転数Ninが増大してタービン回転数Nt がそのアイドル回転数に向けて変化するため、図2に示す制御例におけるステップS5で肯定的に判断されるからである。したがって、t1時点で変速制御が実行されて設定させる変速比が大きくなると、タービン回転数Nt が増大する。具体的には、変速後における変速比と車速とから求められる回転数までタービン回転数Nt が増大する。
そして、タービン回転数Nt が変速後における変速比と車速とから求められる回転数まで増大して変速制御が終了すると、図2に示すステップS7で肯定的に判断されて、ニュートラル惰性走行させるための制御が実行され(t2時点)、タービン回転数Nt がそのアイドル回転数まで増大する。これは、エンジン1が自立回転することができるように回転させられ、そのエンジン1の出力トルクがタービンに伝達されるためである。なお、ニュートラル制御が実行されて係合装置が開放された場合であって、変速比あるいは変速段を変更していないので、t2時点以降であっても、入力軸回転数Ninは一定となっている。
一方、図4(b)のように、車速が一定の勾配で増大し、かつ入力軸回転数Ninがタービン回転数Nt のアイドル回転数より小さい状態で、ニュートラル惰性走行させる条件と変速段をアップシフトする条件とが同時に成立した場合には、まず、ニュートラル制御が実行される(t1時点)。これは、ニュートラル状態とせずに係合する係合装置を切り替えてアップシフトした場合には、入力軸回転数Ninが低下するとともにタービン回転数Nt がそのアイドル回転数より小さい状態から更にタービン回転数Nt が低下するため、図2に示す制御例におけるステップS5で否定的に判断されるからである。したがって、t1時点でニュートラル制御が実行されると、係合装置を開放させ始めるため、徐々にタービン回転数Nt がそのアイドル回転数まで増大する。
そして、係合装置が完全に開放されてタービン回転数Nt がそのアイドル回転数まで増大すると(t2時点)、図2に示す制御例におけるステップS10で肯定的に判断されて、変速制御が実行される。すなわち、変速後における変速段を設定する係合装置のうちいずれか一方の係合装置に係合させる係合装置を切り替える。その結果、設定させる変速比が大きくなるので、入力軸回転数Ninが徐々に低下する。
図3および図4に示すように、タービン回転数Nt とそのアイドル回転数との差が小さくなる変速の場合には、変速制御を実行した後に、ニュートラル制御が実行される。そのため、エンジン回転数およびタービン回転数Nt が、徐々にそれらのアイドル回転数に向けて変化するので、それら回転数が急激に変化することによる違和感を運転者が感じてしまうことを抑制もしくは防止することができる。また、エンジン回転数が過剰に増大してしまうこと、より具体的にはエンジン1のアイドル回転数との差が大きくなるようにエンジン回転数が増大してしまうことを抑制もしくは防止することができるので、エンジン回転数が増大することによって余分に燃料が供給されることを抑制もしくは防止することができ、または、エンジンブレーキが一時的に増大してしまうことを抑制もしくは防止することができ、ひいては燃費を向上させることができる。
また、タービン回転数Nt およびエンジン回転数とそれらのアイドル回転数との差が大きくなるように変化した後に、それらのアイドル回転数に向けて変化するなど、回転数が一時的に増大したり減少したりすることを抑制もしくは防止することによって、運転者が違和感を感じることを抑制もしくは防止することができる。
さらに、エンジン回転数およびタービン回転数とそれらのアイドル回転数との差が大きくなる変速のときに、ニュートラル制御が実行した後に変速制御を実行することによって、変速制御に追従してエンジン1やタービンが回転させられるなどの事態を抑制もしくは防止することができるので、エンジン回転数およびタービン回転数Nt を早期にそれらのアイドル回転数とすることができる。その結果、エンジン回転数をそのアイドル回転数とするまでの間に供給される燃料を低減することができ、ひいては燃費を向上させることができる。
なお、この発明における車両の走行制御装置は、動力源と駆動輪との間に動力源と駆動輪との動力の伝達およびその動力の伝達を遮断することができるクラッチが設けられ、動力源から駆動輪に伝達するトルクを変速することができる変速機構を備えていればよい。そのため、図5に示す構成に限定されず、エンジン1に代えて電動機であってもよく、またはエンジン1および電動機を備えていてもよい。また、トルクコンバータ5と変速機3との間もしくは変速機3と駆動輪2,2との間にクラッチを設けたものであってもよい。さらに、変速機3が無段変速機など他の変速機構であってもよい。また、クラッチを開放して走行するときにエンジン回転数をそのアイドル回転数とするものに限らず、エンジン1への燃料の供給を停止してもよい。さらに、上述した例では、トルク増幅機能を有するトルクコンバータ5を備えた車両を例に挙げて説明したが、トルク増幅機能を有さない流体継手であってもよく、またはエンジン1から変速機3に直接動力を伝達するように構成されたものであってもよい。
1…エンジン、 2…駆動輪、 3…変速機、 C1,C2,C3,C4…クラッチ、 B1,B2…ブレーキ、 F1…ワンウェイクラッチ。

Claims (2)

  1. 予め定めた条件が成立することにより動力源が出力した動力を駆動輪に対して伝達しまたはその伝達を遮断する係合手段と、動力伝達経路における動力源と駆動輪との間に設けられ、予め定めた他の条件が成立することにより変速比を変更する変速機構と、前記動力源の出力軸に連結された流体伝動装置とを備えた車両の走行制御装置において、
    前記車両が走行している状態で、前記係合手段によって動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断する条件と、前記変速機構の変速比を変更する他の条件とが同時に成立した場合に、前記変速比の変更が前記流体伝動装置の出力軸の回転数と、前記動力源のアイドル回転数および前記流体伝動装置の速度比に応じた前記流体伝動装置の出力軸のアイドル回転数との差が小さくなるような変更のときには、前記変速比を変更した後に、前記係合手段によって前記動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断し、前記変速比の変更が前記流体伝動装置の出力軸の回転数と前記流体伝動装置の出力軸のアイドル回転数との差が大きくなるような変更のときには、前記変速機構における変速比が変更されるまでに前記係合手段によって前記動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断するように構成されていることを特徴とする車両の走行制御装置。
  2. 前記変速比の変更が前記流体伝動装置の出力軸の回転数と前記流体伝動装置の出力軸のアイドル回転数との差が大きくなるような変更のときには、前記係合手段によって前記動力源と駆動輪との動力の伝達を遮断した後に、前記変速機構における変速比の変更を開始するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
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