JP2004122059A - フッ素含有水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発生汚泥量の増大、設備の大型化の問題なく、フッ素含有水中のフッ素を高度に除去する。
【解決手段】フッ素含有水に水溶性カルシウム化合物を添加して生成したフッ化カルシウムを水から分離する第1のフッ素除去工程と、該第1のフッ素除去工程からの流出水に水溶性リン化合物を添加し、カルシウムイオンの存在下にカルシウム含有固形物と接触させてフッ素を除去する第2のフッ素除去工程とを備えてなるフッ素含有水の処理方法。水中のフッ素をフッ化カルシウムとして除去した後、更に残留するフッ素をフルオロアパタイトとして高度に除去することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】フッ素含有水に水溶性カルシウム化合物を添加して生成したフッ化カルシウムを水から分離する第1のフッ素除去工程と、該第1のフッ素除去工程からの流出水に水溶性リン化合物を添加し、カルシウムイオンの存在下にカルシウム含有固形物と接触させてフッ素を除去する第2のフッ素除去工程とを備えてなるフッ素含有水の処理方法。水中のフッ素をフッ化カルシウムとして除去した後、更に残留するフッ素をフルオロアパタイトとして高度に除去することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフッ素含有水の処理方法に係り、特に、水中のフッ素をフッ化カルシウムとして除去した後、更に残留するフッ素をフルオロアパタイトとして高度に除去することができるフッ素含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素含有水の処理方法として、フッ素含有水にカルシウム化合物を添加して、フッ素含有水中のフッ素をフッ化カルシウム(CaF2)として沈殿させて固液分離する凝集沈殿法がある。また、この凝集沈殿法の改良法として、スラッジブランケットタイプの固液分離槽を用いるものがある(特許第3196640号公報)。しかし、これらの凝集沈殿法等は、発生する汚泥量が多く、しかも、汚泥のCaF2純度が低いためにCaF2含有汚泥の再利用にも適さないという欠点がある。
【0003】
この問題を解決するものとして、フッ素含有水にカルシウム化合物を添加してフッ素及び/又はカルシウムを含む種晶を充填した晶析塔に通水し、下記反応により、フッ素含有水中のフッ素をフッ化カルシウム(CaF2)として種晶表面に析出させることにより除去する晶析法が知られている(特開昭60−206485号公報、特開平11−33564号公報)。
【0004】
Ca2++2F−→CaF2
【0005】
フッ素含有水中のフッ素をフッ化カルシウムとして除去する凝集沈殿法や晶析法では、処理水質には限界があり、フッ素濃度として8〜15mg−F/L程度が限度であり、通常、10〜30mg−F/Lのフッ素が処理水中に残留する。
【0006】
8mg−F/L以下の処理水質を達成するために、フッ素含有水中のフッ素をフッ化カルシウムとして除去した後、アルミニウム塩を添加して残留するフッ素を水酸化アルミニウムのゲル状物に吸着させて共沈させる二段沈殿法(特許第2927255号公報(従来技術の欄))や残留するフッ素をフッ素吸着樹脂に吸着させて除去する方法(特許第3203745号公報)などが採用されている。
【0007】
【特許文献1】
特許第3196640号公報
【特許文献2】
特開昭60−206485号公報
【特許文献3】
特開平11−33564号公報
【特許文献4】
特許第2927255号公報
【特許文献5】
特許第3203745号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
フッ素の高度処理においては、発生汚泥の減容化、設備のコンパクト化が重要であるが、上記従来の二段沈殿法では、残留フッ素に対して1〜3重量倍のアルミニウム塩(Al/F=1〜3)を添加する必要があり、このため汚泥の発生量が多く、また、得られる汚泥の脱水性も悪いという欠点がある。
【0009】
フッ素吸着樹脂を用いる方法では、フッ素吸着樹脂の充填塔の前段に砂濾過等の前処理設備が必要であり、また、フッ素吸着樹脂の再生のための設備も必要であるため、設置が大型化するという欠点がある。
【0010】
本発明は上記従来の問題点を解決し、フッ素含有水中のフッ素を高度に除去することができ、汚泥発生量も少ないフッ素含有水の処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のフッ素含有水の処理方法は、フッ素含有水に水溶性カルシウム化合物を添加し、生成したフッ化カルシウムを水から分離する第1のフッ素除去工程と、該第1のフッ素除去工程からの流出水に水溶性リン化合物を添加し、カルシウムイオンの存在下にカルシウム含有固形物と接触させてフッ素を除去する第2のフッ素除去工程とを備えてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の方法では、第1のフッ素除去工程で、下記反応▲1▼によりフッ素含有水中のフッ素をフッ化カルシウムとして除去する。
【0013】
[第1のフッ素除去工程]
Ca2++2F−→CaF2 ……▲1▼
第2のフッ素除去工程においては、下記反応▲2▼,▲3▼が起こる。
【0014】
[第2のフッ素除去工程]
5Ca2++3PO4 3−+OH−→Ca5(PO4)3OH ……▲2▼
5Ca2++3PO4 3−+F−→Ca5(PO4)3F ……▲3▼
【0015】
即ち、カルシウム含有固形物(種晶)の存在下、F−とCa2+とPO4 3−が共存すると、フルオロアパタイトが生成し、種晶であるカルシウム含有固形物の表面に吸着、晶析する。この、フルオロアパタイトは溶解度が小さいため、処理水中のフッ素濃度は著しく低いものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明のフッ素含有水の処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
図1,2は本発明のフッ素含有水の処理方法の実施の形態を示す系統図である。
【0018】
図1の方法では、フッ素含有水(原水)を第1反応槽1に導入して水溶性カルシウム化合物を添加した後、pH調整槽2に導入して必要に応じて酸又はアルカリのpH調整剤を添加してpH調整し、次いで凝集槽3に導入して凝集剤を添加して凝集処理し、凝集処理液を沈殿槽4で固液分離して上澄水(第1のフッ素除去工程の処理水)を得る。
【0019】
図1の方法では、原水に添加する水溶性カルシウム化合物を、混合槽5において、この沈殿槽4の分離汚泥の一部と混合して第1反応槽1に添加する。沈殿槽4の分離汚泥の残部は系外へ排出される。
【0020】
第1反応槽1に添加する水溶性カルシウム化合物としては、塩化カルシウム(CaCl2)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)等を用いることができ、その添加量は、原水中のフッ素に対して当量以上であることが好ましい。水溶性カルシウム化合物は原水中のフッ素に対して過剰添加であっても、第2のフッ素除去工程においてフルオロアパタイトの析出に利用することができるため、本発明においては、第1のフッ素除去工程の処理水中のカルシウムイオン濃度が50mg/L以上、特に100〜200mg/Lとなるように、水溶性カルシウム化合物を過剰添加することが好ましい。
【0021】
pH調整槽2に添加するpH調整剤としては、塩酸(HCl)等の酸や、水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリを用いることができ、pH調整槽2では必要に応じてこれらのpH調整剤を添加することにより、pH6〜10の範囲に調整することが好ましい。
【0022】
また、凝集槽3に添加する凝集剤としてはポリアクリルアミド等のノニオン性高分子凝集剤、ポリアクリルアミドの加水分解物等のアニオン性高分子凝集剤、アミノアクリル四級化物等のカチオン性高分子凝集剤などの高分子凝集剤を好適に使用することができ、その添加量は1〜5mg/L程度が好ましい。
【0023】
図1の方法では、沈殿槽4の分離汚泥の一部を返送し、この返送汚泥に水溶性カルシウム化合物を添加混合して原水に添加するが、このようにして汚泥の返送を行うことにより、この返送汚泥に水溶性カルシウム化合物を混合して得られる改質汚泥の表面でフッ化カルシウムが析出するようになり、フッ化カルシウムの生成効率を高めると共に、得られる汚泥濃度を高めることができる。このように汚泥を返送する場合、汚泥の返送量は、原水SS発生量の10〜20倍の返送SS量とするのが好ましい。
【0024】
沈殿槽4の上澄水(第1のフッ素除去工程の処理水)は、次いで、第2反応槽6に導入され、水溶性カルシウム化合物及び水溶性リン化合物、更に必要に応じてpH調整剤が添加される。
【0025】
水溶性カルシウム化合物としては、前述のCa(OH)2やCaCl等を用いることができる。この水溶性カルシウム化合物は、第1のフッ素除去工程の処理水中に、第2のフッ素除去工程での処理に十分量のカルシウムイオンが存在する場合には、添加する必要はない。水溶性カルシウム化合物は、第2反応槽6内のカルシウム濃度が第1のフッ素除去工程の処理水中に残留するフッ素濃度に対して10倍以上、好ましくは10〜15倍濃度となるように添加することが好ましい。
【0026】
また、水溶性リン化合物としては、リン酸、リン酸一ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸二ナトリウム(Na2HPO4)、その他、リン酸のカリウム塩等のリン酸塩を用いることができ、このような水溶性リン化合物は、第1のフッ素除去工程の処理水中のフッ素濃度に対して10倍以上、好ましくは15〜20倍のPO4濃度となるように添加することが好ましい。
【0027】
また、pH調整剤としては、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)などの鉱酸等の酸や、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)等のアルカリを用いることができる。これらのうち、Ca(OH)2は水溶性カルシウム化合物を兼用することができ、H3PO4は水溶性リン化合物を兼用することができる。これらのpH調整剤は、第2反応槽6内のpHが5〜9となるように必要に応じて添加される。
【0028】
第2反応槽6の液は、ポンプP1により、カルシウム含有固形物(以下「種晶」と称す場合がある。)が充填された晶析塔7に通水されてフッ素が晶析除去される。このカルシウム含有固形物の種晶としては、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト又はリン酸三石灰などのリン酸カルシウムを含む結晶種やホタル石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、フッ化カルシウムが使用でき、天然のリン鉱石又は骨炭はこれらのリン酸カルシウムを主成分としており、また鉱滓スラグなども結晶種として適している。また、砂などの濾材面にリン酸カルシウムを析出させた結晶種を用いることもできる。結晶としては、特に析出物と同じ素材を有するリン鉱石が望ましい。
【0029】
種晶の粒径は小さい方が表面積が大きい分反応に有利であるが、固液分離性の点からある程度の粒径は必要であり、実用的には0.1〜1mm程度が良い。
【0030】
晶析塔の通水方式は上向流、下向流のいずれでも良い。また、流動床方式、固定床方式のいずれでも良く通水LV等にも特に制限はないが、種晶の固着化現象を防止するために上向流通水とし、種晶を流動させる通水速度とするのが好ましい。
【0031】
晶析塔7の流出水は、フルオロアパタイトの生成、種晶への吸着、析出によりフッ素が高度に除去された高水質処理水であり、処理水槽8を経て系外へ排出される。
【0032】
なお、この晶析塔7には、処理水槽8の処理水の一部をポンプP2により循環させても良い。また、晶析塔7の通水圧力が過大となった場合には、必要に応じてポンプP1を停止してポンプP2により処理水を高速通水することにより、晶析塔7の洗浄を行うことができる。
【0033】
図1の方法は、第2のフッ素除去工程として種晶を充填した晶析塔を用いるものであるが、第2のフッ素除去工程における種晶との接触方式は、この充填方式に限らず、種晶と被処理水とを懸濁させる懸濁方式であっても良い。
【0034】
図2は、このような懸濁方式を採用する方法を示すものであり、第2反応槽6までの処理は、図1に示すものと同様に実施される。図2の方法では、第2反応槽6の流出液を晶析槽9に導入し、後段の沈殿槽11から返送される分離汚泥の一部と共に、カルシウム含有固形物の粉末を添加して撹拌することにより、種晶表面にフルオロアパタイトを吸着、析出させる。この晶析槽9に添加するカルシウム含有固形物の粉末としては、図1の晶析塔7に充填する種晶として前述したものを用いることができ、取り扱い性、接触効率等の面から、その粒径は0.2mm以下、特に0.01〜0.1mm程度であることが好ましい。
【0035】
このような懸濁方式の場合、種晶の添加前、添加後又は種晶の添加と共に、凝集剤としてアルミニウム塩及び/又は鉄塩を添加することが、種晶の沈降速度を大きくすることができ、固液分離効率の向上のために好ましい。図2の方法では、晶析槽9の後段の凝集槽10で凝集剤としてのアルミニウム塩及び/又は鉄塩を添加しているが、凝集剤は晶析槽9に添加しても良く、また、晶析槽9の前段で添加しても良い。
【0036】
凝集剤としてのアルミニウム塩としては、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、PAC(ポリ塩化アルミニウム)、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等を用いることができ、鉄塩としては、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、ポリ硫酸鉄等を用いることができる。晶析槽9の種晶の添加量及び反応時間、凝集槽10の凝集剤の添加量及び反応時間等には特に制限はないが、種晶の添加量は晶析槽9に流入する液中のフッ素濃度に対して5倍以上、特に10〜15倍濃度程度とするのが好ましい。また、凝集剤の好適な添加量は100〜200mg/L程度である。
【0037】
なお、図2の方法では、後段の沈殿槽11の分離汚泥の一部が晶析槽9及び凝集槽10に返送され、この返送汚泥が種晶、凝集核として作用するため、系外から添加する種晶添加量の低減、汚泥沈降性の向上を図ることができる。
【0038】
凝集剤10の凝集処理液は次いで沈殿槽11で固液分離され、上澄水が処理水として系外へ排出される。また、分離汚泥の一部は晶析槽9に循環され、残部は系外へ排出される。この晶析槽9に返送する汚泥量には特に制限はないが、第2反応槽6から晶析槽9に流入する液のSS発生量に対して5〜15倍程度の返送SS量とするのが好ましい。
【0039】
図1,2に示す方法は本発明のフッ素含有水の処理方法の実施の形態の一例を示すものであって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示の方法に限定されるものではない。
【0040】
図1,2の第1のフッ素除去工程の処理において、凝集処理液の固液分離手段としては、沈殿槽に限らず凝集槽の凝集処理液を上向流で導入してスラッジブランケットを形成し、凝集処理液中のフロックをこのスラッジブランケットに捕捉させて固液分離を行う固液分離槽であっても良い。また、濾過器や膜分離装置を用いることもできる。
【0041】
また、沈殿槽4の分離汚泥の返送は必ずしも必要とされず、反応槽10の原水に、水溶性カルシウム化合物とpH調整剤と凝集剤とを添加混合しても良い。
【0042】
また、第1のフッ素除去工程の処理は、図1,2に示すような凝集沈殿方式の他、晶析法によるものであっても良い。この場合には、原水に前述の水溶性カルシウム化合物と必要に応じてpH調整剤を添加し、フッ素及び/又はカルシウムを含有する種晶が充填された晶析塔に通水すれば良い。
【0043】
ここで、フッ素及び/又はカルシウムを含有する種晶としては、例えばホタル石、リン鉱石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、鉱滓スラグ等が挙げられる。これらの粒子の粒径には特に制限はないが、展開性、流動性、取り扱い性、接触効率等の面から0.05〜0.5mmであることが好ましい。
【0044】
原水への水溶性カルシウム化合物の好適な添加量は、図1,2に示す方法として前述した通りである。また、このCaF2晶析塔における処理はpH4〜9で行うことが好ましく、従って、必要に応じて、原水に前述のpH調整剤を添加する。
【0045】
CaF2晶析塔の通水方式は、下向流、上向流のいずれであっても良いが、種晶の固着化現象を防止するために、上向流通水とし、かつ、種晶を流動させる通水速度とするのが望ましい。CaF2晶析塔の通水LVは特に限定しないが、塔内の種晶の展開率は種晶の固着化現象を防止した上で高い接触効率を得るために、140〜250%とすることが好ましく、従って、このような展開率が得られるような通水LVとすることが好ましい。
【0046】
このCaF2晶析塔でフッ素が晶析除去された処理水は循環槽に導入し、一部をポンプにより晶析塔の底部に循環水として返送し、残部を処理水として第2のフッ素除去工程に送給することが好ましい。
【0047】
CaF2晶析塔或いは、図1の晶析塔7の流出水は、砂濾過塔や限外濾過(UF)膜分離装置、精密濾過(MF)膜分離装置等で濾過した後、循環水又は処理水としても良い。
【0048】
更に、図2の方法において、沈殿槽11の分離汚泥は、混合槽5に返送するようにしても良い。
【0049】
本発明において、第1のフッ素除去工程の処理水のフッ素濃度には特に制限はない。通常、フッ化カルシウムの析出によるフッ素の除去処理で得られる処理水のフッ素濃度は、10〜30mg/L程度であり、本発明によればこのような水質の第1のフッ素除去工程の処理水を第2のフッ素除去工程で処理してフッ素濃度8mg/L以下、好ましくは1〜3mg/L程度の高水質処理水を得ることができる。
【0050】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0051】
実施例1
下記水質のフッ素含有水を原水として、本発明に従って、5L/hrの処理量でフッ素の除去処理を行った。
【0052】
[フッ素含有水水質]
F:300mg/L
SO4+NO3+Cl:500mg/L
NH4−N:70mg/L
PO4:50mg/L
pH:3.3〜3.8
【0053】
原水にCa(OH)2を1200mg/L添加した後、HClを添加してpH7に調整して5分間反応させた。次いで、高分子凝集剤(栗田工業(株)製アニオン性凝集剤「PA331」)3mg/Lを添加して2分間反応させた後静置した。上澄水のフッ素濃度をフッ素イオンメーター(堀場製作所社製「HORIBA F−23」で測定したところ、11〜16mg/Lであった。なお、この上澄水のCa濃度は80〜130mg/L、PO4濃度は1mg/L以下であった。
【0054】
この上澄水にCaCl2を300mg/LとNa2HPO4100mg/Lを添加して(添加後のpHは7.5)、リン鉱石(粒径0.2〜0.4mm)を充填したカラムにLV:10m/hrの上向流で通水した(通水SV:10hr−1)。通水開始後、カラム流出水(処理水)のフッ素濃度は不安定であったが、通水250BVより安定化傾向を示した。通水480〜550BVの処理水のフッ素濃度を調べ、結果を表1に示した。
【0055】
実施例2
実施例1において、カラム充填物としてリン鉱石の代りにホタル石(粒径0.2〜0.5mm)を充填したこと以外は同様にして処理を行い、同様に通水480〜550BVの処理水フッ素濃度を調べ、結果を表1に示した。
【0056】
比較例1
実施例1において、上澄水にNa2HPO4を添加せず、CaCl2300mg/Lのみを添加してヒドロキシアパタイト(粒径0.2〜0.4mm)を充填したカラムに通水したこと以外は同様にして処理を行い、同様に通水480〜550BVの処理水フッ素濃度を調べ、結果を表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例3〜5
実施例1において、CaCl2300mg/LとNa2HPO4300mg/Lを添加した後の上澄水にヒドロキシアパタイト(粒径0.02〜0.06mm)を表2に示す添加量で添加した後、硫酸バンドを0〜500mg/Lの範囲で添加混合して静置した。得られた上澄水のフッ素濃度を調べ、結果を表2に示した。
【0059】
比較例2
実施例3において、ヒドロキシアパタイトを添加しなかったこと以外は同様にして処理を行い、得られた上澄水のフッ素濃度を調べ、結果を表2に示した。
【0060】
【表2】
【0061】
表2より、次のことが明らかである。処理水のフッ素濃度を5mg/L以下にするために必要な硫酸バンド添加量はヒドロキシアパタイトを添加しなかった比較例1では500mg/Lであるが、ヒドロキシアパタイトを50mg/L添加した実施例3では、300mg/Lの添加で良い。
【0062】
実施例3及び比較例2において、30分静置して得られた分離汚泥の濃度を調べたところ、比較例2で硫酸バンドを500mg/L添加した場合には60g/Lであるのに対して、実施例3で硫酸バンドを300mg/L添加した場合には100g/Lの濃縮汚泥が得られた。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のフッ素含有水の処理方法によれば、フッ素含有水中のフッ素を高度に除去して高水質の処理水を得ることができる。しかも、処理で発生する汚泥量も少なく、高濃縮汚泥を得ることができる上に、装置設備も比較的コンパクトであり、処理効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフッ素含有水の処理方法の実施の形態を示す系統図である。
【図2】本発明のフッ素含有水の処理方法の他の実施の形態を示す系統図である。
【符号の説明】
1 第1反応槽
2 pH調整槽
3,10 凝集槽
4,11 沈殿槽
5 混合槽
6 第2反応槽
7 晶析塔
8 処理水槽
9 晶析槽
【発明の属する技術分野】
本発明はフッ素含有水の処理方法に係り、特に、水中のフッ素をフッ化カルシウムとして除去した後、更に残留するフッ素をフルオロアパタイトとして高度に除去することができるフッ素含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素含有水の処理方法として、フッ素含有水にカルシウム化合物を添加して、フッ素含有水中のフッ素をフッ化カルシウム(CaF2)として沈殿させて固液分離する凝集沈殿法がある。また、この凝集沈殿法の改良法として、スラッジブランケットタイプの固液分離槽を用いるものがある(特許第3196640号公報)。しかし、これらの凝集沈殿法等は、発生する汚泥量が多く、しかも、汚泥のCaF2純度が低いためにCaF2含有汚泥の再利用にも適さないという欠点がある。
【0003】
この問題を解決するものとして、フッ素含有水にカルシウム化合物を添加してフッ素及び/又はカルシウムを含む種晶を充填した晶析塔に通水し、下記反応により、フッ素含有水中のフッ素をフッ化カルシウム(CaF2)として種晶表面に析出させることにより除去する晶析法が知られている(特開昭60−206485号公報、特開平11−33564号公報)。
【0004】
Ca2++2F−→CaF2
【0005】
フッ素含有水中のフッ素をフッ化カルシウムとして除去する凝集沈殿法や晶析法では、処理水質には限界があり、フッ素濃度として8〜15mg−F/L程度が限度であり、通常、10〜30mg−F/Lのフッ素が処理水中に残留する。
【0006】
8mg−F/L以下の処理水質を達成するために、フッ素含有水中のフッ素をフッ化カルシウムとして除去した後、アルミニウム塩を添加して残留するフッ素を水酸化アルミニウムのゲル状物に吸着させて共沈させる二段沈殿法(特許第2927255号公報(従来技術の欄))や残留するフッ素をフッ素吸着樹脂に吸着させて除去する方法(特許第3203745号公報)などが採用されている。
【0007】
【特許文献1】
特許第3196640号公報
【特許文献2】
特開昭60−206485号公報
【特許文献3】
特開平11−33564号公報
【特許文献4】
特許第2927255号公報
【特許文献5】
特許第3203745号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
フッ素の高度処理においては、発生汚泥の減容化、設備のコンパクト化が重要であるが、上記従来の二段沈殿法では、残留フッ素に対して1〜3重量倍のアルミニウム塩(Al/F=1〜3)を添加する必要があり、このため汚泥の発生量が多く、また、得られる汚泥の脱水性も悪いという欠点がある。
【0009】
フッ素吸着樹脂を用いる方法では、フッ素吸着樹脂の充填塔の前段に砂濾過等の前処理設備が必要であり、また、フッ素吸着樹脂の再生のための設備も必要であるため、設置が大型化するという欠点がある。
【0010】
本発明は上記従来の問題点を解決し、フッ素含有水中のフッ素を高度に除去することができ、汚泥発生量も少ないフッ素含有水の処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のフッ素含有水の処理方法は、フッ素含有水に水溶性カルシウム化合物を添加し、生成したフッ化カルシウムを水から分離する第1のフッ素除去工程と、該第1のフッ素除去工程からの流出水に水溶性リン化合物を添加し、カルシウムイオンの存在下にカルシウム含有固形物と接触させてフッ素を除去する第2のフッ素除去工程とを備えてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の方法では、第1のフッ素除去工程で、下記反応▲1▼によりフッ素含有水中のフッ素をフッ化カルシウムとして除去する。
【0013】
[第1のフッ素除去工程]
Ca2++2F−→CaF2 ……▲1▼
第2のフッ素除去工程においては、下記反応▲2▼,▲3▼が起こる。
【0014】
[第2のフッ素除去工程]
5Ca2++3PO4 3−+OH−→Ca5(PO4)3OH ……▲2▼
5Ca2++3PO4 3−+F−→Ca5(PO4)3F ……▲3▼
【0015】
即ち、カルシウム含有固形物(種晶)の存在下、F−とCa2+とPO4 3−が共存すると、フルオロアパタイトが生成し、種晶であるカルシウム含有固形物の表面に吸着、晶析する。この、フルオロアパタイトは溶解度が小さいため、処理水中のフッ素濃度は著しく低いものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明のフッ素含有水の処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
図1,2は本発明のフッ素含有水の処理方法の実施の形態を示す系統図である。
【0018】
図1の方法では、フッ素含有水(原水)を第1反応槽1に導入して水溶性カルシウム化合物を添加した後、pH調整槽2に導入して必要に応じて酸又はアルカリのpH調整剤を添加してpH調整し、次いで凝集槽3に導入して凝集剤を添加して凝集処理し、凝集処理液を沈殿槽4で固液分離して上澄水(第1のフッ素除去工程の処理水)を得る。
【0019】
図1の方法では、原水に添加する水溶性カルシウム化合物を、混合槽5において、この沈殿槽4の分離汚泥の一部と混合して第1反応槽1に添加する。沈殿槽4の分離汚泥の残部は系外へ排出される。
【0020】
第1反応槽1に添加する水溶性カルシウム化合物としては、塩化カルシウム(CaCl2)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)等を用いることができ、その添加量は、原水中のフッ素に対して当量以上であることが好ましい。水溶性カルシウム化合物は原水中のフッ素に対して過剰添加であっても、第2のフッ素除去工程においてフルオロアパタイトの析出に利用することができるため、本発明においては、第1のフッ素除去工程の処理水中のカルシウムイオン濃度が50mg/L以上、特に100〜200mg/Lとなるように、水溶性カルシウム化合物を過剰添加することが好ましい。
【0021】
pH調整槽2に添加するpH調整剤としては、塩酸(HCl)等の酸や、水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリを用いることができ、pH調整槽2では必要に応じてこれらのpH調整剤を添加することにより、pH6〜10の範囲に調整することが好ましい。
【0022】
また、凝集槽3に添加する凝集剤としてはポリアクリルアミド等のノニオン性高分子凝集剤、ポリアクリルアミドの加水分解物等のアニオン性高分子凝集剤、アミノアクリル四級化物等のカチオン性高分子凝集剤などの高分子凝集剤を好適に使用することができ、その添加量は1〜5mg/L程度が好ましい。
【0023】
図1の方法では、沈殿槽4の分離汚泥の一部を返送し、この返送汚泥に水溶性カルシウム化合物を添加混合して原水に添加するが、このようにして汚泥の返送を行うことにより、この返送汚泥に水溶性カルシウム化合物を混合して得られる改質汚泥の表面でフッ化カルシウムが析出するようになり、フッ化カルシウムの生成効率を高めると共に、得られる汚泥濃度を高めることができる。このように汚泥を返送する場合、汚泥の返送量は、原水SS発生量の10〜20倍の返送SS量とするのが好ましい。
【0024】
沈殿槽4の上澄水(第1のフッ素除去工程の処理水)は、次いで、第2反応槽6に導入され、水溶性カルシウム化合物及び水溶性リン化合物、更に必要に応じてpH調整剤が添加される。
【0025】
水溶性カルシウム化合物としては、前述のCa(OH)2やCaCl等を用いることができる。この水溶性カルシウム化合物は、第1のフッ素除去工程の処理水中に、第2のフッ素除去工程での処理に十分量のカルシウムイオンが存在する場合には、添加する必要はない。水溶性カルシウム化合物は、第2反応槽6内のカルシウム濃度が第1のフッ素除去工程の処理水中に残留するフッ素濃度に対して10倍以上、好ましくは10〜15倍濃度となるように添加することが好ましい。
【0026】
また、水溶性リン化合物としては、リン酸、リン酸一ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸二ナトリウム(Na2HPO4)、その他、リン酸のカリウム塩等のリン酸塩を用いることができ、このような水溶性リン化合物は、第1のフッ素除去工程の処理水中のフッ素濃度に対して10倍以上、好ましくは15〜20倍のPO4濃度となるように添加することが好ましい。
【0027】
また、pH調整剤としては、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)などの鉱酸等の酸や、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)等のアルカリを用いることができる。これらのうち、Ca(OH)2は水溶性カルシウム化合物を兼用することができ、H3PO4は水溶性リン化合物を兼用することができる。これらのpH調整剤は、第2反応槽6内のpHが5〜9となるように必要に応じて添加される。
【0028】
第2反応槽6の液は、ポンプP1により、カルシウム含有固形物(以下「種晶」と称す場合がある。)が充填された晶析塔7に通水されてフッ素が晶析除去される。このカルシウム含有固形物の種晶としては、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト又はリン酸三石灰などのリン酸カルシウムを含む結晶種やホタル石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、フッ化カルシウムが使用でき、天然のリン鉱石又は骨炭はこれらのリン酸カルシウムを主成分としており、また鉱滓スラグなども結晶種として適している。また、砂などの濾材面にリン酸カルシウムを析出させた結晶種を用いることもできる。結晶としては、特に析出物と同じ素材を有するリン鉱石が望ましい。
【0029】
種晶の粒径は小さい方が表面積が大きい分反応に有利であるが、固液分離性の点からある程度の粒径は必要であり、実用的には0.1〜1mm程度が良い。
【0030】
晶析塔の通水方式は上向流、下向流のいずれでも良い。また、流動床方式、固定床方式のいずれでも良く通水LV等にも特に制限はないが、種晶の固着化現象を防止するために上向流通水とし、種晶を流動させる通水速度とするのが好ましい。
【0031】
晶析塔7の流出水は、フルオロアパタイトの生成、種晶への吸着、析出によりフッ素が高度に除去された高水質処理水であり、処理水槽8を経て系外へ排出される。
【0032】
なお、この晶析塔7には、処理水槽8の処理水の一部をポンプP2により循環させても良い。また、晶析塔7の通水圧力が過大となった場合には、必要に応じてポンプP1を停止してポンプP2により処理水を高速通水することにより、晶析塔7の洗浄を行うことができる。
【0033】
図1の方法は、第2のフッ素除去工程として種晶を充填した晶析塔を用いるものであるが、第2のフッ素除去工程における種晶との接触方式は、この充填方式に限らず、種晶と被処理水とを懸濁させる懸濁方式であっても良い。
【0034】
図2は、このような懸濁方式を採用する方法を示すものであり、第2反応槽6までの処理は、図1に示すものと同様に実施される。図2の方法では、第2反応槽6の流出液を晶析槽9に導入し、後段の沈殿槽11から返送される分離汚泥の一部と共に、カルシウム含有固形物の粉末を添加して撹拌することにより、種晶表面にフルオロアパタイトを吸着、析出させる。この晶析槽9に添加するカルシウム含有固形物の粉末としては、図1の晶析塔7に充填する種晶として前述したものを用いることができ、取り扱い性、接触効率等の面から、その粒径は0.2mm以下、特に0.01〜0.1mm程度であることが好ましい。
【0035】
このような懸濁方式の場合、種晶の添加前、添加後又は種晶の添加と共に、凝集剤としてアルミニウム塩及び/又は鉄塩を添加することが、種晶の沈降速度を大きくすることができ、固液分離効率の向上のために好ましい。図2の方法では、晶析槽9の後段の凝集槽10で凝集剤としてのアルミニウム塩及び/又は鉄塩を添加しているが、凝集剤は晶析槽9に添加しても良く、また、晶析槽9の前段で添加しても良い。
【0036】
凝集剤としてのアルミニウム塩としては、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、PAC(ポリ塩化アルミニウム)、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等を用いることができ、鉄塩としては、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、ポリ硫酸鉄等を用いることができる。晶析槽9の種晶の添加量及び反応時間、凝集槽10の凝集剤の添加量及び反応時間等には特に制限はないが、種晶の添加量は晶析槽9に流入する液中のフッ素濃度に対して5倍以上、特に10〜15倍濃度程度とするのが好ましい。また、凝集剤の好適な添加量は100〜200mg/L程度である。
【0037】
なお、図2の方法では、後段の沈殿槽11の分離汚泥の一部が晶析槽9及び凝集槽10に返送され、この返送汚泥が種晶、凝集核として作用するため、系外から添加する種晶添加量の低減、汚泥沈降性の向上を図ることができる。
【0038】
凝集剤10の凝集処理液は次いで沈殿槽11で固液分離され、上澄水が処理水として系外へ排出される。また、分離汚泥の一部は晶析槽9に循環され、残部は系外へ排出される。この晶析槽9に返送する汚泥量には特に制限はないが、第2反応槽6から晶析槽9に流入する液のSS発生量に対して5〜15倍程度の返送SS量とするのが好ましい。
【0039】
図1,2に示す方法は本発明のフッ素含有水の処理方法の実施の形態の一例を示すものであって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示の方法に限定されるものではない。
【0040】
図1,2の第1のフッ素除去工程の処理において、凝集処理液の固液分離手段としては、沈殿槽に限らず凝集槽の凝集処理液を上向流で導入してスラッジブランケットを形成し、凝集処理液中のフロックをこのスラッジブランケットに捕捉させて固液分離を行う固液分離槽であっても良い。また、濾過器や膜分離装置を用いることもできる。
【0041】
また、沈殿槽4の分離汚泥の返送は必ずしも必要とされず、反応槽10の原水に、水溶性カルシウム化合物とpH調整剤と凝集剤とを添加混合しても良い。
【0042】
また、第1のフッ素除去工程の処理は、図1,2に示すような凝集沈殿方式の他、晶析法によるものであっても良い。この場合には、原水に前述の水溶性カルシウム化合物と必要に応じてpH調整剤を添加し、フッ素及び/又はカルシウムを含有する種晶が充填された晶析塔に通水すれば良い。
【0043】
ここで、フッ素及び/又はカルシウムを含有する種晶としては、例えばホタル石、リン鉱石、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、鉱滓スラグ等が挙げられる。これらの粒子の粒径には特に制限はないが、展開性、流動性、取り扱い性、接触効率等の面から0.05〜0.5mmであることが好ましい。
【0044】
原水への水溶性カルシウム化合物の好適な添加量は、図1,2に示す方法として前述した通りである。また、このCaF2晶析塔における処理はpH4〜9で行うことが好ましく、従って、必要に応じて、原水に前述のpH調整剤を添加する。
【0045】
CaF2晶析塔の通水方式は、下向流、上向流のいずれであっても良いが、種晶の固着化現象を防止するために、上向流通水とし、かつ、種晶を流動させる通水速度とするのが望ましい。CaF2晶析塔の通水LVは特に限定しないが、塔内の種晶の展開率は種晶の固着化現象を防止した上で高い接触効率を得るために、140〜250%とすることが好ましく、従って、このような展開率が得られるような通水LVとすることが好ましい。
【0046】
このCaF2晶析塔でフッ素が晶析除去された処理水は循環槽に導入し、一部をポンプにより晶析塔の底部に循環水として返送し、残部を処理水として第2のフッ素除去工程に送給することが好ましい。
【0047】
CaF2晶析塔或いは、図1の晶析塔7の流出水は、砂濾過塔や限外濾過(UF)膜分離装置、精密濾過(MF)膜分離装置等で濾過した後、循環水又は処理水としても良い。
【0048】
更に、図2の方法において、沈殿槽11の分離汚泥は、混合槽5に返送するようにしても良い。
【0049】
本発明において、第1のフッ素除去工程の処理水のフッ素濃度には特に制限はない。通常、フッ化カルシウムの析出によるフッ素の除去処理で得られる処理水のフッ素濃度は、10〜30mg/L程度であり、本発明によればこのような水質の第1のフッ素除去工程の処理水を第2のフッ素除去工程で処理してフッ素濃度8mg/L以下、好ましくは1〜3mg/L程度の高水質処理水を得ることができる。
【0050】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0051】
実施例1
下記水質のフッ素含有水を原水として、本発明に従って、5L/hrの処理量でフッ素の除去処理を行った。
【0052】
[フッ素含有水水質]
F:300mg/L
SO4+NO3+Cl:500mg/L
NH4−N:70mg/L
PO4:50mg/L
pH:3.3〜3.8
【0053】
原水にCa(OH)2を1200mg/L添加した後、HClを添加してpH7に調整して5分間反応させた。次いで、高分子凝集剤(栗田工業(株)製アニオン性凝集剤「PA331」)3mg/Lを添加して2分間反応させた後静置した。上澄水のフッ素濃度をフッ素イオンメーター(堀場製作所社製「HORIBA F−23」で測定したところ、11〜16mg/Lであった。なお、この上澄水のCa濃度は80〜130mg/L、PO4濃度は1mg/L以下であった。
【0054】
この上澄水にCaCl2を300mg/LとNa2HPO4100mg/Lを添加して(添加後のpHは7.5)、リン鉱石(粒径0.2〜0.4mm)を充填したカラムにLV:10m/hrの上向流で通水した(通水SV:10hr−1)。通水開始後、カラム流出水(処理水)のフッ素濃度は不安定であったが、通水250BVより安定化傾向を示した。通水480〜550BVの処理水のフッ素濃度を調べ、結果を表1に示した。
【0055】
実施例2
実施例1において、カラム充填物としてリン鉱石の代りにホタル石(粒径0.2〜0.5mm)を充填したこと以外は同様にして処理を行い、同様に通水480〜550BVの処理水フッ素濃度を調べ、結果を表1に示した。
【0056】
比較例1
実施例1において、上澄水にNa2HPO4を添加せず、CaCl2300mg/Lのみを添加してヒドロキシアパタイト(粒径0.2〜0.4mm)を充填したカラムに通水したこと以外は同様にして処理を行い、同様に通水480〜550BVの処理水フッ素濃度を調べ、結果を表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例3〜5
実施例1において、CaCl2300mg/LとNa2HPO4300mg/Lを添加した後の上澄水にヒドロキシアパタイト(粒径0.02〜0.06mm)を表2に示す添加量で添加した後、硫酸バンドを0〜500mg/Lの範囲で添加混合して静置した。得られた上澄水のフッ素濃度を調べ、結果を表2に示した。
【0059】
比較例2
実施例3において、ヒドロキシアパタイトを添加しなかったこと以外は同様にして処理を行い、得られた上澄水のフッ素濃度を調べ、結果を表2に示した。
【0060】
【表2】
【0061】
表2より、次のことが明らかである。処理水のフッ素濃度を5mg/L以下にするために必要な硫酸バンド添加量はヒドロキシアパタイトを添加しなかった比較例1では500mg/Lであるが、ヒドロキシアパタイトを50mg/L添加した実施例3では、300mg/Lの添加で良い。
【0062】
実施例3及び比較例2において、30分静置して得られた分離汚泥の濃度を調べたところ、比較例2で硫酸バンドを500mg/L添加した場合には60g/Lであるのに対して、実施例3で硫酸バンドを300mg/L添加した場合には100g/Lの濃縮汚泥が得られた。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のフッ素含有水の処理方法によれば、フッ素含有水中のフッ素を高度に除去して高水質の処理水を得ることができる。しかも、処理で発生する汚泥量も少なく、高濃縮汚泥を得ることができる上に、装置設備も比較的コンパクトであり、処理効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフッ素含有水の処理方法の実施の形態を示す系統図である。
【図2】本発明のフッ素含有水の処理方法の他の実施の形態を示す系統図である。
【符号の説明】
1 第1反応槽
2 pH調整槽
3,10 凝集槽
4,11 沈殿槽
5 混合槽
6 第2反応槽
7 晶析塔
8 処理水槽
9 晶析槽
Claims (4)
- フッ素含有水に水溶性カルシウム化合物を添加し、生成したフッ化カルシウムを水から分離する第1のフッ素除去工程と、
該第1のフッ素除去工程からの流出水に水溶性リン化合物を添加し、カルシウムイオンの存在下にカルシウム含有固形物と接触させてフッ素を除去する第2のフッ素除去工程と
を備えてなるフッ素含有水の処理方法。 - 請求項1において、該第2のフッ素除去工程において、該第1のフッ素除去工程からの流出水に水溶性リン化合物を添加して、カルシウム含有固形物の流動床又は固定床に通水することを特徴とするフッ素含有水の処理方法。
- 請求項1において、該第2のフッ素除去工程において、該第1のフッ素除去工程からの流出水に水溶性リン化合物を添加すると共に、カルシウム含有固形物の粉体を添加混合し、生じた沈殿を分離することを特徴とするフッ素含有水の処理方法。
- 請求項3において、該カルシウム含有固形物の粉体の添加時、添加の前又は添加の後に、アルミニウム塩及び/又は鉄塩を添加することを特徴とするフッ素含有水の処理方法。
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