JP4210509B2 - ホウ素含有水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はホウ素含有水の処理方法に関し、詳しくは、ホウ素含有水中に含まれるホウ素を除去する処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホウ素化合物は、ガラス材料、医薬原料、化粧品原料等に使用され、その廃水中に含まれる他、地熱発電所、原子力発電所、排煙脱硫プラントから発生する廃水や、産業廃棄物処分場からの浸出水中にも含まれている。
【0003】
特に、近年の環境問題への関心の高まりにともなって、産業廃棄物処分場からの排水中のホウ素が問題になってきており、法規制の対象となっている。
【0004】
そして、排水中のホウ素を除去する方法として、硫酸アルミニウム及び水酸化カルシウムにより不溶性沈殿物として除去する方法(凝集沈殿処理方法)や、イオン交換樹脂により吸着させて除去する方法(吸着処理方法)等が知られている。(たとえば、非特許文献1参照)。
【0005】
吸着処理は、イオン交換樹脂、キレート樹脂、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(活性アルミナ)、活性炭などの種々の吸着剤により吸着する処理方法である。
【0006】
これらの吸着剤のうち、キレート樹脂やホウ素選択イオン交換樹脂などの高分子吸着剤がホウ素の吸着性能が高いことが知られている。
【0007】
しかしながら、高分子吸着剤の吸着能力は、その表面の極性と被吸着物質(排水中のホウ素)の極性によって左右される他、高分子吸着剤の細孔径やその表面積によっても変化する。また、排水の水素イオン濃度(pH)、共存するイオンの種類等によっても吸着能力が変化する。このため、高分子吸着剤を用いてホウ素を吸着する場合には、ホウ素の吸着処理の前にpHの調整や他のイオンの除去が必要になっていた。すなわち、排水から他の物質を取り除いた後にホウ素の除去処理を施す必要があった。
【0008】
さらに、高分子吸着剤は、再生処理を施して高分子吸着剤に吸着されたホウ素を除去することで再利用が可能であるが、高分子吸着剤だけでなく再生処理にもコストがかかるという問題があった。加えて、産業廃棄物処分場の浸出水に含まれるホウ素濃度は高く、高分子吸着剤の吸着容量がすぐに飽和するため、再生処理の回数が増加してコストがかかっていた。
【0009】
凝集沈殿処理方法は、凝集剤としてアルミニウム塩、鉄塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などが検討されているが、アルミニウム塩と消石灰の併用処理以外の処理においてはほとんどホウ素除去効果がないことが知られている。そして、アルミニウム塩として硫酸バンド(Al2(SO43)がもっとも効果的であることが知られている。
【0010】
しかしながら、硫酸バンドを用いた場合でも排水中のホウ素濃度を1mg/L程度の低濃度まで処理するには多量の薬剤添加が必要となり、汚泥の発生量が多量となるという問題があった。
【0011】
さらに、排水中に塩化物イオンやフッ素等が共存している場合には硫酸バンドを用いてもホウ素が除去できなかった。このため、実際の排水処理においては、イオン交換処理等の別の処理と組み合わせて処理が行われていた。
【0012】
さらに、この凝集沈殿処理方法を用いたホウ素の除去方法としては、たとえば、特許文献1、2に開示されている。
【0013】
特許文献1には、「ホウ素含有水に、アルミニウム化合物及び硫酸化合物を存在させること、ホウ素1モルに対するアルミニウムの存在量を2モル以上とすること、アルミニウム1モルに対する硫酸根の存在量を0.7モル以上とすること、pHを12.5以上にしてアルミニウム化合物を溶解させた溶液を製造すること、この溶液に水溶性アルカリ土類金属塩を添加して不溶性沈殿物を生成させることを特徴とするホウ素含有水の処理方法。」が開示されている。
【0014】
しかしながら、特許文献1に記載の処理方法を用いてホウ素の除去は、多量の汚泥が発生するだけでなく、処理時のpHを12.5以上と高くする必要があり処理装置に耐食性等が要求される等の問題があった。
【0015】
特許文献2には、「ホウ素含有水を反応化合物であるアルミニウムイオン、硫酸イオン、カルシウムイオンの存在下にpH10〜12.5の範囲で調整して析出する澱物を除去する処理方法であって、含有するホウ素1モルに対するアルミニウム、硫酸、カルシウムのモル比がおよそ1:1.5:4.5であること特徴とするホウ素含有水の処理方法。」が開示されている。
【0016】
しかしながら、特許文献2に記載の処理方法は、100mg/L以上の高濃度のホウ素含有水から多量のホウ素を取り除く効果は有するが、100mg/L未満のホウ素含有水の浄化には効果が乏しいという問題があった。すなわち、特許文献2に記載の処理方法では、処理されたホウ素含有水中に多量のホウ素が残留していた。具体的には、実施例に記載されているように、20mg/L以上の高濃度のホウ素が残留している。
【0017】
【非特許文献1】
恵藤良弘、他1名,「新規健康項目に追加されたホウ素の対策」,用水と廃水,1999年10月,vol.41,No.10,p53−58
【特許文献1】
特開2001−162287号公報
【特許文献2】
特開2002−233881号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、排水中のホウ素の除去が可能なホウ素含有水の処理方法を提供することを課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のホウ素含有水の処理方法は、ホウ素を含有したホウ素含有水から、25〜200mmol/Lのカルシウムイオンと、6〜30mmol/Lの硫酸イオンと、ホウ素とアルミニウムとの原子比Al:Bが1.7〜20:1のアルミニウムイオンと、を有しかつそのpHが10.5〜11.5の溶液を調整する溶液調整工程と、溶液のpHを11.0〜12.0に上昇させて析出物を析出させ、析出物にホウ素を共沈または吸着させて除去する析出工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
本発明のホウ素含有水の処理方法は、効率よくホウ素を除去できる。
【0021】
また、別の本発明のホウ素含有水の処理方法は、ホウ素を含有したホウ素含有水から、25〜200mmol/Lのカルシウムイオンと、6〜30mmol/Lの硫酸イオンと、ホウ素とアルミニウムとの原子比Al:Bが1.7〜20:1のアルミニウムイオンと、を有しかつそのpHが10.5〜11.5の溶液を調整する溶液調整工程と、溶液のpHを11.0〜12.0に上昇させて析出物を析出させ、析出物にホウ素を共沈または吸着させて除去する析出工程と、高分子吸着剤により溶液中に残存するホウ素を吸着する吸着工程と、を有することを特徴とする。
【0022】
本発明のホウ素含有水の処理方法は、溶液調整工程および析出工程においてホウ素含有水中のホウ素が除去された溶液に、さらに吸着剤によるホウ素の除去が行われる。このため、析出工程までの工程において除去されなかった溶液中のホウ素を完全に除去できる。さらに、本発明のホウ素含有水の処理方法は、従来の吸着剤によりホウ素を除去する処理方法と比較して、吸着剤に吸着されるホウ素量が少ないため、吸着剤の寿命が延びる効果を有する。
【0023】
なお、本発明においてカルシウムイオン、硫酸イオン、アルミニウムイオンなどのイオンは、イオン単体のみに限定されるものではなく、液中でイオン化可能な状態にある物質も含む。液中でイオン化可能な状態の物質とは、たとえば、液中で平衡状態にある物質などをあげることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第一発明)
本発明のホウ素含有水の処理方法は、溶液調整工程および析出工程を有する。
【0025】
溶液調整工程は、ホウ素を含有したホウ素含有水から、25〜200mmol/Lのカルシウムイオンと、6〜30mmol/Lの硫酸イオンと、ホウ素とアルミニウムとの原子比Al:Bが1.7〜20:1のアルミニウムイオンと、を有しかつそのpHが10.5〜11.5の溶液を調整する工程である。溶液調整工程においてホウ素含有水からそれぞれのイオンを有する溶液を調整することで、その後の析出工程において析出物を析出させることが可能となる。
【0026】
溶液調整工程において調整される溶液のカルシウムイオン濃度は、25〜200mmol/Lの範囲内である。カルシウムイオン濃度が25mmol/L未満ではカルシウムイオンが存在する効果が十分でなく、本発明の処理方法のホウ素の除去性能が低下する。また、カルシウムイオン濃度が200mmol/Lを超えると、その後の工程において多量の沈殿物が生じ、この沈殿物の除去に多大なコストが必要となる。また、溶液のカルシウムイオン濃度が過大となると、ホウ素含有水からホウ素を除去した水溶液中にカルシウムイオンが多量に残存するようになる。現在、排水中のカルシウム量も規制されており、この残存カルシウムの処理が要求されている。すなわち、カルシウムの処理に多大なコストが必要となる。
【0027】
調整される溶液の硫酸イオンの濃度は、6〜30mmol/Lである。硫酸イオンの濃度が6mmol/L未満では硫酸イオン存在の効果が十分ではなく、本発明の処理方法のホウ素の除去性能が低下する。また、硫酸イオンの濃度が30mmol/Lを超えると、その後の工程において多量の汚泥が発生する。多量の汚泥の発生は、本発明の処理方法のホウ素の除去能力に影響を及ぼすものではないが、汚泥の分離等の処理に多大な工程がかかるようになるだけでなく、発生した汚泥自身の処分にコストがかかるようになる。すなわち、実用上の理由から、過剰の汚泥の発生は好ましくない。
【0028】
調整された溶液のアルミニウムイオンは、ホウ素とアルミニウムとの原子比Al:Bが1.7〜20:1である。アルミニウムイオンがホウ素との原子比で1.7未満となると、アルミニウムイオンが存在する効果が十分でなく、原子比が20を超えるとその後の工程において多量の沈殿が生じるようになる。
【0029】
本発明において溶液中のアルミニウムイオンとは、アルミニウムイオン(Al3+)のみを示すのではなく、アルミニウムイオン由来のイオンをも示す。アルミニウムイオン由来のイオンとは、たとえば、アルミン酸イオン(H2AlO3 -)をあげることができる。すなわち、アルミニウムの水酸化物は両性化合物であり、溶液のpHが高くなると過剰の水酸化物イオンと反応し、錯イオンを形成するためである。
【0030】
調整される溶液は、そのpHが10.5〜11.5の範囲内に調整される。溶液のpHがこの範囲内におさまることで、その後の工程において析出物の析出が可能となる。
【0031】
溶液調整工程は、ホウ素含有水中の各イオン濃度を測定し、所望のイオン濃度に不足したときには、各イオンを発生可能なイオン発生源をホウ素含有水に添加することが好ましい。すなわち、ホウ素含有水が所望のイオン濃度を充足しているときには、そのイオン濃度の調節のために特別な処理を必要としない。
【0032】
溶液調整工程において、ホウ素含有水中の各イオン濃度の調節および所望のpHの調節は、同時に行っても、順次行っても、どちらでもよい。
【0033】
溶液調整工程は、ホウ素含有水中の各イオン濃度を調節した後にpHを所定のpHに調節する工程であることが好ましい。すなわち、各イオン濃度を調節した後にホウ素含有水のpHを所定のpHに調節することで、所望の濃度で各イオンを含有しかつpHが調整された溶液を調整できる。pHを調整した後に各イオン濃度の調整が行われたときには、pHの変動が生じるようになり、所望のpHを有する溶液が得られなくなる。
【0034】
溶液調整工程は、ホウ素含有水のカルシウムイオン濃度を調節するカルシウム量調節工程と、カルシウム量調節工程においてカルシウムイオン濃度が調節されたホウ素含有水のpHを所定のpHに調節するpH調節工程と、を有することが好ましい。
【0035】
カルシウム量調節工程は、ホウ素含有水中のカルシウムイオン量を測定し、ホウ素含有水中のカルシウムイオン量が所望のカルシウムイオン量に不足したときには、カルシウムの中性塩をホウ素含有水に添加することが好ましい。カルシウムの中性塩は、ホウ素含有水のpHの上昇を抑えた状態でカルシウムイオン量を増加させることができる。カルシウムの中性塩は、塩化カルシウムであることが好ましい。
【0036】
pH調節工程は、カルシウムの塩基性塩をホウ素含有水中に添加することが好ましい。カルシウムの塩基性塩をホウ素含有水に添加することで、ホウ素含有水のpHを上昇させることができる。カルシウムの塩基性塩は、水酸化カルシウムであることが好ましい。
【0037】
溶液調整工程は、少なくともカルシウムの中性塩およびカルシウムの塩基性塩を前記ホウ素含有水に添加することが好ましい。
【0038】
溶液調整工程は、ホウ素含有水中の硫酸イオン量を測定し、ホウ素含有水中の硫酸イオン量が所望の硫酸イオン量に不足したときには、硫酸イオン源をホウ素含有水に添加することが好ましい。硫酸イオン源としては、ホウ素含有水に添加されたときに硫酸イオンを生じさせることができる物質であれば特に限定されない。
【0039】
溶液調整工程は、硫酸イオン濃度が9〜12mmol/Lの溶液を調整することが好ましい。すなわち、溶液調整工程において調整される溶液の硫酸イオン濃度が9〜12mmol/Lに調整されることで、本発明の処理方法は、より高いホウ素除去性能が得られる。
【0040】
溶液調整工程は、ホウ素含有水中のアルミニウムイオン量を測定し、ホウ素含有水中のアルミニウムイオン量が所望のアルミニウムイオン量に不足したときには、アルミニウムイオン源をホウ素含有水に添加することが好ましい。アルミニウムイオン源としては、ホウ素含有水に添加されたときにアルミニウムイオンを生じさせることができる物質であれば特に限定されない。
【0041】
アルミニウムイオン源および硫酸イオン源として、硫酸アルミニウムが用いられることが好ましい。すなわち、溶液調整工程は、ホウ素含有水に硫酸アルミニウムを添加して所望のイオン濃度を有する溶液を調整する工程であることが好ましい。硫酸アルミニウムは、常温では固体の塩(Al2(SO43・18H2O)であり、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンの定量を簡単に行うことができる。すなわち、ホウ素含有水に添加する添加量を容易に算出できる。また、硫酸アルミニウムが固体の塩であることから、イオン源の取り扱いが容易となる。具体的には、硫酸イオン源として硫酸を使用する場合には強酸であることからその取り扱いに多大な注意が必要となっている。
【0042】
なお、本発明の処理方法において硫酸イオンおよびアルミニウムイオンのイオン源として硫酸アルミニウムを用いることが好ましいが、その他の物質(たとえば、硫酸イオン源としての硫酸、アルミニウムイオン源としてのポリ塩化アルミニウム)を排除するものではない。
【0043】
硫酸アルミニウムは、ホウ素含有水に添加されたときにAl:Bの原子比が4〜9:1となるように添加されることが好ましい。また、溶液中のアルミニウムイオン濃度は6〜8mmol/Lであることが好ましい。アルミニウムイオン量がこれらの範囲内となることで、その後の工程において生成される汚泥の発生量を抑えながら、高いホウ素除去性能を発揮できるようになる。
【0044】
溶液調整工程において、ホウ素含有水中に9mmol/L以上の硫酸イオンが存在したときには、アルミニウムイオン源はポリ塩化アルミニウムが用いられることが好ましい。すなわち、ホウ素含有水中に十分な硫酸イオンが存在した場合には、アルミニウムイオン源として、硫酸イオンを含まないポリ塩化アルミニウム(Aln(OH)m・Cl3n-m)を用いることができる。
【0045】
硫酸イオン量およびアルミニウムイオン量の調整は、pH調節工程の前に行われることが好ましい。硫酸イオン量およびアルミニウムイオン量の調整がpH調節工程の前に行われることで、その後の析出工程において析出物を析出させることが可能となる。
【0046】
析出工程は、溶液のpHを11.0〜12.0に上昇させて析出物を析出させ、析出物にホウ素を共沈または吸着させて除去する工程である。析出工程において溶液のpHを上昇させることで、溶液中の各イオンがホウ素を含む沈降性の析出物を生成する。沈降性の析出物が生成されると、溶液中のホウ素が共沈または吸着される。
【0047】
析出工程において溶液のpHが11.2未満ではホウ素を含む沈降性の析出物が不足し、pHが11.5を超えると、溶液のpHが高くなり、ホウ素除去後の中和処理に要するコストが上昇する。このため、析出工程における溶液のpHは、11.2〜11.5であることが好ましい。
【0048】
析出工程は、溶液調整工程においてホウ素含有水に添加されたカルシウムの塩基性塩と異なる強塩基が溶液に添加される工程であることが好ましい。カルシウムの塩基性塩と異なる強塩基が溶液に添加されることで、溶液調製工程において調製された溶液のpHを所望のpHに上昇できる。強塩基は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0049】
析出工程が施された溶液に炭酸イオン源を添加してカルシウムイオンを沈殿させて除去するカルシウム除去工程を有することが好ましい。カルシウム除去工程において、溶液に炭酸塩を添加することで、溶液中のカルシウムイオンと炭酸イオンが炭酸カルシウムを生成し、溶液に沈殿する。この沈殿により溶液からカルシウムイオンを除去できるようになる。
【0050】
さらに、カルシウムイオン除去工程において溶液中に炭酸イオンを添加することで、生成した汚泥が凝集助剤としてはたらき、沈降性が増加する。この沈降性の増加により、析出工程において析出した析出物の除去が容易となる。
【0051】
溶液中に供給される炭酸イオンは、溶液中で炭酸イオンを形成できればよい。たとえば、炭酸塩や炭酸ガスを溶液中に供給することで炭酸イオンが得られる。炭酸イオンは、炭酸塩が電離してなることが好ましい。すなわち、固体形状を有し、その取り扱いおよび計量が容易な炭酸塩を用いることが好ましい。この炭酸塩は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0052】
カルシウム除去工程は、さらに高分子凝集剤を添加することが好ましい。カルシウム除去工程においてさらに高分子凝集剤を添加することで、沈降速度が増加し、沈降分離性が向上する。
【0053】
高分子凝集剤は、特に限定されるものではなく、従来公知の物質を用いることができる。高分子凝集剤としては、アニオン系高分子凝集剤を用いることが好ましい。
【0054】
本発明のホウ素含有水の処理方法において、ホウ素含有水は、廃棄物処分場の浸出水であることが好ましい。廃棄物処分場の浸出水は、多い場合には、20mg/L程度のホウ素を含有している。そして、本発明のホウ素含有水の処理方法は河川への排水基準値の10mg/L以下にまでホウ素の除去ができることから、本発明の処理方法により処理されたホウ素含有水は、河川へ放流することができる。すなわち、本発明の処理方法は、浸出水のホウ素を除去する処理方法として特に有効である。
【0055】
本発明のホウ素含有水の処理方法は、少量の薬剤添加により効率よくホウ素の除去ができる。また、本発明の処理方法は、処理時のpHを11.0〜11.5と低くすることができ、中和処理等の後処理に使用する薬剤量を少なくすることができる効果を有する。
【0056】
さらに、本発明のホウ素含有水の処理方法は、処理時のpHを11.0〜11.5と低くすることができる。このpH範囲は、通常のpH測定器でpHを測定できることから、処理時の制御が可能となる効果を有する。具体的には、通常のpH測定器は、pHが12を超える溶液の測定は困難であった。
【0057】
また、本発明のホウ素含有水の処理方法は、ホウ素含有水中のカルシウムイオン、硫酸イオンおよびアルミニウムイオン濃度およびpHにより処理条件が決定されるものであり、これらのイオン以外のイオンが含まれているホウ素含有水の処理を行うことができる。すなわち、ホウ素含有水の水質変動に対して高い安定性を有する効果を有する。
【0058】
(第二発明)
本発明のホウ素含有水の処理方法は、溶液調整工程と、析出工程と、吸着工程と、を有する。
【0059】
溶液調整工程は、ホウ素を含有したホウ素含有水から、25〜200mmol/Lのカルシウムイオンと、6〜30mmol/Lの硫酸イオンと、ホウ素とアルミニウムとの原子比Al:Bが1.7〜20:1のアルミニウムイオンと、を有しかつそのpHが10.5〜11.5の溶液を調整する工程である。溶液調整工程においてホウ素含有水からそれぞれのイオンを有する溶液を調整することで、その後の析出工程において析出物を析出させることが可能となる。
【0060】
溶液調整工程において調整される溶液のカルシウムイオン濃度は、25〜200mmol/Lの範囲内である。カルシウムイオン濃度が25mmol/L未満ではカルシウムイオンが存在する効果が十分でなく、本発明の処理方法のホウ素の除去性能が低下する。また、カルシウムイオン濃度が200mmol/Lを超えると、その後の工程において多量の沈殿物が生じ、この沈殿物の除去に多大なコストが必要となる。また、溶液のカルシウムイオン濃度が過大となると、ホウ素含有水からホウ素を除去した水溶液中にカルシウムイオンが多量に残存するようになる。現在、排水中のカルシウム量も規制されており、この残存カルシウムの処理が要求されている。すなわち、カルシウムの処理に多大なコストが必要となる。
【0061】
調整される溶液の硫酸イオンの濃度は、6〜30mmol/Lである。硫酸イオンの濃度が6mmol/L未満では硫酸イオン存在の効果が十分ではなく、本発明の処理方法のホウ素の除去性能が低下する。また、硫酸イオンの濃度が30mmol/Lを超えると、その後の工程において多量の汚泥が発生する。多量の汚泥の発生は、本発明の処理方法のホウ素の除去能力に影響を及ぼすものではないが、汚泥の分離等の処理に多大な工程がかかるようになるだけでなく、発生した汚泥自身の処分にコストがかかるようになる。すなわち、実用上の理由から、過剰の汚泥の発生は好ましくない。
【0062】
調整される溶液のアルミニウムイオンは、ホウ素とアルミニウムとの原子比Al:Bが1.7〜20:1である。アルミニウムイオンがホウ素との原子比で1未満となると、アルミニウムイオンが存在する効果が十分でなく、原子比が20を超えるとその後の工程において多量の沈殿が生じるようになる。
【0063】
本発明において溶液中のアルミニウムイオンとは、アルミニウムイオン(Al3+)のみを示すのではなく、アルミニウムイオン由来のイオンをも示す。アルミニウムイオン由来のイオンとは、たとえば、アルミン酸イオン(H2AlO3 -)をあげることができる。すなわち、アルミニウムの水酸化物は両性化合物であり、溶液のpHが高くなると過剰の水酸化物イオンと反応し、錯イオンを形成するためである。
【0064】
調整される溶液は、そのpHが10.5〜11.5の範囲内に調整される。溶液のpHがこの範囲内におさまることで、その後の工程において析出物の析出が可能となる。
【0065】
溶液調整工程は、ホウ素含有水中の各イオン濃度を測定し、所望のイオン濃度に不足したときには、各イオンを発生可能なイオン発生源をホウ素含有水に添加することが好ましい。すなわち、ホウ素含有水が所望のイオン濃度を充足しているときには、そのイオン濃度の調節のために特別な処理を必要としない。
【0066】
溶液調整工程において、ホウ素含有水中の各イオン濃度の調節および所望のpHの調節は、同時に行っても、順次行っても、どちらでもよい。
【0067】
溶液調整工程は、ホウ素含有水中の各イオン濃度を調節した後にpHを所定のpHに調節する工程であることが好ましい。すなわち、各イオン濃度を調節した後にホウ素含有水のpHを所定のpHに調節することで、所望の濃度で各イオンを含有しかつpHが調整された溶液を調整できる。pHを調整した後に各イオン濃度の調整が行われたときには、pHの変動が生じるようになり、所望のpHを有する溶液が得られなくなる。
【0068】
溶液調整工程は、ホウ素含有水のカルシウムイオン濃度を調節するカルシウム量調節工程と、カルシウム量調節工程においてカルシウムイオン濃度が調節されたホウ素含有水のpHを所定のpHに調節するpH調節工程と、を有することが好ましい。
【0069】
カルシウム量調節工程は、ホウ素含有水中のカルシウムイオン量を測定し、ホウ素含有水中のカルシウムイオン量が所望のカルシウムイオン量に不足したときには、カルシウムの中性塩をホウ素含有水に添加することが好ましい。カルシウムの中性塩は、ホウ素含有水のpHの上昇を抑えた状態でカルシウムイオン量を増加させることができる。カルシウムの中性塩は、塩化カルシウムであることが好ましい。
【0070】
pH調節工程は、カルシウムの塩基性塩をホウ素含有水中に添加することが好ましい。カルシウムの塩基性塩をホウ素含有水に添加することで、ホウ素含有水のpHを上昇させることができる。カルシウムの塩基性塩は、水酸化カルシウムであることが好ましい。
【0071】
溶液調整工程は、少なくともカルシウムの中性塩およびカルシウムの塩基性塩を前記ホウ素含有水に添加することが好ましい。
【0072】
溶液調整工程は、ホウ素含有水中の硫酸イオン量を測定し、ホウ素含有水中の硫酸イオン量が所望の硫酸イオン量に不足したときには、硫酸イオン源をホウ素含有水に添加することが好ましい。硫酸イオン源としては、ホウ素含有水に添加されたときに硫酸イオンを生じさせることができる物質であれば特に限定されない。
【0073】
溶液調整工程は、硫酸イオン濃度が9〜12mmol/Lの溶液を調整することが好ましい。すなわち、溶液調整工程において調整される溶液の硫酸イオン濃度が9〜12mmol/Lに調整されることで、本発明の処理方法は、より高いホウ素除去性能が得られる。
【0074】
溶液調整工程は、ホウ素含有水中のアルミニウムイオン量を測定し、ホウ素含有水中のアルミニウムイオン量が所望のアルミニウムイオン量に不足したときには、アルミニウムイオン源をホウ素含有水に添加することが好ましい。アルミニウムイオン源としては、ホウ素含有水に添加されたときにアルミニウムイオンを生じさせることができる物質であれば特に限定されない。
【0075】
アルミニウムイオン源および硫酸イオン源として、硫酸アルミニウムが用いられることが好ましい。すなわち、溶液調整工程は、ホウ素含有水に硫酸アルミニウムを添加して所望のイオン濃度を有する溶液を調整する工程であることが好ましい。硫酸アルミニウムは、常温では固体の塩(Al2(SO43・18H2O)であり、アルミニウムイオンおよび硫酸イオンの定量を簡単に行うことができる。すなわち、ホウ素含有水に添加する添加量を容易に算出できる。また、硫酸アルミニウムが固体の塩であることから、イオン源の取り扱いが容易となる。具体的には、硫酸イオン源として硫酸を使用する場合には強酸であることからその取り扱いに多大な注意が必要となっている。
【0076】
なお、本発明の処理方法において硫酸イオンおよびアルミニウムイオンのイオン源として硫酸アルミニウムを用いることが好ましいが、その他の物質(たとえば、硫酸イオン源としての硫酸、アルミニウムイオン源としてのポリ塩化アルミニウム)を排除するものではない。
【0077】
硫酸アルミニウムは、ホウ素含有水に添加されたときにAl:Bの原子比が4〜9:1となるように添加されることが好ましい。また、溶液中のアルミニウムイオン濃度は6〜8mmol/Lであることが好ましい。アルミニウムイオン量がこれらの範囲内となることで、その後の工程において生成される汚泥の発生量を抑えながら、高いホウ素除去性能を発揮できるようになる。
【0078】
溶液調整工程において、ホウ素含有水中に9mmol/L以上の硫酸イオンが存在したときには、アルミニウムイオン源はポリ塩化アルミニウムが用いられることが好ましい。すなわち、ホウ素含有水中に十分な硫酸イオンが存在した場合には、アルミニウムイオン源として、硫酸イオンを含まないポリ塩化アルミニウム(Aln(OH)m・Cl3n-m)を用いることができる。
【0079】
硫酸イオン量およびアルミニウムイオン量の調整は、pH調節工程の前に行われることが好ましい。硫酸イオン量およびアルミニウムイオン量の調整がpH調節工程の前に行われることで、その後の析出工程において析出物を析出させることが可能となる。
【0080】
析出工程は、溶液のpHを11.0〜12.0に上昇させて析出物を析出させ、析出物にホウ素を共沈または吸着させて除去する工程である。析出工程において溶液のpHを上昇させることで、溶液中の各イオンがホウ素を含む沈降性の析出物を生成する。沈降性の析出物が生成されると、溶液中のホウ素が共沈または吸着される。
【0081】
析出工程において溶液のpHが11.2未満ではホウ素を含む沈降性の析出物が不足し、pHが11.5を超えると、溶液のpHが高くなり、ホウ素除去後の中和処理に要するコストが上昇する。このため、析出工程における溶液のpHは、11.2〜11.5であることが好ましい。
【0082】
析出工程は、溶液調整工程においてホウ素含有水に添加されたカルシウムの塩基性塩と異なる強塩基が溶液に添加される工程であることが好ましい。カルシウムの塩基性塩と異なる強塩基が溶液に添加されることで、溶液調製工程において調製された溶液のpHを所望のpHに上昇できる。強塩基は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0083】
吸着工程は、高分子吸着剤により溶液中に残存するホウ素を吸着する工程である。高分子吸着剤により溶液中に残存するホウ素を吸着除去することで、本発明の処理方法は、ホウ素含有水からホウ素を完全に除去できる。吸着工程は、溶液中に残存するホウ素を吸着除去する工程であれば限定されるものではなく、従来公知の高分子吸着剤を用いて処理する工程であることが好ましい。吸着工程において用いられる高分子吸着剤も限定されることなく、ホウ素を吸着できる従来公知の吸着剤を用いることができる。吸着剤としては、たとえば、キレート樹脂やイオン交換樹脂をあげることができる。
【0084】
析出工程が施された溶液に炭酸イオン源を添加してカルシウムイオンを沈殿させて除去するカルシウム除去工程を有することが好ましい。すなわち、溶液に炭酸塩を添加することで、溶液中のカルシウムイオンと炭酸イオンが炭酸カルシウムを生成し、溶液に沈殿する。この沈殿により溶液からカルシウムイオンを除去できるようになる。
【0085】
さらに、カルシウムイオン除去工程において溶液中に炭酸イオンを添加することで、生成した汚泥が凝集助剤としてはたらき、沈降性が増加する。この沈降性の増加により、析出工程において析出した析出物の除去が容易となる。
【0086】
溶液中に供給される炭酸イオンは、溶液中で炭酸イオンを形成できればよい。たとえば、炭酸塩や炭酸ガスを溶液中に供給することで炭酸イオンが得られる。炭酸イオンは、炭酸塩が電離してなることが好ましい。すなわち、固体形状を有し、その取り扱いおよび計量が容易な炭酸塩を用いることが好ましい。この炭酸塩は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0087】
カルシウム除去工程は、吸着工程の前に施されることが好ましい。すなわち、カルシウム除去工程が吸着工程以前に施されることで、吸着工程において溶液中の残存イオンの影響を抑えることができる。
【0088】
カルシウム除去工程は、さらに高分子凝集剤を添加することが好ましい。カルシウム除去工程においてさらに高分子凝集剤を添加することで、沈降速度が増加し、沈降分離性が向上する。
【0089】
高分子凝集剤は、特に限定されるものではなく、従来公知の物質を用いることができる。高分子凝集剤としては、アニオン系高分子凝集剤を用いることが好ましい。
【0090】
本発明のホウ素含有水の処理方法において、ホウ素含有水は、廃棄物処分場の浸出水であることが好ましい。廃棄物処分場の浸出水は、多い場合には、20mg/L程度のホウ素を含有している。そして、本発明のホウ素含有水の処理方法は河川への排水基準値の10mg/L以下にまでホウ素の除去ができることから、本発明の処理方法により処理されたホウ素含有水は、河川へ放流することができる。すなわち、本発明の処理方法は、浸出水のホウ素を除去するより確実な処理方法として特に有効である。
【0091】
本発明のホウ素含有水の処理方法は、少量の薬剤添加により効率よくホウ素の除去ができる。また、本発明の処理方法は、処理時のpHを11.0〜11.5と低くすることができ、中和処理等の後処理に使用する薬剤量を少なくすることができる効果を有する。
【0092】
さらに、本発明のホウ素含有水の処理方法は、処理時のpHを11.0〜11.5と低くすることができる。このpH範囲は、通常のpH測定器でpHを測定できることから、処理時の制御が可能となる効果を有する。具体的には、通常のpH測定器は、pHが12を超える溶液の測定は困難であった。
【0093】
また、本発明のホウ素含有水の処理方法は、ホウ素含有水中のカルシウムイオン、硫酸イオンおよびアルミニウムイオン濃度およびpHにより処理条件が決定されるものであり、これらのイオン以外のイオンが含まれているホウ素含有水の処理を行うことができる。すなわち、ホウ素含有水の水質変動に対して高い安定性を有する効果を有する。
【0094】
本発明のホウ素含有水の処理方法は、溶液調整工程および析出工程においてホウ素含有水中のホウ素が除去された溶液に、さらに吸着剤によるホウ素の除去が行われる。このため、析出工程までの工程において除去されなかった溶液中のホウ素を完全に除去できる。さらに、本発明のホウ素含有水の処理方法は、従来の吸着剤によりホウ素を除去する処理方法と比較して、吸着剤に吸着されるホウ素量が少ないため、吸着剤の寿命が延びる効果を有する。
【0095】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0096】
本発明の実施例として、廃棄物処分場の浸出水からホウ素の除去を行った。
【0097】
廃棄物処分場の浸出水は、ホウ素、カルシウムイオンおよび硫酸イオンを含有している。各実施例において浄化された浸出水の組成を表1に示した。
【0098】
【表1】
Figure 0004210509
【0099】
表1並びに後述の表3、4において、B量を測定する測定方法は、アゾメチンH法についてはJIS K 0120 47.2に規定された方法を、ICP法についてはJIS K 0120 47.3に規定された方法を用いた。なお、マンニトール法については、下記の手順により行われた。
【0100】
(マンニトール法)
1. 測定される試料溶液を200mL分取する。試料溶液に着色や濁りが確認される場合には、前処理を施した後に分取を行う。
【0101】
2. 指示薬(BTBとPRの混合)15滴を滴下した後に、6NのHCl水溶液を滴下して試料溶液のpHが2以下とする。
【0102】
3. 湯浴により10分間加熱した後に湯浴から取りだし、アスピレーターに接続する。アスピレーターにより減圧し、減圧沸騰させる。減圧沸騰は、液が冷却し、ときどき気泡が発生する程度になったときに終了する。この減圧沸騰により試料溶液中のCO2を除去した。
【0103】
4. 中和剤(5NのNaOH水溶液、0.1NのNaOH水溶液、0.1NのHCl水溶液)を用いて中和する。このとき、中和剤の使用量は、測定誤差の発生を抑えるためにできる限り少なくする。
【0104】
5. マンニトール約5gを添加する。マンニトールの添加は、空気中のCO2の溶解を抑えるために、空気が巻き込まれないように行われる。
【0105】
6. 0.05NのNaOH標準液を用いて中和滴定を行う。滴定後、さらに、マンニトール5gを添加して、試料溶液の変色が生じないことを確認した。マンニトールの追加により試料溶液の変色が確認されたときには、再度0.05NのNaOH標準液を用いて中和滴定を行った。なお、本工程において中和滴定に用いられた0.05NのNaOH標準液量を測定しておく。
【0106】
なお、4.以降の手順においては、空気中のCO2の溶解を抑えるために、迅速に行うことが求められる。
【0107】
以上の手順により、分析を行い、下記の数1式により試料溶液中のホウ酸量を求めた。
【0108】
【数1】
Figure 0004210509
【0109】
なお、数1中のfは、0.05NのNaOHのfactorを示す。
【0110】
また、上記マンニトール法において行われる前処理は、三宅泰雄、北野康,新水質化学分析法,地人書館,平成3年第5刷のp176に記載の方法である。
【0111】
(実施例1)
浸出水を1L分取して試料溶液とした。
【0112】
攪拌した状態の試料溶液に、3mol/LのCaCl2水溶液を6mL(Ca換算18mmol)添加した。CaCl2水溶液の添加後の試料溶液のカルシウムイオン濃度は、計算上37mmol/Lとなる。つづいて、試料溶液に1mol/LのAl2(SO43水溶液を4mL(Al換算8mmol、SO4換算12mmol)を添加した。Al2(SO43水溶液の添加後の試料溶液の硫酸イオン濃度は計算上12.4mmol/Lであり、アルミニウムイオンとホウ素との原子比Al:Bが7.4:1であった。その後、試料溶液中にCa(OH)21.8g(24.3mmol)を添加した。Ca(OH)2の添加により試料溶液のpHは、11.11に上昇した。
【0113】
各塩の試料溶液への添加量および添加後の試料溶液のpHを表2に示した。
【0114】
【表2】
Figure 0004210509
【0115】
つづいて、試料溶液に1NのNaOH水溶液を6mL滴下した。滴下直後の試料溶液のpHは、11.30であった。NaOH水溶液が滴下された試料溶液は攪拌された。この攪拌時に、試料溶液中に析出物が析出するとともに試料溶液のpHの低下が確認された。試料溶液のpHは、12分間の攪拌後には10.82にまで減少した。このとき、試料溶液中には1597mg/L(40mmol/L)のカルシウムイオンが存在していた。
【0116】
そして、試料溶液に100g/LのNa2CO3水溶液を40mL添加し、攪拌した。5分間攪拌した後に、アニオン系高分子凝集剤(三共化成工業株式会社製、商品名:サンポリー305)の0.1%水溶液を3mL添加した。凝集剤の添加後、3分間試料溶液を攪拌した。このときの攪拌速度は、上記各攪拌よりも緩速で行われた。攪拌後の試料溶液のpHは、11.08であった。
【0117】
また、攪拌後に試料溶液を静置したところ、試料溶液中に汚泥が生じ、沈降した。60分後に溶液中の汚泥の沈降量を測定したところ、およそ20vol%であった。すなわち、試料溶液に占める上澄みの液量は、80vol%となっていた。
【0118】
なお、試料溶液中のアルミニウムイオン濃度が低くなると、汚泥の発生量が減少してホウ素の除去性能が低下するだけでなく、発生した汚泥の沈降性が悪くなる。そして、アルミニウムイオン濃度がAl:Bの原子比で1:1にまで減少すると、汚泥の発生量が少ないため汚泥の沈降性がかなり低下する。実施例1と同様の1時間経過後の汚泥の沈降量は、60%以上を示し、汚泥の分離が困難になっている。また、アルミニウムイオン濃度が高くなると汚泥の発生量が増加する。
【0119】
汚泥の沈降量の測定は、容器の深さに対する汚泥の厚さを目視により確認することでなされた。そして、汚泥の沈降量が小さくなるほど、沈降性が高いことを示す。汚泥の沈降性が高くなると、汚泥と上澄み液との分離性が高くなる(汚泥の除去が容易となる)。
【0120】
そして、試料溶液から汚泥を除去した処理水(上述の上澄み液)の水質を測定した。測定結果を表3に示した。
【0121】
【表3】
Figure 0004210509
【0122】
なお、表3において、処理水中のB量については、希釈効果補正を行った値を示した。
【0123】
表3より、実施例1においては、11.7から3(mg/L)未満へとBの含有量が大きく減少している。すなわち、実施例1の処理方法は、すぐれたB除去能力を発揮したことがわかる。なお、表3においてB量の測定結果が3未満となっている点については、一般にマンニトール法では3mg/L未満の結果の信頼性が低い(低濃度ほど信頼性が低くなる)ことが知られているため、B量の測定結果で3未満の値が得られたものについては表3において3未満と記載した。
【0124】
(実施例2)
実施例1において浄化された浸出水と同様の浸出水を1L分取し、1000ppmでBO3−Bを含有したホウ酸溶液を40mL添加して試料溶液とした。本実施例の試料溶液は、Bの含有量が49.7(mg/L)となった。
【0125】
まず、5NのNaOH水溶液を1滴滴下して試料溶液を中和した。この中和により試料溶液のpHは、5.32から6.53に上昇した。
【0126】
つづいて、攪拌した状態の試料溶液に、3mol/LのCaCl2水溶液を6mL(Ca換算18mmol)添加した。CaCl2水溶液の添加後の試料溶液のカルシウムイオン濃度は、計算上37mmol/Lであった。つづいて、試料溶液に1mol/LのAl2(SO43水溶液を4mL(Al換算8mmol、SO4換算12mmol)を添加した。Al2(SO43水溶液の添加後の試料溶液の硫酸イオン濃度は計算上12.4mmol/Lであり、アルミニウムイオンをホウ素との原子比が1.7:1であった。その後、試料溶液中にCa(OH)21.8g(2.43mmol)を添加した。Ca(OH)2の添加により試料溶液のpHは、11.03に上昇した。
【0127】
各塩の試料溶液への添加量および添加後の試料溶液のpHを表2にあわせて示した。
【0128】
その後、5NのNaOH水溶液3mLを試料溶液に滴下した。滴下直後の試料溶液のpHは、11.58であった。NaOH水溶液が滴下された試料溶液は攪拌された。この攪拌時に、試料溶液中に析出物が析出するとともに試料溶液のpHの低下が確認された。試料溶液のpHは、25分間の攪拌後には11.46にまで減少した。
【0129】
そして、試料溶液に100g/LのNa2CO3水溶液を40mL添加し、攪拌した。5分間攪拌した後に、実施例1と同様のアニオン系高分子凝集剤の0.1%水溶液を3mL添加した。凝集剤の添加後、3分間試料溶液を攪拌した。このときの攪拌速度は、上記各攪拌よりも緩速で行われた。攪拌後の試料溶液のpHは、11.53であった。
【0130】
また、攪拌後に試料溶液を静置したところ、試料溶液中に汚泥が生じ、沈降した。60分後に溶液中の沈降した汚泥の体積を測定したところ、およそ15vol%であった。
【0131】
そして、試料溶液から汚泥を除去した処理水の水質を測定した。測定結果を表3にあわせて示した。
【0132】
表3より、実施例2においては、16.5mgという多量のBが除去された。実施例2の処理方法は、高濃度でホウ素を含有した排水の浄化においても、すぐれたB除去能力を発揮している。
【0133】
(実施例3)
実施例3の試料溶液として浸出水を1L分取した。
【0134】
試料溶液を攪拌した状態で、1mol/LのAl2(SO43水溶液を4mL(Al換算8mmol、SO4換算12mmol)を添加した。Al2(SO43水溶液の添加後の試料溶液の硫酸イオン濃度は計算上12.5mmol/Lであり、アルミニウムイオンをホウ素との原子比が7.0:1であった。その後、4mol/LのCa(OH)2水溶液と3mol/LのCaCl2水溶液の等体積混合溶液を12.5mL試料溶液に滴下して攪拌した。10分後の試料溶液のpHが10.55であった。そしてさらに、この混合溶液を2.5mL添加した。10分間の攪拌後の試料溶液のpHは、11.04であった。
【0135】
各塩の試料溶液への添加量および添加後の試料溶液のpHを表2にあわせて示した。
【0136】
つづいて、5NのNaOH水溶液を2mL滴下した。滴下直後の試料溶液のpHは、11.66であった。NaOH水溶液が滴下された試料溶液は攪拌された。試料溶液のpHは、10分間の攪拌後には11.66と変化がなかった。
【0137】
そして、試料溶液に実施例1と同様のアニオン系高分子凝集剤の0.1%水溶液をを2mL添加した。凝集剤の添加後、5分間試料溶液を攪拌した。このときの攪拌速度は、上記各攪拌よりも緩速で行われた。攪拌後の試料溶液のpHは、11.65であった。
【0138】
また、攪拌後に試料溶液を静置したところ、試料溶液中に汚泥が生じ、沈降した。60分後に溶液中の沈降した汚泥の体積を測定したところ、およそ10vol%であった。
【0139】
そして、試料溶液から汚泥を除去した処理水の水質を測定した。測定結果を表3にあわせて示した。
【0140】
表3より、実施例3においては、12.3から3(mg/L)未満へとBの含有量が大きく減少している。実施例3の処理方法は、試料溶液へのCa(OH)2およびCaCl2の添加を、両者の混合溶液として行っている。実施例3の処理方法は、カルシウムイオンの添加が同時に行われても、すぐれたB除去能力を有することがわかる。
【0141】
(実施例4)
実施例4の試料溶液として浸出水を1L分取した。
【0142】
試料溶液を攪拌した状態で、6.47mol/L(48%)のH2SO4水溶液2mLを試料溶液に滴下した。H2SO4水溶液の滴下後の試料溶液中の硫酸イオン濃度は計算上13.4mmol/Lであった。そして、3mol/LのCaCl2水溶液6mLを試料溶液に滴下した。CaCl2水溶液の滴下により、試料溶液のカルシウムイオン濃度は計算上37mmol/Lとなった。つづいて、ポリ塩化アルミニウム(PAC)水溶液4mLを滴下した。ここで、PAC水溶液は、Alを2mol/L、Clを3mol/Lで含有している。PAC水溶液の滴下後の試料溶液のアルミニウムイオン濃度は計算上8mmol/Lであり、アルミニウムイオンをホウ素との原子比が7.0:1であった。その後、Ca(OH)22.5gを試料溶液に添加した。Ca(OH)2添加10分後の試料溶液のpHは、10.51であった。
【0143】
各塩の試料溶液への添加量および添加後の試料溶液のpHを表2にあわせて示した。
【0144】
つづいて、5NのNaOH水溶液を2mL滴下した。滴下直後の試料溶液のpHは、11.37であった。NaOH水溶液が滴下された試料溶液は攪拌された。この攪拌により試料溶液中に析出物が析出するとともに試料溶液のpHが低下した。試料溶液のpHは、10分間の攪拌後には11.25にまで減少した。
【0145】
そして、試料溶液に100g/LのNa2CO3水溶液を40mL添加し、攪拌した。5分間攪拌した後に、実施例1と同様のアニオン系高分子凝集剤の0.1%水溶液を2mL添加した。凝集剤の添加後、3分間試料溶液を攪拌した。このときの攪拌速度は、上記各攪拌よりも緩速で行われた。攪拌後の試料溶液のpHは、11.23であった。
【0146】
また、攪拌後に試料溶液を静置したところ、試料溶液中に汚泥が生じ、沈降した。60分後に溶液中の沈降した汚泥の体積を測定したところ、およそ10vol%であった。
【0147】
そして、試料溶液から汚泥を除去した処理水の水質を測定した。測定結果を表3にあわせて示した。
【0148】
表3より、実施例4においては、12.3から3(mg/L)未満へとBの含有量が大きく減少している。実施例4の処理方法は、試料溶液へのAl3+およびSO4 2-の添加を、Al2(SO43ではなく硫酸およびPAC溶液として行っている。実施例4の処理方法は、アルミニウムイオン源および硫酸イオン源が異なっていても、すぐれたB除去能力を有することがわかる。
【0149】
(実施例5)
実施例5の試料溶液として浸出水を1L分取した。
【0150】
攪拌した状態の試料溶液に、1mol/LのAl2(SO43水溶液を3mL(Al換算6mmol、SO4換算9mmol)を添加した。Al2(SO43水溶液の添加後の試料溶液の硫酸イオン濃度は計算上9.5mmol/Lであり、アルミニウムイオンをホウ素との原子比が5.0:1であった。その後、試料溶液中にCa(OH)21.7g(2.30mmol)を添加した。Ca(OH)2の添加により試料溶液のpHは、10.66に上昇した。
【0151】
各塩の試料溶液への添加量および添加後の試料溶液のpHを表2にあわせて示した。
【0152】
つづいて、試料溶液に5NのNaOH水溶液を1mL滴下した。滴下直後の試料溶液のpHは、11.31であった。NaOH水溶液が滴下された試料溶液は攪拌された。この攪拌時に、試料溶液中に析出物が析出するとともに試料溶液のpHの低下が確認された。試料溶液のpHは、30分間の攪拌後には10.68にまで減少した。
【0153】
そして、試料溶液に3.5gのNa2CO3を添加し、攪拌した。10分間攪拌した後に、実施例1と同様のアニオン系高分子凝集剤の0.1%水溶液を2mL添加した。凝集剤の添加後、5分間試料溶液を攪拌した。このときの攪拌速度は、上記各攪拌よりも緩速で行われた。攪拌後の試料溶液のpHは、10.59であった。
【0154】
また、攪拌後に試料溶液を静置したところ、試料溶液中に汚泥が生じ、沈降した。60分後に溶液中の沈降した汚泥の体積を測定したところ、およそ12vol%であった。
【0155】
そして、試料溶液から汚泥を除去した処理水の水質を測定した。測定結果を表3にあわせて示した。
【0156】
表3より、実施例5においては、12.8から3(mg/L)未満へとBの含有量が大きく減少している。しかしながら、実施例5の処理方法は、浸出水が多量のカルシウムイオンを含有していたため、試料溶液へのカルシウムイオンの添加は水酸化カルシウムのみで行われた。すなわち、浸出水に十分なカルシウムイオンが存在しているときには、pHの調節のための水酸化カルシウムの添加のみでも、本発明の処理方法がすぐれたB除去能力を有することがわかる。そして、実施例5において発生した汚泥の乾燥重量は、5.6gであった。
【0157】
(比較例1)
比較例1の試料溶液として浸出水を1L分取した。
【0158】
試料溶液に、2.8gの消石灰と、Al2(SO43が340g/Lで含まれるように調整された(1mol/L)硫酸バンド水溶液4mLと、を添加し、攪拌した。
【0159】
その後、実施例1と同様のアニオン系高分子凝集剤の0.1%水溶液を2mL添加した。凝集剤の添加後、2分間試料溶液を攪拌した。そして、攪拌後に試料溶液を静置したところ、試料溶液中に汚泥が生じ、沈降した。
【0160】
そして、試料溶液から汚泥を除去した処理水の水質を測定した。測定結果を表3にあわせて示した。
【0161】
表3より、比較例1においては、1.6(mg/L)とBの除去量は小さかった。
【0162】
(比較例2)
比較例2の試料溶液として浸出水を1L分取した。
【0163】
試料溶液に、2.8gの消石灰と、Al2(SO43が340g/Lで含まれるように調整された(1mol/L)硫酸バンド水溶液4mLと、を添加し、攪拌した。
【0164】
つづいて、5NのNaOH水溶液を2mL添加して、試料溶液のpHを11.60から11.98に上昇させた。
【0165】
その後、実施例1と同様のアニオン系高分子凝集剤の0.1%水溶液を2mL添加した。凝集剤の添加後、2分間試料溶液を攪拌した。そして、攪拌後に試料溶液を静置したところ、試料溶液中に汚泥が生じ、沈降した。
【0166】
そして、試料溶液から汚泥を除去した処理水の水質を測定した。測定結果を表3にあわせて示した。
【0167】
表3より、比較例2においては、5.1(mg/L)とBの除去量は小さかった。比較例2は、消石灰と硫酸バンドのを添加した後に試料溶液のpHをおよそ12まで上昇させたが、十分なB除去性能を発揮できなかった。
【0168】
(比較例3)
比較例3の試料溶液として浸出水を1L分取した。
【0169】
攪拌した状態の試料溶液に、5.6gの消石灰(Ca(OH)2)を添加した。消石灰の添加後の試料溶液のpHは12.30であった。その後、試料溶液中にAl2(SO43が340g/Lで含まれるように調整された(1mol/L)硫酸バンド水溶液8mL(Al換算16mmol、SO4換算24mmol)を添加した。硫酸バンドの添加後の水溶液のアルミニウムイオン濃度は16mmol/Lであり、アルミニウムイオンとホウ素との原子比が12.0:1であった。また、硫酸バンドの添加後の溶液のpHは12.11になった。
【0170】
各塩の試料溶液への添加量および添加後の試料溶液のpHを表2にあわせて示した。
【0171】
その後、実施例1と同様のアニオン系高分子凝集剤の0.1%水溶液を2mL添加した。凝集剤の添加後、試料溶液を攪拌した。そして、攪拌後に試料溶液を静置したところ、試料溶液中に汚泥が生じ、沈降した。
【0172】
そして、試料溶液から汚泥を除去した処理水の水質を測定した。測定結果を表3にあわせて示した。
【0173】
表3より、比較例3においては、14.6から0.4(mg/L)へとBの含有量が減少している。しかしながら、比較例3においては、試料溶液のpHを12.11にまで上昇させる必要があり、試料溶液の取り扱いに問題が生じていた。さらに、12を超える高pH溶液は、装置に腐食を生じさせるという問題を有していた。加えて、比較例3は、多量の汚泥が発生するという問題もあった。
【0174】
実施例および比較例から、本発明の処理方法を用いた実施例1〜5においては、廃棄物処分場の浸出水に含まれるホウ素を高い除去性能で除去できたことがわかる。
【0175】
対して、従来の凝集沈殿処理方法を用いた比較例1〜3においては、浸出水に含まれるホウ素の除去効果が低かったり、ホウ素を除去できたとしても高コストになる、あるいは試料溶液のpHが高くなり取り扱いの困難さや装置の腐食という問題があった。さらに、比較例1〜3においては、多量の汚泥が発生するという問題があった。
【0176】
(他の形態)
実施例1〜5において処理された試料溶液に、イオン交換樹脂よりなる高分子吸着剤により残存するホウ素を吸着させる処理を施すと、ホウ素の除去効果が上昇する。
【0177】
この形態の処理方法においては、イオン交換樹脂に捕捉されるホウ素量が少なくなっているため、イオン交換樹脂の寿命が延びる効果を有する。さらに、イオン交換樹脂の再生処理のサイクルがのびるため、イオン交換樹脂に要するコストを削減できる効果を示す。
【0178】
(実施例6)
実施例6として、廃棄物処分場の浸出水のホウ素除去を実機を用いて行った。
【0179】
本実施例においては、廃棄物処分場の浸出水からカルシウムの除去に用いられている施設が用いられた。
【0180】
浸出水は、表4に示した特性を有している。
【0181】
【表4】
Figure 0004210509
【0182】
浸出水は、計量槽に9.3m3/hの流量で計量槽に流れ込んでいる。そして、計量槽には、2.9mol/LのCaCl2水溶液が1.05〜1.09L/minの流量で注入されている。
【0183】
流れ込んだ浸出水により計量槽からあふれたCaCl2水溶液が混合した浸出水は、反応槽(内容積:1.85m3)に流れ込む。反応槽には、CaCl2水溶液が応槽に貯留される溶液中で回転して攪拌する攪拌羽根がもうけられており、反応槽に流れ込んだ浸出水は攪拌されている。
【0184】
攪拌羽根が回転している反応槽には、300g/L(4mol/L)のCa(OH)2水溶液が0.8〜1.06L/minの流量で、1mol/L(26wt%水溶液)のAl2(SO43水溶液が0.65L/minの流量で、25wt%NaOH水溶液が220mL/minの流量で、流入している。
【0185】
反応槽における浸出水の特性を表4にあわせて示した。また、反応槽中への各塩の添加量および添加後の試料溶液のpHを表2にあわせて示した。
【0186】
その後、反応槽からあふれた浸出水は、凝集槽(内容積:2.66m3)に流れ込む。凝集槽にも、反応槽と同様に攪拌羽根がもうけられており、凝集槽に流れ込んだ浸出水は攪拌されている。
【0187】
攪拌羽根が回転している凝集槽には、100g/LのNa2CO3水溶液が6.6L/minの流量で流入している。
【0188】
凝集槽における浸出水の特性を表4にあわせて示した。
【0189】
その後、凝集槽からあふれた浸出水は、フロック形成槽(内容積:5.73m3)に流れ込む。フロック形成槽にも、反応槽と同様に攪拌羽根がもうけられており、フロック形成槽に流れ込んだ浸出水は攪拌されている。
【0190】
攪拌羽根が回転しているフロック形成槽には、実施例1と同様のアニオン系高分子凝集剤の0.1%水溶液が300mL/minの流量で流入している。
【0191】
フロック形成槽における浸出水の特性を表4にあわせて示した。
【0192】
フロック形成槽からあふれた浸出水は、沈殿槽に流入し、沈殿槽で汚泥が沈殿された。
【0193】
実施例6において、計量槽から凝集槽にかけての処理により、浸出水中のBを除去できたことがわかる。そして、実施例6は、フロック形成槽および沈殿槽において汚泥を除去する。実施例6の処理方法は、浸出水に含まれるホウ素を高効率で除去できる。また、実施例6において処理された浸出水の汚泥が除去された上澄み液は、ホウ素濃度が河川放流基準値(10mg/L)以下となっているため、放流可能となっている。
【0194】
さらに、実施例6は、廃棄物処分場の既存の施設を用いてホウ素除去を行っている。このことは、廃棄物処分場において本発明の処理方法を実施するにあたって、特別な設備の増設を必要としないことを示す。すなわち、安価にホウ素の除去を行うことが可能となることを示している。
【0195】
【発明の効果】
本発明のホウ素含有水の処理方法は、少量の薬剤添加により効率よくホウ素の除去ができる。また、本発明の処理方法は、処理時のpHを11.0〜12.0と低くすることができ、中和処理等の後処理に使用する薬剤量を少なくすることができる効果を有する。
【0196】
また、本発明のホウ素含有水の処理方法は、ホウ素含有水中のカルシウムイオン、硫酸イオンおよびアルミニウムイオン濃度およびpHにより処理条件が決定されるものであり、これらのイオン以外のイオンが含まれているホウ素含有水の処理を行うことができる。すなわち、ホウ素含有水の水質変動に対して高い安定性を有する効果を有する。
【0197】
本発明のホウ素含有水の処理方法は、溶液調整工程および析出工程においてホウ素含有水中のホウ素が除去された溶液に、さらに吸着剤によるホウ素の除去を行うことで、ホウ素を完全に除去できる。さらに、本発明のホウ素含有水の処理方法は、従来の吸着剤によりホウ素を除去する処理方法と比較して、吸着剤に吸着されるホウ素量が少ないため、吸着剤の寿命が延びる効果を有する。

Claims (8)

  1. ホウ素を含有したホウ素含有水から、25〜200mmol/lのカルシウムイオンと、6〜30mmol/lの硫酸イオンと、ホウ素との原子比Al:Bが1.7〜20:1のアルミニウムイオンと、を有しかつそのpHが10.5〜11.5の溶液を調整する溶液調整工程と、
    該溶液のpHを11.0〜12.0に上昇させて析出物を析出させ、該析出物に該ホウ素を共沈、共析または吸着させて除去する析出工程と、
    を有することを特徴とするホウ素含有水の処理方法。
  2. 前記溶液調整工程は、少なくともカルシウムの中性塩およびカルシウムの塩基性塩を前記ホウ素含有水に添加する請求項1記載のホウ素含有水の処理方法。
  3. 前記析出工程は、前記溶液調整工程において前記ホウ素含有水に添加されたカルシウムの塩基性塩と異なる強塩基が前記溶液に添加される請求項1または2記載のホウ素含有水の処理方法。
  4. 前記析出工程が施された溶液に炭酸イオン源を添加してカルシウムイオンを沈殿させて除去するカルシウム除去工程を有する請求項1〜3のいずれかに記載のホウ素含有水の処理方法。
  5. ホウ素を含有したホウ素含有水から、25〜200mmol/Lのカルシウムイオンと、6〜30mmol/Lの硫酸イオンと、ホウ素とアルミニウムとの原子比Al:Bが1.7〜20:1のアルミニウムイオンと、を有しかつそのpHが10.5〜11.5の溶液を調整する溶液調整工程と、
    該溶液のpHを11.0〜12.0に上昇させて析出物を析出させ、該析出物に該ホウ素を共沈、共析または吸着させて除去する析出工程と、
    高分子吸着剤により該溶液中に残存するホウ素を吸着する吸着工程と、
    を有することを特徴とするホウ素含有水の処理方法。
  6. 前記溶液調整工程は、少なくともカルシウムの中性塩およびカルシウムの塩基性塩を前記ホウ素含有水に添加する請求項5記載のホウ素含有水の処理方法。
  7. 前記析出工程は、前記溶液調整工程において前記ホウ素含有水に添加されたカルシウムの塩基性塩と異なる強塩基が前記溶液に添加される請求項5または6記載のホウ素含有水の処理方法。
  8. 前記析出工程が施された溶液に炭酸イオン源を添加してカルシウムイオンを沈殿させて除去するカルシウム除去工程を有する請求項5〜7のいずれかに記載のホウ素含有水の処理方法。
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