JP2010075463A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造、コスト、製造容易性等の点で実用に適した排便表示部を有する吸収性物品を提供する。
【解決手段】背側のエンドフラップ部EF等の適所に、排便の際に発生し、排尿時には発生しない硫化水素やメチルメルカプタンガス、ヘプタンガスと反応することにより変色する酢酸鉛及び酸化クロムの少なくとも一方の変色物質をシートに含み、且つその変色が外面から視認可能な排便表示部35を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関し、特に排便表示部を有するものに関する。
使い捨ておむつ等の吸収性物品においては、排泄の発生を物品外部から視認するための表示部を設けることが提案されている。このような表示部は、一般には、インジケータ又はお知らせマーク等として知られており、例えば現在の乳幼児用使い捨ておむつでは、尿との接触により変色する表示部を設けることは必須といえるほどになっている。
しかし、排尿用表示部が汎用されているのに対して、排便用表示部を備えたものは本発明者の知る限り存在していない。これは、構造、コスト、製造容易性等の点で実用に適した排便表示手段がないためと考えられる。従来例としても、特許文献1に示されるような電気的検知装置や、特許文献2に示されるような微生物を利用した検出手段が提案されている程度である。
もちろん、水様便等の水分の多い便の場合には排尿用表示部による表示は可能であるが、排便との区別がつくわけではない。よって、親が排便に容易に気付くことができず、交換が遅れ、スキントラブルなどの原因となることがある。
特開2002−301098号公報 特開2003−520615号公報
そこで、本発明の主たる課題は、構造、コスト、製造容易性等の点で実用に適した排便表示部を有する吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
酢酸鉛及び酸化クロムの少なくとも一方の変色物質を含み、且つその変色が外面から視認可能な排便表示部を備えた、ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
排便の際に発生する臭気には、排尿時には発生しない硫化水素やメチルメルカプタンガス、ヘプタンガスが含まれており、本発明の排便表示部はこの排便臭気成分と接触することにより変色する。より詳細には、硫化水素ガスおよびメチルメルカプタンガスが酢酸鉛と反応すると、下記反応式のように硫化鉛が生成し、この反応で酢酸鉛が白色からピンク色(硫化鉛)に変色する。
2S+Pb(CH3CO22→PbS+2CH3COOH(酢酸)
また、下記反応式に示すとおり、ヘプタンガスが酸化クロム(6価)と還元反応すると、3価クロムの生成により、橙色から黄緑色へ変色する。
CH3(CH2)4CH3+Cr6++H2SO4→Cr3+
これらの物質は単独でも、また混合して用いることもできるが、酢酸鉛は、より低濃度の臭気ガスで変色する利点がある。
かくして、本発明によれば、排便表示部が排便臭気との接触により変色し、これが物品外面から視認可能であるため、この表示部の変色を見ることにより、物品内部を見なくても排便の発生を知ることができるようになる。しかも、本発明では、変色物質を備えるだけで済むため、構造、コスト、製造容易性等の点で非常に実用に適していることはいうまでもない。
<請求項2記載の発明>
腹側部分から股間部を通り背側部分まで延在する吸収体と、この吸収体の前後各側に延出するエンドフラップ部とを有する使い捨ておむつであって、
前記エンドフラップ部は複数枚のシートを貼り合わせて形成されており、このエンドフラップ部の領域内における前記シート間に前記排便表示部が設けられている、請求項1記載の吸収性物品。
(作用効果)
一般的な使い捨ておむつに本発明の排便表示部を設ける場合、上記のようにエンドフラップ部に設けることにより、股間部側から立ち上る臭気に対して変色物質が効果的に接触できる。また、エンドフラップ部は尿や便と接触し難い部位であるため、当該部位に排便表示部を設けると、変色物質が尿や便と接触して漏れ出るといったことが起こり難い。
<請求項3記載の発明>
前記エンドフラップ部の領域内における前記シート間に、前記排便表示部が設けられたシートが挟持されている、請求項2記載の吸収性物品。
(作用効果)
このように排便表示部を設けたシートを別途配置することにより、排便表示部の形成に適切な素材を用いて所望の部位に設けることができる。例えば、印刷により排便表示部を設ける場合、既存のおむつの構成部材に印刷することもできるが、上記のように排便表示部を設けたシートを別途配置することにより、印刷適性に優れた素材を使用できる。
<請求項4記載の発明>
前記エンドフラップ部における少なくとも吸収体側端部は、折り線が縦方向に沿う蛇腹状となるように折り畳まれるとともに、この折り畳み部分の各対向面相互が、当該対向面間に縦方向に連通する隙間が形成されるように接合されている、請求項2又は3記載の吸収性物品。
(作用効果)
このような隙間を形成することにより、排便位置から立ち上る臭気を股間部近傍から排便表示部に効率良く通気させ、変色を促進させることができる。
<請求項5記載の発明>
前記排便表示部は、前記変色物質の粒子を含むインクを用いた印刷により形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
変色物質は、どのような形態で含有させても良いが、上記のように粒子状のものをインクに混合し、物品の適所に印刷する形態が製造容易であるため好ましい。
<請求項6記載の発明>
前記排便表示部の面積は、200〜5000mm2であり、
前記粒子は、粒径が1.1〜10.0μmのものを90重量%以上含むものであり、
前記インクは、前記粒子を5〜20重量%含むものであり、
前記印刷におけるインク塗布量が1.0〜2.0g/m2である、
請求項5記載の吸収性物品。
(作用効果)
表示部の実施態様は適宜定めれば良いが、変色物質が上記粒子径を有していると、上記インク塗布量における塗布層の厚み(1.0〜2.0μm程度)に対して十分大きなものとなっているため、インク塗布層の外面に変色物質粒子が露出しやすくなり、表示機能が確実かつ十分に発現するため好ましい。
<請求項7記載の発明>
物品表面に対して着脱自在に取り付けられる排便表示シートを備えており、この排便表示シートに前記排便表示部が設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
排便表示部を、物品表面に対して着脱自在に取り付けられる排便表示シートに設けることにより、使用者が所望の部位に排便表示部を取り付けることができるため好ましい。なお、物品表面とは、外面のみならず内面(排泄物や肌と接触する側の面)も含むものである。
<請求項8記載の発明>
前記排便表示部が消臭物質を含むものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
このように、排便表示部に消臭物質を含ませることにより、変色反応に使われなかった臭気を消臭し、おむつ外部への放出を防止することができる。
以上のとおり、本発明によれば、構造、コスト、製造容易性等の点で実用に適した排便表示部を有する吸収性物品となる、等の利点がもたらされる。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
<パンツタイプ使い捨ておむつの実施形態>
図1〜図10は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつは、製品外面(裏面)をなす外装シート12と、外装シートの内面に貼り付けられた内装体200とから構成されているものである。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装シート12は着用者に装着するための部分である。なお、断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。なお、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、本発明の本体部に相当するものである。符号40は、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、表面シート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立するバリヤーカフス60を示している。
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
バリヤーカフス60を設ける場合、表面シート30の両側部は、液不透過性シート11とバリヤーカフス60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及びバリヤーカフス60に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
(中間シート)
表面シート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、表面シート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、表面シート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
液不透過性シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
また、液不透過性シート11の内側、特に吸収体56との間に、液分との接触により色が変化する排泄インジケータ80を設けることができる。
(バリヤーカフス)
バリヤーカフス60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態のバリヤーカフス60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、バリヤーカフス60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のバリヤーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸張状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。バリヤーカフス60のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、突出部分66のうち前後方向両端部は、取付部分65から内装体200の側部を通り表面シート30の側部表面まで延在し且つこの表面シート30の側部表面に対してホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる。突出部分のうち前後方向中間部は非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸張状態で固定されている。
バリヤーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。また、図示のように、二つに折り重ねたバリヤーシートの間に防水フィルムを介在させることもできる。
バリヤーカフス60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
バリヤーカフス60の取付部分65の固定対象は、内装体200における表面シート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
かくして構成されたバリヤーカフス60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍においてバリヤーカフス60が幅方向外側に開くように起立するため、バリヤーカフス60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
バリヤーカフス60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図7に示すように、バリヤーカフス60の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、バリヤーカフス60を表面シート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側においてバリヤーカフスを二重に(二列)設けることもできる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図1にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体とバリヤーカフス60の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後から食み出させ、この食み出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(外装シート)
外装シート12は、股間部から腹側に延在する腹側部分Fと、股間部から背側に延在する背側部分Bとを有し、これら腹側部分Fの両側部と背側部分Bの両側部とが接合されて、図8及び図9に示すように、装着者の胴を通すための胴開口部WO及び脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成されているものである。符号12Aは接合部分を示している(以下、この部分をサイドシール部ともいう)。なお、股間部とは、展開状態における腹側部分のウエスト端縁から背側部分のウエスト端縁までの前後方向中央を意味し、それよりも前側の部分及び後側の部分が腹側部分F及び背側部分Bをそれぞれ意味する。
外装シート12は、胴開口部WOから脚開口部LOの上端に至る前後方向範囲として定まる胴周り部Tと、脚開口部LOを形成する部分の前後方向範囲として定まる中間部Lとを有する。胴周り部Tは、概念的に「ウエスト側端部」Wと「胴周り下部」Uとに分けることができる。これらの前後方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト側端部Wは15〜40mm、胴周り下部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間部Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うように括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。この結果、外装シート12は、全体としては略砂時計形状をなしている。外装シート12の括れの程度は適宜定めることができ、図1〜図10に示す形態のように、すっきりとした外観とするために最も幅が狭い部分では内装体200の幅より狭くすることもできるが、最も幅が狭い部分でも内装体200の幅以上となるように定めることもできる。
外装シート12は、図3〜図5に示されるように、二枚のシート基材12S,12Hをホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせて形成されるものであり、内側に位置する内側シート基材12Hはウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側シート基材12Sは内側シート基材12Hのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体20のウエスト側端部上までを被覆するように延在されている。
シート基材12S,12Hとしては、シート基材であれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
また、外装シート12を通して後述する印刷シート25のデザインや排便表示部の変色を製品外面から良好に視認できるように、外装シート12の総目付けは20〜60g/m2程度であるのが好ましく、外装シート12のJIS K 7105に規定される全光線透過率が40%以上、特に50%以上となっているのが好ましい。
そして、外装シート12には、胴回りに対するフィット性を高めるために、両シート基材12S,12H間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸張率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。外装シート12の両シート基材12S,12Hの貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定には種々の塗布方法によるホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
より詳細には、背側部分B及び腹側部分Fのウエスト端部(上端部)Wにおける内側シート基材12Hの内側面と外側シート基材12Sの折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性伸縮部材17,18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。また、ウエスト部弾性伸縮部材17,18のうち、胴周り下部Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト弾性伸縮部材17,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸張率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、ウエスト部弾性伸縮部材17,18は、その全てが同じ太さと伸張率にする必要はなく、例えばウエスト側端部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸張率が異なるようにしてもよい。
また、腹側部分F及び背側部分Bの胴周り下部Uにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の細長状弾性伸縮部材15,19が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
胴回り下部Uの細長状弾性伸縮部材15,19としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸張率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
また、腹側部分F及び背側部分Bの中間部Lにおける内側シート基材12Hの外側面と外側シート基材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の細長状弾性伸縮部材16が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
中間部Lの細長状弾性伸縮部材16,18としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸張率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
なお、図示のように、胴回り下部U及び中間部Lの細長状弾性伸縮部材15,19,16,18が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200が幅方向に必要以上に収縮することがなく、モコモコと見た目が悪かったり吸収性が低下したりすることがないため好ましい。この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が切断され、伸縮力が作用しない(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)ように構成されている形態も含まれる。もちろん細長状弾性伸縮部材15,19,16,18の配設形態は上記例に限るものではなく、胴回り下部Uの幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、胴回り下部Uの細長状弾性伸縮部材15,19,16,18の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
また、細長状弾性伸縮部材15〜19が後述する印刷シート25を横切る場合において、細長状弾性伸縮部材15〜19として酸化チタンを含有するゴムを用いる場合には、酸化チタンの含有量が低い(例えば2%以下の)ものあるいは酸化チタンを含有しないものを用いるのが好ましい。
(後処理テープ)
外装シート12の背側部分Bの外面における幅方向中央部には、後処理テープ70(固定手段)が設けられている。後処理テープ70は、おむつを表面シート30が内側になるとともに腹側部分Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で固定するためのものである。一般的な後処理テープ70は、幅が5〜15mm程度、長さが100〜200mm程度の細帯状で、基端部が外装シート12の外面に接着剤等により固定されるとともに、この固定部よりも先端側の部分は三つ折り(断面Z字状)や二つ折りで長さ40〜80mm程度に折り畳まれて、折り重なり部分間が接着剤により剥離可能に固定(仮固定)されている。廃棄時には、おむつを表面シート30が内側になるとともに腹側部分Fが内側となるように丸め若しくは折り畳んだ後、後処理テープ70の折り重なり部分を剥離して展ばし、丸めた若しくは折り畳んだおむつの背側部分Bからウエスト開口部WOを越えて反対側の外面まで巻き付けるようにして接着剤により固定する。後処理テープ70は、不使用時にはコンパクトに折り畳まれ、使用時には長尺状に展開できる三つ折り形状のものが特に好適である。
また、外装シート12の外面に固定される基端部を有さない、全体がおむつ表面に対して着脱自在に取り付けられる後処理テープ70としてもよい。このような形態である場合は、後処理テープ70は基材シートとメカニカルファスナーのフック材とから構成されることが好ましく、形状は細帯状に限るものではなく、矩形や円形、その他の図形など、適宜の形状とすることができ、寸法は縦横それぞれ20〜100mm程度で、面積は1000〜5000mm2程度とすることができる。
なお、後処理テープ70等の固定手段は、腹側部分Fに設けてもよく、背側部分Bと腹側部分Fの両方に設けたり、幅方向中央部ではなく左右両側に設けたりしてもよい。
(外装シート分割構造)
図示例では、腹側部分Fから背側部分Bまでを一体的な外装シート12により連続的に覆っているが、外装シートが、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シートと背側を覆う背側外装シートとに分割されており、腹側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シートの幅方向中央部内面に内装体の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シートと背側外装シートとが股間側で連続しておらず、離間されている形態も採用することができる。この離間距離は150〜250mm程度とすることができる。この場合、内装体における液不透過性シートの裏面には、内装体の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シートと背側外装シートとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シートを固定することもできる。股間部外装シートとしては、前述した外装シートに用いられるものと同様の資材を用いることができる。
(印刷シート)
液不透過性シート11と外装シート12との間(外装シート12の層間を含む)には、印刷によりデザインの施された印刷シート25が設けられている。図示例の印刷シート25は、腹側部分F及び背側部分Bに個別に設けられているが、腹側部分Fから股間部を通り背側部分Bまで一体的に連続するように設けることもできる。
印刷シート25のシート基材としては、プラスチックフィルムや不織布、紙などを用いることができるが、嵩高く通気性の高い素材が好ましい。プラスチックフィルムを用いる場合は、ムレ防止のため透湿性を有することが望ましい。不織布や紙は透湿性を有するため好ましいが、不織布を用いる場合は平滑性が高く印刷しやすいもの、紙を用いる場合は強度が高くインクの滲み難いものを用いるのが好ましい。特に好ましいものとしては、目付け15〜35g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度のクレープ紙(薄葉紙)や、目付け10〜25g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度の不織布(特にスパンボンド部の繊度が1.0〜3.0dtex程度のスパンボンド不織布やSMS不織布)を挙げることができる。クレープ紙を用いる場合は、クレープ率は5〜20%程度、特に5〜15%程度のものを用いるのが好ましい。クレープ率が20%以上であると、インクの定着量は大きくなるが滲みが生じてデザイン印刷には適さない。クレープ率が5%以下であるとインクが浸透しにくいため定着量が少ない。印刷シート25のシート基材が通気性を有する繊維集合体であると、基材自体が臭気吸着により若干の消臭効果を発揮できるとともに、基材の表面積が大きく通気性があることから後述する消臭粒子と臭気との接触確率が向上し、消臭効率が向上するため好ましい。
印刷シート25の寸法・形状は特に限定されないが、後述するように印刷シート25に消臭機能を持たせる場合には十分に面積を大きくするのが好ましく、例えば、印刷シート25の幅25Xは吸収体56の幅の50〜120%程度であるのが好ましく、印刷シート25の長さ25Yは少なくとも腹側及び背側の片側で物品全長Yの15〜30%程度であるのが好ましい。また、印刷シート25の形状はトリムロスが発生しない点では図示例のような矩形であるのが好ましいが、円形や楕円形、三角形、六角形等の幾何学形状、若しくはデザインの周囲に沿う形状にカットしても良い。
印刷シート25のシート基材には、臭気を物理吸着する多孔質消臭粒子を、インクを接着手段として接着することができる。印刷シート25は液不透過性シート11の裏面側に位置するため、使用後(吸収後)であっても消臭粒子の細孔が排泄物の液分により満たされてしまうことがなく、使用量に見合った消臭効果が発揮される。なお、消臭粒子の細孔にインクの溶剤等が入ったとしても、インクが乾燥した後には細孔が復活(賦活化)するため、インクの影響による消臭効果の低減は殆ど無い。また、既存設備を用いて容易に製造することができるという利点もある。
消臭粒子としては、多孔質の細孔で臭気分子を物理吸着(表面吸着)するものであれば、物理吸着のみを行うものでも化学吸着機能を併せ持つものでも特に限定されないが、インクにより接着し易いように、また異物感をもたらさないように、平均粒径(JIS K 1474−2007に規定されるメジアン径)が通常0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μm、特に好ましくは1.5〜3.0μmのものを用いる。平均粒径が小さ過ぎると取り扱いが困難となり、平均粒径が大き過ぎると表面積の減少により消臭効果が低下する。ゼオライトのような多孔質粒子の細孔径は、表面積の観点から、通常1〜10オングストローム、特に3〜10オングストロームであるのが好ましい。細孔径が大き過ぎると表面積減少により効果が低下し、小さすぎると分子径の大きな臭気発生物質の吸着能が低下する。同様に、嵩密度/真密度は0.1〜0.3程度が好ましい。このような多孔質消臭粒子は、特に吸収性物品の廃棄時に問題となる臭気成分、具体的にはアンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸等の吸着性能に優れる点で好ましい。また、上記のような消臭粒子を用いる場合、印刷シートの消臭粒子を有する部分における単位面積当たりの消臭粒子含有量が0.01g/m2以上、特に0.03〜0.1g/m2程度であるのが好ましい。
消臭粒子の構成物質は活性炭、ゼオライト等、公知の多孔質粒子を用いることができる。ゼオライトとしては、天然および合成ゼオライトのどちらも用いることができるが、コストおよび入手安定性の観点から合成ゼオライトが好ましい。ゼオライトは、三次元骨格構造をもつアルミノシリケートであり、一般式M2/n0・・Na2O・Al23・2.5SiO2・xH2Oで表されるものを好適に用いることができる。式中のxは結晶水の数を表す整数である。Mは陽イオンであり、陽イオンMとしては、銀イオンおよび亜鉛イオンを含むものが好適である。他の陽イオンの種類としては、アルカリ金属( ナトリウムイオン、カリウムイオン) 、アルカリ土類金属( カルシウムイオン、マグネシウムイオン) 、アンモニウムイオンなどが挙げられる。上式中のnは陽イオンの原子価である。ゼオライトの具体例としては、例えばA型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、T型ゼオライト、高シリカゼオライトなどが挙げられ、消臭効果が優れるという点でA型ゼオライト、X型ゼオライトおよびY型ゼオライトが好ましく、なかでもA型ゼオライトが特に好ましい。
吸収性物品には衛生的であることが求められるため、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなるゼオライト粒子(以下、これを抗菌消臭性ゼオライトという)も好適である。このようなゼオライト粒子の市販品としては(株)シナネンゼオミック社のゼオミック(登録商標)を例示することができる。また銀イオンを含む消臭粒子は、硫化水素やメチルメルカプタン等の硫黄系の臭気成分を化学吸着することができ、より優れた消臭効果が発揮される。
消臭粒子に銀イオンが含有されている場合、湿度、太陽光、蛍光、Noxなどで黄色く変色するおそれがある。よって、消臭粒子として、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなるゼオライト粒子を用いる場合、次の(イ)〜(ハ)の少なくとも一つの構成を採用するのが好ましい。
(イ)印刷シート25における単位面積当たりの銀イオンの含有量を0.3mg/m2以下に抑える。これにより、変色の程度を抑えることができる。
(ロ)消臭粒子の接着手段としてのインクに黄色のインクを用いる。これにより、変色を目立ち難くすることができる。
(ハ)印刷シート25のシート基材のJIS K7105に規定される全光線透過率が50%以下、特に40%以下とし、液不透過性シート11側面にのみ消臭粒子を付着させる。これにより、変色が製品外面からは目立ち難くなる。(ハ)の場合は、シートの目付けや地合いの調整により全光線透過率を低く抑えてもよいが、白色その他のインクを全面に印刷(下地印刷)することで全光線透過率を下げてもよい。
消臭粒子を含有する印刷シート25は、図示例のように少なくとも背側部分Bに設けられているのが好ましい。本例の使い捨ておむつでは、背側部分Bに後処理テープ70が設けられており、廃棄時には前述のように表面シート30が内側になるとともに腹側部分Fが内側となるように丸めた若しくは折り畳んだ状態で固定される。このような廃棄形態では、表面シート30に付着した排泄物や吸収体56により吸収した排泄物から発生する臭気は背側部分Bを通り外部に放出される過程で、背側部分Bに設けられた印刷シート25と接触するため、より効果的に消臭効果が発揮される。また、丸めた若しくは折り畳んだ廃棄形態において、消臭粒子を有する印刷シート25がより外側に近く位置するため、外部に存在する臭気に対しても消臭効果が効果的に発揮される利点もある。従って、消臭粒子を含有する印刷シート25は後処理テープ70等の固定手段と同じ側に設けられるのが好ましく、図示例とは逆に腹側部分Fに固定手段が設けられている場合には、印刷シート25も腹側部分Fに設けられているのが好ましい。
印刷シート25は、その表面側に位置するシートである液不透過性シート11、及び裏面側に位置するシートである外装シート12に対してそれぞれ接着されている。図中の符号25Bは接着剤の塗布部分を示している。これらシート11,12に対する接着形態は適宜定めれば良いが、液不透過性シート11に対しては印刷シート25の少なくとも一部が離間して空間を形成するように、接着面積が印刷シート25の面積の0〜70%程度、特に0〜20%程度となるように間欠的に接着するのが好ましい。具体的には、接着剤の塗布部分25Bを縞状(複数条平行に設ける形態、図6形態では横縞状)や格子状等にして非塗布部分25Uを形成する。このように、印刷シート25とその吸収体56側に位置する液不透過性シート11との間に非塗布部分を設けることで、液不透過性シート11と印刷シート25との間に一時的に臭気を保持する空間を形成し、液不透過性シート11側からの臭気を効率良く印刷シート25に接触させることができるようになり、消臭効果を高めることが可能となる。なお、接着剤の塗布部分25Bには、カーテンスプレー、サミットスプレー、スパイラルスプレー等の塗布方式を用い、互いに交差する多数の繊維状あるいは糸状の接着剤により実質的に面状の塗布パターンを形成するのが好ましい。このような接着剤の塗布パターンは、接着面積が広いために接着強度に優れるとともに、繊維状あるいは糸状の接着剤同士の間は通気が妨げられないため、物品の通気性が大きく低下することがない。このような塗布パターンにおける接着剤の塗布目付けは、通常2〜8g/m2程度であり、繊維状あるいは糸状の接着剤1本の太さは0.02〜1mm程度である。
一方、外装シート12に対しては印刷シートがほぼ密着するように、接着面積が印刷シート25の面積の80〜100%程度となるように密に接着するのが好ましい。印刷シート25とその外面側に位置する外装シート12とを密に接着することで、当該物品の外部に存在する臭気に対しても消臭効果が効果的に発揮される。従って、外装シート12と印刷シート25との接着においても、カーテンスプレー、サミットスプレー、スパイラルスプレー等の塗布方式が好適である。
以上のように、消臭粒子を含有する印刷シート25がおむつの外面側に設けられていると、おむつ内部から外部に移動しようとする便の臭気に対し、後述する排便表示部35が接触して変色した後、外部に漏れ出した便の臭気は消臭粒子を含有する25により消臭されるため、合理的である。
他方、おむつの製造においては、印刷シート25のインクが乾燥する前にインク付着面に消臭粒子を散布することも可能であるが、付着効率や付着力が不十分になり易く、連続製造には不向きである。よって、消臭粒子を混合したインクを用いて印刷シート25のシート基材に印刷を施し、得られた印刷シート25を液不透過性シート11と外装シート12との間における所定部位に設ける手法を提案する。単なるデザイン印刷を施しただけの(消臭粒子を含まない)印刷シートを液不透過性シート11と外装シート12との間に設けることは従来から行われているため、その際のデザイン用インクあるいはデザインとは別の専用インクに消臭粒子を混合することによって、デザインを犠牲にすることなく、既存の設備を用いて極めて容易に製造することができる。
この場合、消臭粒子を混合したインクを用いて印刷シート25の基材の表裏少なくとも一方の面にデザイン印刷を兼ねた消臭印刷を施しても良く、また、印刷シート25の基材の表裏少なくとも一方の面にデザイン印刷を施すとともに、このデザインの印刷インクとは別のインク(色は透明または半透明であることが好ましい)に消臭粒子を混合したものを用いて印刷シート25の基材の表裏少なくとも一方の面に消臭印刷を施しても良い。もちろん両者を組み合わせても良い。前者の場合、デザイン(柄等)印刷の形態により消臭粒子の含有部位や量が制約を受けるが、後者の場合にはそのような制約が無い。特に、物品外部からのデザインの視認性を向上するため、デザイン印刷を印刷シート25の外装シート12側面に施し、液不透過性シート11側からの臭気が効率よく消臭粒子と接触するよう、消臭粒子を含むインクによる印刷は液不透過性シート11側面に施すのが好ましい。また、このように印刷を施すことで、消臭粒子を含むインクによる消臭印刷とデザイン印刷とが干渉し合い、消臭効果やデザインの表現性を妨げることが無くなる。図10に、後者の場合におけるデザイン印刷部分25d及び消臭粒子含有インクによる印刷部分25z(以下、単に消臭粒子印刷部分ともいう)の組み合わせ例を示した。図10(a)に示す例は、印刷シート25の裏面(外側面)にデザイン印刷部分25dを設けるとともに、表面(液不透過性シート11側面)の全体に消臭粒子印刷部分25zを設けたものであり、図10(b)に示す例は、印刷シート25の裏面(外側面)にデザイン印刷部分25dを設けるとともに、表面(液不透過性シート11側面)に消臭粒子印刷部分25zを横縞状に設けたものであり、図10(c)に示す例は、印刷シート25の裏面(外側面)にデザイン印刷部分を25d設けるとともに、表面(液不透過性シート11側面)に消臭粒子印刷部分25zを格子状に設けたものである。また、図10(d)及び(e)に示す例は、印刷シート25の裏面(外側面)にデザイン印刷部分25dを設けるとともに、同じ面におけるデザイン印刷部分25d以外の部分(図示例では周縁部)に消臭粒子印刷部分25zを設けたものである。特に図10(b)や図10(c)の例のように、デザイン印刷部分25dと重なるように消臭粒子印刷部分25zを特定のパターンで設ける場合においては、消臭粒子を混合するインクは透明または半透明であることが好ましい。
(排便表示部)
特徴的には、本実施形態の使い捨ておむつは、酢酸鉛及び酸化クロムの少なくとも一方の変色物質を含み、且つその変色が外面から視認可能な排便表示部35を備えている。これらの変色物質が排便に特有の臭気により変色することは前述したとおりである。
排便表示部35はおむつのどの部位に設けても効果はある。よって、排便表示部35を設ける位置は適宜定めることができ、腹側Fに設けたり、また吸収体56と重なる位置に設けたりすることもできるが、臭気との接触効率が良いこと、及び排泄物と接触して変色物質が漏出し難いことから、図示形態のように、背側Bにおける吸収体の後端より後側に延出するエンドフラップ部EFの領域内に収まるように設けるのが好ましい。この場合は、排便表示部35と印刷シート25とを重なるように、かつ印刷シート25が排便表示部35よりも外面側(外装シート11側)に配置してもよい。また、排便表示部35は、肌との直接接触を避けるため、おむつ内面及び外面以外の部分、つまり図示形態のようにシート間に設けるのが好ましい。この場合におけるシート間は、図示のように外装シート12のシート基材間とする他、外装シート12と液不透過性シート11との間とすることができる。
排便表示部35の面積は適宜定めることができるが、小さ過ぎると見難くなり、大き過ぎると製造コストが嵩むため、200〜5000mm2程度とするのが望ましい。具体的に、エンドフラップ部EFに排便表示部35を設ける場合、その幅35Xは20〜100mm程度、上下方向長さ35Yは10〜50mm程度とするのが好ましい。
排便表示部35における変色物質の含有量は適宜定めることができるが、少な過ぎると変色が見難くなり、多過ぎると製造コストが嵩むだけでなく、製造が困難になるため、0.075〜0.4g/m2程度とするのが望ましい。
排便表示部35に変色物質を含有させる手法は特に限定されず、おむつ構成素材(外装シート12や液不透過性シート11等)の製造原料に混入しても良いが、既製素材を用いたおむつ製造時に付着等により含有させることも可能である。上記変色物質は粒子状のものが入手し易い。粒子状の変色物質を使用する場合は、既存のおむつ構成素材又は別途組み込まれる素材に上記変色物質を固定した状態とするか、又は既存のおむつ構成素材又は別途組み込まれる素材により形成される袋状空間又はシート間に封入又は挟持した状態で用いるのが好ましい。前者の場合、変色物質粒子を分散させたインクや接着剤等の塗布物を対象部位に付着させるのが望ましい。特に変色物質の粒子を含むインクを用いた印刷(例:グラビア印刷、フレキソ印刷等)は、インクの乾燥により変色物質粒子が露出し、変色物質粒子と臭気との接触効率が良いため好ましい。一方、接着剤に変色物質を混合する場合、その接着剤を、おむつの各素材を接合するための接着剤、例えば外装シート12におけるシート基材相互や、外装シート12と液不透過性シート11とを接着するための接着剤として用いるだけで、排便表示部35を形成することができるため好ましい。さらに、これらインクや接着剤を塗布する形態では、排便表示部35を文字や、模様等からなるデザインとして形成することができる。
具体的に、粒子状の変色物質としては、粒径が1.1〜10.0μmのものが90重量%以上のものが好適である。また、変色物質をインクに混合して印刷する形態では、インクにおける変色物質粒子の含有量は5〜20重量%程度が好適であり、印刷におけるインク塗布量は1.0〜2.0g/m2程度とするのが好適である。
一方、図示形態のように、排便表示部をなすシート35を別途組み込む場合、そのシート基材としては、印刷適性に優れる点でクレープ紙等の紙基材が好適であるが、通気性を重視して不織布を用いても良い。不織布としては、表面シート30の項で説明したものの中から適宜選択することができる。また、排便表示部35を印刷したシートを別途設ける場合、排便表示部35はシートの全面に印刷する他、一部にのみ印刷することもでき、後者の場合は排便表示部35を文字や、模様等からなるデザインとして形成することができる。
<テープタイプ使い捨ておむつの実施形態>
以下の説明において、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向(縦方向)」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
図12〜図17は本発明に係るテープタイプ使い捨ておむつの一例を示している。図14及び図15は、図12における6−6線断面及び7−7線断面をそれぞれ示した図であり、図16及び図17は、図12における8−8線断面及び9−9線断面をそれぞれ示した図である。このテープタイプ使い捨ておむつは、幅方向中央に沿って下腹部から股間部を通り臀部までを覆うように延在する部分であって、且つ身体側表面を形成する透液性表面シートと、外面側に位置する液不透過性シートとの間に吸収体56が介在する部分である吸収性本体部10と、この吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収体56を有しない部分である腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEとを有するものである。
また、このテープタイプ使い捨ておむつは、腹側Fの上縁F1側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の腹側サイドフラップ部FF,FFと、背側Bの上縁B1側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の背側サイドフラップ部BF,BFとを備えている。また、背側サイドフラップ部BF,BFには、係止部材としてのファスニングテープ130がそれぞれ設けられている。
より詳細には、吸収性本体部10ならびに背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの外面全体が外装シート12により形成されている。特に、吸収性本体部10においては、外装シート12の内面側に液不透過性シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性シート11の内面側に吸収要素50、中間シート40、および表面シート30がこの順に積層されている。表面シート30および液不透過性シート11は図示例では長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、表面シート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、液不透過性シート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。また液不透過性シート11は透湿性のポリエチレンフィルム等からなり、表面シート30よりも若干幅広に形成されている。
さらに、この吸収性本体部10の両側には、装着者の肌側に突出(起立)する側部バリヤーカフス60,60が設けられており、この側部バリヤーカフス60,60を形成するバリヤーシート62,62が、背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの内面を含め、吸収性本体部10の幅方向外側の全体にわたり延在されている。
以下、各部の素材および特徴部分について順に説明する
(外装シート)
外装シート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。
外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布12相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
(表面シート)
表面シート30は液透過性を有するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
(中間シート)
表面シート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、表面シート30と吸収要素50との間に中間シート(セカンドシートもいわれる)40を設けることができる。この中間シート40は、排泄物を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体からの逆戻りを防止し、表面シート30表面を肌触りを良くするものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材を用いることができる。中間シート40は表面シート30に接合するのが好ましく、その接合にヒートエンボスや超音波溶着を用いる場合は、中間シート40の素材は表面シート30と同程度の融点をもつものが好ましい。また、便中の固形分を透過させることを考慮するならば中間シート40に用いる繊維の繊度は5.0〜7.0dtexであるのが好ましいが、表面シート30における液残りが多くなる。これに対して、中間シート40に用いる繊維の繊度が1.0〜2.0dtexであると、表面シート30の液残りは発生し難いが、便の固形分が透過し難くなる。よって、中間シート40に用いる不織布の繊維は繊度が2.0〜5.0dtex程度とするのが好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(側部バリヤーカフス)
表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)する側部バリヤーカフス60、60を設けるのは好ましい。
この側部バリヤーカフス60は、実質的に幅方向に連続するバリヤーシート62と、このバリヤーシート62に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材63とにより構成されている。このバリヤーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、図12及び図13に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
バリヤーシート62の内面は、表面シート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。この固着部分のうち固着始端近傍の幅方向外側において、バリヤーシート62と外装シート12とが対向する部分のシート間に、前後方向に沿って糸ゴム等からなる脚周り弾性伸縮部材64がそれぞれ設けられている。
脚周りにおいては、側部バリヤーカフス60の固着始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部では表面シート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が糸ゴム63の収縮力により起立するようになる。おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム63の収縮力が作用するので、糸ゴム63の収縮力により側部バリヤーカフス60が起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
図示形態と異なり、バリヤーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部を、幅方向外側の部分から幅方向内側に延在する基端側部分とこの基端側部分の幅方向中央側の端縁から身体側に折り返され幅方向外側に延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、その間の部分を非固定の自由部分とすることもできる。
(吸収要素)
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56は、図13に示すように高吸収性ポリマー粒子を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、繊維の集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が繊維の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が繊維の集合体を通り抜けて包装シート58上にある形態も排除されるものではない。
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包装シート58は、図14に示すように、吸収体56の全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包装するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包装シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
(ファスニングテープ)
ファスニングテープ130は、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材からなるファスニング基材130Cの基部がおむつに取り付けられており、おむつから突出する先端側部分に腹側に対する係止部として、メカニカルファスナーのフック材130Aが設けられている。フック材130Aはファスニング基材130Cに接着剤により剥離不能に接合されている。
本発明を適用するのが特に好ましい、水様便、軟便を頻繁に排泄する新生児〜12ヶ月程度までの乳幼児用おむつにおいては、ファスニングテープ130の取り付け部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さX1は10〜50mm、特に20〜40mmであるのが好ましく、前後方向長さY1は、20〜100mm、特に40〜80mmであるのが好ましい。また、ファスニングテープ130の先端側部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さは30〜80mm、特に40〜60mmであるのが好ましく、前後方向の長さ(高さ)は20〜70mm、特に25〜50mmであるのが好ましい。なお、ファスニングテープ130の一部または全部が例えば略テーパ形状をなし、前後方向長さや幅方向長さが一定でない場合は、上記数値範囲は平均値にて定める。ファスニングテープ130の形状は、矩形形状などの左右対称形状でもよいが、幅広の取り付け部分と細長状の先端側部分からなる凸型形状であると、先端側部分の摘み部が摘みやすく、かつ左右の基部間の張力が広範囲に作用するため、好ましい。フック材130Aは、その外面側に多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。フック材130Aに代えて、ファスニングテープ130の係止部として粘着材層を設けることもできる。
おむつの装着に際しては、背側サイドフラップ部BFを腹側サイドフラップ部FFの外側に重ねた状態で、ファスニングテープを腹側F外面の適所に係止する。ファスニングテープ130の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。新生児〜12ヶ月程度までの乳幼児用おむつにおいては、係止箇所は、前後方向20〜80mm、幅方向150〜300mmの矩形範囲とし、その上端縁と腹側上縁との高さ方向離間距離を0〜60mm、特に20〜50mmとし、かつ製品の幅方向中央とするのが好ましい。
ファスニングテープ130は、背側エンドフラップ部BEと吸収要素50の境界線上にファスニングテープ130の取り付け部分が重なるように取り付けられていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ130の取り付け部分間に働く張力により、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。また、ファスニングテープ130の取り付け部分が、おむつの背側端部(後端部)と離れすぎていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ130の取り付け部分間に働く張力がおむつの背側端部にまで及ばないため、おむつの背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすい。従って、背側エンドフラップBEの前後方向長さは、ファスニングテープ130の基部の前後方向長さと同じか又は短いことが好ましい。
(ターゲット印刷シート)
腹側Fにおけるファスニングテープ130の係止箇所には、係止を容易にするためのターゲット印刷を有するターゲット印刷シート74を設けるのが好ましい。ターゲット印刷シート74は、係止部がフック材130Aの場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなる基材シートの表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなる基材シートの表面に剥離処理を施したものを用いることができる。ここで、ターゲット印刷は、基材シートに対して施すのが好ましい。
また、腹側Fにおけるファスニングテープ130の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ130の係止部がフック材130Aの場合には、ターゲットテープ74を省略し、フック材130Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。この場合、ターゲット印刷シート74を外装シート12と液不透過性シート11との間に設けてもよい。
このような、ターゲット印刷シート74の基材シートに、臭気を物理吸着する多孔質消臭粒子を、インクを接着手段として接着することができる。消臭粒子の種類や配合量、接着形態等については、前述したパンツタイプ使い捨ておむつにおける印刷シート25と同様とすることができる。
(エンドフラップ部)
エンドフラップ部は、吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収体56を有しない部分であり、前側の延出部分が腹側エンドフラップ部FEであり、後側の延出部分が背側エンドフラップ部BEである。
背側エンドフラップBEの前後方向長さは、前述の理由によりファスニングテープ130の取り付け部分の前後方向長さと同じか短い寸法とすることが好ましく、また、おむつ背側端部と吸収体56とが近接しすぎると、吸収体56の厚みとコシによりおむつ背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすいため、10mm以上とすることが好ましい。
腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEの前後方向長さは、おむつ全体の前後方向長さLの5〜20%程度とするのが好ましく、本発明を適用するのが特に好ましい、水様便、軟便を頻繁に排泄する新生児〜12ヶ月程度までの乳幼児用おむつにおいては、10〜60mm、特に20〜50mmとするのが適当である。
(背側伸縮シート)
図示形態では、両ファスニングテープ130間に、幅方向に弾性伸縮する帯状の背側伸縮シート70が設けられ、おむつ背側部におけるフィット性を向上させている。背側伸縮シート70の両端部は両ファスニングテープ130の取り付け部分と重なる部位まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。背側伸縮シート70の前後方向寸法は、ファスニングテープ130の取り付け部分の前後方向寸法と概ね同じにするのが適当であるが、±20%程度の寸法差はあってもよい。背側伸縮シート70は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から、図16に示すように、二枚の不織布等のシート基材71をホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせるとともに、両シート基材71間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性伸縮部材72を幅方向に沿って伸張した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合におけるシート基材71としては、外装シート12と同様のものを用いることができる。弾性伸縮部材72の伸張率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性伸縮部材72として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔72dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
また、図示のように弾性伸縮部材72の一部が吸収体56を横断するように配置すると、吸収体56のフィット性が向上するため好ましいが、この場合は、弾性伸縮部材72が吸収体56と重なる部分の一部又は全部を、切断等の手段により収縮力が働かないようにすると、吸収体56の背側端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。
なお、弾性伸縮部材72は、シートの長手方向(おむつの幅方向)にシート基材71の全長にわたって固定されていてもよいが、おむつ本体への取り付け時の縮みやめくれ防止のため、シートの前後方向(おむつの幅方向)端部の5〜20mm程度の範囲においては、収縮力が働かないように、または弾性伸縮部材72が存在しないようにするとよい。
背側伸縮シート70は、図示形態では、液不透過性シート11の幅方向両側ではバリヤーシート62と外装シート12との間に挟まれ、且つ液不透過性シート11と重なる部位では、液不透過性シート11と吸収体56との間に挟まれるように設けられているが、表面シート30と吸収体56との間や液不透過性シート11と外装シート12との間に設けても良いし、表面シート30の上に設けても良い。この場合、液不透過性シート11の幅方向両側ではバリヤーシート62の上に設けても良い。背側伸縮シート70を表面シート30の上に設け、背側伸縮シート70を構成するシートのうち、少なくとも肌と接触する側のシートを、後述する吸汗放湿シート20で構成すると、部材の点数を減らすことができるため、好ましい。また、外装シート12を複数枚のシート基材を重ねて形成する場合には、背側伸縮シート70全体を、外装シート12のシート基材間に設けても良い。
(排便表示部)
特徴的には、本実施形態のテープタイプ使い捨ておむつは、前述のパンツタイプ使い捨ておむつと同様、酢酸鉛及び酸化クロムの少なくとも一方の変色物質を含み、且つその変色が外面から視認可能な排便表示部35を備えている。
パンツタイプと同様、排便表示部35を設ける位置を適宜定めることができ、腹側Fに設けたり、また吸収体56と重なる位置に設けたりすることもできるが、臭気との接触効率が良いこと、及び排泄物と接触して変色物質が漏出し難いことから、図示形態のように背側Bのエンドフラップ部EFの領域内に収まるように設けるのが好ましい。この場合は、排便表示部35とターゲット印刷シート74とを重なるように、かつターゲット印刷シート74が排便表示部35よりも外面側(外装シート11側)に配置してもよい。また、排便表示部35は、肌との直接接触を避けるため、おむつ内面及び外面以外の部分、つまり図示形態のように、シート間に設けるのが好ましい。この場合におけるシート間は、図示のように表面シート30と背側伸縮シート70との間とする他、液不透過性シート11と背側伸縮シート70との間、背側伸縮シート70のシート基材71間、外装シート12と液不透過性シート11との間、表面シート30と液不透過性シート11との間とすることができる。
パンツタイプと同様、排便表示部35に変色物質を含有させる手法は特に限定されない。変色物質をおむつ構成素材の製造原料に混入する場合、その構成素材としては、外装シート12や液不透過性シート11、背側伸縮シート70のシート基材71等から選択することができるが、背側Bのエンドフラップ部EFに位置する背側伸縮シート70を選択するのが好ましい。また、変色物質を、既存のおむつ構成素材に固定した状態とするか、又は既存のおむつ構成素材により形成される袋状空間又はシート間に封入又は挟持した状態で用いる場合、その既存のおむつ構成素材は、外装シート12や液不透過性シート11、背側伸縮シート70のシート71基材等から選択することができる。
その他の点、すなわち排便表示部35の寸法(面積、幅、上下方向長さ)、排便表示部35における変色物質の含有量、排便表示部35に変色物質を含有させる手法、粒子状の変色物質を用いる場合における粒径、変色物質をインクに混合して印刷する場合におけるインク中の変色物質粒子の含有量、印刷におけるインク塗布量、排便表示部35を設けたシートを別途設ける場合におけるシート基材、排便表示部35の印刷形態等については、前述したパンツタイプ使い捨ておむつの場合と同様とすることができる。
<その他>
以下、上記両形態に共通する変形例について説明する。
(イ) 図11に示すように、エンドフラップ部EFにおける少なくとも吸収体56側端部、好ましくは全体を、折り線が縦方向に沿う蛇腹状(縦皺状)となるように折り畳むとともに、この折り畳み部分の各対向面相互を、当該対向面間に縦方向に連通する隙間37が形成されるように連続線状又は点線状に接合するのは好ましい形態である。接合部分が符号36により示されている。図示例は前述のパンツタイプ使い捨ておむつへの適用を想定したものである。図示例では、接合部分36を設ける対向面を、エンドフラップ部の外面のみとしているが、内面のみとしたり、両面としたりすることができる。接合手段としては、接着剤の他、ヒートシール等の溶着手段を用いることもできる。また、連続線状又は点線状の接合部分36は対向面間に複数本設けることもできる。このような隙間37を形成することにより、排便位置から立ち上る臭気を股間部近傍から排便表示部35に効率良く通気させ、変色を促進させることができる。図示例のようにエンドフラップ部EFの構成シート全てを一体的に折り畳む他、一部のシート(例えば排便表示部35を設けたシート)のみを折り畳んで固定することもできる。おむつがこのような構造を有すると、臭気はおむつの外部に排出されやすいため、前述のような消臭粒子を含有する印刷シート25(74)をおむつの外面側に設ける構成との組み合わせは特に好適である。
(ロ) 図示しないが、上述の固定の排便表示部35に代えて又はこれとともに、排便表示部35を、おむつ表面(外装シート12や表面シート30)に対して着脱自在に取り付けられる排便表示シートに設けることにより、使用者が所望の部位に排便表示部35を取り付けることができるように構成するのも好ましい。前述の、おむつ表面に対して着脱自在に取り付けられる後処理テープ70の基材シートを排便表示部35としてもよい。この場合、おむつの表面シート30側にも取り付けられるよう、後処理テープ70は円形等の角の無い形状であることが好ましく、また基材シートは軟質素材、特に不織布を用いることが好ましく、目付は40〜120g/m2程度が適当である。
(ハ) 図示しないが、排便表示部35に消臭物質を含ませることにより、変色反応に使われなかった臭気を消臭し、おむつ外部への放出を防止するように構成するのも好ましい形態である。この場合における消臭物質及びその利用形態は、印刷シートの項で述べたものから適宜選択することができる。
本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつ又はテープタイプの使い捨ておむつに好適なものであるが、吸収パッド等にも適用できるものである。
パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図1の3−3断面図である。 図1の4−4断面図である。 図1の5−5断面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを示す、おむつを展開した状態における平面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを示す、断面図である。 製品状態の正面図である。 製品状態の背面図である。 各種印刷形態を示す印刷シートの平面図である。 エンドフラップ部の断面図である。 テープタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 テープタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図12の6−6線断面図である。 図12の7−7線断面図である。 図12の8−8線断面図である。 図12の9−9線断面図である。
符号の説明
11…液不透過性シート、12…外装シート、12r…折り返し部分、20…通気性補強シート、25…印刷シート、200…内装体、30…表面シート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部バリヤーカフス、62…バリヤーシート、35…排便表示部。

Claims (8)

  1. 酢酸鉛及び酸化クロムの少なくとも一方の変色物質を含み、且つその変色が外面から視認可能な排便表示部を備えた、ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 腹側部分から股間部を通り背側部分まで延在する吸収体と、この吸収体の前後各側に延出するエンドフラップ部とを有する使い捨ておむつであって、
    前記エンドフラップ部は複数枚のシートを貼り合わせて形成されており、このエンドフラップ部の領域内における前記シート間に前記排便表示部が設けられている、請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記エンドフラップ部の領域内における前記シート間に、前記排便表示部が設けられたシートが挟持されている、請求項2記載の吸収性物品。
  4. 前記エンドフラップ部における少なくとも吸収体側端部は、折り線が縦方向に沿う蛇腹状となるように折り畳まれるとともに、この折り畳み部分の各対向面相互が、当該対向面間に縦方向に連通する隙間が形成されるように接合されている、請求項2又は3記載の吸収性物品。
  5. 前記排便表示部は、前記変色物質の粒子を含むインクを用いた印刷により形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記排便表示部の面積は、200〜5000mm2であり、
    前記粒子は、粒径が1.1〜10.0μmのものを90重量%以上含むものであり、
    前記インクは、前記粒子を5〜20重量%含むものであり、
    前記印刷におけるインク塗布量が1.0〜2.0g/m2である、
    請求項5記載の吸収性物品。
  7. 物品表面に対して着脱自在に取り付けられる排便表示シートを備えており、この排便表示シートに前記排便表示部が設けられている、請求項1記載の吸収性物品。
  8. 前記排便表示部が消臭物質を含むものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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