JP2010080090A - 色素増感太陽電池に使用される負極基板 - Google Patents

色素増感太陽電池に使用される負極基板 Download PDF

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Abstract

【課題】反りが有効に防止され、特に正極基板側から光を照射する構造の色素増感太陽電池に適用したときに、内部抵抗が効果的に低減され、高い変換効率を実現できる負極基板を提供する。
【解決手段】電極基板1の表面に半導体多孔質層3が形成されている色素増感太陽電池における負極基板10において、電極基板1には、半導体多孔質層3を形成する際の体積収縮に起因する変形を抑制するための変形防止層5が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感太陽電池に使用される負極基板に関するものであり、より詳細には、表面に色素増感半導体多孔質層を備えている負極基板に関する。
現在、地球規模の環境問題や化石エネルギー資源枯渇問題などの観点から太陽光発電に対する期待が大きく、単結晶及び多結晶シリコン光電変換素子が太陽電池として実用化されている。しかし、この種の太陽電池は、高価格であること、シリコン原料の供給問題などを有しており、シリコン以外の材料を用いた太陽電池の実用化が望まれている。
上記のような見地から、最近では、シリコン以外の材料を用いた太陽電池として、色素増感太陽電池が注目されている。この色素増感型太陽電池の代表的なものとして、金属基板の表面に色素増感半導体多孔質層を形成したものを負極基板として使用し、この負極基板の色素増感半導体多孔質層が形成されている側に、電解質層を間に挟んで、正極基板として機能する透明電極基板を対峙させたものが知られている(特許文献1、2参照)。このような色素増感太陽電池では、金属電極基板と透明電極基板との周縁部分は、電解質層が漏洩しないように、封止材で封止されており、色素増感半導体多孔質層と電解質層とを間に挟んで金属電極基板と透明電極基板とが対峙している領域が発電領域となっており、発電領域の周囲が封止材で封止された封止領域となっている。
即ち、上記の色素増感太陽電池では、透明電極基板側から可視光を照射すると、色素増感多孔質層中の色素が励起され、基底状態から励起状態へと遷移し、励起された色素の電子は、この多孔質層中の伝導帯へ注入され、外部回路を通って透明電極基板に移動する。透明電極基板に移動した電子は、電解質層中のイオンによって運ばれ、色素に戻る。このような過程の繰り返しにより電気エネルギーが取り出されるわけである。このような色素増感太陽電池の発電メカニズムは、pn接合型光電変換素子と異なり、光の捕捉と電子伝導が別々の場所で行われ、植物の光電変換プロセスに非常に似たものとなっている。
ところで、上記のような構造の色素増感太陽電池は、負極基板側から光を照射せず、透明な正極基板側から光を照射して発電するものとなっているため、色素を担持している半導体多孔質層を、直接低抵抗の金属基板の表面に形成して負極基板として用いることができ、この結果、セルの大型化による内部抵抗(FF)の増大を抑制し、高い変換効率を得ることができるという利点を有している。
特開2007−87744号 特開2008−53024号
しかしながら、上記のような正極基板側から光を照射する構造の色素増感太陽電池においても、十分に高い変換効率が得られるとは言い難く、さらなる変換効率の向上が求められている。
本発明者等は、このようなタイプの色素増感太陽電池について多くの実験を行った結果、金属基板の表面に半導体多孔質層が設けられている負極基板では、反りが生じており、このような反りが変換効率の低下をもたらす要因となっていることを見出した。即ち、負極基板の反りは、半導体多孔質層の厚みの増大に伴って大きく、このような反りを生じると、負極基板(金属基板)の中央部分において、半導体多孔質層に亀裂が発生し、これが内部抵抗を増大させ、変換効率の向上を妨げている要因となっているのである。
従って、本発明の目的は、反りが有効に防止され、特に正極基板側から光を照射する構造の色素増感太陽電池に適用したときに、内部抵抗が効果的に低減され、高い変換効率を実現できる負極基板を提供することにある。
本発明によれば、電極基板の表面に半導体多孔質層が形成されている色素増感太陽電池における負極基板において、
前記電極基板には、半導体多孔質層を形成する際の体積収縮に起因する変形を抑制するための変形防止層が設けられていることを特徴とする負極基板が提供される。
本発明の負極基板においては、
(1)前記電極基板が金属製基板であること、
(2)前記変形防止層が、前記電極基板の半導体多孔質層が形成されていない側の面に形成されていること、
(3)前記変形防止層が、前記半導体多孔質層と同程度の体積収縮率を有していること、
(4)前記変形防止層が酸化物微粒子から形成されていること、
(5)前記変形防止層が前記半導体多孔質層と同一の粒子構造を有する層であること、
が好適である。
本発明の負極基板は、半導体多孔質層を形成する際の体積収縮に起因する変形を抑制する変形防止層が、半導体多孔質層と共に電極基板に設けられていることが顕著な特徴であり、このような変形防止層を設けることにより、電極基板に発生する反りを有効に抑制することができ、この結果、この負極基板を色素増感太陽電池に組み込んだとき、内部抵抗を効果的に低減し、変換効率を向上させることが可能となる。
即ち、半導体多孔質層は、酸化物半導体の微粒子を所定のバインダー成分と共に有機溶媒等に分散させて調製されたペースト乃至スラリーを電極基板上に塗布し、400℃以上の温度で焼成することにより形成される。即ち、この焼成により、溶媒の揮散及びバインダー成分のゲル化(脱水縮合)が生じ、生じたゲルにより半導体微粒子同士が接合し、所定の相対密度まで緻密化された多孔質層が形成されることとなる。従って、このようにして半導体多孔質層を形成する際に体積収縮が生じ、この結果として、反りが生じることとなる。しかるに、本発明では、例えば半導体多孔質層と同様の酸化物層を変形防止層として電極基板の裏面(半導体多孔質層とは反対側の面)に変形防止層として形成することにより、電極基板の両面で体積収縮が生じることとなり、電極基板の反りを効果的に抑制することが可能となるのである。
例えば、図3の線図は、Al基板(電極基板)、Al基板の一方の面に半導体多孔質層のペースト層を塗布し焼成を行ったもの、及び本発明にしたがって、Al基板の両方の面に半導体多孔質層のペースト層を塗布し焼成を行ったものについて、反り(湾曲変異)を測定した結果を示すものである(詳細な条件は、後述する実施例参照)。図3によれば、半導体多孔質層が形成されておらず、従って焼成されていないAl基板は、図3中の曲線Aに示されているように、反りは生じていない。これに対して、従来公知の負極基板のように、Al基板の一方側の面に半導体多孔質層が形成されたものでは、その湾曲変位(Al基板の中央部の変位量)は約30μmであり、大きな反りが発生していることが判る。
しかるに、本発明に従ってAl基板の両面に半導体多孔質層(一方の半導体多孔質層が変形防止層となる)のものでは、その湾曲変位は約5μmであり、反りが効果的に抑制されていることが理解される。
このように、本発明の負極基板は、反りが有効に抑制されているため、反りによる半導体多孔質層での亀裂の発生が有効に防止されており、このため、色素増感太陽電池に組み込んだとき、内部抵抗を効果的に低減し、変換効率を向上させることができるのである。
<負極基板の構造>
図1を参照して、全体として10で示す本発明の負極基板は、金属基板1と、金属基板1の一方の面に形成された酸化物半導体多孔質層3と、金属基板1の他方の面に形成された変形防止層5とからなっている。
金属基板1は、低電気抵抗の金属材料から形成されたものであれば特に制限されないが、一般的には、6×10−6Ω・m以下の比抵抗を有する金属乃至合金、例えばアルミニウム、鉄(スチール)、銅、ニッケルなどが好適に使用され、特に軽量であり且つ安価であることから、アルミニウム製であることが最も好適である。また、金属基板1の厚みは特に制限されず、適度な機械的強度が保持される程度の厚みを有していればよい。
半導体多孔質層3は、これに増感色素を担持させることにより色素増感半導体多孔質層を形成するものであり、色素増感太陽電池において従来から使用されている。例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステンなどの金属の酸化物、或いはこれら金属を含有する複合酸化物、例えばSrTiO、CaTiOなどのペロブスカイト型酸化物などにより形成される。
半導体多孔質層3の厚みは、5乃至12μm程度であり、本発明においては、特に半導体多孔質層3の厚みを増大したときにも反りの発生を有効に抑制できることから、特に半導体多孔質層3の厚みを12μm以上としたとき、本発明の反り防止効果が最大限に発揮される。
また、かかる半導体多孔質層3は、色素を担持させて使用に供されるため、多孔質であることが必要であり、例えば、アルキメデス法による相対密度が50乃至90%、特に50乃至70%程度であることが好ましく、これにより、大きな表面積を確保し、有効量の色素を担持させることができる。
上記の半導体多孔質層3は、例えば上述した酸化物半導体の微粒子を、有機溶媒やキレート反応性を有する有機化合物に分散させて調製したペースト、若しくは、チタンアルコキシド(例えばテトライソプロポキシチタンなど)等のバインダー成分とともに有機溶媒中に分散させたスラリー乃至ペーストを金属基板1上に塗布し、400℃以上、特に400乃至600℃の温度で、前述した相対密度となる程度の時間、焼成することにより容易に形成することができる。即ち、焼成により、上記バインダー成分のゲル化(脱水縮合)により形成されたTiOゲルが半導体微粒子同士を接合し、多孔質化される。
尚、上記のようなスラリー乃至ペーストの形成に用いる半導体微粒子は、多孔質化の点で、その粒径が5〜500nm、特に5〜350nmの範囲にあるのがよい。また、キレート反応性の有機化合物としては、β−ジケトン、β−ケトアミン、β−ケトエステルが代表的であり、易揮発性であれば特に制限なく使用することができるが、β−ジケトンであるアセチルアセトンが特に好適であり、半導体微粒子重量に対して5乃至35重量%の量で使用するのがよい。また、バインダー成分のチタンアルコキシドは、二酸化チタン微粒子100重量部当り、10乃至60重量部、特に20乃至50重量部の量で使用するのがよく、有機溶媒としては、易揮発性であれば特に制限なく使用することができるが、一般的には、炭素数が4以下の低級アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノールなどが好適であり、これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせた混合溶媒の形で使用することもできる。有機溶媒量は、スラリー乃至ペーストが適度なコーティング性を示す程度の量で使用すればよく、一般的には、スラリー乃至ペーストの固形分濃度が、5乃至50重量%、特に15乃至40重量%の範囲となる程度の量で使用するのがよい。溶媒量が多すぎると、スラリー乃至ペーストが低粘性となり、垂れ等により安定な厚みのコーティング層を形成することが困難となり、また、溶媒量が少ないと、高粘性となり作業性が低下してしまうからである。
また、上記の半導体多孔質層3は、金属基板1の一方の面に直接形成することもできるが、金属基板1の表面に逆電子防止層(図1では示されていない)を形成し、この逆電子防止層上に形成することもできる。この逆電子防止層は、金属基板1に比して高抵抗の金属乃至金属酸化物からなる層であり、逆電流を阻止し、有効な整流障壁となるばかりか、耐腐食性を有するものであり、色素増感太陽電池を組み立てたとき、電解質層からの電解液の浸透による金属基板1の腐食を防止する機能も有している。かかる逆電子防止層は、例えば特開2008−53165号などに開示されているものであり、化成処理、めっき法、クラッド法などにより、金属基板1の材質に応じて適宜の組成のものとすることができ、通常、1000nm以下、特に5〜500nm、最も好ましくは5乃至100nm程度の厚みに形成される。
尚、上述した半導体多孔質層3は、後述する構造の色素増感太陽電池としたとき(図2参照)、発電領域Xとなる部分に形成される。
本発明において、金属基板1の他方の面に形成されている変形防止層5は、上述した半導体多孔質層3を形成する際の体積収縮による変形、即ち、反りを防止するために設けられているものであり、金属基板1の両面に同程度の体積収縮を生じせしめることにより、反りを防止するというものである。
従って、上記の変形防止層5は、半導体多孔質層3と同様の焼成により形成され、焼成前後における体積収縮率が、半導体多孔質層3と同程度の範囲、具体的には半導体多孔質層3の焼成前後での体積収縮率に対して±70%程度の範囲にあるのがよい。このことから理解されるように、変形防止層5は、各種の金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させて得られたペースト乃至スラリーを金属基板1の他方の面に塗布し、焼成することにより形成されることが好適である。特に、半導体多孔質層3と同等の体積収縮率を発現させるという観点から、金属酸化物としては、半導体多孔質層3の形成に用いる酸化物半導体の微粒子を使用するのがよく、且つその粒径、ペースト乃至スラリーの組成、塗布厚み、及び焼成温度を同様に設定して変形防止層5とすることが最適である。このような変形防止層5は、半導体多孔質層3と全く同様の粒子構造を有しており、その厚みや相対密度等も半導体多孔質層3と同じであり、従って、その体積収縮率も半導体多孔質層3と同等となる。
尚、上述した変形防止層5は、半導体多孔質層3とは別個に作製してもよいが、一般的には、半導体多孔質層3と変形防止層5とを一回の焼成により、同時に作製することが好ましい。即ち、半導体多孔質層3及び変形防止層5を形成するためのペースト乃至スラリーを、それぞれ、金属基板1の一方の面及び他方の面に塗布し、この状態で同時に焼成を行うことにより、半導体多孔質層3及び変形防止層5を同時に形成することが生産性の点で好適である。
また、変形防止層5は、金属基板1の他方の面の全体にわたって形成することもできるが、金属基板1の両面で同様の体積収縮を生じるようにするという観点から、半導体多孔質層3に対応する部分(即ち、発電領域Xとなる部分)にのみ形成することが好適である。
上記のような構造を有する本発明の負極基板10は、反りが少なく、例えば、最も湾曲変位の大きな中央部分においても、その変位量を5μm以下にすることができ、この結果、このような負極基板10を用いた色素増感太陽電池では、その内部抵抗(FF)が有効に低減され、高い変換効率を得ることができる。
また、本発明の負極基板10は、半導体多孔質層3に色素を担持させた後に使用に供されるが、色素の担持は、この多孔質層3に色素溶液を接触させることにより行われる。色素溶液の接触は、通常は、ディッピングにより行われ、吸着処理時間(浸漬時間)は、通常、30分〜24時間程度であり、吸着後、乾燥して色素溶液の溶媒を除去することにより、半導体多孔質層3の表面及び内部に増感色素が吸着担持され、この状態で使用に供される。
用いる色素は、増感色素として機能し得るものであり、カルボキシレート基、シアノ基、ホスフェート基、オキシム基、ジオキシム基、ヒドロキシキノリン基、サリチレート基、α−ケト−エノール基などの結合基を有するそれ自体公知のものが使用される。例えばルテニウム錯体、オスミウム錯体、鉄錯体などを何ら制限なく使用することができる。特に幅広い吸収帯を有するなどの点で、ルテニウム−トリス(2,2’−ビスピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)、ルテニウム−シス−ジアクア−ビス(2,2’−ビスピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)などのルテニウム系錯体が好適である。このような増感色素の色素溶液は、溶媒としてエタノールやブタノールなどのアルコール系有機溶媒を用いて調製され、その色素濃度は、通常、3×10−4乃至5×10−4mol/l程度とするのがよい。
このような本発明において、変形防止層5を半導体多孔質3と同様の粒子構造とした場合には、上述した色素を変形防止層5にも担持させることにより、この何れの面を対極である透明電極と対峙させて色素増感太陽電池とすることができ、その生産性を高めることができるという利点もある。
<色素増感太陽電池>
上述した本発明の負極基板10が使用された色素増感太陽電池の概略断面構造は、図2に示す通りである。
図2において、この色素増感太陽電池は、上述したように色素が担持された半導体多孔質層3を有する負極基板10を備えており、この負極基板10の半導体多孔質層3に電解質層15を間に挟むようにして、全体として20で示される透明な正極基板が対峙して配置されている。このように配置されている負極基板10と正極基板20との周縁部分は、電解質層15が漏洩しないように、封止材17で封止されている。即ち、色素で増感された半導体多孔質層3と電解質層15とを間に挟んで負極基板10と透明な正極基板20とが対峙している領域が発電領域Xとなっており、封止材17で封止されている領域が封止領域Yとなっている。また、前述した負極基板10の変形防止層5は、正極基板20とは反対側の面に位置することとなる。
正極基板20は、それ自体公知のものと全く同じ構造を有していてよく、例えば、透明基板21を備えており、この負極基板10側の面には透明導電膜23が形成され、透明導電膜23の上には、電子還元性導電層25が形成されている。
透明基板21は、透明であって適度な強度を有している限り、任意の材料から形成されていてよく、例えばガラス基板や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)に代表される各種の透明な樹脂基板を透明基板21として使用することができる。
上記の透明基板21の上に形成される透明導電膜23としては、酸化インジウム−酸化錫合金からなる膜(ITO膜)、酸化錫にフッ素をドープした膜(FTO膜)などが代表的であるが、電子還元性が高く、特にカソードとして望ましい特性を有していることから、ITO膜が好適である。これらは蒸着により上記の透明基板21上に形成され、その厚みは、通常、500nm乃至700nm程度である。
また、上記の透明導電膜23上に形成される電子還元導電層25は、一般に白金の薄層からなり、透明導電膜23に流れ込んだ電子を電解質層15に速やかに移行せしめる機能を有するものである。このような電子還元導電層25は、光透過性が損なわれないように、その平均厚みが0.1乃至1.5nm程度となるように蒸着により薄く形成される。
上述した負極基板10と透明な正極基板20との間に配置され、発電領域Xを形成する電解質層15は、公知の太陽電池と同様、リチウムイオン等の陽イオンや塩素イオン等の陰イオンを含む種々の電解質溶液により形成される。また、この電解質層15中には、酸化型構造及び還元型構造を可逆的にとり得るような酸化還元対を存在させることが好ましく、このような酸化還元対としては、例えばヨウ素−ヨウ素化合物、臭素−臭素化合物、キノン−ヒドロキノンなどを挙げることができる。このような電解質層15は、発電領域Xの周縁に位置する封止領域Yに設けられる封止材17により封止され、電極間からの液の漏洩が防止されることとなるわけである。一般に、このような電解質層15の厚みは、最終的に形成される電池の大きさによっても異なるが、10μm以下程度である。
封止材17としては、ヒートシール可能な各種の熱可塑性樹脂乃至熱可塑性エラストマー、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム乃至ブロック共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキサイド;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;酸化澱粉、エーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉;及びこれらの混合物からなる樹脂;などが使用される。
即ち、封止材17は、上記の熱可塑性樹脂等を用いての押出成形、射出成形等によって、封止領域Yに対応する幅のリング形状に成形することにより得られ、この封止材17を、互いに対抗して配置された負極基板10と透明正極基板20との間に挟んだ状態でヒートシール(加熱圧着)することにより、両電極基板10,20が接合され、次いで、この封止材17に注入管を挿入し、該注入管を介して、両電極基板10,20の間の空間内に、電解質層15を形成する電解質溶液を注入することにより、図2に示す構造の色素増感太陽電池を得ることができる。
尚、リング状に成形された封止材17をヒートシールするにあたっては、封止材17と負極基板10或いは正極基板20の接合面に、予め接着剤樹脂、例えば無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸でグラフト変性された不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂などを塗布し、かかる接着剤樹脂を介してのヒートシールにより封止材17を接合することができる。
このような構造の色素増感太陽電池では、既に述べたように、透明な正極基板20側から可視光を照射することにより発電が行われるものであり、可視光の照射により、色素増感多孔質層3中の色素が励起され、基底状態から励起状態へと遷移し、励起された色素の電子は、この多孔質層3中の伝導帯へ注入され、負極基板10中の金属基板1から外部回路(図示せず)を通って正極基板20(透明導電膜23)に移動し、この電子は、電子還元層25から電解質層15に移動し、電解質層15中のイオンによって運ばれ、色素に戻る。このような過程の繰り返しにより電気エネルギーが取り出されることとなる。
このような色素増感太陽電池は、色素で増感された半導体多孔質層3が低抵抗の金属基板1上に形成されており、しかも反りの発生が有効に抑制され、半導体多孔質層5中の亀裂の発生が有効に防止されているため、内部抵抗が著しく低減されており、従って高い変効率を示す。
尚、上述した本発明において、負極基板10中の電極基板としては金属基板1を使用し、この金属基板1に半導体多孔質層3及び変形防止層5を設けた例を示したが、電極基板としては、透明な基板上に導電膜を蒸着等により形成したものを用いることも可能である。しかしながら、このような導電膜は、金属基板1と比較すると高抵抗であり、従って、反りの抑制により内部抵抗を低減させるという効果が希薄となるため、本発明は、電極基板として金属基板1を用いたものに適用することが最適である。
本発明を次の実験例により説明する。
尚、以下の実験例において、反りの測定は、以下のようにして行った。
(反りの測定)
微細形状測定機:ET−4000A(小坂研究所製)を用い、接触型測定法にて、所定の距離に対する変位測定を実施した。
<実験例1>
金属基板についての反り;
使用する金属基板は、市販のアルミニウム板(厚み0.3mm)であり、この未加工状態のアルミニウム板の反り状態を確認するため、10cm×3cmのサイズのアルミニウム基板において、基板形状測定した結果、長さ5cmにおいて、湾曲変位(Al基板の中央部の変位量)は約2μmであり、未加工の状態において、この程度の反りを有している。
<実験例2>
金属基板の一方の面に半導体多孔質層を形成した基板の反り;
球状の粒径30nmと不定形状の粒径15nmの市販TiO粒子2種類を主剤とし、溶媒として、テルピネオールを、ペースト中60重量%の量、バインダー剤として、エチルセルロースを、粘度が5〜15cPの低粘度系と、30〜50cPの高粘度系と、低粘度系/高粘度系=60/40の重量比とから構成されるTiOペーストを調整して、酸化物半導体層形成用ペーストとした。
次いで、金属基板として、市販のアルミニウム板(厚み0.3mm、サイズ10cm×3cm)を用意し、このアルミニウム板上に、上記で調製したTiOペーストを塗布し、その後、450℃で30分間焼成し、酸化物半導体層を得た。この酸化物半導体層の厚みを測定した結果、約12μmであった。
また、基板の反り状態を確認するため、基板形状測定した結果、長さ5cmにおいて、湾曲変位(Al基板の中央部の変位量)は約30μmであり、大きな反りが発生していた。
さらに、純度99.5%のエタノールに分散させたルテニウム錯体色素からなる色素溶液中に、上記の酸化物半導体層を24時間漬浸させ、次いで乾燥することにより、負極構造体を得た。尚、用いたルテニウム錯体色素は、下記式で表される。
[Ru(dcbpy)(NCS)]・2H
一方、白金を蒸着したITO/PENフィルムで構成される対向電極(正極)構造体を用意した。
この対向電極構造体と上記で作製した負電極構造体との間に電解質液を挟みこんで色素増感型太陽電池を作製した。尚、電解質液としては、LiI/I(0.5mol/0.025mol)をメトキシプロピオニトリルに溶かしたものに4−tert−ブチルピリジンを添加したものを用いた。
得られた電池の変換効率を測定したところ、測定面積1cmで、以下の通りとなった。
変換効率:4.29%
FF(内部抵抗):0.63
SC(短絡電流密度):9.65mA/cm
OC(開放電圧):0.71V
<実験例3(本発明例)>
実験例2の基板の他方の面に変形防止層を形成した基板の反り;
酸化物半導体層を形成するためのペーストは、実験例2と同様に作製した。
次いで、実験例1と同様に、アルミニウム板上に、酸化物半導体層ペーストを塗布し、次いで、その反対面にも、同様に酸化物半導体層ペーストを塗布し、その後、焼成を行って酸化物半導体層を形成した。酸化物半導体層の膜厚を測定したところ、両面共に、約12μmであった。
また、基板の反り状態を確認するため、基板形状測定した結果、長さ5cmにおいて、湾曲変位(Al基板の中央部の変位量)は約5μmであり、反りが抑制されていた。
その後、実験例1と同様に色素増感型太陽電池を作製し、変換効率を測定したところ、測定面積1cmで、以下の通りなり、高い変換効率が得られた。
変換効率:5.66%
FF(内部抵抗):0.67
SC(短絡電流密度):11.92mA/cm
OC(開放電圧):0.71V
これは、基板の反りが抑制されてFFが高くなったための効果と考えられる。
本発明の負極基板の概略断面構造を示す図。 図1の負極基板を用いた色素増感太陽電池の概略断面構造を示す図。 実験例1〜実験例3の各基板の反りを示す図。
符号の説明
1:金属基板
3:半導体多孔質層
5:変形防止層
10:負極基板
15:電解質層
17:封止材
20:正極基板
21:透明基板
23:透明導電膜
25:電子還元性導電層
X:発電領域
Y:封止領域

Claims (6)

  1. 電極基板の表面に半導体多孔質層が形成されている色素増感太陽電池における負極基板において、
    前記電極基板には、半導体多孔質層を形成する際の体積収縮に起因する変形を抑制するための変形防止層が設けられていることを特徴とする負極基板。
  2. 前記電極基板が金属製基板である請求項1に記載の負極基板。
  3. 前記変形防止層が、前記電極基板の半導体多孔質層が形成されていない側の面に形成されている請求項1または2に記載の負極基板。
  4. 前記変形防止層が、前記半導体多孔質層と同程度の体積収縮率を有している請求項3に記載の負極基板。
  5. 前記変形防止層が酸化物微粒子から形成されている請求項3または4に記載の負極基板。
  6. 前記変形防止層が前記半導体多孔質層と同一の粒子構造を有する層である請求項5に記載の負極基板。
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