JP2010094655A - 水素分離装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水素分離装置10の水素分離部11は、多孔質支持体12、バリア層13、水素透過膜14、多孔質層15、水素透過膜14、多孔質層15、水素透過膜14という層構造である。水素透過膜14同士を水素透過膜14と反応しない成分で構成される多孔質層15にて隔てたので、いずれかの水素透過膜14で、水素透過膜14以外から由来した金属成分との反応による欠陥が発生しても、この反応又は欠陥が他の水素透過膜14に影響するのを防止できる。1層の水素透過膜14に欠陥が発生しても、別の水素透過膜14が不純物気体の通過を阻むから、得られる水素ガスの純度が低下しない。健全な水素透過膜14は、欠陥が発生した水素透過膜14とは非接触であるため健全な状態を維持でき、水素分離装置10としての耐久性を高めることが可能になる。
【選択図】図2
Description
特願2007−88671では、多孔質支持体上に第1水素分離膜を形成後、実際に使用される温度以上で熱処理することにより、予め潜在的な欠陥要素を出現させておいた後、第1水素分離膜上全体に第2水素分離膜を形成することで、欠陥がなく耐久性の高い水素分離装置を歩留まり良く提供することを可能とした技術が提案されている。
水素を選択的に透過させる水素透過膜と、前記水素透過膜を支持するための多孔質支持体とを備え、水素を前記水素透過膜の片面側から他面側に透過させることで水素を選択的に取り出す水素分離装置において、
前記水素透過膜を複数層となし、
各前記水素透過膜同士を前記水素透過膜と反応しない成分で構成される多孔質層にて隔てた
ことを特徴とする。
請求項2記載の水素分離装置は、水素透過膜の少なくとも1層と多孔質支持体とがバリア層を介して積層されている構成を採用しており、上述のように、バリア層は、多孔質支持体を形成する材料の金属成分と水素透過膜を形成する材料の金属成分との相互拡散を防ぐから、双方の金属成分の反応によって水素透過膜に欠陥が発生するのを防止できる。
多孔質支持体と水素透過膜との間にバリア層を設ける場合、そのバリア層は、多孔質支持体を形成する材料の成分と水素透過膜を形成する材料の成分との相互拡散を防ぎ、かつ、気体が流通することのできる多孔質材料で形成されていればよく、例えばジルコニア、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、アルミナ、マグネシア、ランタンカルシウム、ランタンクロマイト、ランタンストロンチウム又はこれらの材料の混合物若しくは化合物を用いることができる。バリア層は、多孔質支持体に含まれる成分と水素透過膜を形成する成分が相互に拡散しない程度であれば、その層厚は特に限定されず、例えば、5〜100μmに調整される。バリア層の層厚が5μm未満であると、多孔質支持体と水素透過膜とを形成する材料成分の相互拡散を防ぐことができないことがあり、一方、100μmを越えると、圧力損失が大きくなり水素透過性を妨げてしまうことがある。
請求項5の水素分離装置は、水素透過膜が、パラジウム膜又はパラジウム合金膜であるため、水素透過性能及び水素透過膜の機械的強度が非常に良好である。
[実施形態1]
(水素分離装置の構成)
図1に示すように、本実施形態の水素分離装置10に装備された水素分離部11は、片方の端部が開放された試験管状をなしている。
図1に示すように、水素分離部11は、開放側の端部がシール部材23を介して取付部16に取り付けられている。また、水素分離部11の開放端を覆ったカバー17によりオフガス導出部18が形成されている。一方、原料ガス供給管19は、カバー17を貫通し、水素分離部11の開放された端部から水素分離部11の内孔20に差し込まれている。さらに、水素分離部11を覆う外管21が取付部16に取り付けられ、水素分離部11との間に水素ガス導出部22を形成している。
CH4+H2O⇔3H2+CO ・・・(式1)
生成した改質ガス中の水素は水素透過膜14により選択的に分離され、水素分離部11の外面から離脱して水素ガス導出部22から高純度水素として取り出される。
(水素分離部の製造例)
本実施形態の水素分離部11は、以下の手順で製造できる。
(1)酸化ニッケル60質量部と、イットリア8モル%を固溶させたジルコニア(以下、イットリアを固溶させたジルコニアを「YSZ」、8モル%を固溶させた場合は「8YSZ」と称することがある)40質量部とを混合した。更に造孔剤として黒鉛粉を混合して混合物を得た。この混合物を押出成形によって、試験管状の有底円筒管(多孔質支持体となる)を成形した。有底円筒管が十分に乾燥した後、脱脂処理を行い、1400℃で1時間焼成してNiO−YSZで形成された多孔質支持体を得た。
(2)8YSZとバインダとをエタノールに添加して、スラリーを調製した。
ディップコート法により、多孔質支持体の外表面をこのスラリーにて被覆してバリア層を形成した。その後、加熱処理してバリア層の焼き付けを行った。バリア層の層厚は20μmであった。
(3)多孔質支持体の開口部を栓で封止した後、バリア層を覆うように水素透過膜を無電解めっき法により形成した。ここで行った無電解めっき法は、先ずバリア層を被覆した多孔質支持体を塩化錫二水和物の塩酸水溶液に1分間浸漬し、洗浄した後、塩化パラジウムの塩酸水溶液に1分間浸漬し、洗浄する操作を3回繰り返した。その後、多孔質支持体をアンモニア水及びヒドラジン水溶液を含む50℃のめっき液に、常圧下で浸漬して水素透過膜を1.5μmとなるまで形成させた。その後、同じめっき液に多孔質支持体の内部を減圧して、実施例検体については水素透過膜を更に1.5μm厚く(合計3μm)、比較例検体については更に4.5μm厚くした(合計6μm)。
(4)このようにして得られた水素透過膜の外表面に、(2)で作成したスラリーを用いてディップコート法により多孔質層を被覆させ、加熱処理して焼き付けを行った。
(5)得られた多孔質層15を覆うように、その外表面に再び水素透過膜を(3)で示した無電解めっき法により合計3μm形成した。
(6)その後、水素雰囲気下600℃で3時間還元処理を施すことにより水素分離部を得た。
(試験)
水素透過膜を多層にした構造が有効であることを検証するため、上記により作製された実施例検体(作製手順:(1)→(2)→(3)→(4)→(5)→(6))と、比較例検体(作製手順:(1)→(2)→(3)→(6))について、Ni粉末をそれぞれの水素透過膜の外表面に付着させ、水素雰囲気下800℃で10時間熱処理を行った。
これら2検体について、検体内部にHeガスを0.4MPaGの圧力で圧入したまま水中に沈めて保持したところ、比較例検体ではNi粉末を付着した部分から気泡が発生したが、実施例検体からは気泡は発生しなかった。これは、水素透過膜を2層としたことによる効果であり、片方に欠陥があっても、もう片方は健全な状態であることを示している。
11・・・水素分離部、
12・・・多孔質支持体、
13・・・バリア層、
14・・・水素透過膜、
15・・・多孔質層、
16・・・取付部、
17・・・カバー、
18・・・オフガス導出部、
19・・・原料ガス供給管、
20・・・内孔、
21・・・外管、
22・・・水素ガス導出部、
23・・・シール部材。
Claims (5)
- 水素を選択的に透過させる水素透過膜と、
前記水素透過膜を支持するための多孔質支持体とを備え、水素を前記水素透過膜の片面側から他面側に透過させることで水素を選択的に取り出す水素分離装置において、
前記水素透過膜を複数層となし、
各前記水素透過膜同士を前記水素透過膜と反応しない成分で構成される多孔質層にて隔てた
ことを特徴とする水素分離装置。 - 前記水素透過膜の少なくとも1層と前記多孔質支持体とは、
前記水素透過膜の成分と前記多孔質支持体の成分の相互拡散を防止するためのバリア層を介して積層されている
ことを特徴とする請求項1記載の水素分離装置。 - 前記多孔質層と前記バリア層とは成分が同一である
ことを特徴とする請求項2記載の水素分離装置。 - 前記多孔質支持体が炭化水素ガスの水蒸気改質触媒機能を有する改質触媒兼支持体である
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の水素分離装置。 - 前記水素透過膜が、パラジウム膜又はパラジウム合金膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素分離装置。
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