JP2010069416A - リン酸含有水の処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、被処理水中のリン酸の回収率を向上させると共に、脱水後のリン酸カルシウムケーキの含水率を低下させることができるリン酸含有水の処理装置及び処理方法を提供することにある。
【解決手段】本発明のリン酸含有水の処理装置1は、反応槽10で生成したリン酸カルシウムの少なくとも一部をpH3〜4.5の条件で処理する酸処理槽14と、反応槽10で生成したリン酸カルシウムを酸処理槽14に移送する第1移送ライン26と、酸処理槽14で処理したリン酸カルシウムを反応槽10に移送する第2移送ライン30と、を備え、酸処理槽14には、前記被処理水が反応槽10に供給される前に供給され、第1移送ライン26には、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度に基づいて、酸処理槽14へのリン酸カルシウム移送量を調整する移送量調整手段としてのポンプ28が設けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体製造工場や液晶パネル工場等で排出されるリン酸含有水の処理装置に関する。
従来、半導体製造工場や液晶パネル工場等で排出されるリン酸含有水を消石灰や塩化カルシウム等のカルシウム剤と反応させて、リン酸カルシウムを生成し、生成したリン酸カルシウムを鉄塩(塩化鉄、硫酸鉄)やアルミニウム塩(硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム)などの無機凝集剤及び高分子凝集剤を用いて、凝集沈殿させて処理する方法がある。上記方法では、リン酸含有水とカルシウム剤とをpH=9〜11程度で反応させるため、下式のごとく、生成するリン酸カルシウムは、Ca(PO、Ca10(PO(OH)等の形態となる。このようにCa(PO、Ca10(PO(OH)を生成させることで、処理水中のリン酸イオン濃度は低くなるが、脱水後のケーキ(Ca(PO、Ca10(PO(OH))の含水率は高くなることが知られている。特に、Ca(POの含水率が高い。
3Ca2+ + 2PO 3− → Ca(PO
10Ca2+ + 6PO 3− + 2OH → Ca10(PO(OH)
また、リン酸含有水と塩化カルシウムとをpH4.5〜7で反応させ、下式のごとく、リン酸カルシウムを結晶状のCaHPOとして生成させる処理方法もある(例えば、特許文献1参照)。このようにCaHPOを生成させることで、脱水後のケーキ(CaHPO)の含水率は低くなるが、処理水中のリン酸イオン濃度は比較的高くなることが知られている。
Ca2+ + HPO 2− → CaHPO
また、生成するCaHPO、Ca(PO等のリン酸カルシウムは比較的微細な粒子であり、沈殿性が良くないため、実用的には無機凝集剤や高分子凝集剤を併用することで、粒子を粗大化させ、沈殿性を改善して処理水と分離する。この場合、スラリが無機凝集剤(鉄塩、アルミニウム塩)由来の金属や高分子凝集剤由来の有機物等多くの不純物を含むため、高純度なリン酸の製造用として回収再利用することが困難となる。
また、例えば、特許文献2には、濃厚リン酸含有処理排水を、pH5〜7の条件で水酸化カルシウムと反応させてCaHPOを生成し、これを不溶性物として分離する第1の工程と、この第1の工程の一次処理液をpH9〜11の条件で水酸化カルシウムと反応させて生成した不溶性物を分離する第2の工程と、この第2の工程で分離した不溶性物を前記第1の工程で処理する前記濃厚リン酸含有排水に溶解させる第3の工程とを有する濃厚リン酸含有水処理方法が提案されている。特許文献2の方法により、回収再利用可能なCaHPOを含むスラリが得られる。
特開昭53−107151号公報 特開平9−253658号公報
しかし、上記これらの方法では、被処理水中のリン酸の回収率、脱水後のリン酸カルシウムケーキの含水率の点で十分ではなく、改善する必要がある。
そこで、本発明の目的は、被処理水中のリン酸の回収率を向上させると共に、脱水後のリン酸カルシウムケーキの含水率を低下させることができるリン酸含有水の処理装置及び処理方法を提供することにある。
本発明のリン酸含有水の処理装置は、リン酸を含有する被処理水とカルシウム剤とを反応させて、リン酸カルシウムを生成する反応槽と、前記反応槽で生成したリン酸カルシウムと処理水とを分離する分離槽と、前記分離槽で分離したリン酸カルシウムの少なくとも一部をpH3〜4.5の条件で処理する酸処理槽と、前記分離槽で分離したリン酸カルシウムを前記酸処理槽に移送する第1移送部と、前記酸処理槽で処理したリン酸カルシウムを前記反応槽に移送する第2移送部と、を備え、前記酸処理槽には、前記被処理水が前記反応槽に供給される前に供給され、前記第1移送部には、前記酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度に基づいて、前記酸処理槽へのリン酸カルシウム移送量を調整する移送量調整手段が設けられる。
また、前記リン酸含有水の処理装置において、前記酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度が1000mg/L以上であることが好ましい。
また、前記リン酸含有水の処理装置において、前記酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度を測定する固形物濃度測定手段を備えることが好ましい。
また、本発明のリン酸含有水の処理装置は、リン酸を含有する被処理水とカルシウム剤とを反応させて、リン酸カルシウムを生成する反応槽と、前記反応槽で生成したリン酸カルシウムと処理水とを分離する分離槽と、前記分離槽で分離したリン酸カルシウムの少なくとも一部をpH3〜4.5の条件で処理する酸処理槽と、前記酸処理槽で処理したリン酸カルシウムを前記反応槽に移送する移送部と、を備え、前記移送部には、前記反応槽内のリン酸カルシウム固形物濃度に基づいて、前記反応槽へのリン酸カルシウム移送量を調整する移送量調整手段が設けられる。
本発明によれば、被処理水中のリン酸の回収率を向上させると共に、脱水後のリン酸カルシウムケーキの含水率を低下させることができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、リン酸含有水の処理装置1は、反応槽10と、沈殿槽12と、酸処理槽14と、配管とを備える。
酸処理槽14の被処理水流入口(不図示)には、第1流入ライン16(被処理水流入部)が接続されており、酸処理槽14のpH調整剤流入口(不図示)には、pH調整剤流入ライン18が接続されている。反応槽10のカルシウム剤流入口(不図示)には、カルシウム剤流入ライン20が接続されている。また、反応槽10の被処理水排出口(不図示)と沈殿槽12の被処理水流入口(不図示)とは、第2流入ライン22により接続されている。沈殿槽12の処理水排出口(不図示)には、処理水排出ライン24が接続されており、沈殿槽12のスラリ排出口(不図示)と酸処理槽14のスラリ供給口(不図示)とは、第1移送ライン26(第1移送部)により接続されている。第1移送ライン26には、移送量調整手段としてのポンプ28が設けられている。酸処理槽14の被処理水排出口(不図示)と反応槽10の被処理水流入口(不図示)とは、第2移送ライン30(第2移送部)により接続されている。また、酸処理槽14には、固形物濃度測定器32が設けられており、ポンプ28と固形物濃度測定器32とは、電気的に接続されている。固形物濃度測定器32は、酸処理槽内のリン酸カルシウムスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度を測定することができるものであれば特に制限されるものではないが、スラリ中に超音波を発信してその減衰から固形物濃度を計測する超音波式濃度計が好ましい。
次に、本実施形態に係るリン酸を含有する被処理水(以下、リン酸含有水と呼ぶ場合がある)の処理方法及び処理装置1の動作について説明する。ここで、リン酸含有水は、例えば、半導体製造工場や液晶パネル工場等の産業排水として排出されるものである。まず、第1流入ライン16から酸処理槽14を介して反応槽10へリン酸含有水を供給すると共に、カルシウム剤流入ライン20から反応槽10へカルシウム剤を供給し、リン酸含有水とカルシウム剤と反応させて、リン酸カルシウムを生成させる。
このように、反応槽10でリン酸カルシウムを生成することができれば、pHの条件は特に制限されるものではないが、生成するリン酸カルシウムの水に対する溶解度を考慮すると、被処理水をpH5〜11の条件下で反応させることが好ましく、被処理水をpH6〜8の条件下で反応させることがより好ましい。ここで、被処理水をpH5未満の条件下で反応させると、生成するリン酸カルシウムの水に対する溶解度が高くなり、被処理水中へのリン酸イオン濃度が増加するため、被処理水中のリン酸の回収率が低下する場合がある。また、被処理水をpH11超の条件下で反応させると、後段の沈殿槽12の上澄水(処理水)の中和に多量の酸が必要となり、処理コストが高くなる。また、被処理水をpH8超の条件下で反応させると、後段の沈殿槽12で得られるリン酸カルシウムを含むスラリの沈降濃縮性が低下し、純度の高いリン酸カルシウムのスラリを得ることが困難となり、また、脱水後のケーキの含水率が高くなる場合がある。
ここで、反応槽10に供給するカルシウム剤は、水酸化カルシウム(消石灰)、塩化カルシウム、その他カルシウム剤として従来公知のもの全てを使用することができる。後述するように酸処理槽では、pHが3〜4.5に調整されるため、例えば、反応槽10内のpHを5〜11に調整するためには、アルカリ剤(pH調整剤)を使用する必要がある。しかし、カルシウム剤として水酸化カルシウムを使用すれば、pH調整のためのアルカリ剤としても機能するため、別途アルカリ剤を供給する必要はない(なお、別途アルカリ剤を供給してもよい)。また、塩化カルシウムをカルシウム剤として使用する場合等は、カルシウム剤とともにpH調整剤として、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カルシウム等のアルカリ剤を反応槽10に供給する必要がある。
次に、反応槽10で生成されたリン酸カルシウムを含む被処理水を第2流入ライン22から沈殿槽12へ供給する。そして、沈殿槽12の下部に、リン酸カルシウムスラリが堆積し、沈殿槽12の上部の上澄水を処理水排出ライン24から取り出す。また、第1移送ライン26のポンプ28を稼働させ、沈殿槽12の下部に堆積したリン酸カルシウムスラリを第1移送ライン26から酸処理槽14に供給する。なお、第1移送ライン26を流れるリン酸カルシウムスラリの一部は、スラリ排出ライン34から取り出される。
次に、pH調整剤流入ライン18から酸処理槽14へ、pH調整剤として塩酸、硫酸、硝酸等の酸剤を供給する。そして、酸処理槽14で、リン酸カルシウムスラリをpH3〜4.5の条件で酸処理する。そうすると、酸処理槽14内のリン酸カルシウムは、一部は溶解するものの、未溶解のものは、酸処理槽14に供給する前のリン酸カルシウムより結晶性が高く、含水率の低い、例えば、CaHPO、Ca(HPO等のリン酸カルシウムとなる。ここで、上記スラリをpH3未満の条件で酸処理すると、リン酸カルシウムは大半が溶解してしまうため、後段の反応槽10では、溶解したリン酸とカルシウムとの反応になる。その結果、結晶性が高く、含水率の低いリン酸カルシウムを得ることが困難となる。また、上記スラリをpH4.5超の条件で酸処理すると、CaHPO、Ca(HPO等のリン酸カルシウムに改質させること自体が困難となる。なお、酸処理槽14にpHセンサを設置して、酸処理槽14内のスラリのpHを管理しながら、pH調整剤の供給量を調節することが好ましい。
含水率の低いCaHPO、Ca(HPO等のリン酸カルシウムを得るためには、上記説明したように酸処理槽14内のpH調整が重要であるが、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度が低ければ、酸処理槽14内のpHを調整しても、CaHPO、Ca(HPO等のリン酸カルシウムの生成率を向上させることができない場合がある。そのため、酸処理槽14へのリン酸カルシウム移送量を調整し、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度(リン酸カルシウムスラリ濃度)を調整することも重要である。
そこで、本実施形態では、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度に基づいて、ポンプ28の稼働を制御し、酸処理槽14へのリン酸カルシウムスラリの移送量を調節することにより、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度を適正値に制御する。
ここで、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度の適正値は、所望する含水率により異なるが、例えば、60%以下の含水率を確保することができる点で、1000mg/L以上であることが好ましく、5000mg/L以上であることがより好ましい。但し、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度が高くなるほど、最終的に得られるリン酸カルシウムの含水率は低くなるが、処理装置内を循環するリン酸カルシウムスラリの流動性は低下する。その結果、ポンプ28、配管等の閉塞が起こる場合がある。そこで、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度の上限値としては、ポンプ28の容量、配管の径等にもよるが、50000mg/L以下であることが好ましく、30000mg/L以下であることがより好ましい。
酸処理槽14へのリン酸カルシウム移送量の調整方法の一例について説明する。酸処理槽14内へ流入する被処理水中のリン酸濃度の変動が大きい場合には、固形物濃度測定器32により計測される酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度に基づいてポンプ28を制御し、酸処理槽14へのリン酸カルシウムスラリの移送量を調整し、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度を適正値に制御することが好ましい。具体的には、固形物濃度測定器32に予め1000mg/L〜50000mg/Lの範囲で閾値を設定する。そして、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度が設定した閾値より低い場合には、固形物濃度測定器32は、ポンプ28の稼働量を上げる指示を送り、酸処理槽14内へのリン酸カルシウムスラリの移送量を増加させる。一方、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度が設定した閾値より高い場合には、固形物濃度測定器32は、ポンプ28の稼働量を下げる指示を送り、酸処理槽14内へのリン酸カルシウムスラリの移送量を低下させる。
また、酸処理槽14内に流入する被処理水中のリン酸濃度が安定している場合には、例えば、第1移送ライン26、第2移送ライン30を通るリン酸カルシウムスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度及び最終的に得られるリン酸カルシウムケーキの含水率等から、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度を把握することが経験的に可能であるため、固形物濃度測定器32等により、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度を直接検出する必要はない。
本実施形態では、移送量調整手段としてポンプ28を用いているが、リン酸カルシウムスラリの移送量を調整することができるものであればこれに制限されるものではなく、弁等でもよい。
また、第1移送ライン26にスラリ濃縮槽を設け、沈殿槽12から引き抜いたリン酸カルシウムスラリを一旦、スラリ濃縮槽に流入させて、濃縮してから酸処理槽14に供給してもよい(これにより、より濃厚なスラリを酸処理槽14に返送できるため、より高い効果が得られる。また、スラリの返送流量を小さくできる等のメリットもある。)。なお、本実施形態では沈殿槽12により、処理水とスラリとを沈殿分離させたが、分離方法は特に制限されるものではなく、ろ過膜を用いた膜分離等であってもよい。
次に、第2移送ライン30から反応槽10へ、酸処理槽14でCaHPO、Ca(HPO等に改質されたリン酸カルシウムスラリを供給し、反応槽10内の被処理水及びカルシウム剤と混合させる。リン酸カルシウムスラリを混合しながら、被処理水とカルシウム剤とを反応させることにより、粒径が大きく、沈殿性、ろ過性の良いリン酸カルシウムを生成させることができる。反応槽10において生成するリン酸カルシウムは、酸処理槽14で改質したCaHPO、Ca(HPO等のリン酸カルシウムが核となっているため、スラリの沈降濃縮性が高く、脱水後のケーキ含水率も低い。さらに、本実施形態では、ポンプ28によりリン酸カルシウムスラリの移送量が調整され、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度が適正値に制御されるため、酸処理槽14で、CaHPO、Ca(HPO等のリン酸カルシウムの生成率を向上させることができる。
図2は、本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図2に示すリン酸含有水の処理装置2において、図1に示すリン酸含有水の処理装置1と同様の構成については同一の符合を付し、その説明を省略する。図2に示すように、リン酸含有水の処理装置2の反応槽10は、第1反応部36と、第1反応部36の後段に設置される第2反応部38とを備える。
第1反応部36のカルシウム剤流入口(不図示)には、カルシウム剤流入ライン20が接続されている。第1反応部36の被処理水排出口(不図示)と第2反応部38の被処理水流入口とは、第2流入ライン40が接続されている。第2反応部38のpH調整剤流入口(不図示)には、pH調整剤流入ライン44が接続されている。第2反応部38の被処理水排出口(不図示)と沈殿槽12の被処理水流入口(不図示)とは、第3流入ライン46により接続されている。沈殿槽12のスラリ排出口(不図示)と酸処理槽14のスラリ供給口(不図示)とは、ポンプ28を介して第1移送ライン26(第1移送部)により接続されている。酸処理槽14の被処理水排出口(不図示)と第1反応部36の被処理水流入口(不図示)とは、第2移送ライン48により接続されている。
次に、本実施形態に係るリン酸を含有する被処理水の処理方法及び処理装置2の動作について説明する。まず、第1流入ライン16から酸処理槽14を介して第1反応部36へリン酸含有水を供給すると共に、カルシウム剤流入ライン20から第1反応部36へカルシウム剤を供給する。第1反応部36では、リン酸含有水をpH5〜7の条件下でカルシウム剤と反応させて、リン酸カルシウムを生成させる。リン酸含有水をpH5〜7の条件下で反応させると、CaHPOを主成分とするリン酸カルシウムが生成する。リン酸含有水をpH5未満の条件下で反応させると、生成するリン酸カルシウム(主にCaHPO)の水に対する溶解度が高くなり、被処理水中へのリン酸イオン濃度が増加するため、被処理水中のリン酸の回収率が低下する場合がある。また、リン酸含有水をpH7超の条件下で反応させると、CaHPOを生成させることが困難となる。CaHPOを生成させることにより、後段の沈殿槽12で得られるスラリの沈降濃縮性を高め、純度の高いリン酸カルシウムスラリを得ることが可能となり、また、脱水後のケーキの含水率を低下させることも可能となる。
ここで、第1反応部36に供給するカルシウム剤は、上記と同様のものを使用することができる。また、カルシウム剤として水酸化カルシウムを使用すれば、pH調整のためのアルカリ剤としても機能するため、別途アルカリ剤を供給する必要はない(なお、別途アルカリ剤を供給してもよい)。アルカリ剤を使用する場合は、上記と同様のアルカリ剤を使用することができる。
次に、第1反応部36で生成したリン酸カルシウムを含む被処理水を第2流入ライン40から第2反応部38へ供給すると共に、pH調整剤をpH調整剤流入ライン44から第2反応部38へ供給する。第2反応部38では、第1反応部36で生成したリン酸カルシウムを含む被処理水をpH7超、好ましくはpH7超〜10以下の条件下で反応させる。第1反応部36で生成したリン酸カルシウムは、比較的、水に対する溶解度が高いが、第2反応部38において、被処理水を上記pHで反応させることにより、生成するリン酸カルシウムの水に対する溶解度を低下させることができる。これにより、被処理水中のリン酸の回収率を向上させることができる。なお、第2反応部38にも第1反応部36と同様にカルシウム剤を供給してもよいが、第1反応部36から流入してくる被処理水にカルシウムイオンが充分に残留していれば、pH調整だけでよい。
ここで、被処理水をpH7以下の条件下で反応させると、生成するリン酸カルシウムの水に対する溶解度が高くなり、被処理水中のリン酸の回収率が低下する場合がある。また、被処理水をpH10超の条件下で反応させると、リン酸カルシウムスラリの沈降濃縮性の低下、含水率の上昇、及び後段の沈殿槽12の上澄水(処理水)の中和に多量の酸が必要となり、処理コストが高くなる。
第2反応部38にpHセンサを設置して、第2反応部38の被処理水のpHを管理しながら、pH調整剤(アルカリ剤)の供給量を調節することが好ましい。
次に、第2反応部38までで処理されたリン酸カルシウムを含む被処理水を第3流入ライン46から沈殿槽12へ供給する。その後の処理は、上記説明した処理と同様であるため、以下に簡単に説明する。まず、ポンプ28を稼働させ、沈殿槽12で分離したリン酸カルシウムスラリを第1移送ライン26から酸処理槽14へ供給する。この際、上記でも説明したように、例えば、固形物濃度測定器32により計測される酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度に基づいてポンプ28を制御し、酸処理槽14へのリン酸カルシウムスラリの移送量を調整し、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度を適正値に制御する。そして、酸処理槽14にpH調整剤を供給し、該リン酸カルシウムをpH3〜4.5で酸処理する。そして、酸処理槽14内のリン酸カルシウムを結晶性が高く、含水率の低い、例えば、CaHPO、Ca(HPO等のリン酸カルシウムに改質する。次に、第2移送ライン48から第1反応部36へ酸処理槽14で改質されたリン酸カルシウムスラリを供給し、第1反応部36で被処理水及びカルシウム剤と混合させながら、被処理水とカルシウム剤とを反応させる。これにより、粒径が大きく、沈殿性、ろ過性の良いリン酸カルシウムを生成させることができる。また、最終的に得られるリン酸カルシウムを含むスラリの沈降濃縮性を向上させ、脱水後のケーキ含水率を低下させることもできる。
図3は、本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図3に示すリン酸含有水の処理装置3において、図2に示すリン酸含有水の処理装置2と同様の構成については同一の符合を付し、その説明を省略する。図3に示すように、リン酸含有水の処理装置3の反応槽10は、第1反応部36と、第1反応部36の後段に設置される第2反応部38と、第2反応部38の後段に設置される第3反応部50とを備える。第2反応部38の被処理水排出口(不図示)と第3反応部50の被処理水流入口(不図示)とは、第3流入ライン52により接続されている。第3反応部50のpH調整剤流入口(不図示)には、pH調整剤流入ライン54が接続されている。第3反応部50の被処理水排出口(不図示)と沈殿槽12の被処理水流入口(不図示)とは、第4流入ライン56により接続されている。
次に、本実施形態に係るリン酸を含有する被処理水の処理方法及び処理装置3の動作について説明する。まず、第1流入ライン16から酸処理槽14を介して第1反応部36へリン酸含有水を供給すると共に、カルシウム剤流入ライン20から第1反応部36へカルシウム剤を供給する。第1反応部36では、リン酸含有水をpH5〜6の条件下でカルシウム剤と反応させて、CaHPOを主成分とするリン酸カルシウムを生成させる。
次に、第1反応部36で生成したリン酸カルシウムを含む被処理水を第2流入ライン40から第2反応部38へ供給すると共に、アルカリ剤をpH調整剤流入ライン44から第2反応部38へ供給する。第2反応部38では、第1反応部36で生成したリン酸カルシウムを含む被処理水をpH9超の条件下で反応させる。
第2反応部38で被処理水をpH9超の条件下で反応させると、主にCa(POのリン酸カルシウムが生成する。Ca(POは、CaHPOより水に対する溶解度が小さい。すなわち、第1反応部36では、水に対する溶解度が高いCaHPOが主に生成するが、第2反応部38では、Ca(POが生成するため、リン酸カルシウムの水に対する溶解度を低下させ、リン酸の回収率を増加させることができる。なお、第2反応部38までで得られるリン酸カルシウムは、Ca(POがCaHPOの周囲に付着したものと予想され、その粒径は大きいものとなる。したがって、リン酸カルシウムの沈殿性、ろ過性を向上させることも可能となる。
第2反応部38では、Ca(POを生成するために、被処理水をpH9超の条件下で反応させればよいが、被処理水をpH9.5〜10.5の条件下で反応させることが好ましく、被処理水をpH10の条件下で反応させることがより好ましい。被処理水をpH9.5未満の条件下で反応させると、Ca(POを十分に生成させることが困難となり、リン酸の回収率が低下する場合がある。また、被処理水をpH10.5超の条件下で反応させても、Ca(POの生成量にはほとんど影響しない。そのため、被処理水のpHを10.5超にすると、後段の第3反応部50において、pH調整剤の使用量が多くなり、処理コストが高くなる場合がある。
第2反応部38までで処理されたリン酸カルシウムを含む被処理水を第3流入ライン52から第3反応部50へ供給する。また、pH調整剤流入ライン54から第3反応部50へ塩酸、硫酸、硝酸等の酸剤(pH調整剤)を供給する。第3反応部50では、第2反応部38までで処理されたリン酸カルシウムを含む被処理水をpH9以下の条件下で反応させて、リン酸カルシウム(主にCa(PO)の一部をCa10(PO(OH)(水酸化アパタイト)に変換する。リン酸カルシウム(主にCa(PO)の一部をCa10(PO(OH)に変換することにより、最終的に得られるリン酸カルシウムのスラリの沈降濃縮性を高くし、含水率を低くすることができる。なお、第3反応部50にもカルシウム剤を供給してもよいが、第2反応部38から流入してくる被処理水に、カルシウムイオンが十分に残留していれば、pH調整だけで(カルシウム剤を供給しなくても)、水酸化アパタイトへの変換が起きる。
第3反応部50では、リン酸カルシウムの一部を水酸化アパタイト化させるために、被処理水をpH9以下の条件下で反応させればよいが、被処理水をpH8〜9の条件下で反応させることが好ましく、被処理水をpH8の条件下で反応させることがより好ましい。被処理水をpH9超の条件下で反応させると、リン酸カルシウムの一部を水酸化アパタイト化させることが困難となる場合がある。また、被処理水をpH8未満の条件下で反応させると、リン酸カルシウムの溶解度が高くなり、リン酸の回収率が低下する場合がある。
第2反応部38、第3反応部50にpHセンサを設置して、第2反応部38、第3反応部50の被処理水のpHを管理しながら、pH調整剤(アルカリ剤、酸剤)の供給量を調節することが好ましい。
次に、第3反応部50までで処理されたリン酸カルシウムを含む被処理水を第4流入ライン56から沈殿槽12へ供給する。その後の処理は、上記説明した処理と同様であるため、以下に簡単に説明する。まず、ポンプ28を稼働させ、沈殿槽12で分離したリン酸カルシウムスラリを第1移送ライン26からから酸処理槽14へ供給する。この際、上記でも説明したように、例えば、固形物濃度測定器32により計測される酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度に基づいてポンプ28を制御し、酸処理槽14へのリン酸カルシウムスラリの移送量を調整し、酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度を適正値に制御する。そして、酸処理槽14にpH調整剤を供給し、該リン酸カルシウムをpH3〜4.5で酸処理する。次に、第2移送ライン48から第1反応部36へ酸処理槽14で改質されたリン酸カルシウムを含むスラリを供給し、第1反応部36で被処理水及びカルシウム剤と混合させながら、被処理水とカルシウム剤とを反応させる。これにより、粒径が大きく、沈殿性、ろ過性の良いリン酸カルシウムを生成させることができる。また、最終的に得られるリン酸カルシウムを含むスラリの沈降濃縮性を向上させ、脱水後の含水率を低下させることができる。
本実施形態では、図1に示す反応槽10の被処理水の滞留時間、図2,3に示す反応槽10の第1反応部36、第2反応部38、第3反応部50での被処理水の滞留時間、酸処理槽14のリン酸カルシウムスラリの滞留時間は、特に制限されるものではないが、例えば5分〜60分が好ましく、10分〜30分がより好ましい。また、図2,3に示す第2反応部38、第3反応部50は、第1反応部36のように被処理水中の高濃度のリン酸をリン酸カルシウムとして生成させるものではないので、第2反応部38、第3反応部50での被処理水の滞留時間は、第1反応部36での被処理水の滞留時間より短くてもよい。
図4〜6は、本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。酸処理槽14で、リン酸カルシウムスラリのpHを3〜4.5に調整するには、多量の酸剤が必要となる。そのため、リン酸含有水が酸性である場合には、酸剤の使用量を低減させることができる点で、図1〜3に示すリン酸含有水の処理装置のように、塩酸等の酸剤(pH調整剤)に加え、リン酸含有水を酸処理槽14に供給して、リン酸カルシウムスラリの酸処理を行うことが好ましい。しかし、リン酸含有水が中性からアルカリ性である場合には、図4〜6に示すように、第1流入ライン16を反応槽10(第1反応部36)に接続して、酸処理槽14にリン酸含有水を供給せずに、第1流入ライン16から反応槽10へリン酸含有水を供給する構成とすることが好ましい。
図4〜6に示すようなリン酸含有水の処理装置(4〜6)では、反応槽10内のリン酸カルシウム固形物濃度に基づいて、リン酸カルシウムの移送量を調整する移送量調整手段としてのポンプ58が、第2移送ライン(30又は48)に設けられている。これにより、反応槽10内のリン酸カルシウム固形物濃度が適正値に制御される。なお、移送量調整手段は、上記でも説明したように、ポンプに限られず、弁等であってもよい。
また、反応槽10には、固形物濃度測定器32が設けられており、ポンプ58と固形物濃度測定器32とは、電気的に接続されている。
反応槽10内のリン酸カルシウム固形物濃度の適正値は、所望する含水率により異なるが、例えば、60%以下の含水率を確保することができる点で、10000mg/L以上であることが好ましい。ここで、図1〜3の処理装置のように、酸処理槽14でリン酸カルシウム固形物濃度を制御する場合より高い値となるのは、反応槽10内で生成するリン酸カルシウムを考慮したためである。酸処理槽14内のリン酸カルシウム固形物濃度の上限値としては、ポンプ28の容量、配管の径等にもよるが、60000mg/L以下であることが好ましい。
図4に示すリン酸含有水の処理装置を用いて、反応槽10内へのリン酸カルシウムの移送量の制御方法の一例について説明する。例えば、反応槽10内へ流入する被処理水中のリン酸濃度の変動が大きい場合には、固形物濃度測定器32により計測される反応槽10内のリン酸カルシウム固形物濃度に基づいてポンプ58を制御し、反応槽10へのリン酸カルシウムスラリの移送量を調整し、反応槽10内のリン酸カルシウム固形物濃度を適正値に制御することが好ましい。具体的には、反応槽10に設置した固形物濃度測定器32に予め10000mg/L〜60000mg/Lの範囲で閾値を設定する。そして、反応槽10内のリン酸カルシウム固形物濃度が設定した閾値より低い場合には、固形物濃度測定器32は、ポンプ58の稼働量を上げる指示を送り、反応槽10へのリン酸カルシウムスラリの移送量を増加させる。一方、反応槽10内のリン酸カルシウム固形物濃度が設定した閾値より高い場合には、固形物濃度測定器32は、ポンプ58の稼働量を下げる指示を送り、反応槽10へのリン酸カルシウムスラリの移送量を低下させる。
また、反応槽10内に流入する被処理水中のリン酸濃度が安定している場合には、例えば、第1移送ライン26、第2移送ライン30、酸処理槽14等を通るリン酸カルシウムスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度及び最終的に得られるリン酸カルシウムの含水率等から、反応槽10内のリン酸カルシウム固形物濃度を把握することが経験的に可能であるため、固形物濃度測定器32等により、反応槽10内のリン酸カルシウム固形物濃度を直接検出する必要はない。
また、図5,6のように、反応槽10が、第1反応部36、第2反応部38(第3反応部50)のように複数に分割されている場合には、複数の反応部のうちのいずれか1つの反応部内のリン酸カルシウム固形物濃度に基づいて、ポンプ58の稼働量を制御し、反応槽10へのリン酸カルシウムスラリの移送量を調整すればよい。
なお、本実施形態において、処理対象となるリン酸含有水中のリン酸の量は、特に限定されるものではないが、例えば、50000mg−PO/L以下、特に30000mg−PO/L以下である。
以上のような処理により、リン酸の回収率を低下させることなく、リン酸カルシウムスラリの沈降濃縮性を高くし、脱水後のケーキ含水率を低下させることができる。なお、脱水後のケーキ含水率が75%から66%になると、乾燥に必要な蒸気、ガス、電気等のエネルギは75%含水率の乾燥に必要なエネルギの2/3でよく、脱水後のケーキ含水率が75%から60%になると、乾燥に必要なエネルギは75%含水率の乾燥に必要なエネルギの1/2でよく、脱水後のケーキ含水率が75%から50%になると、乾燥に必要なエネルギは75%含水率の乾燥に必要なエネルギの1/3でよい。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1−1〜1−7)
実施例1−1〜1−7においては、図2に示したものと同様の装置を用い、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度に基づいて、酸処理槽へのリン酸カルシウムスラリの移送量を調整した。表1に、第1流入ラインを通る被処理水中のリン酸濃度(mg−PO/L)、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度(mg/L)、沈殿槽から引き抜いたリン酸カルシウムスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度(mg/L)、酸処理槽へのリン酸カルシウムスラリ移送量(L/h)、リーフテスター(小型フィルタープレス脱水機)で脱水した後のリン酸カルシウムケーキの含水率(%)、処理水排出ラインから得られた処理水中のリン酸濃度(mg−PO/L)をまとめた。実施例1におけるその他の試験条件を下記に示す。
<被処理水>
被処理水流量:100L/hr
被処理水中のリン酸濃度:3000mg−PO/L又は10000mg−PO/L
被処理水:pH2(NaOHで調整)
<試験装置>
第1反応槽サイズ及びpH:20L、pH5
第2反応槽サイズ及びpH:20L、pH8
酸処理槽サイズ及びpH:20L、pH3
沈殿槽サイズ:360mmφ (LV=1m/h)
<カルシウム剤>
種類:消石灰
添加量:被処理水中のリン酸濃度が3000mg/Lの場合、3600mg/Lを添加し、被処理水中のリン酸濃度が10000mg/Lの場合、12000mg/Lを添加した。
Figure 2010069416
表1に示したように、実施例1−1では、リン酸3000mg/Lの被処理水を反応槽に供給して、リン酸と消石灰とを反応させた。そして、沈殿槽で分離したリン酸カルシウムスラリ30L/hを酸処理槽に移送した。12時間運転し定常状態になった時の酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度は20200mg/Lであり、沈殿槽から引き抜いたスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度は11400mg/Lであった。そして、リン酸カルシウムスラリを脱水した後のリン酸カルシウムケーキの含水率は52%であった。
また、実施例1−2では、被処理水中のリン酸濃度を10000mg/Lに上げ、スラリ移送量を30L/hとしたままで運転した。そして、被処理水のリン酸濃度を上げてから3時間後には、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度は33000mg/Lとなり、沈殿槽から引き抜いたスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度は160000mg/Lとなった。そして、脱水後のリン酸カルシウムケーキ含水率も49%まで低減した。このように、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度が上昇すると、含水率は低減したが、沈殿槽から引き抜いたスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度は上昇し、スラリの流動性が著しく低下した。したがって、これ以上この条件で運転を継続すると、ポンプが所定の吐出量を維持できなくなると共に、閉塞等が発生し故障することが予見できる状態となった。
実施例1−3では、被処理水中のリン酸濃度は実施例1−2のままで、スラリ移送量を21L/hに下げて運転した。この条件で運転を継続することにより、スラリの流動性を回復させることができた。スラリ移送量を下げてから12時間後には、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度は20000mg/Lとなり、沈殿槽から引き抜いたスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度は117000mg/Lとなり、実施例1−1と同等の濃度となった。そして、脱水後のリン酸カルシウムケーキ含水率は53%であり、これも実施例1−1とほぼ同等の含水率であった。
実施例1−4では、被処理水中のリン酸濃度を3000mg/Lに下げ、スラリ移送量を21L/hのままで運転した。運転を継続するにつれて、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度及び沈殿槽から引き抜いたスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度は、更に低くなった。被処理水中のリン酸濃度を下げてから12時間後には、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度は2500mg/Lとなり、沈殿槽から引き抜いたスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度は85000mg/Lとなった。これに伴って、脱水後のリン酸カルシウムケーキ含水率は59%と大幅に高くなった。
実施例1−5では、スラリ移送量を18L/hに下げて運転した。スラリ移送量を下げてから12時間後には、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度は、1000mg/Lとなり、沈殿槽から引き抜いたスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度は79000mg/Lとなった。そして、脱水後のリン酸カルシウムケーキ含水率は60%となった。
実施例1−6では、スラリ移送量を15L/hに下げて運転した。スラリ移送量を下げてから12時間後には、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度は400mg/Lとなり、沈殿槽から引き抜いたスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度は76000mg/Lとなった。そして、脱水後のリン酸カルシウムケーキ含水率は63%となった。
実施例1−7では、スラリ移送量を0にして運転を行った。スラリ移送量を0にしてから1時間程度で、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度は0になった。そして、12時間後には、沈殿槽から引き抜いたスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度は71000mg/Lとなった。そして、脱水後のリン酸カルシウムケーキ含水率は64%であった。
以上の結果から、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度が1000mg/L以上であれば、リン酸カルシウムケーキ含水率を60%以下に維持することができるとわかった。すなわち、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度が1000mg/L未満であれば、スラリ移送量を上げて、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度を1000mg/L以上にすることが好ましい。但し、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度が高すぎると、スラリの流動性が低下し、ポンプ、配管等の閉塞を引き起こす虞があるため、そのような場合には、スラリ移送量を下げて、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度を低下させることが好ましい。なお、上記実施例1−1〜1−7のいずれも、処理水中のリン酸濃度は低く、安定してリン酸を処理していることが確認できた。
(実施例2−1〜2−3)
実施例2−1〜2−3においては、図2に示したものと同様の装置を用い、超音波式の固形物濃度測定器に設定した閾値に基づいて、ポンプの移送量をインバータで制御し、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度を約2000mg/Lに保持した。表2に、第1流入ラインを通る被処理水中のリン酸濃度(mg−PO/L)、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度(mg/L)、沈殿槽から引き抜いたリン酸カルシウムスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度(mg/L)、酸処理槽へのリン酸カルシウムスラリ移送量(L/h)、リーフテスター(小型フィルタープレス脱水機)で脱水した後のリン酸カルシウムケーキの含水率(%)、処理水排出ラインから得られた処理水中のリン酸濃度(mg−PO/L)をまとめた。実施例2におけるその他の試験条件は、実施例1と同様である。
Figure 2010069416
実施例2−1では、リン酸3000mg/Lの被処理水を反応槽に供給して、リン酸と消石灰とを反応させた。そして、沈殿槽で分離したリン酸カルシウムスラリを酸処理槽に移送した。12時間運転して定常状態になった時のスラリ移送量は30L/h、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度は20200mg/L、沈殿槽から引き抜いたスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度は11300mg/Lであった。そして、リン酸カルシウムスラリを脱水した後のリン酸カルシウムケーキの含水率は52%であった。
実施例2−2では、被処理水中のリン酸濃度を10000mg/Lに上げて運転を行った。そうすると、スラリ移送量は次第に減少し、被処理水中のリン酸濃度を上げてから12時間後には、20L/hとなった。そして、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度は20500mg/L、沈殿槽から引き抜いたスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度は115000mg/Lであり、実施例2−1とほぼ同じ濃度であった。リン酸カルシウムケーキ含水率も52%であり、実施例2−1と同等であった。
実施例2−3では、被処理水中のリン酸濃度を再び3000mg/Lに下げて運転を行った。そうすると、スラリ移送量は次第に増大し、30L/hとなった。そして、酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度は19700mg/L、沈殿槽から引き抜いたスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度は117000mg/Lであり、実施例2−1、実施例2−2とほぼ同じ濃度であった。リン酸カルシウムケーキ含水率も51%であり、実施例2−1、実施例2−2とほぼ同じであった。
以上のように、被処理水中のリン酸濃度が変動した場合でも、酸処理槽内のリン酸カルシウムの固形物濃度が一定となるように、スラリ移送量を制御することにより、沈殿槽から引き抜いたスラリ中のリン酸カルシウム固形物濃度を一定に保つことができるため、スラリの流動性の悪化による配管・ポンプの閉塞等のトラブルを回避できるとともに、リン酸カルシウムケーキ含水率の上昇を抑えることができた。なお、上記実施例2−1〜2−3のいずれも、処理水中のリン酸濃度は低く、安定してリン酸を処理していることが確認できた。
本実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。
符号の説明
1〜6 リン酸含有水の処理装置、10 反応槽、12 沈殿槽、14 酸処理槽、16第1流入ライン、18,44,54 pH調整剤流入ライン、20 カルシウム剤流入ライン、22,40 第2流入ライン、24 処理水排出ライン、26 第1移送ライン、28,58 ポンプ、30,48 第2移送ライン、32 固形物濃度測定器、34 スラリ排出ライン、36 第1反応部、38 第2反応部、46,52 第3流入ライン、50 第3反応部、56 第4流入ライン。

Claims (4)

  1. リン酸を含有する被処理水とカルシウム剤とを反応させて、リン酸カルシウムを生成する反応槽と、
    前記反応槽で生成したリン酸カルシウムと処理水とを分離する分離槽と、
    前記分離槽で分離したリン酸カルシウムの少なくとも一部をpH3〜4.5の条件で処理する酸処理槽と、
    前記分離槽で分離したリン酸カルシウムを前記酸処理槽に移送する第1移送部と、
    前記酸処理槽で処理したリン酸カルシウムを前記反応槽に移送する第2移送部と、を備え、
    前記酸処理槽には、前記被処理水が前記反応槽に供給される前に供給され、
    前記第1移送部には、前記酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度に基づいて、前記酸処理槽へのリン酸カルシウム移送量を調整する移送量調整手段が設けられることを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
  2. 請求項1記載のリン酸含有水の処理装置であって、前記酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度が1000mg/L以上であることを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
  3. 請求項1又は2記載のリン酸含有水の処理装置であって、前記酸処理槽内のリン酸カルシウム固形物濃度を測定する固形物濃度測定手段を備えることを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
  4. リン酸を含有する被処理水とカルシウム剤とを反応させて、リン酸カルシウムを生成する反応槽と、
    前記反応槽で生成したリン酸カルシウムと処理水とを分離する分離槽と、
    前記分離槽で分離したリン酸カルシウムの少なくとも一部をpH3〜4.5の条件で処理する酸処理槽と、
    前記酸処理槽で処理したリン酸カルシウムを前記反応槽に移送する移送部と、を備え、
    前記移送部には、前記反応槽内のリン酸カルシウム固形物濃度に基づいて、前記反応槽へのリン酸カルシウム移送量を調整する移送量調整手段が設けられることを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
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