JP4909600B2 - 水素分離体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は水素分離体、及びその製造方法に関し、更に詳しくは、優れた耐久性を有する水素分離層を備え、長期間使用可能な水素分離体、及びその製造方法に関する。
従来、水蒸気改質ガス等の水素を含有するガスから水素のみを選択的に取り出すために、セラミックス多孔質基体にパラジウム等からなる水素分離層を配設した水素分離体が使用されている。水素分離体は、高温において水素のみを分離するために使用されることがある。従って、水素分離体は、高温又は昇降温が繰り返される環境において高い気密性を有することが要求される。
従来の水素分離体は、図2に示すように、多孔質基体12と、この多孔質基体12の一の表面15上に配設された水素分離層13とを備えた構造を有するものである。なお、多孔質基体12は、その一の表面15から他の表面(図示せず)まで連通する多数の細孔を有するものであり、セラミックス等の材料により構成されている。図2に示すような構造の水素分離体11を製造するに際して、水素分離層13を配設する方法としては、例えば多孔質基体12の一の表面15上に、水素分離層13となるパラジウムをメッキ等する方法を挙げることができる(例えば、特許文献1〜3参照)。
図2に示すような水素分離体11は、通常、その水素分離層13が被処理ガスに直接的に接触するような状況下で使用される。即ち、水素分離層13が水素選択透過性金属により構成されたものである場合、この水素分離層13は、被処理ガスに含まれる金属微粉末や硫黄化合物に対して無防備であり、水素分離層に欠陥や性能低下が生じ易くなるといった恐れがある。このため、水素分離体は、使用するに従ってその水素分離層が劣化して水素透過性能が低下し易くなり、長期間使用が困難になる等の問題がある。このような問題を解消するための関連する従来技術として、水素分離層の表面上に、多数の細孔を有するゼオライトやシリカからなる保護用の膜を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献4,5、及び非特許文献1参照)。しかしながら、特許文献4や非特許文献1において開示された方法では、ゼオライト等からなる保護用の膜の細孔径よりも小さな粒子・物質から受ける影響を回避することができないという問題や、細孔が他の物質で閉塞されると水素の透過が妨げられるという問題がある。
一方、図3に示すように、多孔質基体22の一の表面25上に、パラジウム等からなる水素分離層を形成することに代えて、BaCe0.80.23−δ等のプロトン伝導性を有する化合物からなる層(プロトン伝導層23)を形成し、このプロトン伝導層23を水素分離層として用いる水素分離体21が開示されている(例えば、非特許文献2参照)。また、プロトン伝導性を有する化合物については、これまでに多くの報告がある(例えば、特許文献6,7参照)。しかしながら、このような構成を有する水素分離体21で十分な水素分離特性を得るには、プロトン伝導層の厚みTを厚く形成することが必要である。このため、水素透過速度が遅くなり、十分な水素分離特性を得難いといった問題がある。
特開平3−146122号公報 特許第3213430号公報 特開昭62−273030号公報 特開平11−114388号公報 特開2004−271525号公報 特開平10−67558号公報 特許第2870126号公報 第13回エネルギー学会大会予稿、p.236 Proc.of 15th World Hydrogen Energy Conference,28D-02,2004
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、被処理ガスに含まれる鉄等の金属微粉末や硫黄化合物に対して優れた耐久性を有する水素分離層を備え、優れた水素分離特性を有するとともに長期間使用可能な水素分離体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、水素分離層の表面上に、プロトン伝導性及び電子伝導性を有する保護層を設けることによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示す水素分離体、及びその製造方法が提供される。
[1]その一の表面から他の表面まで連通する多数の細孔を有する多孔質基体と、前記多孔質基体の前記一の表面上に配設された水素選択透過性金属からなる水素分離層とを備えた水素分離体であって、前記水素分離層の表面上に、プロトン伝導性及び電子伝導性を有する保護層を更に備え、前記保護層が、プロトン伝導性及び電子伝導性を有する第一の酸化物セラミックスからなる層、又はプロトン伝導性を有する第二の酸化物セラミックスと電子伝導性化合物との複合物からなる層であり、前記保護層が、前記第一の酸化物セラミックスからなる層である場合に、前記第一の酸化物セラミックスが、希土類元素添加BaCeO であり、前記保護層が、前記複合物からなる層である場合に、前記第二の酸化物セラミックスが、希土類元素添加BaCeO 、Sr添加LaCoO 、希土類元素添加SrCeO 、及びIn添加SnP からなる群より選択される少なくとも一種、前記電子伝導性化合物が、炭素(C)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも一種である水素分離体。
]前記保護層の厚みが、0.01〜1μmである前記[]に記載の水素分離体。
]前記多孔質基体が、セラミックスを主成分としてなる前記[1]又は[2]に記載の水素分離体。
]前記水素選択透過性金属が、パラジウム(Pd)又はパラジウム(Pd)を含有する合金である前記[1]〜[]のいずれかに記載の水素分離体。
]前記水素分離層の厚みが、1〜5μmである前記[1]〜[]のいずれかに記載の水素分離体。
]その一の表面から他の表面まで連通する多数の細孔を有する多孔質基体と、前記多孔質基体の前記一の表面上に配設された水素選択透過性金属からなる水素分離層とを備えた水素分離体の製造方法であって、前記多孔質基体の前記一の表面に、前記水素分離層を配設し、配設された前記水素分離層の表面に、プロトン伝導性及び電子伝導性を有する保護層を配設することを含み、前記保護層が、プロトン伝導性及び電子伝導性を有する第一の酸化物セラミックスからなる層、又はプロトン伝導性を有する第二の酸化物セラミックスと電子伝導性化合物との複合物からなる層であり、前記保護層が、前記第一の酸化物セラミックスからなる層である場合に、前記第一の酸化物セラミックスが、希土類元素添加BaCeO であり、前記保護層が、前記複合物からなる層である場合に、前記第二の酸化物セラミックスが、希土類元素添加BaCeO 、Sr添加LaCoO 、希土類元素添加SrCeO 、及びIn添加SnP からなる群より選択される少なくとも一種、前記電子伝導性化合物が、炭素(C)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも一種である水素分離体の製造方法。
]前記保護層の厚みが、0.01〜1μmである前記[]に記載の水素分離体の製造方法。
]前記多孔質基体が、セラミックスを主成分としてなる前記[6]又は[7]に記載の水素分離体の製造方法。
]前記水素選択透過性金属が、パラジウム(Pd)又はパラジウム(Pd)を含有する合金である前記[]〜[]のいずれかに記載の水素分離体の製造方法。
10]前記水素分離層の厚みが、1〜5μmである前記[]〜[]のいずれかに記載の水素分離体の製造方法。
本発明の水素分離体は、被処理ガスに含まれる鉄等の金属微粉末や硫黄化合物に対して優れた耐久性を有する水素分離層を備え、優れた水素分離特性を有するとともに長期間使用可能であるといった効果を奏するものである。また、本発明の水素分離体の製造方法によれば、被処理ガスに含まれる鉄等の金属微粉末や硫黄化合物に対して優れた耐久性を有する水素分離層を備え、優れた水素分離特性を有するとともに長期間使用可能な水素分離体を容易に製造することができる。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
図1は、本発明の水素分離体の一実施形態を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態の水素分離体1は、その一の表面5から他の表面(図示せず)まで連通する多数の細孔を有する多孔質基体2と、多孔質基体2に配設された水素分離層3とを備えている。この水素分離層3は、水素選択透過性金属からなる層であり、一の表面5の側、又は他の表面(図示せず)の側から流入する水素を含む気体(被処理ガス)のうち水素だけを選択的に透過させて他の表面の側又は一の表面5の側から流出させることが可能な層である。即ち、水素分離体1を用いて被処理ガスから水素を分離する場合には、被処理ガスを、一の表面5の側から流入させて他の表面の側から流出させてもよいし、他の表面の側から流入させて一の表面5の側から流出させてもよい。
本実施形態の水素分離体1は、水素分離層3の表面上に保護層10を更に備えている。この保護層10は、プロトン伝導性及び電子伝導性を有する層であり、他の表面の側、又は一の表面5の側からの水素の流出を妨げることがない層である。保護層10は、プロトン伝導性及び電子伝導性を有する第一の酸化物セラミックスからなる層、又はプロトン伝導性を有する第二の酸化物セラミックスと電子伝導性化合物との複合物からなる層であることが好ましい。第一の酸化物セラミックスの具体例としては、希土類元素添加BaCeOを挙げることができる。なお、本明細書においては、第二の酸化物セラミックスには、第一の酸化物セラミックスが概念的に含まれる。即ち、第一の酸化物セラミックスは、同時に第二の酸化物セラミックスでもある。
第二の酸化物セラミックスの具体例としては、前記第一の酸化物セラミックスの具体例として挙げた希土類元素添加BaCeOの他、更に、Sr添加LaCoO、希土類元素添加SrCeO、及びIn添加SnPからなる群より選択される少なくとも一種を挙げることができる。なお、希土類元素とは、Sc、Y、及びランタノイドを含む一種以上の元素を意味する。これらの酸化物セラミックスは、ペロブスカイト型構造、又は岩塩型構造を有するものであるために、良好なプロトン伝導性を示す。
なお、本明細書にいう「希土類元素添加」とは、「化学式中に希土類元素(Sc、Y、ランタノイド等)が含まれていること」を意味する。また、「Sr添加」とは、「化学式中にストロンチウム(Sr)が含まれていること」を意味する。更に、「In添加」とは「化学式中にインジウム(In)が含まれていること」を意味する。なお、「希土類元素添加BaCeO」、「Sr添加LaCoO」、「希土類元素添加SrCeO」、及び「In添加SnP」には、それぞれを構成する各元素の割合が、単純な整数比で表されないものも含まれる。また、これらの化合物中には、プロトン伝導や電子伝導を大きく妨げない範囲で、他の元素が添加されていてもよい。
保護層10は、プロトン伝導性及び電子伝導性を有するものであることから、水素を選択的に透過させる機能を有する層である。ここで、保護層10が、上記の第二の酸化物セラミックスと電子伝導性化合物との複合物からなる層である場合に、この電子伝導性化合物は、炭素(C)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。即ち、これらの電子伝導性化合物を含む複合物によって保護層10を構成することにより、この保護層10はより良好な水素透過性を示すこととなる。
また、本実施形態の水素分離体1を構成する保護層10は、鉄等の金属微粉末や硫黄化合物に対して水素分離層3よりも優れた耐久性を有する層であるとともに、水素分離層3の表面上に、水素分離層3を被覆するように形成されている。このため、本実施形態の水素分離体1を構成する水素分離層3は、被処理ガスに含まれる鉄等の金属微粉末や硫黄化合物の直接的な接触を受けることがない。従って、本実施形態の水素分離体1は、金属微粉末や硫黄化合物を含有する被処理ガスを処理する場合であっても、水素分離層3がこれらの金属微粉末等に直接的に曝されることがなく、優れた耐久性を有するとともに長期間使用可能なものである。
また、図1に示す本実施形態の水素分離体1は、水素選択透過性金属からなる、水素分離性能の高い水素分離層3を備えたものであるため、保護層の厚みTを、図3に示す水素分離体21のプロトン伝導層の厚みTに比して薄く形成した場合(T<T)であっても、十分な水素分離特性を示す。即ち、本実施形態の水素分離体1は、保護層の厚みTをより薄く形成することが可能であるため、水素透過速度が速く、優れた水素分離特性を示すものである。
保護層の厚みTは、0.01〜1μmであることが好ましく、0.05〜0.5μmであることが更に好ましい。保護層の厚みTが0.01μm未満であると、保護層としての機能が不十分となる傾向にある。一方、保護層の厚みTが1μm超であると、厚過ぎであるために水素透過速度が低下する傾向にある。
多孔質基体2は、セラミックスを主成分としてなるものであることが好ましい。セラミックスを主成分とすることにより、耐熱性、耐食性等に優れ、水素分離体1の機械的強度を高めることができる。セラミックスの種類としては特に限定されるものではなく、水素分離体として一般的に使用されるセラミックスのいずれでも採用することができる。例えば、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ムライト、コージェライト、ジルコニア等を挙げることができる。なお、セラミックス以外の成分として、不可避的に含有される成分や、通常添加されるような成分を少量含有してもよい。また、多孔質基材2を、その熱膨張率を調整すべく、二種類以上のセラミックスや、セラミックスと金属を複合化した材料によって構成することも好ましい。
多孔質基体2は、三次元状に連続した多数の微細な細孔を有するものである。この細孔の孔径は、0.003〜2μmであることが好ましく、0.1〜1μmであることが更に好ましい。孔径が0.003μm未満であると、ガスが通過するときの抵抗が大きくなることがある。一方、孔径が2μm超であると、水素分離体1を製造するに際して水素分離層3を配設するときに、水素選択透過性金属により細孔を閉塞し難くなり、気密性が低下することがある。
また、多孔質基体2の細孔は、その孔径が揃っていることが好ましい。このことにより、水素分離層3を配設するときに、水素選択透過性金属によって閉塞されない細孔が生じて気密性が低下してしまう問題を回避できる。
水素分離層3を構成する水素選択透過性金属は、水素を選択的に透過させることができるものであれば特に限定されるものではない。具体的にはパラジウム(Pd)又はパラジウム(Pd)を含有する合金が好ましい。パラジウム(Pd)は水素だけを選択的に効率よく透過させることができるために好ましい。パラジウム(Pd)を含有する合金としては、パラジウム(Pd)と銀(Ag)との合金やパラジウム(Pd)と銅(Cu)との合金が好ましい。パラジウム(Pd)と銀(Ag)や銅(Cu)とを合金化することにより、パラジウム(Pd)の水素脆化が防止され、高温時における水素の分離効率が向上する。
水素分離層3の厚みは、1〜5μmであることが好ましい。水素分離層3の厚みが1μm未満であると、水素分離層3に欠陥が生じ易くなることがあり、5μm超であると、水素分離層3による水素の分離の分離効率が低下することがある。
次に、本発明の水素分離体の製造方法の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図4は、本発明の水素分離体の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。本実施形態の水素分離体の製造方法では、図4に示すように、先ず、多孔質基体2の一の表面5に、水素選択透過性金属からなる水素分離層3を配設する。水素分離層3を配設する方法としては、メッキ処理、スパッタ処理、又は化学気相堆積(CVD)処理する方法等を挙げることができる。次いで、配設されたこの水素分離層3の表面に保護層10を配設すれば、本実施形態の水素分離体1を得ることができる。なお、保護層10を配設する方法としては、溶液処理、ゾル−ゲル処理、レーザーアブレーション処理、スパッタ処理、又は化学気相堆積(CVD)処理する方法等を挙げることができる。
多孔質基体2の一の表面5に水素分離層3をメッキ処理することにより配設するには、例えば、化学メッキを採用することが好ましい。化学メッキにより多孔質基体2の一の表面5にパラジウム(Pd)を配設するには、先ず、多孔質基体2を活性化金属を含有する溶液に浸漬させることにより、一の表面5に活性化金属を含有する溶液を付着させた後、水洗する。活性化金属としては、2価のパラジウムを含有する化合物を好適に用いることができる。活性化金属を一の表面5に付着させる方法としては、例えば、水素選択透過性金属としてパラジウム(Pd)を用いる場合、多孔質基体2を塩化パラジウムの塩酸水溶液と塩化錫の塩酸水溶液に交互に浸漬させることが好ましい。
活性化金属を一の表面5に付着させた後に、多孔質基体2の一の表面5の側を、水素選択透過性金属(例えば、パラジウム(Pd))と還元剤とを含有するメッキ溶液に浸漬させる。これにより、活性化金属を核として、パラジウム(Pd)が析出し、パラジウム(Pd)からなる水素分離層3が形成される。還元剤としては、ヒドラジン、ジメチルアミンボラン、ホスフィン酸ナトリウム、ホスホン酸ナトリウム等を挙げることができる。
水素分離層3を構成する水素選択透過性金属として、パラジウム(Pd)と銀(Ag)との合金を用いる場合には、パラジウム(Pd)からなる層を一の表面5に化学メッキすることにより配設した後、このパラジウム(Pd)からなる層の表面に銀(Ag)を更にメッキする。次いで、加熱することにより、パラジウム(Pd)と銀(Ag)とを相互拡散させれば、パラジウム(Pd)と銀(Ag)との合金を水素選択透過性金属として用いた水素分離層3を形成することができる。なお、パラジウム(Pd)からなる層の表面に銀(Ag)をメッキするに際しては、化学メッキをすることや、パラジウム(Pd)からなる層を電極とし、電気メッキすることが好ましい。この際、用いるパラジウム(Pd)と銀(Ag)との質量比(Pd:Ag)が、90:10〜70:30であることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
多孔質基体として、外径30mm、厚さ3mm、表面の平均細孔径が0.2μmである円盤形状のα−アルミナ多孔質板を用意した。このα−アルミナ多孔質板を純水で洗浄した後、活性化処理を行った。活性化処理は、α−アルミナ多孔質板を2価のパラジウム(Pd)イオンを含有する溶液中に浸漬した後、還元処理を行うことによって実施した。活性化処理を行ったα−アルミナ多孔質板を、パラジウム(Pd)塩、錯化剤、及び還元剤を含有する溶液中に浸漬することによって、α−アルミナ多孔質板の表面に対してパラジウム(Pd)の無電解メッキを行い、その膜厚が2μmのパラジウム(Pd)膜を形成した。次いで、パラジウム(Pd)膜上に銀(Ag)を電気メッキによって成膜した。なお、パラジウム(Pd)と銀(Ag)の質量比は80:20となるように調整した。これをアルゴン(Ar)ガス中800℃で1時間加熱処理することによって合金化を行い、その膜厚が2μmのパラジウム(Pd)合金膜を形成した。パラジウム(Pd)合金膜を純水で水洗し、乾燥した後、レーザーアブレーション法によって、パラジウム(Pd)合金膜上に、その膜厚が0.1μmのBaCe0.80.23−δからなる保護層を成膜して水素分離体(実施例1)を得た。なお、X線回折法によって保護層を構成するBaCe0.80.23−δの結晶構造を解析したところ、ペロブスカイト型構造であった。
(実施例2)
レーザーアブレーション法によって、パラジウム(Pd)合金膜上に、その膜厚が0.1μmのLa0.9Sr0.1ScO3−δと炭素(C)との複合物からなる保護層を成膜すること以外は前述の実施例1と同様にして水素分離体(実施例2)を得た。なお、X線回折法によって保護層を構成するLa0.9Sr0.1ScO3−δの結晶構造を解析したところ、ペロブスカイト型構造であった。
(実施例3)
レーザーアブレーション法によって、パラジウム(Pd)合金膜上に、その膜厚が1μmのBaCe0.80.23−δからなる保護層を成膜すること以外は前述の実施例1と同様にして水素分離体(実施例3)を得た。なお、X線回折法によって保護層を構成するBaCe0.80.23−δの結晶構造を解析したところ、ペロブスカイト型構造であった。
(比較例1)
保護層の成膜を行わないこと以外は前述の実施例1と同様にして水素分離体(比較例1)を得た。
(ヘリウム(He)ガス漏洩量の測定)
水素分離体(実施例1〜3、比較例1)のパラジウム(Pd)合金膜上に少量の鉄粉を載置し(但し、実施例1〜3の水素分離体については、保護層を介在させた状態で載置し)、600℃で1時間の加熱処理を行った(以下、「600℃熱処理」という)。パラジウム(Pd)合金膜のヘリウム(He)ガス漏洩量を、600℃熱処理前と600℃熱処理後に測定した。ヘリウム(He)ガス漏洩量の測定は、α−アルミナ多孔質板の表面のパラジウム(Pd)合金膜の側に800kPaの圧力でヘリウム(He)ガスを導入し、α−アルミナ多孔質板の他の表面の側に漏洩するヘリウム(He)ガス量を測定することによって行った。ヘリウム(He)ガス漏洩量を測定した結果を表1に示す。
Figure 0004909600
表1に示す結果から、実施例1〜3の水素分離体は、比較例1の水素分離体に比して、600℃熱処理後の気密性の低下が大幅に抑制されることが判明した。
(水素透過性能の測定)
水素分離体(実施例1〜3、比較例1)を電気炉中で600℃に加熱した状態で、α−アルミナ多孔質板の表面のパラジウム(Pd)合金膜の側に加える圧力を変化させながら水素(H)ガスを導入し、α−アルミナ多孔質板の他の表面の側に漏洩する水素(H)ガス量を測定した。なお、水素透過性能の測定は、100%水素(H)ガスを使用した場合、及び5ppmの硫化水素(HS)を含んだ水素(H)ガスを使用した場合について行った。水素透過性能を測定した結果を表2に示す。
Figure 0004909600
表2に示す結果から、実施例1〜3の水素分離体は、比較例1の水素分離体に比して、100%水素(H)ガスを使用した場合の水素透過性能と、5ppmの硫化水素(HS)を含んだ水素(H)ガスを使用した場合の水素透過性能の差が小さいことが判明した。なお、実施例3の水素分離体の水素透過性能が、他の水素分離体に比して低いのは、保護層が厚く、水素(H)ガスが通過し難かったためであると想定される。なお、実施例としては示さなかったが、他の保護層、及び水素分離膜についても、同様の結果が得られている。
本発明の水素分離体は、被処理ガスに含まれる鉄等の金属微粉末や硫黄化合物に対して優れた耐久性を有する水素分離層を備え、優れた水素分離特性を有するとともに長期間使用に好適であり、水蒸気改質ガス等の水素を含有するガスから水素のみを選択的に取り出す分離体として有用である。
本発明の水素分離体の一実施形態を模式的に示す断面図である。 従来の水素分離体の一実施形態を模式的に示す断面図である。 プロトン伝導層を水素分離層として用いた従来の水素分離体の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の水素分離体の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1,11,21 水素分離体
2,12,22 多孔質基体
3,13 水素分離層
5,15,25 一の表面
10 保護層
23 プロトン伝導層
保護層の厚み
プロトン伝導層の厚み

Claims (10)

  1. その一の表面から他の表面まで連通する多数の細孔を有する多孔質基体と、前記多孔質基体の前記一の表面上に配設された水素選択透過性金属からなる水素分離層とを備えた水素分離体であって、
    前記水素分離層の表面上に、プロトン伝導性及び電子伝導性を有する保護層を更に備え
    前記保護層が、プロトン伝導性及び電子伝導性を有する第一の酸化物セラミックスからなる層、又はプロトン伝導性を有する第二の酸化物セラミックスと電子伝導性化合物との複合物からなる層であり、
    前記保護層が、前記第一の酸化物セラミックスからなる層である場合に、
    前記第一の酸化物セラミックスが、希土類元素添加BaCeO であり、
    前記保護層が、前記複合物からなる層である場合に、
    前記第二の酸化物セラミックスが、希土類元素添加BaCeO 、Sr添加LaCoO 、希土類元素添加SrCeO 、及びIn添加SnP からなる群より選択される少なくとも一種、
    前記電子伝導性化合物が、炭素(C)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも一種である水素分離体。
  2. 前記保護層の厚みが、0.01〜1μmである請求項に記載の水素分離体。
  3. 前記多孔質基体が、セラミックスを主成分としてなる請求項1又は2に記載の水素分離体。
  4. 前記水素選択透過性金属が、パラジウム(Pd)又はパラジウム(Pd)を含有する合金である請求項1〜のいずれか一項に記載の水素分離体。
  5. 前記水素分離層の厚みが、1〜5μmである請求項1〜のいずれか一項に記載の水素分離体。
  6. その一の表面から他の表面まで連通する多数の細孔を有する多孔質基体と、前記多孔質基体の前記一の表面上に配設された水素選択透過性金属からなる水素分離層とを備えた水素分離体の製造方法であって、
    前記多孔質基体の前記一の表面に、前記水素分離層を配設し、配設された前記水素分離層の表面に、プロトン伝導性及び電子伝導性を有する保護層を配設することを含み、
    前記保護層が、プロトン伝導性及び電子伝導性を有する第一の酸化物セラミックスからなる層、又はプロトン伝導性を有する第二の酸化物セラミックスと電子伝導性化合物との複合物からなる層であり、
    前記保護層が、前記第一の酸化物セラミックスからなる層である場合に、
    前記第一の酸化物セラミックスが、希土類元素添加BaCeO であり、
    前記保護層が、前記複合物からなる層である場合に、
    前記第二の酸化物セラミックスが、希土類元素添加BaCeO 、Sr添加LaCoO 、希土類元素添加SrCeO 、及びIn添加SnP からなる群より選択される少なくとも一種、
    前記電子伝導性化合物が、炭素(C)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、及び金(Au)からなる群より選択される少なくとも一種である水素分離体の製造方法。
  7. 前記保護層の厚みが、0.01〜1μmである請求項に記載の水素分離体の製造方法。
  8. 前記多孔質基体が、セラミックスを主成分としてなる請求項6又は7に記載の水素分離体の製造方法。
  9. 前記水素選択透過性金属が、パラジウム(Pd)又はパラジウム(Pd)を含有する合金である請求項のいずれか一項に記載の水素分離体の製造方法。
  10. 前記水素分離層の厚みが、1〜5μmである請求項のいずれか一項に記載の水素分離体の製造方法。
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