JP5427420B2 - 使い捨て吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、テープタイプ、パンツタイプ、パッドタイプの使い捨ておむつ、あるいは生理用ナプキン等の、使い捨て吸収性物品に関し、特に廃棄時に吸収性物品を丸めた状態で固定する後処理部材に特徴を有する吸収性物品に関するものである。
一般に、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品は、使用後に排泄物の付着面が内側となるように丸め若しくは折り畳み(以下、廃棄状態ともいう)、サニタリーボックスやおむつ保管容器等の密閉性の高い保管容器に入れて一時保管し、容器内の貯留量がある程度に達したらゴミ袋に入れて廃棄するといった使用形態がとられている。
例えば、使い捨ておむつにおいては、吸収性物品を丸めた状態で固定する後処理手段として、パンツタイプでは後側部分(後側部分)のウエスト側端部近傍の外面に粘着テープを設けることが一般的となっており、またテープタイプでは後側部分(後側部分)のウエスト側の両側部から突出するテープを後処理手段としても利用することが一般的となっている。そのため、いずれのタイプにおいても、最終的に後側部分が外面に残るように丸め若しくは折り畳んだ後にテープを用いて固定するといった後処理形態が基本となっている。図18(a)がパンツタイプ使い捨ておむつの廃棄状態の参考写真であり、図18(b)がテープタイプ使い捨ておむつの廃棄状態の参考写真である。
特開2005−131382号公報 特開2001−104376号公報
しかしながら、このような従来の手段では、排泄物が物品前後端又はその近傍まで付着している場合や、物品前後端から食み出した場合、この排泄物付着部分を内側として丸める若しくは折り畳むと、固定が困難となる。例えば、一般的なパンツタイプ使い捨ておむつでは図18(c)に示されるように粘着テープが隠れて機能しなくなり、テープタイプ使い捨ておむつでは図18(d)に示されるようにテープが裏返ったり、丸まったりしてしまい、いずれにせよ固定できないか又は著しく固定しづらいものとなる。
また同様の場合に、強引に上記基本通りの後処理形態を採ると、図18(a),(b)に示されるように、廃棄状態では物品前後端が外面に露出するため、物品を丸めたり、折り畳んだりする際に排泄物が物品前後端から押し出されて手や周囲を汚すといった事態が発生する。
さらに、従来の手段では、物品前端側よりも後端又はその近傍まで排泄物が付着する事が多いにも関わらず、そのような事態が発生しても、テープを通常通り機能させるためには、最終的に後側部分が外面に残るようにしなければならず、後側が内側となるように処理することができない。
そこで、本発明の主たる課題は、これらの問題点を解決することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
物品前後方向中央より前側に延在する前側部分と、物品前後方向中央より後側に延在する後側部分とを有し、
少なくとも前後方向中央を含む部位に、液透過性表面シートと液不透過性裏面側シートとの間に吸収体が介在され且つ液不透過性裏面側シートの外面側に外装シートが張り合わされてなる部分を備えた、使い捨て吸収性物品において、
前後方向中央又はその近傍における前記外装シートに、スリット状の取出口又はこれを形成するためのミシン目が形成されるとともに、
前記液不透過性裏面側シートに対して連結された連結部と、前記取出口から引出可能に設けられた廃棄状態固定部とを有する後処理部材が、前記液不透過性裏面側シートと前記外装シートとの間に収納されており、
前記後処理部材は、前記廃棄状態固定部及び連結部が帯状シートで形成されるとともに、そのうちの前記取出口から引出可能である部分に物品外面に対する係止部が設けられたものであり、
前記廃棄状態固定部は、前記引出可能である部分の長さが吸収体長さの50〜75%であり、前記引出可能である部分の幅が吸収体幅の20〜60%であり、且つ
前記廃棄状態固定部は、折り畳まれた状態で前記液不透過性裏面側シートと前記外装シートとの間に収納されている、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
本発明では、前側部分と後側部分とを合せた二つ折り状態で前後端側から前後方向中央部側に巻いて丸めて廃棄状態にするとともに、予め又はその後に外装シートの取出口から後処理部材の廃棄状態固定部を引き出し、この廃棄状態固定部により物品を廃棄状態に固定することができる。このように、物品前後端が内側となるように巻いて丸めることができると、排泄物が物品前後端から食み出しても、その外側が包まれるため、丸める際に排泄物が押し出されて手や周囲を汚すといった事態が発生し難くなる。さらに、前側部分及び後側部分のいずれを内側となるように巻いても、後処理部材を引き出すことができる。しかも、前後方向中央に後処理部材が露出していると、幼児用の使い捨ておむつにおいては装着者が後処理部材をいじって使用できなくなったり、下着との摩擦により誤って係止部が下着に係止されてしまったりするおそれがあるが、本発明では、後処理部材が外装シートと液不透過性裏面側シートとの間に収納されているため、そのような問題を防止することもできる。
また、後処理部材が本発明のように構成されていると、廃棄状態固定部を取出口から引き出して廃棄状態の物品外面に巻き付けつつ、巻き付けた部分の係止部を物品外面に係止することによって、十分に幅の広いシートで廃棄状態の物品をしっかりと固定することができる。
<請求項記載の発明>
前記吸収体は高吸収性ポリマーを含有しており、
前記液不透過性裏面側シートと前記外装シートとが、前記後処理部材の収納部分の周囲で接合されるとともに、前記表面シートと前記液不透過性裏面側シートとが、前記吸収体の周囲で接合されており、且つ前記スリットと直交する方向において、前記液不透過性裏面側シートは前記表面シート及び外装シートよりも伸び易いものであり、0.2kgf/50mm荷重下での伸び率が25%以上である、請求項記載の使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
液不透過性裏面側シートがこのようにスリットと直交する方向に伸び易いシートであり、表面シート、液不透過性裏面側シート及び外装シートがこのような伸び易さの大小関係を有していると、吸収前には取出口は閉じているものの、吸収体の高吸収性ポリマーが吸収により膨張したときには液不透過性裏面側シートが伸びて、吸収体の膨張方向が外装シート側に偏り、外装シートの取出口が自動的に開口する又は開口し易くなる。よって、後処理部材を引き出し易くなるという利点がある。
<請求項記載の発明>
前記吸収体は高吸収性ポリマーを含有しており、
前記液不透過性裏面側シートと前記外装シートとが、前記後処理部材の収納部分の周囲で接合されるとともに、前記表面シートと前記液不透過性裏面側シートとが、前記吸収体の周囲で接合されており、且つ前記スリットと直交する方向において、前記液不透過性裏面側シートの長さが前記液不透過性裏面側シートと前記外装シートとの接合部分間の間隔より長い、請求項記載の使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
液不透過性裏面側シートがスリットと直交する方向においてこのような余り部分を有していると、吸収前には取出口は閉じているものの、吸収体の高吸収性ポリマーが吸収により膨張したときには液不透過性裏面側シートが広がり、吸収体の膨張方向が外装シート側に偏り、外装シートの取出口が自動的に開口する又は開口し易くなる。よって、後処理部材を引き出し易くなるという利点がある。
<請求項記載の発明>
前記外装シートは前記スリット状の取出口を形成するためのミシン目を有し、前記スリットと直交する方向において、前記外装シートは、0.2kgf/50mm荷重下での伸び率が15%未満であり、前記ミシン目を切り開くのに要する力が0.2kgf/50mm以下である、請求項または記載の使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
ミシン目を有する場合、外装シートがこのようにスリットと直交する方向に伸び難いシートであり、かつミシン目の強度がこの程度であると、吸収体の膨張方向の外装シート側への偏りによりミシン目が自動的に破れて外装シートの取出口が開口しやすくなる。
<請求項記載の発明>
前記吸収体に、前記取出口又はこれを形成するためのミシン目と重なる部位の前後両側に設けられた幅方向に沿って延在するエンボス凹部、及び前記取出口又はこれを形成するためのミシン目と重なる部位の左右両側に設けられた前後方向に沿って延在するエンボス凹部の少なくとも一方が設けられている、請求項のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
このようなエンボス凹部を設けることによって、吸収体の膨張が厚み方向に偏るようになる。よって、前述したような吸収体の膨張を利用した取出口の開口形成効果がより顕著なものとなる。
以上のとおり、本発明によれば、物品前後端が内側となるように巻いて丸めることができ、排泄物が物品前後端から食み出しても、その外側が包まれるため、丸める際に排泄物が押し出されて手や周囲を汚すといった事態が発生し難くなるといった利点や、前側部分及び後側部分のいずれを内側となるように巻いても、後処理部材を引き出すことができるといった利点のほか、装着者が後処理部材をいじって使用できなくなったり、下着との摩擦により誤って係止部が下着に係止されてしまったりすることも防止できるといった利点等がもたされる。
パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図1の6−6断面図である。 図1の7−7断面図である。 図1の8−8断面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを寸法とともに示す、おむつを展開した状態における平面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの要部のみを寸法とともに示す、断面図である。 製品状態の正面図である。 製品状態の背面図である。 後処理部材を引き出した状態を示す背面図である。 テープタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 テープタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図1の6−6線断面図である。 図1の7−7線断面図である。 図1の8−8線断面図である。 図1の9−9線断面図である。 廃棄状態の斜視図である。 従来品の各種状態を示す写真である。 他の形態を示す要部断面図である。
以下、本発明の一実施形態について、パンツタイプ使い捨ておむつの例、及びテープタイプ使い捨ておむつの例を引いて説明するが、パッドタイプの使い捨ておむつ、生理用ナプキン等、他の吸収性物品にも適用できることはいうまでもない。
<パンツタイプ使い捨ておむつの例>
図1〜図9は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例を示している。各図において、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
このパンツタイプ使い捨ておむつは、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シート12Fと背側を覆う背側外装シート12Bとを有しており、腹側外装シート12Fの幅方向両側縁と背側外装シート12Bの幅方向両側縁とが、上下方向全体にわたりヒートシールや超音波溶着等により溶着接合されて筒状の胴回り部100が形成されるように構成されている。符号12Aは個々の溶着部を示しており、この溶着部12Aの群がサイドシール部を構成するものである。図示形態のように、背側外装シート12Bが溶着部12Aよりも下側に延出している場合には、この部分までを含む上下方向範囲に一体的にヒートシール等の加工を施し、背側延出部14に延出溶着部12Eを設けることができる。延出溶着部12Eを設けることにより、後述する背側延出部14の第2の細長状弾性伸縮部材16の引き込みを防止することができる。この場合、脇部の破りやすさを考慮して、溶着部12Aは小さな溶着部の集合からなり、溶着部12Aにおける溶着面積の比率が低い接合パターンとすることが一般的であるが、延出溶着部12Eでは破りやすさを考慮する必要が無いため、溶着パターンは溶着部12Aよりも溶着面積の比率を高くすることにより第2の細長状弾性伸縮部材16が確実に溶着固定されるようにしてもよい。また、延出溶着部12Eは臀部カバー部14Cの縁部をカーブしたラインで溶着し、臀部カバー部14Cの第2の細長状弾性伸縮部材16の引き込みを防止することもできる。
また、胴回り部100における腹側外装シート12Fの幅方向中央部内面に内装体200の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シート12Bの幅方向中央部内面に内装体200の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとが股間側で連続しておらず、離間されている。この離間距離Yは150〜250mm程度とすることができる。図示しないが、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとが股間部で連続した形態、つまり腹側から背側までを一体的な外装シートにより連続的に覆う形態を採用することもできる。
図7及び図8からも判るように、胴回り部100の上部開口は、装着者の胴を通すウエスト開口部WOとなり、内装体200の幅方向両側において胴回り部100の下縁および内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口部LOとなる。各溶着部12Aを剥がして展開した状態では、図1に示すように砂時計形状をなす。内装体200は、背側から股間部を通り腹側までを覆うように延在するものであり、排泄物を受け止めて液分を吸収し保持する部分であり、胴回り部100は内装体200を装着者に対して支持する部分である。
(外装シート)
腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bは、図4及び図5にも示すようにシート状資材12,12を2枚貼り合せてなるものであり、内側に位置する内側シート状資材12はウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側に位置する外側シート状資材12は内側シート状資材12のウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在され、対向面にホットメルト接着剤等により固定されている。シート状資材12としては溶着により接合できるものであれば特に限定されないが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
そして、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bには、胴回りに対するフィット性を高めるために、両シート状資材12,12間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸張率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。各外装シート12F,12Bの両シート状資材12,12の貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定にはホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12F,12B全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
より詳細には、背側外装シート12Bは、溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める背側本体部13と、この背側本体部13の下側に延出する背側延出部14とを有している。背側延出部14は、内装体200と重なる幅方向中央部14Mと、その両側に延出した臀部カバー部14Cとを有している。
背側延出部14の形状は適宜定めることができるが、図示例では、背側延出部14の上端部は、背側本体部13と同幅で背側本体部13の下側に延出されており、その下側は股間側に近づくにつれて幅が狭められている。背側本体部13と同幅の部分は省略することもできる。このように構成されていると、臀部カバー部14Cの幅方向外側の縁14eが、股間側に近づくにつれて内装体200側に近づくような直線状または曲線状をなすようになり、臀部を覆い易い形状となる。
背側延出部14の寸法は適宜定めることができるが、図6に示すように、臀部カバー部14Cの幅方向長さ14x(臀部カバー部14Cの幅方向外側の縁14eと内装体200の側縁との幅方向の最大離間距離)が80〜160mmであり、臀部カバー部14Cの上下方向の長さ14y(延出長さ)が30〜80mmであると、より好ましい。また、背側延出部14の幅方向に最も広い部位と上下方向に最も広い部位により定まる四角形の面積をSとすると、背側延出部14の面積はSに対して20〜80%、特に40〜60%程度であると、臀部の外観および装着感に優れるため、好ましい。
背側本体部13は、上下方向において概念的に上端部(ウエスト部)Wと、これよりも下側の下側部分Uとに分けることができ、その範囲は製品のサイズによって異なるが、一般に、上端部Wの上下方向長さは15〜80mm、下側部分Uの上下方向長さは35〜220mmとすることができる。
背側本体部13の上端部(ウエスト部)Wにおける内側シート状資材12の内側面と外側シート状資材の折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数の背側ウエスト部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17のうち、背側本体部13の下側部分Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。この背側ウエスト弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸張率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸張率にする必要はなく、例えば背側ウエスト部の上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸張率が異なるようにしてもよい。
また、背側本体部13の下側部分Uにおける内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第1の細長状弾性伸縮部材15が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
第1の細長状弾性伸縮部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸張率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
また、背側延出部14における内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり(少なくとも臀部カバー部14C全体にわたり)連続するように、複数の第2の細長状弾性伸縮部材16が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
第2の細長状弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸張率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
一方、腹側外装シート12Fは背側外装シート12Bの背側本体部13と基本的に同様の腹側本体部(溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める部分)のみからなるものであり、胴回り方向に沿って延在する矩形状をなし、背側外装シート12Bのような背側延出部14を有していないものである。
すなわち、腹側外装シート(腹側本体部)12Fの上端部(ウエスト部)Wおよび下側部分Uのうち、上端部Wにおける内側シート状資材12の内側面と外側シート状資材12の折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数の腹側ウエスト部弾性伸縮部材18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。この腹側ウエスト部弾性伸縮部材18は、背側ウエスト部弾性伸縮部材17に対して、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は1880dtex以下、好ましくは470dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
また、腹側外装シート12F(腹側本体部)の下側部分Uにおける内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第3の細長状弾性伸縮部材19が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。第3の細長状弾性伸縮部材19の上下方向配設範囲は、下側部分の一部としても良いが、実質的に全体(全体に伸縮力が作用する範囲)とするのが好ましい。
第3の細長状弾性伸縮部材19としては、第1の細長状弾性伸縮部材15と、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は1880dtex以下、好ましくは470dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
図示形態の腹側外装シート12Fは、溶着部12Aと同じ上下方向範囲を占める部分のみからなるものとしたが、背側と同様に、溶着部12Aと同じ上下方向範囲を占める腹側本体部と、この腹側本体部の下側に延出する腹側延出部とからなる構成とすることもできる。これにより、腹側外装シート12Fの脚周り形状を鼠蹊部に沿ってフィットする形状とすることができる。この場合、腹側延出部の面積は、背側延出部の面積の10〜80%であるのが好ましく、20〜50%であるとより好ましい。腹側延出部が過度に大きいと、かえってフィット性を損なうため好ましくない。
他方、図示のように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15、16及び19が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200と外装シート12F,12Bが剥れにくいため好ましいが、この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が切断され、伸縮力が作用しない(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)ように構成されている形態も含まれる。また、背側本体部13および背側延出部14の幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15、16及び19の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3に示されるように、身体側となる表面シート30と、液不透過性裏面側シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えている。液不透過性裏面側シート11の裏面側には、内装体200の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シート12Mを固定することもできる。また、表面シート30と吸収要素50との間に、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させる中間シート(セカンドシート)を設けることもできる。さらに、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に、身体側に起立するバリヤーカフス60,61を設けることができる。なお、図示しないが、内装体200の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビードまたはスパイラル塗布などにより、適宜相互に固定することができる。また、内装体200は、メカニカルファスナーや粘着材を用い、外装シート12F,12Bに対して着脱自在に取り付けることもできる。
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。特には、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布が薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、エアスルー法により加工された不織布は低坪量でも吸収が速やかでかつさらっと感に優れるため好適である。
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合わせてなるものであってもよい。
表面シート30を不織布から構成する場合、その厚みが0.1〜3mm程度、特に0.5mm以下、且つ目付けが10〜40g/m2程度、特に25g/m2以下であるように構成すると、裏面側から肌への伝熱性に優れるため好ましい。
バリヤーカフス60,61を設ける場合、表面シート30の両側部は、液不透過性裏面側シート11とバリヤーカフス60,61との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、液不透過性裏面側シート11及びバリヤーカフス60,61に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。これにより、内装体200の両側部の剛性が向上するという効果も得られる。
(液不透過性裏面側シート)
液不透過性裏面側シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性裏面側シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性裏面側シート11として用いることができる。
液不透過性裏面側シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。これにより、内装体200の両側部の剛性が向上するという効果も得られる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
また、液不透過性裏面側シート11の内面または外面には、印刷や着色によるデザインを施しても良い。さらに液不透過性裏面側シート11の外側に、股間部外装シート12Mとは別部材の、印刷または着色を施したデザインシートを貼り付けても良い。また、液不透過性裏面側シート11の内側に、水分との接触により色が変化する排泄インジケータ80を設けることができる。排泄インジケータ80は、液不透過性裏面側シート11と吸収体56の間に設けるのが好ましく、吸収体56の全長の30%以上、特に60%以上にわたって設けられるのが好ましく、少なくとも吸収体56の幅方向中央に沿って設けられるのが好ましい。吸収体56が後述する包装シート58によって包まれている場合、排泄インジケータ80は包装シート58の吸収体56側あるいは液不透過性裏面側シート11側のいずれの側に設けてもよい。また、排泄インジケータ80を設けた別の部材を液不透過性裏面側シート11と吸収体56の間に配置してもよい。
(バリヤーカフス)
バリヤーカフス60,61は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。
本実施の形態では、図3及び図4にも示すように、内装体200の左右各側において二重にバリヤーカフス60,61が設けられている。おむつを展開した状態では、図示のように、内側バリヤーカフス61は内装体200の側部から幅方向中央側に斜めに起立するものであり、外側バリヤーカフス60は、内側バリヤーカフス61の幅方向外側において内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、内側バリヤーカフス61は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のバリヤーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸張状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。細長状弾性伸縮部材63は、バリヤーシート62に対し、前後端部では固定されておらず、中間部においてバリヤーカフスが前後に伸縮するように固定されている。バリヤーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは420〜1120dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。また、図示しないが、二つに折り重ねたバリヤーシートの間に防水フィルムを介在させることもできる。
細長状弾性伸縮部材63は、内側バリヤーカフス61の先端部に1〜2本配置するのが好ましく、先端部と基端部との間の中間部にも1〜2本配置すると更に好ましい。中間部に細長状弾性伸縮部材63があると、これを支点として中間部から先端部に亘る範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。中間部の細長状弾性伸縮部材63の配置位置は内側バリヤーカフス61の高さ(突出部の幅方向長さ)の30〜70%範囲が好ましい。乳幼児用紙おむつでは、内側バリヤーカフス61の高さは15〜35mm程度が好ましいため、細長状弾性伸縮部材63の配置範囲は先端から基端側に5〜25mmの位置が好ましく、12〜18mmの位置がより好ましい。内側バリヤーカフス61の先端部及び/または中間部にそれぞれ細長状弾性伸縮部材63を平行に設ける場合は、その配置間隔61dは2〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。
そして、内側バリヤーカフス61のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分(内側取付部分)65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分であり、内側突出部分に相当する)とされ、この突出部分66のうち前後方向両端部が表面シート30表面にホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67により固定され、前後方向中間部が非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸張状態で固定されている。
外側バリヤーカフス60も、内側バリヤーカフス61と基本的に同様の構造を有するものであるが、その取付部分(外側取付部分)68が、内装体200の裏面側における内側バリヤーカフス61の取付部分65よりも幅方向中央側において内側バリヤーカフス61の外面に固定される点、突出部分(外側突出部分)69のうち前後方向両端部が、取付部分68から内装体200の側部を通り内側バリヤーカフス61における内側突出部分66の前後方向両端部の表面まで延在し且つ内側突出部分66の前後方向両端部の表面に固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる点、細長状弾性伸縮部材63の配置及び本数等で異なるものである。
ただし、内側バリヤーカフス61についても、内側突出部分の先端部は幅方向外側に折り返される構造、具体的には内側バリヤーカフス61の高さ(突出部の幅方向長さ)の1/2以下、好ましくは1/3以下であれば、外側バリヤーカフス61と同様に先端側部分が幅方向外側に折り返され且つ付け根部側部分に固定される構造を採っても良い。
外側バリヤーカフス60の自由部分(外側自由部分)に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。外側バリヤーカフス60に配置する細長状弾性伸縮部材63の太さや伸長率は、内側バリヤーカフス61に準ずるが、太さは内側バリヤーカフス61のものと同じ、またはより太く、伸長率は内側バリヤーカフス61のものと同じ、またはより低いほうが好ましい。
また、突出部分66,69の前後固定部67の前後方向長さL6は、内側バリヤーカフス61の方が外側バリヤーカフス60と同じかまたは短く形成するのが好ましく、バリヤーカフス60,61における細長状弾性伸縮部材63の前後方向固定長さは、内側バリヤーカフス61の方が外側バリヤーカフス60と同じかまたは長く形成するのが好ましい。取付部分65と突出部分66との境界は、外側バリヤーカフス60と内側バリヤーカフス61とで同じ位置であっても良いが、外側バリヤーカフス60の境界が内側バリヤーカフス61の境界よりも幅方向中央側に離間しているのが好ましく、その離間距離は10mm以内が好ましい。
外側バリヤーカフス60及び内側バリヤーカフス61の取付部分68,65における突出部分66,69側の縁部には、ホットメルト接着剤やヒートシールによる線状の付け根固定部を形成するのが好ましい。また、他の固定部はホットメルト接着剤等を用いて適宜のパターンで固定することができる。この線状の付け根固定部は、内装体200の表面側の側部近傍(具体的には側縁から幅方向に0〜5mm、好ましくは0〜3mmの位置)または裏面側に位置するのが好ましい。この場合、バリヤーカフスを表面側に折り返して固定しているのは実質的に前後方向両端部のみとなるため、前後固定部67による幅方向中央側への規制が十分に作用しない股間部においては、外側バリヤーカフス60及び内側バリヤーカフス61いずれもが幅方向外側に向かって起立し、内側バリヤーカフス61の形成するポケットが広くなる。表面側で側縁から幅方向に5mmを越えて線状の付け根固定部が位置すると、股間部においてもバリヤーカフスが幅方向中央側に向かって起立し、内側バリヤーカフス61の形成するポケットが狭くなるため、好ましくない。裏面側に位置する場合は、内装体200の側縁から0〜20mmの位置が適当だが、20mmを越えて位置してもよい。
外側及び内側バリヤーカフス60,61の取付部分68,65の固定対象は、内装体200における表面シート30、液不透過性裏面側シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができ、またいずれか一方のバリヤーカフスを介して他方のバリヤーカフスを内装体200に対して固定することもできる。
かくして構成された外側及び内側バリヤーカフス60,61では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66,69のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分68,65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において外側及び内側バリヤーカフス60,61が幅方向外側に開くように起立するため、外側及び内側バリヤーカフス60,61が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。一方、股間部の前後両側(腹部及び背部)においては、前後固定部67により外側及び内側バリヤーカフス60,61が幅方向外側へ開かないように規制されるため、内側バリヤーカフス61は高く起立し、外側バリヤーカフス60の下半分も同様に起立するため、腹部及び背部における内装体200両脇からのもれが確実に防止できる。また、内側バリヤーカフス61の突出部分66における前後固定部67は折り返さずに、外側バリヤーカフス60の突出部部分68における前後固定部67は外向きに折り返されているため、外側及び内側バリヤーカフス60,61における内側及び外側自由部分間の離間状態が維持され、外側及び内側バリヤーカフス60,61が広い間隔で確実に起立し、それぞれが脚周りにフィットするようになるため、漏れ防止性に優れたものとなる。
バリヤーカフス60,61の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図7に示すように、内側バリヤーカフス61の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W5は10〜50mm、特に15〜35mmであるのが好ましく、外側バリヤーカフス60の起立高さ(展開状態における突出部分69の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、内側バリヤーカフス61を表面シート30表面に倒した状態における先端間の離間距離W4は60〜170mm、特に70〜120mmであるのが好ましい。また、外側バリヤーカフス60を表面シート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、外側及び内側バリヤーカフス60,61のいずれか一方のみを設けることもできる。
(吸収要素)
本例の吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有するものとなっているが、包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、親水性を有することが好ましく、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば120〜200g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
吸収体56は、前後方向中央CLから前側に物品全長L5の30〜48%、及び後側に物品全長L5の25〜45%延在している。吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部56F、後端部56B及びこれらの間に位置し、前端部56F及び後端部56Bと比べて幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体とバリヤーカフス60,61の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。具体的な寸法としては、吸収体前端部56Fの前後方向長さをL1とし、吸収体56と腹側外装シート12Fとの重なり部分における前後方向長さをL2とし、吸収体後端部56Bの前後方向長さをL3とし、吸収体56と背側外装シート12Bとの重なり部分における前後方向長さをL4とし、括れ部56Nの最小幅をW1とし、吸収体前端部56Fの幅及び吸収体後端部56Bの幅をW2としたとき、下記の式(1)〜(4)を満足するように構成されていると、好ましい。
70mm ≦ W1 < W2 ≦ 190mm …(1)
0.5 ≦ W1/W2 ≦ 0.85 …(2)
0mm ≦ L1−L2 ≦ 70mm …(3)
0mm ≦ L3−L4 ≦ 50mm …(4)
W1及びW2が狭過ぎると、バリヤーカフス60,61の起立が不安定になり、また吸収量が不十分となり、広過ぎるとフィット性の低下により装着感が悪化する。
また、上記数値範囲にあると、股間部においてはバリヤーカフス60,61の取付部分65近傍に吸収体56が存在しないため、バリヤーカフス60,61の動きの自由度が増し、バリヤーカフス60,61が幅方向外側に開き易く、肌に対して面で当たりやすくなり、脚の動きに対するフィット面の追従性も向上する。前後両側においては内装体200側部の吸収体56が十分な範囲に存在するため、これを基点(支点)としてバリヤーカフス60,61の起立が安定する。前後両側から股間部に至る部分は、バリヤーカフス60,61が内装体200の幅方向両側縁を基準として幅方向内側に起立した姿勢から幅方向外側に開いていく変位部であり、このバリヤーカフス60,61の姿勢変化が内装体200側部まで存在する吸収体56により支えられ、バリヤーカフス60,61の全体的な起立形状が安定する。上記数値範囲を外れ、括れ部が大きくなりすぎると、股間部においてはバリヤーカフス60,61の自由度が高くなりすぎ、かえって脚周りに隙間ができ易くなるおそれがあり、また股間部の前後両側においても基点(支点)が無いためにバリヤーカフス60,61の起立が不安定になるおそれがある。逆に括れ部が小さくなりすぎると、バリヤーカフス60,61の自由度が低下するので好ましくない。
さらに、括れ部56N全体の前後方向長さL7は好ましくは80mm以上、特に好ましくは120〜260mmとされる。括れ部56Nの前後方向長さL7が短過ぎるとバリヤーカフス60,61の自由度が低下するとともに、吸収体56の脚周りに対するフィット性が低下して脚の動きを妨げるようになり、長すぎるとバリヤーカフス60,61の起立が安定しなくなる。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56中にはその全体にわたり高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマーとしては、抗菌物質と一体化したものを用いることができる。特に、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなるゼオライト粒子(以下、これを抗菌消臭性ゼオライトという)を高吸収性ポリマー中に含有させるか、あるいは抗菌消臭性ゼオライト粒子を高吸収性ポリマー粒子の表面に静電気により付着させてなる、抗菌消臭性高吸収性ポリマー粒子が好適である。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の含有量は、100〜400g/m2、特に170〜300g/m2の範囲内で、親水性繊維の含有量よりも高吸収性ポリマーの含有量のほうが多い、具体的には重量比較で繊維集合体1に対して高吸収性ポリマーが1.1〜2.0、特に1.4〜1.6程度となるように設定するのが好ましい。ポリマーの含有量が170g/m2未満では、トレーニング用途のみであれば使用可能であるが、着用者が排泄に気づかずに複数回排泄(排尿)した場合には吸収量が不足してもれることがあり、300g/m2を超えるとジャリジャリとした感触が着用者に伝わり不快感を与えることがある。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないような目の細かいシートであるのが望ましく、薄く低目付けのものが適当である。厚みは0.05〜3mm程度、特に0.2mm以下、且つ目付けが5〜25g/m2程度、特に15g/m2以下であると、裏面側から肌への伝熱性に優れるため好ましい。不織布を用いる場合は、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布、特にSMS法により加工された不織布が、薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。
(股間部外装シート)
内装体200の裏面側には、製品外面に露出する股間部外装シート12Mが設けられている。この股間部外装シート12Mの素材としては、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bと同様のものを用いることができるが、より高強度の素材や消臭剤を含有するもの等、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bとは異なる素材を用いることもできる。具体的には、PP、PP/PE、PP/PET等の繊維からなる、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、エアーポイント不織布、スパンレース不織布、SMS不織布等の各種不織布、あるいはこれに消臭剤等を添加したもの等を用いることができる。
股間部外装シート12Mには座位時に高い体圧がかかる。よって、摩擦堅牢度の高い(毛羽立たない)特性を有する素材が好ましい。
股間部外装シート12Mは、印刷や着色を行い、デザイン要素を備えたシートとしてもよい。前述のデザインシートと併用する場合は、それぞれのデザインが重ならないように配置することが好ましい。
股間部外装シート12Mが幅方向側部から身体側面まで回り込み、バリヤーシート62の外面にホットメルト接着剤等により接着固定されていると、内装体200の両側部の剛性が向上する。このような形態においては、股間部外装シート12Mに剛度(コシ度)の高いシートを用いることが好ましい。具体的には、クラーク法(JISL1096 C法)によって測定される剛軟度の、シートのMD方向とCD方向との和が100mm以上、好ましくは150mm以上のシートを用いるとよい。
図示例では、腹側及び背側外装シート12F,12Bと内装体200とが重なる部分において、股間部外装シート12Mは内装体200と腹側及び背側外装シート12F,12Bとの間に挟まれているが、腹側及び背側外装シート12F,12Bの外側に貼り付けることも可能である。股間部外装シート12Mは、ホットメルト接着剤等により内装体200の裏面、並びに腹側及び背側外装シート12F,12Bの内面若しくは外面に貼り付けられる。
また、図示例では外装シートは腹側外装シート12F、背側外装シート12B,股間部外装シート12Mの3部分が連結されて構成されているが、外装シートは1枚のシートから一体的に形成してもよい。
<テープタイプ使い捨ておむつの例>
以下の説明において、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向(縦方向)」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの前側部分両側部と後側部分量側部を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
図11〜図16は本発明に係るテープタイプ使い捨ておむつの一例を示している。図13及び図14は、図11における6−6線断面及び7−7線断面をそれぞれ示した図であり、図15及び図16は、図1における8−8線断面及び9−9線断面をそれぞれ示した図である。このテープタイプ使い捨ておむつは、幅方向中央に沿って下腹部から股間部を通り臀部までを覆うように延在する部分であって、且つ身体側表面を形成する透液性表面シートと、外面側に位置する液不透過性裏面側シートとの間に吸収体56が介在する部分である吸収性本体部10と、この吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収体56を有しない部分である腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEとを有するものである。
また、このテープタイプ使い捨ておむつは、腹側Fの上縁F1側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の腹側サイドフラップ部FF,FFと、背側Bの上縁B1側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の背側サイドフラップ部BF,BFとを備えている。また、背側サイドフラップ部BF,BFには、係止部材としてのファスニングテープ130がそれぞれ設けられている。
より詳細には、吸収性本体部10ならびに背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの外面全体が外装シート12により形成されている。特に、吸収性本体部10においては、外装シート12の内面側に液不透過性裏面側シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性裏面側シート11の内面側に吸収要素50、中間シート40、および表面シート30がこの順に積層されている。表面シート30および液不透過性裏面側シート11は図示例では長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、表面シート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、液不透過性裏面側シート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。また液不透過性裏面側シート11は透湿性のポリエチレンフィルム等からなり、表面シート30よりも若干幅広に形成されている。
さらに、この吸収性本体部10の両側には、装着者の肌側に突出(起立)する側部バリヤーカフス60,60が設けられており、この側部バリヤーカフス60,60を形成するバリヤーシート62,62が、背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの内面を含め、吸収性本体部10の幅方向外側の全体にわたり延在されている。
以下、各部の素材および特徴部分について順に説明する
(外装シート)
外装シート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。
外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布12相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。
(液不透過性裏面側シート)
液不透過性裏面側シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性裏面側シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性裏面側シート11として用いることができる。
(表面シート)
表面シート30は液透過性を有するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
(中間シート)
表面シート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、表面シート30と吸収要素50との間に中間シート(セカンドシートもいわれる)40を設けることができる。この中間シート40は、排泄物を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体からの逆戻りを防止し、表面シート30表面を肌触りを良くするものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材を用いることができる。中間シート40は表面シート30に接合するのが好ましく、その接合にヒートエンボスや超音波溶着を用いる場合は、中間シート40の素材は表面シート30と同程度の融点をもつものが好ましい。また、便中の固形分を透過させることを考慮するならば中間シート40に用いる繊維の繊度は5.0〜7.0dtexであるのが好ましいが、表面シート30における液残りが多くなる。これに対して、中間シート40に用いる繊維の繊度が1.0〜2.0dtexであると、表面シート30の液残りは発生し難いが、便の固形分が透過し難くなる。よって、中間シート40に用いる不織布の繊維は繊度が2.0〜5.0dtex程度とするのが好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(側部バリヤーカフス)
表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)する側部バリヤーカフス60、60を設けるのは好ましい。
この側部バリヤーカフス60は、実質的に幅方向に連続するバリヤーシート62と、このバリヤーシート62に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材63とにより構成されている。このバリヤーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、図11及び図12に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
バリヤーシート62の内面は、表面シート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性裏面側シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。この固着部分のうち固着始端近傍の幅方向外側において、バリヤーシート62と外装シート12とが対向する部分のシート間に、前後方向に沿って糸ゴム等からなる脚周り弾性伸縮部材64がそれぞれ設けられている。
脚周りにおいては、側部バリヤーカフス60の固着始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部では表面シート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が糸ゴム63の収縮力により起立するようになる。おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム63の収縮力が作用するので、糸ゴム63の収縮力により側部バリヤーカフス60が起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
図示形態と異なり、バリヤーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部を、幅方向外側の部分から幅方向内側に延在する基端側部分とこの基端側部分の幅方向中央側の端縁から身体側に折り返され幅方向外側に延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、その間の部分を非固定の自由部分とすることもできる。
(吸収要素)
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性裏面側シート11の内面に接着することができる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56は、高吸収性ポリマー粒子を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、繊維の集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が繊維の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が繊維の集合体を通り抜けて包装シート58上にある形態も排除されるものではない。
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包装シート58は、図13に示すように、吸収体56の全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包装するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性裏面側シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性裏面側シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包装シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
(ファスニングテープ)
ファスニングテープ130は、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材からなるファスニング基材130Cの基部がおむつに取り付けられており、おむつから突出する先端側部分に腹側に対する係止部として、メカニカルファスナーのフック材130Aが設けられている。フック材130Aはファスニング基材130Cに接着剤により剥離不能に接合されている。
本発明を適用するのが特に好ましい、水様便、軟便を頻繁に排泄する新生児〜12ヶ月程度までの乳幼児用おむつにおいては、ファスニングテープ130の取り付け部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さX1は10〜50mm、特に20〜40mmであるのが好ましく、前後方向長さY1は、20〜100mm、特に40〜80mmであるのが好ましい。また、ファスニングテープ130の先端側部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さは30〜80mm、特に40〜60mmであるのが好ましく、前後方向の長さ(高さ)は20〜70mm、特に25〜50mmであるのが好ましい。なお、ファスニングテープ130の一部または全部が例えば略テーパ形状をなし、前後方向長さや幅方向長さが一定でない場合は、上記数値範囲は平均値にて定める。ファスニングテープ130の形状は、矩形形状などの左右対称形状でもよいが、幅広の取り付け部分と細長状の先端側部分からなる凸型形状であると、先端側部分の摘み部が摘みやすく、かつ左右の基部間の張力が広範囲に作用するため、好ましい。フック材130Aは、その外面側に多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。フック材130Aに代えて、ファスニングテープ130の係止部として粘着材層を設けることもできる。
おむつの装着に際しては、背側サイドフラップ部BFを腹側サイドフラップ部FFの外側に重ねた状態で、ファスニングテープを腹側F外面の適所に係止する。ファスニングテープ130の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。新生児〜12ヶ月程度までの乳幼児用おむつにおいては、係止箇所は、前後方向20〜80mm、幅方向150〜300mmの矩形範囲とし、その上端縁と腹側上縁との高さ方向離間距離を0〜60mm、特に20〜50mmとし、かつ製品の幅方向中央とするのが好ましい。
ファスニングテープ130は、背側エンドフラップ部BEと吸収要素50の境界線上にファスニングテープ130の取り付け部分が重なるように取り付けられていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ130の取り付け部分間に働く張力により、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。また、ファスニングテープ130の取り付け部分が、おむつの背側端部(後端部)と離れすぎていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ130の取り付け部分間に働く張力がおむつの背側端部にまで及ばないため、おむつの背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすい。従って、背側エンドフラップBEの前後方向長さは、ファスニングテープ130の基部の前後方向長さと同じか又は短いことが好ましい。
(ターゲット印刷シート)
腹側Fにおけるファスニングテープ130の係止箇所には、係止を容易にするためのターゲット印刷を有するターゲット印刷シート74を設けるのが好ましい。ターゲット印刷シート74は、係止部がフック材130Aの場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。ここで、ターゲット印刷は、シート基材に対して施すのが好ましい。
また、腹側Fにおけるファスニングテープ130の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ130の係止部がフック材130Aの場合には、ターゲットテープ74を省略し、フック材130Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。この場合、ターゲット印刷シート74を外装シート12と液不透過性裏面側シート11との間に設けてもよい。
このような、ターゲット印刷シート74のシート基材に、臭気を物理吸着する多孔質消臭粒子を、インクを接着手段として接着することができる。消臭粒子の種類や配合量、接着形態等については、前述したパンツタイプ使い捨ておむつにおける印刷シート25と同様とすることができる。
(エンドフラップ部)
エンドフラップ部は、吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収体56を有しない部分であり、前側の延出部分が腹側エンドフラップ部FEであり、後側の延出部分が背側エンドフラップ部BEである。
背側エンドフラップBEの前後方向長さは、前述の理由によりファスニングテープ130の取り付け部分の前後方向長さと同じか短い寸法とすることが好ましく、また、おむつ背側端部と吸収体56とが近接しすぎると、吸収体56の厚みとコシによりおむつ背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすいため、10mm以上とすることが好ましい。
腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEの前後方向長さは、おむつ全体の前後方向長さLの5〜20%程度とするのが好ましく、本発明を適用するのが特に好ましい、水様便、軟便を頻繁に排泄する新生児〜12ヶ月程度までの乳幼児用おむつにおいては、10〜60mm、特に20〜50mmとするのが適当である。
(背側伸縮シート)
図示形態では、両ファスニングテープ130間に、幅方向に弾性伸縮する帯状の背側伸縮シート70が設けられ、おむつ背側部におけるフィット性を向上させている。背側伸縮シート70の両端部は両ファスニングテープ130の取り付け部分と重なる部位まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。背側伸縮シート70の前後方向寸法は、ファスニングテープ130の取り付け部分の前後方向寸法と概ね同じにするのが適当であるが、±20%程度の寸法差はあってもよい。背側伸縮シート70は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から、図15に示すように、二枚の不織布等のシート基材71をホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせるとともに、両シート基材71間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性伸縮部材72を幅方向に沿って伸張した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合におけるシート基材71としては、外装シート12と同様のものを用いることができる。弾性伸縮部材72の伸張率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性伸縮部材72として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔72dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
また、図示のように弾性伸縮部材72の一部が吸収体56を横断するように配置すると、吸収体56のフィット性が向上するため好ましいが、この場合は、弾性伸縮部材72が吸収体56と重なる部分の一部又は全部を、切断等の手段により収縮力が働かないようにすると、吸収体56の背側端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。
なお、弾性伸縮部材72は、シートの長手方向(おむつの幅方向)にシート基材71の全長にわたって固定されていてもよいが、おむつ本体への取り付け時の縮みやめくれ防止のため、シートの前後方向(おむつの幅方向)端部の5〜20mm程度の範囲においては、収縮力が働かないように、または弾性伸縮部材72が存在しないようにするとよい。
背側伸縮シート70は、図示形態では、液不透過性裏面側シート11の幅方向両側ではバリヤーシート62と外装シート12との間に挟まれ、且つ液不透過性裏面側シート11と重なる部位では、液不透過性裏面側シート11と吸収体56との間に挟まれるように設けられているが、液不透過性裏面側シート11と外装シート12との間に設けても良いし、外装シート12の外面に設けても良く、また表面シート30と吸収体56との間に設けてもよい。また、背側伸縮シート70は表面シート30の上に設けても良く、この場合、液不透過性裏面側シート11の幅方向両側ではバリヤーシート62の上に設けても良い。また、外装シート12を複数枚のシート基材を重ねて形成する場合には、背側伸縮シート70全体を、外装シート12のシート基材間に設けても良い。
<特徴部分について>
そして、以上に詳説したパンツタイプ及びテープタイプ使い捨ておむつにおいて、前後方向中央又はその近傍における外装シート12M,12に、後述する取出口12xを形成するためのミシン目12zが形成されるとともに、裏面側シート11に対して接着剤93等により直接又は間接的に連結された連結部と、取出口12xから引出可能に設けられた廃棄状態固定部91とを有する後処理部材90が、裏面側シート11と外装シート12M,12の間に収納されている。取出口12xの形状は図示例のようにスリット状(ミシン目12zは線状)とし、ミシン目12zによって取出口12xが形成されるようになっているのが好ましいが、最初からスリット状の取出口12xが形成されていてもよい。
後処理部材90は、図示例では基端部が裏面側シート11に対して連結され、その先端側が複数回、図示例では4つ折りに折り畳まれた帯状シートにより形成されており、その先端部には、物品外面に対する係止部としての粘着テープ92が先端から突出するように設けられている。粘着テープ92は、帯状シートの先端部と重なる付け根部と、その先端から突出する突出部とを有しており、粘着面は付け根部から突出部における付け根部側の部分まで形成されており、突出部における粘着面よりも先端側は粘着剤非塗布部等からなる摘み部96とされている。符号94は、粘着面の粘着剤層を示している。
後処理部材90の係止部は、連結部93から延出する部分のうち取出口12xから引出可能である部分であれば他の部位に設けることができ、例えば帯状シートの一部に粘着剤を塗布するだけでも良い。また、後処理部材90は折り畳む必要はないが、折り畳む方がコンパクトに収納できるため好ましく、その場合対向面を接着剤95等により剥離可能に接合するのが好ましい。図示例では、後処理部材90の帯幅方向両端部を接着材95により剥離可能に接合している。帯状シートの材質は液不透過性裏面側シート11や外装シート12M,12と同様の素材を用いることができる。
後処理部材90の寸法は、引出可能部分の長さ(引出方向)90Lが廃棄状態のおむつを1回半程度包める長さ、具体的には吸収体長さの50〜75%とされ、引出可能部分の幅90Wはおむつ内に収納できる限り広い方が好ましく、具体的には吸収体幅の20〜60%とされる
後処理部材90の収納空間97を形成するために、外装シート12M,12は、後処理部材90の収納空間97の周囲部分では裏面側シート11に対して接着材32等により直接又は間接的に接合されており、収納空間97では裏面側シート11及び後処理部材90に接合されていない。収納空間97において、外装シート12M,12を後処理部材90に対して剥離可能に接合したり、また後処理部材90における連結部を除く部分を裏面側シート11に対して剥離可能に接合したりすることもできる。
収納空間97の寸法は、後処理部材90を収納できる限り適宜定めることができ、大きいほど後処理部材90の寸法を大きくできるため好ましいが、過度に大きくすると外装シート12M,12の非固定部分が大きくなることにより製造上や強度上、あるいは外観上の問題が起きる可能性がある。よって、収納空間97の前後方向長さは物品全長の20〜50%程度であるのが好ましく、収納空間97の幅は物品全幅の20〜50%程度であるのが好ましい。
後処理部材90の収納の向きは適宜定めることができる。具体的に、図示例の後処理部材90及びミシン目90の形状の場合、後処理部材90の帯幅方向、ミシン目90の方向、及び製造時のMD方向を一致させるのが好ましい。図示例はこれらの方向を考慮したものである。
かくして構成された使い捨ておむつでは、例えば次のようにして後処理することができる。すなわち図10に示すように、予め外装シート12Mのミシン目90を破って取出口12xを形成し、この取出口12xから後処理部材90の廃棄状態固定部91を引き出す。次いで、前側部分Fと後側部分Bとを合せた二つ折り状態(図8および図9に示されるものと外観は同様の状態)で前後端側から前後方向中央部側に巻いて丸めて廃棄状態にするとともに、図17に示すように、その外面に後処理部材90の廃棄状態固定部91を巻き付けてその先端から突出する粘着テープ92を張り付けることによって、おむつを廃棄状態に固定することができる。このように、おむつ前後端が内側となるように巻いて丸めることができると、排泄物がおむつ前後端から食み出しても、その外側が包まれるため、丸める際に排泄物が押し出されて手や周囲を汚すといった事態が発生し難くなる。さらに、前側部分F及び後側部分Bのいずれを内側となるように巻いても、後処理部材90を引き出すことができる。しかも、前後方向中央に後処理部材90が露出していると、幼児用の使い捨ておむつにおいては装着者が後処理部材をいじって使用できなくなったり、下着との摩擦により誤って係止部が下着に係止されてしまったりするおそれがあるが、後処理部材90が外装シート12Mと液不透過性裏面側シート11との間に収納されているため、そのような問題を防止することもできる。なお、図10及び図17に示される例はパンツタイプ使い捨ておむつであるが、テープタイプでも同様であることはいうまでもない。
取出口12x又はこれを形成するためのスリット12zは、後処理前は開き難い、又は取り出し難いのが好ましいが、後処理の際には、開き易く、取り出し易いのが好ましい。このような相反する機能を発揮するために、図示例のように、取出口12xの形状をスリット状(これを形成するためのミシン目は線状になる)にし、吸収体56は高吸収性ポリマーを含有するものとし、液不透過性裏面側シート11と外装シート12M,12とが、後処理部材90の収納空間97の周囲で接合されるだけでなく、表面シート30と液不透過性裏面側シート11とを、吸収体56の周囲で接着材31等により接合するとともに、液不透過性裏面側シート11として、前記スリットと直交する方向における伸び易さが表面シート30及び外装シート12M,12よりも伸び易いものを用いることも提案する。これにより、吸収前には取出口12xは閉じているものの、吸収体56の高吸収性ポリマーが吸収により膨張したときには液不透過性裏面側シート11が伸びて、図5に二点鎖線矢印で示すように、吸収体56の膨張方向が外装シート12M,12側に偏り、外装シート12M,12の取出口12xが自動的に開口する又は開口し易くなり、もって後処理部材90が引き出し易くなる。各素材の伸び易さは適宜定めることができるが、外装シート12M,12においては、50mm幅の素材に長手方向に0.2kgの引張荷重を加えたとき(0.2kgf/50mm荷重下)の伸び率が15%未満、特に10〜15%のものが好適であり、裏面側シート11においては同伸び率が25%以上、特に25〜35%のものが好適である。また、ミシン目12zを切り開くのに要する力が0.2kgf/50mm以下であると、吸収体56の膨張方向の外装シート12M,12側への偏りによりミシン目が自動的に破れて外装シート12M,12の取出口12xが開口しやすくなる。なお、ミシン目12zを切り開くのに要する力は、ミシン目の両側の部分を引張試験機で引っ張り、ミシン目全体が切り離されるときの荷重値を単位ミシン目長さ(50mm)当たりで表した値を意味し、引張試験で測定される荷重値を換算しても、また試験片におけるミシン目の寸法を50mmに合わせても良い。
また、素材の伸び易さに相違をもたせるのに代えて又はそれとともに、図19に示すように、前記スリットと直交する方向において、液不透過性裏面側シート11と外装シート12との接合部分間において液不透過性裏面側シート11に折り畳み部11fを形成し、液不透過性裏面側シート11の長さを液不透過性裏面側シート11と外装シート12との接合部分間の間隔32dよりも長くし、余りを確保しても、同様の効果を発揮させることができる。つまり、吸収前には取出口12xは閉じているものの、吸収体56の高吸収性ポリマーが吸収により膨張したときには液不透過性裏面側シート11の折り畳み部11fが広がり、吸収体56の膨張方向が外装シート12M,12側に偏り、外装シート12M,12の取出口12xが自動的に開口する又は開口し易くなる。液不透過性裏面側シート11と外装シート12との接合部分間において液不透過性裏面側シート11に折り畳み部11fを形成するだけでなく、蛇腹部を形成したりたるみを持たせたりしてもよい。
さらに、これらの形態において、図1及び3並びに図11及び13に示されるように、吸収体56に、取出口12x又はこれを形成するためのミシン目12zと重なる部位の前後両側に設けられた幅方向に沿って延在するエンボス凹部56e、及び取出口12x又はこれを形成するためのミシン目12zと重なる部位の左右両側に設けられた前後方向に沿って延在するエンボス凹部56fの少なくとも一方を設けると、吸収体56の膨張が厚み方向に偏るようになり、それによって、吸収体56の膨張を利用した取出口12xの開口形成効果がより一層のものとなる。図示例は、厚み方向においてトップシート30表面から吸収体56内に達するエンボス凹部56e,56fを形成しているが、吸収体56に設けられている限り裏面側から設けられていても良く、また吸収体56のみに設けられていても良い。
エンボス凹部56e、56fの位置は、適宜定めることができるが、後処理部材96の収納空間97の周縁またはその近傍に沿って形成されているのが好ましく、特に収納空間97の周縁の内側近傍に形成されているのが好ましい。
本発明は、パンツタイプやテープ式、あるいはパッド型の吸収性物品等、広範な用途に適用できるものである。
100…胴回り部、11…液不透過性裏面側シート、12F…腹側外装シート、12B…背側外装シート、200…内装体、30…表面シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部バリヤーカフス、62…バリヤーシート、70…背側伸縮シート。

Claims (5)

  1. 物品前後方向中央より前側に延在する前側部分と、物品前後方向中央より後側に延在する後側部分とを有し、
    少なくとも前後方向中央を含む部位に、液透過性表面シートと液不透過性裏面側シートとの間に吸収体が介在され且つ液不透過性裏面側シートの外面側に外装シートが張り合わされてなる部分を備えた、使い捨て吸収性物品において、
    前後方向中央又はその近傍における前記外装シートに、スリット状の取出口又はこれを形成するためのミシン目が形成されるとともに、
    前記液不透過性裏面側シートに対して連結された連結部と、前記取出口から引出可能に設けられた廃棄状態固定部とを有する後処理部材が、前記液不透過性裏面側シートと前記外装シートとの間に収納されており、
    前記後処理部材は、前記廃棄状態固定部及び連結部が帯状シートで形成されるとともに、そのうちの前記取出口から引出可能である部分に物品外面に対する係止部が設けられたものであり、
    前記廃棄状態固定部は、前記引出可能である部分の長さが吸収体長さの50〜75%であり、前記引出可能である部分の幅が吸収体幅の20〜60%であり、且つ
    前記廃棄状態固定部は、折り畳まれた状態で前記液不透過性裏面側シートと前記外装シートとの間に収納されている、
    ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
  2. 前記吸収体は高吸収性ポリマーを含有しており、
    前記液不透過性裏面側シートと前記外装シートとが、前記後処理部材の収納部分の周囲で接合されるとともに、前記表面シートと前記液不透過性裏面側シートとが、前記吸収体の周囲で接合されており、且つ前記スリットと直交する方向において、前記液不透過性裏面側シートは前記表面シート及び外装シートよりも伸び易いものであり、0.2kgf/50mm荷重下での伸び率が25%以上である、請求項記載の使い捨て吸収性物品。
  3. 前記吸収体は高吸収性ポリマーを含有しており、
    前記液不透過性裏面側シートと前記外装シートとが、前記後処理部材の収納部分の周囲で接合されるとともに、前記表面シートと前記液不透過性裏面側シートとが、前記吸収体の周囲で接合されており、且つ前記スリットと直交する方向において、前記液不透過性裏面側シートの長さが前記液不透過性裏面側シートと前記外装シートとの接合部分間の間隔より長い、請求項記載の使い捨て吸収性物品。
  4. 前記外装シートは前記スリット状の取出口を形成するためのミシン目を有し、前記スリットと直交する方向において、前記外装シートは、0.2kgf/50mm荷重下での伸び率が15%未満であり、前記ミシン目を切り開くのに要する力が0.2kgf/50mm以下である、請求項または記載の使い捨て吸収性物品。
  5. 前記吸収体に、前記スリット状の取出口又はこれを形成するためのミシン目と重なる部位の前後両側に設けられた幅方向に沿って延在するエンボス凹部、及び前記スリット状の取出口又はこれを形成するためのミシン目と重なる部位の左右両側に設けられた前後方向に沿って延在するエンボス凹部の少なくとも一方が設けられている、請求項のいずれか1項に記載の使い捨て吸収性物品。
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