JP2006314876A - 水素分離装置 - Google Patents

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裕之 田中
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融 島森
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秀和 志垣
Isamu Yasuda
勇 安田
Yoshinori Shirasaki
義則 白崎
Tatsuya Tsuneki
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Abstract

【課題】 高純度の水素ガスを分離可能な水素分離装置を提供すること。
【解決手段】 多孔質支持体10と、前記多孔質支持体10に支持される水素透過膜20とを備えた水素分離装置1であって、前記水素透過膜20は、その膜厚が1〜30μmであり、その表面の欠陥が0.010個/cm以下である水素分離装置1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素分離装置に関し、さらに詳しくは、高純度の水素ガスを分離可能な水素分離装置に関する。
水素の工業的製造方法の一つとして、炭化水素ガスを原料とし、これを水蒸気と反応させて、水素ガスを主成分とする改質ガスを製造する炭化水素ガスの水蒸気改質法がある。この水蒸気改質法で製造される改質ガスは、通常、主成分である水素ガスの他に、CO、CO等の副生ガス、余剰の水蒸気等を含んでいる。したがって、高純度の水素ガスを製造するには前記改質ガスからこれらの副生ガス等を除去する必要がある。改質ガスから副生ガス等を除去する方法として、例えば、Pd等を含み、水素ガスを選択的に透過する水素透過膜を通過させることによって、改質ガスから水素ガスを選択的に分離する方法が知られている。
この方法に使用され、99.9%以上の純度で水素ガスを得る装置等として、例えば、多孔質基体と、ガス分離能を有する金属とを有するガス分離体であって、当該ガス分離能を有する金属が当該多孔質基体の表面に開いている小孔の内部を充填して閉塞することを特徴とするガス分離体が挙げられる。このガス分離体は、活性化工程と、化学メッキ工程とを有するガス分離体の製造方法において、当該活性化工程で、多孔質基体の一片面を、当該一片面にかかる圧力が当該多孔質基体の反対側の片面の圧力より大きくなるように、活性化金属を含有する溶液に浸漬させ、これにより、当該多孔質基体の当該一片面において表面に開いている小孔の内部に当該溶液を侵入させ、当該化学メッキ工程で、ガス分離能を有する金属を当該多孔質基体の上記小孔に付着させ、これにより、当該ガス分離能を有する金属が上記小孔を充填して閉塞させることを特徴とするガス分離体の製造方法によって、製造される(特許文献1参照。)。
また、これとは別に、多孔質基体にガス分離能を有する金属が成膜されてなるガス分離体の製造方法として、少なくとも、前記多孔質基体の一片面を、他片面との圧力差を伴わずに、活性化金属を含有する溶液に浸漬させる活性化工程と、前記多孔質基体の一片面を、他片面との圧力差を伴って、前記ガス分離能を有する金属を含有する溶液に浸漬させる化学メッキ工程と、を有し、前記多孔質基体の一片面において、前記ガス分離能を有する金属が、前記多孔質基体の微小欠陥を閉塞させつつ成膜されることを特徴とするガス分離体の製造方法が挙げられる(特許文献2参照。)。
一方、水素の工業的製造方法として、改質ガスの製造と改質ガスの精製とを別々に行うのではなく、これらを一つの装置で行う方法も知られている。この方法には、メンブレンリアクタ等の装置が使用される。メンブレンリアクタとしては、例えば、円筒状改質触媒兼支持体と、該改質触媒兼支持体の外周面に水素透過膜を配置してなり、円筒状改質触媒兼支持体の内側に原料ガスを通して円筒状改質触媒兼支持体で改質ガスを生成し、改質ガスを水素透過膜により精製して高純度水素を製造するようにしてなることを特徴とする水素製造装置が挙げられる(特許文献3参照。)。
特許第3213430号 特開2003−190748号公報 特開2004−149332号公報
改質ガスから水素ガスを選択的に分離するのに使用される水素分離装置及び前記水素製造装置は、通常、多孔質支持体又は円筒状改質触媒兼支持体の外表面に、活性化工程とめっき工程とを含む無電解めっき法によって水素透過膜を形成した後、前記無電解めっき法によって付着したごみ等の不純物、及び/又は、多孔質支持体の気孔内に残留しためっき液成分を除去するため、形成された水素透過膜を約300〜900℃で熱処理して、製造される。
しかし、特許文献1又は特許文献2の製造方法に従って、ガス分離能を有する金属が当該多孔質基体の表面に開いている小孔の内部を充填して閉塞し、又は、ガス分離能を有する金属が多孔質基体の微小欠陥を閉塞させつつ成膜されるようにして、多孔質支持体又は改質触媒兼支持体上にガス分離能を有する金属からなる膜を形成した場合においても、形成された膜を熱処理して水素分離装置等を製造すると、この水素分離装置等によって分離又は製造された水素ガスはその純度が低く、高純度の水素ガスを得ることができないという問題があった。
この発明は高純度の水素ガスを分離可能な水素分離装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、多孔質支持体と、前記多孔質支持体に支持される水素透過膜とを備えた水素分離装置であって、前記水素透過膜は、その膜厚が1〜30μmであり、その表面の欠陥が0.010個/cm以下である水素分離装置であり、
請求項2は、前記多孔質支持体及び前記水素透過膜の間に形成され、前記多孔質支持体及び前記水素透過膜を形成する成分が相互に拡散することを防止するバリア層を備えた請求項1に記載の水素分離装置であり、
請求項3は、前記多孔質支持体及び前記バリア層の間に形成され、前記バリア層の表面状態を改善するコーティング層を備えた請求項2に記載の水素分離装置であり、
請求項4は、前記多孔質支持体が炭化水素ガスの水蒸気改質触媒機能を有する改質触媒兼支持体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素分離装置である。
前記多孔質支持体と前記水素透過膜とを備えた前記装置を水素分離装置と称しているが、かかる水素分離装置には、改質ガス等から水素ガスを選択的に分離する装置(単なる水素分離装置)の他に、前記多孔質支持体によって炭化水素ガスを水蒸気改質して改質ガスを製造し、この改質ガスから水素ガスを選択的に分離する装置(「水素製造装置」と称する場合がある。)も含まれる。
この発明によると、多孔質支持体と水素透過膜とを備えた水素分離装置において、1〜30μmの膜厚を有する前記水素透過膜は、その表面に存在する欠陥が0.010個/cm以下であるから、高い選択性で水素ガスを分離することができる。したがって、高純度の水素ガスを分離可能な水素分離装置を提供することができる。
また、バリア層が多孔質支持体及び水素透過膜の間に形成されていると、多孔質支持体及び水素透過膜を形成する成分が相互に拡散することを防止することができる。したがって、水素透過膜の劣化を効果的に抑えて、水素透過膜の水素透過性能をより長期間にわたって維持させることができる。
さらに、多孔質支持体の表面状態よりも良好な表面状態を有するコーティング層が多孔質支持体及びバリア層の間に形成されていると、そのコーティング層上に形成されるバリア層の表面状態を改善することができる。したがって、バリア層の表面に形成される水素透過膜の起伏がなだらかになり、又は、この水素透過膜にバリア層の表面状態に由来する欠陥が発生するのを抑制することができる。そのため、膜厚の薄い水素透過膜を形成することができ、高い水素透過性能を維持できる。
さらにまた、前記多孔質支持体が水蒸気改質触媒機能を有する改質触媒兼支持体であると、炭化水素ガスの改質と共に水素ガスを精製することもできる。したがって、シンプルかつコンパクトで水素製造効率も高い水素製造装置を提供することができる。
この発明の水素分離装置は、多孔質支持体、水素透過膜、好ましくはバリア層、コーティング層を含む。先ず、この発明の水素分離装置に含まれる各部材について説明する。
前記水素透過膜は水素ガスを選択的に透過する膜である。この水素透過膜は所定温度で熱処理されている。これにより、前記無電解めっき法によって付着したごみ等の不純物、及び/又は、多孔質支持体の気孔内に残留しためっき液成分を除去することができる。
水素透過膜を形成する材料としては、Pd、Pd合金、1989年改訂の周期律表第5族元素、この元素を含む合金等の金属が用いられる。前記第5族元素としては、例えば、V、Nb、Ta等が挙げられる。Pd合金及び前記第5族元素を含む合金に含まれるPd及び前記第5族元素以外の金属としては、例えば、1989年改訂の周期律表第3族元素(ランタノイド元素を含む)、第8族元素、第9族元素、第10族元素、第11族元素又はこれらの2種以上の組み合わせ等が挙げられる。周期律表第3族元素としてはY等が挙げられ、ランタノイド元素としてはCe、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、Yb等が挙げられ、第8族元素としてはRu等が挙げられ、第9族元素としてはIr等が挙げられ、第10族元素としてはRh、Pt等が挙げられ、第11族元素としてはCu、Ag、Au等が挙げられる。
水素透過膜は、その膜厚が1〜30μmに調製される。その膜厚は好ましくは1〜20μmに調製される。
水素透過膜は、その表面に0.010個/cm以下、好ましくは0.005個/cm以下の欠陥を有し、特に好ましくはその表面に欠陥が存在していない。水素透過膜の表面に存在する欠陥の単位面積当たりの個数が0.010個/cm以下であると、高い選択性で水素ガスを分離することができる。したがって、高純度の水素ガスを分離可能な水素分離装置を提供することができる。
ここで、水素透過膜の表面に存在する欠陥の個数は次のようにして求める。例えば中空の円筒状とされた水素分離装置の場合を例に説明する。先ず、水素分離装置を複数例えば5〜10検体準備する。また、一端が例えばヘリウムボンベに接続され、かつ、他端が、水素分離装置の中空内部を密閉可能な例えばゴム栓等の密閉部材を貫通するように、密閉部材に接続されたガス移送管を準備する。次いで、前記密閉部材で水素分離装置の開口部を密閉し、ヘリウムボンベから水素分離装置の中空内部に0.2MPaの圧力でヘリウムガスを圧入する。この状態を保持しつつ例えば水等の液体中に水素分離装置を浸漬させる。水素分離装置を浸漬後、水素分離装置における水素透過膜の状態を3分間観察して、この間に前記水素透過膜の周側面から発生する気泡の数を数える(ただし、同一個所から連続的に発生する気泡は1つとして数える。)。発生した気泡数を前記周側面の面積で除して、水素透過膜の表面に存在する欠陥の個数とする。
水素透過膜の表面に存在する欠陥は、水素分離装置によって分離された水素ガスの純度を低下させる程度の気孔径を前記表面に有する気孔であり、例えば、水素ガス以外のガスが水素透過膜を透過可能な気孔が挙げられ、より具体的には、所定圧力のヘリウムガスが水素透過膜を透過可能な気孔が挙げられる。
前記多孔質支持体は、前記炭化水素ガスが侵入できる3次元に連通した気孔を有し、かつ、前記水素透過膜を支持する。
前記水素分離装置によって炭化水素ガスの水蒸気改質法で製造した改質ガス又は水素ガスを含む混合ガス等から水素ガスを選択的に分離する場合には、前記多孔質支持体を形成する材料としては、前記改質ガス又は混合ガスと反応せず、前記水素透過膜を支持できる材料であれば特に限定されない。このような材料としては、例えば、無機酸化物、カーボン、無機窒化物等が挙げられる。無機酸化物としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、シリカ、シリカ−アルミナ、ムライト、コージェライト、ジルコニア、多孔質ガラス等が挙げられる。
前記水素分離装置によって炭化水素ガスの水蒸気改質による改質ガスの製造と該改質ガスから水素ガスを選択的に分離する改質ガスの精製とを行う場合には、前記多孔質支持体は炭化水素ガスの水蒸気改質反応における改質触媒機能を有する改質触媒兼支持体とされる。この改質触媒兼支持体を形成する材料としては、前記炭化水素ガスの水蒸気改質反応における改質触媒機能を有する多孔質材料であれば、特に限定されず、例えば、ニッケルとイットリア安定化ジルコニアの混合物を主成分とする焼結体(Ni−YSZサーメット等)、多孔質セラミックス、多孔質サーメット等が挙げられる。
前記焼結体において、例えば、その改質温度が600℃で、そのS/C比(カーボンに対するスチームの比率)が3.0である場合には、前記焼結体が触媒として例えば39%程度のメタン転化率を有する。この程度のメタン転化率は、通常用いられる粒状の改質触媒とほぼ同等の改質性能である。
前記焼結体特にNi−YSZサーメットにおいては、焼結体中のNi成分の含有量は、改質触媒としての性能、前記水素透過膜を形成する材料、及び、前記水素透過膜との熱膨張係数等の各種条件を考慮して決定され、例えば、この焼結体全体に対して、1〜99質量%の範囲から決定される。Ni成分の含有量は、この焼結体全体に対して、75〜99質量%であるのがよく、81〜98質量%であるのがさらによい。例えば、前記水素透過膜がPd−Ag合金を含む材料で形成されている場合には、この水素透過膜の熱膨張係数は、その水素透過膜に吸蔵しうる水素ガス量に依存して、10〜16×10−6/℃に変化する。しかし、前記焼結体中のNi成分の含有量を81〜98質量%に調整すれば、この焼結体で形成される改質触媒兼支持体の熱膨張係数を、前記水素透過膜の熱膨張係数に近い値に調整することができ、したがって、水素製造装置に発生する熱応力を低減させることができる。
前記焼結体は、例えば、Ni粒子、NiO粒子及びイットリア安定化ジルコニア(YSZ)粒子を混合し、この混合物を焼成することにより製造される。
なお、改質触媒兼支持体は、水素製造装置が使用されるときに改質触媒機能を有していればよく、必ずしも改質触媒兼支持体の形成時に改質触媒機能を有する必要はない。
前記多孔質支持体は、その気孔率及び平均気孔径が適切に制御されているのがよい。その気孔率及び平均気孔径を適切に制御しないと、支持体としての強度も低下し、さらには、圧力損失も大きくなることがある。特に改質触媒兼支持体の場合には、炭化水素ガスを十分に改質することができなくなることがある。
多孔質支持体の気孔率は10〜85%であるのがよい。気孔率が10%未満であると、多孔質支持体中を前記炭化水素ガス等が速やかに流れず、圧力損失が大きくなることがあり、特に多孔質支持体が改質触媒兼支持体である場合には、炭化水素ガスを十分に改質できないことがある。一方、気孔率が85%を超えると、支持体としての強度が低下することがある。ここで気孔率はアルキメデス法によって測定したときの値として定義される。
多孔質支持体、特にその表面における気孔の平均気孔径は0.05〜30μmであるのがよい。この平均気孔径が0.05μm未満であると、多孔質支持体中を前記混合ガス又は前記炭化水素ガス等が速やかに流れず、圧力損失が大きくなることがある。特に前記改質触媒兼支持体の場合には、炭化水素ガスを十分に改質できないことがある。一方、平均気孔径が30μmを超えると、支持体としての十分な強度が保てないことがある。また、水素透過膜に欠陥が生じ、水素透過性能が低下することがある。
ここで、多孔質支持体における気孔の平均気孔径は水銀圧入法によって測定したときの値として定義される。多孔質支持体の表面における気孔の平均気孔径は、その表面を電子顕微鏡例えば走査型電子顕微鏡(SEM)等により観察して、気孔の開口を円に近似して求められる開口径を、算術平均して算出した値として定義される。
なお、多孔質支持体の気孔率及び平均気孔径を前記範囲に制御するには、多孔質支持体を形成する材料として用いられる粉末の粒径及び/又は焼成温度を適宜調整すればよい。
この発明において、水素分離装置、特に前記多孔質支持体が前記改質触媒兼支持体である水素製造装置の場合には、前記多孔質支持体及び前記水素透過膜に加えて、それらの間に、さらに、バリア層を備えていることが好ましく、バリア層及びコーティング層を備えていることが特に好ましい。
バリア層は、前記多孔質支持体及び前記水素透過膜の間に形成され、前記多孔質支持体及び前記水素透過膜を形成する成分が相互に拡散することを防止する。
前記多孔質支持体の表面に前記水素透過膜を形成すると、少なくともこれらの界面において、前記多孔質支持体と前記水素透過膜とを形成する材料が相互に拡散してしまうことがある。したがって、これらの間にバリア層を介在させれば、前記多孔質支持体と前記水素透過膜とを形成する材料が相互に拡散することがなく、水素透過膜の劣化を効果的に抑えて、水素透過性能をより長期間にわたって維持させることができる。
バリア層は、前記多孔質支持体及び前記水素透過膜を形成する材料の相互拡散を防ぎ、かつ、前記炭化水素ガス、水素ガス等を透過する多孔質材料で形成されていればよく、例えば、無機酸化物等によって形成される。無機酸化物としては、例えば、ジルコニア、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、アルミナ、マグネシア、又は、これらの混合物もしくは化合物等が挙げられる。
バリア層は、多孔質支持体と水素透過膜とを形成する材料が相互に拡散しない程度であれば、その層厚は特に限定されず、例えば、5〜100μmに調整される。バリア層の層厚が、5μm未満であると、前記多孔質支持体と前記水素透過膜とを形成する材料の相互拡散を防ぐことができないことがあり、一方、100μmを越えると、水素分離装置のスムーズな水素透過を妨げることがある。
バリア層の表面における気孔の平均気孔径は、特に限定されず、例えば、0.01〜5μmに調整される。バリア層の表面における気孔の平均気孔径は、前記多孔質支持体の表面における気孔の平均気孔径と同様にして測定される。
なお、バリア層は、水素分離装置が使用されるときに多孔質状態であればよく、必ずしもバリア層の形成時に多孔質状態でなくてもよい。
前記コーティング層は、水素分離装置が前記バリア層を備えている場合に、設けられるのが好ましい。コーティング層は、前記多孔質支持体とバリア層との間に形成され、前記バリア層の表面状態を改善する。多孔質支持体とバリア層との間にコーティング層を形成すると、バリア層の表面状態を改善することができるから、高い水素透過性能を維持した膜厚の薄い水素透過膜を形成することもできる。
コーティング層を形成する材料としては、前記炭化水素ガスの水蒸気改質反応における改質触媒機能を有する多孔質材料で形成されていれば、特に限定されず、例えば、ニッケルとイットリア安定化ジルコニアの混合物を主成分とする焼結体(Ni−YSZサーメット等)、多孔質セラミックス、多孔質サーメット等が挙げられる。コーティング層がこれらの材料で形成されていると、多孔質支持体が前記改質触媒機能を有していなくても、このコーティング層で炭化水素ガスを水蒸気改質することができる。
これらの中でも前記改質触媒兼支持体を形成する材料と同様の材料が好ましい。コーティング層をこれらの材料によって形成すれば、コーティング層にも改質触媒機能を持たせることができるため、コーティング層を厚めに形成しても、水素製造装置の性能を維持することができる。
コーティング層は、バリア層の表面状態を改善することができれば、その層厚は特に限定されない。その層厚は、例えば、0.1μm以上に調整される。コーティング層の層厚が、0.1μm未満であると、バリア層の表面状態を効果的に改善することができない場合がある。一方、コーティング層の膜厚の上限は特に限定されない。その膜厚は、例えば、100μmに調整することができる。
前記コーティング層の表面には、前記多孔質支持体の表面における気孔の平均気孔径よりも小さな平均気孔径を有する気孔が形成されているのがよい。コーティング層の表面に形成された気孔の平均気孔径は、前記多孔質支持体の表面における気孔の平均気孔径よりも小さければ、特に限定されないが、前記多孔質支持体の表面における気孔の平均気孔径よりも小さく、かつ、前記バリア層の表面における気孔の平均気孔径よりも大きいのがよい。
コーティング層の表面に形成され、このような関係を有する気孔の平均気孔径は0.05〜10μmであるのがよい。平均気孔径が0.05μm未満であると、炭化水素ガスの透過を妨げることがあり、一方、10μmを超えると、コーティング層上に形成されるバリア層の表面状態を効果的に改善できないことがある。コーティング層の表面における気孔の平均気孔径は、0.05〜8μmであるのがより好ましく、0.05〜7μmμmであるのがさらに好ましい。
ここで、コーティング層の表面に存在する気孔の平均気孔径は、前記多孔質支持体の表面における気孔の平均気孔径と同様にして算出した値として定義される。つまり、その平均気孔径は、コーティング層の表面を電子顕微鏡例えば走査型電子顕微鏡(SEM)等により観察して、気孔の開口を円に近似して求められる開口径を、算術平均して算出した値とされる。
また、コーティング層の表面には、前記関係を有する気孔が、前記多孔質支持体の表面における気孔の個数よりも多くなるように形成されているのがよい。コーティング層の表面に形成された気孔の個数は、前記多孔質支持体の表面における気孔の個数よりも多ければ、特に限定されない。具体的な気孔の個数は、前記多孔質支持体が有する単位時間当たりのガス透過量とほぼ同程度の単位時間当たりのガス透過量となるように調整されるのがよい。このような関係を有するように、コーティング層の表面における気孔の個数が調整されると、水素分離装置のガス透過量を維持することができる。特に改質触媒兼支持体の場合には、多孔質支持体の改質触媒機能を阻害することもなく、水素分離装置のガス透過量を維持することができる。
ここで、コーティング層の表面に存在する気孔の個数は、前記平均気孔径の算出と同様にして、その表面を観察し、単位面積当たりの気孔の開口部を数えて求めた値として定義される。また、コーティング層におけるガス透過量が、前記多孔質支持体におけるガス透過量と同等であるか否かは、両者のガス透過量を常法に従って測定して比較できる。
このように、コーティング層の表面に、前記多孔質支持体の表面における気孔の平均気孔径よりも小さな平均気孔径を有する気孔が、前記多孔質支持体の表面における気孔の個数よりも多くなるように形成されていると、前記バリア層の表面状態をより一層効果的に改善することができる。
コーティング層の表面に存在する気孔の平均気孔径、さらには、その個数を所定の範囲に調整するには、例えば、前記多孔質材料に配合する造孔剤の種類、大きさ、配合量等を適宜調整すればよく、又は、コーティング層を形成する材料として用いられる粉末の粒径及び/又は焼成温度を適宜調整すればよい。
次に、この発明の水素分離装置を図面を参照して説明する。
図1に示されるように、この発明の一例としての水素分離装置は、一端が開口し他端が閉塞した中空の円筒状に成形された多孔質支持体10と、この多孔質支持体10の外表面上に形成され、前記多孔質支持体10に支持された水素透過膜20を備えている。
多孔質支持体10は、例えばアルミナを主成分とする材料によって形成されている。したがって、図1に示される水素分離装置1は、水素ガスを主成分とし、CO等のガスを含む混合ガス、前記改質ガス等から水素ガスを分離するために用いられる。
多孔質支持体10は、10〜85%の気孔率と、0.05〜30μmの平均気孔径とを有している。
水素透過膜20は、例えばPdを主成分として含む材料によって、その膜厚が1〜30μmで、その表面に0.010個/cm以下の欠陥を有するように形成されている。
図2に示されるように、この発明の別の一例としての水素分離装置は、一端が開口し他端が閉塞した中空の円筒状に成形された改質触媒兼支持体13と、この改質触媒兼支持体13の外表面上に形成されたバリア層21と、このバリア層21の外表面上に形成された水素透過膜20とを備えた水素製造装置である。
水素製造装置2における改質触媒兼支持体13は、例えばニッケルとイットリア安定化ジルコニアの混合物を主成分とする焼結体(Ni−YSZサーメット)によって形成されている。したがって、図2に示す水素製造装置2は、炭化水素ガスの水蒸気改質による改質ガスの製造と共に水素ガスの精製とを行う水素製造装置として有利に使用される。
水素製造装置2におけるバリア層21は、例えばイットリア安定化ジルコニアによって、その膜厚が5〜100μmになるように形成され、その表面に、0.01〜5μmの平均気孔径を持つ気孔を有している。
水素透過膜20は、例えばPdを主成分として含む材料によって、その膜厚が1〜30μmで、その表面に0.010個/cm以下の欠陥を有するように形成されている。
図3に示されるように、この発明のまた別の一例としての水素分離装置は、一端が開口し他端が閉塞した中空の円筒状に成形された改質触媒兼支持体13と、この改質触媒兼支持体13の外表面上に形成されたコーティング層22と、このコーティング層22の外表面上に形成されたバリア層21と、このバリア層21の外表面上に形成された水素透過膜20を備えた水素製造装置である。
水素製造装置3における改質触媒兼支持体13は、前記水素製造装置2と同様に形成されている。したがって、図3に示す水素製造装置3は、炭化水素ガスの水蒸気改質による改質ガスの製造と共に水素ガスの精製とを行う水素製造装置として有利に使用される。
コーティング層22は、例えばニッケルとイットリア安定化ジルコニアの混合物を主成分とする焼結体(Ni−YSZサーメット)によって、その膜厚が0.1μm以上になるように形成されている。
前記コーティング層22の表面には、前記改質触媒兼支持体13の表面における気孔の平均気孔径よりも小さく、かつ、前記バリア層の表面における気孔の平均気孔径よりも大きい平均気孔径を有する気孔が形成されている。具体的には、前記コーティング層22の表面には、0.05〜10μmの平均気孔径を持つ気孔を有している。また、コーティング層22の表面には、前記平均気孔径を有する気孔が、前記改質触媒兼支持体13の表面における気孔の個数よりも多くなるように形成されている。
バリア層21は水素分離装置2と同様に形成されている。
水素透過膜20は、例えばPdを主成分として含む材料によって、その膜厚が1〜30μmで、その表面に0.010個/cm以下の欠陥を有するように形成されている。
前記水素分離装置1及び水素製造装置2、3は以下のようにして製造される。
多孔質支持体10又は改質触媒兼支持体13は、前記多孔質材料又は炭化水素ガスの水蒸気改質反応における改質触媒機能を有する多孔質材料を用いて、加圧成形等の適宜の方法によって、一端が開口し他端が閉塞した中空の円筒状に形成される。
水素製造装置3においてはコーティング層22が形成される。コーティング層22は、前記多孔質材料を用いて、前記改質触媒兼支持体13の外表面上に、例えば、ディップコート法、スプレー吹き付け法、印刷法等の方法によって形成される。
水素製造装置2及び3においてはバリア層21が形成される。バリア層21は、前記多孔質材料を用いて、前記改質触媒兼支持体13又は前記コーティング層22の外表面上に、例えば、ディップコート法、スプレー吹き付け法、印刷法、触媒金属の溶解除去法等の方法によって形成される。前記触媒金属の溶解除去法は前記改質触媒兼支持体13又は前記コーティング層22からその形成成分である金属を溶媒を用いて溶出させる方法である。例えば、前記改質触媒兼支持体13又は前記コーティング層22が前記Ni−YSZサーメットで形成されている場合には、前記改質触媒兼支持体13又は前記コーティング層22の表面近傍に存在するNiを溶媒を用いて溶出させる。
次いで、水素透過膜20が、前記多孔質支持体10又は前記バリア層21の外表面上に、例えば、真空蒸着法、無電解めっき法、スパッタリング法等によって形成される。これらの中でも、高い水素透過性能を有する水素透過膜を容易に形成できる点で、水素透過膜20は無電解めっき法によって形成されるのが好ましい。無電解めっき法は、通常、活性化工程とめっき工程とを含む。前記多孔質支持体10又は前記バリア層21が形成された改質触媒兼支持体13(以下、単に「多孔質支持体10等」と称する。)が、めっき工程に先立って、活性化処理される。
活性化工程に用いる活性化用液は、特に限定されず、通常用いられる液であればよい。活性化工程としては、例えば、多孔質支持体10等を、スズ塩を含む液とパラジウム塩を含む液とに、交互に浸漬させる二液法等が挙げられる。
めっき工程に用いるめっき用液は、特に限定されず、通常用いられる液であればよい。例えば、めっき用液として、水素透過膜を形成する金属の金属塩、この金属を析出させる還元剤、錯化剤、pH調整剤、pH緩衝剤、安定剤等を含む無電解めっき液等が挙げられる。めっき工程は、例えば、活性化処理された前記多孔質支持体10等を、液温が常温〜80℃に調整された前記めっき用液に、所定の時間浸漬させて行う。
この発明において、水素透過膜20の欠陥の個数を前記範囲に調整する方法の一つとして、めっき工程の条件を変更する方法が挙げられる。具体的には、前記多孔質支持体10等における例えば中空内部15を減圧して前記多孔質支持体10等を前記めっき用液に所定時間浸漬させる減圧めっき工程と、前記中空内部15を常圧として前記多孔質支持体10等を前記めっき用液に所定時間浸漬させる常圧めっき工程とを適宜組み合わせる方法が挙げられる。例えば、第1回目のめっき工程を前記常圧めっき工程にし、第2回目のめっき工程を減圧めっき工程にしてもよく、又は、さらに、第3回目のめっき工程として、常圧めっき工程を行ってもよい。
前記減圧めっき工程における中空内部15の圧力は、特に限定されず、選択した前記減圧めっき工程及び常めっき工程の前記組み合わせに応じて、調整される。前記圧力は、例えば、0.01〜0.09MPaに設定することができる。
水素透過膜20を形成するにあたって、水素透過膜20を形成する材料成分を前記バリア層21に食い込ませるように水素透過膜20を形成すると、フック効果により、バリア層21に水素透過膜20を強固に形成することができる。
最後に、水素透過膜20が形成された前記多孔質支持体10等を、約300〜900℃で熱処理して、水素分離装置1及び水素製造装置2、3が製造される。
このようにして製造された前記水素分離装置1及び水素製造装置2、3は以下のようにして使用される。
前記水素透過膜20の開口端近傍に例えば銀ロウ等のロウ材で取付け具等を接合して、水素製造装置本体(図示しない)に水素分離装置1及び水素製造装置2、3を取付ける。
図1に示される水素分離装置1の場合には、次いで、所定温度に加熱された水素分離装置における中空内部15に前記改質ガス又は前記混合ガスが装入される。改質ガス又は混合ガスは多孔質支持体10を介して水素透過膜20に到達する。水素透過膜20に到達した改質ガス又は混合ガスに含まれるガス成分のうち、水素ガスが選択的に水素透過膜20を透過して、水素分離装置1外に分離される。分離された水素ガスを捕集して水素ガスの製造が終了する。
一方、水素製造装置2及び3の場合には、次いで、所定温度に加熱された水素製造装置における中空内部15に炭化水素ガス及び水蒸気が装入される。炭化水素ガス及び水蒸気が改質触媒兼支持体13及びコーティング層22に侵入すると、これらによって改質されて、改質ガスが生成される。生成した改質ガスはバリア層21を介して水素透過膜20に到達する。水素透過膜20に到達した改質ガスのうち、水素ガスが選択的に水素透過膜20を透過して、水素製造装置2又は3外に分離される。分離された水素ガスを捕集して水素ガスの製造が終了する。
以上、この発明の水素分離装置の実施例について説明したが、この発明は前記実施例に限定されるものではなく、この発明の範囲内にて適宜に設計変更をすることができる。
例えば、図1〜3に示されるように、前記水素透過膜20は、一端が開口し他端が閉塞した中空の円筒状に形成された前記多孔質支持体10又は前記改質触媒兼支持体13の外表面全体に形成されているが、水素透過膜はこれらの表面の少なくとも一部に形成されていればよく、例えば、これらの外表面に、その長手方向に沿って、所定の間隔を隔てて複数の水素透過膜が形成されてもよく、また、その長手方向に所定の間隔を隔てて、長手方向に垂直な方向に複数の水素透過膜が形成されてもよい。さらに、前記多孔質支持体又は前記改質触媒兼支持体の内表面に水素透過膜が形成されていてもよい。要するに、前記多孔質支持体又は前記改質触媒兼支持体の表面に水素透過膜が形成されていれば、その位置、大きさ、数、形成態様等は特に限定されない。
また、図1〜3に示されるように、前記水素分離装置1及び水素製造装置2、3は、何れも、一端が開口し他端が閉塞した中空の円筒状に形成されているが、前記水素分離装置及び水素製造装置は、何れも、例えば、板状、両端が開口した中空の円筒状、両端が開口した中空の多角柱状、一端が開口し他端が閉塞した中空の多角形筒状等に成形されてもよく、又は、これら以外の形状、例えば、半円形状、屈曲状等の非対称形に成形されてもよい。
水素分離装置1及び水素製造装置2、3によれば、1〜30μmの膜厚を有する水素透過膜20は、その表面に存在する欠陥が0.010個/cm以下であるから、高い選択性で水素ガスを分離することができる。したがって、高純度の水素ガスを分離することができる。
図2及び3に示される水素製造装置2及び3によれば、炭化水素ガスの水蒸気改質反応における改質触媒機能を有する改質触媒兼支持体13を備えているから、炭化水素ガスの改質と共に水素ガスの精製もできる。したがって、前記水素製造装置2及び3は、シンプルかつコンパクトで、水素製造効率も高い。
また、図2及び3に示される水素製造装置2及び3によれば、バリア層21が改質触媒兼支持体13又はコーティング層22及び水素透過膜20の間に形成されているから、改質触媒兼支持体13又はコーティング層22を形成する成分と、水素透過膜20を形成する成分とが相互に拡散することを防止することができる。したがって、水素透過膜20の劣化を効果的に抑えて、水素透過性能をより長期間にわたって維持させることができる。
さらに、図3に示される水素製造装置3によれば、改質触媒兼支持体13の表面状態よりも良好な表面状態、特に前記平均気孔径及び個数に関する関係を有するコーティング層22が改質触媒兼支持体13及びバリア層21の間に形成されているから、たとえ、前記改質触媒兼支持体13の表面に例えば気孔径が30μmを超える大きな気孔が存在していても、コーティング層22上に形成されるバリア層21は、その大きな気孔に影響されることが少ない。よって、バリア層21は、その表面に存在する凹凸差が小さくなり、その表面状態が効果的に改善される。したがって、バリア層21の表面に形成される水素透過膜20の起伏がなだらかになり、又は、この水素透過膜20にバリア層の表面状態に由来する欠陥が発生するのを抑制することができる。そのため、膜厚の薄い水素透過膜を形成することができ、高い水素透過性能を維持できる。さらには、水素製造装置3の製造コストを低減することもできる。
また、図3に示される水素製造装置3によれば、バリア層21の表面状態を改善することができるので、その表面に水素透過性能を維持した膜厚の薄い水素透過膜20を形成することができる。
(実施例1)
NiO60質量部とイットリア8モル%を固溶させたジルコニア(以下、単に「8YSZ」と称する場合がある。)40質量部とを混合した。その後、造孔剤として人造黒鉛粉を配合してさらに混合した。このようにして得られた混合粉をスプレードライによって造粒した。得られた造粒粉を、一端が開口し他端が閉塞した中空の円筒状に加圧成形し、脱脂処理した後、1400℃で1時間にわたって焼成して、NiO−YSZサーメットで形成された改質触媒兼支持体13を製造した。
製造された改質触媒兼支持体13は、外径9mm、内径7mm、長さ100mmであった。この改質触媒兼支持体13の気孔率、並びに、その表面における気孔の平均気孔径及び単位面積当たりの個数を前記した各方法で求めた。その結果、気孔率は10〜85%の範囲内であり、平均気孔径は16μmであり、単位面積当たりの気孔の個数は1.3×10個/cmであった。
前記改質触媒兼支持体13と同様に、NiO60質量部とイットリア8モル%を固溶させたジルコニア(8YSZ)40質量部とを混合した。また、造孔剤として人造黒鉛粉を前記混合粉100質量部に対して20質量部を添加し、これをバインダと共にエタノール中で混合して、コーティング層用スラリーを調製した。このコーティング層用スラリーを、製造した改質触媒兼支持体13の外表面にディップコーティングした。この操作をコーティング層22の層厚が10〜20μmになるまで数回繰り返した。その後、加熱機により、1400℃の環境下で1時間焼成した。
このようにして形成されたコーティング層22の表面における気孔の平均気孔径及び単位面積当たりの気孔の個数を前記改質触媒兼支持体13と同様にして求めた。その結果、気孔の平均気孔径は2.7μmであり、前記改質触媒兼支持体13の表面に存在する気孔の平均気孔径よりも小さく、気孔の個数は8.2×10個/cmであり、前記改質触媒兼支持体13の単位面積当たりの気孔の個数より多かった。
次いで、同様にして、前記8YSZをバインダとエタノール中で混合し、バリア層用スラリーを調製した。このバリア層用スラリーをコーティング層22の外表面にディップコーティングした。この操作をバリア層21の層厚が20μmになるまで数回繰り返した。その後、加熱機により、1300℃の環境下で1時間焼成した。このようにして形成されたバリア層21の表面における気孔の平均気孔径を、前記改質触媒兼支持体13と同様に電子顕微鏡により観察して求めた。その結果、平均気孔径は0.2μmであり、前記コーティング層11の表面に存在する気孔の平均気孔径よりも小さかった。
さらに、バリア層21が形成された改質触媒兼支持体13を、エタノール中で30分間にわたって超音波洗浄して、120℃で乾燥させた。
次いで、無電解めっき法によって、バリア層21の表面上に水素透過膜20を形成した。無電解めっき法はバリア層21が形成された改質触媒兼支持体13の開口端をゴム栓で閉塞して行った。
先ず、この改質触媒兼支持体13を活性化処理した。この改質触媒兼支持体13をSnCl・2HOを含むHCl水溶液に1分間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。さらに、この改質触媒兼支持体13をPdClを含むHCl水溶液に1分間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。このSnCl・2HO処理及びPdCl処理を3回繰り返した。
次いで、活性化処理された改質触媒兼支持体13に常圧めっき工程を行った。Pd(NHCl、EDTA・2Na、アンモニア水及びヒドラジン水溶液からなるめっき液を調製した。50℃に設定された前記めっき液に、活性化処理された改質触媒兼支持体13を浸漬し、めっき厚みが1.5μmとなったところで、改質触媒兼支持体13を取り出した。
次いで、一端がアスピレータに接続され、他端が前記密閉部材を貫通して接続されたテフロン(登録商標)製チューブを準備し、前記密閉部材で、改質触媒兼支持体13の開口部を密閉した。アスピレータを起動してこの改質触媒兼支持体13の中空内部を減圧し、50℃に設定された前記めっき液に、改質触媒兼支持体13を、めっき厚みが7.5μmとなる所定の時間まで浸漬して、減圧めっき工程を終了し、熱処理前の未熱処理水素製造装置を製造した。同様にして、合計10検体の未熱処理水素製造装置を製造した。
(実施例2)
常圧めっき工程及び減圧めっき工程の浸漬時間を変更し、常圧めっき工程及び減圧めっき工程程におけるめっき厚みがそれぞれ0.5μm及び8.5μmとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして、合計10検体の未熱処理水素製造装置を製造した。
(実施例3)
常圧めっき工程及び減圧めっき工程の浸漬時間を変更し、常圧めっき工程及び減圧めっき工程におけるめっき厚みがそれぞれ0.5μm及び4.0μmとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして、合計10検体の未熱処理水素製造装置を製造した。
(比較例1)
常圧めっき工程を行わず、減圧めっき工程の浸漬時間を変更し、減圧めっき工程におけるめっき厚みが9.0μmとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして、合計10検体の未熱処理水素製造装置を製造した。
(比較例2)
減圧めっき工程を行わず、常圧めっき工程の浸漬時間を変更し、常圧めっき工程におけるめっき厚みが9.0μmとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして、合計10検体の未熱処理水素製造装置を製造した。
(比較例3)
常圧めっき工程及び減圧めっき工程の浸漬時間を変更し、常圧めっき工程及び減圧めっき工程程におけるめっき厚みがそれぞれ0.25μm及び8.75μmとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして、合計10検体の未熱処理水素製造装置を製造した。
製造した実施例及び比較例の未熱処理水素製造装置における水素透過膜の膜厚をそれぞれ、蛍光X線測定法によって確認した。その結果を表1に示す。
次いで、各未熱処理水素製造装置における水素透過膜に存在する欠陥の個数を求めた。先ず、一端がヘリウムボンベに接続され、かつ、水素製造装置の中空内部15を密閉可能なゴム栓を貫通するように、他端が密閉部材に接続されたガス移送管を準備した。次いで、この密閉部材で未熱処理水素製造装置の開口部を密閉し、ヘリウムボンベから中空内部15に0.2MPaの圧力でヘリウムガスを圧入した。この状態を保持しつつ水中に未熱処理水素製造装置を浸漬させ、水素透過膜20から発生する気泡を3分間観察して、その数を数えた。10検体すべてにおいて試験を行い、それぞれ発生した気泡数を数え、その合計気泡数を周側面積282.6cm(1検体の周側面積28.26cm×10検体)で除して、水素透過膜20の表面に存在する欠陥の個数とした。その結果を表1に示した。また、気泡の発生が認められなかった未熱処理水素製造装置の検体数も表1に示した。
次いで、各実施例又は各比較例のすべての未熱処理水素製造装置を、400℃で1時間にわたって熱処理した。その後、未熱処理水素製造装置と同様にして、熱処理水素製造装置の欠陥の個数を求めて表1に示した。また、気泡の発生が認められなかった熱処理水素製造装置の検体数も表1に示した。
Figure 2006314876
表1から明らかなように、実施例1及び2の水素製造装置は、熱処理の有無にかかわらず気泡の発生が認められず、高い選択性で水素ガスを分離することができ、高純度の水素ガスを得ることができた。また、実施例3の水素製造装置は、コーティング層を備えているので、バリア層の表面状態が効果的に改善されており、水素透過膜の膜厚を薄く形成しても気泡の発生を、0.007個/cmに抑えることができた。特に熱処理水素製造装置では新たな気泡の発生が認められなかった。
一方、比較例1の水素製造装置は、未熱処理水素製造装置では気泡の発生が認められなかったものの、熱処理水素製造装置では、4検体において気泡の発生が認められ、水素透過膜に欠陥が存在することを確認できた。これは、減圧めっき工程において、バリア層、コーティング層、改質触媒兼支持体等に侵入しためっき液成分が熱処理によって揮発する際に、この成分が水素透過膜を貫通してピンホールを形成させたためであると考えられる。この点は、減圧めっき工程を行っていない比較例2における熱処理水素製造装置で新たな気泡が発生していないことからも理解できる。また、比較例3の水素製造装置は、常圧めっき工程によって約0.25μmの膜厚を有する水素透過膜を形成しているが、常圧めっき工程によって形成される水素透過膜はその膜厚が0.25μmでは不十分であることがわかった。
以上の結果から、常圧めっき工程と減圧めっき工程とを組み合わせて水素透過膜を形成する場合には、減圧めっき工程に先立って行われる常圧めっき工程で形成される水素透過膜の膜厚は、少なくとも0.3μmにされることが好ましく、0.4μm以上にされることがさらに好ましいことが分かった。
この方法によれば、めっき用液がバリア層、コーティング層又は改質触媒兼支持体内に浸透せず、熱処理で揮発するめっき用液成分の残留を最小限に抑えることができるから、熱処理によって水素透過膜にピンホールが形成されることがきわめて少ないうえ、さらに、減圧めっき工程において、水素透過膜の下地層における比較的大きな穴を閉塞することができるから、この穴に由来する水素透過膜の表面状態を改善できる。したがって、欠陥のきわめて少ない水素透過膜を形成することができ、高い選択性で水素ガスを分離することができる。
この発明の一例としての水素分離装置を示す概略断面図である。 この発明の別の一例としての水素分離装置を示す概略断面図である。 この発明のまた別の一例としての水素分離装置を示す概略断面図である。
符号の説明
1、 水素分離装置
2、3 水素製造装置
10 多孔質支持体
13 改質触媒兼支持体
15 中空内部15
20 水素透過膜
21 バリア層
22 コーティング層

Claims (4)

  1. 多孔質支持体と、前記多孔質支持体に支持される水素透過膜とを備えた水素分離装置であって、前記水素透過膜は、その膜厚が1〜30μmであり、その表面の欠陥が0.010個/cm以下である水素分離装置。
  2. 前記多孔質支持体及び前記水素透過膜の間に形成され、前記多孔質支持体及び前記水素透過膜を形成する成分が相互に拡散することを防止するバリア層を備えた請求項1に記載の水素分離装置。
  3. 前記多孔質支持体及び前記バリア層の間に形成され、前記バリア層の表面状態を改善するコーティング層を備えた請求項2に記載の水素分離装置。
  4. 前記多孔質支持体が炭化水素ガスの水蒸気改質触媒機能を有する改質触媒兼支持体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素分離装置。


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