JP2009129574A - 色素増感型太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】負電極構造体の対向電極側からの光照射により発電を行う逆照射型の色素増感型太陽電池において、対抗電極側での可視光透過率を低下させずに、電子還元性が高められ、高電流を取り出すことが可能な太陽電池を提供する。
【解決手段】色素が担持された酸化物半導体層29を備えた負電極構造体20と、対向電極構造体21と、これらの電極構造体20,21の間に設けられた電解質層とからなり、対向電極構造体21は、透明導電性基板39と、透明導電性基板39上に形成された平均厚みが0.1乃至1.5nmの白金層40とから形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、色素増感型太陽電池に関するものであり、より詳細には、負電極に対向して設けられている対向電極(カソード)側からの光照射により発電する色素増感型太陽電池に関する。
現在、地球規模の環境問題や化石エネルギー資源枯渇問題などの観点から太陽光発電に対する期待が大きく、単結晶及び多結晶シリコン光電変換素子が太陽電池として実用化されている。しかし、この種の太陽電池は、高価格であること、シリコン原料の供給問題などを有しており、シリコン以外の材料を用いた太陽電池の実用化が望まれている。
上記のような見地から、最近では、シリコン以外の材料を用いた太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目されている。この色素増感型太陽電池は、図3に示すように、透明ガラスや透明樹脂フィルムなどの透明基板1a上に透明導電膜1b(例えばITO膜)を付与したものを電極基板1として使用し、この電極基板1の透明導電膜1b上に二酸化チタンなどの金属酸化物半導体の多孔質層3を設け、この多孔質層3の表面に増感色素(例えばRu色素)5を吸着させたものを負電極構造体7として有しており、このような負電極構造体7を、電解質液8を間に挟んで正極10に対峙させた構造を有している。
このような構造の色素増感型太陽電池では、負電極構造体7側から可視光を照射すると、色素5が励起され、基底状態から励起状態へと遷移し、励起された色素5の電子は、半導体の多孔質層3の伝導帯へ注入され、外部回路12を通って正電極10に移動する。正電極10に移動した電子は、電解液中のイオンによって運ばれ、色素5に戻る。このような過程の繰り返しにより電気エネルギーが取り出されるわけである。このような色素増感型太陽電池の発電メカニズムは、pn接合型光電変換素子と異なり、光の捕捉と電子伝導が別々の場所で行われ、植物の光電変換プロセスに非常に似たものとなっている。
ところで、上記のように負電極構造体7側からの光照射を行った場合には、透明導電膜1bでの抵抗が大きく、セル(電池として機能する発電最小単位)を大型化すると、内部抵抗(曲線因子、Fill Factor;FF)や変換効率が大きく低下するという問題がある。
このような問題を解決するために、特許文献1には、負電極の対向電極側(正電極側)から光を照射して発電を行う色素増感型太陽電池が開示されている。この構造の太陽電池では、負電極側から光を照射するものではないため、色素を担持している半導体多孔質層を、直接、低抵抗金属板上に設けることができ、セルの大型化によるFFや変換効率の低下を有効に回避することができる。
しかるに、上記のような逆照射型の太陽電池では、対向電極側に形成されている透明導電層がITO膜などから形成されるが、この透明導電層が直接電解質液に接触しているため、この表面での電子還元性が低く、高電流を取り出すためには、未だ改善の余地がある。このため、特許文献2には、透明導電層上にポリアニリンなどの導電性有機物層を設けた逆照射型の太陽電池が提案されている。
特開2001−273937 特開2005−251605
しかしながら、特許文献2のように導電性有機物層を設けた場合には、電子還元性を向上させる高い触媒効果を得るためには、その厚みをかなり厚くする必要があり、導電性有機物層の厚みを厚くするほど、可視光透過率が低下してしまうという問題があり、結局、実用化が困難となっている。
従って、本発明の目的は、負電極構造体の対向電極側からの光照射により発電を行う逆照射型の色素増感型太陽電池において、対抗電極側での可視光透過率を低下させずに、電子還元性が高められ、高電流を取り出すことが可能な太陽電池を提供することにある。
本発明によれば、色素が担持された酸化物半導体層を備えた負電極構造体と、対向電極構造体と、これらの電極構造体の間に設けられた電解質層とからなり、前記対向電極構造体は、透明導電性基板と、該透明導電性基板上に形成された平均厚みが0.1乃至1.5nmの白金層とから形成されていることを特徴とする色素増感型太陽電池が提供される。
本発明の色素増感型太陽電池においては、
(1)前記白金層は、蒸着により形成されていること、
が好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池では、負電極構造体に対抗する電極側から光が入射して発電するため、色素が担持された酸化物半導体膜は、透明導電膜のような高抵抗膜を介することなく、電極基板(負電極)上に設けられ、この結果、セルを大面積化した場合にも、小面積時と殆ど変わらないFF(効率因子)や変換効率を示す。
また、本発明においては、対向電極側の透明導電性基板の表面には、0.1乃至1.5nmの平均厚みの白金の薄層が形成されており、この白金の薄層が電解質層に接触する構造となっている。このため、対向電極構造体の透明導電性基板に流れ込んだ電子は、白金の薄層で還元され、速やかに電解質層に移行する。しかも、白金の薄層は厚みが極めて薄いため、可視光透過性を阻害することなく、高い可視光透過率を確保でき、この結果、高電流を取り出すことが可能となる。
本発明を、以下、添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の太陽電池は、全体として20で示す負電極構造体と、全体として21で示す対向電極(正電極)構造体とを備え、これら電極構造体20,21の間に電解質液23が配置されたものであり、可視光を対向電極構造体21側から照射して負電極構造体20に入射させることにより発電が行われる。
電解質液23としては、公知の太陽電池と同様、リチウムイオン等の陽イオンや塩素イオン等の陰イオンを含む種々の電解質溶液を使用することができる。また、この電解質液23中には、酸化型構造及び還元型構造を可逆的にとり得るような酸化還元対を存在させることが好ましく、このような酸化還元対としては、例えばヨウ素−ヨウ素化合物、臭素−臭素化合物、キノン−ヒドロキノンなどを挙げることができる。このような電解質液23は、一般に、電気絶縁性の樹脂等により封止され、電極構造体20,21間から漏洩しないように構成されている。
負電極構造体20は、負電極として機能する金属基板25を備えており、この金属基板25上には、通常、耐腐食性導電層27を介して酸化物半導体多孔質膜(以下、単に半導体多孔質膜と呼ぶ)29が形成され、この半導体多孔質膜29には、増感剤である色素30が担持されている。図1に示されているように、色素30を担持している半導体多孔質膜29が対向電極構造体21に対面しており、電解質液23に接触している。
即ち、本発明の太陽電池においては、対向電極構造体21側からの可視光の照射によって、色素30が励起され、励起された色素30の電子は、半導体多孔質膜29の伝導帯へ注入され、金属基板25から外部負荷31を通って対向電極(正電極)構造体21に移動し、電解質液23中のイオンによって運ばれ、色素30に戻る。この繰り返しにより、外部負荷31により電気エネルギーが取り出されるわけであり、このような発電のメカニズム自体は、対向電極構造体21側から光照射する点を除けば、負電極構造体20側から光照射するものと基本的には同じである。
本発明においては、対向電極構造体21側から光照射を行うために、負電極20側に透明性を持たせる必要が無く、このため、負電極20側に低抵抗の金属基板25が設けられており、透明導電膜を形成する必要がなく、大きな利点をもたらす。
即ち、負電極構造体20側から光照射をして色素30を励起するためには、半導体多孔質膜29は、ITO等の透明導電膜上に形成する必要があり、光不透過性の金属基板25上に設けることができない。しかるに、ITO等の透明導電膜は電気抵抗が高いため、セルが小面積の場合には、高い変換効率や高い内部抵抗(FF)を確保できるものの、セルを大面積化した場合には、変換効率及びFFの大きな低下をもたらしてしまう。
しかるに、対向電極構造体21側から光照射される本発明の太陽電池においては、半導体多孔質膜29がITO等の透明導電膜を介することなく、必要により耐腐食性導電層27を介して金属基板25上に設けられるため、負電極構造体20側の高抵抗化が回避されており、セルを大面積化した場合にも、FFや変換効率の低下が有効に防止されている。
本発明において、上述した負極構造体20に設けられる金属基板25は、低電気抵抗の金属材料から形成されたものであれば特に制限されないが、一般的には、6×10−6Ω・m以下の比抵抗を有する金属乃至合金、例えばアルミニウム、鉄(スチール)、銅などが使用される。また、金属基板25の厚みは特に制限されず、適度な機械的強度が保持される程度の厚みを有していればよい。また、生産性を考慮しないのであれば、金属基板25は、例えば蒸着等により、樹脂フィルム等に形成されていてもよい。勿論、この樹脂フィルム等の基材は透明である必要はない。
また、本発明において、上記の金属基板25の表面には、図示されている如く、耐腐食性導電層27が形成されており、この耐腐食性導電層27を介して半導体多孔質膜29が設けられていることが好ましい。このような耐腐食性導電層27を設けることは、整流障壁や耐久性の点で顕著な効果をもたらす。即ち、この耐腐食性導電層27は、例えば電解質液23に対して耐腐食性を有するニッケルやチタンなどの金属から形成されるものであり、かかる層27を設けることにより、金属基板25の電解質液23による腐食を防止することができ、このような腐食による性能低下を回避し、耐久性を向上させることができる。また、このような耐腐食性を有する金属は、金属基板25と比較すると抵抗が高く、このため、逆電流(逆電子移動量)を阻止し、有効な整流障壁となり、この結果、変換効率を高め、変換効率のバラツキを回避し、安定性した電池性能を確保することもできる。
また、本発明において、上述した耐腐食性導電層27の厚みは、適度な耐腐食性や整流障壁性(逆電流防止性)が確保される限り、可及的に薄いことが望ましく、その種類によっても異なるが、一般的には、10mm以下、特に5mm〜100μmの厚みを有しているのがよい。このような耐腐食性導電層27は、メッキ法により容易に形成することができるが、クラッド法により、金属基板25と圧延一体化して形成することもできる。
耐腐食性導電層27の上に形成される半導体多孔質膜29は、色素増感型太陽電池において従来から使用されているもの、具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステンなどの金属の酸化物、或いはこれら金属を含有する複合酸化物、例えばSrTiO、CaTiOなどのペロブスカイト型酸化物などにより形成され、その厚みは、通常、3乃至15μm程度である。
また、かかる半導体膜29は、色素30を担持させるため、多孔質であることが必要であり、例えば、アルキメデス法による相対密度が50乃至90%、特に50乃至70%程度であることが好ましく、これにより、大きな表面積を確保し、有効量の色素を担持させることができる。
このような半導体膜29は、例えば上述した半導体の微粒子を、有機溶媒やキレート反応性を有する有機化合物に分散させて調製したペースト、若しくは、チタンアルコキシド(例えばテトライソプロポキシチタンなど)等のバインダー成分とともに有機溶媒中に分散させたスラリー乃至ペーストを化成処理皮膜27上に塗布し、600℃以下の温度で、前述した相対密度となる程度の時間、焼成することにより容易に形成することができる。即ち、焼成により、上記バインダー成分のゲル化(脱水縮合)により形成されたTiOゲルが半導体微粒子同士を接合し、多孔質化される。
尚、上記のようなスラリー乃至ペーストの形成に用いる半導体微粒子は、多孔質化の点で、その粒径が5〜500nm、特に5〜350nmの範囲にあるのがよい。また、キレート反応性の有機化合物としては、β−ジケトン、β−ケトアミン、β−ケトエステルが代表的であり、易揮発性であれば特に制限なく使用することができるが、β−ジケトンであるアセチルアセトンが特に好適であり、半導体微粒子重量に対して5乃至35重量%の量で使用するのがよい。また、バインダー成分のチタンアルコキシドは、二酸化チタン微粒子100重量部当り、10乃至60重量部、特に20乃至50重量部の量で使用するのがよく、有機溶媒としては、易揮発性であれば特に制限なく使用することができるが、一般的には、炭素数が4以下の低級アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノールなどが好適であり、これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせた混合溶媒の形で使用することもできる。有機溶媒量は、スラリー乃至ペーストが適度なコーティング性を示す程度の量で使用すればよく、一般的には、スラリー乃至ペーストの固形分濃度が、5乃至50重量%、特に15乃至40重量%の範囲となる程度の量で使用するのがよい。溶媒量が多すぎると、スラリー乃至ペーストが低粘性となり、垂れ等により安定な厚みのコーティング層を形成することが困難となり、また、溶媒量が少ないと、高粘性となり作業性が低下してしまうからである。
上記のようにして形成された半導体多孔質層29に色素溶液を接触させることにより、増感色素30を吸着させる。色素溶液の接触は、通常は、ディッピングにより行われ、吸着処理時間(浸漬時間)は、通常、30分〜24時間程度であり、吸着後、乾燥して色素溶液の溶媒を除去することにより、表面に増感色素30が形成された半導体多孔質膜29を有する負電極20を得ることができる。
用いる増感色素は、カルボキシレート基、シアノ基、ホスフェート基、オキシム基、ジオキシム基、ヒドロキシキノリン基、サリチレート基、α−ケト−エノール基などの結合基を有するそれ自体公知のものが使用され、前述した特許文献等に記載されているもの、例えばルテニウム錯体、オスミウム錯体、鉄錯体などを何ら制限なく使用することができる。特に幅広い吸収帯を有するなどの点で、ルテニウム−トリス(2,2’−ビスピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)、ルテニウム−シス−ジアクア−ビス(2,2’−ビスピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)などのルテニウム系錯体が好適である。このような増感色素の色素溶液は、溶媒としてエタノールやブタノールなどのアルコール系有機溶媒を用いて調製され、その色素濃度は、通常、3×10−4乃至5×10−4mol/l程度とするのがよい。
また、上記の製造プロセスでは、半導体微粒子スラリー乃至ペーストをコーティングし、高温で焼成を行った後に色素の吸着を行っているが、前述した半導体微粒子スラリー乃至ペーストを用いたときには、100℃未満の低温領域で焼成を行うこともでき、このような低温での焼成により半導体多孔質膜29を形成する場合には、焼成を色素の吸着処理を行った後に行うこともできる。即ち、半導体微粒子のスラリー乃至ペーストを塗布し、乾燥を行った後に、ディッピング等により色素溶液を接触させて増感色素を吸着させ、この後に、焼成を行うことも可能である。この場合の乾燥は、大気中に放置するのみでの自然乾燥でよいが、必要により、100℃未満の温度に加熱してもよい。
上記のように、色素の吸着を焼成に先立って行う場合には、コーティング層中の半導体微粒子が焼結しておらず、ばらばらの状態で存在しているため、吸着処理を短時間で行うことができるという大きな利点がある。即ち、色素溶液が迅速に半導体微粒子中に浸透し、増感色素の吸着が速やかに行われ、例えば、10〜15分程度の短時間で吸着処理を行うことができ、焼成後に吸着処理を行う場合の1/2以下の時間で吸着処理を完了することが可能となり、生産性、量産性の点で極めて優れている。
本発明の色素増感型太陽電池における負電極構造体20は、上記のような構造を有しているが、例えば、図2の要部拡大図に示すように、半導体多孔質膜29と耐腐食性導電層27との間に、緻密な酸化物半導体膜35を設けることもできる。この半導体膜35は、前述した半導体多孔質膜29に比して相対的に緻密に形成されたものであり、例えば、アルキメデス法による相対密度が90%以上の緻密な膜である。即ち、このような緻密な半導体膜35を形成することにより、電解質液23と金属基板25との接触が一層確実に防止され、従って、電解質液23による腐食に起因する特性低下をさらに確実に回避することができ、耐久性を著しく向上させることができる。
このような緻密な半導体膜35は、特に半導体多孔質膜29から耐腐食性導電層27を介しての金属基板25への電子の移動を妨げないような酸化物半導体から形成されていることが望ましく、例えば、水素電極電位を基準にして、伝導帯の下端が−1.0Vよりもポジティブ側にある酸化物半導体から形成されていることが好適である。このような酸化物半導体としては、硫化カドミウム、タンタル酸カリウム、セレン化カドミウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化タングステン及び酸化スズからなる群より選択された少なくとも1種を例示することができる。
また、かかる緻密質の半導体膜35は、変換効率を低下させることなく、耐電解質腐食性を持たせるために、通常、100μm以下、特に30nm乃至500nm程度の厚みを有していることが好ましい。
尚、この緻密質の半導体膜35は、上記で例示した酸化物半導体の微粒子を、必要によりバインダー成分とともに、有機溶媒に分散させてペーストを調製し、このペーストを化成処理皮膜27上に塗布し、焼成を行うことにより容易に形成することができる。この場合、用いる酸化物半導体微粒子の粒径や、有機溶媒、或いは必要により使用されるバインダー成分は、前述した半導体多孔質膜29を形成する場合と同様である。また、半導体膜35は、上記の酸化物半導体を形成し得るアルコキシドや塩化物の溶液を用いても作製することができ、この場合、該アルコキシドや塩化物をエタノールやブタノールなどの低級アルコール或いはエチレングリコールエーテルなどの多価アルコール誘導体等の溶媒に添加して溶液を調製し(濃度:0.02乃至3mol/l)、さらに、β−ジケトン、β−ケトアミン、β−ケトエステルなどを0.5乃至5mol/lの濃度となる程度の量で添加してゾル溶液を調製し、ディッピング法、スピンコーティング法、熱分解スプレーコーティング法などによって化成処理皮膜27上に塗布し、焼成を行えばよい。何れの方法により半導体膜35を形成する場合においても、焼成温度は、緻密化のためにかなり高温とすることが望ましく、例えば250乃至650℃程度の高温で焼成を行うのがよい。
再び、図1に戻って、本発明の色素増感型太陽電池では、対向電極(正電極)21側から光を照射して色素30を励起させるため、この対向電極20は透明であることが必要であり、透明基板37上に透明導電膜39を形成した構造を有している。
透明基板37としては、透明なガラス板や透明樹脂フィルム乃至シートが使用される。透明樹脂フィルム乃至シートとしては、透明である限り任意のものが使用されるが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム乃至ブロック共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキサイド;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;酸化澱粉、エーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉;及びこれらの混合物からなる樹脂;などからなるものを用いることができる。一般的には、強度や耐熱性等の見地から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適に使用される。また、透明基板37の厚みや大きさは、特に制限されず、最終的に使用される色素増感型太陽電池の用途に応じて適宜決定される。
透明導電膜39としては、酸化インジウム−酸化錫合金からなる膜(ITO膜)、酸化錫にフッ素をドープした膜(FTO膜)などが代表的であるが、電子還元性が高く、特にカソードとして望ましい特性を有していることから、ITO膜が好適である。これらは蒸着により上記の透明基板1a上に形成され、その厚みは、通常、500nm乃至700nm程度である。
本発明においては、上記の透明導電膜39上に白金の薄層40が形成されていることが極めて重要である。即ち、この白金の薄層40は、高い電子還元性を有しており、透明導電膜39に流れ込んだ電子を電解質液23に速やかに移行せしめる。また、この白金の薄層40は、その平均厚みが0.1乃至1.5nmと薄く、従って、高い可視光透過率を確保することができ、例えばこのような白金の薄層40が形成されている対向電極構造体21の可視光透過率は、65%以上と極めて高い。この結果、本発明においては、高電流を安定に取り出すことができ、しかも高い変換効率を確保することができる。尚、かかる白金の薄層40は、蒸着により容易に形成することができ、また、その厚みは0.1nm以上であればよい。この厚みが0.1nmよりも薄いと、厚みのバラツキを生じ易く、安定した電子還元性を得ることが困難となるおそれがある。
上記のような構造の負電極構造体20及び対向電極構造体21を有する本発明の色素増感型太陽電池は、図1に示すように、これら電極構造体20,21を、電解質液23を間に挟んで対峙させ、電解質液を樹脂等により封止することにより、使用に供される。
かかる色素増感型太陽電池は、負電極構造体20の対向電極構造体21側からの光照射により発電を行うため、半導体多孔質膜29の支持基板として低抵抗の金属基板25を用いることができ、この結果、変換効率や効率因子(FF)を低下させることなく、セルの大面積化を計ることができ、極めて実用性が高い。さらには、低抵抗の金属基板25を介して集電が行われるため、グリッド等の格別の集電部材を用いることなくセルの接続を行うことができ、生産性やコストの点でも極めて有利である。
対向電極構造体の白金層形成は、アルバック社製スパッタ装置(MUE−ECO)を用いてマグネトロンスパッタリング法にて行った。チャンバー内に白金ターゲットとの距離が200mmとなるように日本板硝子製FTOガラス(550nm平行光透過率83%・表面抵抗13Ω/cm)をセットし、チャンバー内を1.0e−3Pa以下に減圧した後、Arガス4sccmを導入し、RF出力150Wのもとでスパッタリングを行った。このとき、チャンバー内圧は、1.3e−1Paであった。スパッタリング後の白金層の厚みを微細形状測定機ET4000A(小坂研究所製)を用いて測定した。
スパッタリング時間と平均膜厚の関係を求めると図4のようになり、上記条件で白金層を形成すると、白金の製膜速度は4nm/minであった。
0.28mm厚のA5182板材に触媒化成工業製酸化チタンペーストPST−18NRをスクリーン印刷法で塗布し、オーブンにて420℃30分焼成することにより約10μm厚の多孔質の酸化チタン膜を得た。これを、コール酸を添加した有機色素D149のアセトニトリル/ブタノール溶液に4時間浸漬させ負極構造体を得た。
この負極構造体と平均膜厚1.5nm以下の白金層を形成した対向電極の間に0.1molのLiIと0.025molのIをメトキシプロピオニトリルに溶かしたものに4-tert-butyl pyridine(ターシャルブチルピリジン)を添加して作製した電解質をはさみこんだ色素増感太陽電池を作製した。この色素増感太陽電池に、対向電極側からA.M.1.5、100mW/cmの疑似太陽光を照射し、電池の変換効率を測定したところ、白金層平均膜厚0.5nmの対向電極では、変換効率:2.20%、平均膜厚1nmの対向電極では、変換効率:2.15%、平均膜厚1.5nmの対向電極では、変換効率:2.08%であった。
島津製作所製分光光度計UV−3100PCにて上記にて用いた対向電極の平行光透過率(波長:550nm)を測定すると、白金層平均膜厚0.5nmの対向電極では、透過率78%、平均膜厚1nmの対向電極では、透過率73%、平均膜厚1.5nmの対向電極では、透過率66%であった。
比較例
0.28mm厚のA5182板材に触媒化成工業製酸化チタンペーストPST−18NRをスクリーン印刷法で塗布し、オーブンにて420℃30分焼成することにより約10μm厚の多孔質の酸化チタン膜を得た。これを、コール酸を添加した有機色素D149のアセトニトリル/ブタノール溶液に4時間浸漬させ負極構造体を得た。
この負極構造体と平均膜厚2nmの白金層を形成した対向電極の間に0.1molのLiIと0.025molのIをメトキシプロピオニトリルに溶かしたものに4-tert-butyl pyridine(ターシャルブチルピリジン)を添加して作製した電解質をはさみこんだ色素増感太陽電池を作製した。この色素増感太陽電池に、対向電極側からA.M.1.5、100mW/cmの疑似太陽光を照射し、電池の変換効率を測定したところ、変換効率:1.61%であった。
島津製作所製分光光度計UV−3100PCにて平均膜厚2nmの白金層を形成した対向電極の平行光透過率(波長:550nm)を測定すると、61%であった。
本発明の色素増感型太陽電池の概略構造を示す図。 本発明の色素増感型太陽電池の他の例における要部拡大図。 従来公知の色素増感型太陽電池の概略構造を示す図。 白金層の製膜速度を示す図
符号の説明
20:負電極構造体
21:対向電極(正電極)構造体
23:電解質液
25:金属基板
27:改正処理皮膜
29:酸化物半導体多孔質層
30:色素
35:緻密な酸化物半導体層
37:透明基板
39:透明導電膜
40:白金薄層

Claims (2)

  1. 色素が担持された酸化物半導体層を備えた負電極構造体と、対向電極構造体と、これらの電極構造体の間に設けられた電解質層とからなり、前記対向電極構造体は、透明導電性基板と、該透明導電性基板上に形成された平均厚みが0.1乃至1.5nmの白金層とから形成されていることを特徴とする色素増感型太陽電池。
  2. 前記白金層は、蒸着により形成されている請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011044318A (ja) * 2009-08-20 2011-03-03 Nisshin Steel Co Ltd 色素増感型太陽電池およびその製造方法
JP2011076893A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Dainippon Printing Co Ltd 色素増感型太陽電池
JP2012113839A (ja) * 2010-11-19 2012-06-14 Kobe Steel Ltd 色素増感型太陽電池用金属薄膜、及び色素増感型太陽電池素子

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