JP6508747B2 - フッ素含有排水の処理方法とその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ素含有排水の処理法として広く用いられている、カルシウムを添加してフッ素をフッ化カルシウムに転換して固液分離する処理方法及び処理装置に関する。
フッ素は産業界で大量に使用されている物質であり、例えば半導体製造工場、液晶製造工場、金属表面処理工場、ステンレス製造工場、セラミックス製造工場などからフッ素含有排水が発生する。人体に対して有害な物質であり、水質汚濁防止法において、陸水域へ放流する場合は排水基準である8mg/L以下まで処理することが義務付けられている。
従来、フッ素含有排水を処理する方法として、フッ素含有排水にカルシウム化合物を加え、フッ素を難溶性のフッ化カルシウム微粒子に転換してから固液分離する方法(カルシウム法という)が知られている。しかし、このカルシウム法では、フッ化カルシウムに転換し切れなかった10〜20mg/L程度のフッ素が溶存したまま残留し、処理水に流出する難点がある。したがって、排水基準を遵守するためには、カルシウム法の後段に高度処理設備を設置する必要があり、高度処理法としては、例えばアルミニウム塩を添加してから固液分離するアルミニウム法や、リン酸化合物を添加してから固液分離するフルオロアパタイト法などが知られている。
アルミニウム法は、アルミニウムイオンとアルカリとが反応して生成する水酸化アルミニウム(Al(OH))の不溶性析出物に、溶存しているフッ素が吸着または共沈等により取り込まれる性質を利用したものである。アルミニウム塩としては硫酸バンド(硫酸アルミニウムの一般名称)やポリ塩化アルミニウム(PAC)が広く用いられている。
PACは、硫酸バンドと比較し除濁効果すなわち懸濁物質(SS)の捕捉効果が大きく、また低水温下でも凝集性能が優れる等の特徴がある。しかし溶存フッ素を捕捉する能力は両者でほとんど差はないため、フッ素排水処理にはどちらも広く用いられている。
アルミニウム法は、アルミニウム塩が安価であること、ならびにアルミニウム添加量を増やすほどフッ素濃度が確実に低下することから、高度処理法として広く採用されている。
一方フルオロアパタイト法は、カルシウム、リン酸及びフッ素が反応することで、フッ化カルシウムよりも溶解度が低いフルオロアパタイト(Ca(POF)を生成させるものである。高価なリン酸化合物の添加が必要となるが、高度処理設備にはカルシウム法からの余剰カルシウムが流入するため、そのカルシウムを有効に利用することができる(例えば特許文献1参照)。
フルオロアパタイト法は、その化学式から、最低でも除去フッ素量の3倍当量(約5倍質量)のリンを必要とするが、実際にはフルオロアパタイト以外のリン酸カルシウムが同時に生成することから、反応当量を大きく上回るリンを添加する必要がある。リン酸化合物の価格はアルミニウム塩の約10倍であり、ランニングコストが非常に高いことから高度処理法としてフルオロアパタイト法が採用されるケースは少ない。
上述の3つの処理法において、固液分離は沈殿分離法で行われることが最も多い。沈殿分離には長時間の滞留が必要で、沈殿槽は比較的大きい装置となる。このため、設置可能スペースが狭い場所では、装置コストは高いものの膜分離法が適用されることもある。このカルシウム法の後段にアルミニウム法またはフルオロアパタイト法の直列2段処理を行う場合、固液分離装置が2基、すなわち、固液分離についても2段処理が必要になることを意味する。
ところでカルシウム法において、カルシウム化合物を添加してから固液分離するまでの間にアルミニウム塩を添加することにより、固液分離装置1つで直列2段処理と同様の処理性が得られるかと言えば、そうではない。その理由は、フッ化カルシウムが存在する条件下でアルミニウムを添加すると、アルミニウムとフッ化カルシウムとの相互作用の影響によりフッ化カルシウムの再溶解が起こり、処理水質が不安定となるためである。すなわちアルミニウム塩によるフッ素処理性能を十分に発現させるためには、カルシウム法で生成したフッ化カルシウム微粒子を固液分離した後に、アルミニウム塩を添加する必要があることから、広大な面積または高コストの固液分離装置を2基設置せざるを得ないという課題があった。なお、カルシウム法でアルミニウム塩が使用されるケースはあるが、これはフッ素処理性能よりも、生成した析出物の凝集性能の向上を主目的としたものである。従ってカルシウム法で用いられるアルミニウム塩は、アルミニウム法で用いられるアルミニウム塩のように、溶存しているフッ素の不溶化にはほとんど寄与しない。
また、カルシウム法において、カルシウム化合物を添加してから固液分離するまでの間にリン酸化合物を添加することにより、固液分離装置1つで直列2段処理と同様の処理性が得られるかと言えば、そうではない。その理由は、フッ化カルシウムの存在下でフルオロアパタイトが生成すると、溶存フッ素濃度が低下するため、いったん生成したフッ化カルシウムが再溶解する方向に平衡が移動するためと考えられる。従って、アルミニウム法と同様にフッ化カルシウムを分離除去してからリン酸化合物を添加しないと処理効果が十分に発現しないことから、実際には直列2段処理とし、2段目でフルオロアパタイト法が適用されるケースが多い。
ところで、1段処理で高度な処理水質を得るための方法は以前から検討されている。特許文献2に記載の方法は、カルシウム法においてアルミニウムのフッ素処理効果を発現させるため、予めアルミニウム塩を中和してから添加するものである。しかし、処理水フッ素濃度が約20mg/Lから10〜15mg/Lに改善する程度であり、8mg/Lを安定して下回る性能を得ることは出来ない。
またリン酸化合物を用いる方法として、カルシウムを添加した後、固液分離するまでの間にリン酸化合物を添加する方法が開示されている。特許文献3に記載の方法は、比較的高濃度のフッ素含有排水を1段処理で数mg/L以下まで処理できる特徴を有している。しかしながら上述したように、フッ化カルシウム存在下においてはフルオロアパタイトによる処理効果は十分ではなく、リン酸化合物をリンとして数百mg/L程度を添加する必要があるため、ランニングコストが高額となる課題があった。
またリン酸化合物とアルミニウム塩とを併用する方法も開示されている。特許文献4に記載の方法は、400mg/Lのフッ素を含む半導体工場排水を2.9mg/Lまで処理できるが、後述するように、排水の種類が異なると効果が十分ではないという課題がある。
特開昭62−125894号公報 特開2000−140863号公報 特開2002−370093号公報 特開昭55−3802号公報
本発明の目的は、多種多様な共存物質を高濃度で含むフッ素含有排水に対しても、固液分離装置1基のみの簡便な装置によって排水基準である8mg/Lを十分に下回る高度な処理水質が得られ、更にランニングコストに大きく影響するリン酸化合物の添加量を極少化できるフッ素含有排水の処理方法を提供することにある。
発明者らは、フッ素含有排水のカルシウム法について鋭意検討を進めた結果、以下の新たな知見を得た。すなわちフッ素含有排水にカルシウム化合物を添加してフッ化カルシウムを生成させた状態において、リン酸化合物を含む薬剤を添加し、次いで塩基度が20〜80%のアルミニウム塩を添加することにより、多種多様な共存物質を含む排水であっても、排水基準である8mg/Lを確実に下回るフッ素濃度まで処理できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以上の知見に基づいて本発明はなされたものであって、本発明に係わるフッ素含有排水の処理方法は、フッ素含有排水にカルシウムを添加して前記排水中のフッ素をフッ化カルシウム不溶化物として固液分離するフッ素含有排水の処理方法において、前記排水中にカルシウムを添加し、生成する不溶性析出物を分離することなくリン酸化合物を含む薬剤を添加し、次いで塩基度が20〜80%のアルミニウム塩を添加することを特徴とする。
また、本発明に係わるフッ素含有排水の処理方法は、前記リン酸化合物の添加後のpHが4〜9であり、前記アルミニウム塩の添加後のpHが5.5〜8であることが好ましい。
また、前記リン酸化合物は、リンとして前記排水中にカルシウムを添加後の溶存フッ素量に対して1〜5倍質量が添加されることが好ましく、前記アルミニウム塩は、前記添加されるリン酸化合物に対して、P/Alの質量比で0.2〜3.0の範囲で添加されることが好ましい。
さらに、固液分離された汚泥は、X線回折において結晶フルオロアパタイトのピークを有さないことが好ましい。
また、本発明に係わるフッ素含有排水の処理装置は、フッ素含有排水にカルシウム化合物を作用させる反応槽Aと、前記反応槽Aからの処理液にリン酸化合物を作用させる反応槽Bと、前記反応槽Bからの処理液に塩基度が20〜80%のアルミニウム塩を作用させる反応槽Cと、前記反応槽Cからの処理液を固液分離する機構と、を備える。
本発明のフッ素含有排水の処理方法によれば、多種多様な共存物質を高濃度で含むフッ素含有排水であっても、より少量なリン酸化合物の使用量かつ固液分離装置が1基の簡便な処理装置によって、フッ素濃度を確実に8mg/L以下まで処理することができる。
本発明のフッ素含有排水の実施形態を示した装置及び工程説明図である。 実施例1及び比較例3で得られた不溶性析出物のX線回折測定結果である。 実施例2、3の処理水フッ素濃度の測定結果である。 比較例8,9の処理水フッ素濃度の測定結果である。 アルミニウム塩の塩基度と処理水フッ素濃度との関係を示すグラフである。 実施例5、6の処理水フッ素濃度の測定結果である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて更に詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態を示した装置及び工程説明図である。この実施形態におけるフッ素含有排水の処理装置は、反応槽A10と、反応槽B20と、反応槽C30と、凝集槽40と、沈殿槽50とを含んで構成されている。
反応槽A10にはフッ素含有排水1が導入されるとともに、カルシウム2、及び必要に応じて硫酸、塩酸、苛性ソーダ、消石灰などのpH調整剤3を添加して撹拌混合する。反応槽A10ではフッ化カルシウムの微粒子が生成する。
次に、反応槽A10からの処理水に反応槽B20において、リン酸化合物を含む薬剤4を添加して撹拌混合する。ここでは、反応槽A10で添加したカルシウム2のうち、フッ素と反応しなかった余剰カルシウムとフッ素、リン酸とが反応し、フルオロアパタイトが生成する。ここではフッ化カルシウムが再溶解することにより、溶存フッ素濃度はさほど低下しない。
ここで用いられるリン酸化合物とは、液中でカルシウム及びフッ素と反応してフルオロアパタイトを形成できるものであればよく、例えばリン酸やリン酸塩が挙げられる。またリン酸イオンを含有する物質以外に、亜リン酸や次亜リン酸とその塩類のような低酸化状態のリンを添加し、酸化剤を添加して反応槽B20内でリン酸イオンを生成させても良い。
ここで添加すべきリン酸化合物の量は、反応槽A10でカルシウムと反応しなかった溶存フッ素濃度に大きく依存する。溶存フッ素濃度が10〜20mg/Lであれば、その1〜2倍質量のリンを添加することで8mg/Lを大きく下回る4mg/L程度までフッ素を処理することができる。また2〜5倍質量のリンを添加すれば、1mg/L程度まで処理することができる。
反応槽B20におけるpHは、フルオロアパタイトの生成に適した範囲に調整するのが望ましく、具体的にはpH4〜9であることが望ましい。
次に反応槽C30において、塩基度が20〜80%のアルミニウム塩5を添加する。塩基度とは、アルミニウム塩のアルカリ含有量を表す数値であって、PACすなわちAl(OH)Cl6−nを例とすれば、塩基度はn/6×100(%)で計算される。市販のPACは塩基度50%前後、すなわちOHがAlの1.5倍モル前後含まれているものが代表的であるが、塩基度の異なるものも販売されている。また硫酸バンドや塩化アルミニウムの塩基度は0%である。PAC以外の本発明の範囲に相当するアルミニウム塩5は、塩基度0%のアルミニウム塩にNaOHなどのアルカリを所定量添加するか、または塩基度が高いPACにHClなどの酸を所定量添加することで製造できる。
アルミニウム塩5の添加量は、求められる処理水フッ素濃度とリン濃度によって決定され、P/Alの質量比(P/Al比)で0.2〜3.0が好ましく、0.5〜1.0がより好ましい。P/Al比が小さいと処理水へのリン流出量が少なくなるが、フッ素処理性能が低下する。一方P/Al比を大きくするとフッ素処理性能は向上するが、処理水へのリン流出量が多くなり、また高価なリン使用量が増加する。
反応槽C30においては、いったん生成したフルオロアパタイトが消失する。アルミニウムはリン酸と反応してアモルファスなリン酸アルミニウム(AlPO)を生成するため、フルオロアパタイト中のリン酸イオンが引き抜かれることで溶解するものと考えられる。またリン酸アルミニウム生成の当量以上のアルミニウムを添加すれば、フルオロアパタイトのほぼ全てが消失すると共に、アルミニウムの一部は水酸化アルミニウムも形成すると考えられる。
ところで、リン酸アルミニウム自体にはフッ素を捕捉する能力はほとんどない。また水酸化アルミニウムのフッ素捕捉能力は、塩基度や種類の違ってもほとんど差はない。従来の技術常識から考えれば、フッ素処理能力のあるフルオロアパタイトが消失し、またフッ素処理能力のないリン酸アルミニウムが生成した状態においては、フッ素処理能力が発現するとは到底予測出来るものではない。
本発明者らは、従来の技術常識が及ばない範囲も含め、フッ素とカルシウム、リン酸化合物、及びアルミニウム塩との反応を詳細に検討した結果、意外なことに、反応槽C30においてフッ素の処理反応が急速に進行することを見出した。すなわち、本来フッ素捕捉能力のないリン酸アルミニウム、ならびにフッ化カルシウムとの相互作用によりフッ素の不溶化にはほとんど寄与しないはずの水酸化アルミニウムは、反応槽A10、反応槽B20の工程を経た後においては、特異的にフッ素の処理能力が発現することを見出した。
また硫酸バンドとPACとでは本来、生成する水酸化アルミニウムのフッ素捕捉能力にほとんど差がないにも関わらず、反応槽A10、反応槽B20の工程を経た後においては、意外にも、添加するアルミニウム塩の塩基度に大きく影響を受けること、ならびに単に塩基度が高い方が良いという訳ではなく、効果的となる範囲が存在することを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
反応槽C30におけるpHは、リン酸アルミニウム及び水酸化アルミニウムの生成に適した範囲に調整するのが望ましく、具体的にはpH5.5〜8であることが望ましい。
次に凝集槽40において高分子凝集剤6が添加され、不溶性析出物が凝集して粒子が粗大化した状態となる。
次に、凝集槽40からの混合液を沈殿槽50で静置することにより、上澄水7と汚泥8とに分離され、上澄水7が処理水9となる。汚泥8は沈殿槽50の底部から引き抜かれ、必要に応じて脱水処理などを行い減容化される。なお、固液分離の機構としては、凝集槽40と沈殿槽50の代わりに膜処理装置を用いることもできる。
まず実験に用いた塩基度の異なるアルミニウム塩を準備した。
・硫酸バンド: 大明化学工業(株)製水道用硫酸アルミニウム
塩基度0%
・PAC: 大明化学工業(株)製タイパック
塩基度53%
・高塩基度PAC: 大明化学工業(株)製タイパック6010
塩基度61%
・超高塩基度PAC: 大明化学工業(株)製アルファイン83
塩基度83%
・塩基度20%硫酸バンド:大明化学工業(株)製水道用硫酸アルミニウム
の希薄溶液に、アルミニウムの0.6倍モルの
NaOHを加え、更に純水を添加しアルミニウ
ム濃度を1,000mg/Lに調整したもの。
・塩基度20%PAC: 大明化学工業(株)製タイパックの希薄溶液
に、アルミニウムの1.0倍モルのHClを
加え、更に純水を添加しアルミニウム濃度を
1,000mg/Lに調整したもの。
実施例及び比較例の実験には、廃棄物から貴金属をリサイクルする工程から発生するフッ素濃度1,100mg/Lの排水を用いた。水質分析結果を表1に示す。廃棄物由来の物質が溶存しており、導電率が非常に高く、測定した項目以外の物質も高濃度で含有するものである。
Figure 0006508747
(比較例1)
図1のフロー図に準拠したビーカー実験を行った。排水に消石灰をカルシウムとして1,400mg/Lとなるよう加え、硫酸でpH6.5±0.5に調整して30分撹拌した。5Aのろ紙でろ過し、不溶性析出物を除去して処理水を得、処理水フッ素濃度を測定した。
(比較例2)
比較例1のろ過直前の段階で、アルミニウム塩として硫酸バンドまたはPACをアルミニウムとして50mg/L添加し、NaOHでpH6.5±0.5に維持しながら30分撹拌する操作を加えた以外は比較例1と同じ操作を行い、処理水フッ素濃度を測定した。
(比較例3)
比較例1のろ過直前の段階で、リン酸をリンとして40mg/L添加し、NaOHでpH6.5±0.5に維持しながら30分撹拌する操作を加えた以外は比較例1と同じ操作を行い、処理水フッ素濃度を測定した。またろ過して得られた不溶性析出物のX線回折測定を行った。
(比較例4)
比較例3のろ過直前の段階で、アルミニウム塩として硫酸バンドをアルミニウムとして50mg/L添加し、NaOHでpH6.5±0.5に維持しながら30分撹拌する操作を加えた以外は比較例3と同じ操作を行い、処理水フッ素濃度を測定した。
(実施例1)
比較例4において、硫酸バンドの代わりに塩基度53%PACを用いた以外は比較例4と同じ操作を行い、処理水フッ素濃度を測定した。またろ過して得られた不溶性析出物のX線回折測定を行った。更に、リン酸の添加直前、PACの添加直前、及びPACを添加しNaOHでpH調整してから30分経過後の液体を5Aのろ紙でろ過して不溶性析出物を除去し、溶存しているフッ素、リン酸態リン、アルミニウムの濃度を測定した。
(比較例5)
実施例1において、リン酸の添加を消石灰の添加と同時に行い、硫酸でpH6.5±0.5に調整してから30分間撹拌した以外は実施例1と同じ操作を行い、処理水フッ素濃度を測定した。
(比較例6)
実施例1において、PACの添加をリン酸の添加と同時に行い、NaOHでpH6.5±0.5に調整してから30分間撹拌した以外は実施例1と同じ操作を行い、処理水フッ素濃度を測定した。
(比較例7)
実施例1において、リン酸とPACの添加順序を逆とした以外は実施例1と同じ操作を行い、処理水フッ素濃度を測定した。
実施例1および比較例1〜7の処理条件と処理水フッ素濃度の測定結果を表2に示す。また実施例1、比較例3の沈殿物(汚泥)のX線回折測定結果を図2に示す。更に、実施例1のうち各反応段階で測定した溶存フッ素、リン酸態リン、アルミニウム濃度を表3に示す。表2によれば、フッ素処理性能を向上させるためには薬品の添加順序が重要であり、カルシウム→リン酸→アルミニウムの順に添加するのが効果的であること、ならびにこの順序で薬品を添加する場合であっても、アルミニウム塩として硫酸バンドよりもPACを使用した方が効果的であることが分かる。
Figure 0006508747
また図2と表3によれば、実施例1において、リン酸の添加後に溶存フッ素とリン酸の一部がフルオロアパタイトを生成するが、その後PACの添加によりフルオロアパタイトが消失するとともに、溶存フッ素とリン酸イオンの濃度が大きく低下していることが分かる。また、溶存Al濃度が変化していないことから、添加したアルミニウムの全量が不溶化しているといえる。それにも関わらず、実施例1のX線回折測定では比較例3に見られるような結晶フルオロアパタイトのピークを有さず、フッ化カルシウムのピークだけしか検出されなかった。また、実施例1ではリン酸アルミニウム生成の当量以上、すなわち、P/Al(質量比)が0.87以下の0.8でアルミニウムを添加している。以上のことから、フルオロアパタイトの消失後、非晶性の物質であるリン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムの混合物が生成すると同時に溶存フッ素が不溶化していると認められる。
Figure 0006508747
(実施例2)
実施例1において、リン酸とPACの添加比率をP/Al=0.8(質量比)で固定し、添加量を増減させた以外は実施例1と同じ操作を行い、処理水フッ素濃度を測定した。
(実施例3)
実施例2において、リン酸の代わりにリン酸水素二ナトリウムを用いた以外は実施例2と同じ操作を行い、処理水フッ素濃度を測定した。なおリン酸水素二ナトリウムを添加してもpHはほとんど変化せず、30分間pH6.5±0.5の範囲であったためNaOHは添加しなかった。
実施例2、3の処理水フッ素濃度の測定結果を図3に示す。あたかも高度処理で適用するアルミニウム法のように、リン酸とPACの添加量を増やすほど処理水フッ素濃度が低下する傾向が認められる。
(比較例8)
水酸化アルミニウムによる溶存フッ素の捕捉能力に関して、硫酸バンドとPACとで差があるかどうかの確認実験を行った。すなわち、フッ化ナトリウム試薬を純水に溶解させ、比較例1の処理水フッ素濃度と同じ14mg/Lになるよう調整した模擬排水に、硫酸バンドまたはPACをアルミニウムとして20〜80mg/L添加し、NaOHでpH6.5±0.5に調整して30分撹拌した。5Aのろ紙でろ過し、不溶性析出物を除去して処理水を得、処理水フッ素濃度を測定した。
(比較例9)
リン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムの混合物が有する溶存フッ素の捕捉能力を確認する実験を行った。すなわち比較例8の模擬排水を用い、リン酸とPACの添加量比率をP/Al=0.8(質量比)で固定してリン酸とPACの添加量を変化させた。NaOHでpH6.5±0.5に調整して30分撹拌した後、5Aのろ紙でろ過して不溶性析出物を除去して処理水を得、処理水フッ素濃度を測定した。
比較例8、9の処理水フッ素濃度を図4に示す。比較例8の結果から、アルミニウム塩が水酸化アルミニウムを生成することで生ずるフッ素処理効果は、塩基度の異なる硫酸バンドとPACとでほとんど差がないことが分かる。また比較例9の結果から、リン酸アルミニウムが共存するとフッ素の処理効果が大きく低下したことから、リン酸アルミニウム自体はフッ素を捕捉する能力は非常に低いと認められる。
(実施例4)
アルミニウム塩として種々の塩基度のアルミニウム塩を用いた以外は実施例1と同じ操作を行い、処理水フッ素濃度を測定した。実施例1、比較例4の結果と合わせて表4に示す。また、図5に塩基度と処理水フッ素濃度との関係をグラフ化して示す。
Figure 0006508747
表4によれば、塩基度を20%に調整したアルミニウム塩において、硫酸バンドとPACとでフッ素処理性に差がないことから、フッ素処理性能はアルミニウム以外の共存成分の影響ではなく塩基度の影響を大きく受けることが分かる。また、図5から、塩基度が20%〜80%程度の範囲であれば、排水基準8mg/Lを十分に下回る5mg/L以下のフッ素濃度まで処理することが可能であることが分かる。
(実施例5)
実施例1において、リン酸添加後のpHを3〜9に設定した以外は実施例1と同じ操作を行い、処理水フッ素濃度を測定した。
(実施例6)
実施例1において、PAC添加後のpHを4.5〜9に設定した以外は実施例1と同じ操作を行い、処理水フッ素濃度を測定した。
実施例5、6の結果を図6に示す。リン酸添加後のpHは4.5〜8、PAC添加後のpHは5.5〜8に調整することが効果的であることが分かる。
1 フッ素含有排水
2 カルシウム
3 pH調整剤
4 リン酸化合物を含む薬剤
5 塩基度20%〜80%のアルミニウム塩
6 高分子凝集剤
7 上澄水
8.汚泥
9.処理水
10.反応槽A
20.反応槽B
30.反応槽C
40.凝集槽
50.沈殿槽

Claims (7)

  1. フッ素含有排水にカルシウムを添加して前記排水中のフッ素をフッ化カルシウム不溶化物として固液分離するフッ素含有排水の処理方法において、
    前記排水中にカルシウムを添加し、生成する不溶性析出物を分離することなくリン酸化合物を含む薬剤を、リンとして前記排水中にカルシウムを添加後の溶存フッ素量に対して1〜5倍質量添加し、次いで塩基度が20〜80%のアルミニウム塩を添加することを特徴とするフッ素含有排水の処理方法。
  2. 前記リン酸化合物の添加後のpHが4〜9であり、前記アルミニウム塩の添加後のpHが5.5〜8である、請求項1に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  3. 前記アルミニウム塩は、前記添加されるリン酸化合物に対して、P/Alの質量比で0.2〜3.0の範囲で添加される請求項1又は2に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  4. 前記アルミニウム塩は、前記添加されるリン酸化合物に対して、P/Alの質量比で0.2〜0.8の範囲で添加される請求項に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  5. 固液分離された汚泥は、X線回折において結晶フルオロアパタイトのピークを有さない請求項に記載のフッ素含有排水の処理方法。
  6. フッ素含有排水にカルシウム化合物を作用させる反応槽Aと、
    前記反応槽Aからの処理液にリン酸化合物を作用させる反応槽Bと、
    前記反応槽Bからの処理液に塩基度が20〜80%のアルミニウム塩を作用させる反応槽Cと、
    前記反応槽Cからの処理液を固液分離する機構と、
    を備え
    前記反応槽Bは、前記リン酸化合物を含む薬剤を、リンとして前記反応槽Aからの処理液中の溶存フッ素量に対して1〜5倍質量添加する手段を含むフッ素含有排水の処理装置。
  7. 前記固液分離する機構は、前記反応槽Cからの処理液に高分子凝集剤を添加して凝集を行う凝集槽と、前記凝集槽からの混合液の固液分離を行う固液分離槽とを含む請求項に記載のフッ素含有排水の処理装置。
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