JP4284777B2 - ホウ素含有水の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホウ素を含有する溶液から効率的にホウ素を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホウ酸やホウ酸ナトリウムに代表されるホウ素化合物は、ガラス工業をはじめとして、医薬用、化粧品原料、石鹸工業、電気めっきなどさまざまな用途に使用されている。そのため、これらの製造工程で発生する排水にはホウ素化合物が含有されている。この他、発電所から発生する排水やゴミ焼却場における洗煙排水にもホウ素が含まれることが多い。
【0003】
このようなホウ素含有排水の処理方法には、アルミニウムや鉄の水酸化物とともに沈殿させる方法、ジルコニウム、マグネシウムやセリウムなどの水酸化物による吸着、含有水の蒸発濃縮による晶析、アルコール基を有する溶媒による抽出あるいは逆浸透膜による除去などの種々の方法がある。
【0004】
しかしながら、一般に排水中のホウ素濃度は比較的低く、沈殿法では効率的に沈殿させることが難しいため、多量のアルミニウムや鉄イオンを加えることが必要であり、操業資材および汚泥発生量が増加するといった問題点を有する。
また、吸着法では、各種水酸化物へのホウ素の吸着量が少ないため、多量の吸着剤の添加が必要となり実用的でない。
【0005】
一方、溶液の蒸発濃縮による処理法では、濃縮に熱源が必要であり、特にホウ素濃度の低い排水を対象とするので、ホウ素化合物を晶析させるため莫大なエネルギーを要する。さらに、晶析後のホウ素含有水の処理も必要となる。
【0006】
また、溶媒抽出法では、ホウ素を抽出除去することは可能であるが、有機溶媒から逆抽出した後のホウ素含有液の処理が必要となるばかりか、ホウ素を除去した処理水にはホウ素抽出するために使用した有機溶媒が溶解するため、活性炭等により有機溶媒を回収除去することも必要となり、経済的に排水を処理することが困難である。また、逆浸透膜を用いて処理する方法では、本方法のみで低濃度までホウ素を除去することは困難であるうえ、膜の閉塞の問題もある。
【0007】
これら問題点を解消する方法として、凝集沈殿法とアニオン交換樹脂を組み合わせたホウ素除去法が提案されている。この方法では、ホウ素含有水をイオン交換樹脂で処理し、ホウ素を吸着させた後、ホウ素をイオン交換樹脂から溶離させ、ホウ素の濃縮した溶離液に、アルミニウム化合物を添加し中和することによりホウ素を除去する。前記方法は、ホウ素濃度が低くかつ多量に発生する溶液に対して有効な方法と考えられるが、アルミニウム化合物が高価であること、また生成する殿物の沈降性が遅いことなど実用性に乏しかった。
【0008】
また、イオン交換樹脂からのホウ素の溶離には通常硫酸が使用され、ホウ素を完全に溶離するためには酸濃度の高い硫酸溶液が必要であり、そのため、後工程で多量の中和剤を要すことになる。さらに中和に際して生成する殿物量も多いという問題を有していた。以上、説明したように、従来の方法では、ホウ素を効率的かつ経済的に除去することは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、これまでになく効率的にホウ素を除去する方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため種々検討した結果、ホウ素含有水をイオン交換樹脂層に通水し、イオン交換樹脂と接触させホウ素を吸着させた後、このイオン交換樹脂層に鉱酸溶液を通液してホウ素を鉱酸中に溶離し、得られた高濃度のホウ素を含有する鉱酸溶液にシリコン化合物を添加した後、カルシウム化合物を添加することにより、pHを8以上、好ましくは、9以上に調整することで、ホウ素を含む化合物を沈殿除去し、上記目的が達成されることを見出した。
【0011】
前記処理方法で使用する鉱酸は、塩酸が好ましく、シリコン化合物は、珪酸ナトリウムが好ましく、カルシウム化合物は、消石灰であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、(1)ホウ素含有水をイオン交換樹脂と接触させ、ホウ素を吸着させ、(2)続いて、ホウ素を吸着した樹脂を鉱酸溶液と接触させ、ホウ素を樹脂から溶離し、(3)ホウ素の濃縮した溶離液にシリコン化合物を添加しカルシウム塩で中和しpHを調整する、三つの工程から成り立っている。
【0013】
ホウ素含有水は、前述の種々の工程から排出される排水やその他ホウ素化合物を含有する水であり、通常BO3 3-の形態でホウ素が存在することが多い。このような溶液を第1工程でイオン交換樹脂と接触させホウ素を吸着する。
【0014】
本発明に用いられるホウ素吸着用樹脂としては、ホウ素を吸着できるものなら種類を問わないが、特にアニオン交換樹脂が良く、その中でもホウ素の選択吸着性を高めたホウ素専用の樹脂が望ましい。ホウ素吸着性に優れた樹脂は、メチルグルカミン基を有し、たとえば、オルガノ株式会社製(商品名)アンバーライトIRA−743、住友化学株式会社製(商品名)デュオライトES−371Nあるいは、ユニチカ株式会社製(商品名)ユニセレックUR−3500などが挙げられる。
【0015】
これらのホウ素吸着用樹脂は、通常、アルカリにより官能基末端をOH形とし、カラムに樹脂を充填してホウ素含有水を通液しホウ素を吸着させる。樹脂に吸着したホウ素は、酸溶液を用い溶離する。酸としては硫酸、塩酸、硝酸などの通常の鉱酸が使用できる。しかしながら樹脂の劣化を招かないこと、低酸濃度で効率よく溶離できることから塩酸を使用することが望ましい。塩酸を使用した場合、0.1N以上の塩酸濃度で樹脂に吸着したホウ素をほぼ完全に溶離することができる。
【0016】
ホウ素を含む溶離液は、中和しホウ素を固定することになるが、その際、一般的な中和剤であるカルシウム化合物を使用すると、溶離酸として硫酸を使用した場合には中和時の石膏の生成が起こり、生成殿物量が多くなるので望ましくない。
【0017】
一方、塩酸では、他の酸に比べ低酸濃度でホウ素を溶離できることから、中和剤の使用量も少なく抑えられ、また消石灰等で中和しても石膏などの不溶解物の生成がないので好都合である。
【0018】
ホウ素の溶離が終わったイオン交換樹脂は必要に応じて水酸化ナトリウム等でOH型に変換した後、再びホウ素の吸着操作に繰り返すこととなる。
回収された溶離液は、ホウ素を濃縮しており、シリコン化合物を添加し、カルシウム化合物で中和し、ホウ素を固形物として固定する。シリコン化合物としては、珪酸ナトリウムや珪酸カリウムなどのアルカリ金属の珪酸塩が使用できるが、価格および入手しやすさなどの点から珪酸ナトリウムが好適である。
【0019】
添加するシリコン量は、溶離液中に存在するホウ素に対し重量比で0.5〜10倍、好ましくは0.7〜5倍量がよい。添加量がこれより少ないと、溶離液からのホウ素の除去が困難であり、逆にこれ以上となると薬剤の使用の上昇によるコストアップのみならず、濾過工程等の後工程に負荷を掛けることになり、好ましくない。
【0020】
また、カルシウム化合物としては、消石灰、生石灰、塩化カルシウム等があげられるが、経済性、取り扱い性を考慮すると消石灰が有利である。カルシウム化合物の添加により、溶液のpHを8以上、望ましくは9以上に上昇することにより不溶性沈殿物を生成させる。従来のアルミニウム化合物によりホウ素を固定する場合には、pHを9以上、好ましくは12以上にすることが必要であったことから、これよりも低いpHである8以上で可能なシリコン化合物でのホウ素の固定は、中和剤の使用量および生成中和殿物が少なくて有利である。本発明の方法において、pHの上限は特に制限はないが、pHを上昇させるためには、カルシウム化合物の添加量が増加するため、pH13、好ましくはpH12程度以下とすることが経済的かつ実用的である。
【0021】
珪酸ナトリウムなどのシリコン化合物はアルミニウム化合物に比べ安価であることに加え、生成する殿物の沈降性も速く、従来の方法に比べ処理液と殿物との分離あるいは後処理が容易となる。
【0022】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例について述べるが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものではない。
【0023】
(実施例1)
イオン交換樹脂 (アンバーライトIRA−743:オルガノ社製)を充填したカラムに、8.8mg/Lのホウ素を含有する溶液を5 Bed Volume/hの速度で通液しホウ素を吸着させた。樹脂に対し100(L/L−樹脂)の溶液を通液した。カラム通液後回収された液のホウ素は、1mg/L以下となり、90%以上のホウ素が除去された。
【0024】
吸着後は、5(L/L−樹脂)の0.2N:HCl溶液をカラムに流し、樹脂に吸着したホウ素を溶離した。回収された溶離液のホウ素濃度は、150mg/Lで、樹脂に吸着したホウ素の93.3%が溶離された。
【0025】
続いて、溶離液に、珪酸ナトリウム1.96g/L(Si/B重量比=3.0)を加え、消石灰で、pH 9.0となるよう中和した。1時間反応させた後、固液の分離を行った。処理中のホウ素濃度は、0.042/Lとなり、溶離液のホウ素の71.8%を除去することができた。生成した澱物の重量は溶離液1Lにつき1.86gであり、少量の殿物しか生成しなかった。
【0026】
(実施例2)
イオン交換樹脂から溶離したホウ素溶液(ホウ素濃度 1.13g/L)に、珪酸ナトリウムを、溶離溶液中のホウ素に対し、重量比1.13となるよう添加し、消石灰でpH7.5から12.0の範囲で中和した。表1に示すように、pH8.0以上で、効率的に50%以上のホウ素が溶離液から除去できた。
なお、pH7.5は、比較例である。
【0027】
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、ホウ素含有水をイオン交換樹脂と接触させ、ホウ素を吸着させた後ホウ素を溶離し、回収されたホウ素を含有する溶液にシリコン化合物を添加しカルシウム化合物で中和することにより、ホウ素を効率的に除去することができる。
Claims (3)
- ホウ素含有水をイオン交換樹脂と接触させホウ素を吸着させた後、前記イオン交換樹脂を鉱酸溶液で洗浄してホウ素を鉱酸溶液中に溶離し、溶離されたホウ素を含有する前記鉱酸溶液に珪酸ナトリウムを添加し、かつカルシウム化合物を添加して、pHを8以上としてホウ素を沈殿除去することを特徴とするホウ素含有水の処理方法。
- 前記鉱酸が塩酸であることを特徴とする、請求項1に記載のホウ素含有水の処理方法。
- 前記カルシウム化合物が消石灰であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のホウ素含有水の処理方法。
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