JP2010088530A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸収性能が従来よりも一層向上し、また消臭効果が従来よりも一層高い吸収性物品を提供すること。
【解決手段】吸収性物品10においては、表面シート11と裏面シート12との間に吸収体14が配され、表面シート12と吸収体14との間に消臭シート13が配され、吸収体14と裏面シート12との間に吸水シート15が配されている。吸収体14は高吸収性ポリマー及び親水性繊維を含んでいる。吸収シート15はその平面視において、吸収体14の周縁部から外方に延出する大きさを有している。消臭シート13はその平面視において吸収体14の周縁部全域から外方に延出する大きさを有し、かつ吸収性物品10の長手方向に延びる圧着溝によって吸収体14と接合されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、生理用ナプキン、失禁ライナ、失禁パッド、おりものシート等の吸収性物品に関する。
本出願人は先に、消臭性能及び漏れ防止性能に優れており、しかも消臭剤の脱落が防止され、製造ラインや製品を消臭剤で汚さずに製造でき、また消臭剤により着用者の肌や着用具を汚すことのない、失禁パッド等の吸収性物品を提案した(特許文献1参照)。この吸収性物品は、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3、及び該表面シートと該裏面シートとの間に介在された吸収性コア4を具備し、長手方向中央線Pの両側に、表面シート2側から吸収性コア4にわたる一対の溝8,8を有している。表面シート2と吸収性コア4との間又は吸収性コア4内には、消臭剤が含有されている。溝8が形成された部分には、好適には消臭剤が配されていない。そして、消臭剤の平均坪量は、溝8が形成されていない部分よりも溝8が形成された部分において小さくなっている。
しかし、この種の吸収性物品の性能に対する要求はとどまるところを知らず、吸収性能が更に一層向上し、かつ消臭効果も更に一層高い吸収性物品が期待されている。
特開2001−353174号公報
本発明の目的は、前述した従来技術の吸収性物品よりも吸収性能と消臭効果が更に向上した吸収性物品を提供することにある。
本発明は、表面シートと裏面シートとの間に吸収体が配され、表面シートと吸収体との間に消臭シートが配され、吸収体と裏面シートとの間に吸水シートが配された吸収性物品であって、吸収体は高吸収性ポリマー及び親水性繊維を含み、
吸収シートはその平面視において、吸収体の周縁部から外方に延出する大きさを有し、消臭シートはその平面視において吸収体の周縁部全域から外方に延出する大きさを有し、かつ吸収性物品の長手方向に延びる圧着溝によって吸収体と接合されている吸収性物品を提供するものである。
本発明によれば、吸収体の全域が有効活用されて吸収性能が従来よりも一層向上し、また消臭効果が従来よりも一層高い吸収性物品が提供される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の吸収性物品の一実施形態としての失禁ライナの斜視図が示されている。また図2には、図1に示す失禁ライナの分解斜視図が示されている。
図1及び図2に示すライナ10は、着用者のショーツ内面における股下部に装着されて、主として尿や経血の吸収に用いられるものである。ライナ10は、長手方向及びそれに直交する幅方向を有する縦長の形状をしている。
ライナ10は、その着用時に着用者の肌側を向く表面シート11と、該表面シート11と対向し、かつショーツ内面側を向く裏面シート12とを有している。表面シート11と裏面シート12とはほぼ同形をしており、いずれも略長円形をなしている。表面シート11及び裏面シート12は、それらの長手方向における中央域が内方へ向けて若干湾曲したくびれ形状になっている。そして、これらのシート11,12の輪郭が、平面視におけるライナ10の外縁を画成している。なお、図示していないが、裏面シート12における外面であるショーツ内面を向く面には、ライナ10をショーツ内面に固定するための粘着剤が塗布されている。この粘着剤は、ライナ10の使用時まで剥離シート(図示せず)によって保護されている。
表面シート11と裏面シート12とは、それらの周縁部において互いに接合されている。また、両シート11,12の間に、シート状の吸収体14が介在配置されている。更に、表面シート11と吸収体14との間に消臭シート13が配され、吸収体14と裏面シート12との間に吸水シート15が配置されている。このように、本実施形態のライナ10においては、表面シート11と裏面シート12との間に、消臭シート13、吸収体14及び吸水シート15という3種類のシート状の部材が介在配置されている。その結果、ライナ10は、それを構成する主要部材がシートからなるので、薄型のものとなる。例えばライナ10は、1.5kPaの荷重下における厚みが好適には1.5〜5.0mm程度の薄型のものである。
更に、図1に示すように、表面シート11の肌対向面側における左右両側部には、ライナ10の長手方向に延びる一対の帯状の撥水性シートからなる防漏カフ16,16が接合されている。図2に示すように防漏カフ16は、ライナ10の長手方向中央部における幅方向の縦断面視において略L字状をなしている。略L字状をなす防漏カフ16は、表面シート11との接合部16aと、接合部16aと連なり、かつ上方に向けて起立する防漏壁部16bとから構成されている。一対の防漏カフ16は、それらの防漏壁部16bが、ライナ10の幅方向内方側に位置して相対向し、かつ接合部16aがライナ10の幅方向外方側に位置するように配置されている。ライナ10の前端部寄りの位置及び後端部寄りの位置においては、防漏カフ16の防漏壁部16bは、ライナ10の幅方向外方に向けて倒伏されており、接合部16aと接合されている。防漏壁部16bの上端部には、糸ゴム等からなる弾性部材16c(図1参照)が、防漏カフ16の長手方向に沿って伸長状態で配されている。
防漏カフ16を構成する撥水性シートとしては、ライナ10の装着状態において、着用者の体圧を受けても、液の甚だしい透過を阻止し得る程度の撥水性を有する繊維シートが好適に用いられる。そのような繊維シートとしては、疎水性の合成樹脂を原料とする繊維からなる各種不織布が好適に用いられる。
図2に示すように、吸収体14は、ライナ10の長手方向と一致する長手方向を有する矩形のものである。吸収体14としては、パルプと高吸収ポリマーの混合積繊体でもよいが、高吸収ポリマーの割合が高いほど薄型化、消臭効果が高くなるので好ましい。その観点から、図3に示すように、同形の2枚のシート14a,14bを重ね合わせ、両シート14a,14bの間に高吸収性ポリマーの粒子14cを介在配置させて構成されている形態が、混合積繊体に比較してより薄型化を実現できるので好ましい。吸収体14は、高吸収性ポリマーの粒子14cが介在配置された2枚のシート14a,14bを重ね合わせたシート構造体を単体で用いてもよく、また複数枚積層してもよい。また、2枚のシート14a,14bを重ね合わせたシート構造体の端面からの高吸収ポリマーの脱落防止等の観点から、図3に示すように該シート構造体における左右の両側域を下方に折り曲げて略C字状となし、かつその折り曲げ部位14d,14dと、幅方向中央域14eとの対向面を、ホットメルト粘着剤等の接着剤Hで接合することで、平面視して矩形のシート状となすことが好ましい。
シート14a,14bは同一の種類のものでも、あるいは異種のものでもよい。いずれの場合であってもシート14a,14bは繊維材料を含む繊維シートから構成されている。この繊維シートは、排泄された液を高吸収性ポリマー14cへ導くことが可能な液透過性を有している。そのような繊維シートとしては、例えば紙、不織布、織布などを用いることができる。繊維シートを構成する繊維としては、液透過性の高さの観点から親水性繊維を用いることが有利である。親水性繊維としては、例えば木材パルプ、コットン、レーヨン等のセルロース系繊維が好適に用いられる。また、シート14a,14bの液透過性を損なわない範囲において、これらのシート14a,14bの強度を高めることを目的として、熱融着性繊維等の疎水性合成繊維を少量配合してもよい。
ライナ10を薄型にしてその装着感を高める観点から、ライナ10の構成部材のうち、最も嵩高い部材である吸収体14を薄型とすることが好ましい。具体的には、吸収体14におけるシート14a,14bの厚みを坪量で表した場合、該坪量を10〜50g/m2、特に15〜40g/m2とすることが好ましい。この場合、シート14a,14bの坪量は同一でもよく、あるいは異なっていてもよい。一方、吸収体14における高吸収性ポリマーの粒子14cの坪量は、高吸収性ポリマーの種類にもよるが、一般には、坪量20〜300g/m2の範囲で要求される吸収性能に応じて適切な値を選択すればよい。また、吸収体14に占める高吸収性ポリマーの粒子14cの割合は、可能な限り高くすることが薄型でかつ吸収容量の高いライナ10を得る観点から好ましい。この観点から、吸収体14に占める高吸収性ポリマーの粒子14cの割合は、17〜94重量%、特に70〜90重量%であることが好ましい。
高吸収性ポリマーとしては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを用いることができる。例えば、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられる。高吸収性ポリマーは、自重の20倍以上の水又は生理食塩水を吸収し保持し得る性能を有するものが好ましい。
吸収体14は、例えば一方のシート14aの一面にホットメルト粘着剤等の接着剤を間欠塗布し、その上に高吸収性ポリマーの粒子14cを散布して該粒子14cを固定し、更にその上に他方のシート14bを重ね合わせ、両シート14a,14bを接着剤によって接合することで得られる。この場合、高吸収性ポリマーの粒子14cの散布は、均一散布でもよく、あるいは筋状の散布部と筋状の非散布部とが交互に位置するように、粒子14cをパターン散布してもよい。別法として、一方のシート14aを水に濡らして湿潤状態にし、その上に高吸収性ポリマーの粒子14cを散布して、該粒子14cに粘着性を発現させ、更にその上に他方のシート14bを重ね合わせ、高吸収性ポリマーの粒子14cの粘着性を利用して両シート14a,14bを接合して吸収体14を得てもよい。
なお、吸収体14としては、上述の形態のものに加え、他の形態のものを用いてもよい。例えば本出願人の先の出願に係る特開平08−246395号公報に記載のシート状の吸収体や、パルプと高吸収性ポリマー粒子との積繊体を用いてもよい。これらいずれの場合であっても、図3に示す吸収体14と同様に、吸収体に占める高吸収性ポリマーの割合は高いことが、ライナ10の薄型化の観点から好ましく、具体的には吸収体に占める高吸収性ポリマーの割合が、20〜75重量%、特に25〜67重量%であることが好ましい。
図2に示すように、吸収体14は、消臭シート13と吸収シート15との間に介在配置される。また同図に示すように、吸収体14を挟む消臭シート13及び吸収シート15は、吸収体14の周縁部の全域から外方へ延出する大きさを有している。つまり、消臭シート13及び吸収シート15は、吸収体14よりも大きな長さ及び幅を有している。
消臭シート13及び吸収シート15はほぼ同形であり、略長円形の形状を有している。また消臭シート13及び吸収シート15は、それらの長手方向における中央域が内方へ向けて若干湾曲したくびれ形状になっている。更に、消臭シート13及び吸収シート15は、先に説明した表面シート11及び裏面シート12と略相似形になっており、かつ表面シート11及び裏面シート12を一回り程度縮小した形状になっている。
消臭シート13は、表面シート上に排泄された液から生じる臭いを抑えるために用いられるものである。消臭シート13は、表面シート上に排泄された液を、該消臭シート13よりも下側に位置する部材である吸収体14や吸収シート15へ導くことが可能な液透過性を有している。この観点から、消臭シート13は、先に説明した吸収体14と同様に繊維シートから構成されていることが好ましい。そのような繊維シートとしては、例えば紙、不織布、織布などを用いることができる。繊維シートを構成する繊維としては、吸収体14と同様に、親水性繊維を用いることが好ましい。また、消臭シート13の液透過性を損なわない範囲において、該消臭シート13の強度を高めることを目的として、熱融着性繊維等の疎水性合成繊維を少量配合してもよい。
消臭シート13には、消臭剤が含まれている。この消臭剤としては、表面シート上に排泄された液から生じる臭いを吸収する作用、中和する作用、又はマスキングする作用を有する剤が用いられる。そのような剤は、疎水性のものであることが好ましい。親水性である場合には、剤の表面が、着用者から排泄された液によって濡れてしまい、消臭効果が十分に発揮されないことがあるからである。そのような疎水性の剤として本実施形態において好適に用いられるものは、例えば(イ)活性炭の粒子、(ロ)架橋性ビニルモノマー及びヘテロ芳香環を有するビニルモノマーを含むモノマー成分を共重合して得られ、かつ金属イオンを含有している粒子、(ハ)抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物の粒子、(ニ)ハイシリカゼオライトの粒子等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。(ロ)の粒子としては、例えば本出願人の先の出願に係る特開2008−062029号公報に記載されているものを用いることができる。(ハ)及び(ニ)の粒子としては、例えば本出願人の先の出願に係る特開2007−044401号公報に記載されているものを用いることができる。これらの消臭剤はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
消臭シート13は、例えば同一の又は異なる繊維シート間に消臭剤の粒子を保持してなるか、又は単一の繊維シートにおける繊維間に消臭剤の粒子を保持してなるものであり得る。消臭シート13が前者の形態である場合には、先に説明した吸収体14の製造方法と同様の方法によって消臭シート13を製造することができる。消臭シート13が後者の形態である場合には、繊維材料及び消臭剤の粒子を含む水スラリーからなる抄紙原料を調製し、該抄紙原料を用いた湿式抄造によって消臭シート13を製造することができる。後者の場合には、消臭剤は、消臭シート13内に均一分散することになるが、前者の場合には、消臭剤は、均一分散又は所定のパターンでもって分散することになる。
消臭シート13における消臭剤の量は、該消臭シート13の重量に対して1〜15重量%、特に3〜10重量%とすることが、消臭シート13による消臭効果が十分に発現する点、及び疎水性の材料である消臭剤に起因する消臭シート13全体としての疎水化の点から好ましい。また、ライナ10の薄型の観点から、消臭シート13は、その坪量が10〜60g/m2、特に15〜35g/m2であることが好ましい。
上述した消臭シート13の疎水化に関し、該消臭シート13の疎水性の程度と、先に説明した吸収体14及び吸水シート15の疎水性の程度とを対比すると、消臭シート13の疎水性の程度の方が高いことが、吸収体14等に吸収保持された液の表面シート11側への逆戻りを防止する観点から好ましい。これらのシートの疎水性の程度は、クレム吸収高さ(JIS P8141)を尺度として比較することができるところ、本実施形態においては、吸収体14及び吸水シート15はそれらのクレム吸水高さが、消臭シート13のクレム吸水高さよりも大きいものであることが好ましい。なお、消臭シート13のクレム吸水高さよりも大きければ、吸収体14及び吸水シート15のクレム吸水高さの大小関係に特に制限はない。
消臭シート13とともに吸収体14を挟持する吸収シート15は、吸収体14とは別体の部材である。吸収シート15は、液の排泄時に吸収体14で吸収しきれずに、該吸収体14を透過してきた液を一時的にストックするための作用を有するものである。したがって吸収シート15は、吸収体14に要求されるほどの液の吸収保持性能は要求されない。この観点から、吸収シート15としては、吸液性のあるシート材料から構成されており、かつライナ10の薄型・軽量化の観点から、高吸収性ポリマーを含んでいないものが用いられる。また、平面方向への液の拡散性の高いものが用いられる。これらの条件を満たす吸収シートとしては、例えば親水性の繊維材料を含む繊維シートが好適に用いられる。そのような繊維シートとしては、例えば紙、不織布、織布等が挙げられ、特に薄葉紙等の紙が好適に用いられる。特に吸収シート15は、液の一時的なストック性を高める観点から、クレープ加工された紙であることが好ましい。この場合のクレープ率は、この種の材料に用いられている紙のクレープ率よりも高くすることが好ましく、具体的には5〜40%、特に10〜30%とすることが好ましい。クレープ率は、{(吸収シートの伸長状態の長さ/吸収シートの定常状態の長さ)−1}×100によって算出される。伸長状態の長さは、凹凸状のクレープを伸長させて測定し、例えば吸水シートを1分間水に浮かべ伸長させた後の長さを測定して得ることができる。親水性の繊維材料としては例えば、先に説明した吸収体14におけるシート14a,14bを構成する親水性繊維と同様のものが挙げられる。
液の一時的なストックの観点及びライナ10の薄型の観点から、吸収シート15は、その坪量が10〜60g/m2、特に15〜40g/m2であることが好ましい。
表面シート11及び裏面シート12としては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、表面シート12としては液透過性を有するシート材料、例えば各種不織布や穿孔フィルム等を用いることができる。これらの材料は、それ自身が親水性であるか、又は親水性でない場合(つまりそれ自身が疎水性である場合)には、親水化処理を施したものであることが好ましい。裏面シート12としては、液不透過性であるか、又は難透過性であるシート材料、例えば合成樹脂性のフィルムやスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布等を用いることができる。裏面シート12は、水蒸気透過性を有していてもよい。
図1に示すように、ライナ10の表面シート11側には、一対の圧縮溝17,17が形成されている。各圧縮溝17は、ライナ10の左右両側部において、ライナ10の縦中心線に向けて内向きに湾曲した曲線をなしている。この曲線はライナ10の長手方向に延びている。また各圧縮溝17は、ライナ10の前方域、中央域及び後方域のうち、少なくとも中央域の全長にわたって形成されている。各圧縮溝17は、少なくとも表面シート11、消臭シート13及び吸収体14を一体的に圧密化して形成されている。その結果、表面シート11の肌当接面側においては、圧縮溝17の部位が、他の部位に比べて陥没した凹部になっている。前記の圧密化は、例えば、圧縮溝17の形状と同形状になっている凸部を有するエンボスロールと、該エンボスロールに対向して配置されたアンビルロールとの間に、表面シート11、消臭シート13及び吸収体14の重ね合わせ体を通し、熱を伴うか又は熱を伴わずにこれらを加圧して圧密化することで達成される。
以上の構成を有するライナ10においては、消臭シート13及び吸収体14が薄手のものなので、表面シート11上に排泄された液は、これらの部材を透過して、裏面シート12のすぐ上に位置する部材である吸収シート15にまで瞬時に到達する。そして、液は吸収シート15に一旦ストックされる。そして、吸収シート15に一旦ストックされた液は、吸収体14の吸収能力が十分に発揮されるまでの間、吸収シート15の平面方向に広く拡散される。吸収シート15の平面方向に全域にわたって広く拡散された液は、吸収体14の吸収能力が発揮されると、吸収体14によって吸い取られる。この場合、上述のとおり、吸収シート15は、その大きさが吸収体14よりも大きいので、吸収体14の全域において、吸収シート15からの液の吸い上げが生じる。したがって、吸収体14の全域が液の吸収保持のために有効活用されて吸収性能が従来よりも一層向上する。
また、吸収体14に吸収保持された液からは、時間の経過とともに臭いが生じるところ、その臭いは、吸収体14上に配置された消臭シート13によって抑えられる。特に、消臭シート13はその大きさが吸収体14よりも大きいので、吸収体14の全体が、あたかも消臭シート13によって蓋をされた状態になっているので、液から発生する臭いが外部へ放出されることが効果的に防止される。
更に、撥水性シートからなる防漏カフ16の接合部16aと表面シート11との接合部位間の距離を、消臭シート13の幅よりも小さくなすことによっても、液から発生する臭いが外部へ放出されることが効果的に防止される。
しかも、消臭シート13には消臭剤が含まれており、該消臭剤は疎水性のものであるから、該消臭シート13は、その下側に位置する吸収体14や吸収シート15よりも、シート全体としての疎水度が高くなっている(上述したクレム吸水高さ)。その結果、着用者の体圧が加わった場合であっても、吸収体14や吸収シート15に吸収保持されている液が、表面シート11側に逆戻りすることが起こりづらくなり、表面シート11の肌対向面側はドライな状態が保たれる。これによって装着感が一層良好になり、また肌トラブル等も効果的に防止される。
更に、消臭シート13と吸収体14とを接合する圧縮溝17においては、吸収体14よりも消臭シート13の方が、疎水度が高いことに起因して(つまり、消臭シート13よりも吸収体14の方が、親水度が高いことに起因して)、排泄された液は、消臭シート13よりも親水度が高い吸収体14へ素早く移動する。その結果、消臭シート13における液残りが少なくなり、消臭シートからの臭いの放出が効果的に防止される。また、圧縮溝17は、ライナ10の長手方向に延びるものなので、表面シート11上に排泄された液は圧縮溝17に案内されてライナ10の長手方向前端側及び後端側に向けて優先的に拡散するようになる。このことによっても、吸収体14の全域が有効活用されて吸収性能が従来よりも一層向上する。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態のライナ10においては、その左右の両側縁から外方に延出する一対のウイング部を設けてもよい。
また、前記実施形態は、本発明を失禁ライナ10に適用したものであるが、本発明は他の吸収性物品、例えばショーツに固定されて使用される吸収性物品である生理用ナプキン、失禁パッド、おりものシート等にも同様に適用できる。
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態としての失禁ライナを示す斜視図である。 図2は、図1に示す失禁ライナの分解斜視図である。 図3は、図1に示す失禁ライナに用いられる吸収体の幅方向断面の構造を示す模式図である。
符号の説明
10 失禁ライナ(吸収性物品)
11 表面シート
12 裏面シート
13 消臭シート
14 吸収体
15 吸収シート
16 防漏カフ
17 圧縮溝

Claims (4)

  1. 表面シートと裏面シートとの間に吸収体が配され、表面シートと吸収体との間に消臭シートが配され、吸収体と裏面シートとの間に吸水シートが配された吸収性物品であって、
    吸収体は高吸収性ポリマー及び親水性繊維を含み、
    吸収シートはその平面視において、吸収体の周縁部から外方に延出する大きさを有し、
    消臭シートはその平面視において吸収体の周縁部全域から外方に延出する大きさを有し、かつ吸収性物品の長手方向に延びる圧着溝によって吸収体と接合されている吸収性物品。
  2. 表面シートの肌対向面側における左右両側部に、吸収性物品の長手方向に延びる一対の撥水性シートが接合されており、
    一対の撥水性シートと表面シートとの接合部位間の距離が、消臭シートの幅よりも小さくなされている請求項1記載の吸収性物品。
  3. 吸収体及び吸水シートはそれらのクレム吸水高さが、消臭シートのクレム吸水高さよりも大きいものである請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 消臭シートが、疎水性の消臭剤を、該消臭シートの重量に基づき1〜15重量%含んでいる請求項3記載の吸収性物品。
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