JP6888798B2 - ホウ素除去方法及びホウ素除去装置 - Google Patents
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Description
図2は、本発明のホウ素含有水からのホウ素除去方法の第一の実施形態を示した工程説明、及びその実施に用いられるホウ素含有水からのホウ素除去装置の概略構成を示す図である。この実施形態におけるホウ素含有水からのホウ素除去装置100は、pH調整槽10と、蒸発濃縮装置20と、反応槽30と、汚泥脱水機40と、混合槽50とから概略構成されている。
pH調整剤8としては、水酸化ナトリウム(NaOH)などの塩基、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)などの酸を用いることができる。
A×(B−10)/(2,000−B)〜A×B/(500−B)
(ただし、Aは非濃縮水水量、Bは混合液7のホウ素濃度(求める水質により任意に設定))
混合槽50に導入されなかった脱水ろ液5の残部5’はpH調整槽10に導入する。
図3は、本発明のホウ素含有水からのホウ素除去方法の第二の実施形態を示した工程説明、及びその実施に用いられるホウ素含有水からのホウ素除去装置の概略構成を示す図である。図3において、図2に示した第一の実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。この実施形態におけるホウ素含有水からのホウ素除去装置200は、pH調整槽10と、吸着塔60と、反応槽30と、汚泥脱水機40と、混合槽50とから概略構成されている。
実験にはホウ酸を純水に溶解させてホウ素濃度を500mg/Lに調整したホウ素含有水を10倍に蒸発濃縮し、ホウ素濃度を5,000mg/Lとした濃縮水を使用した。濃縮水の水温が室温(20〜30℃)になるまで放冷後、カルシウム化合物を所定量添加した後、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いてpHを9.0に調整し、60分間反応させた。この反応液の一部を採取し懸濁物質(SS)濃度を測定した。また、前記反応液の一部を採取し、JIS P 3801に規定されている5種Aのフィルターによりろ過し、得られた清澄なろ液のホウ素濃度を測定した。また、実施例3については、前記反応液をフィルタープレス型脱水機で脱水し、得られた脱水汚泥の含水率を測定した。また、濃縮水ホウ素濃度、ろ液ホウ素濃度、反応液SS濃度、及び脱水汚泥の含水率から脱水汚泥中のホウ素含有率及びホウ素除去率を算出した。
カルシウム化合物の種類及びその添加量、反応液SS濃度、ろ液ホウ素濃度、脱水汚泥含水率、脱水汚泥中のホウ素含有率、及びホウ素除去率を表1に示す。
実施例1〜6に用いたホウ素濃度5,000mg/Lの濃縮水に、硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)、塩化マグネシウム(MgCl2)、または塩化第二鉄(FeCl3)のいずれか1種の金属化合物を所定量添加した後、水酸化ナトリウムを用いてpHを調整し、60分間反応させた。この反応液の一部を採取しSS濃度を測定した。また、前記反応液の一部を採取し、JIS P 3801に規定されている5種Aのフィルターによりろ過し、得られた清澄なろ液のホウ素濃度を測定した。また、比較例2,5,8については、前記反応液をフィルタープレス型脱水機で脱水し、得られた脱水汚泥の含水率を測定した。また、濃縮水ホウ素濃度、ろ液ホウ素濃度、反応液SS濃度、及び脱水汚泥の含水率から脱水汚泥のホウ素含有率及びホウ素除去率を算出した。
フィルタープレス型脱水機による脱水は、ろ過圧力0.4MPa、ろ過時間60分、圧搾圧力0.7MPa、圧搾時間30分で行った。
金属化合物の種類及びその添加量、反応液SS濃度、ろ液ホウ素濃度、脱水汚泥含水率、及びホウ素除去率を表2に示す。
実施例1〜6に用いたホウ素濃度5,000mg/Lの濃縮水に、硫酸アルミニウム及び消石灰を添加した後、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いてpHを9.0に調整し、60分間反応させた。この反応液の一部を採取し懸濁物質(SS)濃度を測定した。また、前記反応液の一部を採取し、JIS P 3801に規定されている5種Aのフィルターによりろ過し、得られた清澄なろ液のホウ素濃度を測定した。また、前記反応液をフィルタープレス型脱水機で脱水し得られた脱水汚泥の含水率を測定した。また、濃縮水ホウ素濃度、ろ液ホウ素濃度、反応液SS濃度、及び脱水汚泥の含水率から脱水汚泥のホウ素含有率及びホウ素除去率を算出した。
フィルタープレス型脱水機による脱水は、ろ過圧力0.4MPa、ろ過時間60分、圧搾圧力0.7MPa、圧搾時間30分で行った。
カルシウム化合物の種類及びその添加量、反応液SS濃度、ろ液ホウ素濃度、脱水汚泥含水率、脱水汚泥中のホウ素含有率、及びホウ素除去率を表3に示す。
表1、2の反応液SS濃度とホウ素除去率との関係を図5に示した。
図4より、カルシウム化合物(実施例)は、他の薬剤(比較例)よりも少ない薬剤添加量にもかかわらず、ホウ素除去率が高いことが確認された。
図5より、ホウ素除去率が同等な場合のSS濃度はカルシウム化合物(実施例)の方が他の薬剤(比較例)よりも低いことが確認された。
以上より、実施例では比較例よりも汚泥発生量を低減可能なことが確認された。
実施例1〜6に用いたホウ素濃度500mg/Lのホウ素含有水に、消石灰、硫酸アルミニウム、塩化マグネシウム、または塩化第二鉄のいずれか1種の金属化合物を所定量添加した後、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いてpHを調整し、60分間反応させた。この反応液を、JIS P 3801に規定されている5種Aのフィルターによりろ過し、得られた清澄なろ液のホウ素濃度を測定した。また、ホウ素含有水ホウ素濃度及びろ液ホウ素濃度からホウ素除去率を算出した。
金属化合物の種類及びその添加量、ろ液ホウ素濃度、及びホウ素除去率を表4に示す。
実験にはホウ酸を純水に溶解させてホウ素濃度を2,000mg/Lに調整した模擬濃縮水を用いた。この模擬濃縮水に消石灰を質量比がCa/B=2となるように添加した後、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いてpHを9.0に調整し、60分間反応させた。この反応液を、JIS P 3801に規定されている5種Aのフィルターによりろ過し、得られた清澄なろ液のホウ素濃度を測定した。また、濃縮水ホウ素濃度及びろ液ホウ素濃度からホウ素除去率を算出した。
濃縮水ホウ素濃度、消石灰添加量、ろ液ホウ素濃度及びホウ素除去率を表5に示す。
実験に用いた模擬濃縮水のホウ素濃度が3,000mg/Lであること以外は、実施例7と同じ操作を行った。
濃縮水ホウ素濃度、消石灰添加量、ろ液ホウ素濃度及びホウ素除去率を表5に示す。
実験に用いた模擬濃縮水のホウ素濃度が5,000mg/Lであること以外は、実施例7と同じ操作を行った。
濃縮水ホウ素濃度、消石灰添加量、ろ液ホウ素濃度及びホウ素除去率を表5に示す。
実験に用いた模擬濃縮水のホウ素濃度が8,000mg/Lであること以外は、実施例7と同じ操作を行った。
濃縮水ホウ素濃度、消石灰添加量、ろ液ホウ素濃度及びホウ素除去率を表5に示す。
実験に用いた模擬濃縮水のホウ素濃度が10,000mg/Lであること以外は、実施例7と同じ操作を行った。
濃縮水ホウ素濃度、消石灰添加量、ろ液ホウ素濃度及びホウ素除去率を表5に示す。
実験に用いた模擬濃縮水のホウ素濃度が20,000mg/Lであること以外は、実施例7と同じ操作を行った。
濃縮水ホウ素濃度、消石灰添加量、ろ液ホウ素濃度及びホウ素除去率を表5に示す。
実験に用いた模擬濃縮水のホウ素濃度が1,000mg/Lであること以外は、実施例7と同じ操作を行った。
濃縮水ホウ素濃度、消石灰添加量、ろ液ホウ素濃度及びホウ素除去率を表5に示す。
図6より、濃縮水のホウ素濃度が2,000mg/L以上であれば、ホウ素除去率が飛躍的に上昇することがわかった。
実施例1〜6に用いたホウ素濃度5,000mg/Lの濃縮水に、消石灰をカルシウムとして8,000mg/L添加した後、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いて所定のpHに調整し、60分間反応させた。この反応液をJIS P 3801に規定されている5種Aのフィルターによりろ過し、得られた清澄なろ液のホウ素濃度を測定した。また、濃縮水ホウ素濃度及びろ液ホウ素濃度からホウ素除去率を算出した。
反応pHとホウ素除去率との関係を、表6及び図7に示す。
図7より、本発明によるホウ素除去方法は、pH8〜10の範囲で特に効率的であることが確認された。
実施例1〜6に用いたホウ素濃度5,000mg/Lの濃縮水を所定の水温に調整後、水温を維持しながら消石灰をカルシウムとして8,000mg/L添加した後、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いてpH9.0に調整し、60分間反応させた。この反応液をJIS P 3801に規定されている5種Aのフィルターによりろ過し、得られた清澄なろ液のホウ素濃度を測定した。また、濃縮水ホウ素濃度及びろ液ホウ素濃度からホウ素除去率を算出した。
反応時の水温とホウ素除去率との関係を、表7及び図8に示す。
図8より、本発明によるホウ素除去方法は反応時の水温が低温なほど効果的であり、40℃以下の条件では80%以上の高いホウ素除去率が得られることがわかった。
ホウ素を800mg/L含む石炭火力発電所の排煙脱硫排水を10倍に蒸発濃縮し、8,000mg/Lの濃縮水を得た。濃縮水の水温が室温(20〜30℃)になるまで放冷後、消石灰をカルシウムとして15,000mg/L添加した後、塩酸を用いてpHを9.0に調整し、60分間反応させた。この反応液を、JIS P 3801に規定されている5種Aのフィルターによりろ過し、得られた清澄なろ液のホウ素濃度を測定した。また、濃縮水ホウ素濃度及びろ液ホウ素濃度からホウ素除去率を算出した。
結果を表8に示す。
ホウ素を200mg/L含む塩湖かん水を、JIS P 3801に規定されている5種Aのフィルターによりろ過した後、塩酸を添加してpHを7.0に調整し、pH調整後の塩湖かん水を、吸着材を充填した吸着塔に、120mL/hで通水した。
吸着材としては、キレスト株式会社製キレート繊維「GRY−HW」(商品名)を0.35g/mLの密度で、容積40mLの空間に充填したものを用いた。
吸着塔への通水倍率を25倍(25Bed Volume)とし、吸着塔出口のホウ素濃度が10mg/Lを超えた時点で塩湖かん水の通水を停止し、溶離薬剤として1NのHClを用いて、吸着材に吸着されたホウ素を溶離させ、吸着塔からホウ素を高濃度に含む濃縮水を取り出した。
得られた濃縮水のホウ素濃度は3,400mg/Lであった。
この濃縮水に消石灰をカルシウムとして7,000mg/L添加した後、水酸化ナトリウムを用いてpHを9.0に調整し、60分間反応させた。この反応液を、JIS P 3801に規定されている5種Aのフィルターによりろ過し、得られた清澄なろ液のホウ素濃度を測定した。また、濃縮水ホウ素濃度及びろ液ホウ素濃度からホウ素除去率を算出した。
結果を表8に示す。
2 濃縮水
3 反応液
4 脱水汚泥
5 脱水ろ液
6 非濃縮水
7 混合液
8 pH調整剤
9 カルシウム化合物
100 第一の実施形態におけるホウ素含有水からのホウ素除去装置
200 第二の実施形態におけるホウ素含有水からのホウ素除去装置
10 pH調整槽
20 蒸発濃縮装置
30 反応槽
40 汚泥脱水機
50 混合槽
60 吸着塔
61 溶離薬剤
Claims (12)
- ホウ素含有水をホウ素濃度が2,000mg/L以上の濃縮水とホウ素濃度が10mg/L以下の非濃縮水とに分離する濃縮工程と、前記濃縮水にアルミニウム化合物を添加することなくカルシウム化合物を添加して不溶性析出物が分散した反応液を形成させる反応工程と、前記反応液を脱水ろ液と脱水汚泥とに分離する汚泥脱水工程と、前記脱水ろ液の一部又は全量を前記非濃縮水と混合して混合液を得る混合工程と、前記脱水ろ液のうち前記混合工程に導入されなかった脱水ろ液の残部を前記濃縮工程へと導入する工程とを含み、
前記反応工程でカルシウム化合物を添加後、pHを8〜10に調整する工程を含み、前記反応工程における前記反応液の液温が40℃以下であることを特徴とするホウ素除去方法。 - 前記濃縮水が、ホウ素含有水を蒸発濃縮したものである請求項1に記載のホウ素除去方法。
- 前記濃縮水が、ホウ素含有水をアニオン交換樹脂、希土類元素の含水酸化物を担持した造粒体、N−メチルグルカミン基を導入したイオン交換樹脂、または、N−メチルグルカミン基を導入した繊維状吸着材の群から選択される1種または2種以上の吸着材に接触させて、前記ホウ素含有水からホウ素を吸着除去し、ホウ素を吸着した前記吸着材から酸またはアルカリでホウ素を溶離させたものである、請求項1に記載のホウ素除去方法。
- 前記濃縮水のアルミニウム濃度が、1,000mg/L以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のホウ素除去方法。
- 前記反応工程で添加するカルシウム化合物の添加量が、前記濃縮水に存在するホウ素に対して質量比でCa/B=0.5〜5.0の範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のホウ素除去方法。
- 前記混合工程に導入する前記脱水ろ液の水量が以下の式で表せる範囲内である請求項1〜5のいずれか一項に記載のホウ素除去方法。
A×(B−10)/(2,000−B)〜A×B/(500−B)
(ただし、Aは非濃縮水水量、Bは混合液ホウ素濃度(求める水質により任意に設定)) - 前記脱水汚泥のホウ素含有率が、4%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のホウ素除去方法。
- ホウ素含有水をホウ素濃度が2,000mg/L以上の濃縮水とホウ素濃度が10mg/L以下の非濃縮水とに分離する濃縮装置と、前記濃縮水にカルシウム化合物を添加して不溶性析出物が分散し、pHを8〜10、液温を40℃以下とした反応液を形成させる反応槽と、前記反応液を脱水ろ液と脱水汚泥とに分離する汚泥脱水機と、前記脱水ろ液の一部又は全量を前記非濃縮水と混合して混合液を得る混合槽と、前記脱水ろ液のうち前記混合槽に導入されなかった脱水ろ液の残部を前記濃縮装置へと導入する機構とを備えたホウ素除去装置。
- 前記濃縮装置が、蒸発濃縮装置である請求項8に記載のホウ素除去装置。
- 前記濃縮装置が、アニオン交換樹脂、希土類元素の含水酸化物を担持した造粒体、N−メチルグルカミン基を導入したイオン交換樹脂、または、N−メチルグルカミン基を導入した繊維状吸着材の群から選択される1種または2種以上の吸着材を充填した吸着塔であり、前記吸着材に吸着したホウ素を溶離薬剤で溶離して前記濃縮液を得る、請求項8に記載のホウ素除去装置。
- 前記濃縮装置の前段にホウ素含有水のpHを調整するpH調整槽を有し、前記混合槽に導入されなかった脱水ろ液の残部を前記濃縮装置へと導入する機構は、前記pH調整槽に前記脱水ろ液の残部を導入するものである請求項8〜10のいずれか一項に記載のホウ素除去装置。
- 前記反応槽及び混合槽の少なくとも一方は、pH調整剤を導入する機構を有する請求項8〜11のいずれか一項に記載のホウ素除去装置。
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