JP5142945B2 - リン酸含有水の処理装置及びリン酸含有水の処理方法 - Google Patents

リン酸含有水の処理装置及びリン酸含有水の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体製造工場や液晶パネル工場等で排出されるリン酸含有水の処理装置及び処理方法に関する。
従来、半導体製造工場や液晶パネル工場等で排出されるリン酸含有水を消石灰や塩化カルシウム等のカルシウム剤と反応させて、リン酸カルシウムを生成し、生成したリン酸カルシウムを鉄塩(塩化鉄、硫酸鉄)やアルミニウム塩(硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム)などの無機凝集剤及び高分子凝集剤を用いて、凝集沈殿させて処理する方法がある。上記方法では、リン酸含有水とカルシウム剤とをpH=9〜11程度で反応させるため、下式のごとく、生成するリン酸カルシウムは、Ca3(PO42、Ca10(PO46(OH)2等の形態となる。このようにリン酸カルシウムを生成させることで、処理水中のリン酸イオン濃度は低くなるが、脱水後のケーキ(Ca3(PO42、Ca10(PO46(OH)2)の含水率は高くなることが知られている。特に、Ca3(PO42の含水率が高い。
3Ca2+ + 2PO4 3- → Ca3(PO42
10Ca2+ + 6PO4 3- + 2OH- → Ca10(PO46(OH)2
また、リン酸含有水と塩化カルシウムとをpH4.5〜7で反応させ、下式のごとく、リン酸カルシウムを結晶状のCaHPO4として生成させる処理方法もある(例えば、特許文献1参照)。このようにCaHPO4を生成させることで、脱水後のケーキ(CaHPO4)の含水率は低くなるが、処理水中のリン酸イオン濃度は比較的高くなることが知られている。
Ca2+ + HPO4 2- → CaHPO4
また、第1の工程でCaHPO4を生成させ、第2の工程でCa3(PO42を生成させる処理方法もある。
しかし、上記これらの方法で生成したCaHPO4、Ca3(PO42等のリン酸カルシウムは比較的微細な粒子であり、沈殿性が良くないため、実用的には無機凝集剤や高分子凝集剤を併用することで、粒子を粗大化させ、沈殿性を改善して処理水と分離する。この場合、リン酸カルシウムには、無機凝集剤(鉄塩、アルミニウム塩)由来の金属や高分子凝集剤由来の有機物等多くの不純物が含まれているため、高純度なリン酸の製造用として回収再利用することが難しく、脱水後、廃棄処分される場合がほとんどである。特に、Ca3(PO42を含むリン酸カルシウムは、脱水性も悪く、含水率の高い脱水ケーキしか得られないため、廃棄処分にも多額の費用を要する。
また、例えば、非特許文献1には、第1の工程で、リン酸含有排水をpH7未満の条件で水酸化カルシウムと反応させ、第2の工程で、第1の工程の一次処理液をpH8〜9の条件で水酸化カルシウムと反応させ、これらの工程で生成したリン酸カルシウムを回収する方法が提案されている。非特許文献1の方法では、リン酸カルシウムの回収に凝集剤を使用していないため、回収したリン酸カルシウムには、無機凝集剤(鉄塩、アルミニウム塩)由来の金属や高分子凝集剤由来の有機物が混入しない利点がある。
特開昭53−107151号公報 村山勝男、佐藤芳夫、「沈殿の減溶を目的とする石灰脱リン法」、日本化学会誌、1992年、p.499〜503
ところで、半導体製造工場や液晶パネル工場等から排出されるリン酸含有排水には、アルミニウム、クロム、モリブデン等の金属が不純物として含まれている。また、半導体製造工場や液晶パネル工場等から排出されるリン酸含有排水には、成分は不明であるものの溶存有機物も不純物として含まれる場合があり、高いTOC(全有機炭素)値を示すことがある。このようなリン酸含有排水を上記方法で処理すると、リン酸含有排水中の金属が不溶態となり、リン酸カルシウムと共に沈降してしまう。また、リン酸含有排水中の溶存有機物も、不溶態化した金属に吸着等して、不溶態化し、リン酸カルシウムと共に沈降してしまう。その結果、回収したリン酸カルシウム中に、アルミニウム、クロム、モリブデン等の金属、有機物等の不純物が混入し、工業用原料としてのリン酸カルシウムの再利用が困難となる。
そこで、本発明の目的は、アルミニウム、クロム、モリブデン等の金属、有機物等の不純物を含むリン酸含有水の処理により回収したリン酸カルシウム中に、上記不純物が混入することを抑制することができるリン酸含有水の処理装置及び処理方法を提供することにある。
本発明のリン酸含有水の処理装置は、リン酸を含有する被処理水とカルシウム剤とを反応させて、リン酸カルシウムを生成する反応と、前記反応で生成したリン酸カルシウムと処理水とを分離させる沈殿槽と、前記沈殿槽で分離したリン酸カルシウムの少なくとも一部を酸処理する酸処理と、前記酸処理で処理されたリン酸カルシウムを濃縮する濃縮と、前記濃縮槽内の上澄液を前記反応槽に移送する移送手段と、を備え、前記反応槽では、前記被処理水と前記カルシウム剤とをpH5以上の条件下で反応させ、前記酸処理槽では、前記リン酸カルシウムをpH4以下の条件で酸処理する。
また、前記リン酸含有水の処理装置において、前記リン酸を含有する被処理水を前記反応槽に供給する前に、前記酸処理槽に流入させる被処理水流入手段を備えることが好ましい。
また、前記リン酸含有水の処理装置において、前記酸処理で処理されたリン酸カルシウムの一部を前記反応槽に返送する返送手段を備えることが好ましい。
また、本発明のリン酸含有水の処理装置は、リン酸を含有する被処理水とカルシウム剤とを反応させて、リン酸カルシウムを生成する反応槽と、前記反応槽で生成したリン酸カルシウムと処理水とを分離させる沈殿槽と、前記沈殿槽で分離したリン酸カルシウムの少なくとも一部を酸処理し、酸処理されたリン酸カルシウムを濃縮するスラリブランケット槽と、前記スラリブランケット槽内の上澄液を前記反応槽に移送する移送手段と、を備え、前記反応槽では、前記被処理水と前記カルシウム剤とをpH5以上の条件下で反応させ、前記スラリブランケット槽では、前記リン酸カルシウムをpH4以下の条件で酸処理する
また、本発明のリン酸含有水の処理方法は、リン酸を含有する被処理水とカルシウム剤とを反応させて、リン酸カルシウムを生成するリン酸カルシウム生成工程と、前記リン酸カルシウム生成工程で生成したリン酸カルシウムと処理水とを分離する分離工程と、前記分離工程で分離したリン酸カルシウムの少なくとも一部を酸処理する酸処理工程と、前記酸処理工程で処理されたリン酸カルシウムを濃縮する濃縮工程と、前記濃縮工程で生成した上澄液を前記リン酸カルシウム生成工程の反応系に添加する添加工程と、を備え、前記リン酸カルシウム生成工程では、前記被処理水と前記カルシウム剤とをpH5以上の条件下反応させ、前記酸処理工程では、前記リン酸カルシウムをpH4以下の条件で酸処理する。
本発明によれば、アルミニウム、クロム、モリブデン等の金属、有機物等の不純物を含むリン酸含有水の処理により回収したリン酸カルシウム中に、上記不純物が混入することを抑制することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、リン酸含有水の処理装置1は、撹拌装置10aが設けられた第1反応槽12(反応手段)及び撹拌装置10bが設けられた第2反応槽14(反応手段)と、沈殿槽16(分離手段)と、撹拌装置10cが設けられた酸処理槽18(酸処理手段)と、濃縮槽20(濃縮手段)と、配管とを備える。沈殿槽16及び濃縮槽20には、底部に堆積するスラリを掻き寄せる掻き寄せ機22a,22bが設けられている。
第1反応槽12の被処理水流入口(不図示)には、第1流入ライン24が接続されており、第1反応槽12の被処理水排出口(不図示)と第2反応槽14の被処理水流入口(不図示)とは、第2流入ライン26により接続されている。また、第1反応槽12及び第2反応槽14のカルシウム剤流入口(不図示)には、カルシウム剤流入ライン28,30が接続されており、第1反応槽12及び第2反応槽14のpH調整剤流入口(不図示)には、pH調整剤流入ライン32,34が接続されている。
第2反応槽14の被処理水排出口(不図示)と沈殿槽16の被処理水流入口(不図示)とは、第3流入ライン36により接続されている。沈殿槽16の処理水排出口(不図示)には、処理水排出ライン38が接続されており、沈殿槽16のスラリ排出口(不図示)と酸処理槽18のスラリ流入口(不図示)とは、第4流入ライン40により接続されている。また、第4流入ライン40には、スラリ排出ライン42が接続されている。また、酸処理槽18のpH調整剤流入口(不図示)には、pH調整剤流入ライン43が接続されている。酸処理槽18のスラリ排出口(不図示)と濃縮槽20のスラリ流入口(不図示)とは、第5流入ライン44により接続されている。濃縮槽20の濃縮スラリ排出口(不図示)には、濃縮スラリ排出ライン46が接続されており、濃縮槽20の上澄み液排出口(不図示)と第1反応槽12の上澄み液流入口(不図示)とは、移送ライン48(移送手段)により接続されている。
次に、リン酸を含有する被処理水(以下、リン酸含有水と呼ぶ場合がある)の処理方法及びリン酸含有水の処理装置1の動作について説明する。ここで、リン酸含有水は、リン酸を含むものであれば、如何なる由来の水であってもよいが、例えば、半導体製造工場や液晶パネル工場等の産業排水が挙げられる。このようなリン酸含有水には、上記でも説明したように、アルミニウム、クロム、モリブデン等の金属、有機物が不純物として含まれている。本実施形態は、このような金属、有機物を含むリン酸含有水の処理に好適である。
まず、第1流入ライン24から第1反応槽12へ、上記不純物を含むリン酸含有水を供給すると共に、カルシウム剤流入ライン28から第1反応槽12へカルシウム剤を供給し、リン酸含有水とカルシウム剤とを反応させて、リン酸カルシウムを生成させる(リン酸カルシウム生成工程)。また、第1反応槽12で生成したリン酸カルシウムを含む被処理水を第2流入ライン26から第2反応槽14へ供給すると共に、カルシウム剤流入ライン30から第2反応槽14へカルシウム剤を供給し、第1反応槽12では反応しきれずに残留しているリン酸を反応させて、リン酸カルシウムを生成させる(リン酸カルシウム生成工程)。なお、第2反応槽14では、必ずしもカルシウム剤を供給する必要はなく、第1反応槽12から流入してくるリン酸含有水にカルシウムイオンが充分に残留していれば、pH調整剤の添加によるpH調整だけでもよい。
第1反応槽12及び第2反応槽14でリン酸カルシウムを生成させる際(リン酸カルシウム生成工程の際)には、pH調整剤流入ライン32,34から第1反応槽12及び第2反応槽14へ、pH調整剤を添加し、第1反応槽12内及び第2反応槽14内のpHを5以上、好ましくは8以上に調整する必要がある。但し、反応槽内のpHが11を超えると、後段の沈殿槽16から得られる処理水の中和に多量の酸が必要となり、処理コストが高くなるため、第1反応槽12内及び第2反応槽14内のpHを5〜11の範囲に調整することが好ましく、pHを8〜11の範囲に調整することがより好ましい。反応槽内のpHを5未満にすると、生成するリン酸カルシウムの水に対する溶解度が高くなり、被処理水中へのリン酸イオン濃度が増加するため、被処理水中のリン酸の回収率が低下する場合がある。
リン酸カルシウムを生成させる反応槽の数は特に制限されるものではないが、本実施形態のように反応槽が2つある場合、第1反応槽12内のpHを5〜7に調整して、リン酸カルシウムを生成させ、第2反応槽14内のpHを7超〜11以下に調整することが好ましい。このように、第1反応槽12内のpHを5〜7に調整することにより、CaHPO4を主成分とするリン酸カルシウムが生成する。そして、CaHPO4を生成させることにより、最終的に得られるリン酸カルシウムスラリの脱水後のケーキ含水率を低下させることが可能となる。また、第2反応槽14内のpHを7超〜11以下に調整することにより、第1反応槽12で生成したリン酸カルシウムの水に対する溶解度を低下させることができる。その結果、リン酸含有水中のリン酸の回収率を向上させることが可能となる。
また、第1反応槽12及び第2反応槽14内のpHを5以上に調整すると、リン酸カルシウムの生成と共に、リン酸含有水中に含まれるアルミニウム、クロム、モリブデン等の金属が不溶態化する。また、リン酸含有水中の有機物も不溶態化した金属に吸着し、不溶態化する。このように生成したリン酸カルシウム及び不溶態化した金属、有機物を含む被処理水を第3流入ライン36から沈殿槽16へ供給する。そうすると、沈殿槽16の下部に、不溶態化した金属、有機物を含むリン酸カルシウムスラリが堆積する。また、沈殿槽16の上部には、処理水が溜まり、処理水排出ライン38から取り出す。
次に、沈殿槽16の下部に堆積した不溶態化した金属、有機物を含むリン酸カルシウムスラリを第4流入ライン40から酸処理槽18へ供給すると共に、pH調整剤流入ライン43から酸処理槽18へ、pH調整剤として塩酸、硫酸、硝酸等の酸剤を供給する。また、第4流入ライン40を流れる不溶態化した金属、有機物を含むリン酸カルシウムスラリの一部をスラリ排出ライン42から取り出す。
酸処理槽18で不溶態化した金属、有機物を含むリン酸カルシウムスラリを酸処理する際には、酸処理槽18内のpHを4以下、好ましく2.5〜3.5に調整する必要がある。これにより、リン酸カルシウム中の不溶態化金属及び有機物を再度溶解させることができる。また、リン酸カルシウム自身も、不溶態化金属及び有機物と共に、その一部は溶解するものの、未溶解のものは、酸処理槽18に供給する前のリン酸カルシウムより結晶性が高く、含水率の低い、例えば、CaHPO4、Ca(H2PO42等のリン酸カルシウムとなる。その結果、後段の濃縮槽20で、金属及び有機物を含まない高純度のリン酸カルシウムスラリを得ることが可能となる。ここで、酸処理槽18内のpHを2.5未満に調整すると、リン酸カルシウムの大半が溶解してしまう場合がある。また、酸処理槽18内のpHを4超に調整すると、不溶態化金属及び有機物の再溶解が起こり難くなり、後段の濃縮槽20で金属及び有機物を含まないリン酸カルシウムを得ることが困難となる。
次に、酸処理されたリン酸カルシウムスラリを第5流入ライン44から濃縮槽20へ供給する。そして、濃縮槽20の底部に、不溶態化金属及び有機物が除去されたリン酸カルシウムスラリが沈降し、濃縮する。濃縮したリン酸カルシウムスラリを濃縮スラリ排出ライン46から取り出し後、脱水機50に供給し、洗浄水でリン酸カルシウムスラリを洗浄後、脱水する。洗浄、脱水工程により、リン酸カルシウムスラリ中に残留する微量の不純物が除去され、高純度のリン酸カルシウムケーキが得られる。脱水方法は、特に制限されるものではないが、リン酸カルシウムスラリ中に残留する微量の不純物を効果的に除去することができる点で、フィルタープレスによる脱水が好適である。なお、脱水機50から排出される洗浄排水は、系外に排出してもよいし、第1反応槽12に供給してもよい。
次に、濃縮槽20の上部に溜まった上澄液(溶解した金属及び有機物含有)を移送ライン48から第1反応槽12へ供給する。このように、濃縮槽20の上部に溜まった上澄液を第1反応槽12へ供給することにより、結晶性が高く、含水率の低い、例えば、CaHPO4、Ca(H2PO42等のリン酸カルシウムスラリが得られる。
ここで、第1反応槽12及び第2反応槽14内のpHは、5以上に調整されているため、濃縮槽20から第1反応槽12に供給された上澄み液中の金属及び有機物は、再度不溶態化し、沈殿槽16においてリン酸カルシウムと共に、底部に堆積する。このように、金属及び有機物含有の上澄み液を循環させると、沈殿槽16から排出されるリン酸カルシウムスラリ中の金属及び有機物の濃度は高くなる。しかし、本実施形態では、沈殿槽16から排出されるリン酸カルシウムの一部をスラリ排出ライン42から取り出しているため、リン酸含有水の処理装置1内の金属及び有機物の濃度をある一定量以下に制限することができる。なお、スラリ排出ライン42から取り出されるリン酸カルシウムは、不純物が含まれているため、リン酸の原料として再利用することは困難であり、廃棄処分することが好ましい。本実施形態の装置におけるリン酸カルシウムの廃棄量は、従来のようにリン酸カルシウムを全量廃棄していた場合に比べると、1/10以下であり、廃棄処分に要する費用を大幅に削減することができる。
また、他の実施形態として、スラリ排出ライン42にも、上記同様の酸処理槽18及び濃縮槽20を設置してもよい。これにより、スラリ排出ライン42を通るリン酸カルシウムスラリ(不溶態化した金属、有機物含有)から高純度のリン酸カルシウムスラリを得ることが可能となり、高純度のリン酸カルシウムスラリの回収率を向上させることができる。
本実施形態において、反応槽(第1反応槽12及び第2反応槽14)に供給するカルシウム剤は、水酸化カルシウム(消石灰)、塩化カルシウム、その他カルシウム剤として従来公知のもの全てを使用することができる。また、反応槽に供給するリン酸含有水は、主に強酸性であるため、例えば、反応槽内のpHを5以上に調整するためには、pH調整剤として主にアルカリ剤を使用する必要がある。しかし、カルシウム剤として水酸化カルシウムを使用すれば、pH調整のためのアルカリ剤としても機能するため、別途アルカリ剤を供給する必要はない(なお、別途アルカリ剤を供給してもよい)。また、塩化カルシウムをカルシウム剤として使用する場合等は、カルシウム剤とともにpH調整剤として、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カルシウム等のアルカリ剤を反応槽に供給する必要がある。
本実施形態において、酸処理槽18のリン酸カルシウムスラリの固形物濃度は、1000mg/L以上であることが好ましく、5000mg/L以上であることがより好ましい。酸処理槽18のリン酸カルシウムスラリの固形物濃度を1000mg/L以上にすることにより、後段の濃縮槽20で濃縮したリン酸カルシウムを引き抜く上での必要量を確保することができる。また、リン酸カルシウムスラリの固形物濃度を5000mg/L以上にすることにより、リン酸カルシウム中にCa(H2PO42のような脱水性の高い形態のリン酸カルシウムの含有比率を増加させることができる。沈殿槽16から排出されるリン酸カルシウムスラリの固形物濃度の調整方法としては、例えば、沈殿槽16に固形物濃度計を設置し、第4流入ライン40にポンプを設置し、固形物濃度計の測定した値が所定値以上に達した際に、ポンプを稼働させる方法等が挙げられる。
本実施形態では、図1に示す第1反応槽12、第2反応槽14での被処理水の滞留時間、酸処理槽18のリン酸カルシウムスラリの滞留時間は、特に制限されるものではないが、例えば5分〜60分が好ましく、10分〜30分がより好ましい。
図2は、本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図2に示すリン酸含有水の処理装置2では、酸処理槽18に被処理水流入口(不図示)を設け、酸処理槽18の被処理水流入口(不図示)に第1流入ライン24が接続されていること以外は、図1のリン酸含有水の処理装置1と同様の構成である。ここで、図2に示すリン酸含有水の処理装置2において、図1に示すリン酸含有水の処理装置1と同様の構成については同一の符合を付し、その説明を省略する。
次に、本実施形態に係るリン酸を含有する被処理水の処理方法及び処理装置2の動作について説明する。まず、第1流入ライン24から酸処理槽18、濃縮槽20を介して第1反応槽12へリン酸含有水を供給する。上記説明したように、各反応槽内のpHを5以上、例えば、第1反応槽12内のpHを5〜7、第2反応槽14内のpHを7超〜11以下に調整し、リン酸含有水とカルシウム剤とを反応させ、リン酸カルシウムを生成させる。そして、リン酸カルシウムの生成の際、上記でも説明したように、アルミニウム、クロム、モリブデン等の金属、有機物は不溶態化する。生成したリン酸カルシウム及び不溶態化した金属、有機物を含む被処理水を第3流入ライン36から沈殿槽16へ供給し、沈殿槽16の下部に、不溶態化した金属、有機物を含むリン酸カルシウムスラリを堆積させる。
次に、不溶態化した金属、有機物を含むリン酸カルシウムスラリを酸処理槽18で酸処理する。上記でも説明したように、酸処理槽18内のpHを4以下、好ましく2.5〜3.5に調整する。これにより、リン酸カルシウム中の不溶態化金属及び有機物を再度溶解させることができる。上記でも説明したように酸処理槽18内では、pHを4以下に調整するため、リン酸カルシウムの溶解度も高くなり、その一部は溶解してしまう。しかし、本実施形態のリン酸含有水の処理装置2では、第1流入ライン24から酸処理槽18にリン酸含有水が供給されているため、酸処理槽18内のリン酸は、酸処理槽18内のリン酸カルシウムの溶解度以上に高い濃度となり易く、リン酸カルシウムの再溶解を抑制することができる。また、この際、酸処理槽18にカルシウム剤を添加して、カルシウム濃度も増加させることにより、リン酸カルシウムの再溶解をより抑制することができる。
次に、濃縮槽20で、不溶態化金属及び有機物が除去されたリン酸カルシウムスラリを濃縮した後、脱水機50にてリン酸カルシウムスラリを洗浄、脱水する。洗浄、脱水工程により、リン酸カルシウムスラリ中に残留する微量の不純物が除去され、高純度のリン酸カルシウムケーキが得られる。
このように、リン酸含有水を反応槽に供給する前に、酸処理槽18に供給することにより、酸処理槽18でのリン酸カルシウムの再溶解を効果的に抑制することが可能となる。
図3は、本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図3に示すリン酸含有水の処理装置3では、図2に示すリン酸含有水の処理装置2の構成に加え、酸処理槽18と第1反応槽12とを接続するスラリ返送ライン52(返送手段)が設けられている。図3に示すリン酸含有水の処理装置3において、図2に示すリン酸含有水の処理装置2と同様の構成については同一の符合を付し、その説明を省略する。
スラリ返送ライン52は、酸処理槽18で処理されたリン酸カルシウムの一部を第1反応槽12に返送する流路である。このような構成により、生成したリン酸カルシウムスラリの一部は、系内を循環するため、濃縮沈降性の高いリン酸カルシウムスラリが得られる。その結果、後段の濃縮槽20で効率的にリン酸カルシウムスラリを濃縮することが可能となる。特に、第1流入ライン24を通るリン酸含有水中のリン酸濃度が低い場合、濃縮沈降性の高いリン酸カルシウムスラリを得ることは難しいが、図3に示すリン酸含有水の処理装置を使用することにより、濃縮沈降性の高いリン酸カルシウムスラリを容易に得ることができる。
本実施形態において、第1反応槽12へのリン酸カルシウムスラリの供給点は、水面、水中、撹拌装置10aの攪拌翼の近傍等、どの地点でもよいが、リン酸カルシウムスラリの拡散が促進される点で、攪拌翼の近傍にリン酸カルシウムスラリを供給することが好ましい。
図4は、本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図4に示すように、リン酸含有水の処理装置4は、撹拌装置10aが設けられた第1反応槽12及び撹拌装置10bが設けられた第2反応槽14と、沈殿槽16と、スラリブランケット槽54と、配管とを備える。
スラリブランケット槽54の構成について説明する。但し、以下のスラリブランケット槽54は一例であって、これに制限されるものではない。図4に示すスラリブランケット槽54は、槽内の中心部に、円筒体のチャンバ56が設けられている。チャンバ56の下端には、チャンバ56内を挿通するシャフト58に固定されたディストリビュータ60が設けられている。ディストリビュータ60は、複数の吹出管から構成されており、各吹出管には、複数の吹出孔62が形成されている。また、ディストリビュータ60は、スラリブランケット槽54の運転時に、モータの駆動により回転される。また、スラリブランケット槽54の底部には、槽底部に濃縮したリン酸カルシウムスラリを掻き寄せる掻き寄せ機22cが設けられている。
スラリブランケット槽54のチャンバ56には、第1流入ライン24が接続されている。また、第1流入ライン24には、pH調整剤流入ライン64(及び不図示のカルシウム剤添加ライン)、図4に示す沈殿槽のスラリ排出口(不図示)に接続された第4流入ライン40が接続されている。但し、pH調整剤流入ライン64(及び不図示のカルシウム剤添加ライン)、第4流入ライン40は、スラリブランケット槽54のチャンバ56に直接接続されてもよい。また、スラリブランケット槽54の濃縮スラリ排出口(不図示)には、濃縮スラリ排出ライン46が接続されており、スラリブランケット槽54の上澄み液排出口(不図示)と第1反応槽12の上澄み液流入口(不図示)とは、移送ライン48により接続されている。
リン酸含有水の処理装置4のその他の構成は、図2に示すリン酸含有水の処理装置2の構成と同様である。
次に、リン酸含有水の処理方法及び処理装置4の動作について説明する。まず、第1流入ライン24からスラリブランケット槽54を介して第1反応槽12へリン酸含有水を供給する。上記説明したように、各反応槽内のpHを5以上、例えば、第1反応槽12内のpHを5〜7、第2反応槽内のpHを7超〜11以下に調整し、リン酸含有水とカルシウム剤とを反応させ、リン酸カルシウムを生成させる。この際、リン酸含有水中のアルミニウム、クロム、モリブデン等の金属、有機物は不溶態化する。生成したリン酸カルシウム及び不溶態化した金属、有機物を含む被処理水を第3流入ライン36から沈殿槽16へ供給し、沈殿槽16の下部に、不溶態化した金属、有機物を含むリン酸カルシウムスラリを堆積させる。
次に、不溶態化した金属、有機物を含むリン酸カルシウムスラリを第4流入ライン40から第1流入ライン24を介して、スラリブランケット槽54のチャンバ56に供給する。この際、pH調整剤流入ライン64から第1流入ライン24を介して、pH調整剤をスラリブランケット槽54のチャンバ56に供給する(必要であれば、不図示のカルシウム剤添加ラインからカルシウム剤を供給する)。ここで、スラリブランケット槽54内のpHが4以下となるようにpH調整剤を添加する必要がある。
そして、チャンバ56内の不溶態化した金属、有機物を含むリン酸カルシウムスラリとpH調整剤とを回転するディストリビュータ60の吹出孔62から吐出させ、被処理水の上昇流を発生させて、金属、有機物を含むリン酸カルシウムスラリをpH4以下で酸処理する。これにより、不溶態化した金属、有機物は、槽内で再度溶解する。リン酸カルシウムスラリの上昇流において、粗大なリン酸カルシウムは重力により沈降して、スラリブランケット槽54の底部に堆積し、濃縮する。
また、スラリブランケット槽54の中間部では、リン酸カルシウムからなる懸濁・流動状態のブランケット層Aが形成されており、ブランケット層Aにより、上昇流に含まれる微細なリン酸カルシウムを捕捉することができる。一方、溶解した金属、有機物を含む被処理水は、ブランケット層Aを通過し、槽上部の上澄み液となる。
次に、スラリブランケット槽54で、不溶態化金属及び有機物が除去されたリン酸カルシウムスラリを濃縮した後、脱水機50にて洗浄、脱水する。洗浄、脱水工程により、リン酸カルシウムスラリ中に残留する微量の不純物が除去され、高純度のリン酸カルシウムケーキが得られる。
本実施形態のように、酸処理及び濃縮を一つの槽で行うことにより、酸処理及び濃縮をそれぞれ別々の槽で行うより、省スペース化を図ることができ、また、建設コスト、エネルギコスト等を低減することができる。酸処理及び濃縮を一つの槽で行うことができる槽としては、スラリブランケット型の槽を用いることが好ましいが、酸処理及び濃縮を1つの槽で行うことができれば、スラリブランケット層を形成しない一般的な槽、例えば、上向流式円形沈殿槽等であってもよい。
また、図での説明は省略するが、図1に示すリン酸含有水の処理装置1で用いた酸処理槽18及び濃縮槽20をスラリブランケット槽54に代えて、酸処理及び濃縮を一つの槽で行ってもよい。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1,2)
実施例1においては、図2に示したものと同様の装置を用い、実施例2においては、図1に示したものと同様の装置を用いて、リン酸含有水(被処理水)の処理を行った。実施例1及び実施例2共に、第1反応槽では、被処理水とカルシウム剤とをpH5.5で反応させ、第2反応槽では、pH8.0で反応させ、酸処理槽では、生成したリン酸カルシウムをpH3.5で処理した。カルシウム剤は、消石灰(添加量:12000mg/L)を用いた。pH調整剤には、5%塩酸、5%水酸化ナトリウムを用いた。その他の試験条件は、下記に示した。
<被処理水>
被処理水流量:100L/hr
被処理水中のリン酸濃度:10000mg/L
被処理水中のアルミニウム濃度:100mg/L
被処理水中のモリブデン濃度:50mg/L
被処理水中のクロム濃度:100mg/L
被処理水中の酢酸濃度:250mg/L
被処理水のpH:2
被処理水の温度:21.0℃
<試験装置>
第1反応槽、第2反応槽、酸処理槽のサイズ:各20L
沈殿槽及び濃縮槽:上向流式円形沈殿槽であり、槽底部はホッパ状となっている。また。底部にはスラリを掻き寄せる掻き寄せ機が装着されている。
沈殿槽、濃縮槽サイズ:各360mmφ×1000mm(直胴部)
<脱水機>
脱水方法:フィルタープレス
ろ室:144mm×144mm×12.5mm(厚さ)×6室
ろ過面積:0.188m2
ろ布:ポリアミド
洗浄機構:ろ室内のケーキに純水を流し、溶解成分を洗い流す機構を有する。
<リン酸カルシウムスラリ引き抜き量>
濃縮槽スラリ引き抜き量:27L/h
沈殿槽スラリ引き抜き量:3L/h
(比較例)
図5は、比較例で用いたリン酸含有水の処理装置の構成を示す模式図である。図5に示すように、比較例で用いたリン酸含有水の処理装置5は、第1反応槽64(20L)と、第2反応槽66(20L)と、沈殿槽68(360mmφ×1000mm(直胴部))と、配管と、を備える。第1反応槽64、第2反応槽66には、撹拌装置70a,70bが設けられている。沈殿槽68は、上向流式円形沈殿槽であり、槽底部はホッパ状となっている。また、底部にはスラリを掻き寄せる掻き寄せ機72が装着されている。
以下に、比較例のリン酸含有水の処理装置の動作について説明する。まず、第1流入ライン74から第1反応槽64へ、実施例と同様の被処理水を供給すると共に、カルシウム剤流入ライン76から第1反応槽64へ消石灰を供給した。第1反応槽では、被処理水とカルシウム剤とをpH5.5の条件下で反応させて、リン酸カルシウムを生成させた。次に、第1反応槽64で生成したリン酸カルシウムを含む被処理水を第2流入ライン78から第2反応槽66へ供給すると共に、5%水酸化ナトリウムをpH調整剤流入ライン80から第2反応槽66へ供給し、pHを8に調整した。そして、第2反応槽66内のリン酸カルシウムを含む被処理水を第3流入ライン82から沈殿槽68へ供給し、沈降分離を行った。
次に、沈殿槽68で分離したリン酸カルシウムスラリをスラリ排出ライン84から、引き抜き量27L/hで引き抜き、脱水機86へ供給して、リン酸カルシウムスラリの脱水を行った。また、沈殿槽68の上澄み液を処理水排出ライン88から取り出した。
<実施例1,2及び比較例の処理水質>
下記表1に、実施例1,2の各反応槽、沈殿槽、酸処理槽での処理水質及び比較例の各反応槽、沈殿槽での処理水質の結果をまとめた。処理水質の測定は、12時間運転後、各槽の水を採取し、0.45μmのフィルタでろ過後に行った。
Figure 0005142945
表1の結果から判るように、比較例では、被処理水中に溶解していたアルミニウム、クロムは、pH5.5に調整した第1反応槽でほとんど不溶態化(固形物化)していた。また、モリブデンは、第1反応槽で半分が固形物化し、酢酸の濃度は約70%減少した。酢酸は、固形物化したアルミニウム等に吸着して固形物化したものと考えられる。また、第2反応槽及び沈殿槽から排出される処理水においても、金属はほとんど溶解しておらず、酢酸濃度も第1反応槽と同等である。したがって、固形物化した金属、酢酸は、生成したリン酸カルシウムと共に、沈殿槽底部に堆積し、リン酸カルシウムスラリに含まれた状態で、沈殿槽から引き抜かれていると考えられる。
実施例1も、各反応槽、沈殿槽での処理水質は、比較例と同様である。しかし、pH3.5に調整した酸処理槽では、アルミニウム、モリブデン、クロム、酢酸の濃度が、被処理水(原水)中の濃度よりも増えていた。これは、pH3.5の酸処理により、沈殿槽から引き抜かれたリン酸カルシウム中に、固形物として存在していた上記金属が、再溶解したためと考えられる。酢酸も、アルミニウム等の金属が溶解状態にあるため、それらに吸着されることなく、溶解状態で存在したためと考えられる。また、酸処理槽では、溶解したリン酸の濃度も高いが、SSも高い。すなわち、リン酸カルシウムの固形物濃度も高いため、後段の濃縮槽でリン酸カルシウムスラリとして沈降濃縮させ、スラリとして回収することが可能であった。
実施例2も実施例1と同様に、アルミニウム、モリブデン、クロムは、各反応槽、沈殿槽で固形物化しているが、酸処理槽において、固形物化していた各金属が再溶解するため、各金属の濃度は、被処理水(原水)中の濃度よりも増えていた。また、酢酸は、各反応槽で、排水中の2/3が固形物化するが、酸処理槽では、アルミニウム等の金属の溶解と共に酢酸も溶解するため、酢酸の濃度は、被処理水中の酢酸濃度より高くなっていた。また、実施例2においても、酸処理槽では、溶解したリン酸の濃度も高いが、リン酸カルシウムの固形物濃度(SS)も高いため、後段の濃縮槽でリン酸カルシウムスラリとして沈降濃縮させ、スラリとして回収することが可能であった。
<リン酸カルシウムケーキの組成>
実施例1,2の濃縮槽(及び沈殿槽)からリン酸カルシウムスラリを引き抜き、純水による洗浄後、脱水機により脱水した(脱水条件は以下に示す)。脱水後のケーキを105℃で乾燥し、乾燥したケーキの組成を肥料分析法に基づいて分析した。また、実施例1,2の濃縮槽(及び沈殿槽)からリン酸カルシウムスラリを引き抜き、純水による洗浄を行わず、脱水機により脱水した(脱水条件は以下に示す)試験も行った。脱水後のケーキを105℃で乾燥し、乾燥したケーキの組成を肥料分析法に基づいて分析した。その結果を下記表2にまとめた。
比較例の沈殿槽からリン酸カルシウムスラリを引き抜き、純水による洗浄後又は洗浄無しの条件で、脱水機により脱水した(脱水条件は以下に示す)。脱水後のケーキを105℃で乾燥し、乾燥したケーキの組成を肥料分析法に基づいて分析した。その結果を下記表3にまとめた。
<脱水条件>
洗浄無しの脱水条件:圧入0.4MPa×3分+空気圧搾0.7MPa×20分
洗浄有りの脱水条件:圧入0.4MPa×3分+純水洗浄8L通水(0.4MPa)+
空気圧搾0.7MPa×20分
Figure 0005142945
Figure 0005142945
比較例の時間当たりの固形物発生量は、1.55kgDS/hであり、1.55kgDS/hのリン酸カルシウムスラリが沈殿槽から排出された。実施例1及び2の時間当たりの全固形物発生量は、1.50kgDS/hで、このうち1.35kgDS/hのリン酸カルシウムスラリが濃縮槽から排出された。濃縮槽からのリン酸カルシウムスラリの1.35kgDS/hは、全固形物発生量1.50kgDS/hの90%である。実施例1,2では、濃縮槽から排出されるリン酸カルシウムスラリ(高純度)が回収対象であるから、回収率は90%となる。実施例1,2では、廃棄対象となるリン酸カルシウム(10%)を減量化できるため、処分費の削減ができる。
比較例1の沈殿槽から引き抜いたリン酸カルシウムスラリを脱水・乾燥させたケーキには、洗浄無しの場合、アルミニウム(Al23)が1.26%、モリブデン(Mo)が1900ppm、クロム(Cr)が6500ppm、酢酸が6100ppm含有していた。この含有量は、純水洗浄を行った場合もほぼ同等であった。
これに対し、実施例1の濃縮槽から引き抜いたリン酸カルシウムスラリを脱水・乾燥させたケーキには、洗浄無しの場合、アルミニウム(Al23)が0.16%、モリブデン(Mo)が180ppm、クロム(Cr)が380ppm、酢酸が700ppmしか含有していなかった。さらに、純水洗浄を行った場合では、アルミニウム(Al23)が0.11%、モリブデン(Mo)が90ppm、クロム(Cr)が300ppm、酢酸が470ppmであり、純水洗浄無しに比べて、上記金属、酢酸の含有量がさらに低下した。これは、純水洗浄により、ケーキ間隙水に溶解状態で存在している上記金属、酢酸が洗い流されたためである。なお、実施例1の沈殿槽から引き抜いたリン酸カルシウムスラリを脱水・乾燥させたケーキには、比較例と同様に金属等の不純物が多く含まれており、洗浄無しの場合、アルミニウム(Al23)が10.2%、モリブデン(Mo)が1500ppm、クロム(Cr)が52000ppm、酢酸が49000ppm含有していた。この含有量は、純水洗浄を行った場合もほぼ同等であった。
実施例2の濃縮槽から引き抜いたリン酸カルシウムスラリを脱水・乾燥させたケーキには、洗浄無しの場合、実施例1と同様に不純物の含有量が低く、アルミニウム(Al23)が0.13%、モリブデン(Mo)が190ppm、クロム(Cr)が380ppm、酢酸が700ppmしか含有していなかった。さらに、純水洗浄を行った場合では、アルミニウム(Al23)が0.09%、モリブデン(Mo)が80ppm、クロム(Cr)が290ppm、酢酸が390ppmであり、純水洗浄無しに比べて、上記金属、酢酸の含有量がさらに低下した。なお、実施例2の沈殿槽から引き抜いたリン酸カルシウムスラリを脱水・乾燥させたケーキには、比較例と同様に金属等の不純物が多く含まれており、洗浄無しの場合、アルミニウム(Al23)が9.5%、モリブデン(Mo)が16000ppm、クロム(Cr)が50000ppm、酢酸が47000ppm含有していた。この含有量は、純水洗浄を行った場合もほぼ同等であった。
以上のように、実施例1及び2では、金属及び有機物等の不純物の少ないリン酸カルシウムスラリを回収することが確認できた。
<リン酸カルシウムケーキの含水率>
比較例の沈殿槽から引き抜いたリン酸カルシウムスラリの脱水後のケーキ含水率は、洗浄無しの場合63%、洗浄有りの場合64%であった。これに対し、実施例1の濃縮槽から引き抜いたリン酸カルシウムスラリの脱水後のケーキ含水率は、洗浄無しの場合49%、洗浄有りの場合50%であった。また、沈殿槽から引き抜いたリン酸カルシウムスラリの脱水後のケーキ含水率も同様であった。実施例1から得られるケーキの含水率は、比較例から得られるケーキの含水率より大幅に低減していた。また、実施例2の濃縮槽から引き抜いたリン酸カルシウムスラリの脱水後のケーキ含水率は、実施例2とほぼ同等であり、洗浄無しの場合50%、洗浄有りの場合49%であった。また、沈殿槽から引き抜いたリン酸カルシウムスラリの脱水後のケーキ含水率は、実施例1よりは高いが、比較例よりは大幅に低減されており、洗浄無しの場合55%、洗浄有りの場合54%であった。
実施例1及び2の結果から、実施例1及び2の濃縮槽から引き抜いたリン酸カルシウムスラリの脱水後のケーキは、含水率が低いため、その後の乾燥に掛かるエネルギコストを低減できることが示された。
本実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係るリン酸含有水の処理装置の構成の一例を示す模式図である。 比較例で用いたリン酸含有水の処理装置の構成を示す模式図である。
符号の説明
1〜5 リン酸含有水の処理装置、10a,10b,10c,70a,70b 撹拌装置、12,64 第1反応槽、14,66 第2反応槽、16,68 沈殿槽、18 酸処理槽、20 濃縮槽、22a,22b,22c,72 掻き寄せ機、24,74 第1流入ライン、26,78 第2流入ライン、28,30,76 カルシウム剤流入ライン、32,34,43,64,80 pH調整剤流入ライン、36,82 第3流入ライン、38,88 処理水排出ライン、40 第4流入ライン、42,84 スラリ排出ライン、44 第5流入ライン、46 濃縮スラリ排出ライン、48 移送ライン、50,86 脱水機、52 スラリ返送ライン、54 スラリブランケット槽、56 チャンバ、58 シャフト、60 ディストリビュータ、62 吹出孔。

Claims (5)

  1. リン酸を含有する被処理水とカルシウム剤とを反応させて、リン酸カルシウムを生成する反応と、前記反応で生成したリン酸カルシウムと処理水とを分離させる沈殿槽と、前記沈殿槽で分離したリン酸カルシウムの少なくとも一部を酸処理する酸処理と、前記酸処理で処理されたリン酸カルシウムを濃縮する濃縮と、前記濃縮槽内の上澄液を前記反応槽に移送する移送手段と、を備え、
    前記反応槽では、前記被処理水と前記カルシウム剤とをpH5以上の条件下で反応させ、
    前記酸処理槽では、前記リン酸カルシウムをpH4以下の条件で酸処理することを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
  2. 請求項1記載のリン酸含有水の処理装置であって、前記リン酸を含有する被処理水を前記反応槽に供給する前に、前記酸処理槽に流入させる被処理水流入手段を備えることを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
  3. 請求項記載のリン酸含有水の処理装置であって、前記酸処理で処理されたリン酸カルシウムの一部を前記反応槽に返送する返送手段を備えることを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
  4. リン酸を含有する被処理水とカルシウム剤とを反応させて、リン酸カルシウムを生成する反応槽と、前記反応槽で生成したリン酸カルシウムと処理水とを分離させる沈殿槽と、前記沈殿槽で分離したリン酸カルシウムの少なくとも一部を酸処理し、酸処理されたリン酸カルシウムを濃縮するスラリブランケット槽と、前記スラリブランケット槽内の上澄液を前記反応槽に移送する移送手段と、を備え、
    前記反応槽では、前記被処理水と前記カルシウム剤とをpH5以上の条件下で反応させ、
    前記スラリブランケット槽では、前記リン酸カルシウムをpH4以下の条件で酸処理することを特徴とするリン酸含有水の処理装置。
  5. リン酸を含有する被処理水とカルシウム剤とを反応させて、リン酸カルシウムを生成するリン酸カルシウム生成工程と、前記リン酸カルシウム生成工程で生成したリン酸カルシウムと処理水とを分離する分離工程と、前記分離工程で分離したリン酸カルシウムの少なくとも一部を酸処理する酸処理工程と、前記酸処理工程で処理されたリン酸カルシウムを濃縮する濃縮工程と、前記濃縮工程で生成した上澄液を前記リン酸カルシウム生成工程の反応系に添加する添加工程と、を備え、
    前記リン酸カルシウム生成工程では、前記被処理水と前記カルシウム剤とをpH5以上の条件下反応させ、
    前記酸処理工程では、前記リン酸カルシウムをpH4以下の条件で酸処理することを特徴とするリン酸含有水の処理方法。
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