JP4954696B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、主には生理用ナプキン、おりものシート、失禁パッド、医療用パッド、トイレタリー等に使用される吸収性物品に係り、特に脚の付け根からの漏れを確実に防止した吸収性物品に関する。
従来より、パンティライナー、生理用ナプキン、失禁パッドなどの吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布などの不透液性裏面シートと、不織布又は透液性プラスチックシートなどの透液性表面シートとの間に粉砕パルプ等の紙綿からなる吸収体を介在したものが知られている。
これらの吸収性物品は、体液等の漏れを防止するために、例えば下記特許文献1,2に示されるように、吸収体を身体にフィットさせるため吸収体表面に可撓軸ラインを施したものが知られている。具体的には、下記特許文献1では、着用時に、吸収体が、着用者の肌に向かって曲面状に突出した形状に変形し、優れたフィット性及び防漏性を得ることを目的として、吸収体の幅方向中央部における裏面シート側の面に凹部を有すると共に、該凹部の両側に位置する部分の表面シート側の面に、長手方向に延びる一対の溝を有するようにしている。
また、下記特許文献2では、前部域が不適切に捩れることなく第一および第二可撓軸に沿って変形して着用者の身体にぴったりとフィットさせることを目的として、表面側の前部域に、横軸の方向に互いに離間して縦軸の方向へ延びる一対の第一および第二可撓軸が吸収性パッドの前部域に独占的に位置するようにしている。
特開2006−115996号公報 特開2006−149571号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の吸収性物品では、表面シート側の面に長手方向に延びる一対の溝を有するようにしているため、この溝から容易に変形することができるが、吸収体の幅方向中央部における裏面シート側の面に凹部を有するため、吸収体中央部のコシが小さくなり、吸収体中央部でヨレが生じやすく、身体との間に隙間ができ、体液が漏れ出るおそれがあった。また、脚周りからの漏れに対して何ら対策が施されていなかった。
また、上記特許文献2記載の吸収性パッドでは、吸収性パッドの前部側が可撓軸に沿って変形し、脚周りからの漏れに対しても対策が施されているが、吸収体の全面に亘って吸収体の剛軟度がほぼ均一であるため、脚周りの動きに対して追従性が悪かったり、ゴワ付き感などが生じたりするおそれがあった。さらに、所定以上の外力が加わると、可撓軸ライン以外の部分、特に吸収体中央部でもヨレが生じやすくなり、これによって、吸収性物品が身体に密着せず、体液が漏れ出る問題があった。
そこで、本発明の主たる課題は、吸収体が脚周りにフィットするように曲がり易くするとともに、股下部分の中央部の吸収体をヨレ難くすることによって、股下部分にフィットし、脚の付け根からの漏れを確実に防止することにある。
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在され、該吸収体は装着状態でショーツ内部に位置決めされる吸収体部分の他に、ショーツよりも外部に露出し、着用者の脚付け根部分を覆う左右一対の脚周り用吸収体部分を備えた吸収性物品において、
前記吸収体は、前記吸収性物品の略長手方向全長に亘って配置される第1吸収体と、前記第1吸収体の使用面側であって着用者の股下部に相当する部位に、側端部が前記第1吸収体の両側縁よりも外部に突出するとともに、該外部に突出した吸収体部分が前記脚周り用吸収体部分を構成し、前記第1吸収体よりも剛軟度が低い第2吸収体と、前記第2吸収体の使用面側であって、着用者の股下部に相当する部位に、前記第1吸収体の両側縁よりも幅広でかつ前記第2吸収体より幅狭の寸法で配置された第3吸収体とから構成されることを特徴とする吸収性物品が提供される。
上記請求項1記載の本発明では、吸収体が吸収性物品の略長手方向全長に亘って配置される第1吸収体と、前記第1吸収体の使用面側であって着用者の股下部に相当する部位に、側端部が前記第1吸収体の両側縁よりも外部に突出するとともに、該外部に突出した吸収体部分が前記脚周り用吸収体部分を構成する第2吸収体とからなるため、前記第2吸収体の脚周り用吸収体部分を構成する部分が脚周りにフィットするように曲がり易くなり、脚の付け根からの漏れを確実に防止できるようになる。
また、前記第2吸収体として、前記第1吸収体よりも剛軟度が低いものを用いることにより、使用時に第2吸収体が脚周りに沿って曲がり易くなる。また、股下部分に押付け力が作用しても、剛軟度が低い第2吸収体が変形することによって前記押付け力を吸収し、比較的剛軟度が高い中央部において、ヨレが生じ難くなる。
さらに、上記請求項記載の本発明では、前記第3吸収体が備えられることにより、股下部の剛度が向上し股下部分の中央部にヨレが生じ難くなるとともに、前記第3吸収体の両側縁が脚の付け根部分に密着して、体液の伝い漏れが低減できる。さらに、前記第1吸収体の両側縁より幅広に形成された前記第3吸収体の両側縁が下側に押し付けられることにより、前記第2吸収体の折れ曲がりが容易となる。
請求項に係る本発明として、前記第3吸収体は、平面視で幅方向両端縁が外側に膨出した形状とされる請求項記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の本発明では、第3吸収体が平面視で幅方向両端縁が外側に膨出した形状となっているため、使用時に第3吸収体が脚の付け根部分に隙間無く密着し、漏れが防止できるようになる。
請求項に係る本発明として、前記第2吸収体は、平面視で幅方向両端縁の中央部が、脚の丸みに沿うように窪ませた曲線形状となっている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の本発明では、第2吸収体は、平面視で幅方向両端縁の中央部が、脚の丸みに沿うように窪ませた曲線形状となっているため、脚の曲線に沿ってフィットし、確実に漏れが防止できる。
請求項に係る本発明として、前記第2吸収体は、平面視で前記吸収性物品の前後端縁の中央部が内方側に窪ませた曲線形状となっている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の本発明では、第2吸収体は、平面視で前記吸収性物品の前後端縁の中央部が内方側に窪ませた曲線形状となっているため、股下部分の吸収体は、幅方向に対して中央部の剛軟度が最も低く形成され、使用時に、幅方向中央部を基点として使用面側に凸に湾曲した形状に変形し、吸収体が身体に密着した状態が維持できる。
請求項に係る本発明として、前記吸収性物品の使用面側に長手方向に沿って立体ギャザーが形成されるとともに、該立体ギャザーは股下部において前記第3吸収体の側縁よりも外側位置であって、かつ前記第2吸収体の脚周り用吸収体部分の上面を縦断するように配置されている請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の本発明では、立体ギャザーが、股下部において前記第3吸収体の側縁よりも外側位置であって、かつ前記第2吸収体の脚周り用吸収体部分の上面を縦断するように配置されているため、使用時に前記第2吸収体が脚周りに折れ曲がることにより、第3吸収体の幅方向両側部で立体ギャザーがポケット状に形成され、該ポケット部分で体液を滞留して吸収体に吸収させることができる。
請求項に係る本発明として、前記吸収性物品の裏面側中央に、長手方向に沿って所定幅で本体ズレ止め粘着剤層が形成されるとともに、股下部に相当する部位において左右それぞれに、外方側端部が前記裏面シートに剥離不能に固着されたショーツ固定用フラップが設けられるとともに、該ショーツ固定用フラップの先端部に粘着剤又は機械的ファスナー手段が設けられ、左右対のショーツ固定用フラップの先端同士が接合可能となっている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の本発明では、股下部に相当する部位において左右それぞれに、外方側端部が前記裏面シートに剥離不能に固着されたショーツ固定用フラップが設けられるとともに、該ショーツ固定用フラップの先端部に粘着剤又は機械的ファスナー手段が設けられ、左右対のショーツ固定用フラップの先端同士が接合可能となっているため、前記第2吸収体が折れ曲がった状態を維持でき、脚周りへのフィット性が向上できる。
請求項に係る本発明として、前記第2吸収体の脚周り用吸収体部分の少なくとも先端側部分に、該脚周り用吸収体部分の上面を覆う撥水性不織布が配設されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
請求項に係る本発明として、前記第2吸収体の脚周り用吸収体部分の少なくとも先端側部分に、該脚周り用吸収体部分の上面から裏面にかけて不透液性フィルムが配設されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項7,8記載の本発明は、前記第2吸収体の脚周り用吸収体部分については、股下部分の中央部などで吸収した体液を内部で拡散させる機能のみを持たせるものと考え、脚周り用吸収体部分に拡散された体液が逆戻りするのを防止するためのものである。
請求項に係る本発明として、前記第2吸収体は、中央に間を空けた状態で、左右それぞれの側に分割して配置されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
請求項10に係る本発明として、少なくとも股下部分において、前記第1吸収体の密度が第2吸収体の密度よりも高く設定されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
請求項11に係る本発明として、前記第1吸収体と第2吸収体との間であって、前記第1吸収体の長手方向に沿って拡散性の高い部材が配設されている請求項1〜10いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項11記載の本発明は、第2吸収体に吸収した体液をできる限り素早く第1吸収体へ移行させ、第2吸収体の幅方向、特に脚周り用吸収体部分へ拡散するのを低減するための手段を示したものである。
請求項12に係る本発明として、前記第1吸収体と前記第2吸収体との積層領域又は前記第3吸収体の配設領域において、上面側からエンボスが施されている請求項1〜11いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項12記載の本発明は、吸収体同士を接合するために、上面側からエンボスを施したものであり、この場合、前記第2吸収体の折り返りを妨げないようにするため、前記第1吸収体と前記第2吸収体との積層領域又は前記第3吸収体の配設領域にエンボスを施すようにする。
以上詳説のとおり本発明によれば、吸収体が脚周りにフィットするように曲がり易くなるとともに、股下部分の中央部の吸収体がヨレ難くなることによって、脚の付け根からの漏れを確実に防止できるようになる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。図1は本発明に係る生理用ナプキン1の展開図であり、図2は図1のII−II線矢視図、図3は図1のIII−III線矢視図である。
本発明に係る生理用ナプキン1は、透液性表面シート3と裏面シート2との間に吸収体4が介在され、該吸収体4は装着状態でショーツ内部に位置決めされる吸収体部分4Aの他に、ショーツSよりも外部に露出し、着用者の脚付け根部分を覆う左右一対の脚周り用吸収体部分4Bを備えたものである。
前記生理用ナプキン1は、ポリエチレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2,3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4をそれぞれ囲繞するクレープ紙と、前記吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも体液排出部Hから前後方向に所定の区間内において表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSとから主に構成され、かつ前記吸収体4の周囲においては、前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3又は前記サイド不織布7との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、体液排出部Hの両側部には、前記第2吸収体42の側部と、前記不透液性裏面シート2及びサイド不織布7の積層部分とによって側方に突出する脚周り用フラップW、Wが形成されているとともに、これよりも臀部側に位置する部分にヒップホールド用フラップW、Wが形成されている。
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他に防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には、防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが好適に用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。
前記表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法及びエアスルー法は嵩高でソフトである点で優れている。
前記不透液性裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、前記生理用ナプキン1の略長手方向全長に亘って配置される第1吸収体41と、前記第1吸収体41の使用面側であって着用者の股下部に相当する部位に、側端部が前記第1吸収体41の両側縁よりも外部に突出するとともに、該外部に突出した吸収体部分が脚周り用吸収体部分4Bを構成する第2吸収体42とから構成される。
また、前記第2吸収体42の使用面側であって、着用者の股下部に相当する部位に、前記第1吸収体41の両側縁よりも幅広でかつ前記第2吸収体42より幅狭の寸法で配置された第3吸収体43が備えられている。
前記吸収体4は、綿状パルプからなるものが好ましい。特には、エアレイド吸収体を用いるのが望ましい。吸収体4としてエアレイドを用いることで瓢箪型などの形状が形成し易いとともに、吸収体にコシの違いをもたせ易くなる。前記綿状パルプ中に高吸水性樹脂を混入したもの、或いはパルプ中に化学繊維を混入させるとともに、高吸水性樹脂を混入したものを使用することもできる。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。
前記高吸水性樹脂としては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性樹脂は製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力と吸水速度の調整が可能である。前記高吸水性樹脂の含有率は10〜60%とするのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が10%未満の場合には、十分な吸収能を与えることができず、60%を超える場合にはパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、シート強度が低下し破れや割れ等が発生し易くなる。
前記第1吸収体41、第2吸収体42及び第3吸収体43は、図示のように、形状保持、および経血等を速やかに拡散させるとともに、一旦吸収した経血等の逆戻りを防止するために、それぞれクレープ紙51、52、53によって囲繞するのが望ましい。
一方、前記透液性表面シート3の幅寸法は、図示例では、図2の横断面図に示されるように、第3吸収体43の幅よりも若干長めとされ、第3吸収体43を覆うだけに止まり、前記立体ギャザーBSは前記透液性表面シート3とは別のサイド不織布7を用いて構成されている。本発明において、脚周り用フラップWの表面から体液を吸収させるものであるため前記サイド不織布7としては、親水処理を施した不織布素材を用いるのが良い。かかるサイド不織布7としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができるが、好ましくはゴワ付き感を無くすとともに、ムレを防止するために、坪量を抑えて通気性を持たせた不織布を用いるのがよい。
前記サイド不織布7は、図2に示されるように、幅方向中間部より外側部分を第2吸収体42の内側位置から吸収体側縁を若干越えて不透液性裏面シート2の外縁までの範囲に亘ってホットメルトなどの接着剤によって接着し、これら前記サイド不織布7と不透液性裏面シート2との積層シート部分により、ほぼ体液排出部Hに相当する吸収体側部位置に脚周り用フラップW、Wを形成するとともに、これより臀部側位置にヒップホールド用フラップW、Wを形成している。
一方、前記サイド不織布7の内方側部分はほぼ二重に折り返されるとともに、この二重シート内部に、その高さ方向中間部に両端または長手方向の適宜の位置が固定された糸状弾性伸縮部材10が配設されるとともに、前記糸状弾性伸縮部材10の上側部位に複数本の、図示例では2本の糸状弾性伸縮部材11,11が両端または長手方向の適宜の位置が固定された状態で配設されている。この二重シート部分は前後端部では、断面Z状に折り畳んで積層された状態で吸収体4側に接着されることによって、前記糸状弾性伸縮部材10配設部位を屈曲点として、断面く字状に内側に開口を向けたポケットP、Pを形成しながら表面側に起立する立体ギャザーBS、BSが形成されている。この場合、前記立体ギャザーBSの折返し部分の内面側に不透液性のフィルムを内層するようにしてもよい。これによって、ポケットPからの体液の浸み出しを防止することが可能となる。
本発明に係る生理用ナプキン1では、前記第2吸収体42の脚周り用吸収体部分4Bが脚の付け根に沿って折り返り易くするため、第2吸収体42として、前記第1吸収体41よりも剛軟度が低いものを用いている。前記剛軟度とは、ある力を加えたとき、その変形に対する抵抗の度合であり、材料のコシ、こわさ、しなやかさを示す指標値となるものである。
前記剛軟度は、周知の試験法によって測定した値を用いることができ、例えば、JIS L 1018に規定されるカンチレバー法、JIS P 8125に規定されるテーパー法などに基づいて測定することができる。
また、剛軟度の測定法として、45°カンチレバー法による測定値を使用することもできる。前記45°カンチレバー法は、材料の剛軟度を測定する試験法の一種で、試験器60としては、図13(A)に示されるように、一端が45°の傾斜面61とされ、かつ上面62と下面63とが平行している水平台で、上面62の片側にスケール64を取り付けたものが用いられる。試験方法は、標準的には幅2cm×長さ約15cmの短冊状試験片を作製し、図13(B)に示されるように、斜面より徐々に突き出した際に斜面61に試験片65の先端が接触した際の突出長さl(cm)で剛軟度を評価するものである。
本生理用ナプキン1の使用に際しては、図4に示されるように、吸収体部分4Aは、生理用ナプキン1の外面側からショーツSで締め付けられて着用者の股下部分を覆うとともに、脚周り用吸収体部分4Bは、ショーツSのクロッチ部分よりはみ出すとともに、脚の締付力によって折れ曲がり、それぞれ脚の付け根部分を覆うようになる。
次に、各吸収体の形状について説明する。前記第1吸収体41は、少なくとも、生理用ナプキン1の略長手方向全長に亘って配置されていればよく、図5に示されるように、生理用ナプキン1の全長に亘って略等幅の形状としてもよいが、図1に示されるように、生理用ナプキン1の前後部分は、体液の吸収量を確保するため、生理用ナプキン1の外形形状に沿って瓢箪形の形状とすることが好ましい。第1吸収体41を瓢箪形とすることによって、第1吸収体41の排血口付近のくびれに沿って第2吸収体42が脚側に折れ曲がるので、脚周りのカーブにフィットし易く、また脚周りに違和感を感じにくくなる。
前記第2吸収体42は、図1、図5に示されるように、平面視で幅方向両端縁の中央部が、脚の丸みに沿うように窪ませた曲線形状とすることが好ましい。これにより、第2吸収体42の幅方向両端縁が脚の曲線にフィットし、確実に横漏れが防止できるようになる。
また、前記第2吸収体42の前後端縁は、図5に示されるように、直線形状としてもよいが、図1に示されるように、中央部を内方側に窪ませた曲線形状とすることが好ましい。これにより、股下部分の吸収体4は、幅方向に対して中央部の剛軟度が最も低くなり、使用時に、幅方向中央部を基点として使用面側に凸に湾曲した形状に変形し、吸収体4が身体に密着した状態を維持できるようになる。
前記第3吸収体43の幅方向両端縁は、図5に示されるように、直線形状であってもよいが、図1に示されるように、外側に膨出した形状とされることが好ましい。これにより、使用時に、第3吸収体43を脚の付け根部分に隙間無く密着させることが可能となる。
前記立体ギャザーBSは、図1に示されるように、股下部において前記第3吸収体43の側縁よりも外側位置であって、かつ前記第2吸収体42の脚周り用吸収体部分4Bの上面を縦断するように配置されることが好ましい。これにより、図4に示されるように、使用時に、前記第2吸収体42が脚周りに曲がることにより、第3吸収体43の外側において立体ギャザーBSがポケット状となり、漏れが確実に防止できるようになる。このように立体ギャザーBSのポケット構造が実現されるように、その断面形状は、図4の図示例のように外側二つ折り形状の他、図6に示されるように、(a)内側二つ折り形状、(b)三つ折り形状、(c)T字形状としてもよい。
図7は、ショーツSへ固定するための形態例を示したものである。本生理用ナプキン1をショーツSへ固定するために、生理用ナプキン1の裏面側中央に、長手方向に沿って所定幅で本体ズレ止め粘着剤層20を形成するようにする。さらに、股下部に相当する部位において左右それぞれに、外方側端部が前記裏面シート2に剥離不能に固着された固着部22を有するショーツ固定用フラップ21が設けられるとともに、該ショーツ固定用フラップ21の先端部に粘着剤又は機械的ファスナーによる接合手段23が設けられ、左右対のショーツ固定用フラップ21、21の先端同士が接合可能に形成されている。前記ショーツ固定用フラップ21の先端同士が接合可能に形成されるため、使用時に、脚周り用吸収体部分4Bを外面側に引っ張られて湾曲するため確実に脚周りにフィットさせることができるとともに、脚周り用吸収体部分4Bが折れ曲がった状態を維持できるようになる。
前記本体ズレ止め粘着剤層20を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。前記スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。また、前記粘着付与剤および可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、粘着付与剤ではたとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、前記可塑剤では例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤が挙げられる。
図8は、脚周り用吸収体部分4Bの他の形態例を示したものである。前記第2吸収体42の脚周り用吸収体部分4Bについては、上述したように、脚の付け根から漏れ出た体液を表面から吸収する機能を持たせるように、親水性のサイド不織布7で覆われたものとしてもよいが、股下部分の中央部などで吸収した体液を内部で拡散させる機能のみを持たせるものと考え、脚周り用吸収体部分4Bに拡散された体液が逆戻りするのを防止するための手段を施すようにしてもよい。
具体的には、第2吸収体42の脚周り用吸収体部分4Bの少なくとも先端側部分に、図8に示されるように、該脚周り用吸収体部分4Bの上面を覆う撥水性不織布25を配設するか、図9(a)に示されるように、脚周り用吸収体部分4Bの上面から裏面にかけて不透液性フィルム26を配設するか、又は図9(b)に示されるように裏面シート2を上面側に巻き込んで配設するようにする。
ところで、第2吸収体42に吸収した体液が、第1吸収体41へ移行するよりも、第2吸収体42の内部で脚周り用吸収体部分4Bに拡散してしまうことが懸念される。このため、第2吸収体42に吸収した体液をできる限り素早く第1吸収体41へ移行させ、第2吸収体42の幅方向、特に脚周り用吸収体部分4Bへ拡散するのを低減するため、以下の手段を用いることができる。
先ず第1の手段としては、図10に示されるように、第2吸収体42が、中央に間を空けた状態で、左右それぞれの側に分割して配置されるようにすることができる。これにより、股下部分の中央部で吸収した体液が速やかに第1吸収体41に沿って縦方向に拡散するようになる。このとき、左右それぞれの側に分割して配置される第2吸収体42A、42Bは、ズレを防止するため、第1吸収体41と、ホットメルト接着剤による接着やエンボス付与による接合をしておく必要がある。
第2の手段としては、少なくとも股下部分において、第1吸収体41の密度が第2吸収体42の密度よりも高くなるように設定する。第1吸収体41を高密度に設定することにより、毛管現象による体液の浸透力が増し、第1吸収体41への吸収が良好となる。第1吸収体41の密度を高くするには、吸収体の目付を高くしたり、エンボスを施したりすればよい。
第3の手段としては、図11に示されるように、第1吸収体41と第2吸収体42との間であって、第1吸収体41の長手方向に沿って拡散性の高い部材27、例えば親水度の高い吸水シートなどを配設することができる。前記高拡散性部材27を配設することにより、第2吸収体42で幅方向に拡散するよりも、長手方向に沿って拡散するようになり、第1吸収体41の広い範囲で体液を吸収できるようになる。なお、前記高拡散性部材27は、第2吸収体42と第3吸収体43との間に配設することもできる。
前記吸収体4は、それぞれズレを防止するため、各種の手段によって接合することができる。例えば、図12に示されるように、エンボス線28を付与することによって各吸収体を接合する場合、第2吸収体42の折り返りを妨げないように、第1吸収体41と第2吸収体42との積層領域又は第3吸収体43の配設領域において、上面側からエンボスを施すようにする。
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、吸収体4を生理用ナプキン1の略長手方向全長に亘って配置される第1吸収体41と、第1吸収体41の使用面側であって着用者の股下部に相当する部位に、側端部が第1吸収体41の両側縁よりも外部に突出するとともに、該外部に突出した吸収体部分が脚周り用吸収体部分4Bを構成する第2吸収体42と、さらに第2吸収体42の使用面側であって、着用者の股下部に相当する部位に、第1吸収体41の両側縁よりも幅広でかつ第2吸収体42より幅狭の寸法で配置された第3吸収体43とから構成するようにしたが、前記第3吸収体43は省略することが可能である。
(2)上記形態例では、生理用ナプキン1には、少なくとも体液排出部Hから前後方向に所定の区間内において表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSが形成されるようになっているが、該立体ギャザーBS、BSが形成されない生理用ナプキンに対しても同様に適用することができる。
本発明に係る生理用ナプキン1の展開図である。 図1のII−II線矢視図である。 図1のIII−III線矢視図である。 使用状態を示す断面図である。 吸収体4の配設形態を示す平面図である。 立体ギャザーBSの形態例を示す断面図である。 ショーツへの固定手段を示す、生理用ナプキン1の裏面図である。 脚周り用吸収体部分4Bの他の形態例を示す生理用ナプキン1の平面図である。 脚周り用吸収体部分4Bの他の形態例を示す断面図(図8のIX−IX線矢視図)である。 脚周り用吸収体部分4Bへの拡散低減手段を示す吸収体4の配設形態を示す平面図である。 脚周り用吸収体部分4Bへの拡散低減手段を示す吸収体4の配設形態を示す平面図である。 吸収体4の接合手段を示す吸収体4の配設形態を示す平面図である。 45°カンチレバー法を示す、(A)は試験器斜視図、(B)は試験要領図である。
1…生理用ナプキン、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、4A…吸収体部分、4B…脚周り用吸収体部分、7…サイド不織布、41…第1吸収体、42…第2吸収体、43…第3吸収体、W…脚周り用フラップ、W…ヒップホールド用状フラップ

Claims (12)

  1. 透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在され、該吸収体は装着状態でショーツ内部に位置決めされる吸収体部分の他に、ショーツよりも外部に露出し、着用者の脚付け根部分を覆う左右一対の脚周り用吸収体部分を備えた吸収性物品において、
    前記吸収体は、前記吸収性物品の略長手方向全長に亘って配置される第1吸収体と、前記第1吸収体の使用面側であって着用者の股下部に相当する部位に、側端部が前記第1吸収体の両側縁よりも外部に突出するとともに、該外部に突出した吸収体部分が前記脚周り用吸収体部分を構成し、前記第1吸収体よりも剛軟度が低い第2吸収体と、前記第2吸収体の使用面側であって、着用者の股下部に相当する部位に、前記第1吸収体の両側縁よりも幅広でかつ前記第2吸収体より幅狭の寸法で配置された第3吸収体とから構成されることを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記第3吸収体は、平面視で幅方向両端縁が外側に膨出した形状とされる請求項記載の吸収性物品。
  3. 前記第2吸収体は、平面視で幅方向両端縁の中央部が、脚の丸みに沿うように窪ませた曲線形状となっている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品。
  4. 前記第2吸収体は、平面視で前記吸収性物品の前後端縁の中央部が内方側に窪ませた曲線形状となっている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  5. 前記吸収性物品の使用面側に長手方向に沿って立体ギャザーが形成されるとともに、該立体ギャザーは股下部において前記第3吸収体の側縁よりも外側位置であって、かつ前記第2吸収体の脚周り用吸収体部分の上面を縦断するように配置されている請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品。
  6. 前記吸収性物品の裏面側中央に、長手方向に沿って所定幅で本体ズレ止め粘着剤層が形成されるとともに、股下部に相当する部位において左右それぞれに、外方側端部が前記裏面シートに剥離不能に固着されたショーツ固定用フラップが設けられるとともに、該ショーツ固定用フラップの先端部に粘着剤又は機械的ファスナー手段が設けられ、左右対のショーツ固定用フラップの先端同士が接合可能となっている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  7. 前記第2吸収体の脚周り用吸収体部分の少なくとも先端側部分に、該脚周り用吸収体部分の上面を覆う撥水性不織布が配設されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  8. 前記第2吸収体の脚周り用吸収体部分の少なくとも先端側部分に、該脚周り用吸収体部分の上面から裏面にかけて不透液性フィルムが配設されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  9. 前記第2吸収体は、中央に間を空けた状態で、左右それぞれの側に分割して配置されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  10. 少なくとも股下部分において、前記第1吸収体の密度が第2吸収体の密度よりも高く設定されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  11. 前記第1吸収体と第2吸収体との間であって、前記第1吸収体の長手方向に沿って拡散性の高い部材が配設されている請求項1〜10いずれかに記載の吸収性物品。
  12. 前記第1吸収体と前記第2吸収体との積層領域又は前記第3吸収体の配設領域において、上面側からエンボスが施されている請求項1〜11いずれかに記載の吸収性物品。
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