JP5266524B2 - 色素増感型太陽電池用電極基板及び色素増感型太陽電池 - Google Patents

色素増感型太陽電池用電極基板及び色素増感型太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、増感色素が担持された半導体多孔質層を有する電極基板を備えた色素増感型太陽電池に関する。
現在、地球規模の環境問題や化石エネルギー資源枯渇問題などの観点から太陽光発電に対する期待が大きく、単結晶及び多結晶シリコン光電変換素子が太陽電池として実用化されている。しかし、この種の太陽電池は、高価格であること、シリコン原料の供給問題などを有しており、シリコン以外の材料を用いた太陽電池の実用化が望まれている。
上記のような見地から、最近では、シリコン以外の材料を用いた太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目されている。このような色素増感型太陽電池の代表的なものとして、図1に示す構造を有するものが挙げられる。
即ち、この電池は、透明電極基板(正極基板)1と、金属電極基板(負極基板)10とを有している。
透明電極基板1は、透明ガラスや透明樹脂フィルムなどの透明基板3上に透明導電膜5(例えばITO膜)が形成され、さらにその上に、必要によりプラチナや白金等の蒸着膜が電子還元性導電層7として形成されている。一方、金属電極基板10は、金属基板11を有しており、この金属基板11の上に、必要により形成される逆電子防止層15を介して、色素増感半導体多孔質層13が形成されている。このような透明電極基板1と金属電極基板10とが、電解質層20を間に挟んで対峙した構造を有しており、透明電極基板1と金属電極基板10との周縁部分は、電解質層20が漏洩しないように、封止材30で封止されている。即ち、色素増感半導体多孔質層13と電解質層20とを間に挟んで金属電極基板10と透明電極基板1とが対峙している領域が発電領域Xとなっており、封止材30で封止されている領域が封止領域Yとなっている。
このような構造の色素増感太陽電池では、透明電極基板1側から可視光を照射すると、色素増感半導体多孔質層13中の色素が励起され、基底状態から励起状態へと遷移し、励起された色素の電子は、この多孔質層13中の伝導帯へ注入され、外部回路(図示せず)を通って透明電極基板1に移動する。透明電極基板1に移動した電子は、電解質層20中のイオンによって運ばれ、色素に戻る。このような過程の繰り返しにより電気エネルギーが取り出されるわけである。このような色素増感太陽電池の発電メカニズムは、pn接合型光電変換素子と異なり、光の捕捉と電子伝導が別々の場所で行われ、植物の光電変換プロセスに非常に似たものとなっている。
上記のような構造の色素増感型太陽電池では、色素を担持している半導体多孔質層13が直接低抵抗の金属基板11上に形成することができるため、変換効率の低下を回避することができ、またセルを大型化した場合の内部抵抗(曲率因子、Fill Factor;FF)の増大を抑制することができるという利点がある。
また、上記とは全く逆の構造の色素増感型太陽電池も知られており、具体的には、図1における色素増感半導体多孔質層13を透明電極基板1の透明導電膜5(或いは電子還元層7)上に形成し、金属電極基板10を、電解質層20を間に挟んで対峙させた構造のものである。このタイプでは、透明電極基板1が負極基板となり、金属電極基板10(金属基板11)が正極基板となり、負電極基板側からの光照射により発電することとなる。
ところで、上記のような色素増感型太陽電池において、正極基板側或いは負極基板の何れにおいても、色素で増感された半導体多孔質層13は、所定の基板の上に、例えば酸化チタンなどの半導体微粒子のペーストを塗布し、焼成して酸化チタンからなる半導体の多孔質層を形成し、この上に色素溶液を塗布し、色素を多孔質層に吸着させた後、色素溶液の溶媒を除去することにより製造されている(特許文献1参照)。
また、酸化チタン半導体の多孔質層をゾル−ゲル法により形成する方法も知られており(特許文献2,3)、さらには、所定の細孔半径のときに該細孔半径に対する細孔容積変化率が20mm/nm以上である多孔質層を形成することも提案されている(特許文献4)。
特開2002−298646号 特許第2664194号 特公平8−15097号 特開2003−234134号
しかるに、一般に色素増感型太陽電池は変換効率が低く、その向上が求められている。例えば、特許文献1〜3に開示されているような方法で製造された酸化物半導体多孔質層を有する電極基板を備えた太陽電池の変換効率は低い。
また、特許文献4で提案されている酸化物半導体多孔質層は、色素が吸着し得る大きさの細孔の数を一定の範囲に調節したものであり、このような酸化物半導体多孔質層を備えた色素増感型太陽電池は、特許文献1〜3で提案されているものと比較すると変換効率が高められている。しかしながら、その変換効率も未だ十分ではなく、さらに変換効率が増大した色素増感型太陽電池が求められているのが現状である。
従って、本発明の目的は、変換効率を向上させ得るような構造の色素増感半導体多孔質層を有する色素増感太陽電池の電極基板及び該電極基板を備えた色素増感型太陽電池を提供することにある。
本発明者等は、上記の課題について鋭意検討した結果、従来公知の色素増感型太陽電池では、増感色素が酸化物半導体多孔質層の表層部分に多く分布しており、その内部(透明電極基板側)に分布している増感色素が少なく、これが高い変換効率を得ることができない要因の一つであるとの新規知見を得、かかる知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、増感色素が担持されている半導体多孔質層を備えた色素増感型太陽電池の電極基板において、
前記半導体多孔質層は、球状の酸化物半導体微粒子(A)と該球状酸化物半導体微粒子よりも粒直径の小さな不定形状の酸化物半導体微粒子(B)とから形成されており、60%以上の空隙率を有していると共に、BET法で測定して、該半導体多孔質層における細孔容積の最大ピークが細孔径30nm以上の領域に存在していることを特徴とする色素増感型太陽電池の電極基板が提供される。
本発明によれば、また、上記の電極基板と、該電極基板の半導体多孔質層側に電解質層を挟んで対峙している対向電極基板とからなる色素増感型太陽電池が提供される。
本発明の上記電極基板及び色素増感型太陽電池では、
(1)前記酸化物半導体微粒子(A)及び(B)が二酸化チタンであること、
(2)前記球状の酸化物半導体微粒子(A)の粒直径が5〜100nmの範囲にあり、前記不定形状の酸化物半導体微粒子(B)の粒直径が1〜80nmの範囲にあること、
(3)前記半導体多孔質層は、前記球状の酸化物半導体微粒子(A)と前記不定形状の酸化物半導体微粒子(B)とを、A/B=10/90乃至90/10の重量比で含有していること、
が好ましい。
また、本発明の電極基板は、上記の半導体多孔質層を金属電極基板上に形成し、光が照射される側とは反対側に配置して使用することができ、また、半導体多孔質層を透明電極基板の表面に形成し、光が照射される側に配置して使用することもできる。
本発明の電極基板においては、色素で増感された半導体多孔質層が、形状及び大きさの異なる2種類の酸化物半導体微粒子、具体的には、球状の酸化物半導体微粒子(A)と該球状酸化物半導体微粒子よりも粒直径の小さな不定形状の酸化物半導体微粒子(B)とにより形成されていることが重要な特徴である。即ち、このような2種類の形態の酸化物半導体微粒子(A)及び(B)により形成される半導体多孔質層は、増感色素を有効に吸着担持し得るマクロ孔を多く有するものとなり、BET法(窒素吸着法)により測定して、細孔径30nm以上の領域に細孔容積の最大ピークが存在し、表面積が大きいばかりか、その空隙率は60%以上となる。この結果、増感色素は、半導体多孔質層の表層部に留まらず、内部(極基板側)にまで深く浸透して均等に分布するばかりか、発電のために透明電極基板側から照射される光も、散乱によって酸化物半導体多孔質層の全体に行き渡ることとなり、従来公知の光増感型太陽電池に比して、より高い変換効率を確保することができるのである。
例えば、後述する実施例の実験結果から理解されるように、上記のような2種類の形態の二酸化チタン微粒子(A)及び(B)により半導体多孔質層が形成されている実施例1の色素増感型太陽電池では、その変換効率は5%である。一方、球状の二酸化チタン微粒子(A)のみで酸化物半導体多孔質層が形成されている比較例1では、その変換効率は3%であり、本発明例の実施例1に比してかなり低い。
<半導体多孔質層>
本発明の電極基板に設けられている半導体多孔質層を部分的に拡大して示す図2において、この半導体多孔質層50は、電極基板51(前述した図1における金属電極基板10や透明電極基板1)の表面に形成される。本発明においては、このような半導体多孔質層50が、酸化物半導体微粒子Aと不定形状の酸化物半導体微粒子Bとから形成されており、これらの粒子表面に増感色素53が担持された構造を有するものである。
尚、本発明において、球状の粒子とは、SEMやTEMなどの電子顕微鏡を用いた観察において、面を形成する角がない形状の粒子であり、角が観察されない限り、真球粒子のみならず、断面が楕円形状の粒子をも含み、大径が短径の10倍以下の粒子を意味するものである。また、不定形状の粒子とは、上記のような電子顕微鏡観察において、特定の形状を認識することはできないが、面と面との境界部を示す稜線或いは角が観察され、大まかに言って多面体形状を有しているボール状の粒子であり、球状粒子と同様、大径が短径の10倍以下の粒子を意味する。また、球状粒子及び不定形状粒子において、粒径(粒直径)は、最大直径を意味するものである。
本発明において、上記のような半導体多孔質層50を形成している球状の酸化物半導体微粒子Aは、不定形状の粒子Bよりも粒直径が大きいものであり、このように大きさや形状の異なる2種の酸化物半導体多孔質微粒子により形成される半導体多孔質層50は、BET法(窒素吸着法)により測定して、細孔径30nm以上の領域、好ましくは細孔径が50乃至150nmの領域に細孔容積の最大ピークが存在し、しかもその空隙率は60%以上、好ましくは60乃至80%の範囲に調節されている。即ち、本発明では、半導体多孔質層50が、色素53が吸着し易い大きさのマクロポアが多く、大きな表面積を有しているばかりか、空隙率も大きいため、図2から理解されるように、半導体多孔質層50の表層部分に限らず、その内部まで均等に色素53が浸透して担持されており、しかも、大きな空隙により発電のために照射される光が散乱によって半導体多孔質層50の全体に行き渡ることとなり、高い変換効率を確保することが可能となるのである。
例えば、図3は、公知の色素増感型太陽電池の電極基板61に設けられている半導体多孔質層60の構造を拡大して示す概略図であるが、かかる半導体多孔質層60は、同じ形状で且つほぼ同じ大きさの酸化物半導体微粒子により形成されているため、細孔の大きさも小さく、本発明のようなマクロポアを形成することができず、例えばBET法により細孔容積を測定した場合、最大ピークを示す細孔容積は細孔径が30nmよりも低い位置に存在し、また、その空隙率も60%よりも小さい。従って、これに担持される色素63は、ほとんど表層部分に分布しており、内部に深く浸透しておらず、この結果、高い変換効率を得ることができないのである。
また、本発明では、図2に示すような構造の半導体多孔質層50は、前記BET法による細孔容積の測定において、細孔径が30nm以上の領域に存在している最大ピークを示す細孔容積は、1.0cc/g以上、好ましくは1.5cc/g以上、最も好ましくは2.0cc/g以上の範囲にあるのがよい。即ち、このような細孔容積値が大きいことは、2つの形態の粒子A,Bが均一に分散していることを意味し、これにより、バラツキなく、安定して高い変換効率を確保することができる。
本発明においては、上述した細孔容積や空隙率を確保し、更には表面積を増大させるために、球状の酸化物半導体微粒子Aが不定形状の酸化物半導体微粒子Bよりも粒子径が大きいことを前提条件として、球状の酸化物半導体微粒子Aの粒直径が5〜100nm、特に15〜60nmの範囲にあり、不定形状の酸化物半導体微粒子Bの粒直径が1〜80nm、特に5〜30nmの範囲にあるのがよく、最も好適には、平均して、球状粒子Aの粒直径が不定形状粒子Bの粒直径よりも10nm以上大きいことが望ましい。即ち、両者の粒直径の差が大きいほど、図2に示されるようなマクロポアを有する構造を容易に形成することができる。
尚、上記粒子の粒直径は、プラチナスパッタなどによるスパッタリングを行って電子顕微鏡により求めることができる。
また、球状の酸化物半導体微粒子Aと不定形状の酸化物半導体微粒子Bとの存在比率(A/B)は、上述した細孔容積や空隙率が得られる限りにおいて特に制限されるものではないが、一般的には、A/B(重量比)=10/90乃至90/10、特に30/70乃至70/30の範囲にあるのがよい。
上述した球状或いは多面体形状の酸化物半導体微粒子A,Bは、それ自体公知の酸化物半導体の粒子であってよく、このような酸化物半導体としては、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステンなどの金属の酸化物、或いはこれら金属を含有する複合酸化物、例えばSrTiO、CaTiOなどのペロブスカイト型酸化物などを挙げることができるが、特に高い変換効率を得るという観点から二酸化チタン(特にアナターゼ型或いはブルーカイト型)が最も好適である。
尚、酸化物半導体微粒子A,Bの粒子形状は、それ自体公知であり、各酸化物半導体微粒子の製造条件を適宜変更することにより調整することができ、球状の酸化物半導体微粒子A及び不定形状の酸化物半導体微粒子Bの何れも市販されている。例えば球状の二酸化チタン粒子は、石原産業株式会社よりSTシリーズの商品として市販されており、また、不定形状の二酸化チタン粒子は、テイカ株式会社よりAMTシリーズの商品として市販されている。各粒子の粒度分布を前述した粒直径の範囲に調整する場合には、例えば電成篩などにより行われる。
<色素増感多孔質半導体層の形成>
上記のような球状及び不定形状の粒子A,Bからなる半導体多孔質層50は、上記粒子A,Bを含む半導体ペーストを、電極基板51上に、スクリーン印刷、スプレーコート、ダイコート等によってコーティングし、乾燥及び焼き付けることによって形成することができる。このような半導体多孔質層3の厚みは、通常、5乃至20μm程度であり、酸化物半導体重量(粒子A,Bの合計重量)としては、0.001乃至0.005g/cm程度が適当である。
上記のような酸化物半導体微粒子A,Bを含む半導体多孔質層50の形成に用いる半導体ペーストは、これらの粒子A,Bを有機溶媒に分散させ、さらにはバインダー成分を加えて、コーティングに適した所定の粘度範囲に調整されるが、特にスクリーン印刷により大面積の半導体多孔質層50を形成する場合には、以下のような半導体ペーストを用いるのがよい。
先ず、用いる半導体ペースト中の酸化物半導体微粒子A,Bは、例えば前述した重量比で5〜60重量%程度の固形分濃度とするのがよい。有機溶媒としては、各種アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等の低級アルコール類、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコールなどのグリコール類、テルピネオールなどが一般に使用されるがテルピネオールが最も好適である。
テルピネオール(C1018O)は、1,8−テルビンから水が1分子脱水して生じる不飽和アルコールであり、α、β及びγの3タイプのものが知られており、何れのタイプも使用できるが、一般には、α−テルピネオール(Bp:219〜221℃)、或いはα−テルピネオールを主成分とし、これにβ−テルピネオールなどの他のタイプものが混合された混合物(一般に、市販されているものは混合物である)が好適に使用される。
即ち、上記のテルピネオールは、比較的粘稠な液体であり、上述した二酸化チタン微粒子に代表される酸化物半導体微粒子を容易に均一に分散させることができ、しかも、加熱により、酸化物半導体微粒子の半導体特性に悪影響を与えることなく、容易に揮散させることができる。
本発明で好適に使用される半導体ペーストにおいて、上記の有機溶媒、特にテルピネオールは、半導体ペースト中に10〜90重量%、特に40〜80重量%の量で含まれているのがよい。この量が、当該範囲外であると、二酸化チタン微粒子等の酸化物半導体微粒子や後述するバインダー成分とのバランスが崩れてしまい、酸化物半導体微粒子を均一に分散させることが困難となったり、コーティング性が低下してしまうなどの不都合を生じるおそれがある。
また、半導体ペースト中のバインダー成分としては、一般にエチルセルロースなどのセルロース系ポリマーが使用されるが、本発明においては、特に低粘性エチルセルロースと高粘性エチルセルロースの2種のエチルセルロースをバインダー成分として用いるのがよい。
即ち、エチルセルロースは、二酸化チタン微粒子等の酸化物半導体微粒子に対して不活性であり、焼成により酸化物半導体微粒子の半導体特性や粒子形状に悪影響を与えることなく分解除去することが可能な物質である。一般に使用される半導体ペーストは、1種類のエチルセルロースがバインダー成分として使用されており、このため、大面積のコーティングを行うと、ダレを生じてしまい、コーティング層の厚みが不均一となってしまい、これが形成される半導体多孔質層に反映されてしまい、電池特性に悪影響を及ぼし、安定した特性を発現させることが困難となってしまうおそれがある。しかるに、上記のような2種類のエチルセルロースを使用することにより、バインダー性能を低下させることなく、ダレを効果的に防止することが可能となり、大面積でコーティングを行う場合にも、均一な厚みのコーティング層を形成することができ、この結果、半導体多孔質層の厚みを均一とし、安定した電池特性を発現させることが可能となる。
上記のエチルセルロースの内、低粘性エチルセルロースは、特に高いバインダー機能を示すものであり、トルエンを溶媒とし固形分エチルセルロース濃度10%溶液の場合の粘度(25℃)が5〜15cPの範囲にある。即ち、このような低粘性エチルセルロースが配合されていることにより、前述した酸化物半導体微粒子は半導体ペースト中で凝集させることなく均一分散した状態に保持され、また、半導体ペーストをコーティングした後に溶媒(テルピネオール)が加熱乾燥により除去された後においても、2種類の酸化物半導体微粒子A,Bが積み重ねられた層状状態が安定に保持されるのである。
一方、高粘性エチルセルロースは、上記のようなバインダー機能もある程度は有しているが、特にレオロジー改質のために使用されるものであり、トルエンを溶媒とし固形分エチルセルロース濃度10%溶液の場合の粘度(25℃)が30〜50cPの範囲にある。即ち、本発明において好適に使用される半導体ペーストは、このような高粘性エチルセルロースが配合されているため、低粘性エチルセルロースのバインダー機能を損なうことなく、ダレを有効に防止することができ、大面積で半導体ペーストをコーティングした場合においても、コーティング層の厚みの変動が抑制され、コーティング層の厚みを均一に維持することができ、この結果、大面積の半導体多孔質層を均一な厚みで形成することができるのである。
上記のような半導体ペーストにおいて、低粘性エチルセルロース及び高粘性エチルセルロースは、合計で、5〜60重量%、特に5〜30重量%の量で半導体ペースト中に含まれていることが好ましい。即ち、この合計量が上記範囲外であると、前述した酸化物半導体微粒子やテルピネオールとのバランスが崩れ、酸化物半導体微粒子の分散状態が不安定になったり、或いはコーティング性が損なわれたり、形成される半導体多孔質層の膜特性に悪影響を与えるおそれがある。
また、低粘性エチルセルロース(ES)と高粘性エチルセルロース(ES)とは、ES/ES=51/49〜80/20、特に55/45〜70/30の重量比で配合されていることが、低粘性エチルセルロースのバインダー機能と高粘性エチルセルロースのレオロジー改質機能とを効果的に発現させる上で好適である。即ち、低粘性エチルセルロースを上記範囲よりも多量に使用すると、ダレ防止効果が低下するおそれがあり、また高粘性エチルセルロースを上記範囲よりも多量に使用すると、バインダー機能が損なわれ、酸化物半導体微粒子の凝集が生じたり、或いは半導体ペーストのコーティング層から溶媒を除去したとき、酸化物半導体微粒子の層状構造が損なわれ易くなってしまい、一定の厚みの半導体多孔質層を形成することが困難になる場合がある。
このような半導体ペーストには、ダレ防止能や酸化物半導体微粒子の半導体特性などに悪影響を与えない限り、適宜の量で各種の添加剤、例えばレベリング剤や界面活性剤、増粘剤などが添加されていてもよく、上述した各成分及び適宜使用される他の添加剤成分を混合することにより調製される。各成分の添加順序等には制限はないが、このペーストの粘度(25℃)が15乃至50cP程度の範囲となるように、前述した量割合の範囲内で各成分の使用量を設定しておくのがよい。
上述した半導体ペーストは、大面積でコーティングした場合にもダレを生じないため、スクリーン印刷に好適に適用することができるわけである。
上記で説明したように、図2に示す構造の半導体多孔質層50は、上述した2種類の酸化物半導体微粒子A,Bを含む半導体ペーストを電極基板51の表面にコーティングし、コーティング層を焼成し、次いで増感色素53を担持させることにより形成され、このようにして色素で増感された半導体多孔質層50が形成された電極基板51は、色素増感太陽電池の用途に供される。
即ち、半導体ペーストのコーティングは、先にも述べたように、公知の方法で行うことができるが、特に上述した2種類のバインダー剤を含む半導体ペーストを用いる場合には、ダレ等が有効に防止されるため、特にスクリーン印刷法により行うことが好ましく、これにより、大面積の電極基板51に対しても均一な厚みの半導体多孔質50を効率よく形成することができる。
半導体ペーストのコーティング層の焼成は、二酸化チタン微粒子等の酸化物半導体微粒子の半導体特性や層状構造を劣化させない程度の温度、例えば350乃至550℃で、30乃至60分間程度で行われ、これにより、溶媒が揮散し、酸化物半導体微粒子同士が焼結して半導体多孔質層が形成される。
また、増感色素53の担持は、色素溶液を半導体多孔質層に接触させることにより行われ、これにより、増感色素53が深く、内部まで浸透して担持された半導体多孔質層50が形成され、図2に示す構造の半導体多孔質層50を有する電極基板51を得ることができる。
色素溶液の接触は、通常は、ディッピングにより行われ、吸着処理時間(浸漬時間)は、通常、30分〜24時間程度であり、吸着後、乾燥して色素溶液の溶媒を除去することにより、増感色素53を深く、内部まで浸透させて担持させることができる。即ち、本発明においては、半導体多孔質層50が、所定のサイズのマクロポアが多数形成されており、且つ空隙率も大きいため、上記のようにして色素溶液を接触させることにより、増感色素53を表層部分のみならず、内部まで深く且つ均等に担持させることができ、高い変換効率を確保することが可能となるわけである。
用いる増感色素は、カルボキシレート基、シアノ基、ホスフェート基、オキシム基、ジオキシム基、ヒドロキシキノリン基、サリチレート基、α−ケト−エノール基などの結合基を有するそれ自体公知のものが使用され、前述した特許文献1〜3等に記載されているもの、例えばルテニウム錯体、オスミウム錯体、鉄錯体などを何ら制限なく使用することができる。特に幅広い吸収帯を有するなどの点で、ルテニウム−トリス(2,2’−ビスピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)、ルテニウム−シス−ジアクア−ビス(2,2’−ビスピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)などのルテニウム系錯体が好適である。このような増感色素の色素溶液は、溶媒としてエタノールやブタノールなどのアルコール系有機溶媒を用いて調製され、その色素濃度は、3×10−4乃至5×10−4mol/l程度である。
上記のようにして得られる電極基板51は、電解質層を間に挟んで対向電極を対峙させることにより、色素増感型太陽電池として使用される。
<色素増感型太陽電池>
本発明において、上記のような半導体多孔質層50が形成された電極基板51は、特にセルの大型化による内部抵抗の増大を抑制できる図1に示す構造の負電極基板10として好適であり、このような負電極基板10を電解質層20を間に挟んで正極基板(透明電極基板)1に対峙させることにより、色素増感型太陽電池として使用される。即ち、この負電極基板10では、金属基板11の上に、必要により形成される逆電子防止層15を介して、前述した構造の多孔質半導体層50(図1では、この半導体多孔質層は13で示されている)が形成されることとなる。
このような構造の色素増感太陽電池において、金属基板11としては、低電気抵抗の金属材料から形成されたものであれば特に制限されないが、一般的には、6×10−6Ω・m以下の比抵抗を有する金属乃至合金、例えばアルミニウム、鉄(スチール)、ステンレススチール、銅、ニッケルなどが使用される。また、金属基板11の厚みは特に制限されず、適度な機械的強度が保持される程度の厚みを有していればよい。また、生産性を考慮しないのであれば、金属基板11は、例えば蒸着等により、樹脂フィルム等に形成されていてもよい。勿論、この樹脂フィルム等の基材は透明である必要はない。
上記のような金属基板11において、前述した色素増感半導体多孔質層50(13)は、発電領域Xとなる部分に形成されるものであり、その周囲が発電に関与しない封止領域Yとなるわけである。
尚、金属基板11の表面に適宜形成される逆電子防止層15は、整流障壁として機能し、金属基板11から色素増感半導体多孔質層50(13)への逆電流を抑制するために形成されるものであり、例えば、金属基板11よりも高抵抗の金属乃至金属酸化物(例えば二酸化チタンなど)や、特開2008−53165号などに開示されている化成処理膜から形成され、その厚みは、一般に5乃至500nm程度である。
上記のようにして形成される負電極基板10の対向電極として使用される透明電極基板(正極基板)1は、透明基板3上に透明導電膜5を形成したものである。
上記の透明基板3としては、透明なガラス板や透明樹脂フィルムが使用される。透明樹脂フィルムとしては、透明である限り任意のものが使用されるが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム乃至ブロック共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキサイド;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;酸化澱粉、エーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉;及びこれらの混合物からなる樹脂;などからなるフィルムを用いることができる。一般的には、強度や耐熱性等の見地から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適に使用される。また、透明基板3の厚みや大きさは、特に制限されず、最終的に使用される色素増感型太陽電池の用途に応じて適宜決定される。
透明導電膜5としては、酸化インジウム−酸化錫合金からなる膜(ITO膜)や酸化錫にフッ素をドープした膜(FTO膜)が代表的であるが、電気抵抗が低いことから、特にITO膜が好適である。これらは蒸着により上記の透明基板3上に形成され、その厚みは、通常、0.5乃至0.7μm程度である。
尚、透明導電膜5の表面には、適宜、電子還元導電層7が形成される。この電子還元導電層7は、一般に白金の薄層からなり、透明導電膜5に流れ込んだ電子を電解質層20に速やかに移行せしめる機能を有するものである。このような電子還元導電層20は、光透過性が損なわれないように、その平均厚みが0.1乃至1.5nm程度となるように蒸着により薄く形成される。
上記のようにして形成された負極基板10と透明電極基板(正極基板)1は、電解質層20を間に挟んで対峙され、前述した構造の色素増感半導体多孔質層50(13)と電解質層20とによって発電領域Xが形成されることとなる。
電解質層20は、公知の太陽電池と同様、リチウムイオン等の陽イオンや塩素イオン等の陰イオンを含む種々の電解質溶液により形成される。また、この電解質20中には、酸化型構造及び還元型構造を可逆的にとり得るような酸化還元対を存在させることが好ましく、このような酸化還元対としては、例えばヨウ素−ヨウ素化合物、臭素−臭素化合物、キノン−ヒドロキノンなどを挙げることができる。
上記の電解質層20は、発電領域Xの周縁に位置する封止領域Yに設けられる封止材30により封止され、電極間からの液の漏洩が防止されることとなるわけである。一般に、このような電解質層20の厚みは、最終的に形成される電池の大きさによっても異なるが、通常、10乃至50μm程度である。
封止材30としては、ヒートシール可能な各種の熱可塑性樹脂乃至熱可塑性エラストマー、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム乃至ブロック共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキサイド;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;酸化澱粉、エーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉;及びこれらの混合物からなる樹脂;などが使用される。
即ち、封止材30は、上記の熱可塑性樹脂等を用いての押出成形、射出成形等によって、例えば、封止領域Yに対応する幅のリング形状に成形するにより得られ、この封止材30を、互いに対抗して配置された負極基板10と透明電極基板1との間に挟んだ状態でヒートシール(加熱圧着)することにより、負極基板10と透明電極基板1とが接合され、次いで、この封止材30に注入管を挿入し、該注入管を介して、両電極基板の間の空間内に、電解質層20を形成する電解質溶液を注入することにより、図2に示す構造の色素増感半導体多孔質層50(13)を有する電極基板を有しており且つ図1に示す構造の色素増感型太陽電池を得ることができる。
尚、透明基板3として透明樹脂フィルムなどを用いるときには、例えば負極基板10と透明電極基板1との3方を封止剤30でシールし、次いでシールされていない開口部から電解質液を充填し、最後に、開口部を封止剤30で完全に封止することによっても図1に示す構造の色素増感型太陽電池を作製することができる。
このようにして形成される色素増感太陽電池では、先にも述べたが、透明電極基板1側から可視光を照射することにより、負電極基板10に形成されている色素増感半導体多孔質層50(13)中の色素が励起され、基底状態から励起状態へと遷移し、励起された色素の電子が、多孔質層50(13)中の伝導帯へ注入され、金属電極基板10(金属基板11)を介して外部回路(図示せず)を通って透明電極基板1に移動する。透明電極基板1に移動した電子は、電解質層20中のイオンによって運ばれ、色素に戻る。このような過程の繰り返しにより電気エネルギーが取り出され、発電が行われることとなる。本発明においては、半導体多孔質層50(13)に増感色素5が内部まで深く且つ均等に分布して吸着担持されているばかりか、散乱によって大きな空隙率を有する半導体多孔質層50(13)の内部まで光が行き渡るため、高い変換効率を示す。さらに、発電領域Xが大面積である場合にも、半導体多孔質層50(13)の厚みにバラツキがなく、均一な厚みを有しているため、安定した特性を発揮することができる。
尚、本発明に従って半導体多孔質層50が形成された電極基板を、図1に示す構造の色素増感型太陽電池の負電極基板10として用いた例を説明したが、本発明の電極基板は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、図1に示されている構造の色素増感型太陽電池における透明導電膜5(或いは電子還元導電層7)の上に色素増感半導体多孔質層50を形成し、光が照射される側に配置される負電極基板として本発明の電極基板を使用することも勿論可能である。
本発明の優れた効果を次の例で説明する。
(実施例1)
酸化物半導体微粒子として、以下の2種類の二酸化チタン微粒子と、2種類のバインダー剤(低粘性エチルセルロース及び高粘性エチルセルロース)を用意した。尚、バインダー剤であるエチルセルロースの粘度は、10重量%のエチルセルロース固形分濃度のトルエン溶液を用いて25℃でB型粘度計により測定された値である。
球状二酸化チタン微粒子(A);
昭和タイタニウム(株)製Fシリーズ
粒径:30nm
不定形二酸化チタン微粒子(B);
テイカ(株)製AMTシリーズ
粒径7nm
低粘性エチルセルロース(ES);
粘度;5〜15cP
高粘性エチルセルロース(ES);
粘度;30〜50cP
上記の酸化物半導体微粒子及びエチルセルロースを使用し、有機溶媒としてテルピオネールを使用し、以下の組成の半導体ペーストを調製した。
半導体ペーストの組成;
球状二酸化チタン微粒子A:15重量%
不定形二酸化チタン微粒子B:5重量%
(A/B=3)
低粘性エチルセルロース(ES):4.4重量%
高粘性エチルセルロース(ES):5.6重量%
(ES/ES=11/14)
テルピオネール:70重量%
次いで、金属基板として、リン酸クロメート処理されたアルミニウム板(厚み0.3mm)を用意し、このアルミニウム板上に、上記で調製したペーストを塗布し、450℃で30分間焼成し、厚みが約10μmの半導体多孔質層を形成した。この塗布に際しては、だれは全く生ぜず、また、得られた半導体層の膜厚分布を1cm角エリアで測定したところ、膜厚誤差範囲が±0.2μmと、ほぼ均一な膜厚で形成できていることがわかった。
この半導体多孔質層について、窒素吸着・脱離式のBET測定を実施した結果、細孔容積の最大ピークが細孔径約50nmの部分で確認された。また、その層における空隙率は、計算値により69%であった。
さらに、純度99.5%のエタノールに分散させたルテニウム錯体色素からなる色素溶液中に、上記の半導体多孔質層を24時間漬浸させ、次いで乾燥することにより、色素で増感された半導体多孔質層を有する負極基板を得た。尚、用いたルテニウム錯体色素は、下記式で表される。
[Ru(dcbpy)(NCS)]・2H
一方、白金を蒸着したITO/PENフィルムで構成される対向電極(正極)基板を用意した。
この対向電極基板と上記で作製した負電極構造体との間に電解質液を挟みこんで、図1に示す構造の色素増感型太陽電池を作製した。このときの電解質液層の厚みは5μmとした。
尚、電解質液としては、LiI/I(0.5mol/0.025mol)をメトキシプロピオニトリルに溶かしたものに4−tert−ブチルピリジンを添加したものを用いた。
得られた電池の変換効率を測定したところ、測定面積1cmで、以下の通りであり、高い変換効率が得られた。
変換効率:5.08%
FF(内部抵抗):0.57
SC(短絡電流密度):12.9mA/cm
OC(開放電圧):0.69V
(比較例1)
球状二酸化チタン微粒子(A)のみを使用し、不定形状の二酸化チタン微粒子(B)を使用しなかった以外は、実施例1と全く同様にしてTiOペーストを調製し、このペーストを用いて実施例1と全く同様にして厚みが約8μmの半導体多孔質層を形成した。このときの半導体多孔質層の厚みは、実施例1と同様、均一なレベルにあった。
この半導体多孔質層について、窒素吸着・脱離式のBET測定を実施した結果、細孔容積の最大ピークが細孔径約20nmの部分で確認された。また、その層における空隙率としては、計算値により59%であった。
次いで、上記の半導体多孔質層を表面に有するアルミニウム板を用いて、実施例1と全く同様にして、色素を担持させ、次いで、これを負電極基板として、図1に示す構造の色素増感型太陽電池を作製した。
得られた電池の変換効率を測定したところ、測定面積1cmで、以下の通りであり、実施例1に比して、変換効率は低かった。
変換効率:3.20%
FF(内部抵抗):0.61
SC(短絡電流密度):7.64mA/cm
OC(開放電圧):0.69V
半導体多孔質層を有する電極基板を備えた色素増感太陽型電池の概略構造を示す図。 本発明の電極基板に形成されている色素増感半導体多孔質層の部分拡大断面図。 従来の色素増感型太陽電池が備えている色素増感半導体多孔質層の部分拡大断面図。

Claims (7)

  1. 増感色素が担持されている半導体多孔質層を備えた色素増感型太陽電池の電極基板において、
    前記半導体多孔質層は、球状の酸化物半導体微粒子(A)と該球状酸化物半導体微粒子よりも粒直径の小さな不定形状の酸化物半導体微粒子(B)とから形成されており、60%以上の空隙率を有していると共に、BET法で測定して、該半導体多孔質層における細孔容積の最大ピークが細孔径30nm以上の領域に存在していることを特徴とする色素増感型太陽電池の電極基板。
  2. 前記酸化物半導体微粒子(A)及び(B)が二酸化チタンである請求項1に記載の電極基板。
  3. 前記球状の酸化物半導体微粒子(A)の粒直径が5〜100nmの範囲にあり、前記不定形状の酸化物半導体微粒子(B)の粒直径が1〜80nmの範囲にある請求項1に記載の電極基板。
  4. 前記半導体多孔質層は、前記球状の酸化物半導体微粒子(A)と前記不定形状の酸化物半導体微粒子(B)とを、A/B=10/90乃至90/10の重量比で含有している請求項1に記載の電極基板。
  5. 前記半導体多孔質層は、金属電極基板上に形成されている請求項1乃至4の何れかに記載の電極基板。
  6. 前記半導体多孔質層は、透明電極基板上に形成されている請求項1乃至4の何れかに記載の電極基板。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の電極基板と、該電極基板の半導体多孔質層側に電解質層を挟んで対峙している対極基板とからなる色素増感型太陽電池。
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