JP6599153B2 - ホウ素含有水の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ホウ素含有水の処理方法に関する。さらに詳しくは、ホウ素とともにケイ素を含有するホウ素含有水からエトリンガイト共沈法によってホウ素を除去するホウ素含有水の処理方法に関する。
ホウ素を含有する水(以下、「ホウ素含有水」という)は、自然界において地下水、海水などとして存在している。ホウ素は、またホウ素化合物を原材料として使用する工業、例えば、ガラス工業をはじめ、医薬、化粧品原料、石鹸工業、電気めっき工業などで生じる廃水、発電所から生じる廃水、ゴミ焼却場で生じる洗煙廃水などの廃水に含まれている。ホウ素含有水の起源によっては、ケイ酸イオンも同時に含有される場合がある。
ホウ素は、動植物にとって必須の微量栄養素であるが、その反面、農業用水中に数mg/L以上の濃度で含まれている場合、植物の成長を阻害することが知られている。また、ホウ素を人体に継続的に摂取したとき、健康障害が生じるおそれがあることから、ホウ素の人体摂取量が法令で規制されている。例えば、水道水の水質基準では水道水に含まれるホウ素濃度が1.0mg/L以下に規制されている。また、海域へのホウ素の排水基準ではホウ素濃度が230mg/L以下、海域外への排水基準ではホウ素濃度が10mg/L以下に規制されている。そこで、ホウ素を含有する廃水は、ホウ素を除去する処理を行った後に、放流される。
液中のケイ酸塩は、配管やバルブ、ポンプなどに発生するスケールの原因となる。スケールが発生すると送液経路の閉塞などの問題が生じるので、スケールを除去するために定期的に点検整備が行われている。そのため、特に操業上の要請がない場合は、液中のケイ酸塩濃度が低い方が好ましい。
ホウ素含有水からホウ素を除去する方法として、アルミニウムや鉄などの水酸化物とともにホウ素を沈殿させる沈殿法、ジルコニウムやマグネシウムなどの水酸化物にホウ素を吸着させる吸着法、ホウ素含有水を蒸発濃縮してホウ酸を晶析する蒸発濃縮法、アルコール基を有する溶媒によりホウ素を抽出分離する溶媒抽出法、逆浸透膜を用いてホウ素を分離除去する逆浸透膜法などの種々の方法が知られている。
しかしながら、沈殿法は、低濃度のホウ素を沈殿させるために共沈剤を多量に添加するため操業資材が多量に必要であり、またホウ素含有澱物である汚泥の発生量が多いという問題がある。吸着法は、ジルコニウムやマグネシウムなどの水酸化物へのホウ素の吸着容量が低いため、多量の吸着剤の添加が不可欠であり、効率性と経済性において実用的でない。蒸発濃縮法は、ホウ素含有水を濃縮しホウ酸を晶析させるために熱源が必要であり、特にホウ素濃度が低い廃水を対象とする場合には、莫大なエネルギーを必要とするので経済的でない。しかも、晶析後のホウ素含有水の中和処理が必要となる。溶媒抽出法は、有機溶媒からホウ素を逆抽出して得られるホウ素含有液の処理のほかに、有機溶媒が微量溶解している処理後の廃水の処理が不可欠である。活性炭などにより有機溶媒を回収除去するなどの処理が必要であり経済的でない。逆浸透膜法は、この方法のみで低濃度になるまでホウ素を除去することが困難であるので、他の方法との併用が必要である。また、膜の閉塞による効率悪化の問題がある。
特許文献1には、ホウ素を含有する廃水に、アルミニウム化合物、硫酸化合物、カルシウム化合物、およびpH調整剤を同時に添加して、pHをアルカリ性に調整した反応液中に析出物を析出させる方法が開示されている。この方法によれば、ホウ素を取り込んだエトリンガイトを析出させることで、廃水からホウ素を除去できる。
特開2014−144433号公報
しかし、本願発明者は、ホウ素含有水にケイ素が含まれていると、エトリンガイトの生成が阻害され、効率よくホウ素を除去できないとの知見を得た。
本発明は上記事情に鑑み、ホウ素含有水にケイ素が含まれていても、効率よくホウ素を除去できるホウ素含有水の処理方法を提供することを目的とする。
第1発明のホウ素含有水の処理方法は、ホウ素とケイ素とを含有し、ケイ素濃度が40〜80mg/Lであるホウ素含有水に硫酸アルミニウムを溶解させる第1工程と、前記第1工程の後、前記ホウ素含有水に水酸化カルシウムを添加し、エトリンガイトを生成してホウ素を共沈させる第2工程と、を備え、前記第1工程において、ホウ素に対するアルミニウムの添加モル比を4以上とするとともに、硫酸アルミニウムの添加により前記ホウ素含有水のpHを3以下に保持することを特徴とする。
第2発明のホウ素含有水の処理方法は、第1発明において、前記第2工程において、前記ホウ素含有水のpHを11.5以上11.8以下とすることを特徴とする。
本発明のホウ素含有水の処理方法によれば、ホウ素含有水にケイ素が含まれていても、エトリンガイトの生成を阻害する物質の生成が抑制されるため、エトリンガイトの生成が促進され、効率よくホウ素を除去できる。
本発明の一実施形態に係るホウ素含有水の処理方法の工程図である。 pHに対する残存濃度の関係を示すグラフである。 pHに対する残存濃度の関係を示すグラフである。 沈殿物のX線回折パターンを示すグラフである。 pHに対する残存ホウ素濃度の関係を示すグラフである。 Al/Bに対する残存濃度の関係を示すグラフである。 Al/Bに対する残存濃度の関係を示すグラフである。 沈殿物のX線回折パターンを示すグラフである。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るホウ素含有水の処理方法は、ホウ素含有水に含まれるホウ素をエトリンガイトと共沈させる共沈工程と、ホウ素を含有する澱物と処理後液とを分離する固液分離工程とを有する。共沈工程は、後述の第1工程と第2工程とからなる。
ホウ素含有水にはホウ素とともにケイ素が含有されている。ホウ素は例えばホウ酸イオンの形態で含有されている。ケイ素は例えばケイ酸イオンの形態で含有されている。ホウ素およびケイ素の濃度は特に限定されないが、例えばホウ素濃度は10〜40mg/L、ケイ素濃度は40〜80mg/Lである。
第1工程では、ホウ素含有水に硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)を添加し、十分に溶解させる。
第2工程は第1工程の後に行われる。第2工程では、ホウ素含有水に水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を添加する。また、pH調整剤を添加するなどしてホウ素含有水のpHを一定に保ちながら、所定時間撹拌する。これにより、エトリンガイトを生成してホウ素を共沈させる。
エトリンガイト(アルミン酸三硫酸カルシウム水和物:3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)は、コンクリートやセメントなどに見られる結晶性の水和物であり、結晶中の硫酸イオンと溶液中のホウ酸イオンを交換することでホウ素を取り込むことができる。そのため、エトリンガイトが生成されると、ホウ素含有水に含まれるホウ素がエトリンガイトに取り込まれ、共沈する。なお、ホウ素含有水に含まれるケイ素も、ホウ素と同様にエトリンガイトに取り込まれ、共沈する。
固液分離工程では、ホウ素を取り込んだエトリンガイトを澱物として分離する。これにより、ホウ素が除去された処理後液が得られる。
本実施形態は硫酸アルミニウムと水酸化カルシウムの添加順に特徴がある。すなわち、ホウ素含有水に硫酸アルミニウムを添加した後に、水酸化カルシウムを添加する。これにより、エトリンガイトの生成を阻害する物質の生成が抑制される。これは、以下に説明する理由による。
まず、ホウ素含有水に硫酸アルミニウムを十分に溶解させることで、液中にエトリンガイトの生成に必要なアルミニウムイオンおよび硫酸イオンが準備された状態となる。また、硫酸アルミニウムの添加によりホウ素含有水のpHを酸性(pH3以下)に保持できる。これにより、エトリンガイトの生成を阻害する水酸化アルミニウム(Al(OH)3)の生成が抑制される。さらに、ホウ素含有水に微量に含まれる炭酸が大気中に除去される。そのため、水酸化カルシウムを添加しても、エトリンガイトの生成を阻害する炭酸カルシウム(CaCO3)の生成が抑制される。
つぎに、ホウ素含有水に水酸化カルシウムを添加することで、ホウ素含有水のpHを急激に上昇させることができる。これにより、エトリンガイトの生成を阻害する水酸化アルミニウムが安定して生成されるpH領域(9.5〜10.5)をできるだけ速やかに通過できるので、水酸化アルミニウムの生成が抑制される。同様に、エトリンガイトの生成を阻害するカオリナイト(Al4Si4O10(OH)8)が安定して生成されるpH領域(10.5〜11.0)をできるだけ速やかに通過できるので、カオリナイトの生成が抑制される。
以上のように、エトリンガイトの生成を阻害する物質(水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、カオリナイト)の生成が抑制されることから、エトリンガイトの生成が促進される。その結果、ホウ素含有水からホウ素を効率よく除去できる。
第1工程において、硫酸アルミニウムの添加量は、ホウ素に対するアルミニウムの添加モル比(以下、単に「Al/B」と称する)が4以上となるように調整することが好ましい。Al/Bが4以上であれば、処理後液のホウ素濃度が排水基準(10mg/L)以下となるからである。また、Al/Bを5以上とすれば、処理後液のホウ素濃度が検出限界以下となるまでホウ素を除去できるのでより好ましい。一方、Al/Bを大きくするほど、硫酸アルミニウムの添加量が増加し、澱物の生成量が多くなる。澱物の生産量の観点からは、Al/Bを6以下とすることが好ましい。
第2工程において、ホウ素含有水のpHを11.5以上11.8以下に調整することが好ましい。このpH範囲であれば、処理後液のホウ素濃度が排水基準(10mg/L)以下となるからである。
ホウ素含有水に含まれるケイ素は、pHがより低い場合、例えばpH10.5でも処理後液のケイ素濃度が検出限界以下となるまで除去可能である。また、pH12.0であっても処理後液のホウ素濃度が5mg/L以下となるまで除去できる。そのため、ケイ素除去の観点からは、より広いpH範囲(pH10.5〜12.0)を採用できる。
第2工程において、ホウ素含有水の液温は室温(20〜30℃)とすることが好ましい。液温が35℃を超えるとエトリンガイトが生成されにくい傾向がある。したがって、温泉水など35℃を超えるホウ素含有水を処理する場合には、予め室温程度まで冷却し、共沈工程を行うことが好ましい。
ホウ素含有水に炭酸イオンが含まれる場合にも、本実施形態を適用すれば、エトリンガイトの生成を優先的に促進することができる。この場合には、第1工程におけるAl/Bや、第2工程におけるpHを適宜調整することで、ホウ素とケイ素を同時に除去できる。
つぎに、実施例を説明する。
〔ホウ素含有水の調製〕
まず、以下の実施例で用いるホウ素含有水を調製した。1000mLメスフラスコ(PYREX(登録商標))に、ホウ素としてホウ酸(H3BO3)、ケイ素としてメタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3・9H2O)、イオン強度を調整するために1M水酸化ナトリウム(NaOH)と1M硝酸(HNO3)を所定の濃度の2倍になるように加えた。純水を少量加え撹拌し、試薬が完全に溶解したことを確認した後に、純水で定容し2000mLビーカー(PMP)に移した。再び1000mLメスフラスコ(PYREX(登録商標))を純水で定容し、2000mLビーカー(PMP)に加えた。pH調整剤として水酸化ナトリウムと硝酸を用いて所定のpHとなるように調整し、ホウ素含有水を得た。得られたホウ素含有水は、ホウ素濃度25mg/L、ケイ素濃度60mg/L、pH8.3である。また、液温は室温である。
〔添加順序の試験〕
まず、ホウ素含有水に対する硫酸アルミニウムと水酸化カルシウムの添加順序について試験を行った。
(実施例1)
第1工程として、ホウ素含有水300mLを300mLビーカー(PYREX(登録商標))に移し、硫酸アルミニウムを添加し、マグネティックスターラーで撹拌した。ここで、硫酸アルミニウムの添加量を、Al/B(ホウ素に対するアルミニウムの添加モル比)=4となるようにした。
つぎに、第2工程として、ホウ素含有水に水酸化カルシウムを添加した。ここで、水酸化カルシウムの添加量を、Ca/B(ホウ素に対するカルシウムの添加モル比)=12となるようにした。また、pH調整剤として水酸化ナトリウムと硝酸を用いて、ホウ素含有水のpHを11.5に保ちながら一時間撹拌した。
その後、メンブレンフィルター(孔径0.1μm)を用いて吸引濾過を行った。濾液は、ICP発光分光分析装置でホウ素濃度およびケイ素濃度を測定した。濾過後の沈殿物は熱乾燥機(45℃)で1日乾燥させた。熱乾燥後の試料を用いてX線回折の測定を行った。
その結果、濾液のホウ素濃度は6mg/Lであり、排水基準(10mg/L)以下であることが確認された。また、濾液のケイ素濃度は2mg/Lであり、ケイ素も十分に除去できることが確認された。沈殿物のX線回折パターンから、エトリンガイトが生成されていることが確認された。
(比較例1)
第1工程として、ホウ素含有水300mLを300mLビーカー(PYREX(登録商標))に移し、水酸化カルシウムを添加した。ここで、水酸化カルシウムの添加量をCa/B=12となるようにした。pH調整剤として水酸化ナトリウムと硝酸を用いて、ホウ素含有水のpHを11.5に調製した。つぎに、第2工程として、ホウ素含有水に硫酸アルミニウムを添加しようとした。
しかし、水酸化カルシウムを添加した時点でエトリンガイト以外の沈殿物が発生したため、試験を中止した。
(比較例2)
ホウ素含有水300mLを300mLビーカー(PYREX(登録商標))に移し、硫酸アルミニウムと水酸化カルシウムを同時に添加した。ここで、硫酸アルミニウムの添加量をAl/B=4となるようにし、水酸化カルシウムの添加量をCa/B=12となるようにした。また、pH調整剤として水酸化ナトリウムと硝酸を用いて、ホウ素含有水のpHを11.5に保ちながら一時間撹拌した。
その後、メンブレンフィルター(孔径0.1μm)を用いて吸引濾過を行った。濾液は、ICP発光分光分析装置でホウ素濃度を測定した。濾過後の沈殿物は熱乾燥機(45℃)で1日乾燥させた。熱乾燥後の試料を用いてX線回折の測定を行った。
その結果、濾液のホウ素濃度はホウ素含有水の初期ホウ素濃度(25mg/L)とほとんど変わらず、ホウ素がほとんど除去されていないことが確認された。また、沈殿物のX線回折パターンから、エトリンガイトがほとんど生成されていないことが確認された。
以上より、ホウ素含有水に硫酸アルミニウムを添加した後に、水酸化カルシウムを添加することで、エトリンガイトの生成が促進され、効率よくホウ素を除去できることが確認された。
〔pH範囲の試験1〕
つぎに、第2工程におけるホウ素含有水の最適なpH範囲について試験を行った。
第1工程として、ホウ素含有水300mLを300mLビーカー(PYREX(登録商標))に移し、硫酸アルミニウムを添加し、マグネティックスターラーで撹拌した。ここで、硫酸アルミニウムの添加量をAl/B=4となるようにした。
つぎに、第2工程として、ホウ素含有水に水酸化カルシウムを添加した。ここで、水酸化カルシウムの添加量をCa/B=12となるようにした。また、pH調整剤として水酸化ナトリウムと硝酸を用いて、ホウ素含有水のpHを一定に保ちながら一時間撹拌した。
その後、メンブレンフィルター(孔径0.1μm)を用いて吸引濾過を行った。濾液は、ICP発光分光分析装置でホウ素濃度、アルミニウム濃度、およびケイ素濃度を測定し、イオンクロマトグラフでナトリウム濃度、カルシウム濃度、および硫酸イオン濃度を測定した。濾過後の沈殿物は熱乾燥機(45℃)で1日乾燥させた。熱乾燥後の試料を用いてX線回折の測定を行った。
第2工程におけるホウ素含有水のpHを10.5、11、11.5、12に調整した。その結果を図2、3、4に示す。図2は、ICP発光分光分析装置により得られた、ホウ素含有水のpHに対する濾液の残存濃度の関係を示すグラフである。図3は、イオンクロマトグラフにより得られた、ホウ素含有水のpHに対する濾液の残存濃度の関係を示すグラフである。図4は、沈殿物のX線回折パターンを示すグラフである。なお、図4中のGypsum、Ettringite、Calcite、Monosulfate、Calcium Sulfate Hydrateは、それぞれ石膏、エトリンガイト、炭酸カルシウム、一硫酸塩、硫酸カルシウム水和物を意味する。
残存硫酸イオン濃度がエトリンガイト生成の指標であると考えられる。pH11.5のときに残存硫酸イオン濃度が一番低くなることから、このときにエトリンガイトの生成が促進されていると考えられる。X線回折パターンからもpH11.5のときにエトリンガイトが生成されていることが確認できる。
平衡計算の結果およびX線回折パターンより、エトリンガイト以外に生成すると考えられる物質として、炭酸カルシウム、カオリナイト、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウムが挙げられる。pH10.5のときは、残存硫酸イオン濃度が薬剤添加からほとんど低下していないことから、エトリンガイトが生成していないことが分かる。一方、残存ケイ素濃度と残存アルミニウム濃度が低下していることからカオリナイトの生成が示唆される。X線回折パターンから、硫酸カルシウムが生成されていることが分かる。しかし、残存カルシウム濃度、残存硫酸イオン濃度がほとんど低下していないことから、硫酸カルシウムの生成量は微量であると考えられる。
pH11のときは、pH10.5と比較して残存硫酸イオン濃度が低下している。このことからエトリンガイトが生成していることが確認できる。X線回折パターンからも、エトリンガイトの低いピークが確認できる。エトリンガイトが生成している分、pH10.5と比較するとホウ素が除去されているものの、エトリンガイトの生成量が微量であるためホウ素の除去が十分でないと考えられる。
pH11.5のときは、X線回折パターンから明らかなエトリンガイトのピークが確認できる。残存ホウ素濃度が大幅に低下している理由はエトリンガイトが十分に生成されているためである。pH10.5、pH11のときと比較して残存カルシウム濃度および残存硫酸イオン濃度が低下しているのは、エトリンガイトの生成が原因だと考えられる。残存アルミニウム濃度はあまり低下していない。これは、pH10.5、pH11のときは、アルミニウムがエトリンガイト以外の物質(カオリナイトや水酸化アルミニウムなど)の生成に消費されたためだと考えられる。
pH12のときは、残存ホウ素濃度は排水基準(10mg/L)以下まで低下していないもののpH10.5、pH11のときと比較すると除去量は多い。一方、残存カルシウム濃度はpH11.5の時よりも低下している。X線回折パターンより炭酸カルシウムのピークが確認できる。pHが高い場合は、炭酸カルシウムとエトリンガイトの生成が競合してしまい、エトリンガイトの生成量が低下していると考えられる。
〔pH範囲の試験2〕
つぎに、第2工程におけるホウ素含有水の最適なpH範囲について、さらに詳細な試験を行った。
上記「pH範囲の試験1」と同様の手順で試験を行った。また、第2工程におけるホウ素含有水のpHとして、11.2、11.4、11.6、11、8を追加した。ICP発光分光分析装置により得られた、ホウ素含有水のpHに対する濾液の残存ホウ素濃度の関係を図5に示す。
図5より、ホウ素含有水のpHが11.5〜11.8の範囲であれば、排水基準(10mg/L)以下までホウ素を除去できることが確認できた。
〔Al/Bの試験〕
つぎに、第1工程におけるAl/Bの最適な範囲について試験を行った。
第1工程として、ホウ素含有水300mLを300mLビーカー(PYREX(登録商標))に移し、硫酸アルミニウムを添加し、マグネティックスターラーで撹拌した。
つぎに、第2工程として、ホウ素含有水に水酸化カルシウムを添加した。ここで、水酸化カルシウムの添加量をCa/B=12となるようにした。また、pH調整剤として水酸化ナトリウムと硝酸を用いて、ホウ素含有水のpHを11.5に保ちながら一時間撹拌した。
その後、メンブレンフィルター(孔径0.1μm)を用いて吸引濾過を行った。濾液は、ICP発光分光分析装置でホウ素濃度、アルミニウム濃度、およびケイ素濃度を測定し、イオンクロマトグラフでナトリウム濃度、カルシウム濃度、および硫酸イオン濃度を測定した。濾過後の沈殿物は熱乾燥機(45℃)で1日乾燥させた。熱乾燥後の試料を用いてX線回折の測定を行った。
第1工程において硫酸アルミニウムの添加量を調整し、Al/Bを3、4、5、6、8に調製した。その結果を図6、7、8に示す。図6は、ICP発光分光分析装置により得られた、Al/Bに対する残存濃度の関係を示すグラフである。図7は、イオンクロマトグラフにより得られた、Al/Bに対する残存濃度の関係を示すグラフである。図8は、沈殿物のX線回折パターンを示すグラフである。なお、図8中のGypsum、Ettringite、Calciteは、それぞれ石膏、エトリンガイト、炭酸カルシウムを意味する。
Al/Bを4以上とすれば、排水基準(10mg/L)以下までホウ素を除去できることが確認できた。また、Al/Bを5以上とすれば、ホウ素濃度が検出限界以下となるまでホウ素を除去できることが確認できた。一方、Al/Bを大きくするほど、硫酸アルミニウムの添加量が増加し、沈殿物の生成量が多くなる。そのため、Al/Bを6以下とすることが好ましい。
Al/B=3の場合、残存アルミニウム濃度、残存カルシウム濃度、残存硫酸イオン濃度が他の条件の場合と比較して大幅に高い。エトリンガイトが生成されておらず、ホウ素が除去されなかったと考えられる。
硫酸アルミニウムの添加量を増やすほどエトリンガイトを構成する元素の残存濃度が上昇する現象については、溶液のpH履歴が関係している。水酸化カルシウムを添加すると溶液のpHは上昇するが、pHの上昇量は薬剤の添加量に比例する。そのため薬剤添加量が少ない場合、溶液がエトリンガイトの生成しにくい雰囲気にあり反応が進行しづらくなる。一方、残存ケイ素濃度は低下しているためカオリナイトが生成している可能性がある。X線回折パターンからAl/B=4以上ではエトリンガイトの生成が確認できるが、Al/B=3では炭酸カルシウムのピークが支配的である。

Claims (2)

  1. ホウ素とケイ素とを含有し、ケイ素濃度が40〜80mg/Lであるホウ素含有水に硫酸アルミニウムを溶解させる第1工程と、
    前記第1工程の後、前記ホウ素含有水に水酸化カルシウムを添加し、エトリンガイトを生成してホウ素を共沈させる第2工程と、を備え
    前記第1工程において、ホウ素に対するアルミニウムの添加モル比を4以上とするとともに、硫酸アルミニウムの添加により前記ホウ素含有水のpHを3以下に保持する
    ことを特徴とするホウ素含有水の処理方法。
  2. 前記第2工程において、前記ホウ素含有水のpHを11.5以上11.8以下とする
    ことを特徴とする請求項記載のホウ素含有水の処理方法。
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