JP5439780B2 - 色素増感太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、互いに対向するように配置された金属電極基板とガラス製電極基板とを備え、両電極間の間には、電解質層と色素で増感された半導体多孔質層とからなる発電領域が形成されている色素増感太陽電池に関する。
現在、地球規模の環境問題や化石エネルギー資源枯渇問題などの観点から太陽光発電に対する期待が大きく、単結晶及び多結晶シリコン光電変換素子が太陽電池として実用化されている。しかし、この種の太陽電池は、高価格であること、シリコン原料の供給問題などを有しており、シリコン以外の材料を用いた太陽電池の実用化が望まれている。
上記のような見地から、最近では、シリコン以外の材料を用いた太陽電池として、色素増感太陽電池が注目されている。この色素増感型太陽電池の代表的なものは、金属電極基板と透明電極基板とが、色素増感半導体多孔質層と電解質層とを間に挟んで対峙した構造を有しており、金属電極基板と透明電極基板との周縁部分は、電解質層が漏洩しないように、封止材で封止されている。即ち、色素増感半導体多孔質層と電解質層とを間に挟んで金属電極基板と透明電極基板とが対峙している領域が発電領域となっており、発電領域の周囲が封止材で封止された封止領域となっている。
このような構造の色素増感太陽電池では、透明電極基板側から可視光を照射すると、色素増感多孔質層中の色素が励起され、基底状態から励起状態へと遷移し、励起された色素の電子は、この多孔質層中の伝導帯へ注入され、外部回路(図示せず)を通って透明電極基板に移動する。電極基板に移動した電子は、電解質層中のイオンによって運ばれ、色素に戻る。このような過程の繰り返しにより電気エネルギーが取り出されるわけである。このような色素増感太陽電池の発電メカニズムは、pn接合型光電変換素子と異なり、光の捕捉と電子伝導が別々の場所で行われ、植物の光電変換プロセスに非常に似たものとなっている。
このような色素増感型太陽電池において、透明基板としては、高強度であるなどの観点から、ガラス製基板が広く使用されている。
ところで、上記のような金属電極基板と透明電極基板との周縁部(封止領域)を接合する封止材としては、各種の合成樹脂、特にヒートシール可能な熱可塑性樹脂や接着剤樹脂などが使用されている(特許文献1,2参照)。
特開平01−220380号 特開2007−311218号
ところで、上記の透明電極基板としては、ガラス製基板が広く使用されているが、ガラス製基板を用いた場合には、金属電極基板の材質や電池の構造等に大きな制限を受けるという問題がある。即ち、金属電極基板の中には、ガラス製基板との熱膨張係数が大きく異なるものがあり、このような金属電極基板をガラス製基板と組み合わせて使用すると、この太陽電池が熱履歴を受けたとき、両基板を接合している封止材に大きな剪断応力が発生し、この結果、セルの割れが発生したり、或いは封止材が剥がれてしまうなどの不都合が生じてしまうという問題がある。このような不都合が生じると、当然ながら、電解質層を形成している電解液が漏洩してしまい、電池としての機能が損なわれてしまうこととなる。例えば、アルミニウム製基板の線膨張係数は、約23ppm/℃であり、Znは約33ppm/℃、ステンレススチール(SUS304)及び銅は約17ppm/℃、鉄は約12ppm/℃、ニッケルは約11ppm/℃であるのに対し、石英ガラスの線膨張係数は0.5ppm/℃、パイレックスガラスでは3.3ppm/℃、最も線膨張係数が大きい青板ガラスで9ppm/℃であり、特に軽量で安価であるとの観点から金属基板として有用なアルミニウム製基板やステンレススチール製基板などは、ガラス製基板との熱膨張係数が大きく異なっているため、上記のような問題を生じ易い。
また、熱膨張係数差による問題を解決するためには、封止材の応力吸収能を高めることが考えられる。封止材の応力吸収能を高めるには、封止材の幅や厚み(高さ)を大きくすればよいが、封止材の幅を大きくすることは、透明電極基板や金属基板の大面積化をもたらし、不必要に電池を大型化することとなり、実用性の観点から採用することができない。
また、封止材の厚み(高さ)を大きくすることは、電池の大面積化を回避することは可能であるが、電池の変換効率を低下することがある。即ち、正極側に透明電極基板を配置し、正極側から光照射を行って発電が行われる場合には、封止材の厚みが増大すると、変換効率が低下するという問題が生じてしまう。このような問題は、封止材の厚みの増大に伴って発電領域に形成されている電解質層の厚みが増大することに起因するものであると、本発明者等は推定している。即ち、封止材の厚みを大きくすると、これに伴い、金属電極基板と透明電極基板(ガラス製電極基板)の間隔が大きくなり、この結果、電解質層の厚みが厚くなる。しかるに、透明電極基板側から光が照射されて発電するため、電解質層の厚みが厚くなると、電解質層での光の吸収の度合いが増大し、色素増感半導体層中の色素に照射される光が減衰し、この結果、変換効率が低下することとなるのである。
従って、本発明の目的は、ガラス製電極基板と金属電極基板とが対向して配置されている色素増感太陽電池において、電極基板の大面積化や変換効率の低下を生じることなく、ガラス製電極基板と金属電極基板との熱膨張差に起因するセルの割れや封止材の剥がれなどの不都合が有効に回避され、電池として安定に機能し得る色素増感太陽電池を提供することにある。
本発明によれば、互いに対向するように配置された電極基板を備え、両電極基板間には、電解質層と色素で増感された半導体多孔質層とからなる発電領域と、該発電領域の周囲に位置し且つ両電極基板を結合している封止材からなる封止領域とが形成されており、前記電極基板の一方が透明基板である色素増感太陽電池において、
他方の電極基板の表面に線状または格子状の溝が形成されており、前記一方の電極基板と前記他方の電極基板は熱膨張係数の異なる材料で形成されていることを特徴とする色素増感太陽電池が提供される。
本発明の色素増感太陽電池においては、
(1)前記が封止領域となる部分に形成されていること、
という態様を採用することができ、また、
)前記他方の電極基板がアルミニウム製基板であり、前記一方の電極基板がガラス基板であること、
が好適である。
本発明の色素増感太陽電池では、透明な電極基板に対向している他方の電極基板(例えば金属基板)の表面に熱による膨張収縮を吸収する線状または格子状の溝(以下、これを凹部と呼ぶことがある。)が形成されている点に顕著な特徴を有している。即ち、このような凹部が形成されている他方の電極基板面上に発電領域及び/または封止領域が形成されて透明な電極基板が対向している構造を有しており、かかる凹部の形成により、透明な電極基板に比して大きな熱膨張を有している他方の電極基板の熱による膨張収縮が有効に抑制され、この結果、周囲の温度変化などに起因する熱履歴によるセルの破壊や封止材の剥がれなどの不都合を確実に防止することができる。
しかも、上記の利点は、封止材の幅を大きくすることによってもたらされるものではないため、電極基板の大面積化を有効に回避することができるばかりか、発電領域での両電極基板間の間隔を大きくする必要も無いため、電解質層の厚み増大による変換効率の低下も有効に回避することが可能となる。
<電池の構造>
本発明の色素増感太陽電池の代表的な概略断面構造を示す図1を参照して、この太陽電池は、従来公知のものと同様、金属電極基板1と透明電極基板3(具体的にはガラス基板)とが、色素増感半導体多孔質層5と電解質層7とを間に挟んで対峙した構造を有しており、金属電極基板1と透明電極基板3との周縁部分は、電解質層7が漏洩しないように、封止材9で封止されている。即ち、色素増感半導体多孔質層5と電解質層7とを間に挟んで金属電極基板1と透明電極基板3とが対峙している領域が発電領域Xとなっており、封止材9で封止されている領域が封止領域Yとなっている。
本発明においては、色素増感半導体多孔質層5が形成される側の金属電極基板1の表面に、この金属電極基板1の表面には、この金属電極基板1の熱による膨張収縮を吸収するための凹部が形成されている。即ち、この金属電極基板1は、透明電極基板3に比して線熱膨張係数が大きく、従って、温度変化を生じた場合、金属電極基板1と透明電極基板3との間に熱膨張差による応力が発生し、これがセルの破壊や封止材9の変形などをもたらしてしまう。しかるに、本発明においては、金属電極基板1の表面に凹部が形成されており、金属電極基板1の熱による膨張収縮が吸収されるため、金属電極基板1と透明電極基板3との間での熱膨張差による応力が有効に緩和され、温度変化によるセル破壊や封止材9の変形等を有効に防止することができるのである。
尚、上記のような凹部を、透明電極基板3の表面に設けることも考えられるが、この場合には、透明電極基板3から光が照射されて発電が行われるため、凹部が形成されている部分とそうでない部分とで照射される光の強度等が異なったものとなってしまい、発電特性に悪影響を与えるため妥当でない。
本発明において、凹部(線状または格子状の溝)、一般的には、発電特性や強度等への影響を回避するため、カッティングあるいはプレスなどによるスリット加工によって線状に形成することが好ましく、この金属電極基板1の形状に応じて、熱による膨張収縮を効果的に吸収し得るように、種々のパターンで形成される。図2には、金属電極基板1の表面に形成された線状凹部(図2では20で示されている)の形状パターンが示されている。
例えば、図2(a)は、金属電極基板1が短冊形状(長方形状)に形成されているときに好適な線状凹部20のパターンを示すものであり、その長辺と直角方向に延びている線状凹部20が一定の間隔で、金属電極基板1の表面の全体にわたって形成されている。
また、図2(b)は、金属電極基板1が正方形状に形成されているときに好適な線状凹部20のパターンを示すものであり、その4辺のそれぞれと直角方向に延びている線状凹部20が一定の間隔で、金属電極基板1の表面の全体にわたって格子状に形成されている。
本発明において、上記のように金属電極基板1の全面にわたって形成される線状凹部20は、通常、その幅が0.01mm乃至10mm、隣り合う線状凹部20間の間隔(ピッチ)pが0.1mm乃至50mm、線状凹部20の深さは1μm乃至0.2mm(基板の板厚による)の範囲に設定されていることが好ましく、この範囲内で、透明電極基板3と金属電極基板1との線熱膨張係数の差に応じて、金属電極基板1の熱による膨張収縮が適度な範囲に抑制されるように、線状凹部20の大きさや数を設定することが好適である。即ち、線状凹部20の幅が必要以上に大きいと、凹部20が形成されている部分とそうでない部分とで発電特性が異なったものとなり、発電にバラツキを生じるおそれがあり、さらに、線状凹部20の幅が小さすぎると、熱による膨張収縮を効果的に吸収するためには、ピッチpを小さくし、線状凹部20の本数を多くしたり、或いは線状凹部20の深さを必要以上に深くすることが必要となり、この結果、金属電極基板20の強度低下などを引き起こしてしまうおそれがあるからかである。
さらに、図2(a)及び(b)の例は、線状凹部20を金属基板1の全面にわたって形成されており、発電領域X及び封止領域Yの何れにも線状凹部20が形成されているが、発電領域Xには、線状凹部20を形成しない方が好ましい場合がある。例えば、金属電極基板20の表面に、化成処理を行い、この化成処理によって逆電子防止層を形成し、この逆電子防止層上に色素増感多孔質層5を形成することがある。この逆電子防止層は、金属電極基板1に比して高抵抗の金属乃至金属酸化物からなる層であり、逆電流を阻止し、有効な整流障壁となるばかりか、耐腐食性を有するものであり、電解質層7からの液の浸透による金属電極基板1の腐食を防止する機能も有している。即ち、このような逆電子防止層が化成処理によって金属電極基板1の表面に形成されている場合、この逆電子防止層に線状凹部20が形成されることとなるが、逆電子防止層が薄層であるため、線状凹部20の形成により、逆電子防止層に要求される特性が損なわれてしまい、例えば、電解質層7からの電解液の浸透により金属電極基板1の腐食を生じてしまう。このような場合には、図2(c)及び図2(d)に示されているように、発電領域Xには、線状凹部20を形成せず、封止領域Yにのみ線状凹部20を形成することが好適である。
即ち、図2(c)では、金属電極基板1が、図2(a)と同様、短冊形状に形成されているが、この場合には、この金属電極基板1の周縁部の封止領域Yにのみ、その長辺と直角方向に延びている線状凹部20が一定の間隔で形成されている。
また、図2(d)では、金属電極基板1が、図2(b)と同様、正方形状に形成されているが、この場合には、この金属電極基板1の周縁部の封止領域Yにのみ、その4辺に対して直角方向に延びている線状凹部20が一定の間隔で格子状に形成されている。
このように、封止領域Yにのみ線状凹部20を形成することにより、例えば逆電子防止層が金属電極基板1の表面に形成される場合においても、逆電子防止層の機能を低減することなく、金属電極基板1の熱による膨張収縮を吸収し、温度変化によって熱金属電極基板1と透明電極基板3との間に発生する熱応力を有効に緩和し、セル破壊や封止剤9の変形などを効果的に防止することができる。
尚、図2(c)及び(d)の例では、封止領域Yにのみ形成されている線状凹部20により熱による膨張収縮を吸収させるわけであるから、形成される線状凹部20の数は、全面に形成する場合よりも多く設定することが好ましく、例えば、線状凹部20の幅や深さは前記と同様の範囲であってよいが、線状凹部のピッチpは0.01mm乃至30mm程度の範囲内であることが好適である。この場合には、線状凹部20は封止領域Yにのみ形成されるため、その数が増大した場合にも、発電特性に悪影響は与えず、また強度に与える影響も少ないからである。
本発明において、上記のような金属電極基板1は、その表面に凹部が形成されていることを除けば、それ自体公知の色素増感太陽電池に使用されているものと同じであってよく、例えば、光不透過性であり、低電気抵抗の金属材料から形成されたものであれば特に制限されない。例えば、6×10−6Ω・m以下の比抵抗を有する金属乃至合金、例えばアルミニウム、鉄(スチール)、銅、ニッケルなどが金属電極基板1として使用される。また、金属電極基板1の厚みは特に制限されず、適度な機械的強度が保持される程度の厚みを有していればよい。本発明においては、金属電極基板1がアルミニウム、ステンレススチール(SUS304)、銅等のガラス基板と線熱膨張係数が大きく異なる材料を用いた場合にも熱履歴に起因する種々の不都合を回避することができ、特に軽量であり且つ安価なアルミニウム製基板を金属電極基板1として用い得ることは、本発明の大きな利点である。
また、先にも述べたように、金属電極基板1上には逆電子防止層(図1では省略されている)が必要により形成されるが、かかる逆電子防止層は、例えば特開2008−53165号などに開示されているものであり、化成処理、めっき法、クラッド法などにより、金属電極基板1の材質に応じて適宜の組成のものとすることができ、通常、1000nm以下、特に5〜500nm、最も好ましくは5乃至100nm程度の厚みに形成される。このような逆電子防止層を金属電極基板1の表面に形成した場合には、封止領域Yにのみ、線状の凹部20を形成した方が好ましいことは、既に述べた通りである。
再び、図1に戻って、上記のような金属電極基板1の表面の発電領域Xとなる部分(中央部分)には、色素増感半導体多孔質層5が形成されている。この色素増感半導体多孔質層5は、色素増感太陽電池において従来から使用されており、酸化物半導体層に色素を吸着担持させたものである。
色素を吸着担持させる酸化物半導体多孔質層は、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステンなどの金属の酸化物、或いはこれら金属を含有する複合酸化物、例えばSrTiO、CaTiOなどのペロブスカイト型酸化物などにより形成され、その厚みは、通常、3乃至15μm程度である。
また、かかる酸化物半導体の多孔質層は、色素を担持させるため、多孔質であることが必要であり、例えば、アルキメデス法による相対密度が50乃至90%、特に50乃至70%程度であることが好ましく、これにより、大きな表面積を確保し、有効量の色素を担持させることができる。
このような酸化物半導体多孔質層は、例えば上述した酸化物半導体の微粒子を、有機溶媒やキレート反応性を有する有機化合物に分散させて調製したペースト、若しくは、チタンアルコキシド(例えばテトライソプロポキシチタンなど)等のバインダー成分とともに有機溶媒中に分散させたスラリー乃至ペーストを金属基板21上に塗布し、600℃以下の温度で、前述した相対密度となる程度の時間、焼成することにより容易に形成することができる。即ち、焼成により、上記バインダー成分のゲル化(脱水縮合)により形成されたTiOゲルが半導体微粒子同士を接合し、多孔質化される。
尚、上記のようなスラリー乃至ペーストの形成に用いる半導体微粒子は、多孔質化の点で、その粒径が5〜500nm、特に5〜350nmの範囲にあるのがよい。また、キレート反応性の有機化合物としては、β−ジケトン、β−ケトアミン、β−ケトエステルが代表的であり、易揮発性であれば特に制限なく使用することができるが、β−ジケトンであるアセチルアセトンが特に好適であり、半導体微粒子重量に対して5乃至35重量%の量で使用するのがよい。また、バインダー成分のチタンアルコキシドは、二酸化チタン微粒子100重量部当り、10乃至60重量部、特に20乃至50重量部の量で使用するのがよく、有機溶媒としては、易揮発性であれば特に制限なく使用することができるが、一般的には、炭素数が4以下の低級アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノールなどが好適であり、これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせた混合溶媒の形で使用することもできる。有機溶媒量は、スラリー乃至ペーストが適度なコーティング性を示す程度の量で使用すればよく、一般的には、スラリー乃至ペーストの固形分濃度が、5乃至50重量%、特に15乃至40重量%の範囲となる程度の量で使用するのがよい。溶媒量が多すぎると、スラリー乃至ペーストが低粘性となり、垂れ等により安定な厚みのコーティング層を形成することが困難となり、また、溶媒量が少ないと、高粘性となり作業性が低下してしまうからである。
上記のようにして形成される酸化物半導体多孔質層に吸着させる色素は、この多孔質層に色素溶液を接触させることにより、吸着担持される。色素溶液の接触は、通常は、ディッピングにより行われ、吸着処理時間(浸漬時間)は、通常、30分〜24時間程度であり、吸着後、乾燥して色素溶液の溶媒を除去することにより、表面及び内部に増感色素が吸着担持された色素増感半導体多孔質層5が形成される。
用いる色素は、増感色素として機能し得るものであり、カルボキシレート基、シアノ基、ホスフェート基、オキシム基、ジオキシム基、ヒドロキシキノリン基、サリチレート基、α−ケト−エノール基などの結合基を有するそれ自体公知のものが使用される。例えばルテニウム錯体、オスミウム錯体、鉄錯体などを何ら制限なく使用することができる。特に幅広い吸収帯を有するなどの点で、ルテニウム−トリス(2,2’−ビスピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)、ルテニウム−シス−ジアクア−ビス(2,2’−ビスピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)などのルテニウム系錯体が好適である。このような増感色素の色素溶液は、溶媒としてエタノールやブタノールなどのアルコール系有機溶媒を用いて調製され、その色素濃度は、通常、3×10−4乃至5×10−4mol/l程度とするのがよい。
また、透明電極基板3は、ガラス製であり、この基板側から光が照射されて発電領域Xで発電が行われる。このようなガラス製の透明電極基板3の上には、透明導電膜11と電子還元性導電層13とが、この順に形成されている。
ガラス製の透明電極基板3としては、高い光透過性を有している限り、特に制限されず、石英ガラス、パイレックスガラス等、任意のガラス材料から形成されているものを使用することができ、また、その厚みや大きさは、最終的に形成される色素増感太陽電池の用途に応じて適宜決定される。
上記の透明電極基板3の上に形成される透明導電膜11としては、酸化インジウム−酸化錫合金からなる膜(ITO膜)、酸化錫にフッ素をドープした膜(FTO膜)などが代表的であるが、電子還元性が高く、特にカソードとして望ましい特性を有していることから、ITO膜が好適である。これらは蒸着により上記の透明電極基板3上に形成され、その厚みは、通常、500nm乃至700nm程度である。
また、上記の透明導電膜11上に形成される電子還元導電層13は、一般に白金の薄層からなり、透明導電膜11に流れ込んだ電子を電解質層7に速やかに移行せしめる機能を有するものである。このような電子還元導電層13は、光透過性が損なわれないように、その平均厚みが0.1乃至1.5nm程度となるように蒸着により薄く形成される。
上述した金属電極基板1とガラス製の透明電極基板3との間に配置され、発電領域Xを形成する電解質層7は、公知の太陽電池と同様、リチウムイオン等の陽イオンや塩素イオン等の陰イオンを含む種々の電解質溶液により形成される。また、この電解質層7中には、酸化型構造及び還元型構造を可逆的にとり得るような酸化還元対を存在させることが好ましく、このような酸化還元対としては、例えばヨウ素−ヨウ素化合物、臭素−臭素化合物、キノン−ヒドロキノンなどを挙げることができる。このような電解質層7は、発電領域Xの周縁に位置する封止領域Yに設けられる封止材9により封止され、電極間からの液の漏洩が防止されることとなるわけである。一般に、このような電解質層7の厚みは、最終的に形成される電池の大きさによっても異なるが、10μm以下程度である。
封止材9としては、ヒートシール可能な各種の熱可塑性樹脂乃至熱可塑性エラストマー、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム乃至ブロック共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキサイド;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;酸化澱粉、エーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉;及びこれらの混合物からなる樹脂;などが使用される。
即ち、封止材9は、上記の熱可塑性樹脂等を用いての押出成形、射出成形等によって、封止領域Yに対応する幅のリング形状に成形することにより得られ、この封止材9を、互いに対抗して配置された金属電極基板1とガラス製の透明電極基板3との間に挟んだ状態でヒートシール(加熱圧着)することにより、金属電極基板1と透明電極基板3とが接合され、次いで、この封止材9に注入管を挿入し、該注入管を介して、金属電極基板1と透明電極基板3との間の空間内に、電解質層7を形成する電解質溶液を注入することにより、図1に示す構造の色素増感太陽電池を得ることができる。
尚、リング状に成形された封止材9をヒートシールするにあたっては、封止材9と金属電極基板1或いは透明電極基板3との接合面に、予め接着剤樹脂、例えば無水マレイン等の不飽和カルボン酸でグラフト変性された不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂などを塗布し、かかる接着剤樹脂を介してのヒートシールにより封止材9を接合することができる。
尚、上述した例においては、金属電極基板1の表面に色素増感半導体多孔質層5が形成され、電解質層7を挟んで色素増感半導体多孔質層5に対面するようにガラス製の透明電極基板3が配置された構造となっており、金属電極基板1が負極として機能し、光が照射されるガラス製の透明電極基板3が正極として機能する構造となっている。しかるに、本発明は、このような態様に限定されず、例えば、上記の例とは全く逆に、ガラス製の透明基板の上に透明導電膜を形成して負極として機能する電極基板とし、この電極基板の表面に色素増感半導体多孔質層を形成し、電界質層を間に挟んで色素増感半導体多孔質層の対面するように、正極として機能する金属電極基板を対峙させる構造に、本発明を適用することも可能である。
即ち、上記の態様においては、負極側から光を照射することにより発電が行われるが、この場合には、正極として機能する金属製電極基板の表面に、前述した線状の凹部が形成されることとなり、このような電池構造においても、ガラス製の透明電極基板(負極)と金属電極基板(正極)との間に、両電極基板の線熱膨張係数差に起因して温度変化により両電極基板の間に生じる熱応力を有効に緩和し、セル破壊や封止材の変形を有効に防止することが可能となる。
本発明を次の実験例により説明する。
(実験例1)
金属基板として、市販のアルミニウム板(幅20mm、長さ70mm、厚み0.3mm)を用意し、このアルミニウム板をポンチによる押圧にて深さ10〜30μm、幅0.5mm、ピッチ10mmのスリット加工を行った。
こうして得られたスリット加工を施した金属基板を十分に洗浄乾燥した後、酸化チタンペーストを金属基板中央部に10mm×60mmの面積でスクリーン印刷により塗布し、420℃で30分において電気炉で熱処理を行い、酸化チタン多孔質膜を形成した。得られた酸化チタン多孔質膜の厚さは、ほぼ10μmであった。
酸化チタンペーストは、球状の粒径30nmと多面体状の粒径15nmの市販TiO粒子2種類を主剤とし、溶媒として、テルピオネールを、ペースト中60重量%の量、バインダー剤として、エチルセルロースを、粘度が5〜15cPとなるように調整したものを使用した。
上記の酸化物半導体層を有機色素である三菱製紙株式会社製のD149色素を含む溶液中に4時間程度浸して、次いで乾燥することにより、酸化チタン微粒子に色素を修飾して負極電極とした。
一方、ガラス基板上にスパッタ法により製膜した白金を持つFTOを対向電極(正極)として使用し、厚さ50μmのポリプロピレン樹脂から成る封止材を用いて、ヒートシールにより封止した。
作成した金属電極基板とガラス電極基板との間に電解質液を挟み込んで色素増感型太陽電池を作成した。尚、電解質液としては、LiI/I(0.5mol/0.25mol)をメトキシプロピオニトリルに溶かしたものに4−tert−ブチルピリジンを添加したものを用いた。
得られた太陽電池の反りを測定したところ、金属基板の反りは約0.03mmであった。変換効率を測定したところ、以下のような結果となった。
変換効率 : 4.0%
FF(内部抵抗) : 0.58
SC(短絡電流密度) : 10.7mA/cm
OC(開放電圧) : 0.64V
(実験例2)
金属基板として、市販のアルミニウム板(幅20mm、長さ70mm、厚み0.3mm)を用意し、スリット加工を施さない以外は、実験例1と同様の条件で色素増感型太陽電池を製作した。得られた太陽電池の金属基板の反りを測定したところ、対向しているガラス電極とほぼ接触している状態であった。接触している状態では、太陽電池としての機能を果たさないため、変換効率を測定することはできなかった。
本発明の色素増感太陽電池の代表的な構造を示す図。 本発明にしたがって金属電極基板の表面に形成される凹部の各種パターンを示す図。
符号の説明
1:金属電極基板
3:透明電極基板
5:色素増感多孔質半導体層
7:電解質層
9:封止材
11:透明導電膜
13:電子還元性導電層
20:凹部
X:発電領域
Y:封止領域

Claims (3)

  1. 互いに対向するように配置された電極基板を備え、両電極基板間には、電解質層と色素で増感された半導体多孔質層とからなる発電領域と、該発電領域の周囲に位置し且つ両電極基板を結合している封止材からなる封止領域とが形成されており、前記電極基板の一方が透明基板である色素増感太陽電池において、
    他方の電極基板の表面に線状または格子状の溝が形成されており、前記一方の電極基板と前記他方の電極基板は熱膨張係数の異なる材料で形成されていることを特徴とする色素増感太陽電池。
  2. 前記溝が封止領域となる部分に形成されている請求項1に記載の色素増感太陽電池。
  3. 前記他方の電極基板がアルミニウム製基板であり、前記一方の電極基板がガラス基板である請求項1または2に記載の色素増感太陽電池。
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